JPH064719Y2 - 微生物培養器 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は微生物培養器、更に詳細には微生物を採取する
と共に、そのまま培養試験を行うことができる微生物培
養器に関する。

〔従来の技術〕

食品や食品の製造装置あるいは衛生管理が必要とされる
対象物の汚染度を検査するために、一般にスタンプ法と
呼ばれる微生物採取法が広く取り入れられている。

而して、当該スタンプ法としては、従来ポリエチレン等
からなる一端を閉じた筒状の袋内に寒天培地を分注し、
開口部を閉じたソーセージ状のものを、一方から滅菌ナ
イフで切つて培地面を露出させ、検査対象物にその面を
スタンプした後再びその面を含むように切り離して滅菌
シヤーレに入れて培養する方法と、シヤーレ状の容器に
盛り上がらせて作製した培地を、やはり検査対象物にス
タンプした後フタをして培養する方法の２通りがある。

〔考案が解決しようとする問題点〕

然しながら、斯かる従来の培地面は一面であるため、複
数検体又は同一検体を異なる鑑別培地を用いて同時に培
養試験をすることは事実上不可能であつた。

そこで、本考案者は斯かる従来の欠点を解消すべく種々
検討を重ねた結果、培地体が回転する本考案微生物培養
器を案出したものである。

〔問題点を解決するための手段〕

すなわち、本考案は、上部が開口している容器体に、相
対する一対の側端面部に突出した回転軸を有する柱状固
型培地体を、該培地体の回転軸非突出面部が容器体の開
口縁部より若干突出して露出培地面が形成されるよう
に、当該回転軸を介して回転自在に軸支収納すると共
に、該容器体に透明蓋体を開閉自在に被冠せしめたこと
を特徴とする微生物培養器である。

〔実施例〕

以下実施例を示す図面と共に本考案を更に説明する。

１は容器体で、上部が開口しているものである。この容
器体１の形状はその如何を問わないが、少なくとも平坦
底面を有する容器体とするのが、安定性の点で有利であ
る。又、透明材質であれば外部からの観察が出来更に良
い結果を与える。

２は柱状固型培地体で、相対する一位の側端面部に突出
した回転軸３を有し、かつ当該容器体１の開口縁部より
該培地体２の回転軸非突出面部が若干突出して露出培地
面が形成されるように、当該回転軸３を介して回転自在
に軸支収納せられているものである。この軸支の具体的
手段は回転自在なものであれば、その如何を問わない
が、例えば培地体２の両側端に回転軸３を付設すると共
に、容器体１の両側壁部１１に孔１２又は該側壁部１１
の上端より切欠部１３を形設し、当該孔１２又は切欠部
１３に、当該回転軸３を介して回転自在に軸支せしめる
のが簡便である。尚、切欠部１３を形設する場合には、
該切欠部側縁に適宜弾性突片１４又は山形突起１５を付
設するのが、軸支の保持並びに着脱性に優れ、良い結果
が得られる。

柱状培地体２の具体的形状としては円柱状、角柱状の如
何を問わないが、円柱状とした場合には、ローラー方式
により曲面検体よりの微生物採取に有利であり、また角
柱状とした場合には各面毎に別異の培地を作製する上で
或いは多検体を同一培地に付けた１つの培養器で同時に
検査する上で有利である。尚、角柱状とする場合には３
〜８角柱特に４角柱とするのが実用性に優れる。

当該円柱状培地体はその具体的製法の如何を問わない
が、例えば容器体内に軸芯部を有する円筒芯体を、該容
器体内壁との間に適宜間隔を形成せしめて挿置し、当該
間隔に寒天培地液を分注して凝固せしめた後、該容器体
を取り外して作製するのが簡便である。尚、その時分注
する培地を区画で分け別種のものをそれぞれ分注する事
も出来る。また、当該角柱状培地体は例えば両側端に軸
部を付設せしめた角形枠体の各面に、別途作製した板状
培地を取り付ける方法が簡便である。この場合、当該板
状培地は、各別独立したものであつても、折曲可能な連
成培地であつても良い。また、角柱体の各面に皿状の凹
部を形成し、これに培地を流しこむ事によつても作る事
が出来る。

４は透明蓋体で、容器体１に開閉自在に被冠せしめられ
ているものである。この蓋体４は容器体１と完全別体構
成であつても良いが、一辺に於て折曲可能な連成体、あ
るいは蝶着による一体構成とするのが有利である。ま
た、蓋体４の被冠に際しては、密閉度を高めるため、蓋
体４と容器体１の接合部を凹凸嵌合構造とするのが良い
結果を与える。

尚、容器体１及び蓋体４は外部よりの観察が可能な透明
体であれば、その材質の如何を問わないが、合成樹脂製
とするのが製作性並びに強度性の点で好適である。

〔作用〕

以上の如く、本考案は構成せられるものであるから、本
考案の使用に当つては先ず蓋体４を開けば、培地体２の
回転軸非突出面部が容器体１より若干突出した状態にて
露出する。斯かる状態で、培地体２が角柱状の場合には
所定面を検体にスタンプ方式により接触せしめれば微生
物が採取される。次いで、回転軸３を持ち培地体２を回
転せしめて他面部を露出せしめ、以下前記と同様に微生
物を採取した後、蓋体４を容器体１に被冠閉止し、その
まま培養試験に供する。また、培地体２が円柱状の場合
には、検体に接触せしめた後、ローラー方式により適宜
角度づつ回動せしめれば、微生物が採取される。而し
て、微生物の採取後、角柱状の場合と同様に蓋板４を容
器体１に被冠閉止し、そのまま培養試験に供する。

〔考案の効果〕

以上従つて、本考案によれば、角柱状培地体の場合には
各面毎に、また円柱状培地体の場合には適宜角度ずつ回
動せしめることにより、複数検体から微生物の採取を行
うことができる。しかも微生物の採取後に於ては蓋体を
閉止するだけで、外部よりの観察可能な状態で培養試験
を行うことができるので、極めて効率の良い微生物の採
取・培養が可能である。

【図面の簡単な説明】

第１図は円柱状培地体を用いた実施例を示す斜視図、第
２図は４角柱状培地体を用いた実施例を示す斜視図、第
３図及び第４図は軸支状態を示す拡大概略説明図であ
る。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】上部が開口している容器体に、相対する一
   対の側端面部に突出した回転軸を有する柱状固型培地体
   を、該培地体の回転軸非突出面部が容器体の開口縁部よ
   り若干突出して露出培地面が形成されるように、当該回
   転軸を介して回転自在に軸支収納すると共に、該容器体
   に透明蓋体を開閉自在に被冠せしめたことを特徴とする
   微生物培養器。