JPH0647186B2 - 12%Cr鋼製蒸気タービンロータシャフトとその製造方法 - Google Patents

12%Cr鋼製蒸気タービンロータシャフトとその製造方法

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JPH0647186B2
JPH0647186B2 JP2194455A JP19445590A JPH0647186B2 JP H0647186 B2 JPH0647186 B2 JP H0647186B2 JP 2194455 A JP2194455 A JP 2194455A JP 19445590 A JP19445590 A JP 19445590A JP H0647186 B2 JPH0647186 B2 JP H0647186B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明はジャーナル部に肉盛溶接が施されたタイプの1
2%Cr鋼製蒸気タービンロータシャフトとその製造法に
関するものである。
(従来の技術) 火力発電機に使用される蒸気タービンロータシャフト
は、近年、発電効率向上を図るために高い蒸気温度のも
とで使用される傾向がある。これに伴い、使用温度に耐
える材料としてクリープ強度の高い、いわゆる12%Cr
鋼がしばしば適用されている。
しかしながら、12%Cr鋼製のタービンロータシャフト
は、使用中にジャーナル部が焼付きを起こし易く、これ
を防止するためにジャーナル部に低合金鋼のスリーブを
焼ばめしたタイプのタービンロータシャフトが実用化さ
れている。しかし、このタイプのタービンロータシャフ
トは使用中、焼ばめ部が緩み、ガタツキが生じるという
問題があった。
(発明が解決しようとする課題) このような背景から、最近、ジャーナル部に低合金鋼を
肉盛溶接する技術が検討され、一部実用化も試みられて
いる。
例えば、ジャーナル部に肉盛溶接を施すタービンロータ
シャフトに関し、特開昭55−16744号、特開昭5
6−19976号、特開昭57−137456号などが
提案されているが、それぞれ次のような理由により充分
満足な肉盛溶接部が得られていない。
特開昭55−16744号: 2層目以降の肉盛溶接棒として、C:0.1〜0.3
%、Si:0.3%以下、Mn:1.5〜2.0%、Cr:
0.05〜0.1%、P:0.03%以下、S:0.0
3%以下の成分のものが挙げられている。しかしなが
ら、C含有量が0.3%の溶接棒では溶接金属の高温割
れを防止することは困難である。一方、C含有量が0.
1%の溶接棒では溶接金属の強度や不足する。勿論、1
2%Cr鋼母材の稀釈が比較的多く、肉盛下層では母材か
らCrが溶接金属に補給されることも考えられるが、ジャ
ーナル部における肉盛部は通常10mm以上と比較的厚い
肉盛厚さが要求されるため、肉盛上層では母材からの成
分稀釈は期待されないことから、前述の強度不足が生じ
ることは避けられない。
したがって、このような成分組成の溶接棒では強度不足
や溶接金属の高温割れが生じ、満足な肉盛溶接部が得ら
れない。
特開昭56−19976号: 肉盛溶接材における低合金鋼の成分組成については、高
温割れが発生しにくい組成となっているものの、C含有
量が低いことから溶接金属の強度が不足する。炭素鋼に
ついても同様であり、厚い肉盛厚さを要求された場合は
特に問題になる。また、肉盛部のCr量を5%以内を目標
としているが、焼付きの面からは過剰であり、より低い
レベルに抑えないと問題となる。
特開昭57−137456号: C:0.05〜0.35%、Si:0.10〜1.00
%、Mn:0.10〜1.00%、Cr:0.30〜2.8
0%、Mo:0.10〜2.00%、V:0.05〜0.
35%、Ni:0.50〜4.00%、残部鉄からなる肉
盛合金を軸受部に溶接肉盛する方法が示されているが、
まず、C含有量の範囲が広く、0.05%では実際には
強度不足が生じ、一方、0.35%では溶接金属の高温
割れは避けられない。また、Cr含有量についても、0.
30%では強度が不足し、2.80%と高いと、充分な
軸受特性が発揮されない。更にVが添加されているが、
例えば、この提案の溶接金属成分範囲内であるC:0.
25%、Cr:1.2%、Mo:1.5%、V:0.3%と
いった成分組成を想定した場合、高温割れもさることな
がら、SR割れ感受性が極めて高い成分系であることか
ら、健全な肉盛溶接部を得ることが難しくなる。
このように、従来法ではジャーナル部に肉盛溶接を施し
たタービンロータシャフト或いは肉盛溶接金属は、溶接
部の高温割れ防止、強度の確保、軸受特性の確保、更に
はSR割れ防止の面で充分検討されたものとは言えず、
健全でかつ高品質のタービンロータシャフトの製造技術
について更なる改善が求められているのが実情である。
本発明は、かゝる要請に応えるべくなされたものであっ
て、低温割れ、高温割れ、SR割れ、ブローホール等の
欠陥がなく、ジャーナル部として充分な強度と軸受特性
を備えた12%Cr鋼製タービンロータシャフトを提供す
ることを目的とし、またその製造法を提供することを目
的とするものである。
(課題を解決するための手段) 本発明者等は、前記課題を解決するためには、12%C
r鋼はタービンロータシャフト素材としては優れた機械
的性能を有しているが、ジャーナル部に肉盛溶接を施す
場合、低温割れ感受性が高いことから、まず、細心の注
意を払って低温割れ(遅れ割れ)を防止するための溶接
施工を行う必要があること、その上で、溶接金属の高温
割れ、SR割れが発生せず、且つジャーナル部として充
分な強度及び軸受特性を有する肉盛溶接部を形成する必
要があることに鑑みて、種々の溶接材料を試作した上で
溶接施工試験並びに性能調査を推進した結果、ここに本
発明をなしたものである。
すなわち、本発明は、ジャーナル部外周面が肉盛溶接金
属により形成されており、該肉盛金属表層部が C:0.11〜0.17% Si:0.2〜0.6% Mn:.0〜2.5% P:0.03%以下 S:0.015%以下 Cr:1.1〜1.6% Mo:0.1〜0.5% V:0.04%以下 を含有し、残部が実質的にFeからなる成分組成を有する
ことを特徴とする12%Cr鋼製蒸気タービンロータシャ
フトを要旨とするものである。
また、その製造方法は、12%Cr鋼製蒸気タービンロー
タシャフトのジャーナル部を肉盛溶接するに際し、焼結
型フラックスと、 C:0.03〜0.12% Si:0.2〜0.6% Mn:1.0〜2.0% Cr:0.2%以下 Mo:0.1〜0.5% 残部:Fe及び不可避的不純物 からなる化学成分を有する溶接ワイヤとを組合せて、少
なくとも1層をサブマージアーク溶接法で下盛溶接し、
引続き、焼結型フラックスと溶接ワイヤとを組合せたサ
ブマージアーク溶接により、2層以上を上盛溶接して、
上記化学成分を有する肉盛溶接金属を得ることを特徴す
るものである。
以下に本発明を更に詳述する。
(作用) ジャーナル部における肉盛表層部に要求される特性とし
ては、強度及び軸受特性があるが、強度はSR処理後の
溶接金属の硬さによって判断でき、本発明が対象として
いるタービンロータシャフトでは、ビッカース硬さ(Hv)
で200〜260の範囲が適正硬さである。
軸受特性における耐焼付き性には、材料のCr含有量が主
として影響し、Cr含有量が低い方が有利である。従来の
タービンロータシャフトにおいてジャーナル部の焼付き
事故が発生していないのは、実績として低合金鋼のCr-M
o-V鋼であり、3%或いは4%Cr含有鋼での運転実績は
ない状況である。したがって、上述の強度が確保される
ことを前提とすれば、Cr含有量は従来の低合金鋼製ター
ビンロータシャフトのレベル、すなわち、1.6%以下
に抑える必要がある。
更に、肉盛溶接部においては、融合不良、ブローホー
ル、低温割れ、高温割れといった溶接欠陥が存在しては
ならず、特に高温割れについては、溶接ビードに沿って
円周上に連続して発生することから、著しく強度特性を
劣化させるため、特に注意を必要とする。
以上のような必要特性を満足し得る方策を知見するに至
った基礎実験結果について、以下に説明する。
まず、溶接欠陥のうち、特に問題となる高温割れに関
し、溶接金属の高温割れ(凝固割れ)にはC、S、Pが
主として影響すると云われている。そこで、本発明者等
は、C、S、Pの含有量を様々に変化させた溶接材料を
試作し、サブマージアーク溶接法を行い、溶接金属の高
温割れと成分組成の関係を調べた。
第1表に試作溶接材料で得られた溶接金属化学成分を示
す。なお、溶接試験板はA387Cr11(1.25Cr〜
0.5Mo鋼)の板厚50mm鋼板にV形の溝開先を施した
ものを用いた。溶接条件は第2表に示すとおりである。
第1図(a)、(b)はそれぞれ溶接金属のC、S含有量と割
れの関係、並びに溶接金属のC、P含有量と割れの関係
を示したものである。同図に示すように、高温割れはC
含有量によりほぼ一義的に影響され、C含有量が0.1
8%以上では割れが発生することがわかる。また、C含
有量が0.17%ではS又はPが高い場合にのみ、割れ
が発生する傾向がみられる。
この結果から、溶接金属のC含有量は0.17%以下と
する必要があり、S含有量は0.015%以下とし、P
含有量は0.03%以下に抑えることが望ましいことが
判明した。
次に、溶接金属の性能について、種々の溶接材料を試作
して調査した結果について述べる。
試験方法は、A387Cr11鋼板にそれぞれの試作溶接材
料で5層肉盛溶接(母材成分の稀釈率は3%以下)した
上で、表層部から第2図に示すSR割れ試験片を採取す
ると共に、650℃×15hrのSR処理を施し、表層部
から衝撃試験片及び硬さ測定用の試験片を採取した。S
R割れ試験は試験片のスリット部を圧着し、反対側に位
置する切欠底部に応力を負荷した状態で、TIG溶接で
固定し、この試験片に650℃×2hrのSR処理を施し
た後、切欠底部におけるSR割れの有無を調べる方法を
滴用した。
また、衝撃試験は、2mmVノッチのシャルピー試験試験
片を用る試験法により行い、設計上の仕様及び安全率を
みて、常温での吸収エネルギーが4kgf・m以上有するも
のを合格とした。溶接金属の硬さはHv=200〜260
の範囲を合格とした。
第3表に各試作溶接材料で得られた溶接金属の化学成分
と各種性能試験の判定結果を示す。
その結果、溶接金属のC含有量が0.10%以下では硬
さが不足となる。Siは0.2%以下では硬さが不足し、
0.6%を超えると靭性が劣化する。Mnは1.0%未満
では硬さが不足し、2.5%を超えると硬さが高くなり
すぎると共に靭性が不合格となる。Crは1.0%以では
硬さが不足した。Moは焼戻し軟化抵抗を高めるに効果が
あり、この効果は0.1%以上の添加量で発揮される
が、0.5%を超えると僅かのVのの共存によりSR割
れ感受性が増大し、SR割れが発生した。Vは前述のよ
うにSR割れ感受性を著しく高めるため、0.04%以
下に抑えるのが好ましい。
これらの結果並びに前述の高温割れ、軸受特性との関連
から、ジャーナル部の肉盛表層部における最適な化学成
分は以下の組成であることが明らかとなった。
C:0.11〜0.17% Si:0.2〜0.6% Mn:1.0〜2.5% P:0.03%以下 S:0.015%以下 Cr:1.1〜1.6% Mo:0.1〜0.5% V:0.04%以下 残部:Fe及び不純物 次に、本発明者等は、実際のタービンロータシャフトの
ジャーナル部を肉盛溶接する場合の適切な施工条件につ
いて検討した。
12%Cr鋼製ロータ材は極めて焼入性が高く、且つ高Cr
材であるので水素の拡散速度が低いため、溶接による低
温割れが発生し易い。低温割れは一般に溶接時の予熱温
度を高めることが有効と云われているが、12%Cr鋼に
ついてJISZ3157の斜めY形溶接割れ試験を行っ
た場合、400℃という高温の予熱によっても割れ発生
を完全に防止することができない。したがって、しかる
べき温度で予熱し、溶接後、直後熱を施し、水素の逸散
を促す必要がある。
実際の溶接作業においては、予熱及び直後熱或いは直後
保持温度が低い方が作業が容易となり、300℃を超え
るような予熱でタービンロータシャフトの肉盛溶接を行
うことはかなり難しくなる。
第3図は、12%Cr鋼のJISZ3157の斜めY形溶
接割れ試験片について焼結型フラックス(ボンドフラッ
クス)又は溶融型フラックスを用いてサブマージアーク
溶接したときの断面割れ率を比較した結果を示したもの
である。なお、溶接ワイヤは市販の軟鋼ワイヤを用い
た。
第3図に示すように、直後熱を200℃×2hrと一定と
した場合、溶融型フラックスでの割れ防止予熱温度は3
00℃であるのに対し、焼結型フラックスでは200℃
とかなり低くなっている。これは、溶融型フラックスは
一般にフラックス中の水分が焼結型フラックスに比べて
高く、溶接金属中の拡散性水素量が高くなったため、割
れ防止予熱温度が高くなったものである。
このように、焼結型フラックスを用いることは、溶接作
業時の予熱温度を下げるのに有効であることがわかる。
12%Cr鋼のジャーナル部をサブマージアーク溶接する
場合、溶込みによる母材稀釈率が30〜40%程度にな
るため、1層のみの肉盛では、Cr含有量を1.6%以下
にすることが難しく、少なくとも2層以上の肉盛層数を
必要とする。但し、軟鋼の溶接材料を用いて3層以上溶
接した場合の最表層は、Cr含有量が過少となるため、溶
接金属の硬さが不足する。
一方、ジャーナル部における肉盛厚さは、熱伝導性等を
考慮すると10mm以上にすることが設計的に好ましく、
且つ、少なくともジャーナル部表面から深さ方向4〜5
mmまでは、所定の低Cr含有量からなる溶接金属で占めら
れている必要がある。
このような要件を前提として、施工方法を検討した結
果、以下に示す施工方法により、種々の肉盛厚さに対
し、安定して優れた肉盛溶接部が得られることを見出し
た。
すなわち、まず、焼結型フラックスと、C:0.03〜
0.12%、Si:0.2〜0.6%、Mn:1.0〜2.
0%、Cr:0.2%以下、Mo:0.1〜0.5%、残部
がFe及び不可避的不純物からなる溶接ワイヤとを組合せ
て、少なくとも1層をサブマージアーク溶接法で下盛溶
接すること、引続き、焼結型フラックスと溶接ワイヤと
を組合せて2層目以降をサブマージアーク溶接して上盛
溶接して、表層部が前述の適切な化学成分を有する肉盛
溶接部を得ることからなる施工方法である。
下盛溶接部としては、引続き肉盛される上盛溶接部と比
べて硬さは高いか、同程度であることが望ましい。これ
は、下盛溶接部の硬さが上盛溶接部より低いと、運転中
に発生する剪断応力により肉盛部が剥離する危険性があ
るからである。
上記下盛用ワイヤの化学成分は、母材、すなわち12%
Cr鋼からの成分稀釈を考慮した上で適切な硬さが得られ
る成分範囲である。
具体的には、Crは、下盛溶接に引続き実施される上盛溶
接において、より少ない層数で所定のCr含有量とするた
め、0.2%以下とした。
Moは盛溶接部の焼もどし抵抗を増加し、上盛溶接部より
高い硬さを確保するために、0.1〜0.5%の範囲と
した。
C、Si、Mn含有量の上限をそれぞれ0.12%、0.6
%、2.0%としたのは、溶接金属の靭性及び溶接作業
性を考慮したためである。
なお、フラックスとして焼結型フラックスを用いるの
は、前述の如く低温割れ防止のためである。
引続き、焼結型フラックスと組合せてサブマージアーク
溶接方法で肉盛溶接した場合の表層部溶接金属が以下の
化学成分となる溶接ワイヤを用いて、2層以上、上盛溶
接する。
C:0.11〜0.17% Si:0.2〜0.6% Mn:1.0〜2.5% P:0.03%以下 S:0.015% Cr:1.1〜1.6% Mo:0.1〜0.5% V:0.04%以下 残部:Fe及び不純物 なお、上記化学成分に限定する理由及び作用については
前述のとおりである。
このような施工方法により肉盛溶接した溶接部は、3層
目(うち1層は下盛)の溶接金属でほぼ所望の化学成分
並び硬さが得られる。ただ、前述のように、ジャーナル
部における肉盛厚さは10mm以上とすることが多いた
め、1層当たりの肉厚を2.5〜3mm程度とするのが適
正といえるサブマージアークによる肉盛溶接において、
3層では肉厚不足となる。したがって、仕上げ加工代を
考慮すると4層或いは5層が必要となる。また、ジャー
ナル部における肉盛厚さが、例えば14mm必要といった
場合には、更に肉盛層数を増す必要が生じる。このよう
な場合でも、本発明によれば、4層目以降は均一且つ適
正な化学組成が得られるため、広い範囲の必要肉盛厚さ
に対して安定した肉盛溶接部が得られる。
なお、サブマージアーク溶接の他の溶接条件は特に制限
されないことは云うまでもない。
また、母材の化学成分は、いわゆる12%Cr鋼と称され
る鋼種であれば、その成分組成は以下なる範囲のもので
も可能である。
次に本発明の実施例を示す。なお、前述の基礎実験結果
の一部も実施例足り得ることは云うまでもない。
(実施例) 第4表に示す化学成分を有する12%Cr鋼の軸材(50
0φ×1000l)を用いて、タービンロータシャフト
のジャーナル部の模擬溶接試験を行った。溶接方法はサ
ブマージアーク溶接とし、第5表に示す化学成分を有す
る溶接ワイヤ(3.2mmφ)を用いて下盛溶接を1層行
った後、第6表に示す化学成分を有する溶接ワイヤを用
いて第7表の条件で上盛溶接にて6層溶接した。下盛及
び上盛ともそれぞれ焼結型フラックスを用いて溶接し
た。予熱温度は200℃である。
このような施工方法で肉盛溶接した後、肉盛軸材に65
0℃×15hrのSR処理を施し、肉盛溶接部の欠陥調
査、化学組成調査、硬さ分布測定を行った。
化学組成調査は肉盛各層毎に切粉を採取し分析すること
で行った。肉盛部の欠陥調査は、肉盛最終層面を平滑に
機械加工仕上げした上で、超音波探傷、カラーチェッ
ク、磁粉探傷を行った。
肉盛部の欠陥調査の結果、機械加工後の表面について
は、カラーチェック、磁粉探傷共にインジケーションが
認められなかった。肉盛内部について超音波探傷を行っ
たところ、何ら欠陥エコーは検出されず、健全な肉盛部
であることが確認された。
第8表に肉盛各層の化学成分の分析結果を示すように、
3層目の溶接金属でほぼ所望の化学成分となり、4層目
以降は安定して適正な化学成分となっていることがわか
る。
第4図は肉盛溶接部における半径方向の硬さ分布測定結
果を示したものである。図に示すように、母材熱影響部
の硬さが最も高く、肉盛厚さが増すにつれて漸減する
が、5mm以上の肉盛厚さではほぼ一定の硬さとなってい
る。
これらのことから、仮にジャーナル部の所要肉盛厚さが
10mmとした場合、表面及び表面から深さ5mm程度まで
は適正な硬さ並びに化学組成が得られることがわかる。
所要肉盛厚さが更に大きくなった場合も何ら支障はな
く、表面からの適正肉盛域が増すのみである。
(発明の効果) 以上詳述したように、本発明によれば、低温割れ、高温
割れ、SR割れ及びブローホール等の欠陥がなく、しか
もジャーナル部として充分な強度と優れた軸受特性を備
えた12%Cr鋼製蒸気タービンロータシャフトを提供す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図(a)、(b)は溶接金属のC、S含有量と割れの関
係、並びに溶接金属のC、P含有量と割れの関係を示す
図、 第2図はSR割れ試験片を示す図で、(a)は断面図、(b)
は平面図、(c)はノッチの拡大図であり、 第3図は12%Cr鋼について焼結型フラックス(ボンド
フラックス)又は溶融型フラックスを用いてサブマージ
アーク溶接したときの断面割れ率と予熱温度の関係を比
較して示す図、 第4図は実施例で得られた肉盛溶接部における半径方向
の硬さ分布測定結果を示す図である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】12%Cr鋼製蒸気タービンロータシャフト
    において、ジャーナル部外周面が肉盛溶接金属により形
    成されており、該肉盛金属表層部が、重量%で(以下、
    同じ) C:0.11〜0.17% Si:0.2〜0.6% Mn:1.0〜2.5% P:0.03%以下 S:0.015%以下 Cr:1.1〜1.6% Mo:0.1〜0.5% V:0.04%以下 を含有し、残部が実質的にFeからなる化学成分を有する
    ことを特徴とする12%Cr鋼製蒸気タービンロータシャ
    フト。
  2. 【請求項2】ジャーナル外周面が焼結型フラックスと溶
    接ワイヤとを組合せたサブマージアーク溶接にて3層以
    上肉盛溶接され、最表層部が前記化学成分を有している
    請求項1に記載の12%Cr鋼製蒸気タービンロータシャ
    フト。
  3. 【請求項3】低温の予熱によって低温割れ防止が図られ
    たジャーナル部である請求項1又は2に記載の12%Cr
    鋼製蒸気タービンロータシャフト。
  4. 【請求項4】12%Cr鋼製蒸気タービンロータシャフト
    のジャーナル部を肉盛溶接するに際し、焼結型フラック
    スと、 C:0.03〜0.12% Si:0.2〜0.6% Mn:1.0〜2.0% Cr:0.2%以下 Mo:0.1〜0.5%以下 残部:Fe及び不可避的不純物 からなる化学成分を有する溶接ワイヤとを組合せて、少
    なくとも1層をサブマージアーク溶接法で下盛溶接し、
    引続き、焼結型フラックスと溶接ワイヤとを組合せたサ
    ブマージアーク溶接により、2層以上を上盛溶接して、
    表層部が請求項1に記載の化学成分を有する肉盛溶接金
    属を得ることを特徴とする12%Cr鋼製蒸気タービンロ
    ータシャフトの製造方法。
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