JPH0647020Y2 - ジャガード機の製織用針の押動制御装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案はジャガード機の製織針の押動制御装置、さらに
詳しくは、ジャガード機の製織針を押動するための可動
芯をソレノイドの励磁により良好に往復動させることが
できるジャガード機の製織針の押動制御装置の改良に関
する。

（従来の技術） 従来、この種のジャガード機の製織針の押動制御装置と
しては、本件出願人による実開昭63−89984号公報所載
のものが存在する。

即ち、この従来のものは第５図（イ）及び（ロ）に示す
様に、マトリックス状に配線した行線17a…及び列線18a
…に一層で構成されたラッチ式ソレノイド3a…を接続
し、例えば行線17a…に列線18a…と異なる電圧を印加
し、さらに該列線18a…に印加される電圧の極性を切り
換えることにより、前記ソレノイド3a…を行または列ご
とに選択的に励磁して可動芯10a…を往復移動せしめる
際に構成されたものである。

而して、かかる制御装置によれば、マトリックス状に構
成された行線17a…及び列線18a……に所定の電圧を印加
すれば複数個のソレノイド3a…を励磁しうるために、電
気容量の低減が図れるばかりでなく、制御回路の簡略化
も図れて押動制御装置をコンパクトに構成できる等の利
点を有する。

（考案が解決しようとする課題） しかしながら、上記従来の製織針の押動制御装置に於い
ては、ソレノイド3a…を励磁して可動芯10a…を往復動
自在に構成すべく、行線17a…に列線と異なる値の電圧
を印加すると共に、例えば列線18a…には−12Vと＋12V
の極性の異なる電圧を切り換える必要があった。即ち、
三種類の異なる電圧を印加するための電源を各別に要し
たのである。

また、上記の如く行線17a…及び列線18a…の電流の向き
を換えるためには、行線17a…及び列線18a夫々に二個の
トランジスタ26,26を接続しなければならないという難
点も有していたのである。

さらに、マトリックス状に配線された列線18a…に極性
の異なる電圧を印加した場合に、第５図（ロ）に示すソ
レノイド3a…を介して極性の電圧が印加された隣の列線
18bへ矢印Ｂ方向の所謂内部還流電流が流れてしまうた
めに、ソレノイド3a……が正常に動作できないという致
命的な問題点を有していた。

これに対して、極性の異なる電圧の印加操作を時間をず
らすことによりかかる不都合は解消しうるが、回路構成
が非常に複雑となるばかりでなく、印加操作が極めて煩
雑であるという大なる不都合があった。

それ故に、本考案は上記従来の問題点を解決せんとして
なされたものであり、その目的とするところは、上記従
来の利点を維持しつつ押動制御装置を簡略化せしめると
共に、迅速且つ確実に動作するジャガード機の製織針の
押動制御装置を提供する点にある。

（課題を解決するための手段） 即ち、上記目的を達成するために、マトリックス状に配
線された行線17と列線18とに電圧を印加せしめてラッチ
式ソレノイド３を励磁することにより、製織針を押動す
るための可動芯10が往復動自在に構成されてなるジャガ
ード機の製織用針の押動制御装置に於いて、前記ソレノ
イド３が吸引用コイル４と解放用コイル５との二層に形
成されると共に、前記行線17または列線18の何れ一方が
一対の線で構成されてなり、且つ他方の線は前記吸引用
コイル４及び解放用コイル５に接続されると共に、前記
一対の線のうち一方側の線は前記吸引用コイル４に接続
され且つ他方側の線は前記解放用コイル５に接続されて
なることを特徴とするジャガード機の製織用針の押動制
御装置である。

（作用） 従って、上記構成を特徴とする製織針の押動制御装置に
於いては、例えば列線を一対に構成した場合、一方側の
列線18…に所定の電圧を印加すると共に行線17…に該列
線18と異なる値の電圧を印加すると、ソレノイド３…の
吸引用コイル４…に電流が流れ、これによりソレノイド
３にて磁界が形成されるために、可動芯10…がソレノイ
ド３…内を往動して該可動芯10…がラッチ式ソレノイド
３に吸着されることとなる。

一方、他方側の列線19…に前記した所定の電圧を同様に
印加すると、ソレノイド３…の解放用コイル５…に電流
が流れ、これによりソレノイド３にて磁界が形成される
ために、可動芯10…と前記ソレノイド３との吸着状態が
解除され、これにより可動芯10…がソレノイド３…内を
復動して該可動芯10…が突出することとなる。

（実施例） 以下、本考案の一実施例を図面に従って説明する。

第１図に於いて、１は横針２…が突設されたジャガード
機に装着される横針の押動制御装置を示し、この押動制
御装置はジャガード機に対向する方向（矢印Ａ方向）へ
移動手段（図示せず）にて往復移動しうる様に構成され
てなる。

３…は押動制御装置１内に前記横針２…の先端部に対応
して階段状に配設された所謂ラッチ式ソレノイドで、第
２図の様に吸引用コイル４と、該吸引用コイル４と逆方
向に巻回され且つその内側に設けられた解放用コイル５
とで二層状に構成されてなり、吸引用コイル４の一方の
先端部は端子ピン６に接続され、他方の先端部は解放用
コイル５の一方の先端部と共に端子ピン７に接続されて
なり、該解放用コイル５の他方の先端部は端子ピン８に
夫々接続されており、またソレノイド３の先端部には永
久磁石９が取着されてなる。

10はコイルばね11を介して前記ソレノイド３内に往復動
自在に挿入された略棒状の可動芯で、その上端部には鍔
部20を介して押動部12が設けられている。第１図中、13
はソレノイド３を押動制御装置１内に固定するための固
定部材であり、横針２が出入する通過孔14が穿設される
と共に、前記ソレノイド３内に挿入された可動芯10の押
動部12が出入する孔15が前記通過孔14に交差して設けら
れてなる。

第３図に於いて、16は前記ソレノイド３…に電圧を供給
するための電圧供給回路で、行線17…と一対の列線18,1
9がマトリックス状に配線されてなり、前記ソレノイド
３に取着された端子ピン７が行線17に、端子ピン６が一
方の列線18に、端子ピン８が他方の列線19にリード線，
ダイオード25,25を介して夫々接続されてなる。

本実施例の製織針の押動制御装置は以上の様な構成から
なり、次にその使用例について説明する。

先ず、吸引用コイル４の一端が端子ピン６…を介して接
続された任意の列線18…をNPN形トランジスタ22を介し
て接地すると共に、行線17…に電源装置23から＋24Vの
電圧をPNP形トランジスタ21…を介して印加すると、吸
引用コイル４にて磁界が形成され、これにより可動芯10
…がコイルばね11の付勢力に抗して往動し、可動芯10の
先端側に設けられた鍔部20が永久磁石９に吸着される。
その後、前記電圧の印加を中止する。この場合に於い
て、前記行線17…への電圧の印加を中止しても、ソレノ
イド３には永久磁石９と可動芯10の鍔部20との吸着状態
は維持され、これにより電気容量の削減が図れることと
なる。

次に、上記可動芯10と永久磁石９との吸着状態を解除す
る場合には、解放用コイル５の一端が端子ピン８を介し
て接続された列線19…を接地する。すると、前記吸引コ
イル４による磁界とは逆方向の磁界が解放用コイル５に
て形成され、これにより前記可動芯10…の吸引状態が解
除され、コイルばね11に押圧されて復動し、突出した状
態に戻ることとなる。

この様にして、織物の模様に応じて任意の行線17…，列
線18,19…に電圧を印加せしめてソレノイド３…を励磁
することにより可動芯10…を選択的に往復移動させれば
よいのである。

その後、第１図に示す様に可動芯10…を任意に移動させ
た状態で押動制御装置１を移動手段にて矢印Ａ方向に移
動せしめると、突出した可動芯10…にて横針２…が押動
される一方で、ソレノイド３…の永久磁石９に吸着され
た状態にある可動芯10…に対応する横針２…は押動され
ることなく通過孔14内に進入することとなる。

而して、本実施例に於いてはソレノイド３が吸引用コイ
ル４と解放用コイル５の二層で構成され、且つ各列線が
一対に構成されてなるために、一対の列線18,19…には
一種の電圧、即ち行線17…に＋24Vを印加した状態で、
選択的に何れかの列線18,19を接地すれば、可動芯10を
往復移動させることができるのである。従って、列線18
…相互間に於いて内部還流電流が生じることもなく、良
好にソレノイド３を励磁して可動芯10…を往復移動させ
ることができるのである。

しかも、上述した如く列線18,19…には同電位の電圧を
印加（接地）すればよいために、行線17には一個のトラ
ンジスタを接続すればよくなり、その結果回路構成の簡
略化が図れるという利点を有する。

尚、上記実施例に於いては、列線を一対の線18,19で構
成してなるが、行線17を一対の線で構成してもよい。要
は、行線または列線の何れか一方を一対の線で構成し、
他方の線を吸引用コイル４及び解放用コイル５に接続す
ると共に、前記一対の線のうち一方側の線を前記吸引用
コイル４に接続し且つ他方側の線を前記解放用コイル５
に接続すればよい。

また、該実施例では列線18,19を接地し、行線17…に＋2
4Vの電圧を印加してなるが、列線18,19は必ずしも接地
する必要はない。要は、行線，列線に異なる電圧を印加
して電位差を設ければよく、印加電圧の具体的な値は問
わない。

さらに、本考案に係る押動制御装置は上記実施例の如く
横針押動用に限定されるものではなく、他の製織針の押
動用としても勿論適用可能である。

また、上記実施例においては横針２を直接可動芯10にて
押動する構成にしてなるが、例えば第４図に示す様に両
者間にプッシュロッド24を介在せしめて、可動芯10にて
間接的に横針２を押動させる様に構成することも可能で
ある。

その他、押動制御装置1,可動芯10等の各部の構成も本考
案の意図する範囲内に於いて、全て任意に設計変更自在
である。

（考案の効果） 叙上の様に、本考案は吸引用コイルと解放用コイルとの
二層に構成されたソレノイドを、行線または列線の何れ
か一方が一対の線まで構成されたマトリックス状の配線
に接続する構成にしてなるために、以下の様な格別の効
果が得られたのである。

（イ）即ち、一対の線で構成された行線または列線に同
電位の電圧を選択的に印加することにより、二層状のソ
レノイドにて異なる方向の磁界を形成できるために、従
来に於いて生じた列線間の内部還流電流の発生を阻止で
き、その結果ソレノイドの励磁が正確且つ確実に行える
こととなり、可動芯を良好に往復動させることができる
のである。

（ロ）しかも、従来に於いては電流の方向を換えるべく
行線に二個のトランジスタを接続する必要があったが、
本考案は同電位の電圧の印加によるものであるため、行
線には一個のトランジスタを接続すればよく、よって回
路構成上の面に於いてもその簡略化が図れるのである。

（ハ）また、一対の線で構成された行線または列線には
同じ値の電圧を選択的に印加することにより、ソレノイ
ドを介して可動芯を往復動させることができるために、
従来の様に電位の異なる電圧を切り換えて列線に印加す
る必要がなくなり、よって印加電圧も一種類用意すれば
よいという大なる利点も有するのである。

（ニ）さらに、本考案の如くソレノイドを二層に構成す
ると、従来の一層からなるソレノイドに比して、電圧の
印加による通電時に於けるソレノイドの温度上昇の低減
化が図れ、よって長時間にわたって制御装置を良好に稼
働させることが可能となる。

（ホ）その他、可動芯の高速制御が可能となるために、
一連の制織作業の能率アップにも寄与するという特有な
効果も得られたのである。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第３図は本考案に係る一実施例を示し、第１
図は横針の押動制御装置の概略平面図、第２図はラッチ
式ソレノイドの一部断面図、第３図はマトリックス配線
にソレノイドを接続した状態の概略回路図。 第４図は他の実施例を示した要部概略正面図。 第５図は従来例を示し、同図（イ）はラッチ式ソレノイ
ドの一部断面図、同図（ロ）はマトリックス配線にソレ
ノイドを接続した状態の概略回路図。 ３……ラッチ式ソレノイド、４……吸引用コイル ５……解放用コイル、10……可動芯 17……行線、18……列線

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】マトリックス状に配線された行線17と列線
   18とに電圧を印加せしめてラッチ式ソレノイド３を励磁
   することにより、製織針を押動するための可動芯10が往
   復動自在に構成されてなるジャガード機の製織用針の押
   動制御装置に於いて、前記ソレノイド３が吸引用コイル
   ４と解放用コイル５との二層に形成されると共に、前記
   行線17または列線18の何れ一方が一対の線で構成されて
   なり、且つ他方の線は前記吸引用コイル４及び解放用コ
   イル５に接続されると共に、前記一対の線のうち一方側
   の線は前記吸引用コイル４に接続され且つ他方側の線は
   前記解放用コイル５に接続されてなることを特徴とする
   ジャガード機の製織用針の押動制御装置。