JPH0646841A - トランスフェリン非要求性細胞 - Google Patents

トランスフェリン非要求性細胞

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JPH0646841A
JPH0646841A JP4198132A JP19813292A JPH0646841A JP H0646841 A JPH0646841 A JP H0646841A JP 4198132 A JP4198132 A JP 4198132A JP 19813292 A JP19813292 A JP 19813292A JP H0646841 A JPH0646841 A JP H0646841A
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plasmid
cell
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cells
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JP4198132A
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Hiromasa Miyaji
宏昌 宮地
Tamio Mizukami
民夫 水上
Mamoru Hasegawa
護 長谷川
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KH Neochem Co Ltd
Original Assignee
Kyowa Hakko Kogyo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 有用蛋白質生産の宿主細胞として有用な、ト
ランスフェリン非含有無血清培地で増殖継代可能なBリ
ンパ球系細胞を提供する。 【構成】 トランスフェリンをコードする遺伝子を含む
DNA断片とベクターDNAとの組換え体DNAを用
い、無血清培地中で増殖継代可能な細胞を形質転換して
得られるトランスフェリンを含有しない無血清培地中で
3代以上増殖継代可能なBリンパ球系細胞に関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、有用蛋白質生産の宿主
細胞として有用な、トランスフェリンを含有しない無血
清培地で3代以上増殖継代可能なBリンパ球系細胞に関
する。
【0002】
【従来の技術】多くの動物由来の蛋白質は、糖鎖の付加
など翻訳後修飾を受けているが、大腸菌にはこれらの修
飾機構が存在しないため、大腸菌を宿主として遺伝子操
作技術を用いて蛋白質を生産した場合には天然型と同様
の修飾構造を有する蛋白質を得ることができない。
【0003】また、動物細胞を用いて蛋白質を生産させ
た場合には、目的とする蛋白質を大量かつ永続的に得る
ことは困難である。組換え動物細胞を用いた大量培養技
術はこのような制約を解消する方法として有力であり、
ジヒドロ葉酸還元酵素(dihydrofolate reductase ; 以
下、dhfrという) 欠損チャイニーズ・ハムスター卵
巣〔 CHO ; Chinese hamster ovary〕細胞を用いた組換
えプラスミノーゲン活性化因子 (以下、t−PAとい
う) の発現(特開昭59-183693 号公報) 、B型肝炎ウイ
ルス表面抗原の発現〔BIO/TECHNOLOGY、 3巻、561 頁
(1985年) 〕などが知られている。しかし、本来CHO
細胞は接着系の細胞なので、大量培養には不向きであ
る。
【0004】また、CHO細胞はヒト由来の細胞株では
ないのでヒト由来の蛋白質を生産させても、蛋白質に付
加した糖鎖の構造が本来のヒト由来のもと同じになると
は限らない。実際、ヒト・エリスロポエチンをCHO細
胞で発現させた場合、その糖鎖構造はヒト由来の天然の
ものと異なっていることが知られている (国際公開WO85
/2610 号公報) 。
【0005】動物細胞大量培養による有用物質生産には
いくつかの問題点が指摘されている。1つは、動物細胞
の細胞密度が低いことであるが、この点は種々の灌流培
養装置が開発されており、用いる細胞に応じて培養装置
を使い分けることによってある程度解消できる。1番の
問題点は、動物細胞の生育には、糖、アミノ酸、ビタミ
ン、核酸等を含む基礎培地に血清を添加しなければなら
ないことである。動物細胞培養における血清の役割は、
細胞にホルモンや成長因子などの液性因子を供給するこ
とである。しかし、血清は高価であるばかりか、多種多
様な蛋白質を含み、その量は目的蛋白質の数倍から数千
倍にも及び、目的蛋白質の精製を複雑にする。また、ロ
ット毎に品質が異なり、細胞への影響も大きく、ウイル
スやマイコプラズマの汚染源となる可能性がある。その
ため既に育種された生産株から血清の添加を必要としな
いように無血清培地馴化株を育種することも行われる
が、馴化させるのに一定期間を必要とするばかりか、目
的蛋白質の生産性を維持したまま馴化させるのは困難な
場合もある。
【0006】このような観点から、有用蛋白質の生産の
ために該蛋白質をコードする遺伝子を導入する宿主細胞
としては、浮遊培養で大量培養技術が確立しているヒト
由来の細胞で、かつ無血清培地で増殖継代可能な細胞が
好ましい。浮遊培養で大量培養技術が確立しているヒト
由来の宿主細胞としては、例えばBリンパ球系細胞株ナ
マルバ(Namalwa)細胞が知られており、ヒト・エリスロ
ポエチン (特開昭62-171696 号公報) およびヒト顆粒球
−マクロファージ・コロニー刺激因子(特開昭64-20097
号公報) 、プロウロキナーゼおよびヒト成熟型顆粒球コ
ロニー刺激因子 (特開平2-257891号公報) の発現が知ら
れている。
【0007】血清に代えて、ホルモンや成長因子などの
液性因子を添加する方法で無血清培地化が試みられてい
る。無血清培地に用いられるホルモンや成長因子として
は、インスリン、トランスフェリン、ハイドロコーチゾ
ン、上皮細胞成長因子、繊維芽細胞成長因子、血小板由
来成長因子等があげられるが、種類および作用などは細
胞成長因子 (日本組織培養学会編・朝倉書店、1984年)
に詳しく記載されている。また、新たな成長因子の探索
もなされている。
【0008】無血清培養に必要とされている成長因子
は、細胞によって異なり、種々の成長因子を組み合わせ
た無血清培養が数多く報告されている。例えば、CHO
細胞は、インスリン、トランスフェリンおよびセレン
〔In vitro Cellular & Developmental Biology 、21
巻、588 頁 (1985年) 〕、HeLa細胞はインスリン、トラ
ンスフェリン、ハイドロコーチゾン、上皮細胞成長因子
および繊維芽細胞成長因子〔Proc. Natl. Acad. Sci. U
SA、75巻、901 頁 (1978年) 〕、BHK細胞はインスリ
ン、トランスフェリン、繊維芽細胞成長因子、フィブロ
ネクチンおよびオレイン酸〔Journal of Cellular Phys
iology、 114巻、215 頁 (1983年) 〕、ナマルバ細胞は
インスリンおよびトランスフェリン (特開昭60-6190 号
公報) の組合せによる無血清培養が報告されている。こ
のように、多くの細胞が無血清培養時の増殖継代に蛋白
性の液性因子としてトランスフェリンを要求することが
知られている。
【0009】たとえば、ナマルバ細胞を親株として無血
清培地に馴化したナマルバ (Namalwa)KJM−1株(特
開昭60-6190 号公報)は、蛋白性の液性因子としてイン
スリンとトランスフェリンのみを含む培地で増殖継代可
能である。また、親株であるナマルバ細胞と同様、dh
frの遺伝子増幅系を用いた効率的な異種蛋白質の発現
が可能であることが知られている〔Cytotechnology、 4
巻、 173頁 (1990年)〕。しかし、トランスフェリンは
高価であり、また大量培養による医薬品製造の観点か
ら、添加に使用するトランスフェリンは非常に高純度の
ものが要求される。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、トラ
ンスフェリンを含有しない培地で3代以上増殖継代可能
なBリンパ球系細胞を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、トラン
スフェリンを含有しない培地で3代以上増殖継代可能な
Bリンパ球系細胞を提供することができる。該Bリンパ
球系細胞は、トランスフェリンをコードする遺伝子を含
むDNA断片とベクターDNA断片との組換え体DNA
を用い、無血清培地中で増殖継代可能な細胞を形質転換
することにより得られ、トランスフェリン非含有培地で
親株に匹敵する増殖速度および最高細胞到達密度を有す
る。
【0012】以下に本発明を詳細に説明する。トランス
フェリン非含有無血清培地で増殖する細胞の親株として
は、無血清培地で継代増殖可能なBリンパ球系細胞なら
いずれの細胞も用いることができる。好適な例としてヒ
ト由来のナマルバ細胞があげられ、具体的には無血清培
地馴化ナマルバKJM−1株あるいはグルタミン非要求
性ナマルバKJM−1−GA株〔Cytotechnology、1
巻、151 頁(1988)〕などがあげられる。
【0013】トランスフェリンをコードする遺伝子とし
ては、トランスフェリンをコードするものであればcD
NA、染色体DNAのいずれでも良いし、合成DNA等
を用いて調製することも可能である。トランスフェリン
としての生物活性を保持しているペプチドをコードして
いれば、DNAの一部の塩基配列が削除または他の塩基
配列に置換されていてもよく、いかなる誘導体も利用で
きる。また、ヒト由来のものばかりでなく、必要があれ
ばマウス、ウシ、ブタ、ウマなどのヒト以外の動物由来
のものも用いることができる。好適には、ヒト・トラン
スフェリンcDNA〔Proc. Natl. Acad. Sci.USA 、81
巻、2752頁 (1984年) 〕を用いることができる。
【0014】トランスフェリンを発現させるベクターと
しては、トランスフェリンをコードする遺伝子を発現可
能なものであれば如何なるベクターも用いることができ
るが、好適なベクターとしては、プラスミドpAGE1
03〔J. Biochem. 、101 巻、1307頁 (1987年) 〕、プ
ラスミドpAGE107〔Cytotechnology、3巻、 133
頁 (1990年) 〕などがあげられる。
【0015】これらを用いた組換え体DNA、すなわち
ヒト・トランスフェリン発現プラスミドの構築方法は実
施例1に記載している。本発明で用いた実験手法の条件
は、特に断らない限り以下の方法にしたがって行った。
組換えDNA技術の一般的手法については、特開平2-22
7075号公報あるいはサンブルック(Sambrook)、フリッチ
(Fritsch) 、マニアチス(Maniatis)〔Molecular Clonin
g, A Laboratory Manual、第二版、Cold Spring Harbor
Laboratory Press(1989年)〕らに述べられている方法
を用いることができる。プラスミドの大腸菌への導入
は、コーエンらの方法〔Proc. Natl. Acad, Sci. USA.
、69巻、2110頁 (1972年) 〕を用いることができる。
また、形質転換株からのプラスミドの単離は公知の方法
〔Nucleic Acids Res. 、7巻、1513頁 (1979年) 〕に従
って行う。動物細胞へのDNAの導入方法としては、現
在までに知られているいかなる方法も利用可能である
が、例えば、エレクトロポレーション法〔Cytotechnolo
gy、 3巻、 133頁(1990 年) 〕、リン酸カルシウム法
〔Virology、 52 巻、 456頁(1973年) 〕、リポフェク
ション法〔Proc. Natl. Acad, Sci. USA. 、84巻、7413
頁 (1987年) 〕等を使用することができる。
【0016】形質転換株の取得および培養は、公知の方
法〔Cytotechnology、 3巻、 133頁(1990年)、あるい
は特開平2-257891号公報〕に準じて行うことができる。
例えば、培地としては、各種血清(例えばウシ胎児血
清)を加えたハムF10培地、ハムF12培地(以上フ
ローラボ社製)、ダルベッコMEM培地、RPMI16
40培地(以上日水製薬社製)、MEM ALPHA培
地(GIBCO社製)およびこれらの混合培地が用いら
れる。
【0017】培地には必要により、グルタミン0.5〜6
mM、抗生物質〔ペニシリン(25U/ml) 、ストレプトマ
イシン (25μg/ml) 、G418(0.3〜0.5mg/ml)、
ハイグロマイシンB(0.3〜0.5mg/ml)など〕、重曹
(0.1〜0.2%)などを適量加えてもよい。好ましく
は、ITPSGF培地〔7.5%NaHCO3を 1/40量、 200
mM L-グルタミン溶液 (GIBCO 社製) を3%、ペニシリ
ン・ストレプトマイシン溶液(GIBCO 社製、5,000units
/mlペニシリン− 5,000μg /mlストレプトマイシン)
を0.5%、N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N′
−2−エタンスルホン酸(N−2−hydroxyethylpipera
zine−N′−2−ethanesulfonic acid ;以下 HEPESと
いう) (10mM)、インスリン(3μg/ml)、トラ
ンスフェリン(5μg/ml)、ピルビン酸ナトリウム
(5mM)、亜セレン酸ナトリウム(125nM)、ガ
ラクトース(1mg/ml)およびプルロニックF68(東
邦千葉化学社製)(0.1% w/v)を含むRPMI164
0培地(日水製薬社製)〕、IPSGF培地〔トランス
フェリン非含有培地;7.5%NaHCO3を 1/40量、200m
M L−グルタミン溶液(GIBCO社製)を3%、ペ
ニシリン・ストレプトマイシン溶液(GIBCO 社製、5,00
0units/mlペニシリン−5,000 μg /mlストレプトマイ
シン) を0.5%、HEPES(10mM)、インスリン
(3μg/ml)、ピルビン酸ナトリウム(5mM)、亜
セレン酸ナトリウム(125nM)、ガラクトース(1
mg/ml)およびプルロニックF68(東邦千葉化学社
製)(0.1% w/v)を含むRPMI1640培地(日水
製薬社製)〕あるいは、ウシ胎児血清(FCS)を2〜
10%、7.5% NaHCO3 を 1/40量、200mM L−
グルタミン溶液(GIBCO社製)を3%およびペニシ
リン・ストレプトマイシン溶液(GIBCO社製、5,00
0units/mlペニシリン−5,000 μg /mlストレプトマイ
シン) を0.5%含むRPMI1640培地(日水製薬社
製)を用いることができる。
【0018】培養には、種々の培養ビン、ディッシュ、
組織培養用プレート、ローラボトル、スピンナーフラス
コ、ジャーファーメンターなどを用いることができる。
培養は、20〜50℃、好適には30〜40℃の温度範
囲、1×102 〜1×108cells /ml、好ましくは5
×104 〜1×106cells/mlの細胞密度で、1〜20日
間培養する。
【0019】本発明で得られるBリンパ球系細胞の具体
例としては、ナマルバ(Namalwa )細胞KJF−1、K
JF−2、KJF−3、KJF−4、KJF−5、KJ
F−6があげられる。ナマルバ細胞KJF−1はブダペ
スト条約に基づいて平成4年7月21日付けで工業技術
院微生物工業技術研究所に微工研条寄第3938号(FE
RM BP-3938)として寄託されている。
【0020】次に、本発明の実施例を示す。
【0021】
【実施例】
実施例1 ヒト・トランスフェリン発現プラスミドpM
o1hTf1の構築: (1)Moloney ネズミ白血病ウイルス (以下、Mo-MuLV
という) の末端反復配列(long terminal repeat ; 以
下、LTR という) プロモーター/エンハンサーを運ぶベ
クターpAGE147の構築(図1参照) プラスミドpPMOL1( 特開平1-63394 号公報)2μ
g を10mMトリス−塩酸(pH7.5)、6mM MgCl
2 および6mM 2−メルカプトエタノールからなる緩
衝液(以下、Y−0緩衝液と略記する)30μlに溶解
し、20単位のSmaI(宝酒造社製;以下、とくに断
らない限り制限酵素は宝酒造社製のものを使用した)を
加え、30℃で3時間消化反応を行った。その後、Na
Clを50mMになるように添加し、20単位のCla
Iを加えて37℃で2時間消化反応を行った。該反応液
をアガロースゲル電気泳動後、Mo−MuLVのLTR
プロモーター/エンハンサーを含む約0.6kbのDNA断
片を回収した。
【0022】次に、下記2種の合成DNAを自動DNA
合成機〔 380A ; アプライド・バイオシステムズ社 (Ap
plied Biosystems Co., Ltd ) 製〕を用いて合成した。
【0023】
【化1】
【0024】このようにして得られた合成DNA25ピ
コモル(pmoles) ずつを50mMトリス−塩酸(pH7.
6)、10mM MgCl2 、5mMジチオスレイトール
(以下、DTTと略記する)、0.1mM EDTAおよ
び0.5mMアデノシン3リン酸(以下、ATPと略記す
る)からなる緩衝液(以下、T4キナーゼ緩衝液と略記
する)10μlに溶解し、5単位のT4DNAキナーゼ
(宝酒造社製、以下同じ)を加え、37℃で30分間反
応させることにより5′末端をリン酸化した。
【0025】上記で得た、プラスミドpPMOL1由来
のClaI−SmaI断片(0.6kb) 0.05μgと5′
リン酸化された2種の合成DNA(1ピコモルずつ)お
よびHindIII リンカー(5′−pCAAGCTTG
−3′;宝酒造社製)(1ピコモル)を66mM トリ
ス−塩酸(pH7.5)、 6. 6mM MgCl2 、10mM
DTTおよび0.1mM ATPからなる緩衝液(以
下、T4リガーゼ緩衝液と略記する)30μlに溶解
し、T4DNAリガーゼ(宝酒造社製、以下同じ)20
0単位を加え、12℃で16時間結合反応を行った。エ
タノール沈澱により該DNA断片を回収した後、20μ
lの10mM トリス−塩酸(pH7.5)、6mM MgC
2 、100mM NaClおよび6mM 2−メルカ
プトエタノールからなる緩衝液(以下、Y−100緩衝
液と略記する)に溶解し、10単位のHindIII およ
び10単位のXhoIを加えて37℃で2時間消化反応
を行った。反応をフェノール−クロロホルム抽出により
停止させ、エタノール沈澱により該DNAを回収した。
【0026】一方、プラスミドpAGE107〔Cytote
chnology、3巻、 133頁 (1990年)〕1μgを30μl
のY−100緩衝液に溶解し、10単位のHindIII
と10単位のXhoIを加えて37℃で2時間消化反応
を行った。該反応液をアガロースゲル電気泳動後、G4
18耐性遺伝子およびアンピシリン(以下、Apとい
う)耐性遺伝子を含む約6.0kbのDNA断片を回収し
た。
【0027】上記で得たプラスミドpAGE107由来
HindIII −XhoI断片(6.0kb) 0.3μgとプラ
スミドpPMOL1由来HindIII −XhoI断片
(0.63kb) 0.01μgをT4リガーゼ緩衝液20μl
に溶解し、T4DNAリガーゼ200単位を加え、12
℃で16時間結合反応を行った。該反応液を用いて大腸
菌HB101株をコーエンらの方法によって形質転換
し、Ap耐性株を得た。この形質転換株から公知の方法
に従ってプラスミドを単離した。得られたプラスミドの
構造は制限酵素消化により確認した。このプラスミドを
pAGE147と呼ぶ。
【0028】(2)ハイグロマイシンB(以下、Hyg
Bという)耐性遺伝子をマーカーとするベクターpAG
E207の構築(図2参照) プラスミドpAGE107中のG418耐性遺伝子をH
ygB耐性遺伝子にすげかえたプラスミドpAGE20
7を造成した。HygB耐性遺伝子は、プラスミドp2
01〔Nature 、313 巻、 812頁 (1985年) 〕より切り
出して使用した。
【0029】プラスミドpAGE107の1μgを10
mMトリス−塩酸(pH7.5)、6mMMgCl2 、50m
M NaClおよび6mM 2−メルカプトエタノール
からなる緩衝液(以下、Y−50緩衝液と略記する)3
0μlに溶解し、20単位のClaIを加え、37℃で
2時間消化反応を行った。その後、NaCl濃度が15
0mMになるようにNaClを添加し、20単位のMl
uIを加え、さらに37℃で2時間消化反応を行った。
該反応液をアガロースゲル電気泳動後、約4.6kbのDN
A断片を回収した。
【0030】また、プラスミドp201の0.5μgをY
−50緩衝液30μlに溶解し、20単位のNarI
〔ニュー・イングランド・バイオラボ(New England Bi
olab)社製〕を加え、37℃で2時間消化反応を行っ
た。エタノール沈澱後、30μlのDNAポリメラーゼ
I緩衝液〔50mMトリス−塩酸(pH7.5)、10mM
MgCl2 、0.1mM dATP(デオキシアデノシン
3リン酸)、0.1mM dCTP(デオキシシチジン3
リン酸)、0.1mM dGTP(デオキシグアノシン3
リン酸)、0.1mM dTTP(デオキシチミジン3リ
ン酸)〕に溶かし、6単位の大腸菌DNAポリメラーゼ
Iのクレノー断片(宝酒造社製。以下、クレノー断片と
いう)を加え、37℃で60分間反応させ、NarI消
化によって生じた5′突出末端を平滑末端に変えた。反
応をフェノール抽出によって止め、クロロホルム抽出と
エタノール沈澱の後、20μlのT4リガーゼ緩衝液に
溶解し、ClaIリンカー(5’−pCATCGATG
−3′:宝酒造社製)を0.05μgとT4DNAリガー
ゼ175単位を加えて、12℃で16時間結合反応を行
った。エタノール沈澱後、Y−50緩衝液30μlに溶
解し、10単位のClaIを加え、37℃で2時間消化
反応を行った。その後、NaCl濃度が150mMにな
るようにNaClを添加し、10単位のMluIを加
え、さらに37℃で2時間消化反応を行った。該反応液
をアガロースゲル電気泳動後、HygB耐性遺伝子を含
む約1.6kbのDNA断片を回収した。
【0031】上記で得た、プラスミドpAGE107由
来のClaI−MluI断片(4.6kb) 0.2μgとプラ
スミドp201由来のClaI−MluI断片(1.6k
b)0.1μgとをT4リガーゼ緩衝液30μlに溶解し、
T4DNAリガーゼ175単位を加えて、12℃で16
時間結合反応を行った。該反応液を用いて大腸菌HB1
01株をコーエンらの方法によって形質転換し、Ap耐
性株を得た。この形質転換株から公知の方法に従ってプ
ラスミドを単離し、その構造を制限酵素消化により確認
した。このプラスミドをpAGE207と呼ぶ。
【0032】(3)Mo−MuLVのLTRプロモータ
ー/エンハンサーを有し、HygB耐性遺伝子をマーカ
ーとするベクターpAGE247の構築(図3参照) (1)で得られたプラスミドpAGE147の2μgを
30μlのY−100緩衝液に溶解し、10単位のHi
ndIII と10単位のXholを加えて37℃で2時間
消化反応を行った。該反応液をアガロースゲル電気泳動
後、Mo−MuLVのLTRプロモーター/エンハンサ
ーを含む約0.63kbのDNA断片を回収した。
【0033】一方、(2)で構築したプラスミドpAG
E207の2μgを30μlのY−100緩衝液に溶解
し、10単位のHindIII と10単位のXhoIを加
えて37℃で2時間消化反応を行った。該反応液をアガ
ロースゲル電気泳動後、HygB耐性遺伝子およびAp
耐性遺伝子を含む約5.8kbのDNA断片を回収した。上
記で得た、プラスミドpAGE147由来のHindII
I −XhoI断片(0.63kb) 0.05μgとプラスミド
pAGE207由来のHindIII −XhoI断片(5.
8kb)0.1μgをT4リガーゼ緩衝液30μlに溶解し、
T4DNAリガーゼ100単位を加え、12℃で16時
間結合反応を行った。
【0034】該反応液を用いて大腸菌HB101株をコ
ーエンらの方法によって形質転換し、Ap耐性株を得
た。この形質転換株から公知の方法に従ってプラスミド
を単離した。得られたプラスミドの構造は制限酵素消化
により確認した。このプラスミドをpAGE247と呼
ぶ。
【0035】(4)ヒト・トランスフェリンのN末側領
域を運ぶプラスミドpTfN4の構築(図4参照)。 プロシーディングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミ
ー・オブ・サイエンス(Proc. Natl. Acad. Sci. USA,
1984年) 、81巻、2752-2756 頁に記載の方法で作製さ
れ、該文献中2753頁図2に記載のDNA配列を有す
るプラスミド(以下、該プラスミドをプラスミドpTF
R27Aと称す。)3μgを30μlのY−100緩衝
液に溶解し、20単位のHgiAI〔ニュー・イングラ
ンド・バイオラボ(New England Biolab) 社製〕を加
え、37℃で2時間消化反応を行った。エタノール沈澱
後、30μlのDNAポリメラーゼI緩衝液に溶かし、
6単位のクレノー断片を加え、16℃で60分間反応さ
せ、HgiAI消化によって生じた3′突出末端を平滑
末端に変えた。反応をフェノール抽出によって止め、ク
ロロホルム抽出とエタノール沈澱の後、該DNA断片を
30μlのY−100緩衝液に溶解し、10単位のEc
oRIを加えて37℃で2時間消化反応を行った。該反
応液をアガロースゲル電気泳動後、ヒト・トランスフェ
リン遺伝子のN末側を含む約0.9kbのDNA断片を回収
した。
【0036】一方、プラスミドpUC18〔 Gene 、33
巻、 103頁 (1985年) 〕2μgを30μlのY−100
緩衝液に溶解し、10単位のBamHIを加え、37℃
で2時間消化反応を行った。エタノール沈澱後、30μ
lのDNAポリメラーゼI緩衝液に溶かし、6単位のク
レノー断片を加え、16℃で60分間反応させ、Bam
HI消化によって生じた5′突出末端を平滑末端に変え
た。反応をフェノール抽出によって止め、クロロホルム
抽出とエタノール沈澱の後、該DNA断片を30μlの
Y−100緩衝液に溶解し、10単位のEcoRIを加
えて37℃で2時間消化反応を行った。該反応液をアガ
ロースゲル電気泳動後、Ap耐性遺伝子を含む約2.7kb
のDNA断片を回収した。
【0037】上記で得た、プラスミドpTFR27A由
来のEcoRI−HgiAI(平滑末端)断片(0.9k
b) 0.1μgとプラスミドpUC18由来のEcoRI
−BamHI(平滑末端)断片(2.7kb) 0.1μgをT
4リガーゼ緩衝液20μlに溶解し、T4DNAリガー
ゼ175単位を加えて、12℃で16時間結合反応を行
った。
【0038】該反応液を用いて大腸菌HB101株をコ
ーエンらの方法によって形質転換し、Ap耐性株を得
た。この形質転換株から公知の方法に従ってプラスミド
を単離し、その構造を制限酵素消化により確認した。こ
のプラスミドをpTfN4と呼ぶ。
【0039】(5)ヒト・トランスフェリンのC末側領
域を運ぶプラスミドpTfC2の構築(図5参照) プラスミドpTFR27Aの3μgを30μlのY−1
00緩衝液に溶解し、10単位のEcoRIを加え、3
7℃で2時間消化反応を行った。該反応液に10単位の
BstPIを加え、60℃で2時間消化反応を行った。
該反応液をアガロースゲル電気泳動後、ヒト・トランス
フェリン遺伝子のC末側を含む約1.1kbのDNA断片を
回収した。
【0040】一方、プラスミドpUC18の2μgを3
0μlのY−100緩衝液に溶解し、10単位のBam
HIと10単位のEcoRIを加え、37℃で2時間消
化反応を行った。該反応液をアガロースゲル電気泳動
後、Ap耐性遺伝子を含む約2.7kbのDNA断片を回収
した。次に、下記2種の合成DNAを自動DNA合成機
〔380A、アプライド・バイオシステムズ社(Applie
d Biosystems Co., Ltd)製〕を用いて合成した。
【0041】
【化2】
【0042】このようにして得られた合成DNA25ピ
コモル(pmoles) ずつを10μlのT4キナーゼ緩衝液
に溶解し、5単位のT4DNAキナーゼを加え、37℃
で30分間反応させることにより5′末端をリン酸化し
た。得られた、プラスミドpTFR27A由来のEco
RI−BstPI断片(1.1kb) 0.1μgと5′リン酸
化された2種の合成DNA(1ピコモルずつ)およびプ
ラスミドpUC18由来のBamHI−EcoRI断片
(2.7kb)0. 1μgをT4リガーゼ緩衝液30μlに溶
解し、T4DNAリガーゼ200単位を加え、12℃で
16時間結合反応を行った。
【0043】該反応液を用いて大腸菌HB101株をコ
ーエンらの方法によって形質転換し、Ap耐性株を得
た。この形質転換株から公知の方法に従ってプラスミド
を単離し、その構造を制限酵素消化により確認した。こ
のプラスミドをpTfC2と呼ぶ。
【0044】(6)Mo−MuLVのLTRプロモータ
ー/エンハンサーを用いたヒト・トランスフェリン発現
プラスミドpMo1hTf1の構築(図6参照) (4)で得られたプラスミドpTfN4の2μgを30
μlのY−100緩衝液に溶解し、10単位のSalI
と10単位のEcoRIを加え、37℃で2時間消化反
応を行った。該反応液をアガロースゲル電気泳動後、ヒ
ト・トランスフェリン遺伝子のN末側を含む約0.9kbの
DNA断片を回収した。
【0045】一方、(5)で得られたプラスミドpTf
C2の2μgを30μlのY−100緩衝液に溶解し、
10単位のBamHIと10単位のEcoRIを加え、
37℃で2時間消化反応を行った。該反応液をアガロー
スゲル電気泳動後、ヒト・トランスフェリン遺伝子のC
末側を含む約1.1kbのDNA断片を回収した。さらに、
(3)で得られたプラスミドpAGE247の2μg を
30μlのY−100緩衝液に溶解し、10単位のBam
HIと10単位のSalIを加え、37℃で2時間消化
反応を行った。該反応液をアガロースゲル電気泳動後、
Ap耐性遺伝子とHygB耐性遺伝子を含む約6.5kbの
DNA断片を回収した。
【0046】得られた、プラスミドpTfN4由来のE
coRI−SalI断片(0.9kb)0.05μgとプラスミ
ドpTfC2由来のEcoRI−BamHI断片(1.1
kb)0.1μgおよびプラスミドpAGE247由来のB
amHI−SalI断片(6.5kb) 0.1μgをT4リガ
ーゼ緩衝液20μlに溶解し、T4DNAリガーゼ17
5単位を加えて、12℃で16時間結合反応を行った。
【0047】該反応液を用いて大腸菌HB101株をコ
ーエンらの方法によって形質転換し、Ap耐性株を得
た。この形質転換株から公知の方法に従ってプラスミド
を単離し、その構造を制限酵素消化により確認した。こ
のプラスミドをpMolhTf1と呼ぶ。
【0048】実施例2 ヒト・トランスフェリン発現プ
ラスミドpMolhTf1およびベクターpAGE24
7のナマルバKJM−1株への導入とトランスフェリン
非含有無血清培地での増殖性の比較 実施例1で構築したヒト・トランスフェリン発現プラス
ミドpMolhTf1およびコントロールのベクターp
AGE247の、無血清培地馴化ナマルバKJM−1株
への導入は、エレクトロポレーション法に準じて行っ
た。すなわち、該細胞株を4×107cells/mlになるよ
うにK−PBS〔137mM KCl、2.7mM Na
Cl、8.1mM Na2 HPO4 、1.5mM KH2
4 、4mM MgCl2 〕に懸濁し、この細胞懸濁液
40μlとDNA溶液(濃度1μg/μl)4μlを融
合チェンバーSSH−C13(電極間距離2mm) 内で混
合した。細胞融合装置SSH−1(島津製作所製)を用
いて電圧3.0KV/cm、パルス幅100μsec 、パルス回
数2回の条件で遺伝子導入を行った。
【0049】10分間静置した後、ITPSGF培地で
希釈し、生細胞数を測定した。このときの染色にはエリ
スロシンB(和光純薬社製)を用いた。生細胞濃度が5
×104cells/mlになるようにITPSGF培地で希釈
し、200μlずつ96穴マイクロタイター・プレート
(NUNC社製)に分注した。37℃、CO2 インキュ
ベーターで24時間培養後、HygB(生化学工業社
製)を0.3mg/mlになるように加えた。10〜14日間
培養し、出現したコロニー数を測定した。
【0050】実験は、2回行った。それぞれの遺伝子導
入効率を第1表および第2表に示した。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】ウシ胎児血清(以下、FCSと略記する)
を2%、HygBを0.3mg/ml、7.5%NaHCO3
1/40量、200mM L−グルタミン溶液(GIBC
O社製)を3%およびペニシリン・ストレプトマイシン
溶液(GIBCO社製、5,000units/mlペニシリン−
5,000μg/mlストレプトマイシン)を0.5%含むRP
MI1640培地(日水製薬社製)(以下、第一培地と
略記する)を96穴プレートに50μl各穴づつに加え
てさらに培養した。細胞がコンフルーエントまで増殖し
た時点で、第一培地を0.8ml加えて48穴プレート(Co
star社製) に継代した(以下の実験は、とくに断らない
限り48穴プレートを使用した)。
【0054】生育の良好な細胞株(各穴毎に形質転換株
の数が異なっているが、1つの穴由来の細胞株の混合培
養をここでは細胞株という)を、HygBを0.3mg/ml
含むITPSGF培地(以下、第二培地と略記する)に
1/5 量で継代した。同様の条件でもう一度継代した
後、HygBを0.3mg/ml含むIPSGF培地(以下、
第三培地と略記する。)に 1/5 量で継代した。3〜4
日間培養するとコンフルーエントになるまで増殖したの
で、同様の条件で継代した。増殖を検討した株数および
48穴プレートにおける各培地での継代回数を第3表お
よび第4表に示した。
【0055】
【表3】
【0056】
【表4】
【0057】このように、ベクター(pAGE247)
を導入した形質転換株は、親株と同様、トランスフェリ
ン非含有培地での増殖継代は不可能であった。一方、ト
ランスフェリン要求性株にトランスフェリン発現プラス
ミド(pMolhTf1)を導入することにより、トラ
ンスフェリン非含有培地でも増殖継代が可能となった。
【0058】実施例3 ナマルバKJM−1株、コント
ロール株およびヒト・トランスフェリン発現プラスミド
導入株の最高細胞到達密度の比較 実施例2で得られたプラスミドpMo1hTf1導入ナ
マルバKJM−1株(HygB耐性株)の中で、トラン
スフェリン非含有培地で良好な生育を示す株を6株〔そ
れぞれ、ナマルバKJF−1、ナマルバKJF−2、ナ
マルバKJF−3、ナマルバKJF−4、ナマルバKJ
F−5、ナマルバKJF−6と命名する〕、コントロー
ルであるベクターpAGE247導入ナマルバKJM−
1株(HygB耐性株)を3株〔それぞれ、コントロー
ル−1、コントロール−2、コントロール−3と命名す
る〕選び、親株と最高細胞到達密度を比較した。
【0059】初日(0日)に1.00×106cells/mlの
細胞濃度で、25-cm2の組織培養用フラスコ (greiner
社製) に接種した(液量5ml)。この時、親株およびコ
ントロール株はITPSGF培地を、トランスフェリン
非要求性株はIPSGF培地(トランスフェリン不含培
地)を用いた。また、培地には選択薬剤であるHygB
は添加していない(以降の実験も同様である)。
【0060】CO2 インキュベーターにて、37℃で2
4時間培養後、細胞濃度を測定した。遠心(1,000rpm、
10分間)して細胞を回収し、同様の条件でさらに培養
した。同様の操作を12日間行い、最高細胞到達密度を
比較した。結果を第5表に示した。以上の結果から、ト
ランスフェリン非要求性株はトランスフェリンを含まな
いIPSGF培地で親株およびコントロール株に匹敵す
る最高細胞到達密度を示すことが明らかとなった。
【0061】
【表5】
【0062】実施例4 ナマルバKJM−1株、コント
ロール株およびヒト・トランスフェリン発現プラスミド
導入株の増殖速度の比較 実施例2で得られたプラスミドpMo1hTf1導入ナ
マルバKJM−1株(HygB耐性株)の中で、トラン
スフェリン非含有培地で良好な生育を示す株を6株〔そ
れぞれ、ナマルバKJF−1、ナマルバKJF−2、ナ
マルバKJF−3、ナマルバKJF−4、ナマルバKJ
F−5、ナマルバKJF−6と命名する〕、コントロー
ルであるベクターpAGE247導入ナマルバKJM−
1株(HygB耐性株)を3株〔それぞれ、コントロー
ル−1、コントロール−2、コントロール−3と命名す
る〕選び、親株と細胞増殖速度を比較した。
【0063】初日(0日)に3.58×105 〜5.00×
105cells/mlの細胞濃度で、25-cm2の組織培養用フ
ラスコに接種した (液量5ml)。この時、親株およびコ
ントロール株はITPSGF培地を、トランスフェリン
非要求性株はIPSGF培地を用いた。CO2 インキュ
ベーターにて、37℃で培養し、経時的に細胞濃度を測
定した。結果を第6表および図7に示した。
【0064】
【表6】
【0065】さらに、親株およびコントロール株に匹敵
する増殖速度を示したナマルバKJF−1株、ナマルバ
KJF−3株、ナマルバKJF−6株について再実験を
行った。結果を第7表および図8に示した。
【0066】
【表7】
【0067】以上の結果から、トランスフェリン要求性
株であるナマルバKJM−1株にヒト・トランスフェリ
ン発現プラスミドを導入することにより、トランスフェ
リン非含有無血清培地で親株およびコントロール株に匹
敵する細胞増殖速度および最高細胞到達密度を示す細胞
株が育種可能であることが示された。
【0068】
【発明の効果】本発明により、有用蛋白質生産の宿主細
胞として有用な、トランスフェリン非含有無血清培地で
増殖継代可能な細胞が提供される。
【0069】
【配列表】
【0070】配列番号:1 配列の長さ:62 配列の型:核酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 フラグメント型:中間型フラグメント 配列 GTAACCTGAG AAAATGTTCC ACCTCATCAC TCCTGGAAGC GTGCACTTTC CGTAGGCCTT 60 AG 62
【0071】配列番号:2 配列の長さ:61 配列の型:核酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸 フラグメント型:中間型フラグメント 配列 GATCCTAAGG CCTACGGAAA GTGCACGCTT CCAGGAGTGA TGAGGTGGAA CATTTTCTCA 60 G 61
【図面の簡単な説明】
【図1】プラスミドpAGE147の構築工程を示す。
【図2】プラスミドpAGE207の構築工程を示す。
【図3】プラスミドpAGE247の構築工程を示す。
【図4】プラスミドpTfN4の構築工程を示す。
【図5】プラスミドpTfC2の構築工程を示す。
【図6】プラスミドpMo1h Tf1の構築工程を示
す。
【図7】トランスフェリン非要求株と親株およびコント
ロール株の細胞増殖速度を示す。
【図8】トランスフェリン非要求株と親株およびコント
ロール株の細胞増殖速度を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 (C12N 5/10 C12R 1:91)

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 トランスフェリンを含有しない培地で、
    3代以上増殖継代可能なBリンパ球系細胞。
  2. 【請求項2】 Bリンパ球系細胞が、トランスフェリン
    をコードする遺伝子を含むDNA断片とベクターDNA
    断片との組換え体DNAを用い、無血清培地中で増殖継
    代可能な細胞を形質転換して得られることを特徴とする
    請求項1記載のBリンパ球系細胞。
  3. 【請求項3】 Bリンパ球系細胞がヒト由来のBリンパ
    球系細胞である請求項1記載のBリンパ球系細胞。
  4. 【請求項4】 ヒト由来のBリンパ球系細胞がナマルバ
    (Namalwa)細胞である請求項3記載のBリンパ球系細
    胞。
  5. 【請求項5】 ナマルバ(Namalwa)細胞が、ナマルバ
    (Namalwa)KJF−1株、ナマルバ(Namalwa)KJF−
    3株およびナマルバ(Namalwa)KJF−6株から選ばれ
    る細胞である請求項4記載のBリンパ球系細胞。
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