JPH0646583Y2 - ノックアウトタイミング調整機構 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、プレス機械におけるノックアウト動作のタイ
ミングを切替るためのノックアウトタイミング調整機構
に関する。

［従来の技術］ 第６図に従来の一般的なノックアウト装置を例示する。

第６図において、カム13は、クランク軸等の回転軸10に
キー27で一体的に嵌挿され、カムフォロアーを形成する
ローラ５は支軸７に回転自在なレバー６の一端側に設け
られている。

また、レバー６の他端側にはピン８を介してノックアウ
トロッド15の一端が連結されている。

このノックアウトロッド15はノックアウトピン18を駆動
するためのもので、その他端がピンを介し支軸10に回転
自在なレバー16に取付けられている。

ノックアウトピン18を直接駆動するレバー17は、レバー
16と同様に支軸19に取付けられている。

なお、基端が機体に取付けられたシリンダ116と、ピス
トンロッド118が一体に設けられたピストン117とから形
成されたシリンダ装置は、ノックアウトピン18を上昇さ
せるためのピンリフターおよびローラ５をカム13に係合
させその飛跳を防止する飛跳防止手段を構成するもので
ある。このためにピストンロッド118はピン119を介して
レバー16に軸支されている。

このようなノックアウト装置では、回転軸10の回転に伴
ってカム13の形態に基づいたモーション・ストロークで
ノックアウトピン18が金型（この例では下型）内を移動
し成形後の製品をノックアウトする。

したがって、加工対象製品に応じたプレス機械を選択す
るとともにそれに応じた能力、ストローク、モーション
を持つノックアウト装置を選定していた。数種の製品を
加工対象とする場合には最大公約数的なモーション等を
決定していた。

［考案が解決しようとする課題］ ところで、加工態様、加工対象製品あるいは製品移送等
の関係によっては、ノックアウト動作のタイミングを変
更したい場合が多々に生ずる。

しかし、上記の従来装置では、カム13と回転軸10とはキ
ー27により一体的に連結されているので、両者10,13間
の回転方向に位相をずらせてタイミングを変更すること
は至難である。このため生産性確保のために品質低下等
のある種の犠牲を強いられるばかりか、反対に製品の迅
速移送が妨げられ生産性を低下してしまうという問題が
ある。

一方、複数のカムを準備して、これを都度に交換し見掛
上のタイミング変更を行うことが考えられるが、これと
て交換作業に労力と時間を費やし能率が悪い、また、経
済的にも不利であり抜本的対策とならない。

本考案は、上記事情に鑑みなされたもので、その目的は
正確かつ迅速にノックアウト動作のタイミングを調整す
ることのできるノックアウトタイミング調整機構を提供
することにある。

［課題を解決するための手段］ 本考案は、回転軸と別個の回動体を設け、この回動体に
カムを取付けるとともに、回動体に軸方向に移動可能な
移動体を嵌挿し、この移動体を移動させることにより、
回転軸と回動体とを連結する歯車機構を分離し、その状
態で回転軸と回動体とを相対回転させることによりノッ
クアウトタイミングを調整できるように形成したもので
ある。

すなわち、本考案に係るノックアウトタイミング調整機
構は、機体に回転可能かつ軸方向に変位不能に装着され
た回動体を回転軸と同心に直列配設し、この回動体にノ
ックアウトピンを駆動するためのカムを取付け、前記回
転軸の回動体側に、駆動内歯車を当該回転軸と同心に設
けるとともに、前記回動体の回転軸側に従動内歯車を当
該回動体と同心に設け、前記回動体に、中空部を当該回
動体軸心に沿って形成し、この中空部に移動体を軸心方
向に移動可能に装着し、かつ当該移動体の回転軸側に前
記各内歯車と噛合可能な連結外歯車を設け、この連結外
歯車によって前記駆動内歯車と従動内歯車とが連結され
るように前記移動体をスプリングの弾性力を利用して移
動させる連結手段を設けるとともに、前記駆動内歯車と
従動内歯車とが分離されるように前記移動体を油圧装置
から供給する油圧で前記スプリングの弾性力に抗しつつ
移動させる分離手段を設けたことを特徴とする。

［作用］ 上記構成の考案では、分離手段によって移動体（連結外
歯車）をスプリングの弾性力に抗しつつ移動させて駆動
内歯車と従動内歯車とを分離させることにより、回動体
（カム）と回転軸とを切離す。この状態にある回転軸
（又は回動体）に対して、回動体（又は回転軸）を所定
角度だけ進動あるいは遅動させる。これにより、回転軸
とカムとの回転方向相対位置を変えることができる。そ
の後に、連結手段によって移動体をスプリングの弾性力
を利用して移動させて、駆動内歯車と従動内歯車とを連
結させれば、再び回動体（カム）と回転軸とが結合す
る。つまり、回転軸に対してカムを所定角度だけ回転方
向に位相ずれさせることができる。

ここに、位相ずれ量に応じたノックアウト動作のタイミ
ングを切替調整することができる。

ところで、上記回転軸と回動体との結合・分離作業は回
動体自体を軸方向に移動させるのではなく、当該回動体
に比し小型・軽量な移動体を移動させることにより行う
ので、大動力を必要とせず迅速かつ容易にタイミング調
整をすることができる。

また、駆動内歯車，従動内歯車，連結外歯車および移動
体は、回転軸（回動体）の軸心上に配置され、回動体等
の外周面より外方へ突出しないように形成できるので、
容易に小型化を図ることができる。また、カムの配置等
に制約を与えない。したがって、装置が大型化・複雑化
しない。

［実施例］ 以下、本考案の好適な実施例を図面に基づいて説明す
る。

（第１実施例） 本実施例は、第１図〜第３図に示され、大別して回転軸
10、カム13、回動体20、移動体30、連結手段40、分離手
段50および制御装置60などから構成されている。

なお、この実施例のノックアウト装置の全体構成は、前
出第６図に示した従来装置と同様にノックアウトロッド
15を介してベース内に内蔵されたレバー（16）を駆動
し、下型内の製品をノックアウトする構成である。従っ
て、第１図においては、ノックアウトロッド15以降の構
成要素については図示を省略する。

まず、最初にノックアウト装置の構成要素の概略を説明
する。

回動体20は、第１図に示す如く、回転軸10とノックアウ
トピン（18）を駆動するためのカム13とを相対回転可能
とするために設けられたもので、キー27によりカム13を
一体に支持する。回転軸10と回動体20とは、結合・分離
可能に構成されている。

ここで、回動体20を回転軸10から切離して相対回転可能
とする方策として、回動体20を軸方向（矢印P,Q方向）
に動かして回転軸10から離反させるように構成すること
が考えられる。しかし、回動体20（カム13）は、十分な
ノックアウト駆動力を伝達できるようにするために大型
で大重量となることが多く、このような大重量物を動か
すには大動力を必要とし構造が複雑化しやすい。このた
め、ノックアウト装置の小形化・簡易化を図りにくい。

そこで、本考案は、このような不都合を解消してノック
アウトタイミングを正確・迅速に調整できるように、回
動体20に比し小型・軽量な移動体30を用いて回転軸10と
回動体20とを連結する歯車機構を同一軸線上で連結・分
離することにより、当該回転軸10と回動体20とを結合・
分離するように構成している。ここで、回転軸10と回動
体20を連結する機構として歯車機構を用いたのは回動体
20に十分なノックアウト駆動力を伝達できるようにする
ためである。

ところで、歯車機構は、回転軸10に設けられた駆動内歯
車47と、回動体20に設けられた従動内歯車48と、両歯車
47、48を連結する連結外歯車46とから構成されている。
また、移動体30は、連結外歯車46を軸心方向（矢印P,Q
方向）に移動させて駆動内歯車47と従動内歯車48とを連
結・分離できるように、回動体20に軸心方向に移動可能
に嵌挿されている。

連結手段40は、移動体30（連結外歯車46）をスプリング
43の弾性力を利用して矢印Ｐ方向に移動させて駆動内歯
車47と従動内歯車48とを連結する手段であり、分離手段
50は、移動体30を油圧装置53から供給する油圧でスプリ
ング43の弾性力に抗しつつ矢印Ｑ方向に移動させて駆動
内歯車47と従動内歯車48との連結状態を解除して分離さ
せる手段である。

なお、本実施例においては、両内歯車47,48が分離され
て回転軸10と回動体20（カム13）とが相対回転可能状態
にある場合に、回転軸10は制動手段（図示省略）によっ
て回転が阻止されるように構成されている。

また、制御装置60は、回転軸10と回動体20（カム13）と
が分離されている場合において、回転軸10に対して回動
体20を定量的に回動させて進動および遅動するものであ
る。

したがって、ノックアウト動作のタイミングを切替る場
合には、分離手段50によって移動体30を矢印Ｑ方向に移
動させることにより回転軸10と回動体20とを分離し、か
つ当該回転軸10の自由回動を阻止する。次に、予め設定
した所定角度（例えば、進動５度）だけ回転軸10に対す
る回動体20の回転方向の位相をずらせる。これは第２図
に示す制御装置60によって行われる。そこで、第１図に
示す連結手段40によって再び駆動内歯車47と従動内歯車
48を連結し、回動体20をその位相ずれを生じさせたまま
の状態で回転軸10に一体的に結合する。ここに、回動体
20に支持されたカム13と回転軸10との回転方向の位相を
ずらせることにより、タイミングを切替調整することが
できる。

以下に、各構成要素の詳細を分説する。

回転軸10は、第１図に示す如く、クラウンを形成するフ
レームに回転支持されている。この実施例ではクランク
軸である。回転軸10の回動体側には、駆動内歯車47が当
該回転軸10と同心に設けられている。

回動体20は、ノックアウトピン（18）を駆動するための
カム13を回転軸10の一端部から切離して支持するもので
あり、機体１にブッシュ3,3を介して回転可能かつ軸心
方向（矢印P,Q方向）に変位不能に装着されている。ま
た、回動体20は、回転軸10と同心に直列配設されてお
り、中空部22を有する円筒体状に形成されている。中空
部22は、小径部23、中径部24、ボス収容部25および大径
部28から構成されている。

また、回動体20の回転軸側には、従動内歯車48が当該回
動体20と同心に設けられている。従動内歯車48には、連
結外歯車46が軸心方向に円滑移動できるように、当該連
結外歯車46のボス部より径の大きな孔48aが形成されて
いる。

なお、従動内歯車48および上記した駆動内歯車47は、そ
の外径が回動体20および回転軸10の直径と略等しくなる
ように形成されており、回動体20の外周面より外方へ突
出しない。もとより、回転軸10の外周面よりも外方へ突
出しないように形成することも可能である。

さらに、回動体20には、トランスファ装置のカム類、す
なわちクランプカム11、リフトダウンカム12およびアド
バンスカム17が装着されている。これらカム11,12,17
は、フィードバーにそれぞれクランプ・アンクランプ動
作，リフトダウン動作，アドバンスリターン動作を行わ
せるためのものである。

さらにまた、回動体20には、当該回動体20を回転軸10か
ら切離した際に所定角度間隔で回動させるための回転駆
動手段55が接続されている。

回転駆動手段55は、歯車56を有する歯車列57および切替
駆動モータ58等から構成されている。歯車56は、回動体
20に固着されており、駆動モータ58は歯車列57を介して
回動体20を回動するように構成されている。駆動モータ
58は正逆回転可能に形成されている。

ところで、移動体30は、回動体20の中空部22に軸方向
（矢印P,Q方向）に移動可能に装着されている。ここ
で、可動部品である移動体30は、一定の強度を確保しつ
つ可能な限りの小型・軽量化が図られている。また、移
動体30の回転軸側には、連結外歯車46が当該移動体30と
同心に設けられている。

連結外歯車46は、軸心方向（矢印Ｐ方向）に移動して駆
動内歯車47および従動内歯車48と噛合し、両内歯車47,4
8を所定角度（本実施例では５度）ごとに結合できるよ
うに形成されている。また、連結外歯車46は、駆動内歯
車47および従動内歯車48と噛合した状態から軸心方向
（矢印Ｑ方向）に移動して駆動内歯車47との噛合関係が
解除されるように形成されている。これにより、駆動内
歯車47と従動内歯車48とが分離されることになる。

なお、連結外歯車46は、駆動内歯車47および従動内歯車
48間で十分なノックアウト駆動力が伝達されるように一
定の強度を確保しつつ可能な限りの小型・軽量化が図ら
れている。

また、移動体30は、軸心方向に円滑移動できるように、
その外径が回動体20の小径部23よりやや小さく形成され
ている。なお、移動体30内には、回転軸10から油路（図
示省略）が伸設され、回動体20等の各部に潤滑油が供給
されている。一方、移動体30の第１図右端部には円板32
が装着されており、この円板32から右方に所定距離だけ
離れた位置には、切替検出器65が設置されている。

切替検出器65は、移動体30が矢印Ｐ方向に移動されて駆
動内歯車47と従動内歯車48とが連結した場合にはOFF状
態となり、移動体30が矢印Ｑ方向に移動されて両内歯車
47,48が分離した場合にはON状態となるように形成され
ている。したがって、駆動内歯車47と従動内歯車48との
連結・分離は当該検出器65により検出することができ
る。

連結手段40は、連結外歯車46によって駆動内歯車47と従
動内歯車48とが連結されるように移動体30を移動させる
手段である。本実施例においては、付勢手段たるスプリ
ング43から形成されている。

スプリング43は、回動体20の中径部24と連結外歯車46の
ボス部の起立端面との間に移動体30の周面を囲むように
縮設されている。したがって、移動体30（連結外歯車4
6）はスプリング43の弾性力によって矢印Ｐ方向に付勢
されることになり、第１図に示すように連結外歯車46が
駆動内歯車47および従動内歯車48と噛合する。その結
果、両内歯車47,48は連結外歯車46を介して連結され
る。この際、移動体30の外径は回動体20の小径部23の内
径よりやや小さく形成されており、かつ後述する油室52
内の圧油は排出されるように構成されているので、移動
体30は圧油等に妨げられず円滑に矢印Ｐ方向に移動す
る。なお、スプリング43は、移動体30（連結外歯車46）
が小型・軽量であり大きな弾性力を必要としないので小
型のものを用いている。

分離手段50は、駆動内歯車47と従動内歯車48とが分離さ
れるように移動体30を移動させる手段であり、移動体30
のフランジ部51,油室52および油圧装置53等を含み構成
されている。

移動体30のフランジ部51は、当該移動体30の他の部分よ
りも直径が大きく、かつ回動体20の大径部28内を軸方向
に摺動自在となるように形成されている。油室52は、前
記フランジ部51と回動体20の大径部28の壁面29との間に
形成されている。油圧装置53は、油室52に圧油を供給
し、また供給した圧油を排出できるように形成されてい
る。なお、油圧装置53等は、移動体30（連結外歯車46）
が小型・軽量である大動力を必要としないので小型のも
のを用いている。

したがって、油圧装置53を作動して油室52に圧油を供給
すると、移動体30はフランジ部51を介して圧油に押され
て矢印Ｑ方向に移動する。すると、連結外歯車46も矢印
Ｑ方向に移動して駆動内歯車47との噛合状態が解除さ
れ、駆動内歯車47と従動内歯車48とが分離される。

また、制御装置60は、駆動内歯車47と従動内歯車48との
連結分離を自動的に行なうために油圧装置53および切替
駆動モータ58等を制御する手段である。制御装置60の機
能の詳細については、次に第３図に示すフローチャート
に基づき説明する。

次に、作用を説明する。

第３図において、ノックアウトタイミング切替の調整作
業指令がある（ステップS10）と、制御装置60は、回転
軸10を回動体20を結合した状態で回動して、これら回転
軸10等を所定位置に位置決めした後に停止させる。次
に、制御装置60は、分離手段50を作動させるために油圧
装置53を駆動して油室52に圧油を供給する（ステップS1
2）。すると、移動体30がスプリング43の弾性に抗して
矢印Ｑ方向に移動する。その結果、連結外歯車46と駆動
内歯車47との噛合状態が解除されて、当該駆動内歯車47
と従動内歯車48とが分離される。

この際、移動体（連結外歯車46）は小型・軽量であるの
で、円滑に矢印Ｑ方向に移動し、支障なく分離作業が行
われる。この両内歯車47,48が分離したことは切替検出
器65がON状態となったことにより検出される（ステップ
S14）。

両内歯車47,48が分離されて回動体20（カム13）が回転
軸10より切離されたところで、制御装置60は、スイッチ
61を介して入力されたノックアウトタイミングの切替量
に相応した角度量だけ回動体20が回動するように、切替
駆動モータ58を駆動制御する（ステップS16）。

この際、回動体20の回動量はロータリーエンコーダ（図
示省略）によって検出されるので回動体20を正確に設定
角度量だけ回動させることができる（ステップS18）。
なお、本実施例においては、５度間隔で角度量を設定す
ることができる。

回動体20（カム13）が回転軸10に対して設定角度量だけ
回動したところで、制御装置60は、連結手段40を作動さ
せるために、油圧装置53を駆動して油室52内の圧油を排
出する（S20）。すると、移動体30はスプリング43の弾
性力により矢印Ｐ方向に移動して、駆動内歯車47と従動
内歯車48は連結外歯車46を介して連結される。

この際も、移動体30等が小型・軽量であるので、円滑に
連結作業が行われる。駆動内歯車47と従動内歯車48が連
結したことは切替検出器65がOFF状態となることにより
検出される（ステップS22）。なお、この連結状態はス
プリング43の付勢力により保持される。

したがって、回転軸10を係止した状態で回転体20（カム
13）を正逆方向に設定角度量だけ回転させ、その後に回
転軸10と回動体20とを結合させれば、回転軸10に対して
カム13を設定角度量だけ位相ずれを生じさせることがで
きる。これにより、ノックアウトタイミングを進ませ、
あるいは遅らせることができる。

しかして、この第１実施例によれば、機体１に回転可能
かつ軸方向に変位不能に装着された回動体20を回転軸10
と同心に直列配設し、この回動体20にノックアウトピン
18を駆動するためのカム13を取付け、回転軸10の回動体
側に、駆動内歯車47を設けるとともに、当該回動体20の
回転軸側に従動内歯車48を設け、回動体20の中空部22に
移動体30を軸方向に移動可能に装着し、この移動体30の
回転軸側に連結外歯車46を設け、更に、この連結外歯車
46によって駆動内歯車47と従動内歯車48とが連結される
ように移動体30をスプリング43の弾性力を利用して移動
させる連結手段40を設けるとともに、駆動内歯車47と従
動内歯車48とが分離されるように移動体30を油圧を利用
してスプリング43の弾性力に抗しつつ移動させる分離手
段50を設けた構成であるので、機械的分解・組立を必要
とせず迅速かつ容易にタイミング調整をすることができ
る。

また、回転軸10からの回動体20の切離しを、回動体20自
体を動かすのではなく、回動体20に比し小型・軽量な移
動体30を軸方向に移動することにより行うように構成し
たので、大動力を必要とせず装置を大型化・複雑化させ
ない。

また、歯車機構（駆動内歯車47,従動内歯車48,連結外歯
車46）および移動体30は、回転軸10（回動体20）の軸心
上に配置され、回動体20の外周面より外方へ突出しない
ように形成したので、カム13,各種カム11,12,17等の配
置に制約を与えない。したがって、この点からも装置の
小型化および構成の簡素化を図ることができる。

さらに、歯車機構（46,47,48）を用いて回転軸10と回動
体20とを結合・分離するように構成したので、その歯ピ
ッチを適宜変更することにより、５度よりも一層小さな
角度ごとにタイミング調整できるとともに、構造簡単で
ノックアウト力を確実かつ有効に伝達できる。

（第２実施例） 第２実施例を第４図および第５図に示す。

第１実施例に対して、更に、例えば200ton位のノックア
ウト力を必要とする3000tonクラスの超大型のプレスに
あっては、カム13等は、それに応じた強度を確保する必
要上大型化してしまう。また、このような超大型のプレ
スにおいては、一段と円滑な給油を行う必要がある。

そこで、伝達するノックアウト駆動力を分散軽減すると
ともに円滑給油を行うために、回転軸10の両端部にカム
13等を設けた回動体20等を装着するように構成したのが
第4,5図に示す第２実施例である（ただし、第４図にお
いては片側の回動体20のみを図示し、もう一方の回動体
20は省略してある。また、第５図において、２はプレス
のコラム、４はボルスタ、11cはノックアウトピンを含
むノックアウトユニットである）。

ここで、第２実施例においては、円滑な給油を行うため
に移動体30に中空部33を軸心に沿って設けるとともに、
該中空部33に回転軸10の小径突出部10aを軸方向に相対
的に移動可能に嵌挿させる。そして、小径突出部10aを
利用して油路70を形成するようにしている。これによ
り、回転軸10等の各部に潤滑油を円滑供給することがで
きる。

なお、以上の第1,第２実施例では、回転軸10と回動体20
とを分離した場合に、回転軸10を係止させ、その状態で
回動体20を回動させてノックアウトタイミングを調整し
たが、これとは逆に回動体20を係止させ、その状態で回
転軸10を回動させてもよい。

また、駆動制御手段60を設けて、完全自動化を達成する
ように構成したが、手動または半自動的に分離手段50を
作動させたり、回動体20を回転させてもよく、この方式
の場合には制御装置60を一層簡略化しさらには省略して
も実施できる。

また、カム13と回動体20とは、別体としてキー結合させ
たが、両者13,20を一体に成形してもよい。

［考案の効果］ 本考案は、以上の説明から明らかな通り、カムの取付取
外しなどの作業や多数のカムを揃えておく必要がなく取
扱簡単で経済的に具現化でき、かつ正確かつ迅速にノッ
クアウトのタイミングを調整することができる。また、
プレス機械、加工態様、対象製品等に最適なノックアウ
トを達成することにより、品質と生産性を飛躍的に向上
させることができる。

また、回転軸からの回動体（カム）の切離しを、移動体
を軸方向に移動することにより行うようにした構成であ
るので、大動力を必要としない。また、歯車機構（駆動
内歯車，従動内歯車，連結外歯車）および移動体は、回
転軸（回動体）の軸心上に配置され、回動体等の外周面
より外方へ突出しないように形成できる。したがって、
装置の小型化および構成の簡素化を図ることができる。

【図面の簡単な説明】 第１図〜第３図は本考案は一実施例を示す図で、第１図
は断面図、第２図はブロック図、第３図は動作を説明す
るためのフローチャートである。第４図および第５図は
本考案の別の実施例を示す図で、第４図は断面図、第５
図は配置状況を示す概略図である。第６図は従来のノッ
クアウト装置の全体構成図である。 １…機体、 10…回転軸、 13…カム、 18…ノックアウトピン、 20…回動体、 22…回動体の中空部、 30…移動体、 40…連結手段、 46…連結外歯車、 47…駆動内歯車、 48…従動内歯車、 50…分離手段。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】機体に回転可能かつ軸方向に変位不能に装
   着された回動体を回転軸と同心に直列配設し、 この回動体にノックアウトピンを駆動するためのカムを
   取付け、 前記回転軸の回動体側に、駆動内歯車を当該回転軸と同
   心に設けるとともに、前記回動体の回転軸側に従動内歯
   車を当該回動体と同心に設け、 前記回動体に、中空部を当該回動体軸心に沿って形成
   し、 この中空部に移動体を軸心方向に移動可能に装着し、か
   つ当該移動体の回転軸側に前記各内歯車と噛合可能な連
   結外歯車を設け、 この連結外歯車によって前記駆動内歯車と従動内歯車と
   が連結されるように前記移動体をスプリングの弾性力を
   利用して移動させる連結手段を設けるとともに、前記駆
   動内歯車と従動内歯車とが分離されるように前記移動体
   を油圧装置から供給する油圧で前記スプリングの弾性力
   に抗しつつ移動させる分離手段を設けたことを特徴とす
   るノックアウトタイミング調整機構。