JPH0644521A - 磁気ヘッド及びその製造方法 - Google Patents

磁気ヘッド及びその製造方法

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JPH0644521A
JPH0644521A JP600692A JP600692A JPH0644521A JP H0644521 A JPH0644521 A JP H0644521A JP 600692 A JP600692 A JP 600692A JP 600692 A JP600692 A JP 600692A JP H0644521 A JPH0644521 A JP H0644521A
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JP
Japan
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magnetic
gap
magnetic head
gap spacer
sio
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Withdrawn
Application number
JP600692A
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English (en)
Inventor
Toshio Uehara
敏夫 上原
Shigeru Kobayashi
茂 小林
Yoshinobu Kakihara
良亘 柿原
Takehiro Takojima
武広 蛸島
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Alps Alpine Co Ltd
Original Assignee
Alps Electric Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 成膜速度の速い蒸着法を使用して製造した、
付着力が大きく、剥離することのないギャップスペーサ
を有した磁気ヘッド。 【構成】 一対の半コアの磁気ギャップ面にギャップス
ペーサを蒸着法で成膜した後に、該一対の対向する半コ
アを接合して磁気コアを形成する磁気ヘッドの製造方法
であって、少なくとも一方の半コアの磁気ギャップ面に
コンタクトメタルを蒸着した後に、該コンタクトメタル
上にギャップスペーサを蒸着する。 【効果】 磁気コアとギャップスペーサの間にクロムか
らなるコンタクトメタルが介在しているので、ギャップ
スペーサの付着力が高まり、ギャップスペーサの剥離が
生じることがない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明はオーディオやVTR等
の磁気ヘッドに関するもので、特に磁気ヘッドの磁気ギ
ャップに介在するギャップスペーサに関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】AV用磁気ヘッドの音声ヘッドやコント
ロールヘッドはその仕様によって様々な形状、寸法等を
有しているが、図9に示す磁気ヘッドをその基本構造と
することができる。図9に示される磁気ヘッド10は、
パーマロイやセンダスト等の強磁性体からなる磁気コア
12と、磁気コア12を納置するシールドケース22か
らなり、磁気コア12にはコイル18の巻回されたボビ
ン20が設けられ、さらに磁気コア12の磁気記録媒体
側には磁気ギャップ14が形成されている。さらに、磁
気ギャップ14にはギャップスペーサ16が介在されて
いる。スペーサとしての機能を有するギャップスペーサ
16は非磁性体からなり、一般にTi薄板を挿入した
り、あるいはSiO2をスパッタ法や蒸着法等の真空薄
膜形成法を利用して成膜していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ギャップスペーサを成
膜する際に、スパッタ法を使用すると、形成された膜の
性状は良好であるものの、成膜時間が非常に長くなって
しまうものであった。例えば、膜厚がおよそ1〜2μm
のキャップスペーサを有するAV用磁気ヘッドの音声ヘ
ッドやコントロールヘッドでは、ギャップスペーサの成
膜工程に2〜3時間を要してしまうものであった。従っ
て、生産性が低く、またその成膜工程に多くのエネルギ
を要してしまうものであった。これに対して真空蒸着法
を利用すると、図10に示すように、少ない投入電力で
成膜速度を格段に速くすることができる。しかしなが
ら、ギャップスペーサとしてSiO2を真空蒸着法で成
膜すると、付着強度が弱く、ギャップスペーサが剥離す
るという問題が生じてしまうものであった。
【0004】本発明は前記課題を解決するためになされ
たもので、成膜速度の速い蒸着法を使用しながら、付着
力が大きく、剥離することのないギャップスペーサを有
した磁気ヘッドを提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の磁気ヘッ
ドは、磁気記録媒体側に磁気ギャップが形成され、該磁
気ギャップ内に非磁性体のギャップスペーサが介在する
磁気コアにコイルが巻回されてなる磁気ヘッドにおい
て、磁気コアとギャップスペーサの間にクロム(Cr)
からなるコンタクトメタルが介在されてなることを特徴
とするものである。
【0006】請求項2記載の磁気ヘッドは、請求項1記
載の磁気ヘッドにおいて、ギャップスペーサがSiO2
であることを特徴とするものである。
【0007】請求項3記載の磁気ヘッドの製造方法は、
一対の半コアの磁気ギャップ面にギャップスペーサを蒸
着法で成膜した後に、該一対の対向する半コアを接合し
て磁気コアを形成する磁気ヘッドの製造方法であって、
少なくとも一方の半コアの磁気ギャップ面にコンタクト
メタルを蒸着した後に、該コンタクトメタル上にギャッ
プスペーサを蒸着することを特徴とするものである。
【0008】請求項4記載の磁気ヘッドの製造方法は、
一対の半コアの磁気ギャップ面にギャップスペーサを蒸
着法で成膜した後に、該一対の対向する半コアを接合し
て磁気コアを形成する磁気ヘッドの製造方法であって、
少なくとも一方の半コアの磁気ギャップ面にコンタクト
メタルを蒸着した後に、酸素雰囲気中で該コンタクトメ
タル上にギャップスペーサを蒸着することを特徴とする
ものである。
【0009】請求項5記載の磁気ヘッドの製造方法は、
一対の半コアの磁気ギャップ面にギャップスペーサを蒸
着法で成膜した後に、該一対の対向する半コアを接合し
て磁気コアを形成する磁気ヘッドの製造方法であって、
少なくとも一方の半コアの磁気ギャップ面にコンタクト
メタルを蒸着し、その後、該コンタクトメタル上にイオ
ンアシストを伴ってギャップスペーサを蒸着することを
特徴とするものである。
【0010】請求項6記載の磁気ヘッドの製造方法は、
一対の半コアの磁気ギャップ面にギャップスペーサを蒸
着法で成膜した後に、該一対の対向する半コアを接合し
て磁気コアを形成する磁気ヘッドの製造方法であって、
少なくとも一方の半コアの磁気ギャップ面にコンタクト
メタルを蒸着し、その後、酸素雰囲気中で該コンタクト
メタル上にイオンアシストを伴ってギャップスペーサを
蒸着することを特徴とするものである。
【0011】請求項7記載の磁気ヘッドの製造方法は、
請求項3〜6のいずれかに記載の磁気ヘッドの製造方法
において、コンタクトメタルがクロム(Cr)であるこ
とを特徴とするものである。
【0012】請求項8記載の磁気ヘッドの製造方法は、
請求項3〜7のいずれかに記載の磁気ヘッドの製造方法
において、ギャップスペーサがSiO2であることを特
徴とするものである。
【0013】
【作用】本発明の磁気ヘッドではその磁気ギャップに形
成するギャップスペーサの成膜に短時間で成膜すること
のできる蒸着法を使用するものなので、製造時間を格段
に短くすることができる。しかも蒸着法では要するエネ
ルギを大幅に低減することができる。また、本発明では
ギャップスペーサと磁気コアの間にコンタクトメタルを
介在させることで、ギャップスペーサの付着力を高めて
いる。さらに、コンタクトメタルを介在させることで、
付着力だけでなく、硬度、耐衝撃性、耐環境性をも改善
させることができる。さらに、ギャップスペーサの蒸着
を酸素雰囲気中で行なうことで、成膜されたギャップス
ペーサの膜質を良好にすることができ、ギャップスペー
サの膜厚を安定化することができる。さらにまた、ギャ
ップスペーサの蒸着時にイオンアシストを伴うことで
も、成膜されたギャップスペーサの膜質を良好にするこ
とができ、ギャップスペーサの付着力や耐衝撃性、耐環
境性等を向上させることができる。
【0014】
【実施例】
〔実施例1〕実施例1の磁気ヘッドを図1に示す。この
磁気ヘッド24はオーディオ用磁気ヘッドである。磁気
ヘッド24は、コイル30の巻回された磁気コア26を
シールドケース34内に納置し、さらにシールドケース
34内にエポキシ樹脂を充填して概略構成されている。
パーマロイからなる複数枚の磁気コア26はシールドプ
レート28を介して積層されている。磁気コア26には
パーマロイ以外でも強磁性体であるフェライトやセンダ
スト、Fe-Co-Si-Bアモルファス合金等を使用で
きる。磁気コア26の磁気テープと摺動する前端には磁
気ギャップ32が形成されている。さらに、磁気ヘッド
24には磁気記録装置本体に搭載するためのブラケット
38が設けられ、さらにまた、磁気ヘッド24の磁気テ
ープ摺動面側には磁気テープをガイドするテープガイド
40が設けられている。さらに、図1(b)の拡大図に
示すように、本実施例の磁気ヘッド24では、磁気ギャ
ップ32にSiO2からなるギャップスペーサ42が形
成され、さらにギャップスペーサ42の片側と磁気コア
26の間にはコンタクトメタル44が介在されている。
即ち、磁気コアの磁気ギャップに面する部分である磁気
ギャップ面にコンタクトメタル44とギャップスペーサ
42が順に積層されている配置構成となる。尚、図2
(b)に示すように、ギャップスペーサ42の両側と磁
気コア26の間にコンタクトメタル44,44が介在さ
れていても良い。ギャップスペーサ42には成膜性や安
定性に優れたSiO2が最も好適に使用されるが、Si
4,SiON系材料,サイアロン(SiAlON)等
のSi系絶縁物や、Al23,Ta25等を適用するこ
ともできる。コンタクトメタル44はクロム(Cr)か
らなるが、クロム(Cr)単体以外でもTiCr2,C
rSi2,NiCr,NiCrFe等も適用できる。コ
ンタクトメタル44の膜厚は2nm以上であることが好
ましい。膜厚が2nm以下であると、磁気コアとSiO
2膜の付着性の向上が不十分であるからである。この例
の磁気ヘッド24では、幅1.5μmの磁気ギャップ32
に厚さ1.48μmのギャップスペーサ42と、該ギャッ
プスペーサ42の片側に幅0.02μmのコンタクトメタ
ル44が形成されている。
【0015】この磁気ヘッド24を製造するには、パー
マロイを所定形状に切り出し、略コ字状の半コアを形成
する。この半コアをワーク82として磁気ギャップ面以
外をマスクして図3に示される真空蒸着装置70内に設
置する。この時、ワーク82を複数個設置すれば、同時
に複数の磁気コアを製造することができ、量産性が向上
する。蒸着装置70には、プラネタリ型(基板自公転
型)蒸着装置、ドーム型蒸着装置、反転パレット型蒸着
装置等を使用できる。ワーク82を設置したら、まず蒸
着装置70内を真空ポンプ74を作動させて蒸着装置7
0内を減圧する。そして、るつぼ80に入れてある蒸着
材料(クロム(Cr))を加熱し、クロム(Cr)を蒸
発させる。るつぼ80の加熱には抵抗加熱法や電子ビー
ム法等を使用できる。
【0016】こうしてクロム(Cr)をワーク82の磁
気ギャップ面に蒸着した後に、るつぼ80からSiO2
を蒸発させてSiO2をクロム(Cr)上に蒸着する。
こうして、磁気ギャップ面にコンタクトメタル(クロム
(Cr))とギャップスペーサ(SiO2)が積層され
た半コアが製造される。磁気ヘッド24は、この製造さ
れた半コアにコイル30を巻回すると共に、磁気ギャッ
プ面に何も施していない半コアと接合してなる磁気コア
26をシールドケース34内に納置して製造される。ま
たは、図2に示すように、コンタクトメタル44とギャ
ップスペーサ42が蒸着された2つの半コア26aにコ
イル(図示略)を巻回すると共に一対の該半コア26a
を接合してなる磁気コア26をシールドケース34内に
納置して製造される。本実施例の磁気ヘッドでは、ギャ
ップスペーサであるSiO2膜をスパッタ法でなく、蒸
着法で成膜するものであるので、短時間で成膜すること
ができ、生産性の高いものである。また、製造時に消費
されるエネルギも少なくてすむ。また、SiO2膜が蒸
着法で成膜されているものの、磁気コアとSiO2膜の
間にクロム(Cr)からなるコンタクトメタルが介在さ
れていることで、磁気コアとSiO2膜の付着力も十分
に大きくなり、ギャップスペーサの剥離が生じることも
ない。
【0017】〔実施例2〕実施例2の磁気ヘッドを図4
に示す。この磁気ヘッド48はVTR用の音声/コント
ロール磁気ヘッドである。
【0018】尚、本発明の磁気ヘッドは実施例1に示す
オーディオ用磁気ヘッドや、この実施例2に示すVTR
用の音声/コントロール磁気ヘッドだけでなく、磁気ギ
ャップの中にギャップスペーサを有するあらゆる種類の
磁気ヘッドに適用できる。
【0019】図4に示す磁気ヘッド48は磁気テープと
の摺動面に磁気ギャップ52の形成されたコントロール
用磁気コア56と磁気ギャップ54の形成された音声用
磁気コア58を一体化し、これをシールドケース50内
に納置してなるものである。磁気コア56,58は図4
(b)に示すように、ホルダ68で一体化され、各磁気
コア56,58にはコイル60の巻回されたボビン62
が装着されている。磁気コア56は一対の略コ字状の半
コア56a,56bを接合してなり、磁気コア58も一
対の略コ字状の半コア58a,58bを接合してなる。
【0020】これら磁気コア56,58は、それぞれの
半コア56aと56b、58aと58bを接合する前に
半コア56b,58bの磁気ギャップ面にコンタクトメ
タル66及びギャップスペーサ64を積層しておく。こ
の磁気ギャップ52,54にコンタクトメタル66及び
ギャップスペーサ64を形成する方法は、実施例1に記
載したように蒸着法を使用して形成する。即ち、磁気ギ
ャップ面にまず蒸着法にてコンタクトメタル(クロム
(Cr))66を形成し、その後、そのコンタクトメタ
ル66上にSiO2を蒸着する。こうして半コア56
b,58bにコンタクトメタル66,ギャップスペーサ
64を形成した後に各半コア56aと半コア56b、半
コア58aと半コア58bを接合し、磁気コア56,5
8を製造する。この際、コイル60の巻回されたボビン
62を各磁気コア56,58に装着する。そして、ホル
ダ68で一体化された磁気コア56,58をシールドケ
ース50内に納置して磁気ヘッド48が製造される。
尚、半コア56a,56b,58a,58bの各磁気ギ
ャップ面にコンタクトメタル66とギャップスペーサ6
4をそれぞれ形成した後に、半コア56aと半コア56
b、半コア58aと半コア58bをそれぞれ接合し、磁
気コア56,58を製造しても良い。
【0021】実施例2の磁気ヘッドも実施例1の磁気ヘ
ッドと同様に、ギャップスペーサであるSiO2膜をス
パッタ法でなく、蒸着法で成膜したものであるので、短
時間で成膜することができ、生産性の高いものである。
また、製造時に消費されるエネルギも少なくてすむ。ま
た、SiO2膜が蒸着法で成膜されているものの、磁気
コアとSiO2膜の間にクロム(Cr)からなるコンタ
クトメタルが介在されていることで、磁気コアとSiO
2膜の付着力も十分に大きく、ギャップスペーサの剥離
が生じることもない。
【0022】〔実施例3〕実施例1及び実施例2に示す
磁気ヘッドの製造において、コンタクトメタルないしギ
ャップスペーサを形成する際に、以下の方法で製造する
ことができる。磁気ギャップ面にコンタクトメタルを蒸
着した後、図3に示す蒸着装置70に連通された酸素ボ
ンベ72から蒸着装置70内に酸素ガスを注入し、酸素
ガスの存在下でギャップスペーサであるSiO2を蒸着
する。この際の蒸着装置70における酸素の動作圧力は
7×10-5Torr程度が適している。
【0023】酸素ガス雰囲気中でSiO2を蒸着するこ
とで、SiO2膜に酸素がドープされる。SiO2膜は成
膜後に大気中で変質する傾向があり、その膜厚が変化す
ることがある。従来、大気中に放置されておよそ1時間
で膜厚が約1%増加する。しかしながら、この酸素ドー
プを行なうことで、SiO2膜は安定し、膜厚の経時変
化を防止することができる。
【0024】〔実施例4〕実施例1及び実施例2に示す
磁気ヘッドの製造において、コンタクトメタルないしギ
ャップスペーサを形成する際に、以下の方法で製造する
ことができる。SiO2の蒸着時に、SiO2の蒸着と共
に、酸素ボンベ78と連通され蒸着装置70に連設して
いるイオン銃76から酸素イオンをワーク82に向けて
放出してイオンアシストをする。この際の成膜速度は6
0〜70Å/secで十分であるが、より遅い速度、例
えば10Å/sec位であればより好ましい。イオン銃
76にはカウフマン(Kaufman)型イオン源や冷陰極型
DCマグネトロンイオン源等を適用することができる。
カウフマン(Kaufman)型イオン源を使用した場合、圧
力2×10-4Torr、流量7sccmの酸素ガスを加
速電圧750V、加速電流150mA、アノード電流
0.8A程度でイオン化することで良好に実施できる。
【0025】この酸素イオンのイオンアシストを行なう
ことでSiO2膜中の空孔部分に酸素(O2)が充填さ
れ、SiO2膜の密度が高くなってSiO2膜の膜質が良
好になり、SiO2膜の付着力および耐衝撃性をより高
めることができる。
【0026】〔実施例5〕実施例1及び実施例2に示す
磁気ヘッドの製造において、コンタクトメタルないしギ
ャップスペーサを形成する際に、以下の方法で製造する
ことができる。実施例3で示した酸素ガス雰囲気中でS
iO2を蒸着すると共に、このSiO2の蒸着時に実施例
4で示したイオンアシストを伴う製造方法である。酸素
ドープとイオンアシストを併用することで、各々の利点
を共に得ることができる。即ち、SiO2膜の付着力を
高めると共に、SiO2膜の膜質が安定し、耐衝撃性を
向上することができる。
【0027】〔試験例〕クロム(Cr)とクロム以外の
金属のコンタクトメタルとして必要な諸特性を表1と表
2に示す。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】表1と表2から、磁気コアであるパーマロ
イ及びギャップスペーサであるSiO2との密着性、コ
ンタクトメタルとしての絶対条件である非磁性、そして
硬度、耐蝕性、および蒸着性、コストの全ての点でクロ
ム(Cr)がコンタクトメタルとして格段に優れている
ことが明らかである。
【0031】本実施例の方法で成膜した膜と従来例の方
法で成膜した膜の付着力を試験した。試験は、パーマロ
イからなる基板(10mm角)にSiO2を成膜し、該
SiO2膜にエポキシ樹脂からなる丸棒(φ2)を接着
し、基板を固定した上で該丸棒を上方に引っ張り、Si
2膜が剥離した時の力を測定したものである。サンプ
ルは、 1:パーマロイ上にSiO2をスパッタ法にて成膜した
もの(比較例) 2:パーマロイ上に直接SiO2を酸素ドープ無で蒸着
したもの(比較例) 3:パーマロイ上に直接SiO2を酸素ドープ有で蒸着
したもの(比較例) 4:パーマロイ上にクロム(Cr)を蒸着し、さらにそ
の上にSiO2を酸素ドープ無で蒸着したもの(実施例
1) 5:パーマロイ上にクロム(Cr)を蒸着し、さらにそ
の上にSiO2を酸素ドープ有で蒸着したもの(実施例
3) の5種類とした。試験結果を図5に示す。
【0032】図5から、比較例のサンプル2,3の付着
力は非常に小さいが、本実施例のサンプル5ではスパッ
タ法で成膜したもの(サンプル1)と遜色なく、磁気ヘ
ッドのギャップスペーサとして十分な付着力を有してい
ることがわかる。
【0033】さらに、スクラッチ(引っ掻き)テストを
行なった。スクラッチテストでは、先端の曲率半径が一
定の硬い圧子をサンプルに押し付けて引っ掻き、サンプ
ルの膜面に傷が発生する臨界荷重値から剥離強度を求め
た。試験機には島津製作所(株)製薄膜評価用スクラッ
チテスタを使用した。
【0034】サンプルは上記引っ張り試験同様、1:パ
ーマロイ上にSiO2をスパッタ法にて成膜したもの
(比較例)、2:パーマロイ上にSiO2を酸素ドープ
無で蒸着したもの(比較例)、3:パーマロイ上にSi
2を酸素ドープ有で蒸着したもの(比較例)、4:パ
ーマロイ上にクロム(Cr)を蒸着し、さらにその上に
SiO2を酸素ドープ無で蒸着したもの(実施例1)、
5:パーマロイ上にクロム(Cr)を蒸着し、さらにそ
の上にSiO2を酸素ドープ有で蒸着したもの(実施例
3)の5種類とした。試験結果を図6に示す。
【0035】図6から、比較例のサンプル2,3の剥離
強度は小さいが、本実施例のサンプル4,5はスパッタ
を使用したサンプル1と同程度の剥離強度を有してい
る。従って、磁気ヘッドのギャップスペーサとして十分
な剥離強度を有していることがわかる。
【0036】本実施例の方法で成膜した膜と従来例の方
法で成膜した膜の硬度を試験した。試験は、圧子(ダイ
ヤモンド製、綾角80゜三角錐、先端半径:0.1μm)
をサンプルに押し込み、そのときの押込み荷重と押込み
深さを測定し、それらからサンプルの硬度を算出した。
【0037】サンプルは、1:パーマロイ上にSiO2
をスパッタ法にて成膜したもの(比較例)、2:パーマ
ロイ上にSiO2を酸素ドープ無で蒸着したもの(比較
例)、3:パーマロイ上にSiO2を酸素ドープ有で蒸
着したもの(比較例)、4:パーマロイ上にクロム(C
r)を蒸着し、さらにその上にSiO2を酸素ドープ無
で蒸着したもの(実施例1)、5:パーマロイ上にクロ
ム(Cr)を蒸着し、さらにその上にSiO2を酸素ド
ープ有で蒸着したもの(実施例3)の5種類とした。
試験結果を図7に示す。
【0038】図7から本実施例の方法で成膜したSiO
2膜(サンプル4,5)はスパッタ法にて成膜したSi
2膜(サンプル1)には及ばないものの、磁気ヘッド
のギャップスペーサとしては十分な硬度を備えているこ
とがわかる。ギャップスペーサの硬度は高いほど、磁気
テープとの摺動時に摩耗しにくく寿命が長くなるという
ことの他にも、磁気ヘッドの製造時の取り扱いが容易に
なるので、コストダウンや歩留りの向上などを図ること
ができる。
【0039】本実施例の方法で成膜したSiO2膜と従
来例の方法で成膜したSiO2膜のエッチングレートを
試験した。エッチングレート試験は、フッ化水素とフッ
化アンモニウムを1:10の比率で混合した液に浸漬
(25℃)し、そのときのエッチングされる速度を求め
た。
【0040】サンプルは、1:パーマロイ上にSiO2
をスパッタ法にて成膜したもの(比較例)、2:パーマ
ロイ上にSiO2を酸素ドープ無で蒸着したもの(比較
例)、3:パーマロイ上にSiO2を酸素ドープ有で蒸
着したもの(比較例)、4:パーマロイ上にクロム(C
r)を蒸着し、さらにその上にSiO2を酸素ドープ無
で蒸着したもの(実施例1)、5:パーマロイ上にクロ
ム(Cr)を蒸着し、さらにその上にSiO2を酸素ド
ープ有で蒸着したもの(実施例3)の5種類とした。
試験結果を図8に示す。
【0041】図8から本実施例のサンプル4,5はギャ
ップスペーサとして十分にエッチングレートが小さいこ
とがわかる。エッチングレートは膜の緻密度、即ち密度
の指標とすることができる。つまり、エッチングレート
が小さいほど、そのSiO2膜は緻密であり、密度が高
いことを示す。
【0042】SiO2膜は成膜時には酸素欠乏状態であ
る傾向があり、成膜後に大気に触れることで大気中の酸
素を吸気し、膜厚が増加する。密度が高いとSiO2
は大気中で酸素を吸気しなくなるので、密度が高ければ
経時変化が起こりにくいことを示すことができる。さら
に、密度が大きいと、硬度が高まるので、ギャップスペ
ーサとしてより望ましい。
【0043】上記各種試験結果、即ち付着力、硬度、密
度、さらに耐衝撃性、耐環境性の試験結果の評価を表3
にまとめた。尚、表3において、付着力とは、上記引っ
張り試験、スクラッチテストとテープ剥離試験の総合評
価をしたものである。
【0044】耐衝撃性は、ウォータージェット試験と組
合せ試験から評価したものである。ここで、ウォーター
ジェット試験とは、40kg/cm2の水圧に対して膜
の剥がれの有無を顕微鏡で観察したものである。また、
組合せ試験は、実際に各方法で成膜したギャップスペー
サを有する磁気ヘッドを作成し、それを破壊し、そのと
きのギャップスペーサの剥がれ状態を顕微鏡にて観察し
たものである。
【0045】耐環境性は以下に示す試験結果から総合判
断したものである。 耐熱試験:90℃×72時間 耐寒試験:−30℃×72時間 耐湿試験:60℃×90〜95%RH×240時間 温度サイクル試験:(−30℃×30分)→(RT2
分)→(70℃×30分)→(RT2分)からなる1サ
イクルを5サイクル 温度ショック:100℃×2時間→急冷
【0046】
【表3】
【0047】表3から、本実施例の方法で成膜したSi
2膜(サンプル4,5)は、付着力においてはスパッ
タ法により成膜したSiO2膜(サンプル1)には及ば
ないものの、従来例のサンプル2,3よりは向上してい
ることがわかる。硬度および密度も本実施例のSiO2
膜(サンプル4,5)はギャップスペーサとしては十分
な評価を得ることができている。耐衝撃性および耐環境
性はスパッタ法により成膜した膜(サンプル1)には及
ばないものの、本実施例の方法で成膜したSiO2
(サンプル4,5)は従来例のサンプル2,3よりは格
段に向上していることがわかる。
【0048】本実施例のようにクロム(Cr)を介して
SiO2をパーマロイ上に蒸着した膜の耐環境性が向上
する理由としては、クロム(Cr)の熱膨張係数(6.
2×10-6/℃)がパーマロイの熱膨張係数(13×1
-6/℃)とSiO2の熱膨張係数(0.3×10-6
℃)の中間に位置するからであると考えられる。
【0049】表3から得られる総合評価として、本実施
例の方法で成膜したSiO2膜は磁気ヘッドのギャップ
スペーサとして十分な付着力、硬度、密度、耐衝撃性、
耐環境性を有しているといえる。
【0050】
【発明の効果】本発明の磁気ヘッドの製造方法では磁気
ギャップに介在するギャップスペーサを蒸着法で形成す
るものであるので、短時間でギャップスペーサを成膜す
ることができる。従って、生産性が高く、しかも製造に
要するエネルギも少なくてすむものである。
【0051】しかも、本発明の磁気ヘッドでは、ギャッ
プスペーサを蒸着法で形成するにもかかわらず、磁気コ
アとギャップスペーサの間にクロム(Cr)からなるコ
ンタクトメタルが介在しているので、ギャップスペーサ
の付着力が高まり、ギャップスペーサの剥離が生じるこ
とがない。しかも、付着力の高まりと共に、ギャップス
ペーサの硬度や耐衝撃性、耐環境性も改善される。
【0052】特に、請求項4記載の磁気ヘッドの製造方
法では、ギャップスペーサの蒸着を酸素雰囲気中で行な
うことで、ギャップスペーサの膜質を安定化させること
ができる。
【0053】さらに、請求項5記載の磁気ヘッドの製造
方法では、ギャップスペーサの蒸着にイオンアシストを
伴うもので、付着力、特に耐衝撃性を向上させることが
できる。
【0054】さらにまた、請求項6記載の磁気ヘッドの
製造方法では、ギャップスペーサの蒸着を酸素雰囲気中
でイオンアシストを伴って行なうものであるので、膜質
を安定化すると共に付着力や耐衝撃性を向上することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例の磁気ヘッドの斜視図であって、図1
(a)は要部透視斜視図、図1(b)は磁気ギャップ周
部の拡大図である。
【図2】実施例1の磁気ヘッドにおいて、コンタクトメ
タルがギャップスペーサの両側に形成されている磁気コ
アの側面図であり、図2(a)は半コアを接合する前、
図2(b)は接合した後を示すものである。
【図3】本実施例の磁気ヘッドの製造方法を説明するた
めの概念図である。
【図4】実施例2の磁気ヘッドであって、図4(a)は
斜視図、図4(b)は分解図である。
【図5】引っ張り試験結果を示すグラフである。
【図6】スクラッチ試験結果を示すグラフである。
【図7】薄膜硬度試験結果を示すグラフである。
【図8】エッチングレート試験結果を示すグラフであ
る。
【図9】従来例の磁気ヘッドの断面図である。
【図10】スパッタ法と蒸着法の成膜速度を示すグラフ
である。
【符号の説明】
10 磁気ヘッド 12 磁気コア 14 磁気ギャップ 16 ギャップスペーサ 18 コイル 24 磁気ヘッド 26 磁気コア 26a 半コア 30 コイル 32 磁気ギャップ 42 ギャップスペーサ 44 コンタクトメタル 48 磁気ヘッド 52 磁気ギャップ 54 磁気ギャップ 56 磁気コア 56a 半コア 56b 半コア 58 磁気コア 58a 半コア 58b 半コア 60 コイル 64 ギャップスペーサ 66 コンタクトメタル 70 蒸着装置 82 ワーク
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 蛸島 武広 東京都大田区雪谷大塚町1番7号 アルプ ス電気株式会社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁気記録媒体側に磁気ギャップが形成さ
    れ、該磁気ギャップ内に非磁性体のギャップスペーサが
    介在する磁気コアにコイルが巻回されてなる磁気ヘッド
    において、 磁気コアとギャップスペーサの間にクロム(Cr)から
    なるコンタクトメタルが介在されてなることを特徴とす
    る磁気ヘッド。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の磁気ヘッドにおいて、ギ
    ャップスペーサがSiO2であることを特徴とする磁気
    ヘッド。
  3. 【請求項3】 一対の半コアの磁気ギャップ面にギャッ
    プスペーサを蒸着法で成膜した後に、該一対の対向する
    半コアを接合して磁気コアを形成する磁気ヘッドの製造
    方法であって、 少なくとも一方の半コアの磁気ギャップ面にコンタクト
    メタルを蒸着した後に、該コンタクトメタル上にギャッ
    プスペーサを蒸着することを特徴とする磁気ヘッドの製
    造方法。
  4. 【請求項4】 一対の半コアの磁気ギャップ面にギャッ
    プスペーサを蒸着法で成膜した後に、該一対の対向する
    半コアを接合して磁気コアを形成する磁気ヘッドの製造
    方法であって、 少なくとも一方の半コアの磁気ギャップ面にコンタクト
    メタルを蒸着した後に、酸素雰囲気中で該コンタクトメ
    タル上にギャップスペーサを蒸着することを特徴とする
    磁気ヘッドの製造方法。
  5. 【請求項5】 一対の半コアの磁気ギャップ面にギャッ
    プスペーサを蒸着法で成膜した後に、該一対の対向する
    半コアを接合して磁気コアを形成する磁気ヘッドの製造
    方法であって、 少なくとも一方の半コアの磁気ギャップ面にコンタクト
    メタルを蒸着した後に、該コンタクトメタル上にイオン
    アシストを伴ってギャップスペーサを蒸着することを特
    徴とする磁気ヘッドの製造方法。
  6. 【請求項6】 一対の半コアの磁気ギャップ面にギャッ
    プスペーサを蒸着法で成膜した後に、該一対の対向する
    半コアを接合して磁気コアを形成する磁気ヘッドの製造
    方法であって、 少なくとも一方の半コアの磁気ギャップ面にコンタクト
    メタルを蒸着した後に、酸素雰囲気中で該コンタクトメ
    タル上にイオンアシストを伴ってギャップスペーサを蒸
    着することを特徴とする磁気ヘッドの製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項3〜6のいずれかに記載の磁気ヘ
    ッドの製造方法において、コンタクトメタルがクロム
    (Cr)であることを特徴とする磁気ヘッドの製造方
    法。
  8. 【請求項8】 請求項3〜7のいずれかに記載の磁気ヘ
    ッドの製造方法において、ギャップスペーサがSiO2
    であることを特徴とする磁気ヘッドの製造方法。
JP600692A 1992-01-16 1992-01-16 磁気ヘッド及びその製造方法 Withdrawn JPH0644521A (ja)

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