JPH0642733A

JPH0642733A - 排煙処理装置

Info

Publication number: JPH0642733A
Application number: JP4124133A
Authority: JP
Inventors: Katsumasa Kanekiyo; 勝応金清
Original assignee: NIPPON KANKYO ASESUMENTO CENTE; NIPPON KANKYO ASESUMENTO CENTER KK
Current assignee: NIPPON KANKYO ASESUMENTO CENTE; NIPPON KANKYO ASESUMENTO CENTER KK
Priority date: 1992-04-17
Filing date: 1992-04-17
Publication date: 1994-02-18

Abstract

(57)【要約】（修正有）【目的】硫黄酸化物及び窒素酸化物の排出を抑える。【構成】ブロア２を介挿した排煙導管１の、該ブロア
より上流側部位内に液滴を噴射するノズル３ａを設け、
また、該排煙導管の上記ブロアより下流側には反応槽４
を介挿し、この反応槽内には耐酸性金属網からなる衝突
パネル５を配設し、さらに、この反応槽内には、上記衝
突パネルの上流側部位内に向流方向に液滴を噴霧するノ
ズル３ｂを収納してなる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ボイラーや加熱炉等の
燃料中に含まれる硫黄（Ｓ）や窒素（Ｎ）が燃焼によっ
て酸化され、ＳＯ₂やＮＯ_Xとなって大気汚染の原因とな
るのを防止する排煙処理装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、上記のごとき排煙処理装置として
は、硫黄酸化物の対策として、石灰・石膏法、スクラバ
ー法、活性炭法等が使用され、また、窒素酸化物の対策
には排煙の燃焼部位への還流あるいは燃焼部への水噴射
等が行われている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来の硫
黄酸化物の対策に使用される装置は、排煙をブロアで巨
大な処理槽に導く構造となっているため、設備費として
初期投資が多額で、かつランニングコストも高いという
課題を有している。

【０００４】また、上記従来の窒素酸化物対策は、燃焼
用空気量が不足しがちな場合に一酸化窒素の発生が少な
いことに着目して、緩慢な燃焼状態に制御しようとする
もので、実際にその効果は確認されてはいるが、燃料の
種類、その他諸々の燃焼条件でその効果が左右されるこ
とが多いという課題を有し、なお、効率的な装置の開発
が望まれているものである。

【０００５】そこで、本発明は上記課題を解決すべくな
されたもので、簡易、コンパクトな装置で、硫黄酸化物
および窒素酸化物の排出を効率的に抑止できる安価な排
煙処理装置を提供することを目的としたものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記の目的に沿い、先述
特許請求の範囲を要旨とする本発明の構成は前述課題を
解決するために、ブロア２を介挿した排煙導管１の、該
ブロア２より上流側部位内に液滴を噴射するノズル３ａ
を設け、また、該排煙導管１の上記ブロア２より下流側
には反応槽４を介挿し、この反応槽４内には耐酸性金属
網からなる衝突パネル５を配設し、さらに、この反応槽
４内には、上記衝突パネル５の上流側部位内に向流方向
に液滴を噴霧するノズル３ｂを収納してなる技術的手段
を講じたものである。

【０００７】

【作用】それ故、本発明排煙処理装置は、ブロア２より
上流側部位内に液滴を噴射するノズル３ａを設けたこと
で、効率的な気液接触作用を呈する。すなわち、ブロア
２より上流側部位内のノズル３ａより液滴を噴霧する
と、液滴を含有した排煙はブロア２内に流入し、該ブロ
ア２の翼で激しく攪拌され、気液接触頻度を高める作用
が得られることになる。

【０００８】そして、上記気液接触の結果、排煙中の硫
黄酸化物等の水に溶けやすい物質は液滴中に溶解捕集さ
れ、また煤塵等の固形物質には液滴が付着する作用を呈
する。

【０００９】次いで、液滴を含有した排煙はノズル３ｂ
より噴射される液滴が追加され、衝突パネル５に衝突
し、気体分子をより多く溶解捕集する作用を呈する。

【００１０】上記、衝突パネルへの衝突による溶解効率
の向上作用は、後述するごとく現象面からは、実測デー
タによって容易に確認できるが、理論的説明は残念なが
ら必ずしも明確化されていない。通常、本発明のような
耐酸性金属網からなる衝突パネル５への衝突は、網線で
複雑な渦流が発生して気液接触頻度が向上するからだと
説明される。然し、実測の結果では、水に溶けにくいと
される窒素酸化物までもが、この衝突パネル５への衝突
で水に溶け込むことが確認され、この点は気液接触頻度
の向上のみでは説明できない。そこで、本発明者は、こ
の作用を以下のように推考している。

【００１１】本発明者は、過去にボンベ収納窒素ガスを
標準気体として使用したことがあるが、このボンベ収納
窒素ガスは使用開始時に濃度の測定値が大幅に低下する
現象がしばしば認められた。そこで、この原因を追及し
たところ、ボンベに取りつけた減圧弁の金属部分に窒素
ガスが吸着するのがその原因と判明し、使用開始時にこ
の減圧弁に窒素ガスを数十回高速で吹きつけるよう通過
させ、金属部分に窒素ガスが飽和状に吸着させる（パー
ジと称している）と、以後窒素濃度が安定するものであ
った。この経験に基づき、金属に気体を吸着させ、吸着
した気体を水で洗い流し、金属表面に気体が飽和状態に
吸着されるのを防げば、効率的な吸着が可能となると推
考したことが本発明をなすに至ったもので、衝突パネル
５への窒素酸化物の吸着、液体による吸着物質の溶出作
用があるものと確信される。

【００１２】しかし、上記のごとく衝突パネル５に広い
意味での触媒的作用があることが通説として受け入れら
れている段階でないことも事実で、気流と網線との衝突
エネルギーが水の溶解力を高めるという説も無視できな
い。衝突によって生ずるエネルギー自体が水の溶解力を
高める、気流が高速で網線に衝突すると超音波場が発生
し、この超音波により溶解力が高まる、または、水の分
子結合（クラスタ構造）が衝突により物理的に細分化さ
れ溶解力が高まるなどの説明が可能で、これらの各作用
が、前記した接触頻度の向上あるいは一種の触媒的作用
とあいまって、複合的、相乗的な作用によって溶解力が
向上するものと思われる。

【００１３】

【実施例】以下本発明を添付図面に基づいて詳細に説明
する。図中、１が、排煙導管１で、この排煙導管１の上
流端は排煙発生源に連結され、下流端は煙突等の適宜排
気場所に開口されているのは従来と同じである。

【００１４】そして、上記排煙導管１の途中には、ブロ
ア２より上流側部位内に液滴を噴射するノズル３ａを設
けてある。

【００１５】上記ブロア２は従来公知なものが使用さ
れ、排煙を下流側より上流側に移送するようになしてあ
るのは無論である。

【００１６】また、上記ノズル３ａも従来公知なもの
で、図示例では水槽６に連通する水供給管７の下流端に
連結され、該水供給管７の途中には水をノズル３ａより
噴射するためのポンプ８を介装してある。なお、図示例
では、このノズル３ａは排煙の流過方向に対して向流方
向に液滴を噴射するようになしてあるが、併流方向に液
滴を噴射するようになしても差し支えない。また、この
ノズル３ａはブロア２より上流部位であればよいが、ブ
ロア２の流入口に近い位置とするのが微粒液滴をブロア
２内に供送できて望ましい。さらに、図示例ではブロア
２内にもノズル３ａを複数個設けているが、これらは必
要な噴霧液滴量を確保するためと、できるだけ均一な気
液接触を確保するためで、場合によっては（ブロア２の
回転数による気液混合効率、または、各ノズル３の噴霧
量などの条件）省略してもよい。

【００１７】また、上記ノズル３ａより噴射する液滴
は、通常の水道水でもよいが、アルカリ水溶液等を使用
するのが脱硫に望ましく、ＰＨ８〜１１のアルカリ水溶
液（ＮａＯＨ、ＫＯＨ等）やアルカリ土金属水溶液（Ｃ
ａＣＯ₃ 、Ｃａ（ＯＨ）₂ 、Ｍｇ（ＯＨ）₂ 等）を
中和液として使用すると効果的である。なお、Ｃａ（Ｏ
Ｈ）₂ の水溶液を中和液として使用した場合は、Ｈ ₂Ｓ
Ｏ₃ ＋Ｃａ（ＯＨ）₂→ＣａＳＯ₃ ＋２Ｈ₂Ｏとなるの
はよく知られたことである。

【００１８】そして、上記排煙導管１の上記ブロア２よ
り下流側には反応槽４を介挿し、この反応槽４内には耐
酸性金属網からなる衝突パネル５を配設してある。

【００１９】上記反応槽４は、図示例では排煙導管１よ
り拡径された容器状となし、圧力損失を伴わないような
しているが、ブロア２に充分な容量を有す場合は排煙導
管１の一部をそのまま反応槽４として利用してもよい。

【００２０】また、上記衝突パネル５は、本実施例では
２０メッシュのステンレス金網を１０枚並べて使用した
が、材質は耐酸性を有する金属であればよく、網目の大
きさは圧力損失との兼ね合いでブロア２に大きな負担が
かからない程度に細かくすることが望ましく、使用枚数
は２枚以上であると一枚使用に比較して格段の効率向上
が実測できた。なお、排煙は全量がこの衝突パネル５の
網目を通過するようになしてあるのは無論である。

【００２１】そして、上記反応槽４内には、上記衝突パ
ネル５の上流側部位内に向流方向に液滴を噴霧するノズ
ル３ｂを収納してなる。

【００２２】上記反応槽４内のノズル３ｂは窒素酸化物
用、それより上流側のノズル３ａを硫黄酸化物用とする
ことを意図したもので、図ではこのノズル３ｂも前記ポ
ンプ８に連結し、同じ水槽６の水を噴霧しているが、こ
の反応槽４内のノズル３ｂはできるだけ溶存物質の少な
い水を使用することが望ましく、水供給源を水槽６以外
に変更してもよい。

【００２３】また、上記ノズル３ｂを向流方向に向けた
のは、気液の混合を均一にするためで、ブロア２より上
流側のノズル３ａより噴霧された液滴は下流側でブロア
２で攪拌混合されるが、この反応槽４内のノズル３ｂよ
り噴霧された液滴はこの攪拌混合部がないため交流方向
に噴霧することで均一な気液混合を行っている。

【００２４】なお、図中、３ｃは衝突パネル５の下流側
に設けたノズルで、このノズル３ｃは衝突パネル５より
上流側のノズル３ｂの噴霧量が不足するのを補うことを
主たる目的としているが、衝突パネル５にむけて噴霧を
行うことで該衝突パネル５の目詰まりを防止するように
使用してもよい。また、９は従来公知なミストセパレー
タを示すものである。

【００２５】また、１０、１１はドレーン管で、反応槽
４内のドレーンを水槽６に戻すようになしている。な
お、図では省略したが、水槽６には、ＰＨ測定装置、Ｐ
Ｈ調整剤投入装置、沈殿槽やフィルタ等の水処理装置、
レベル調整装置等の付帯装置が付設されるものである。

【００２６】

【発明の効果】本発明は上記のごときで、ブロア２より
上流側部位内に液滴を噴射するノズル３ａを設けたた
め、該ノズル３ａより噴霧された液滴はブロア２で攪拌
混合され、非常に効率的な気液接触が行え、さらに、液
滴を噴霧された排煙は衝突パネル５に激しく衝突するた
め、さらに気液接触頻度が向上される排煙処理装置を提
供できるものである。具体的には、燃料にメキシコ産マ
ヤ重油（全硫黄分４．３９％、窒素分０．４５％）を１
２０リッタ／ｈで使用し、燃焼装置に３ｔ／ｈの煙管式
ボイラを使用したところ、無対策時のＳＯ₂排出は２０
７８ｐｐｍであったのに対し、ＰＨ１１のアルカリ水溶
液０．５ｍ³ ／ｈ（ノズル総数１８個）で噴霧したと
ころ２２．５ｐｐｍに低減し、脱硫効果は９９％であ
り、中和剤を使用しない水では４６９ｐｐｍで脱硫効果
は７７．４％であった。

【００２７】また、本発明は液滴を噴霧した排煙を衝突
パネル５に激しく衝突させるため、通常は水には溶けに
くいとされるＮＯ_Xおも吸着できる排煙処理装置を提供
できるものである。具体的には、上記と同じ条件で、無
対策時のＮＯ_X排出は２６９．５ｐｐｍであったのに対
し、アルカリ水溶液噴霧運転では２１４．４ｐｐｍに低
減し、脱硝酸効果は２０．４％であった。

【００２８】なお、特筆すべきは、本発明装置が構造が
簡易でコンパクトであるため、設備投資及びランニング
コストが節約でき手軽に使用できるという効果を有する
ものである。また、本発明は集塵効果をも有し、集塵効
率は約７０％と決して高くはないが装置の簡便性から大
気汚染防止に貢献する効果は大きな期待が望めるもので
ある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示す断面図である。

【符号の説明】

１排煙導管２ブロア３ａノズル３ｂノズル４反応槽５衝突パネル

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】ブロア（２）を介挿した排煙導管（１）
の、該ブロア（２）より上流側部位内に液滴を噴射する
ノズル（３ａ）を設け、また、該排煙導管（１）の上記
ブロア（２）より下流側には反応槽（４）を介挿し、こ
の反応槽（４）内には耐酸性金属網からなる衝突パネル
（５）を配設し、さらに、この反応槽（４）内には、上
記衝突パネル（５）の上流側部位内に向流方向に液滴を
噴霧するノズル（３ｂ）を収納してなる排煙処理装置。