JPH0641918Y2 - エアーボート - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 ボートの前部にバウデッキを装備したエアーボートに関
する。

〔従来の技術〕 ボートの上下船の際には舷を跨いで乗降するが、岸壁と
ボート間等、甲板（底板）との間に高低差がある場所で
は舷に乗るか或いは専用の踏み段を使用していた。

エアーボートは舷が気胴にて形成されているので、硬質
船体のボートよりは左右の揺れに対して比較的安定して
いるものの、気胴径が太くて跨ぎづらく、舷が円形でし
かも弾性を有するので、舷に乗った場合、特に波などで
ボートが揺れている時あるいは足元が濡れている時は滑
り易く、ボート、身体共にバランスを失い、転落の危険
があった。

そこでこの問題を解決せんとしたボート、例えばボート
前部に函体を設け、その上蓋をデッキとして使用するボ
ート、或いは三枚板を蛇腹状に三折り可能に連結してバ
ウデッキとしたボートが知られている。

〔考案が解決しようとする問題点〕 しかしながら、前者にあっては函体である為に、コンパ
クト性に欠け、製造、保管等に問題があった。

また後者にあっては、第５図に示す様に舷である気胴に
空気を所定圧まで充填させた後、バウデッキ４′を装着
する方式であり、三枚板を連結する二つの連結部Ｘ、Ｙ
が互いに異なる方向に回動（展開）するので、ボートの
上下動に対してこのバウデッキが跳ね上がって外れてし
まい、上部にストッパーを設けるか或いは下方にロープ
Ｌなどにて引張る必要があった。

本考案は斯かる欠点を解消し、容易に脱落することがな
いバウデッキを簡単に装着でき、しかも船内空間を減ず
ることがない安全に上下船のできるエアーボートを提供
するものである。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案のエアーボートは、複数枚の板状体を互いに蝶着
して平板状とし、展開平面形状をエアーボート前部の平
面形状と略同形とし、且つ前記板状体が同一面方向にの
み回動可能に形成したバウデッキを、折り畳んだ時内側
に位置する面が上側になるようにしてエアーボート前部
の気胴上部に着脱自在に装着してなるものである。

〔実施例〕

本考案の一実施例を図面に基づき説明する。

エアーボート１はゴム引布、ターポリンなどの気密性可
撓性素材からなる気胴２と、木材、合板、FRPなどの硬
質合成樹脂材、アルミニウムなどの金属材、前記気胴２
と同様素材、或いはこれらの積層材からなる船底３及び
バウデッキ４から構成されている。

バウデッキ４は三角形板状体ａの底辺端部と等脚台形板
状体ｂの上底端部とを蝶番Ｈにて連結し、第２図中矢印
方向に180度回動可能に形成してある。各板状体a,bとし
てはFRPなどの硬質合成樹脂板、アルミニウムなどの金
属板、等の剛性を有する素材からなる板状体が用いられ
るが、加工性等の点から木質材の板状体が好ましい。

バウデッキ４の表面すなわち折り畳んだ時に内側に位置
する面Ａには砂つぶ、ポリウレタンの小粒体などの固形
分を含む塗料が塗工されており、防滑処理が施されてい
る。この防滑処理として表面凹凸を有する防滑シート材
を貼着させても、バウデッキ４の表面を凹凸に切削加工
しても良い。

またバウデッキ４の裏面には図に示すように補強材６
（61,62,63）が設けてある。これら上部からの押圧力に
対する板状体a,bの補強機能を有するが、特に蝶着部に
設けた補強材61,62は第２図中矢印方向とは反対方向に
回動するのを防止するストッパー機能をも有している。

バウデッキ４の装着はエアーボート１の前部であるが、
この前部を形成する気胴２上部に貼設された取付片５に
て係止固定する。この取付片５は気胴２と同素材の三角
状の部材で、その二辺を気胴２の上面に接着してあり、
バウデッキ４の先端部をこの取付片５と気胴２上面間に
挿入し、気胴２内圧にて圧着挟持する。第３図はその説
明図である。バウデッキ４を装着する際には、気胴２を
気体未充填状態にしておき、バウデッキ４を「く」の字
型に折り曲げた状態で取付片５に装着する。装着後気胴
２を所定圧とするのであるが、その時バウデッキ４は気
胴２の押圧力によって、まっすぐに戻され、エアーボー
ト１の前部にしっかりと固定される。

この装着時のバウデッキ４は折り畳んだ時に内側に位置
する面Ａを上側とすることが必要であり、この様に装着
すれば、バウデッキ４が二枚の板状体を上面方向に180
度回動可能に蝶着して形成されているので、走行時のエ
アーボート１前部の上動に対応してバウデッキ４は微動
扇回運動する。

また、バウデッキは下面方向、即ちエアーボートの気胴
側にのみ曲がるように装着されるので、気胴がバウデッ
キが曲がるのを阻害し、その結果としてバウデッキが装
着部から外れるのが防止される。

逆に、折り畳んだ時に内側に位置する面Ａを下側にする
と、気胴がバウデッキが曲がるのを阻害する作用がな
く、搭乗者がバウデッキにぶつかった時や、上下船時に
バウデッキの端部に人が乗ったとき等、バウデッキを曲
げようとする方向に力が働いた場合、バウデッキが曲が
り、跳ね上がって外れてしまう。

本考案は上記実施例に限定されるものではない。バウデ
ッキ４を二枚の板状体a,bで形成した例で説明したが、
三枚以上としても良い。エアーボート１は通常バウアッ
プ（先端反り上り）しており、三枚以上とすればこの反
りに対応できてより良好に気胴２に沿って装着出来る。
この時のバウデッキの各板状体の回動可能な方向は同一
であり、且つ二枚の板状体の時と同様、折り畳んだ時内
側に位置する面が上側になるようにしてエアーボート前
部の気胴上部に装着することが必要である。

また、板状体の蝶着方法としては、第４図に示す様に、
蝶着部の上下面に可撓性シート材Ｈ′を貼着する方法で
あっても良く、一方向のみ回動可能に形成する方法であ
れば良い。

また、バウデッキ４を係止固定する方法として取付片５
に替えて雌螺子を気胴２上部に貼設し、雄螺子とにて係
止固定するものでも良く、気胴２にＤ環を貼設し、ロー
プにて係止固定するものでも良い。

〔作用効果〕

本考案のエアーボートは、バウデッキを折り畳んだ時内
側に位置する面が上側になるようにしてエアーボート前
部の気胴上部に装着したので、上下船時にバウデッキ上
に乗っても、気胴によりバウデッキが曲がることが阻害
され、従って舷に乗らずにバウデッキ上に乗ることによ
って安全に上下船することができ、しかも、バウデッキ
表面に防滑処理を施こせば滑ることなく更に安全に上下
船が出来る。

また、バウデッキを複数枚の板状体にて上側にのみ曲が
る様に構成したので、エアーボートの上下動による蝶着
部の跳ね上がりが無く、走行時に脱落することがない。

更にバウデッキは気胴上部の取付片にて係止固定するだ
けで容易に装着でき、しかもバウデッキ下部に特別な係
止具付属品を有しないので、その下部空間を物置などの
収納空間として、また上部を座席として、有効に利用で
きる。

更にまた、バウデッキを装着することで、エアーボート
前部の補強効果を得られる。

【図面の簡単な説明】 第１図は本考案エアーボートの一実施例を示すエアーボ
ート前部の平面図、第２図は第１図の縦方向断面図、第
３図はバウデッキ取付部に於ける一部拡大説明図、第４
図は他の実施例を示すエアーボートに於けるバウデッキ
の断面図、第５図は従来のエアーボートを示す説明図で
ある。 １……エアーボート、２……気胴 ３……船底、４……バウデッキ ５……取付片

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】複数枚の板状体を互いに蝶着して平板状と
   し、展開平面形状をエアーボート前部の平面形状と略同
   形とし、且つ前記板状体が同一面方向にのみ回動可能に
   形成したバウデッキを、折り畳んだ時内側に位置する面
   が上側になるようにしてエアーボート前部の気胴上部に
   着脱自在に装着してなるエアーボート。
2. 【請求項２】前記バウデッキの折り畳んだ時内側に位置
   する面に防滑処理を施したことを特徴とする実用新案登
   録請求の範囲第１項記載のエアーボート。