JPH0641911B2 - 光断層像画像化装置 - Google Patents

光断層像画像化装置

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JPH0641911B2
JPH0641911B2 JP1062897A JP6289789A JPH0641911B2 JP H0641911 B2 JPH0641911 B2 JP H0641911B2 JP 1062897 A JP1062897 A JP 1062897A JP 6289789 A JP6289789 A JP 6289789A JP H0641911 B2 JPH0641911 B2 JP H0641911B2
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勉 市村
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SHINGIJUTSU JIGYODAN
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は生体等の散乱体の吸収分布を求めて光断層像を
高解像度で得られるようにした光断層像画像化装置に関
するものである。
〔従来の技術〕
X線の発見以来、生体(人体)内部を外部より損傷を与
えずに観察する技術(非観血的、あるいは無侵襲的計測
法)は、生物学、特に医学の分野で強く求められ発達し
てきた。この技術は電磁波として見ると最も波長の短い
ガンマ線やX線と、最も波長の長いラジオ波が使用され
ている。前者はX線CTとして、後者はNMR−CT
(Magnetic Resonance Imagi
ng,MRI)として実用化されている。
一方物理や化学の分野で広く用いられている紫外−可視
−近赤外−赤外の領域の分光学を“丸ごと”の生体(i
n vivo)へ応用する試みは比較的少ない。これは
光を用いた生体計測、特に吸収や発光の過程を利用する
ものにおいて、もっとも基本的な“定量性”に関し多く
の問題が解決されずに残されているからである。現在、
固体素子を用いた反射スペクトルの測定装置や高感度T
Vカメラ等による計測が試みられているが、再現性や得
られた絶対値に対し信頼性が少ないのはこの理由によ
る。
生体組織のような散乱体で光を照射した際、180゜向
かい合わせで受光すればある程度直進光を取り出すこと
ができるが、今のところ、その空間分解能はあまり良い
とはいえない。
X線と光とでの空間分離能の差は今のところ埋めること
はできない。しかしながら光、特に近赤外光を用いる
と、血液中のヘモグロビンから組織酸素濃度のイメージ
ングができるはずである。これらは他のNMR−CTや
X線CTと異なった情報を与えてくれるであろう。
3〜5cmの厚さの組織ならばわれわれは透過してきた光
を検出することができる。このことは“光−レントゲン
写真”を診断に使えることを意味する。女性の乳房は組
織が比較的均一であり光が透過しやすく、またその形状
から透過光の検出(厚さ:〜3cm程度)が容易であり、
古くから乳ガンの診断に、Diaphanography(Lightscanni
ng)という名で用いられてきた。このような従来の診断
装置について第38図により説明する。
第38図は従来の光吸収分布像を得る装置構成を示す図
である。図中、401はスキャンヘッド、403は人
体、405はビデオカメラ、407はA/Dコンバー
タ、409は近赤外光フレーメメモリ、411は赤色光
フレームメモリ、413はプロセッサ、415はカラー
変換処理部、417はエンコーダキーボード、419は
D/Aコンバータ、421はプリンタ、423はテレビ
モニタ、425はビデオテープレコーダである。
赤色光(主に血液中のヘモグロビンが強く吸収する)と
近赤外光(血液、水分、脂肪、その他が吸収する)を交
互にライトガイドを介してスキャンヘッド401により
人体の被測定部位、例えば乳房に照射しつつ走査する。
図では下から上方へ光が照射されている。その結果乳房
全体が明るく光り、この透過像をビデオカメラ405で
捉え、A/Dコンバータ407でデジタル信号に変換
し、デジタルスイッチを介して近赤外光、赤色光をそれ
ぞれフレームメモリ409,411に取り込み、両フレ
ームメモリのデータから、プロセッサ413で近赤外光
および赤色光の強度比を演算し、さらにカラー変換処理
してアナログ信号に変換し、プリンタやテレビモニタ、
ビデオテープで光吸収分布像を観測する。
この装置においてはスキャンヘッド401からの光は平
行光ではなく、恰も懐中電燈で照らしたのと同じように
組織(乳房)で拡がっており、これをビデオカメラのよ
うな2次元検出器で受けるので分解能はあまり良くな
い。
この点を改良し、コリメートした照射−受光システムを
用いた例を第39図により説明する。
第39図はコリメートした照射−受光系を使用した従来
の光吸収分布像を得る装置構成を示す図である。
この例においては、光源にレーザ光を使用し、光ファイ
バ433でレーザ光を導いて測定対象435に照射し、
その透過光をファイバコリメータ437で捉えて検出器
443で電気信号に変換し、前処理回路445、A/D
コンバータ447、インターフェース449を介してコ
ンピュータ451で信号処理する。この場合に照射用光
ファイバ433と検出用のファイバコリメータ437を
モータ439で同期してスキャニングすることにより測
定対象各部位の光吸収分布像を得てモニタ453で観察
している。
なお、光源は赤色光として633nmのHe−Neレー
ザー、近赤外光として830nmの半導体レーザーを用
いる。この診断装置は1977年,Jobsisらがネ
コや人の頭部に近赤外光を照射して透過した光の検出に
成功し、その透過光量が動物の呼吸状態で変動すること
を報告した。700〜1500nmの波長の近赤外光は
ネコの頭程度の大きさの組織であれば5mW程度の照射
光量で十分に透過した光を検出でき、この光量は現在の
レーザーの安全基準の約1/50以下である。また、わ
れわれが海岸で浴びる近赤外光の約1/10程度でもあ
り非常に安全である。
〔発明が解決すべき課題〕
ところで、生体等による光を照射した場合、その透過光
には試料による吸収と散乱が生ずる。
第40図はTwerskyの散乱理論曲線を示す図であり、赤
血球浮遊液の吸光度とヘマトクリプト濃度との関係を求
めたもので、波長940nmのレーザ光を照射したとき
得られる透過光強度及び透過光の散乱成分と吸光度成分
とを示したものである。
第40図から分かるように、透過光には吸光度成分に大
きな散乱成分が重畳されている。散乱成分は方向性がな
いため、いろいろな部位からの散乱光が含まれてしま
い、光断層像をぼけたものにしてしまう性質がある。そ
のため単に透過光を検出してもこの散乱成分のために必
要な情報の吸光度成分を精度よく検出することができな
い。
ところで、第38図、第39図に示すような従来の装置
においては、第41図(a)〜(c)、第42図
(a)、(b)のいずれかに示す方式で透過光を検出し
ている。
第41図(a)は試料460に対して細束ビームを照射
し、所定の開口径を有するスクリーン462を通して検
出器464で透過光を検出する方式である。しかし、細
束ビームは試料により散乱されて検出器の前の開口径に
よって決まる受光指向性の光束が検出されているので、
細束ビームの広がり具合で直進光束以外の光、即ち、散
乱成分も検出してしまうことになる。
第41図(b)は太束平面波を試料460に照射し、所
定の開口径を有するスクリーン462を通して透過光を
検出器464で検出する方式である。この場合も、同様
に開口径によって決まる受光指向性内の光束が検出さ
れ、直進する光束以外の散乱光も検出することになる。
第41図(c)は試料460の後方にレンズ466を配
置して結像させ、検出器464で検出するようにしたも
ので、試料各点から出る発散球面波をレンズを用いて結
像点に結像する集束球面波として検出していることにな
るため、光束の直進成分だけでなくレンズの口径と焦点
距離で決まる受光指向性の光束が検出され、同様に散乱
成分を全て拾ってしまい、極めて解像度が悪いことにな
る。
第42図はファイバコリメータで透過光を検出するもの
で、同図(a)はコアとクラッドとの屈折率を階段状に
変化させた方式、同図(b)はコアの屈折率に分布を持
たせた方式である。どちらの場合にも、ファイバコリメ
ータはある立体角の範囲の光を受光してしまうため、直
進成分以外の光、即ち散乱光を受光してしまうことにな
り、極めて解像度の悪いものとなってしまう。
本発明は上記問題点を解決するためのもので、透過光に
多くの散乱成分が含まれる場合にも、その散乱成分を確
実に除去し、必要な吸収成分の情報のみを抽出して解像
度のよい光断層像を得ることができる光断層像画像化装
置を提供することを目的とするものである。
〔課題を解決するための手段〕
本発明においては、内壁面に光吸収材を塗布するか、コ
ア部分の屈折率をクラッド部分の屈折率より小さくした
直線状の中空細管、或いはこれらを束ねたもの、また壁
面に吸収材を塗布した複数のプレート2組を互いに交差
させて配置した高指向性結像系を使用する。レーザー光
がコヒーレントな光波であり、鋭い指向性を有すること
を利用し、レーザー光を測定対象に照射してその透過光
を高指向性結像系で受光する。入力波がフラウンホーフ
ァ回折により平面波となり、その直進成分だけを検出
し、直進成分以外は減衰させてしまう。すなわち、イン
コヒーレント光、散乱光などの無指向性な光は、高指向
性結像系で受光すると、減衰が大きくて結像系からの再
放出光は利用出来る程の強さではなく、レーザー光のよ
うなコヒーレント光は、あまり減衰せず強い再放出光と
して取り出すことができる。したがって、本発明は、コ
ヒーレント光をインコヒーレント光から分離する機能を
有している。このような高指向性結像系を使用し、人体
等の散乱体を含む対象物にレーザ光を照射してその透過
光を検出することにより、散乱成分の影響を除去して高
解像の光断層像を観測することが可能となる。
〔作用〕
本発明はレーザ光を照射光源として使用し、生体のよう
な散乱成分を多く含む透過光を検出して光断層像を得る
場合に、透過光のうち光軸に平行な直進成分のみを取り
出し、光軸に平行でない成分は減衰させることにより散
乱成分を確実に除去するものであり、光吸収情報のみを
取り出すことができるので、極めて解像度よく生体等の
光断層像を観測することが可能となる。
〔実施例〕
以下、実施例を図面を参照して説明する。
第1図は本発明の光断層像画像化装置に使用する平面波
高指向性結像素子を示す図である。図中、100は高指
向性結像素子、103は光吸収材、105はコア、10
7はクラッドである。
第1図(a)において、高指向性結像素子100は例え
ば直線状の細長い中空のガラス繊維からなっており、そ
の内壁面には光吸収材、例えばカーボン等が塗布されて
いる。
入射面105から光が入射したとすると、結像素子10
0の光軸に平行な光は直進して出射面107から出射す
るが、光軸に対して傾きをもった光は壁面に当たって吸
収材103により吸収されて出射面側には現れない。こ
こで、高指向性結像素子103の開口径をD、長さを
l、入射光の波長をλとしたとき、光軸に平行でない成
分が吸収され、出射面側で完全に平面波によるフランフ
ォーファー回折像として、略点光源となりそれを検出す
ることにより結果的に平面波のみ検出される長さlは、
l∝D2/λの関係がある。即ち、フランフォーファー
回折像が観測できる距離である。
例えばλ=6328Åの場合、D=10mmのとき、l=
600m、D=1mmのときl=6m、D=0.1mmのと
きl=6cm、D=0.01mmのときl=0.6mm、D
=1μmのときl=6μm、D=0.5μmのときl=
1.25μmである。
従って、適宜測定対象に応じて開口径と長さを設定し、
結像素子を入射開口径に比して充分長くすれば、高指向
性結像素子に入射した光のうち、光軸に平行な平面波の
みが出射面から取り出せることになる。但し、管径が入
射光の波長に比較して大きく略平面波伝播ができる必要
がある。もし入射光波長と同程度の径となると回折が大
きく出射面から取り出せる光量は極端に小さくなる。
第1図(b)は通常の光ファイバとは逆にコア109の
屈折率をクラッド111の屈折率よりも小さくしたもの
で、光軸に平行でない光はクラッド111で全反射され
ず散逸し、一部反射されたとしても何回か反射を繰り返
すうちに光軸でない光は全て結像素子外に失われてしま
い、結局出射面107からは光軸に平行な平面波のみを
取り出すことができる。なお、第1図(a)(b)を組
み合わせ、クラッドの内面に光吸収材を塗布するように
してもよい。
第2図は第1図に示した高指向性結像素子を円筒状に束
ねた実施例を示す図である。図中、120は高指向性結
像系、121は放射指向パターンである。この放射指向
性は、入射光波長入と管径Dで決まり、管径が小さい程
球面波放射に近づく。
図に示すように、高指向性結像素子100を円筒状に束
ねて高指向性結像系120を構成すると、各高指向性結
像素子からは放射指向パターン121で示す出射光が得
られるので、入射側に散乱光および平面波を含む光を入
射させると、出射面107からは平面波によるフランフ
ォーファー回折像として略点光源となり、それを検出す
ることにより、結果的に平面波のみを検出することが可
能である。したがって、高指向性結像系120の受光面
を所定の大きさになるようにすれば、人体等の透過光を
所定の範囲で一度に検出することができ、光断層像を得
るための高解像検出器として使用することができる。
第3図は第2図に示した高指向性結像系の入射面側に凸
レンズを設けた例を示す図である。図中、123は凸レ
ンズ、125はピンホールである。
第3図(a)は入射面に凸レンズ123を設けた例を示
す図であり、本実施例では凸レンズ123によりフラン
フォーファー回折像を焦点面に作り、平面波の入射光を
収束させ、それ以外は結像素子100の内面で吸収させ
るようにしており、光軸に平行な直進光成分のみ検出す
ることができる。この場合、高指向性結像素子の長さ
は、レンズの焦点距離となりピンホールで光を取り出
す。
また、第3図(b)に示すように凸レンズ123の焦点
位置にピンホール125を設け、高指向性結像素子を長
くすることもできる。この場合、ピンホール125の位
置は凸レンズの焦点距離をfとしたとき焦点位置で、検
出器の位置はレンズに対してfより遠方であればよい
が、2fより離すと高指向性結像素子の壁での損失が増
大するので、f〜2fの範囲とすることが望ましい。
第4図は高指向性結像系の入射面側に光ファイバ127
を設けた例を示す図で、光ファイバはコア部分の屈折率
がクラッド部分の屈折率よりも大きいため、第3図にお
ける凸レンズと同様の役割をし、指向性を向上させるこ
とが可能となる。これとは逆に高指向性結像系の出射面
側に、光ファイバーを設けることにより、フレキシブル
な像の取り扱いが可能となる。
第2図〜第4図に示したものは、例えば薄膜製造技術等
を応用することにより、第5図に示すようなマルチチャ
ンネルタイプに形成することにより高解像度の結像系と
して形成するようにしてもよい。
次に、第6図〜第8図により本発明の球面波高指向性結
像系を説明する。
第6図は球面波高指向性結像系の基本的な構成を示す図
で、各高指向性結像素子の光軸が一点から発散する形と
なるように放射状に束ねて円錐状に構成したものであ
る。
本実施例においては、各高指向性結像素子100の光軸
に平行でない入射光は減衰してしまい、光軸に平行に進
行する球面波のみ出射面から取り出すことができる。
第7図は第6図の結像系の入射面側に凸レンズ123を
設けたもので、凸レンズは第3図の場合と同様な作用を
し、より高指向性を向上させることができる。もちろ
ん、第7図の例においても第3図(b)で説明したと同
様にピンホールを設けて一層指向性を向上させるように
してもよい。
第8図は入射面側に光ファイバ127を設けたもので、
光ファイバは凸レンズと同様の働きをし、指向性を向上
させることができる。また、その逆の接属も可能であ
る。
第9図は第6図〜第8図の高指向性結像素子の束ね方を
示す図で、各結像素子は同一点から放射状に発散する光
軸を有するように束ねることにより、球面波に対する高
指向性結像系を構成することができる。この場合、各高
指向性結像素子100を入射面側から出射面側に連続的
に太くなるように一端の径は小さく、他端の径は大きい
細管とすることにより、球面波の中心点から放射される
球面波のみを透過させる球面波高指向性結像系を構成す
ることができる。
第10図は高指向性結像素子を矩形断面のもので構成し
た例を示し、矩形断面の各高指向性結像素子101を束
ねることにより、或いは複数のプレートを用い、一方に
孔を開けて交差させて構成してもよく、円筒状の結像系
の場合と同様に高指向性の結像系を構成することができ
る。
第11図は互いに直交するように分離配置した2組の光
学プレート群150,151により第10図の場合と同
様の高指向性結像系を構成した例を示す図である。本実
施例においては、まず高指向性光学プレート150によ
り、進行方向が垂直方向に光軸に対して角度を有する光
が減衰され、次に高指向性光学プレート151により、
進行方向が水平方向に光軸に対して角度を有する光線が
減衰させられ、結果として出射面側からは2組のプレー
トに平行な光線のみを取り出すことができる。
第12図(a)は矩形断面の球面波高指向性結像系を示
す図で、矩形断面積が連続的に大きくなるようにした複
数の光学素子を束ねるか、垂直方向の高指向性光学プレ
ート群と、これに交差する高指向性光学プレート群を、
一点から発散する光軸を有するように放射状に交差させ
ることにより構成したものである。
また、第12図(b)は所定の角度で発散するように放
射状に分離配置した2組の高指向性光学プレート群16
1,162により構成した高指向性結像系を示し、第1
1図の場合と同様に各プレート群161,162によ
り、その光軸方向に進む球面波以外を全て減衰させて所
定の球面波のみを取り出すことができる。
第13図は本発明における試料に対するレーザ光照射方
法を説明するための図で、図中170は試料、171は
ビーム縮小器、173は走査装置、175はビーム拡大
器、177は凸レンズである。
第13図(a)においてはビーム縮小器171によりビ
ームを細くし、走査装置173によりX軸、Y軸方向に
走査しながら試料170を照射する。試料170の透過
光は試料による吸収の情報を帯びた光と試料により散乱
された光とからなり、この透過光を本発明の高指向性結
像系で検出することにより、散乱光を減衰させて吸収の
情報を帯びた光のみを検出することができる。
第13図(b)においてはレーザ光をビーム拡大器17
5で拡大した平面波を試料170に照射することにより
走査機構を必要とせずに検出することができる。
第13図(c)は凸レンズ177によりレーザ光から球
面波を得、これを試料170に照射するようにしたもの
で、この場合は本発明の球面波高指向性結像系を使用す
ることにより、吸収の情報を帯びた光のみを検出するこ
とができる。
第14図は本発明の高指向性結像系を用いて試料透過光
を検出する例を示す図である。
第14図(a)においては、試料から透過した直進する
光のみを検出する場合を示し、高指向性結像系100を
使用し、検出器180により各光学素子の直径と長さで
決まる光束のみ結像素子内を進行し、これを検出する。
この場合、管の長さを長くすることにより指向性を一層
高くすることができる。
第14図(b)は球面波の透過光を検出する場合を示す
図で、球面波高指向性結像系130を使用し、検出器1
80により検出することにより所定の角度で発散する球
面波のみを検出することができる。
第14図(c)は望遠鏡を用いた本発明の他の実施例を
示す図である。図中、182は望遠鏡、184はレンズ
である。本実施例においては望遠鏡182の焦点距離f
がカメラレンズに比較して非常に大きいレンズ184を
使用し、その開口径をDとすると、視野角はD/fで決
まり、非常に小さくなる。従って試料に光を照射し、そ
れから充分離れた距離l、但しlはl>fの距離に配置
することにより検出器に入ってくる光束は視野角の範囲
のほぼ直進成分のみが得られる。但し、本実施例では充
分密に複数の望遠鏡を束ねることが困難であるので、同
時並列処理が出来ないが、単本で使用し、走査すること
によりシャープな画像を得ることができる。
第14図(d)は本発明の検出方式の概念図である。図
中、181はレーザ光源、170aは吸収体、170
b,170cは散乱体、186はレンズである。
図に示すように、生体等の測定対象は散乱体170b,
170cおよび吸収体170aが併存する形になってお
り、これにレーザ光源を照射し、本発明の高指向性結像
系を用いて検出することにより散乱体による散乱成分は
除去し、吸収体による吸収成分のみ検出することができ
る。
なお、本発明の高指向性結像系による検出は、第15図
(a)に示すように、直接検出器180により検出した
場合、各結像素子から得られる光が分離しているために
像が不連続な点の集まりとして観測されること、さらに
各受光素子からの光が干渉して不要な干渉縞が生じる可
能性がある。そこで、第15(b)に示すように、高指
向性結像系と検出器180の間にスリガラス183を挿
入することにより不連続な光の集まりとして観測される
像を平滑化して綺麗な像にすること、さらに各結像素子
の出力光の干渉性をなくして干渉縞が生じないようにす
ることができる。
高指向性結像系からの出力光の検出は第16図(a)に
示すように、点検出器185をX軸、Y軸方向に走査す
ることにより検出してもよく、また第16図(b)に示
すように1次元アレイ検出器187を一方向、図ではY
方向に走査することにより検出してもよく、また16図
(c)に示すように、2次元検出器189により一度で
検出するようにしてもよい。
なお、本発明においては連続色素レーザ、パターン色素
レーザ、YAGレーザ、半導体レーザ等のレーザ光を使
用することができ、また検出器としては可視領域、近赤
外領域を検出可能なフォトダイオード、フォトダイオー
ドアレイ、MOSアレイ、CCDセンサ等の半導体検出
器や光電子放出タイプのピジコン、イメージオルシコン
等を利用することができる。また増倍機能の付いた検出
器としてはダイノードやアバランシェフォトダイオード
と2次電子検出を組合わせたもの、マイクロチャンネル
プレートで2次電子増倍し、螢光面の螢光像をダイオー
ドアレイ、ビジコン、イメージオルシコン等で検出する
もの等、適宜使用することができる。
第17図は本発明の光断層像画像化装置の全体構成を示
す図で、図中、201,203はレーザ、205はセク
タ、207はレーザ照射系、209は試料、211は検
出部、211aは高指向性結像系、211bは検出器、
211cは同期検波器、213はデータ処理部、213
aは吸収分布算出部、213bは3次元分布算出部、2
15は試料台制御部、217は試料台駆動部である。
図において、セクタ205によりレーザ201,203
より波長λ、λのレーザ光を交互にレーザ照射系2
07を通して試料209に照射する。試料209からの
透過光は本発明の高指向性結像系211aを通して検出
器211bにより検出する。その検出信号はセクタ20
5の駆動信号により同期検波し、データ処理部213で
吸収分布を測定する。同時にデータ処理部213により
試料台制御部215、試料台駆動部217を通して試料
209を回転ないし移動させることにより、試料の各部
位において吸収を受けた透過光を検出してデータ処理部
213により吸収の3次元分布像を求め、光断層像を得
ることができる。なお、試料からの透過光は、一般に散
乱成分と吸収成分とが混在することになる。
第18図は酸素化ミオグロビン、脱酸素化ミオグロビン
の波長に対する吸光度特性の例を示し、散乱成分は波長
依存性が小さく、ほぼ一定な値をとる波長領域を有して
いる。そこで散乱成分がほぼ一定な波長λ、λを使
用し、それぞれの吸光度を差し引くことにより散乱成分
を除去することができる。但し、本発明においては高指
向性結像系によりこの散乱成分が完全に除去できるが、
2波長法を採用することにより吸収の絶対量を算出する
ことができる。
一般に、生体組織に対する分光測定は本質的に散乱粒子
を含む不均一系での測定となる。この場合、透明試料で
成立するBeer-Lambert則が必ずしも成り立たない。この
ような濁った試料に対する測定法として2波長法と差ス
ペクトル法とがある。試料が低濃度で、Beer-Lambert則
が成り立つ場合を考え、第19図(b)に示すように照
射光量をI、透過光量をIとすると logI0/I=εcd ……(1) ここでエプシロンは吸光係数、cは濃度、dは光路長で
ある。
2つの異なった波長λλについて同様に logI0(λ)/I(λ)=ε(λ)cd……(2) logI0(λ)/I(λ)=ε(λ)cd……(3) となる。(2)式、(3)式より logI(λ)/(λ) −logI0(λ)/I(λ) =ε(λ)−ε(λ)cd……(4) となる。即ち、2つの波長の吸光度の差は濃度に比例す
ることになる。また、懸濁試料では第19図(b)に示
すように、Iを入射光とすると透過光の外に散乱、反
射成分Iが生ずる。従って logI0/I=εcd+I ……(5) ここで、Iは散乱による減衰を示す。したがって同様
に、 logI(λ)/I(λ)=ε(λ) −ε(λ)cd−logI0(λ)/I(λ) +(I(λ)−I(λ))……(6) となる。
従ってI(λ)がI(λ)に等しければ、散乱
の影響を除いて吸光度の差を求めることにより、試料の
濃度を測定することができ、またλとλを接近させ
ると、散乱等の影響はほぼ等しいと仮定することができ
るので、吸光度の差により試料の濃度を求めることがで
きる。
第20図は2波長検出方式における自動利得制御を説明
するための図である。図中、205はセクタ、220は
モータ、222は同期信号発生器、224は検出系、2
26は増幅器、228は同期検波回路、230は帰還回
路、232は増幅器、234は信号処理装置である。
図において、モータ220によりセクタ205を回転さ
せ、検出系224によりリファレンス信号Rと検出信号
Sとを交互に取り出し増幅器226に入力させる。一方
モータ220の回転に同期した信号を同期信号発生器2
22により発生させ、この同期信号により増幅器226
の出力を同期検波し、検出信号Sとリファレンス信号R
とを分離する。分離したリファレンス信号Rを帰還回路
230を通して増幅器226の入力に負帰還させてゲイ
ン調整をする。
こうしてリファレンス信号が一定になるようにゲイン調
整された状態で信号Sを取り出し、これを信号処理装置
234で処理することにより試料の吸収情報を得ること
ができる。
第21図は第20図の自動自得制御系を多素子検出系に
適用した場合を説明するための図である。
多素子検出器224Mの各検出器に対応して第20図の
自動利得制御系を設け、各制御系からの出力をアナログ
スイッチ238により切り換えて取り出すことにより、
各検出器に対する信号のゲイン調整を行うことができ
る。
第22図はサンプルホールド方式による吸光度差検出方
式を説明するための図である。図中、240は検出系、
242は増幅器、244は同期信号発生回路、246は
同期検波回路、248a,248bはサンプルホールド
回路、250a,250bは対数増幅器、252は合成
回路、254はA/Dコンバータである。
検出系240で検出した信号は、増幅後同期検波回路2
46で2波長、例えばλ、λに分離され、それぞれ
サンプルホールドされた後、対数増幅され、減算回路2
52で減算させることにより波長λ、λに対する出
力の比の対数値が得られる。これは前述したように吸光
度の差、即ち試料の濃度を表し、これをA/Dコンバー
タ254でデジタル量に変換し、計算器等によりデータ
処理を行うことになる。
第23図は第22図のサンプルホールド方式を多素子検
出系に適用して、各複数の各検出器からの信号により吸
光度差を検出する例を示す図である。
第23図においては検出器4個に対して1組の対数増幅
器と1つの減算器を対応させ、切り換えスイッチ256
a,256bを用いて切り変えることにより対数増幅器
を共用し、各減算回路から得られる出力をアナログスイ
ッチ258を通して取り出し、それぞれA/Dコンバー
タ254によりデジタル出力を得るようにしている。
第24図、第25図は周波数成分検出による電気的直接
比検出方式を説明するための図で、図中260は検出
器、262は前置増幅器、264は信号成分分離回路、
266,268はフィルタ、270,272は同期整流
回路、274は同期信号発生器、276は加算回路、2
78は比率演算回路、280は記録器、282は演算回
路、284はセクタである。
本方式においては、セクタ284は第25図(a)に示
すように、4領域に分け、領域Pが信号を通さないダ
ーク領域、P,P領域が波長λの信号を通す領
域、P領域が波長λの信号を通す領域になってい
て、このセクタを回転させることにより、第25図
(b)に示すように、D,λ,λ,D……というよ
うなシーケンスの信号を取り出す。
この信号は直流成分を阻止することによりλの周波数
をfとし、λの信号の周波数を2fとする交流信号と
して検出することができる。いま、第24図に示すよう
に検出器260で、第25図(c)のような信号を検出
し、前置増幅器262で増幅して周波数f,2fを通す
フィルタ266,268でフィルタすることにより、そ
れぞれλ、λの信号を抽出する。この信号を同期整
流回路270,272で同期検波することよりそれぞれ
波長λ、λに対応した信号を抽出する。
ところで、波長λ、即ち周波数2fの信号には周波数
f、即ちλの信号が重畳されているので、加算回路2
76で波長λの成分を減算して除去することにより、
それぞれI(λ)、I(λ)の信号を分離して取り
出すことができ、比率演算回路278でこれらの比率を
演算することにより、吸光度の差に応じた信号を取り出
すことができ、これを記録器280で記録する。
こうして2波長の信号をそれぞれ周波数f,2fの信号
として割り付け、それらの周波数成分を検出することに
よりノイズの影響を受けない信号として検出することが
可能である。
第26図は第24図の検出方式を多素子の検出系に適用
した例を示しており、多素子検出器260Mの数に対応
したプリアンプ、信号成分分離回路、演算回路をそれぞ
れ接続配置し、マルチプレクサ284によって順次切り
換えて各信号を取り出すようにしている。
以上は検出光強度が比較的強く、出力として連続出力が
得られる場合の例であるが、以下で極微弱光測定方式に
ついて説明する。
第27図、第28図は極微弱光測定方式を説明するため
の図である。図中、290はレーザ光源、292はチョ
パー、294はフォトマルチプライヤ(PM)、296
はパルス増幅器、298は波高弁別器、300はゲー
ト、302は位相器、304はゲート出力発生器、30
6は加減算カウンタ、308は記録計である。
PMで光を検出するとき、検出すべき光の強度が強い場
合にはPMの出力は連続的になり、その直流成分から入
射光強度が測定できる。しかしながら、入射光強度が極
めて弱くなった場合にはPMの出力は離散的となり、不
連続なパルス出力となる。このパルス出力をカウントす
ることによりフォトン1個づつのような極微弱な入射光
を測定することができる。しかし、このような極微弱な
光を測定する場合にはPM自身が雑音パルスを放出する
ためバックグラウンドを検出してしまうので、このよう
なバックグラウンドを除去する必要がある。そこで、第
27図の例においては信号光とバックグラウンドとをチ
ョッパーにより切り換え、それぞれの期間に検出される
出力を加減算カウンタにより減算してバックグラウンド
を除去し、極微弱な入射光を測定している。
第27図において、極微弱な入射光をチョッパー292
によりチョッピングしてPM294で検出する。このと
きチョッパーの切り換え周波数fを参照信号として位
相器302、ゲート信号発生器304を通して加減算カ
ウンタ306を駆動する。PM294の出力はパルス増
幅器296で増幅した後、波高弁別器298で波高弁別
し、一定の大きさ以上の信号、即ちパルス出力をゲート
300を通して加減算カウンタに加える。加減算カウン
タではチョッパー292でチョッピングした信号および
バックグラウンドの検出出力を加減算する。
いま第28図(a)に示すようにチョッパーが開いてい
る間は信号SとノイズNの合計の出力が得られ、チョッ
パーが閉じている期間にはバックグラウンドのノイズN
が得られたとする。ゲート300はこのチョッパーに同
期し、第28図(b)(c)のように、チョッパーが開
いている間は加算し、チョッパーが閉じた期間は減算す
るように加減算カウンタ306のゲート制御を行う。こ
うすることによりノイズは全ての期間にわたって一定に
現れる性質があるので、加減算カウンタ306の出力か
らはノイズが除去され信号Sを検出することができる。
第29図、第30図は第27図に示した検出方式を2波
長検出方式に適用した場合を示している。図中、第27
図と同一番号は同一内容を示し、カウンタ306b,3
06cはそれぞれ波長λ、λについての加減算回路
を構成している。
いま第30図(a)(b)(c)に示す信号をゲート制
御回路312に加えることにより加減算カウンタ306
b,306cをゲート制御する。第30図(a)に示す
ゲート信号の期間は波長λの信号が、加減算カウンタ
306bで加算され、第30図(b)のゲート信号の期
間には波長λの信号が加減算カウンタ306cで加算
され、第30図(c)のゲート信号の期間には両加減算
カウンタ306b,306cでバックグラウントの信号
が減算される。その結果、加減算カウンタ306b,3
06cからはそれぞれ波長λ,λについての信号出
力が得られ、演算処理装置310でそれらの信号の比率
を演算することにより、吸光度の差を検出することがで
きる。
第31図は第29図の方式を多素子検出系に適用した場
合で、各加減算カウンタ306−1〜306−nの出力
をメモリ314−1〜314−nに記憶させておき、そ
れらを順次演算処理装置310に取り込んで、2波長の
比率演算を計算することによりそれぞれの検出器によ吸
光度の差を測定することができる。
第32図は上腕の近赤外吸収スペクトルを示し、Iは脂
肪の少ない男性の例、IIは脂肪の多い女性の例、IIIは
脂肪のみ、IVは水の吸収スペクトルである。
脂肪の多い女性の上腕のスペクトルには水による970
nmの吸収とともに脂肪に由来する930nmの吸収の
山が明らかに見られる。一方脂肪の少ない男性の腕はこ
の930nmの吸収は小さな肩として見られるのみであ
る。このようなスペクトルの差から相対的な脂肪含量を
計算することができ、その値は実際に分析したものと良
い相関を示す。
ところで、生体は正常な機能を営む時、酸素の供給はも
っとも不可欠な因子であり、例えば心筋梗塞や脳梗塞は
血管が一部つまることにより血流が途絶えた結果組織へ
の酸素供給が断たれ、細胞の不可逆的な懐死に到るもの
である。この生体組織中の酸素濃度の測定は歴史的にも
光計測が最初に応用され、その後、現在までもっとも多
くの成果が得られている。光生体計測とは、端的にいえ
ば、チトクローム酸化酵素、ミオグロビン(Mb)、ヘ
モグロビン(Hb)、ビリジンヌクレオチド(NAD
H)の四つの色素蛋白質(Chromophore,クロモホア)
の吸光度、および螢光強度を生体で追ったものにほかな
らない。
以下では、チトクローム酸化酵素、ミオグロビン(M
b)、ヘモグロビン(Hb)、ビリジンヌクレオチド
(NADH)の四つの色素蛋白質の吸光度、および螢光
強度について概略説明する。
第33図(a)は酸素化ヘモグロビン溶液の可視及び近
赤外吸収スペクトルを示す図である。
われわれが一番見なれている“分光学的酸素濃度指示物
質”は血液でる。動脈の血(酸素が十分にある)はきれ
いな赤色しているのに、酸素の少ない静脈血は黒っぽく
見える。これは血液の中の赤血球に含まれるHbが酸素
と結合した時としない時で色が変わることを反映してい
る。そのスペクトルは、第33図(a)に示すようにな
り、これを本発明の高指向性光学系を用いて検出し、色
の変化(吸収変化)を光学的に追いかければ、血液中の
酸素量を知ることができる。
第33図(b)はミオグロビンの可視領域における吸収
スペクトルを示す図である。
ミオグロビンは主に哺乳類の筋肉細胞の中に多量に存在
して血液中のヘモグロビンと同様に鉄−ポルフィリンを
持っている。豚肉や牛肉の新鮮なものがきれいな赤色を
しているのはこの蛋白質の色である。この蛋白質は前に
述べたチトクロームより約5〜10倍多く含まれるの
で、筋肉に光を照射した場合このミオグロビンが大部分
の可視領域の光を吸収する。
今筋肉が収縮を始めるとミオグロビンは最初、酸素が結
合した状態(酸素化ミオグロビン)から酸素の結合しな
い状態(脱酸素化ミオグロビン)に移っていく。この場
合、収縮している時間が長いほど脱酸素化が大きく起こ
る。この時筋肉には正常に血液が流れている。次に血流
を止めて(動脈をしばる)筋肉の収縮を行わせると、ミ
オグロビンの脱酸素化の速度は速くなり、また収縮を止
めても血液からの簡素供給がないから元に戻らない。こ
のことにより、われわれの筋肉中でも、急に力を出した
り運動したりすると、酸素の消費が大きくなり、血管か
らの供給が間に合わず、細胞の中は酸素不足になること
が分かる。実際に人の腕で同じような測定を行うと、運
動負荷に対し、年令やトレーニングの有無によって大き
く挙動が異ななる。したがって、本発明の高指向性光学
系により光の吸収を測定することにより筋肉の詳細な挙
動を知ることができる。
第34図はHbとMbの700〜1200nm領域(近
赤外)における吸収スペクトル及び吸光度の差を示す図
である。第34図(a)において、実線は酸素化型、破
線は脱酸素化型を示している。
HbとMbとではほとんど差がない。酸素化Hbは93
0nmに吸収ピークを持つ。この吸収強度は可視部の5
78nmの吸収の1/40以下である。脱酸素化Hbは
760nm、905nmに吸収ピークを持つ。酸素化−
脱酸素化における等吸収点(isosbestic point)は80
5nmであり、この波長における吸収強度は酸素飽和度
に依存しないので、全ヘモグロビン量を測定するのに用
いることができる。したがって、これらの吸収スペクト
ルを本発明の高指向性結像系を使用して求めることによ
り、全ヘモグロビン量等を正確に求めることができる。
第35図は精製チトクローム酸化酵素の吸光度スペクト
ルを示す図である。図中、実線は酸化型、破線は還元型
である。
チトクロームの光吸収変化はそのとき細胞に酸素が充分
存在しているか、不足しているかを提示してくれる指示
物質である。このチトクロームは人を含めた全ての生物
組織に存在する。実際はこのチトクロームが存在するミ
トコンドリアと呼ばれる細胞内微小顆粒が全ての生物に
存在している。したがって、このチトクロームの吸収変
化、主として可視領域を本発明の高指向性光学系により
分光学的に測定すれば、その組織(細胞内)の酸素の過
不足を非破壊で知ることができ、スペクトルを容易に記
録することができる。
第36図はビリジンヌクレオチド(NADH)の相対螢
光強度のスペクトルを示す図である。
我々の身体(組織)は紫外線を当てると可視部に比較的
強い発光(螢光)を出す。この螢光強度もまた細胞の中
の酸素濃度を敏感に反映する。
第36図はネズミの生きた心臓に紫外光、この場合34
0nmを照射して、そこで生ずる螢光のスペクトルを示
したもので、450〜480nmの螢光は生体組織中に
含まれる低分子化合物ビリジンヌクレオチドの還元型が
発するもので、これも全ての組織に存在する。この螢光
は組織の酸素がなくなるとその強度が大きくなる。した
がって、本発明の高指向性光学系によりこの物質の螢光
強度の変化を測定することにより酸素量の増減を推定す
ることができる。
第37図は前述した指示物質の酸素濃度依存性、即ち較
正曲線を示している。
図において、ヘモグロビンとミオグロビンは酸素が全て
結合した状態としない状態を100%および0%として
何%結合しているかを示しており、またチトクロームオ
キシダーゼとNADHは酸化/還元の割合を縦軸に目盛
ってある。この較正曲線から光を使って何%の、例えば
ミオグロビンが酸素と結合しているかを検出できれば、
そのときの組織中の酸素濃度の絶対値を知ることができ
る。同様に例えば人間の頭に外から光を当ててヘモグロ
ビンに吸収される光量変化を検出すれば、頭蓋骨に穴を
開けなくても脳組織の酸素量を知ることができる。
また最初の状態でミオグロビンが100%酸素化し、酸
素供給が0で光吸収変化が一定になったときを全てのミ
オグロビンが脱酸素化した状態として、この変化をフル
スケールにとり、こうしてフルスケールが決まれば任意
の所でミオグロビンの脱酸素化の割合を求めることがで
き、酸素濃度を較正曲線から酸素濃度に換算することが
できる。
〔発明の効果〕
以上のように本発明によれば、散乱成分を含む測定対象
からの透過光のうち、散乱成分を確実に減衰させて除去
し、吸収情報のみを含む光直進成分を抽出し得る高指向
性結像装置を使用することにより、解像度を飛躍的に向
上させ、光CT像を得ることが可能となる。そして、人
体等に適用すれば、例えばヘモグロビンの吸収域に対応
する波長を用いることにより、人体の血管像のみを観測
することが可能であり、あるいは神経系の吸収波長に対
応する波長光を用いれば、神経系の像を観測することが
でき、あるいは脳細胞、骨、特定の細胞等、所定の吸収
波長を有するものを観測したい場合にその吸収波長の光
を照射することにより、見たい部分のみを鮮明に画像化
して観測することができるので、医療技術等の飛躍的な
向上に役立てることが可能となる。さらに付け加えるな
らば、像の拡大、縮小を可能にしたレンズの結像方法を
第1の結像方法とし、立体像の記録、再生を可能とした
ホログラフィーの結像方法を第2の結像方法とすると、
本発明は従来になかった全く新しい結像方法を提供する
ものである。すなわち、光の伝播途中に散乱媒体があっ
ても、吸収像を可能とする方法である。この新しい第3
の結像方法が発明されて、従来不可能とされていた散乱
媒体中の吸収像の観測が可能となり、生体の光断層像計
測が可能なったのである。この新しい第3の結像方法
は、生体の光断層像計測だけでなく、光の伝播途中に散
乱媒体がある場合の像観測に広く適用できることは明ら
かで、新しい革新的結像方法として広く社会に貢献する
ものと期待される。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の光断層像画像化装置に使用する平面波
高指向性結像素子を示す図、第2図は第1図に示した高
指向性結像素子を円筒状に束ねた実施例を示す図、第3
図は高指向性結像系の入射面に凸レンズを設けた例を示
す図、第4図は高指向性結像系の入射面側に光ファイバ
を設けた例を示す図、第5図は高指向性結像系をマルチ
チャンネルタイプに構成した例を示す図、第6図は球面
波高指向性結像系の基本的な構成を示す図、第7図は第
6図の光学系の入射面側に凸レンズを設けた例を示す
図、第8図は第6図の高指向性結像系の入射面側に光フ
ァイバを設けた例を示す図、第9図は球面波高指向性結
像素子の束ね方を説明するための図、第10図は矩形断
面の高指向性結像系を説明するための図、第11図は互
いに直交するように分離配置した2組の光学プレートに
より平面波高指向性結像系を構成した例を示す図、第1
2図(a)は矩形断面の球面波高指向性結像系を示す
図、第12図(b)は所定の角度で発散するように放射
状に分離配置した2組の高指向性光学プレートにより構
成した球面波高指向性結像系を示す図、第13図は試料
に対するレーザ光照射方法を説明するための図、第14
図は本発明の高指向性結像系を用いて試料透過光を検出
する例を示す図、第15図、第16図は本発明の高指向
性結像系による検出方法を説明するための図、第17図
は本発明の光断層像画像化装置の全体構成を示す図、第
18図は酸素化ミオグロビンと脱酸素化ミオグロビンの
波長に対する吸光度特性を示す図、第19図は2波長法
と差スペクトル法を説明するための図、第20図は2波
長検出方式における自動利得制御を説明するための図、
第21図は第20図の自動自得制御系を多素子検出系に
適用した場合を説明するための図、第22図はサンプル
ホールド方式による吸光度差検出方式を説明するための
図、第23図は第22図のサンプルホールド方式を多素
子検出系に適用した例を示す図、第24図、第25図は
周波数成分検出による電気的直接比検出方式を説明する
ための図、第26図は第24図の検出方式を多素子の検
出系に適用した例を示す図、第27図、第28図は極微
弱光測定方式を説明するための図、第29図、第30図
は第27図に示した検出方式を2波長検出方式に適用し
た例を説明するための図、第31図は第29図の方式を
多素子検出系に適用した例を示す図、第32図は上腕の
近赤外吸収スペクトルを示す図、第33図(a)は酸素
化ヘモグロビン溶液の可視及び近赤外吸収スペクトルを
示す図、第33図(b)はミオグロビンの可視領域にお
ける吸収スペクトルを示す図、第34図はHbとMbの
近赤外吸収スペクトル及び吸光度の差を示す図、第35
図は精製チトクローム酸化酵素の吸光度スペクトルを示
す図、第36図はビリジンヌクレオチド(NADH)の
相対螢光強度のスペクトルを示す図、第37図は指示物
質の酸素濃度依存性を示す図、第38図は従来の光吸収
分布像を得る装置構成を示す図、第39図は従来の光吸
収分布像を得る他の装置構成を示す図、第40図はTwer
skyの散乱理論曲線を示す図、第41図は従来の透過光
検出方式を説明するための図、第42図はファイバコリ
メータによる透過光の検出を説明するための図である。 100……高指向性結像素子、103……光吸収材、1
05……コア、107……クラッド、120……高指向
性結像系、121……放射指向パターン、123……凸
レンズ、125……ピンホール、127……光ファイ
バ、130……球面波高指向性結像系。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−72542(JP,A) 特開 昭53−35568(JP,A) 特開 昭63−115548(JP,A) 特開 昭63−204136(JP,A) 特開 昭50−62079(JP,A) 特公 昭42−9415(JP,B1)

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】測定対象にレーザ光を直接またはレンズ系
    を介して照射するためのレーザ光源と、レーザ光が照射
    された測定対象からの透過光を受光し、透過光のうち散
    乱成分を減衰させる複数の高指向性結像素子からなる高
    指向性結像系と、高指向性結像系を構成する各高指向性
    結像素子からの出射光を検出して電気信号に変換する光
    電検出手段と、光電検出手段からの検出信号を演算処理
    する演算処理手段とを備え、前記複数の高指向性結像素
    子により、試料から伝播する光の伝播領域を複数に分割
    するとともに、出射端間の干渉を生じさせず、干渉が生
    ずる空間領域を各高指向性結像素子自身内に限定して、
    各高指向性結像素子のフラウンフォーファ回折像を観測
    し、測定対象の光吸収分布を求めて光断層像を得るよう
    にしたことを特徴とする光断層像画像化装置。
  2. 【請求項2】測定対象にレーザ光を直接またはレンズ系
    を介して照射するためのレーザ光源と、測定対象からの
    透過光をチョッパを介して受光し、透過光のうち散乱成
    分を減衰させる複数の高指向性結像素子からなる高指向
    性結像系と、高指向性結像系を構成する各高指向性結像
    素子からの出射光を検出して電気信号に変換する光電検
    出手段と、光電検出手段の検出信号を同期検波する手段
    と、同期検波して得られた検出信号成分と暗信号成分と
    を加減算する手段と、加減算した結果を演算処理する演
    算処理手段とを備え、前記複数の高指向性結像素子によ
    り、試料から伝播する光の伝播領域を複数に分割すると
    ともに、出射端間の干渉を生じさせず、干渉が生ずる空
    間領域を各高指向性結像素子自身内に限定して、各高指
    向性結像素子のフラウンフォーファ回折像を観測すると
    ともに、前記同期検波及び加減算処理によりバックグラ
    ウンド成分を除去して測定対象の光吸収分布を求め、光
    断層像を得るようにしたことを特徴とする光断層像画像
    化装置。
  3. 【請求項3】高指向性結像素子は、内壁面に光吸収材が
    塗布された直線状の断面円形または矩形の中空細管から
    なり、該中空細管は、開口径をD、長さをl、入射光の
    波長をλとしたとき、 l=kD2/λ (k:比例定数) なる寸法形状であり、開口径Dを少なくとも波長λより
    も大きくし、出射面側で平面波によるフラウンフォーフ
    ァ回折像を観測可能にしたことを特徴とする請求項1又
    は2記載の光断層像画像化装置。
  4. 【請求項4】高指向性結像素子は、コア部分とクラッド
    部分からなり、コア部分の屈折率をクラッド部分の屈折
    率より小さく構成した光ファイバであって、該光ファイ
    バは、開口径をD、長さをl、入射光の波長をλとした
    とき、 l=kD2/λ (k:比例定数) なる寸法形状であり、開口径Dを少なくとも波長λより
    も大きくし、出射面側で平面波によるフラウンフォーフ
    ァ回折像を観測可能にしたことを特徴とする請求項1又
    は2記載の光断層像画像化装置。
  5. 【請求項5】請求項3または4記載の装置において、高
    指向性結像素子は光軸に垂直な断面が入射面から出射面
    に向かって連続的に大きくなるように構成したことを特
    徴とする光断層像画像化装置。
  6. 【請求項6】高指向性結像素子は、壁面に吸収材を塗布
    した複数の光学プレートを平行に配置した少なくとも2
    組の光学プレート群を互いに直交させて分離配置し、各
    組の光学プレート群により形成される複数の開口の各々
    は、その径をD、長さをl、入射光の波長をλとしたと
    き、 l=kD2/λ (k:比例定数) なる寸法形状とし、開口径Dを少なくとも波長λよりも
    大きくし、出射面側で平面波によるフラウンフォーファ
    回折像を観測可能にし、複数の開口により各開口のフラ
    ウンフォーファ回折像の空間分布像を検出可能にしたこ
    とを特徴とする請求項1又は2記載の光断層像画像化装
    置。
  7. 【請求項7】高指向性結像素子は、壁面に吸収材を塗布
    した複数の光学プレートを壁面が1点から放射状に発散
    する線に平行であるように配置した少なくとも2組の光
    学プレート群を互いに直交させて分離配置し、各組の光
    学プレート群により形成される複数の開口の各々は、そ
    の入射口径をD、長さをl、入射光の波長をλとしたと
    き、 l=kD2/λ (k:比例定数) なる寸法形状とし、入射口径Dを少なくとも波長λより
    も大きくし、出射面側で平面波によるフラウンフォーフ
    ァ回折像を観測可能にし、複数の開口により各開口のフ
    ラウンフォーファ回折像の空間分布像を検出可能にした
    ことを特徴とする請求項1又は2記載の光断層像画像化
    装置。
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