JPH0641777Y2 - 金属切削屑のせん断処理装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ＜産業上の利用分野＞ 本考案は、金属切削屑のせん断処理装置の改良に関す
る。

＜従来の技術＞ 従来から、金属切削加工により発生する切削屑をスクリ
ューコンベアにより搬送し、搬送されてきた切削屑をせ
ん断手段によりせん断して、細片状態になす装置とし
て、例えば実開昭58-119844号に提案されている。しか
し、このもはスクリューコンベアと、スクリューコンベ
アの搬送方向（軸方向）に直行する回転軸に形成された
せん断刃と、せん断刃に対応する位置に形成された固定
刃とを備えて構成されたものであるため、スクリューコ
ンベアと、回転ドラムと、せん断刃の回転軸との計３個
の回転動力源を必要とするとともに装置自体も大型化し
てしまうという課題がある。

そこで、この課題を解決するものとして、本出願人はす
でに実願平１−125751号に提案して出願した。このもの
は、円筒形のケーシングと、このケーシング内の中心軸
上に配された回転軸と、この回転軸の基端側の搬送領域
に形成され切削屑を回転軸の先端方向に送るスクリュー
と、回転軸の先端側のせん断領域に径外方向へ突設され
たせん断刃と、ケーシング内周面のせん断刃と対応する
位置から径内方向へ突設された固定刃と、ケーシングに
形成された排出口とを備えたものである。

ところが、このものにおいては例えば切削屑が絡まって
塊になったまま投入されるとせん断領域内に円滑に送り
込めない場合がある。又、仮に送り込めたとしてもせん
断刃とせん断用固定刃とのせん断に際し負荷がかかり故
障の原因になるとともに良好にせん断できない場合があ
るという課題がある。

＜考案が解決しようとする課題＞ 本考案は以上の実情に鑑み提案されたものでその目的と
するところは塊状に絡まった切削屑が投入された場合に
も円滑にせん断領域内に送れ、しかもせん断領域内で良
好にせん断できる装置を提供することにある。

＜課題を解決するための手段＞ 本考案は、以下の特徴を有する金属切削屑のせん断処理
装置を提供することにより上記課題を解決する。

本考案の金属処理装置は円筒形のケーシングと、このケ
ーシング内の中心軸上に配された回転軸と、この回転軸
の基端側の搬送領域に形成され切削屑を回転軸の先端方
向に送るスクリューと、回転軸の先端側のせん断領域に
径外方向へ突設されたせん断刃と、ケーシング内周面に
径内方向に突設された固定刃と、ケーシングに形成され
た排出口とが備えられてなる。

固定刃は、搬送領域内の切削屑を分散するための分散用
固定刃と、せん断刃と対応する位置に配位されせん断領
域内に送られてきた切削屑をせん断刃とでせん断するせ
ん断用固定刃とを有する。

一方、スクリューは上記分散用固定刃と対応する位置に
外周先端から回転軸方向に窪んだ凹部を有するとともに
分散用固定刃とで切削屑を分散する刃部を備えてなるも
のである。そして、スクリューの回転に際し分散用固定
刃が凹部内を挿通する際に切削屑が分散されるものであ
る。

＜作用＞ 本考案においては、ケーシング内周面に径内方向に突出
し搬送領域内の切削屑を分散するための分散用固定刃を
備える。一方、スクリューには分散用固定刃と対応する
位置に外周先端から回転軸方向に窪んだ凹部を備えると
ともに分散用固定刃とで切削屑を分散する刃部を備え
る。

これにより、塊状に絡まった切削屑が投入され、その切
削屑がスクリューの凹部内に送られてくると凹部内を分
散用固定刃が挿通する際の凹部内の刃部と分散用固定刃
との噛み合い力によって切削屑が分散される。

従って、分散した状態の切削屑のみをせん断領域内に送
ることができる。

＜実施例＞ 以下、図面に基づき本考案の一実施例を具体的に説明す
る。

この実施例の金属切削屑のせん断処理装置は第１図に示
すように円筒形のケーシング１と、このケーシング１内
の中心軸上に配された回転軸２と、この回転軸２の基端
側の搬送領域に形成され切削屑を回転軸２の先端方向に
送るスクリュー21と、回転軸２の先端側のせん断領域に
径外方向へ突設されたせん断刃９と、ケーシング１内周
面の径内方向に突設された固定刃8a,8bと、ケーシング
１に形成された排出口７とを備えてなる。

ケーシング１は先端、基端の両端面11,12がケーシング
カバー11a,12aにより閉ざされ、基端側上部が開口され
ている。この基端側上部の開口には切削屑投入用のホッ
パー６がとりつけられている。又、ケーシング１の先端
寄りの下部から側部にかけては、排出口７が開口されて
いる。さらに、ケーシング１の内周面には基端部側と先
端部側のそれぞれに固定刃8a,8bが径内方向に突出して
取り付けられている。基端部側に配設される固定刃8a
は、後述するスクリュー21に形成された凹部30とで塊状
に絡まった切削屑を分散させるための分散用固定刃であ
り、ケーシング１内周面の手前側上下中央やや下寄りに
取り付けられている。この取り付け方は、この実施例で
はケーシング１外周面から挿通されるボルトにより固定
されている。一方、先端部側に配設される固定刃8bはス
クリュー21によって送られてきた切削屑を回転軸２に設
けられたせん断刃９とによりせん断するためのせん断用
固定刃であり、この実施例においては第４図に示すよう
に、ケーシング１の先端上半分15をケーシング１本体か
ら取り外し可能になし、両者15,1間にこのせん断用固定
刃8bの基端を挟着して、ボルト，ナット16により固定し
ている。尚、これらの固定刃8a,8bの取り付け方法につ
いては上述したようにボルト，ナットにより取り付け、
固定刃8a,8bの交換を可能としたものに限らず、例えば
溶接等により固定するようにしても良く、適宜変更でき
るものである。又、ケーシング１のせん断領域と搬送領
域とを同じ大きさにしたものに限らず、せん断領域を搬
送領域よりも大きな径に形成してせん断用固定刃8bをそ
のせん断領域における内周面から突出させて設けるよう
にしても良い。

回転軸２は、ケーシング１の両端に軸受け13,14により
回動可能に支持されている。そして、先端側がケーシン
グ１のケーシングカバー12aを貫き、第５図に示すよう
にこのケーシング１の左側にケーシング１と同一基板４
上に並べられて配設される減速モータ３に接続される。
尚、この減速モータ３の配設位置については、上述のも
のに限らず、例えばケーシング１の後方側に横二列に配
設してチェーン等を介して接続させるようにしても良
く、設置場所に応じ適宜変更すれば良いものである。
又、ケーシング１内における回転軸２は基端側にスクリ
ュー21が螺旋状に形成され、先端側にせん断刃９が径外
方向に突設されている。

スクリュー21はホッパー６から投入された切削屑を先端
側に搬送するためのものであり、第２図，第３図に示す
ようにホッパー６の投入口の下方となる部分に外周先端
から回転軸２方向（ケーシング１に対しては径内方向）
に窪んだ凹部30が形成されている。この凹部30の幅t1,
深さh1（ケーシング１内周面からの深さ）は上記分散用
固定刃8aの幅t2,突出長さh2よりそれぞれやや大きく設
定され、スクリュー21の回転に際し分散用固定刃8aがこ
の凹部30内を嵌通できるようになされている。そしてこ
の凹部30内の内周面両側に刃部30aがスクリュー21と一
体的に形成されている。尚、この刃部30aはケーシング
１の分散用固定刃8bとで塊状の切削屑を分散できれば良
く、総てをせん断する必要がないため、せん断すること
によって分散できるように先端を鋭利状にしたものに限
らず、多少の丸みを有するものでも差し支えない。又、
この刃部30aはスクリュー21と一体的に形成したものに
限らず、例えば凹部30の側方に別体のものを取り付けて
設けるようにしても良い。

一方、せん断刃９は、第４図に示すように固定リング22
の外周に等間隔に３個配設されている。この固定リング
22は、回転軸２にキー溝及びねじ等により着脱自在に固
定され、せん断刃９が固定リング22にボルトにより固定
されるが、これらの固定方法は適宜変更でき、最も単純
には、回転軸２にせん断刃９を溶接してもよい。このせ
ん断刃９は、回転軸２の中心軸と平行にあるいはスクリ
ュー21のリード角と同じ又は反対方向に傾けて形成して
もよいが、この実施例では、スクリュー21のリード角と
正逆が反対となるように、回転軸２の中心軸を含む平面
と交差させられている。これにより、切削屑は、せん断
刃９によって、スクリュー21と逆方向、即ち基端方向へ
送られる。このように、この実施例では、せん断刃９
が、せん断手段と逆送手段との両作用をなすが、逆送手
段の例としては、スクリュー21と逆方向のスクリューを
せん断領域内の回転軸２に設けることも可能である。
尚、説明の都合上、リード角の言葉を用いたが、せん断
刃９はつる巻線を描く必要はなく、直線の刃を傾斜させ
て配設するだけでも良い。又、この実施例ではせん断用
固定刃8bを２個に対し、せん断刃９を３個設けたが、こ
の数は、ケーシングの大きさ等により適宜変更しうる。

次に、この装置の作動状態について説明する。

回転軸２は、減速モータ３を駆動源として回転する。そ
して、ホッパー６から投入された金属の切削屑は、スク
リュー21により先端方向に搬送される。ここで、第１図
に示すように例えば塊状に絡み合った切削屑Ｓが投入さ
れるとスクリュー21によってスクリュー21の凹部30内に
送り込まれる。そして、スクリュー21が回転し、分散用
固定刃8aと合致して凹部30内を分散用固定刃8aが通り抜
ける際の凹部30の刃部30aと分散用固定刃8aとの噛み合
いにより切削屑をせん断して分散することができる。こ
れにより、分散した状態の切削屑のみをせん断領域内へ
搬送することができ、搬送を円滑に行わせることができ
る。

スクリュー21の先端まで運ばれた切削屑は、そのまませ
ん断刃９とせん断固定刃8bとにより構成されるせん断領
域に入り、両刃によってせん断される。このせん断に際
しては分散された切削屑のみをせん断すれば良いため、
無理な負荷をかけずに良好に行うことができる。

せん断された切削屑は、排出口７から排出される。尚、
この排出口７の配設位置はせん断領域に一つだけ設けた
ものに限らず、例えばこれに加え第１図に示すように他
の排出口7aを搬送領域の下方にも設けるようにして、ス
クリュー21の凹部30と分散用固定刃8aとの噛み合いによ
る分散によって、あるいはもともと十分小さくせん断す
る必要のないような切削屑をここから排出させるように
しても良い。又、搬送領域の下方にこの排出口7aを設け
ておくことにより、ホッパー６から工具等を落とした場
合にもここから取り出すことができる。

以上、が作動説明である。

次に、第６図，第７図に基づき他の実施例について説明
する。

第６図に示す装置は、カール状になった細長状の切削屑
がスクリュー21の外周先端に絡み付かないようにした実
施例に係り、スクリュー21の外周先端に刃部33を形成す
るとともにケーシング１の内周面に荒せん断用固定刃8c
をそれと対応する位置に設け、スクリュー21の外周先端
に絡み付く切削屑S1をこれらによってせん断し、切削屑
を円滑にせん断領域内に搬送できるようにしたものであ
る。そしてこの装置のスクリュー21に凹部30を設けると
ともにこれと対応する位置に凹部30内を挿通する分散用
固定刃8aを設けている。

第７図は、塊状になった切削屑を容易にケーシング１内
に引き込めるようにした実施例に係り、ホッパー６の下
方におけるスクリュー21の外周先端の複数箇所をカット
して切削屑引き込み部10を設けるとともにホッパー６の
一方の側面6aにスクリュー21の外周先端とケーシング１
内周面との間隔を広くした切削屑収納部31を設け、スク
リュー21の切削屑引き込み部10によって運ばれてきた切
削屑が上方に逃げないようにするとともに収納部31の上
方に直立壁部32を設け、収納部31に切削屑を入れやすく
したものである。そして、この装置のスクリュー21の適
宜位置に上述した凹部30を設けるとともにこれと対応す
る分散用固定刃8aをケーシング１内周面に設けるように
したものである。

尚、スクリュー21の凹部30の幅t1,深さh2については、
実施例で示したものに限らず、適宜変更できるものであ
る。一方、分散用固定刃8aの幅t2,突出長さh2について
も図示したような凹部30に嵌挿する形状のものに限らず
例えばその幅t2を凹部30の幅t1の半分程度に形成する等
凹部30内を挿通できる形状であれば良く、適宜変更でき
るものである。又、これらの配設位置，個数についても
各々一つずつ設けたものに限らず、例えば凹部30一つに
対し分散用固定刃8aをケーシング１の内周面に周方向に
沿って二つ以上設け、スクルリュー21が一回転する間に
これらの分散用固定刃8a各々が順次凹部30内を通り抜け
るようにしても良く、あるいは又、凹部30を複数設け、
それに対応する数の、あるいはそれ以上の数の分散用固
定刃8aを設けるようにしても良い。

＜考案の効果＞ 以上実施例で述べたように本考案は、ケーシング内周面
に径内方向に突出し搬送領域内の切削屑を分散するため
の分散用固定刃を備える一方、スクリューには分散用固
定刃と対応する位置に外周先端から回転軸方向に窪んだ
凹部を備えるとともに分散用固定刃とで切削屑を分散す
る刃部を備えるため、塊状に絡まった切削屑が投入され
その切削屑がスクリューの凹部内に送られてくると、凹
部内を分散用固定刃が挿通する際の凹部内の刃部と分散
用固定刃との噛み合い力によって切削屑を分散すること
ができる。

これにより、分散した状態の切削屑のみをせん断領域内
に送ることができ、円滑に搬送を行うことができる。し
かも、せん断領域内においては無理な負荷をかけずに良
好にせん断を行うことができるものとなる。

【図面の簡単な説明】

第１図は第５図のI-I線断面に沿う拡大説明図、第２図
は第５図のII-II線断面に沿う拡大説明図、第３図はス
クリューの凹部とケーシングの分散用固定刃を上方から
見た状態を示す部分拡大説明図、第４図は第５図のIV−
IV線に沿う拡大説明図、第５図は一実施例の金属切削屑
のせん断処理装置の平面図、第６図は他の実施例を示す
拡大説明図、第７図は他のもう一つの実施例を示す拡大
説明図である。 （１）…ケーシング、（２）…回転軸、（６）…ホッパ
ー、（７）…排出口、（8a）…分散用固定刃、（8b）…
せん断用固定刃、（９）…せん断刃、（21）…スクリュ
ー、（30）…刃部

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】切削屑の搬送手段を有する搬送領域と、切
   削屑のせん断手段を有するせん断領域とにより構成され
   る金属切削屑のせん断処理装置において、 この装置が、円筒形のケーシングと、このケーシング内
   の中心軸上に配された回転軸と、この回転軸の基端側の
   搬送領域に形成され切削屑を回転軸の先端方向に送るス
   クリューと、回転軸の先端側のせん断領域に径外方向へ
   突設されたせん断刃と、ケーシング内周面に径内方向に
   突設された固定刃と、ケーシングに形成された排出口と
   を備え、 固定刃が、搬送領域内の切削屑を分散するための分散用
   固定刃と、せん断刃と対応する位置に配位されせん断領
   域内に送られてきた切削屑をせん断刃とでせん断するせ
   ん断用固定刃とを有し、 スクリューが上記分散用固定刃と対応する位置に外周先
   端から回転軸方向に窪んだ凹部を有するとともに分散用
   固定刃とで切削屑を分散する刃部を備えてなるものであ
   り、 スクリューの回転に際し分散用固定刃が凹部内を挿通す
   る際に切削屑が分散されるものであることを特徴とする
   金属切削屑のせん断処理装置。