JPH0641198A - 抗血液凝固タンパク質とその製造法 - Google Patents

抗血液凝固タンパク質とその製造法

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JPH0641198A
JPH0641198A JP3228191A JP22819191A JPH0641198A JP H0641198 A JPH0641198 A JP H0641198A JP 3228191 A JP3228191 A JP 3228191A JP 22819191 A JP22819191 A JP 22819191A JP H0641198 A JPH0641198 A JP H0641198A
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オニール パラディノ リンダ
Jwu-Sheng Tung
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Melvin Silberklang
シルバークラング メルヴィン
Simon W Law
ダブリユ.ロウ サイモン
George E Mark
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 強力なXa因子阻害作用を有する抗血液凝固
物質アンテスタチンのN末端から1〜58のアミノ酸と
高い相同性を有し、完全なアンテスタチン分子の有する
Xa因子阻害作用の大部分を保持するタンパク質を構築
し製造し、抗血液凝固剤、医薬として用いる。 【構成】 本タンパク質は固相合成法により合成され
る。また遺伝子工学手法を用い組換えバキュロウイルス
転移ベクターに対応する遺伝子を組込み昆虫細胞に生産
させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】メキシコヒル(Haementeria officinali
s)の唾液腺に見い出される15kDaのシステインに
富む(119アミノ酸に20のシステイン)タンパク質
であるアンチスタシンは、ヒトの血液凝固カスケードに
おけるXa因子の強力な抑制物質であることが示された
(Tuszynskiら、J. Biol. Chem. 262:9718−9
723(1987);Nuttら、J. Biol. Chem. 26
3:10162−10167(1988))。内因性、
外因性いずれの経路によっても活性化できる、Xa因子
抑制作用があるために、アンチスタシンを抗凝固治療に
用いる可能性が注目されている。さらに、アンチスタシ
ンは、トロンビンに作用するヒルジンやヘパリンのよう
な抗凝固剤よりも早い段階で凝固カスケードを抑制する
ので、より効果的な抗凝固剤となり得る。
【0002】配列分析によって、アンチスタシンが、大
まかにいえばN−末端側の半分とC末端側の半分の間で
内部的相同性(アミノ酸の40%、及びヌクレオチドの
50%)を持つことが示されている。(Nuttら、J. Bio
l. Chem.263:10162−10167(198
8);Hanら、Gene(Amst.)75:47−57(198
9))。N末端側とC末端側の双方ともに10個のシス
テインを含み、どちら側においてもシステイン残基の位
置は保存されている。Xa因子の結合につづいてアンチ
スタシンが切断されることがすでに明らかにされてい
る。この切断はN末端側の34位のargで生じるが、
Xa因子の結合によって生ずると思われる。(Dunwiddi
eら、J. Biol. Chem. 264:16694−16699
(1989))。
【0003】本発明は、アンチスタシンN末端の1〜5
8のアミノ酸と高い相同性を有するタンパクの構築と製
造を含む。このタンパクは生体活性を持ち、完全なアン
チスタシン分子の有するXa因子抑制作用の大部分を保
持する。
【0004】本発明には、血液凝固カスケードの途中で
Xa因子を抑制する生物活性のある分子量約6000ド
ルトンのタンパク、このタンパクの製造方法、このタン
パクを用いた血液凝固抑制方法及び適当な医薬組成物が
含まれる。
【0005】本発明は、本発明のタンパク質の遺伝子工
学による構築及び組み換えDNA技術による製造を記述
する。また本発明は、Xa因子抑制作用と生体活性とい
う特性を保持するタンパクの他の変種も含まれる。
【0006】本発明の好ましいタンパクは以下のアミノ
酸配列:
【表3】 1 5 10 15 Gln Gly Pro Phe Gly Pro Gly Cys Glu Glu Ala Gly Cys Pro Glu 20 25 30 Gly Ser Ala Cys Asn Ile Ile Thr Asp Arg Cys Thr Cys Ser Glu 35 40 45 Val Arg Cys Arg Val His Cys Pro His Gly Phe Gln Arg Ser Arg 50 55 58 Tyr Gly Cys Glu Phe Cys Lys Cys Arg Leu Glu Pro Met 又はその特性と保持した代わりのアミノ酸を有する。
【0007】本発明のタンパクには、開示されたタンパ
ク質の配列及びその活性を維持しているフラグメント又
はサブユニット、天然の突然変異型、アレリック変異
型、ランダムに起こさせた突然変異型、及び活性を保持
した意図的な配列変異型が含まれる。フラグメント又は
サブユニットとは、たとえば完全なタンパクのN末端及
び/又はC末端の一部をとりのぞいた部分的配列など
の、完全なタンパクより少ないアミノ酸を含むあらゆる
配列の部分を表わす。
【0008】また本発明のタンパクには、この精製した
タンパク配列の活性を保持している、開示された組み換
えタンパク配列が含まれる。又、融合タンパク又は発現
ベクター内のポリジーンの発現により生ずるタンパクも
本発明のタンパクに含まれる。又、ペプチド結合により
第2のポリペプチドと結合した、開示されたタンパクに
特徴的な活性を持つポリペプチドを含めてもよい。
【0009】本発明のタンパクは、HF切断後のタンパ
クを含んだ溶液の扱いに特に注意をはらいながら、Merr
ifield(J. Am. Chem. Soc.,85、2149(196
4))の述べるような固相合成法又はHoughten(Proc.
Natl. Acal. Sci., 82、5132(1985))の合
成方法のようなそれに代わり得る他の化学合成法を用い
て製造することができる。
【0010】固相合成法は、米国特許第4,244,9
46号(1982年1月21日発行、Rivierら)に一般
的に記されるように、保護されたアミノ酸を適当な樹脂
に結合することによりペプチドのC末端から開始する。
この記述は本出願書に引用されとりこまれている。この
一般的なタイプの合成方法の例は、米国特許第4,30
5,872号及び第4,316,891号に記されてい
る。
【0011】このポリペプチドの合成において、カルボ
キシル末端のアミノ酸は、そのα−アミノ基を適切に保
護して、クロロメチル化したポリスチレン樹脂等に結合
させる。塩化メチレン中のトリフルオロ酢酸を用いるな
どしてα−アミノ保護基をとりのぞいた後に、合成の次
の段階に進む。開示されている文献に記されているよう
な他の標準的切断試薬及び条件を用いて特定のアミノ保
護基をとりのぞいてもよい。
【0012】残りのα−アミノ及び側鎖が保護されたア
ミノ酸は、次に樹脂に結合した中間体化合物を得るため
の縮合によって望みの順序で段階的に結合する。合成に
おいて、各アミノ酸を別個につけ加えるかわりに、成長
する固相の鎖につけ加える以前にいくつかのアミノ酸を
相互に結合しておいてもよい。適当な結合試薬の選択
は、この種の技術に従う。
【0013】2個のアミノ酸、アミノ酸とペプチド、又
はペプチドとペプチドの縮合は、アジド法、混合酸無水
物法、DDC(ジシクロヘキシルカルボジイミド)法、
活性エステル法(p−ニトロフェニル・エステル法
等)、BOP〔ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ
−トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウム・ヘクサフル
オロリン酸塩〕法、N−ヒドロキシコハク酸イミド・エ
ステル法等)、Woodward試薬K法のような通常の縮合方
法によって行なうことができる。固相法でペプチド鎖を
延長する場合、ペプチドをC末端のアミノ酸で不溶性担
体に結合する。不溶性担体としては、C末端のアミノ酸
のカルボキシ基と反応して後に容易に切断される結合を
形成する、たとえば、クロロメチル樹脂やブロモメチル
樹脂などのハロメチル樹脂、ヒドロキシメチル樹脂、ア
ミノメチル樹脂、ベンズヒドリルアミン樹脂及びt−ア
ルキルオキシカルボニル・ヒドラジド樹脂を使うことが
できる。ペプチドの化学合成では一般的に、鎖が完全に
合成された後に最終的にそれがとりのぞかれるまで、適
当な保護基で多様なアミノ酸部分である反応性の側鎖基
を保護する。又一般的に、カルボキシル基で反応する
間、アミノ酸又はフラグメント上のα−アミノ基を保護
し、その後そのα−アミノ保護基を選択的にとりのぞい
てその位置で次の反応が行なわれるようにする。したが
って一般的に、合成の一段階として、側鎖保護基を持つ
様々なアミノ酸残基が、所望の配列でペプチド鎖中に位
置している中間体を作成することになる。後にこれらの
保護基は、精製後所望の最終生成物を生産するために、
一般にはほとんど一度にとりのぞかれる。
【0014】α及びw側鎖アミノ基を保護するのに用い
られる保護基の例としては、ベンジルオキシカルボニル
基(以後Zと略す)、イソニコチニル・オキシカルボニ
ル基(iNOC)、O−クロロベンジルオキシカルボニ
ル基〔Z(2Cl)〕、p−ニトロベンジルオキシカル
ボニル基〔Z(NO2)〕、p−メトキシベンジルオキ
シカルボニル基〔Z(OMe)〕、t−ブトキシカルボ
ニル基(Boc)、t−アミルオキシカルボニル基(A
oc)、イソボルニルオキシカルボニル基、アダマンチ
ルオキシカルボニル基、2−(4−ビフェニル)−2−
プロピルオキシカルボニル基(Bpoc)、9−フルオ
レニルメトキシカルボニル基(Fmoc)、メチルスル
ホニルエトキシカルボニル基(Msc)、トリフルオロ
アセチル基、フタリル基、ホルミル基、2−ニトロフェ
ニルスルフェニル基(NPS)、ジフェニルホスフィノ
チオイル基(Ppt)、ジメチルホスフィノチオイル基
(Mpt)等がある。
【0015】カルボキシ基の保護基の例としては、たと
えば、ベンジルエステル(OBzl)、シクロヘキシル
エステル(Chx)、4−ニトロベンジルエステル(O
Nb)、t−ブチルエステル(Obut)、4−ピリジ
ルメチルエステル(OPic)、等がある。アミノ基及
びカルボキシル基以外の官能基を持つアルギニン、シス
テイン及びセリンのような特定のアミノ酸は、必要なら
ば適当な保護基で保護することが望ましい。たとえばア
ルギニン中のグアニジノ基はニトロ基、p−トルエンス
ルフォニル基、ベンジルオキシカルボニル基、アダマン
チルオキシカルボニル基、p−メトキシベンゼンスルホ
ニル基、4−メトキシ−2,6−ジメチルベンゼンスル
ホニル基(Mds)、1,3,5−トリメチルフェニル
スルホニル基(Mts)等で保護できる。システイン中
のチオール基は、p−メトキシベンジル基、トリフェニ
ルメチル基、アセチルアミノメチル基、エチルカルバモ
イル基、4−メチルベンジル基、2,4,6−トリメチ
ルベンジル基(Tmb)等で保護でき、セリン中の水酸
基は、ベンジル基、t−ブチル基、アセチル基、テトラ
ヒドロピラニル基等で保護できる。
【0016】Stewart と Young の“Solid Phase Pepti
de Synthesis”(「固相ペプチド合成」)(Pierce Che
mical Company, Rockford, IL (1984))は、ペプ
チド製造過程に関するくわしい情報を記述している。α
−アミノ基保護は14〜18ページに、側鎖ブロックは
18〜28ページに記されている。アミン、ヒドロキシ
ル及びスルフヒドリルの官能基に対する保護基の表は1
49〜151ページに与えられている。それらの記述は
本明細書に引用されとり込まれている。
【0017】所望のアミノ酸配列が完成した後、液体H
F及び1つ以上のチオ含有スカベンジャーのような試薬
で処理して、中間体ペプチドを樹脂担体から切りはなす
が、試薬はペプチドを樹脂から切りはなすだけでなく、
すべての残っている側鎖保護基も取り除く。HFによる
切断後、タンパク配列をエーテルで洗浄し、大量の希釈
酢酸液にうつし、水酸化アンモニウムでpHを約8.0
に調整してかくはんする。
【0018】望ましくは、ポリペプチド中の残基のアル
キル化(たとえば、メチオニン、システイン及びチロシ
ン残基のアルキル化)をふせぐために、チオクレゾール
とクレゾールのスカベンジャー混合物を用いる。樹脂を
エーテルで洗浄し、可溶化し、かつ分子内の橋かけ結合
を最少にするためにただちに大量の希釈酢酸に移す。2
50μMのポリペプチド濃度のものを0.1M酢酸約2
リットルで希釈する。次にこの溶液をかくはんし、水酸
化アンモニウムでpHを8.0に調整する。pH調整す
るとただちにポリペプチドはそれに適した高次構造をと
る。
【0019】組み換えDNA技術 組み換えDNA技術を本発明のタンパクを生産するのに
用いてもよい。この技術によって、他の細胞、通常は他
の生体からの遺伝情報の一部、すなわちDNAを、それ
を得た生体外で両端を結合することが可能になり、そし
てこの交雑DNAをもとのDNAがコードするタンパク
を生産することのできる細胞にとりこむことを可能にす
る。遺伝情報、すなわちDNA又はmRNAは、分離さ
れて適当なクローニングベクターにとりこまれ、適当な
ホスト細胞に導入される。
【0020】この技術に有用なクローニングベクター
は、特定の実験的な外来DNAを含んだDNA配列を含
む。ベクターは、安定して存在することができてその実
験的DNAの指示するタンパクを発現することが可能な
ホスト細胞に導入される。クローニングベクターには、
プラスミド、バクテリオファージ、ウイルス及びコスミ
ドが含まれる。発現ベクターとは、適当なホスト内で、
クローニングされた遺伝子のコピーの転写及びそれらの
mRNAの翻訳が行なわれるのに必要なDNA配列であ
る。これらのベクターは、バクテリア、イースト、昆虫
及び哺乳類の細胞等の多様な細胞中で、前核生物又は真
核生物の遺伝子を発現することができる。
【0021】又タンパクは、多くのウイルス系において
発現できる。適当に構成した発現ベクターは、自律的な
複製をホスト細胞内で行なうための複製起点、選択的遺
伝マーカー、限られた数の有用な制限酵素部位、多いコ
ピー数そして強力なプロモーターを有する。プロモータ
ーは、RNAポリメラーゼをDNAに結合させてRNA
合成を開始させるDNA配列であり、強力なプロモータ
ーは、高い頻度でそのような開始を生じさせる。発現ベ
クターには、クローニング・ベクター、修飾されたクロ
ーニング・ベクター及び特に設計したプラスミド又はウ
イルスが含まれるが、これらに限定されるものではな
い。
【0022】発現のシステム 前核生物は非常にしばしば大腸菌(E.coli)の種
々の菌株に代表される。その他、たとえば枯草菌(Baci
llus subtilis)などのバチルス、様々なシュードモナ
ス(Pseudomonas)属、又は他のバクテリア株のような
微生物株を用いてもよい。このような前核生物系におい
ては、複製部位とホストに適合できる種に由来する制御
配列を含むプラスミドベクターを用いる。たとえば大腸
菌(E.coli)は、通常、Bolivarら(Gene
(1977)2:95)によって大腸菌(E.col
i)種から取られたプラスミドであるpBR322の誘
導体を用いて形質転換する。ここに定義する制御配列
は、転写開始をするプロモーターを含み、リボソーム結
合部位の他にオペレーターを有してもよいものだが、こ
れにはβ−ラクタマーゼ(ペニシリナーゼ)、ラクトー
ス(lac)プロモーター系(Chang ら、Nature(19
77)198:1056)、トリプトファン(Trp)
プロモーター系(Goeddelら、Nucleic Acid Res.(19
80)8:4057)、λ−由来PLプロモーター及び
N−遺伝子リボソーム結合部位(ShimatakeらNature
(1981)292:128)のような一般に用いられ
るプロモーターが含まれる。しかし、前核生物に適合で
き入手可能などんなプロモーター系を用いることもでき
る。
【0023】本発明の真核生物系において有用な発現系
は、適当な真核生物遺伝子に由来するプロモーターを含
む。たとえばイーストで有用な種類のプロモーターに
は、3−ホスホグリセリン酸キナーゼ(Hitzeman ら、
J. Biol. Chem(1980)255:2073)に対す
るプロモーターを含めた解糖酵素の合成に対するプロモ
ーターが含まれる。他のプロモーターとして、エノラー
ゼ遺伝子から得られるプロモーター(Holland, M. J.
ら、J. Biol. Chem.(1981)256:1385)又
はYEp13より得られるLeu2遺伝子(Broach. J.
ら、Gene(1978):121)がある。
【0024】適当な哺乳類のプロモーターには、SV4
0(Fiersら、Nature,(1978)273:113)か
らの初期及び後期プロモーター、あるいは、ポリオー
マ、アデノウイルス II、ウシ乳頭腫ウイルス又はトリ肉
腫ウイルス由来のプロモーターのような他のウイルスの
プロモーターが含まれる。適当なウイルス及び哺乳類の
エンハンサーは前掲のものである。植物細胞が発現系と
して用いられる場合にはノパリン合成プロモーターが適
当である(Depicker, A.ら、J. Mol. Appl. Gen.(19
82):561)。
【0025】タンパクの発現に有用な昆虫の細胞発現系
には、Smith ら(米国特許第4,745,051号)に
記載の系を修飾したシステムが含まれる。バキュロウイ
スル遺伝子又はバキュロウイルス遺伝子のプロモーター
を有する部分から成るバキュロウイルスDNAを切断
し、少なくともプロモーターを含むDNAフラグメント
を得られる。所望の生成タンパクは、感受性のホスト昆
虫細胞を組み換えバキュロウイルス発現ベクターに感染
させることによって製造するが、ここで発現ベクター
は、バキュロウイルスポリヒドリンプロモーターの転写
制御下にある選択された異種タンパクポリペプチド構造
遺伝子を少なくとも1つ有する組み換えバキュロウイル
スゲノムである。
【0026】ホストの昆虫細胞中で選択された遺伝子を
発現可能な組み換えバキュロウイルス発現ベクターは、
以下のように作られる、すなわちバキュロウイルスポリ
ヒドリンプロモーター及び同種間組み換えをしやすくす
るための十分な隣接するDNA配列から成るDNAフラ
グメントを作るためにバキュロウイルスDNAを切断す
ること;バキュロウイルスDNAフラグメントをクロー
ニングビヒクルに挿入して修飾したクローニングベクタ
ーを形成すること;バキュロウイルスポリヒドリンプロ
モーターの転写制御下にあるクローニングされたバキュ
ロウイルスDNAフラグメントの選択された制限部位を
同定すること;バキュロウイルスポリヒドリンプロモー
ターの転写制御下にあるバキュロウイルスDNAフラグ
メント中のその他の制限部位を、修飾したクローニング
ベクターから欠落させること;選択された異種の遺伝子
を唯一の制限部位に挿入して組み換え往復ベクターを形
成すること;組み換えを生じさせるためにバキュロウイ
ルスDNAを接触させて、組み換えバキュロウイルスと
非組み換えバキュロウイルスの混合物を作ること;及び
この混合物から組み換えバキュロウイルス発現ベクター
を単離すること。
【0027】オリゴヌクレオチドプライマー 所望の配列の別々の鎖にハイブリダイズし、かつ鎖上の
相対的位置にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプ
ライマーを製造するが、その位置とは1つのプライマー
から合成される延長生成物は、鋳型(相補鎖)と分離し
た場合に、他のプライマーが決まった長さの核酸へと延
長するための鋳型のはたらきをすることができるような
鎖上の位置である。プライマーは、たとえば、それぞれ
NarangS. A.ら(Meth. Enzymol. 68、90(197
9))とBrown, E. L.ら(Meth.Enzymol.68、109
(1979))に記述されているホスホトリエステル法
やホスホジエステル法等のあらゆる適切な方法を用い
て、又はそれらの方法の自動化された方法を用いて製造
することができる。そのような自動化された方法のひと
つにおいては、ジエチルホスホロアミダイトを出発物質
に用いて、Beaucageら(Tetrahedron Letters(198
1)22:1859-1862)に記述されるように合
成することができる。修飾した固体支持体上でオリゴヌ
クレオチドを合成するひとつの方法が、米国特許第4,
458,066号に記されている。又、生体源から単離
したプライマーを使用することもできる(制限エンドヌ
クレアーゼ消化物など)。
【0028】cDNAライブラリのプロービング cDNA又はゲノムライブラリをコロニー又はプラーク
ハイブリダイゼーション法を用いてスクリーニングす
る。バクテリアのコロニー(又は組み換えファージ感染
バクテリア)を入れた各プレートを2連のニトロセルロ
ースフィルター(S&SタイプBA−85)の上にレプ
リカする。そしてバクテリアコロニースクリーニングの
ために、コロニーを50μg/mlのAmpを含んだL
寒天上で37℃で14〜16時間生育させる。バクテリ
アを溶菌させ、プラスミド、あるいはファージDNAを
0.2NNaOH、1.5MNaCl、つづいてpH
7.5の0.5Mトリス、1.5MNaCl、さらに2
倍濃度の標準クエン酸塩溶液(2×SSC)で各5分間
順次処理することによってフィルターに固定した。フィ
ルターは風乾し、80℃で2時間加熱し、2連のフィル
ターは、フィルターあたり10mlのDNAハイブリダ
イゼーションバッファー(5×SSC、pH7.0、5
×デンハルト溶液(ポリビニルピロリジン+フィコー
ル、及び牛血清アルブミン;1×=各0.02%)pH
7.0のリン酸ナトリウムバッファー、0.2%SD
S、20μg/mlpolyU及び50μg/ml変性サケ
精子DNA)で42℃で6〜8時間予備ハイブリダイズ
させる。
【0029】サンプルは、望みの厳密なコントロールに
もとづく条件下に、キナーゼ処理したプローブとハイブ
リダイズさせる。通常の中程度のストリンジェント条件
では、プローブを含む1〜5ml/フィルターのDNA
ハイブリダイゼーションバッファを42℃で24〜36
時間用いる。さらにきびしいストリンジェントコントロ
ールをするには、より高温でより短い時間にする。フィ
ルターは、SSC×2、0.2%SDS及びpH7のリ
ン酸ナトリウムを用いて、37℃で各回30分、4回洗
浄して、その後SSC×2及び0.2%SDSで2回洗
浄し、風乾して2〜3日間−70℃でオートラジオグラ
フをとる。
【0030】ポリメラーゼチェインリアクション(PC
R)増幅 タンパクをコード化する大量のDNAを、Mullisら(米
国特許第4,800,159号)の記述するポリメラー
ゼチェインリアクション(PCR)増幅技術を用いて得
ることができる。1方のプライマーの延長生成物は、他
のプライマーとハイブリダイズさせると、核酸配列の生
成物の鋳型になる。プライマーと鋳型の複合体は、複製
機能を行なう時にプライマーを伸長させるDNAポリメ
ラーゼの基質として働く。両方のプライマー延長物に共
通の領域は、変性されて、くりかえしプライマー延長の
鋳型として働く。
【0031】Taq DNAポリメラーゼは、この増幅
過程でプライマー伸長を触媒する。酵素はサームス・ア
クアティクス(Thermus aquaticus)から単離された温
度に安定なDNAポリメラーゼである。この酵素は、く
りかえし高い変性温度に上昇させても活性なままである
ので、1度だけ加えればよい。デオキシヌクレオチド3
リン酸塩はプライマー延長の組立て材料となる。
【0032】核酸配列鎖は、鋳型の特定部位でそれらの
相補する鎖と結合するオリゴヌクレオチドプライマーの
存在下に、二本鎖が分離するまで加熱される。この工程
を、一連の加熱と冷却のサイクル、すなわち鎖を分離す
るための加熱と、プライマーのアニールと伸長のための
冷却をしながら続ける。サイクルをくりかえすたびによ
り多量の鎖のコピーが作られる。増幅によってコード領
域と、制限部位や翻訳シグナル(シグナル配列、開始コ
ドン及び/又は停止コドン)のようなその他すべてのプ
ライマーにコードされた情報が得られる。PCRのプロ
トコールは、しばしば0.5mLのミクロ遠心管中で1
00μLのスケールで行なわれる。PCRのサンプルは
一本鎖又は二本鎖DNA又はRNAでよい。出発物質が
RNAの場合、PCRに先立って第1鎖cDNAを作る
ために逆転写酵素を用いる。通常、最適の試行をはじめ
るために、ナノグラム程度のクローニングした鋳型、マ
イクログラム程度までのゲノムDNA又は20000個
の標的コピーを選択する。
【0033】PCRプライマーはオリゴヌクレオチドで
あり、通常は15ないし30の塩基の長さであり、相補
する鋳型鎖の5’末端を限定する配列と相補的である。
鋳型と相補性のない5’延長部をプライマーに加えて、
増幅自体をそれほどさまたげずに、PCR増幅後に有用
な種々の操作を生成物に行なうことができる。2つのP
CRプライマーはとくに3’末端において相互に相補的
な2個以上の塩基を持たないということが重要である。
プライマーにおいて内部の2次構造はさけなければいけ
ない。
【0034】Taq DNAポリメラーゼが37〜55
℃の範囲で活性を持つために、プライマー延長はアニー
リングの段階で起こり、ハイブリッドは安定になる。望
ましくはプライマーの濃度は従来のPCRと等しく、通
常は0.1ないし1μMの範囲である。標準的PCRの
プロトコールでは、各デオキシヌクレオチド3リン酸塩
の濃度は、望ましくは約200μMである。4つのdN
TP濃度は、各dNTPに関して評価されたKmより高
い(10〜15μM)ことが望ましい。
【0035】望ましくは、PCRバッファーは、約50
0mMの塩化カリウム、100mMのトリス−HCl
(室温でpH8.3)、15mMの塩化マグネシウム及
び0.01%w/vのゼラチンから成る。0.8mMの
全dNTP濃度の下に、1.5ないし4mMの範囲で少
しずつ増加させて一連の反応を行なうことにより、特定
の生成物の最高の収量を与えるマグネシウム濃度がわか
るであろう。遊離マグネシウムが過少であるとPCR生
成物は得られず、過剰であると種々の望ましくない生成
物が生ずることがある。
【0036】望ましくは、100μLの反応量で、2.
0ないし2.5ユニットのTaqDNAポリメラーゼが
よい。酵素は、多くの反応に用いるためのマスターミッ
クスにはじめから加えると便利であり、各試験管にそれ
ぞれ0.5μLの酵素液を加える際の精度の問題をさけ
ることができる。DNA鋳型の増幅を行なう通常のPC
Rプロトコールには、1分間の94℃の変性段階、1分
間37℃のプライマー再生段階及び2分間の72℃のプ
ライマー延長段階が含まれる。これにより500塩基対
の生成物は、25サイクルで少なくとも100000倍
に増幅される。
【0037】DNA変性の際に、サンプルが熱平衡にな
るのに十分な時間を与える必要がある。ほとんどのサン
プルに対して有効な変性温度の実用的な範囲は、92〜
95℃であり、標準的な選択としては94℃である。ふ
つうプライマーアニーリングはまず37℃で行なって、
生成物の特異性を評価する。好ましくないバンドが観察
される場合には、順次最適になるようにアニーリング温
度を上げなければならない。多くの場合にプライマーア
ニーリング温度の範囲は37〜55℃であるが、場合に
よっては延長温度程度の高さにまで上昇するかもしれな
い。プライマーアニーリングとプライマー延長の段階を
ひとつにすると、2段階PCR過程になる。
【0038】ほとんどの適用において、プライマー伸長
は72℃で十分に生じるので最適化はほとんど必要な
い。2温度PCR過程での温度範囲は65〜70℃であ
る。酵素濃度が後期サイクルで増幅を制限する場合に
は、延長は、都合よく、サイクル数に比例して増加す
る。通常、25ないし45サイクルが特定の標的の大量
増幅(すなわち1000000倍)に必要とされる。
【0039】ベクターの構築 所望のコード配列及び制限配列を含む適当なベクターを
構築するのに、この分野で周知の標準的連結及び制限技
術を用いる。単離したプラスミド、DNA配列又は合成
オリゴヌクレオチドを切断し、切り整え、そして所望の
形態に再結合する。
【0040】部位特異的なDNAの切断は、この分野で
周知の条件下で適当な制限酵素(又は諸酵素)で処理す
ることによって行なうが、個々の方法についてはこれら
の市販の制限酵素の製造元が指定する(New England Bi
olabs, Product Catalog参照)。一般に、約1μgのプ
ラスミド又はDNA配列は、約20μlのバッファー溶
液(37℃)中の1ユニットの酵素により切断される。
通常、DNA基質の完全な加水分解を期すために過剰な
酵素を用いる。インキュベーション時間は、様々に変化
させることができるが、37℃で約1ないし2時間で十
分である。各インキュベーション後、フェノール/クロ
ロホルムによる抽出によってタンパクを取り除き、その
後セファデックスG−50スピンカラム(商品名)にか
けてもよい。必要ならば、標準的な技術を用いてポリア
クリルアミドゲル又はアガロースゲルにより、切断した
フラグメントのサイズ分離を行なってもよい。サイズ分
離の一般的説明は Methods in Enzymology(1980)
65:499−560にまとめられている。
【0041】制限的に切断したフラグメントは、4種の
デオキシヌクレオチド3リン酸塩(dNTP)の存在下
で大腸菌(E.coli)DNAポリメラーゼIの大フラグメ
ント(Klenow)と、50mMトリス、pH7.6、50
mM NaCl、6mM MgCl2、6mM DTT及
び5〜10μM dNTP中で15ないし25分間20
ないし25℃でインキュベーションして処理することに
よって、両端を平滑にしてもよい。Klenowフラグメント
は5’の突出部をうめて二重鎖にするが、4個のdNT
Pの存在下でも、突出した3’一本鎖はとりのぞく。必
要ならば、粘着末端の性質が要求する制限の範囲内でd
NTPの1つ又は選択したdNTPを用いることによっ
て選択的修復を行なうことができる。Klenow処理の後
に、混合物をフェノール/クロロホルムで抽出し、エタ
ノールで沈殿してからSephadexG−50スピンカラムに
かける。S1ヌクレアーゼと適当な条件下で処理する
と、すべての一本鎖部分が加水分解する。
【0042】上記のように、オリゴヌクレオチドは、Ma
tteucciら(J. Am. Chem. Soc,(1981)103:3
185)のトリエステル法又は市販の自動化オリゴヌク
レオチドシンセサイザーを用いて製造できる。アニーリ
ングに先だつ、あるいは標識化のための一本鎖のキナー
ゼ処理は、過剰の、たとえば約10ユニットのポリヌク
レオチドキナーゼを0.1nmolの基質に用いて、5
0mMトリス、pH7.6、10mM MgCl2、5
mMジチオスレイトール、1〜2mM ATP、1.7
pmol32P−ATP(2.9mCi/mmol)、
0.1mMスペルミジン及び0.1mM EDTAの存
在下に行なうことができる。
【0043】連結は、15〜30μlの容量で以下の標
準的条件及び温度で行なう。すなわち、20mMトリス
−HCl、pH7.5、10mM MgCl2、10mM
DTT、33μg/mlBSA、10mM〜50mM
NaCl及び1mM ATP、0.3〜0.6(Weis
s)ユニットT4DNAリガーゼ、14℃(平滑末端の
連結)。分子間の粘着末端結合は、通常、33〜100
μg/mlの全DNA濃度(5〜100nM全末端濃
度)で行なう。分子間ブラント末端結合は、(通常10
〜30倍の分子数の過剰なリンカーを用いて)1μM全
末端濃度で行なう。
【0044】ベクターフラグメントを用いたベクターの
構築では、一般にベクターフラグメントをバクテリアの
アルカリホスファターゼ(BAP)又は小ウシの腸ホス
ファターゼ(CIAP)で処理して、37℃で30分間
反応させて、5’リン酸をとりのぞき、ベクターの再結
合をふせぐ。BAPの加水分解は、pH8で、約150
mMのトリス中、Na+及びMg2+の存在下に、ベクタ
ー1μgあたり1ユニットのBAPを用いて60℃で約
1時間行なう。ヌクレオチドフラグメントを回収するた
めに、生成物をフェノール/クロロホルムで抽出し、エ
タノール沈殿してSephadexG−50スピン・カラムにか
けて脱塩する。あるいは、好ましくないフラグメントを
さらに酵素で加水分解することによって2重に加水分解
してベクターの再結合をふせぐことができる。
【0045】配列修飾が必要なcDNA又はゲノムDN
A由来のベクターの部分に対しては、部位特異的プライ
マーに対する突然変異誘発を用いる。これは、限られた
所望の変異をもたらすいくつかの不対合をのぞいて突然
変異誘発されるべき1本鎖プラスミド又はファージDN
Aに相補的な合成ヌクレオチドプライマーを用いて行な
う。つまり、合成オリゴヌクレオチドをファージに相補
的な鎖の合成を指示するプライマーとして用いて、得ら
れた2本鎖DNAをファージを保持するホストバクテリ
アに形質転換する。形質転換したバクテリアの培養物を
上層寒天中にまいて、ファージを持った1つの細胞から
1プラークを形成させる。
【0046】理論的には新たなプラークの50%が、一
本鎖突然変異した形を有するファージを含む。そして5
0%はもとの配列を有する。得られたプラークは、正確
な対合の交雑は可能であるが、不対合によりもとの鎖と
のハイブリダイズは起こらない温度で、キナーゼ処理し
た合成プライマーとハイブリダイズさせる。その後プロ
ーブとハイブリダイズしたプラークをつりあげて培養
し、DNAを回収する。
【0047】構築の検証 以下に述べる構築において、プラスミド構成の正しい連
結は、E. coli 遺伝保存センター(E. coli Genetic St
ock Center )から入手した大腸菌(E. coli)株MM2
94(CGSC#6135)又は他の適当なホストを連
結混合物で形質転換することによって、確認される。形
質転換体を、周知のやり方で、アンピシリン、テトラサ
イクリン又は他の抗生物質耐性によって、もしくはプラ
スミド構成のモードにかかわる他のマーカーを用いて選
択する。その後、形質転換体のプラスミドをClewell.
D. B.ら(Proc. Natl. Acad. Sci. USA(1969)6
2:1159)の方法で、調製した。その前にクロラム
フェニコール増幅(Clewell.D. B., J. Bacteriol.(1
972)110:667)してもよい。単離したDNA
を制限酵素分解分析し、かつ/又は、Sanger. F.ら(Pr
oc. Natl. Acad. Sci. USA(1977)74:546
3)が述べていてMessingら(Nucleic Acid Res(19
81)9:309)がさらに説明しているジデオキシ法
によって、あるいはMaxamら(Methods in Euzymology
(1980)65:499)の方法によって配列分析す
る。
【0048】形質転換 用いたホスト細胞に応じて適切な標準的技術を用いて形
質転換を行なう。前核生物や堅固な細胞壁を持つ他の細
胞に対しては、Cohen. S. N.(Proc. Nati. Acad. Sci.
USA(1972)69:2110)の記述する塩化カル
シウムを用いたカルシウム処理、又はMariatisら(“Mo
lecular Cloning: A Laboratory Manual”(「分子クロ
ーニング:実験室用マニュアル」)(1982)Cold S
pring Harbor Press p.254)の述べるRbcCl法
を用いる。一定の植物細胞には、根頭がんしゅ病菌(Ag
robacterium tumefaciens)の感染を用いる(Shaw, C.
H.ら、Gene(1983)23:315)。このような細
胞壁のない哺乳類の細胞には、Graham 及び Van der Eb
(Virology(1978)52:546)のリン酸カルシ
ウム沈着法が好ましい。イーストへの形質転換は、Van
Solingen P.ら(J.Bacter.(1977)130:94
6)及びHsiao, C. L.ら(Proc. Natl. Acad.Sci. USA
(1979)76:3829)の方法に従って行なう。
【0049】実施例1 スポドプテラ・フルギペルダ(Spodptera Frugiperda:
ヨトウガの一種)の細胞におけるXa因子抑制物質の生
NotI部位とSalI部位にはさまれた、λgt22
cDNA発現ライブラリ(Hanら、Gene 75:47−5
7(1989))から取られたアンチスタシン変種2c
DNAクローンを、NotI/SalIで加水分解し
た。NotI/SalI制限部位において制限酵素部位
をpUC18中間ベクター(Bethesda Reserch Laborat
ories)中にサブクローニングして、中間ベクターK5
38を作った(図2)。
【0050】K538をAvaIIとHindIIIで加水
分解して(図2)、以下のオリゴヌクレオチド配列と連
結させることによって、アンチスタシンORFの両端で
欠けていた配列を再びおぎなった。すなわち:
【表4】 pBD88−009−2を以下のように構成した(図
4)。すなわち、pGEM−3Z(Promega Biotec)を
EcoRI/XbaIで加水分解した。加水分解したp
GEM−3ZをまずオリゴA及びオリゴBと結合させ
て、AvaII、HindIIIで加水分解した後、前もっ
て加水分解したK538から得ておいたAvaII/Hi
ndIIIフラグメントに連結した。こうして得たpBD
88−009−2は完全なアンチスタシン変種2ORF
を含む。pBD88−009−2を鋳型として用い、B
amHIクローニング部位、適切な開始を確実にするK
ozak配列(Kozak, Nucleic Acids Res. 15:81
25−8148(1987))それにつづく開始コドン
(ATG)及び2〜5のアミノ酸残基を含む5’プライ
マー:及び55〜58のアミノ酸残基配列、それにつづ
く翻訳停止のための停止コドン(TTA)とサブクロー
ニングのためのBamHIクローニング部位(GGAT
CC)を含む3’プライマー:を用いるPCR増幅を行
なった(図1)。
【0051】 PCR増幅は、DNAサーマルサイクラ
ー(Perkin Elmer Cetus)を用いて、Saikiら(Science
239:487−491(1988))に従って、50
mMKCl、10mMトリスpH8.3、1.5mM
MgCl2、0.01%ゼラチン、200umの各デオ
キシヌクレオチド3リン酸(dNTP)とVar2アン
チスタシンを含む10ngのDNA鋳型pBD88−0
09−2、25ユニットのTaqポリメラーゼ(Perkin
Elmer Cetus)、そして500ng(0.1nmol)
の各プライマーを含有する100μl中で行なった。反
応混合物には、蒸発をふせぐために100μlの軽鉱物
油(Sigma)を上層した。以下のPCR増幅プログラム
を用いた、すなわち:最初の鋳型変性段階:94℃で8
分間、その後:94℃で2分間、60℃で3分間、72
℃で3分間を30サイクル。完全に反応したPCRをク
ロロホルムで一回抽出して鉱物油をとりのぞき、そして
5μlを用い、2%アガロースゲル上で分離させ、DN
Aをエチジウムブロミド染色後にUV光で可視化した。
残っているPCRプライマーとdNTPを水でうすめて
Centricon 30膜(Amicon)に通してとりのぞいた。そ
の後PCR生成物を制限酵素BamHI(Boehringer M
annheim)で加水分解して、クローニング部位を生じさ
せて、NA−45イオン交換膜(Schleicher & Scheul
l)を用いてゲル精製した。溶離したDNAをフェノー
ル/クロロホルムで抽出し、エタノール沈殿させ、遠心
し、再び水に分散させて、T4DNAリガーゼ(Boehri
nger Mannheim)を用いて中間発現ベクターpSP73
(Promega)のBamHI部位に結合させてpJD88
−08を形成した。BamHIを用いてpJD88−0
8から58のアミノ酸から成るcDNAを切り出して、
オートグラファ・カリホルニカ(Autographa californi
ca)の各多角体病ウイルス(AcNPV)の発現のベク
ターpVL941(LuckowとSummers, Virology 17
:31−39(1989))と結合させて、pWO8
8−12を形成した(図5)。pWO88−12は、シ
グナルペプチドを有する58個のアミノ酸分子のアミノ
酸配列を含む(図3にこの配列が示されているが、シグ
ナルペプチドには下線がひかれ、成熟タンパクのN末端
のアミノ酸残基は+1と番号がつけられている)。
【0052】大腸菌(E. coli)HB101コンピテン
ト細胞(Bethesda Reserch Laboratries)を、組み換え
中間体発現ベクターを用いて、Hanahan(J. Mol. Biol.
166:577(1983))の方法を幾分変更して
形質転換し、Maniatis (“A Cloning Manual”(「ク
ローニング・マニュアル」))(アルカリ溶菌法)が述
べるようにプラスミドDNAの大規模な調製を行なっ
た。インビトロの転写及び翻訳は、本構築体を用いてRi
boprobeシステム(Promega)に述べるように行なった。
インビトロの翻訳生成物は、前記のようにSDS−PA
GEによって分離すると、予測されたサイズのタンパク
生成物が組み換え中間体ベクターにより生産されたこと
がオートラジオグラフで示されたが、これは、遺伝子特
性によって挿入されたアンチスタシン半分子のリーディ
ングフレームが機能している。つまり損傷点突然変異、
欠失、あるいは挿入がないということを示している。
【0053】昆虫細胞内の発現 ヨトウガの一種(Spodoptera Frugiperda)Sf9昆虫
細胞(S.frugiperda ATCC No. CRL1711)のサナギ
卵巣組織由来のクローン単離した細胞IPLB−Sf2
1−AE(Vaughanら、In Vitro(1977)13,2
31〜))をホスト細胞に用いた。pWO88−12を
用いてSummersとSmith(Texas Agricultural Experimen
tal Section Bulletin No.1555,1987)の方法
によってホスト細胞をコトランスフェクトした。pWO
88−12は、ポリヒドリンプロモーターの下流に挿入
した58個のアミノ酸タンパク遺伝子を有する。5日後
に、ウイルスを回収して、SummersとSmithにもとづいて
プラークを精製した。組み換えウイルス感染の形態的特
徴を示しているウイルスプラークをウイルスのストック
源とし選んだ。これらの単離した細胞外ウイルス(EC
V)を用いてSf9細胞を感染させて、5日間で、分泌
されるタンパクのアッセイができる培養培地が得られ
た。
【0054】IPL−41基礎培地(J. R. Scientific
Woodland. CA)を2%の加熱失活させたFetal Bovine
Serum(FBS, Gibco, Grand Island, NY)3.3g/l
のYeastolate(商品名、Difco, MI)とともに、1.0
g/lのPluronic F68(BASF Corporation, Parsipp
any, NJ)を懸濁培養に加えることをのぞけば、静置培
養と懸濁培養の両方に用いた。細胞をかくはんフラスコ
中で1.0×166個/mlの密度まで生育させて、1
mlで107のプラーク形成ユニット/mlの力価を持
つウイルスストックを培養液1l当り10mlの濃度で
加えた。Sf9細胞の生育とウイルス感染は、培養基中
に溶解した酸素のレベルが過少(空気飽和20%以下)
と過剰(100%以上)の場合は悪影響を受けることが
わかった。ウイルスを含んだ培養培地は72時間から9
6時間収獲される。
【0055】タンパク発現の検証 培養培地中の活性タンパクの存在は、色素生成基質アッ
セイシステムSpectrozyme Factor Xa(American Diagno
stica)を用いたXa因子抑制アッセイで同定した。1
00μlの50mMトリス、pH7.5、0.15MN
aCl、0.1%BSA(TBSAバッファー)に対し
て10μlの培養培地(又は対照のためにはTBSAバ
ッファー)及び50μlのXa因子(最終濃度0.5n
M)を加えて、混合物を20〜23℃で30分間インキ
ュベートした。60μlのSpectrozyme Factor Xaを全
サンプルに加えて、Bio Rad model3550マイクロプ
レートリーダーを用いて405nmでの吸収の増加を測
定することによりタンパクの活性を決定した。感染後4
日で収集した培養培地は、Xa因子抑制作用を持つこと
がわかった。その後これらの培地をCentricon membrane
10で濃縮し、イムノブロッティングで分析した。濃縮
した培養培地を0.3%SDSで変性させ、2%(v/
v)2−メルカプトエタノールで還元し、12%ポリア
クリルアミドゲル(Lammeli, Nature, 227:680
−685(1970))上の電気泳動で分離し、製造元
の指示に従ってGene Screenとナイロン膜(NEN/Dupon
t)上に電気的に移動させて、モルモット抗アンチスタ
シン抗血清と、それにつづいて125I−protein A(NEN/
Dupont)とでプローブした。イムノブロットのオートラ
ジオグラフは、Xa因子抑制作用を持つことが示された
培養培地中では、アンチスタシン半分子にあたる6kD
aの予測された分子サイズのタンパクのバンドを示した
が、感染していない対照の細胞培養ではバンドを示さな
かった。
【0056】さらに生化学的特徴づけを行なう目的で、
組み換えタンパクをヘバリン−Sepharoseクロマトグラ
フィーによって部分的に精製した。培養培地は充填前に
充填バッファー(0.01%Tween80を含む20
mMのトリス、pH5.6)で1ないし6倍に希釈し、
充填バッファーで洗浄して、0.15から0.75Mの
NaClで段階的に(0.15、0.25、0.35、
0.45、0.55、0.65、0.75M)溶離し
た。活性タンパクは0.15MNaClで溶出した。溶
離したものを今度は脱塩して濃縮し、Centricon10膜
を用いて20mMトリスバッファー、pH7.4にバッ
ファー交換した。インビボの有効性及び安全性の評価の
ための大量生産をするために、逆相HPLCマトリクス
を用いたバッチ法を用いた。バキュロウイルス/Sf9
細胞から取った無細胞培養培地を0.22ミクロンのセ
ルロースアセテート膜を通して濾過した。バルクプレッ
プC18逆相充填樹脂(Waters社)を5%イソプロパノー
ル(IPA)で調整して、前もって5%IPAに調整し
ておいた濾過した培地と混合した。Xa因子抑制活性物
質のほとんどは、20%IPAによって樹脂から十分に
溶離されることがわかった。この段階でのXa因子抑制
物質の回収は、出発物質の培地で検出される活性の50
%であった。溶離したものをさらに調製用等電点電気泳
動で精製した後に、0.1%TFA中で5〜30%の直
線勾配のアセトニトリルにより溶出させるμ−Bonkapak
18カラムを用いたRP−HPLCを行なった。後に溶
離した方が80%の活性を有する2つのXa因子抑制の
ピークが回収された。この段階でのXa因子抑制活性の
全回収率は47%であった。この2つのXa因子抑制ピ
ークは、Xa因子抑制に関して等しく活性があり、前記
のように決定した同等のIC50(0.73nM)を有
し、以下のように決定された類似のアミノ酸構成(表
1)を有することがわかった。すなわち、減圧下に6N
HCl、0.1%フェノール中で110℃で70時間タ
ンパクの加水分解を行なった。アミノ酸分析を、メーカ
ー指定の方法によるニンヒドリンポストカラムで検出す
るBeckman Model6300アミノ酸アナライザーを用い
て行なった。この2つのピークの異なった溶離パターン
は翻訳後の修飾又は凝集によると思われる。
【表5】 表 1 残 基 理論値 実測値 Var2 (Var1) メジャーピーク マイナーピーク Asx 2 2.3* 1.93* 2.27 Thr 2 1.8 1.94 1.96 Scr 3 2.7 2.78 2.68 Glx 8 (7) 7.6 8.05 7.39 Pro 5 5.1 4.60 4.62 Gly 7 (8) 6.5 6.89 6.25 Aln 2 1.9 2.23 2.14 Cys 10 N.D. N.D. N.D. Val 2 (1) 1.9 2.49 2.27 Met 1 N.D. 0.81 0.75 Ile 2 1.9 1.15 1.19 Leu 1 1.4 1.21 1.35 Tyr 1 1.0 1.03 0.97 Phe 3 2.9 2.99 2.78 His 2 2.0 1.77 1.74 Lys 1 1.2 1.13 1.52 Arg 6 (5) 5.0 4.88 4.47 ────────────────────────────────── *2つは別々に測定
【0057】本発明のタンパクは、Xa因子を抑制して
凝固経路を抑制する。Xa因子の抑制は、適当な医薬組
成物用担体、たとえば食塩水と組み合わせて、適当なp
H、たとえば7.4にして、Xa因子がプロトロンビン
からのトロンビンの形成を引き起こすのをこの組成物が
阻害するように、連続静脈内投与あるいはボーラス投与
のいずれかによってこのタンパクを投与することによっ
て行なう。Xa因子抑制作用を持つ本発明のタンパク性
物質は、他の多くのタンパク/ペプチドのように、無毒
性の有機あるいは無機の酸とならばどれとでも薬剤用の
塩を形成する。適当な塩を作る無機酸の例には、塩酸、
臭化水素、硫酸及びリン酸などの酸、そして酸金属塩を
形成するものとしてナトリウム1水素オルトリン酸塩、
及び硫酸水素カリウムなどがあげられる。適当な塩を作
る有機酸の例には、モノ、ジ、及びトリカルボキシル酸
が含まれる。このような酸の例としては、たとえば、酢
酸、グリコール酸、乳酸、ピルビン酸、マロン酸、コハ
ク酸、トリフルオロ酢酸、グルタル酸、フマル酸、リン
ゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、マレイン
酸、ヒドロキシマレイン酸、安息香酸、ヒドロキシ安息
香酸、フェニル酢酸、ケイ皮酸、サリチル酸、2−フェ
ノキシ安息香酸のような酸があり、また、メタンスルホ
ン酸や2−ヒドロキシエタンスルホン酸のようなスルホ
ン酸がある。カルボキシ末端のアミノ酸部分の塩には、
あらゆる適当な無機又は有機塩基とともに形成した無毒
性のカルボン酸塩が含まれる。たとえばそれらの塩に
は、アルカリ金属、たとえばナトリウムやカリウムとの
塩;アルカリ土類金属、たとえばカルシウムやマグネシ
ウムとの塩;アルミニウムを含めたIIIA族の軽金属と
の塩;そして有機第一、第二、及び第三アミン、たとえ
ば、トリエチルアミンを含めたトリアルキルアミン、プ
ロカイン、ジベンジルアミン、1−エテンアミン、N,
N’−ジベンジルエチレンジアミン、ジヒドロアビエチ
ルアミン、N−(低級)アルキル−アルキルピペリジ
ン、及び他のすべての適当なアミンが含まれる。
【0058】Xa因子抑制作用を持つ本発明のタンパク
質性物質の、抗凝固をおこす用量は、たとえば患者や治
療をうける血栓の状態によっても異なるが、一日に患者
の体重あたりで0.4mg/kgから500mg/kg
である。個々の患者への適切な用量は簡単に決めること
ができる。好ましくは一日に1ないし4回の投与で、通
常1回の用量として10mgから200mgの活性化合
物を投与する。保存血液などの媒質中で血液凝固又はX
a因子を抑制するのに用いる場合にXa因子を抑制する
のに必要となるXa因子抑制作用を持つ本発明のタンパ
ク質性物質の濃度は、当業者により容易に決定できる。
【0059】抗凝固治療とは、様々の血栓の状態、とく
に冠状動脈及び脳血管疾患の治療及び予防を言う。この
分野の経験者は、抗凝固治療の必要な状況を容易に認め
る。ここに「患者」とは、ヒトを含めた霊長類、ヒツ
ジ、ウマ、ウシ、ブタ、犬、ネコ、ネズミ、及びハツカ
ネズミなどの哺乳類を意味する。Xa因子の抑制は、血
栓状態を持つ個々の患者の抗凝固治療に役立つだけでな
く、保存全血液や試験用又は保存用の他の生体サンプル
中の凝固をふせぐなどの血液凝固抑制が必要なあらゆる
場合に役立つ。したがって、Xa因子抑制作用を持つ本
発明のタンパク質性物質は、Xa因子を含む、あるいは
含むと思われる媒質で、血液凝固の抑制が望ましいすべ
ての媒質に加えたり接触させたりすることができる。
【0060】Xa因子抑制作用を持つ本発明のタンパク
質性基質は、経口投与につづいて腸を経ても失活しない
が、出願者らは、たとえば皮下、静脈内、筋肉内などの
非経口の投与、デポー注射による投与、あるいは植込み
製剤を勧める。
【0061】非経口投与のためには、Xa因子抑制作用
のある本発明のタンパク質性基質を、水や油などの無菌
の液体に場合によって表面活性剤及び他の薬剤用の佐剤
を加えた薬剤用担体とともに、生理的に受容し得る希釈
剤中に溶解又は懸濁させた注射用服用量を投与してもよ
い。この調製に用いることのできる油の例は石油、動物
性油、植物性油、又は合成油があり、たとえばラッカセ
イ油、大豆油、そして鉱油である。一般に、水、塩類溶
液、デキストロース水溶液及び関連した糖溶液、エタノ
ール、そしてプロピレングリコール又はポリエチレング
リコールのようなグリコールは、とりわけ注射用溶液に
対しては好ましい液体担体である。
【0062】Xa因子抑制作用を持つ本発明のタンパク
質性物質は、活性成分の持続的放出を可能とするように
処方されているデポー注射又は植込み製剤の形態で投与
できる。活性成分はペレット又は小さいシリンダーに圧
縮して、デポー注射又は植込み剤として皮下又は筋肉内
に内植する。内植には、生物分解のポリマーや合成シリ
コン、たとえばSilastic(商品名)、シリコンゴム又は
他の Dow-Corning Corporation製のポリマーなどの不活
性物質を用いてもよい。このタンパクは単独で用いても
他のタンパクと組み合わせて用いてもよい。たとえば、
このタンパクは、組織プラスミノーゲン活性化因子を介
した血栓再血流効果を促進する。このタンパクは、まず
血栓の形成後に投与して、その後に組織プラスミノーゲ
ン活性化因子又は他のプラスミノーゲン活性化因子を投
与するとよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】PCRによるタンパクcDNA分子の構成の計
画及びプライマー配列を示す図である。
【図2】中間体ベクターK538の構築を示す図であ
る。
【図3】シグナルペプチドを有するXa因子抑制物質の
アミノ酸配列を示す図である。
【図4】中間ベクターpBD88−009−2の構築を
示す図である。
【図5】発現ベクターpWO88−12を示す図であ
る。
【図6】アンチスタシン変異体2cDNAクローンを示
す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12N 15/12 ZNA C12P 21/02 C 8214−4B // C07K 99:00 (72)発明者 ジュウ−シエング ツン アメリカ合衆国,08512 ニュージャーシ ィ,クランバリー,ポラク コート 1 (72)発明者 メルヴィン シルバークラング アメリカ合衆国,07631 ニュージャーシ ィ,インゲルウッド,ヒルサイド アヴェ ニュー 21 (72)発明者 サイモン ダブリユ.ロウ アメリカ合衆国,07023 ニュージャーシ ィ,ファンウッド,グレンウッド ロード 50 (72)発明者 ジョン イー.マーク アメリカ合衆国,08550 ニュージャーシ ィ,プリンストン ジャンクション,リチ ャード コート 4

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Xa因子を抑制し、およそその分子量が
    約6000ドルトンである精製タンパク質。
  2. 【請求項2】 以下のアミノ酸組成: 【表1】アミノ酸 範 囲 Asx 2 Thr 2 Ser 3 Glx 7−8 Pro 5 Gly 7−8 Ala 2 Cys 10 Val 1−2 Met 1 Ile 2 Leu 1 Tyr 1 Phe 3 His 2 Lys 1 Arg 5−6 又はその特性を保持した置換アミノ酸を有する請求項1
    のタンパク質。
  3. 【請求項3】 以下の配列: 【表2】 1 5 10 15 Gln Gly Pro Phe Gly Pro Gly Cys Glu Glu Ala Gly Cys Pro Glu 20 25 30 Gly Ser Ala Cys Asn Ile Ile Thr Asp Arg Cys Thr Cys Ser Glu 35 40 45 Val Arg Cys Arg Val His Cys Pro His Gly Phe Gln Arg Ser Arg 50 55 58 Tyr Gly Cys Glu Phe Cys Lys Cys Arg Leu Glu Pro Met 又はその特性を保持した置換アミノ酸を有する請求項2
    のタンパク質。
  4. 【請求項4】 有効量の請求項1のタンパクを含有す
    る、血液凝固抑制用医薬組成物。
  5. 【請求項5】 a)ジシクロヘキシルカルボジイミドの
    存在下に、Boc−保護したプロリンを、O−Pam樹
    脂に付着させたメチオニンと結合させること; b)適当な中和剤でプロリンを中和すること; c)プロリンを脱保護すること; d)アミノ酸を順次結合、中和、及び脱保護して、58
    個のアミノ酸から成るタンパクを生成すること; e)HFでタンパクを切断すること; f)酢酸の希釈溶液にタンパクを移すこと;及び g)その溶液を攪拌することから成る、請求項3のタン
    パクの製造方法。
  6. 【請求項6】 有効量の請求項4の混合物を哺乳類に投
    与することを含む、哺乳類の血液凝固抑制方法。
  7. 【請求項7】 Xa因子を抑制するために請求項1のタ
    ンパクを投与すること、及び、その後組織プラスミノー
    ゲン賦活剤又は他のプラスミノーゲン賦活剤を投与する
    ことから成る、患者の血栓形成後の血栓溶解による再灌
    流を達成する方法。
  8. 【請求項8】 請求項3のタンパクに対するコーディン
    グDNAを持つ遺伝子。
  9. 【請求項9】 請求項8のXa因子抑制タンパク遺伝子
    又はその一部をバキュロウイルスゲノムに導入すること
    のできる組み換えバキュロウイルス転移ベクターであっ
    て、バキュロウイルスゲノムの一部、バクテリアの複製
    起点、及びバキュロウイルスプロモーターの転写コント
    ロール下にXa因子をコードするDNA配列から成る転
    移ベクター。
  10. 【請求項10】 プロモーターがポリヒドリン遺伝子プ
    ロモーターである請求項9の組み換えバキュロウイルス
    転移ベクター。
  11. 【請求項11】 Xa因子抑制物質をコード化するDN
    A配列がポリヘドリン遺伝子の少なくとも2つのコドン
    と融合して翻訳されるように続き、少なくともその一方
    のコドンが開始コドンである、請求項10の組み換えバ
    キュロウイルス転移ベクター。
  12. 【請求項12】 Xa因子抑制物質をコード化するDN
    A配列がpWO88−12である、請求項11の組み換
    えバキュロウイルス転移ベクター。
  13. 【請求項13】 バキュロウイルスプロモーターの転写
    コントロール下にXa因子抑制物質をコード化するDN
    A配列を少なくとも1つ有する組み換えバキュロウイル
    スゲノムである組み換えバキュロウイルス発現ベクター
    を感受性のホスト昆虫細胞に感染させること;適当な条
    件下に感染した細胞を増殖させること;及び培養培地か
    らポリペプチドを回収すること;から成る請求項3のポ
    リペプチドの製造方法。
  14. 【請求項14】 ホスト細胞がスポドプテラ・フルギペ
    ルダの細胞である請求項13の方法。
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