JPH064084U - 紡績機械のスライバ供給装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 スライバの仕掛け作業の容易化を図るととも
に、スライバ切れを防止する。 【構成】 高所に設けたクリール１４と、該クリールか
ら下方に移送されてくるスライバ２の進路の巾方向に支
持され該スライバに慴接してその進路を紡績機械のフィ
ードローラ６側に屈曲させる丸棒状のガイド具１７とを
有し、クリール１４から移送されてくるスライバ２をガ
イド具１７の下側を通してフィードローラ６に導くよう
にした。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、ギル機等の紡績機械にスライバを供給するスライバ供給装置に関す るものである。

【０００２】

【従来の技術】

例えば羊毛の梳毛工程で使用する紡績機械であるギル機は、表面速度の異なる 複数組のローラでスライバをドラフトしつつ、多数本の鋼製針を並列に植設した フォーラでスライバを櫛けずり、スライバを適当に引き伸ばすと共に繊維を並列 化する。このギル機は、水平に並んだ複数本のスライバを同時に処理するように なっているが、スライバの捩じれや撚りをなくすために、高所に設けたクリール を経由してスライバをギル機のフィードローラに導くようにしている。このフィ ードローラは上下一対のローラ対からなり、他のドラフト用ローラに対して後方 （スライバ移送経路の上流側）に設けられているところからバックローラとも呼 ばれる。

【０００３】 前記上下一対のフィードローラへは、スライバを水平に導入する必要があるが 、クリールを通過後のスライバの進路は下向きとなっているので、フィードロー ラの手前にスライバの進路を水平に屈曲させるためのガイド具が設けられている 。従来のガイド具３０は、図５に示すように、フィードローラに対向して角度調 節可能に設けた板体３１に複数の円形穴３２，…が形成されており、各穴３２， …にスライバ２，…を１本づつ通してフィードローラに導くようになっていた。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】

このため、仕掛けの度にスライバ２，…をガイド具１の穴３２，…に１本づつ 通さなければならないので仕掛け作業が煩雑であるという問題や、仕掛け時や作 業時にスライバ２が穴３２の周囲の部分と擦れて切断するおそれがあるという問 題があった。

【０００５】

【問題点を解決するための手段】

上記課題を解決するために、本考案は次のように構成した。すなわち、本考案 にかかるスライバ供給装置は、高所に設けたクリールと、該クリールから下方に 移送されてくるスライバの進路の巾方向に支持され該スライバに慴接してその進 路を紡績機械のフィードローラ側に屈曲させる丸棒状のガイド具とを有すること を特徴としている。

【０００６】

【作用】

クリールから引き出したスライバを丸棒状のガイド具の下側に通すだけでスラ イバの口出しを行えるので、スライバの仕掛け作業が容易である。ガイド具が丸 棒状であり、ガイド具とスライバとが側面視で円弧状の摺接面で接触するので、 擦れ合いによりスライバが切断することがない。

【０００７】

【実施例】

図１は紡績機械の１例であるギル機を斜め前方から見た斜視図、図２は同ギル 機の要部の断面図である。このギル機１は、複数本（８本程度）のスライバ２， …が集めらた帯状のラップをドラフトしつつ梳毛処理するものであり、３組のド ラフトローラ４，５，６と梳毛用のギル７を備えている。なお、本実施例のギル 機１は、１台で２条づつラップを処理するようになっている。

【０００８】 ドラフトローラ４，５，６はスライバ２の通過順にそれぞれバックローラ、ミ ドルローラおよびフロントローラと呼ばれ、前記バックローラ６は、ギル７にス ライバを供給するローラであるところから、フィードローラとも呼ばれる。これ ら３組のドラフトローラ４，５，６は各々互いに逆方向に回転する上下一対のト ップローラ（Ｔ）とボトムローラ（Ｂ）とからなり、フロントローラ４、ミドル ローラ５、バックローラ６の順に表面速度が速くなっている。トップローラとボ トムローラの間に通したスライバ２が矢印方向（前方）に移送される間に、各ド ラフトローラ４，５，６の表面速度の差によってスライバ２がドラフトされて適 当に引き伸ばされる。

【０００９】 ギル７はスライバ経路を挟んで上下に設けた複数のフォーラ９，…を有する。 フォーラ９，…は支持体１０に複数本の鋼製針１１，…をスライバ側に向けて並 列に植設したもので、各フォーラ９，…がミドルローラ５の近傍からフロントロ ーラ４の直前まで針１１，…をスライバ２に突き刺した状態で移動し、ここでス ライバ２から上方もしくは下方に離反して元の位置へ戻る循環運動を行う。フォ ーラ９の移動速度はミドルローラ５の表面速度よりも若干大きく設定されており 、針１１，…がスライバ中を相対的に進行することにより、その櫛けずり作用に よってスライバ２の繊維が平行に整えられる。

【００１０】 ドラフトおよび梳毛されて適当幅に整えられた２条のラップＡ，Ａは、重ね合 わされてコーマ１２等の次段階に送られる。

【００１１】 処理前のスライバ２はケンス１３にコイル状に収納されており、各ケンスから 繰り出される複数本のスライバ２，…がクリール１４を経由してギル機１の本体 部１ａに供給される。クリール１４でスライバ２を一旦上方に吊り上げることに より、スライバの捩じれや撚りがある程度除去される。本体部１ａには、クリー ル１４から下向きに移送されてくるスライバ２の進路を前方に屈曲させるガイド 具１６と、該ガイド具によって進路が前方に向いたスライバを一対のフィードロ ーラ６（Ｔ，Ｂ）の間隔部と同レベルになるよう上から押圧する押えローラ１７ が設けられている。このように、このスライバ供給装置Ａはクリール１４、ガイ ド具１６および押えローラ１７を備え、ケンス１３から繰り出されるスライバ２ を上記順で経由させてギル機１に供給するのである。

【００１２】 ガイド具１６は図３に示すように丸棒状で、左右一対の脚部１８，１８に取り 付けた支持部材１９，１９に両端が固着されており、フィードローラ６の間隔部 よりも若干高いレベルで水平に支持されている。実際には、ガイド具１６として 円管状のパイプが使用されている。８本のスライバを集めてラップとする場合、 ガイド具１６の幅Ｗは２７０mm程度、フィードローラ６のレベルからの高さＨは ７０mm程度である。図４に示す如く、支持部材１９はスプリング２０を介して脚 部１８に取り付けられているので、上向き力が加わった場合ガイド具１６が若干 上動するようになっている。

【００１３】 スライバ２をギル機１に仕掛けるに際しては、ケンス１３，…から引き出した スライバ２，…をクリール１４を経由して本体部１ａに導き、ガイド具１６と押 えローラ１７の下側を通してバックローラ６およびミドルローラ５の間隔部に挿 入する。前記従来のガイド具３０のように狭い穴３２にスライバ２を挿通する必 要がないので、仕掛け作業が容易である。また、スライバ２とガイド具１６が円 弧状の接触面で摺接し、しかも前述の如くガイド具１６が弾性的に支持されてい るので、スライバ２がガイド具１６と擦れて切断するおそれがない。

【００１４】

【考案の効果】

以上に説明した如く、本考案にかかる梳毛用紡績機械のスライバ供給装置は、 スライバの仕掛けが容易で、かつ、ガイド具とスライバとの擦れ合いによりスラ イバが切断することがなくなった。

【図面の簡単な説明】

【図１】ギル機を斜め前方から見た斜視図である。

【図２】図１に示すギル機の要部の断面図である。

【図３】本考案の１実施例であるガイド具の斜視図であ
る。

【図４】図３に示すガイド具の脚部の断面図である。

【図５】従来のガイド具の斜視図である。

【符号の説明】

Ａ スライバ供給装置 １ ギル機（紡績機械） ２ スライバ ６ フィードローラ １６ クリール １７ ガイド具

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 高所に設けたクリールと、該クリールか
   ら下方に移送されてくるスライバの進路の巾方向に支持
   され該スライバに慴接してその進路を紡績機械のフィー
   ドローラ側に屈曲させる丸棒状のガイド具とを有するこ
   とを特徴とする紡績機械のスライバ供給装置。