JPH0640600Y2 - 織 物 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、一般の布素材等と同様に使用することができ
るもので、木製の糸状体を利用したことを特徴とする織
物に関するものである。

（従来技術） 木材をシート状にし、更に糸状、帯状にしたものと糸と
によって織布を編成する技術は公知であるが、従来はシ
ート状木材を単に紙で裏打ちしたに過ぎず裏打ちをせず
に木材シートを織布に利用することができない。こうし
た従来の織布では折曲げると、木が折れ損じたり割れた
りし易く、強度の点から、実用性が殆どないものであっ
た。

（技術的課題） そこで本考案は曲げても、折れたり、割れたりせず、水
に強く、虫食いに対しても強くかつ変色しない耐久性の
優れた木材利用の織物を提供するものである。

（技術的手段） 前記目的を達する本考案は、木材を薄くスライスし、か
つウレタン樹脂２を含浸させたシート材１から成る素材
Ａを裁断して厚さ0.1mm以下、幅1mm以下の糸状体３を形
成し、該糸状体３を経糸または緯糸として２次元体に形
成した180度折曲げ自由な織物である。

シート材１の材料としてはアカマツ、エゾマツ、シナノ
キ、モミ及びキリのほか、ブナ、カラマツ、ホオ、ケヤ
キその他が用いられる。これらは経木又は合板の材料で
もある。木製シート材をそのまま使用することにより木
材の木肌、木目を生かした独特の味わいを利用すること
ができる。シート材の厚さは0.1mm以下好ましくは0.03
〜0.06mmが良く、幅は1mm以下0.4mm程度までが良い。ま
た着色糸状体とするにはウレタン樹脂含浸前に染色する
と良く、樹脂系の顔料を使用すれば互いにまざり合いが
美しく染色できる。

ウレタン樹脂２は前述のシート材１に含浸させた場合そ
の木肌を自然に残すことができ、木製シート材１に柔軟
性を与えることができる。また難燃性であり、水蒸気と
気体の透過性が極めて小さい特徴を利用することがで
き、しかもコンパウンドの配合範囲も広くかつ安価であ
り、しかも取扱いが容易で皮膚障害がない。

その他、素材Ａにフィルム４を添着したもの同士をフィ
ルム４で貼合わす接着剤、粘着剤としては合成樹脂接着
剤、アクリル系粘着剤、湿気硬化性ウレタン接着剤等が
使用でき、塩化ビニリデンの重合体であるポリ塩化ビニ
リデンは殆んどの有機溶剤に溶けないが、熱、光に不安
定で添加剤との混和性も良くないので、塩化ビニル、ア
クリル酸エステル等と共重合したものを用いる。

シート材１に添着するシート又はフィルム４は前記ウレ
タン樹脂２乃至合成樹脂接着剤または粘着剤との密着性
の良いもの例えばポリ塩化ビニリデンが使用できる。

（考案の作用） 本考案の織物は木材を処理加工、細断した糸状体３を緯
糸または経糸に使用するので、木材の生地を活した織物
が編成され、糸状体３はウレタン樹脂を含浸させている
ため木質が柔軟化しかつ強靱なものとなり、しかも火や
熱で簡単にこげたり燃えたりすることがなく、木製であ
るが故の欠点が改善され、帯や財布、ハンドバックその
他の身装、見回り品、カーテン、テーブルクロス、或い
は衣類等の材料として使用することか可能である。

（実施例） 1.厚さ0.05mmのブナ製経木より成るシート材１をウレタ
ン樹脂２であるエラストロンDP-200（第１工業製薬
（株）製）の80％溶液に10分間浸漬して素材Ａを形成し
引上げ後、ウレタン樹脂２を接着剤としてポリ塩化ビニ
リデンフィルム４を片面に接着するため加圧し、一方、
他の面には前記残存ウレタン樹脂２を硬化させた皮膜
２′を設けて素材Ａ′を形成し、次にこれを幅0.5mmに
裁断して糸状体３を形成し、この糸状体３を緯糸として
ジャカード織機により織りこみ、第５図に例示したよう
な組織の織物を製造した。５は経糸であり、かけ方は織
物組織により異なる。

第１の実施例においては、シート材１にフィルム４を添
着したものを開示しているが、フィルムを添着すること
は必須という訳ではない。

2.前記実施例１と同様に形成した素材Ａ′を２枚、フィ
ルム４の面で接着剤（又は粘着剤）６接着することによ
り２枚重ねとした素材Ａ″を形成し（第４図）、これを
幅0.4mmに裁断した糸状体３の経糸として、同じ織機に
より織物を製造した。

尚、素材Ａは、第３図例の如く、一層のフィルム４だけ
を使用した重層構造とすることも簡単にできる。

（考案の効果） 従って本考案によれば、木材から成りかつウレタン樹脂
２を含浸させた厚さ0.1mm以下、幅1mm以下の糸状体３を
経糸または緯糸として織物を編成したものであるから折
曲げが自由であり、例えば180度折曲げても折損したり
割れたり裂けたりする虞れがなく、単なる表面塗装と異
なりシート材中に完全にウレタン樹脂２が含浸している
から事後剥離することがなく、表面の美しさも長期間保
たれ、また製品は少なくとも経糸または緯糸の一方は水
に強く虫食いの虞れもない糸状体３によって形成されて
おり、染色も可能であってしかも木の肌合いをもった強
靱な織布が得られ、前述の如く身装身回り品や、日用
品、衣類その他の従来、布製々品に使用できる特徴があ
る。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案に係る織物の実施例を示すもので第１図は
糸状体を裁断した状態の斜視図、第２図乃至第４図は糸
状体の断面図、第５図は織物の正面拡大図である。 １……シート材、２……ウレタン樹脂、３……糸状体、
４……シートまたはフィルム、Ａ、Ａ′、Ａ″……素
材。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭56−68135（ＪＰ，Ａ) 特開 昭59−9238（ＪＰ，Ａ) 特開 昭56−144908（ＪＰ，Ａ) 特開 昭56−144909（ＪＰ，Ａ) 特公 昭48−16601（ＪＰ，Ｂ１) 実公 昭53−46380（ＪＰ，Ｙ２)

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】木材を薄くスライスし、かつウレタン樹脂
   ２を含浸させたシート材１から成る素材Ａを裁断して厚
   さ0.1mm以下、幅1mm以下の糸状体３を形成し、該糸状体
   ３を経糸または緯糸として２次元体に形成した180度折
   曲げ自由な織物。
2. 【請求項２】素材Ａは、その一面に合成樹脂その他の材
   質より成るシートまたはフィルム４が含浸させたウレタ
   ン樹脂２を接着剤として添着されている実用新案登録請
   求の範囲第１項記載の織物。
3. 【請求項３】糸状体３は、0.03〜0.06mmの厚さを有する
   実用新案登録請求の範囲第１項又は第２項記載の織物。