JPH0640128Y2 - 包装用緩衝材 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、空気を密封した状態で
各種の包装箱内に収容して使用する包装用緩衝材の改良
に関し、さらに詳しくは、包装箱のコーナーにおいて使
用する包装用緩衝材の改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、プラスチックフィルム製の袋内に
空気を密封入し、その密封された空気の緩衝作用を利用
して構成された包装用緩衝材には多種多様のものが提供
されているが、包装箱のコーナー専用の包装材として
は、包装箱のコーナー内面に段ボール紙片、古新聞等を
折込んで当接する程度の手段が知られているに過ぎな
い。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】然るに、上記の従来技
術の場合は、コーナー部における緩衝効果が余り充分で
はなく、且つ該緩衝材の折込み、当接作業が煩雑である
と共に、包装後の移送、運搬中に、該緩衝材が包装物品
のコーナー部分から移動離脱して該部分の緩衝の用をな
さない場合が多いといった問題がある。

【０００４】本考案は、上記の問題を解決することを課
題として研究開発されたもので、包装箱のコーナー部の
内側面と包装物品のコーナー部の外側面との間に緩衝材
を容易、確実に介在当接でき、且つ複数の密封袋内に充
填封入された空気により優れた緩衝効果を発揮し得ると
共に、一部の密封袋が破損して空気を放出しても、他の
密封袋内の空気による緩衝効果に支障を来たすことがな
く、包装物品のコーナー部の緩衝保護効果を著しく向上
し得る特長を備えた包装用緩衝材を提供することを目的
とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記の課題を解決し、そ
の目的を達成する手段として、本考案では、一端に気体
の導入口を設けると共に他端を閉塞した扁平な気体の導
入管をプラスチックフィルムにより形成し、この導入管
の気体の導入方向に沿った一側縁に、プラスチックフィ
ルムから成る扁平な逆止弁を夫々内装した複数のプラス
チックフィルム製の扁平な密封袋を並列状態で一体に連
設し、この連設辺縁において各密封袋内に上記逆止弁を
装設することにより、導入管と各密封袋を該各逆止弁に
設けた流路のみを介して各別に連通可能に構成し、且つ
相隣りする各密封袋をその側縁で一体に連設すると共
に、導入管の前後のいづれか一方側の複数の各密封袋の
長さを他方側の複数の各密封袋の長さよりも長寸法に形
成し、この長い方の各密封袋を中途位置で部分的に接着
して、この接着部により長い方の各密封袋に通気可能な
折目を形成したことを特徴とする包装用緩衝材を開発
し、採用した。

【０００６】さらに、本考案では、上記のように構成し
た包装用緩衝材において、短かい方の各密封袋の先端辺
縁位置に合致させて、長い方の各密封袋に通気可能な折
目を形成したことを特徴とする包装用緩衝材、及び短か
い方の各密封袋の先端辺縁と長い方の各密封袋の突出内
側辺縁とに亘って接合代を一体に形設したことを特徴と
する包装用緩衝材を夫々開発し、採用した。

【０００７】

【作用】本考案に係る包装用緩衝材は、上記のように構
成されているので、その導入管２の導入口６から空気を
供給すると、空気は各密封袋３（３ａ、３ｂ）に設けた
逆止弁４の流路を介して各密封袋内に各別に充填密封さ
れ、各密封袋３ａ、３ｂ、及び各密封袋３ｂに連通連設
した各密封袋３ｃを膨満して緩衝作用を付与する。各密
封袋のうちの３ａ、３ｂ（３ｃ）は夫々独立した空気の
密封作用を備えているので、１部の密封袋が破損して空
気を放出しても、他の密封袋による緩衝作用には支障を
来たさない。

【０００８】また、導入管２の一側に並設された長短の
複数の各密封袋３ｂ、３ａは、並設されている関係か
ら、膨満されていても、その連設部から容易に内側に折
曲でき、また、長い方の各密封袋３ｂに延設した各密封
袋３ｃは、夫々の通気可能な折目１０から容易に内側に
折曲できるので、空気を密封した１枚の緩衝材により、
図３に示すように包装箱Ｐのコーナー部Ｃの内側に当接
配置できる底部及び２側壁を備えた稜角形状のコーナー
用の包装用緩衝体Ｎを容易、確実に形成できる。

【０００９】さらに、折曲した短かい方の密封袋３ａと
長い密封袋３ｂのうちの３ｃは、夫々の辺縁隅角部に１
体に形設した接合代Ｗを利用して容易に接着できるの
で、稜角形状を一層確実に保持し得て、包装箱内のコー
ナー部への当接配置及び包装箱内のコーナー部での緩衝
効果を一層向上できる作用がある。

【００１０】

【実施例】以下に、本考案の実施例を添付図面に基づい
て説明すれば、図１乃至図４において、１は本考案に係
る包装用緩衝材本体であって、この実施例では、二枚の
方形状の熱可塑性プラスチックフィルム（シート）を重
ね合わせて所要個所を夫々融着して形成した、扁平な気
体の導入管２と、該導入管２の気体導入方向（長手方
向）に沿った一側辺縁に並列状に連設した複数の密封袋
３と、該各密封袋３の連設辺縁において各密封袋３内に
装設した逆止弁４とから構成されている。

【００１１】而して、上記導入管２は、重ね合わせた２
枚の方形状のプラスチックフィルムの一側辺縁に所要の
間隔をおいて融着した２条の融着部５、５と、この２条
の融着部の間において、一方の辺縁側に形成した無融着
部から成る気体の導入口６と、上記２条の融着部５、５
の間において、他方の辺縁側に融着形成した閉塞部７を
備えた細長い扁平な管状体で構成されている。

【００１２】次に、上記導入管２の気体導入方向（長手
方向）に沿った一側辺縁に並列状に連設した複数の密封
袋３は、上記導入管２の２条の融着部５、５から連続し
て融着された横辺方向の横長融着部８、８と縦辺方向の
短巾融着部９に取囲まれて夫々形成されており、且つこ
の実施例では、該密封袋３の群のうち、導入管２の導入
口６側の半分の複数の各密封袋３ａの長さを、閉塞部７
側の半分の他の複数の各密封袋３ｂの長さの略半分程度
に短かく形成すると共に、長い方の各密封袋３ｂを、そ
の中途位置、即ち、この実施例では、短かい方の密封袋
３ａの短巾融着部９と合致する中途位置で部分的に接着
し、この部分的融着部９ａと部分的連通部９ｂとによ
り、長い方の各密封袋３ｂに通気可能な折目１０を設け
て、該各密封袋３ｂの先端側に折曲可能な密封袋３ｃを
夫々連設してある。

【００１３】なお、各密封袋３（３ａ、３ｂ）の短巾融
着部９に対向している導入管２との短巾融着部９ｃは、
各密封袋３のうちの密封袋３ａ及び３ｂの中間部分に対
応する位置では融着されることなく、この無融着部９ｄ
により次に述べる各逆止弁４の各密封袋３ａ、３ｂ内へ
の装設を可能にしたものであり、したがって、この各逆
止弁４の流路のみを介して導入管２と各密封袋３ａ、３
ｂ、３ｃを連通可能に構成してある。

【００１４】また、図１に符号Ｗで示した部分は、短か
い密封袋３ａの外端縁と、密封袋３ｃの突出側縁とに亘
って１体に形設した接合代である。

【００１５】また、各逆止弁４は、図４乃至図９に示す
ように、ポリエチレンフィルム等の柔軟にして肉薄の２
枚の熱可塑性プラスチックフィルム１１、１２を重ね合
わせその長手方向の両側縁に線状の融着部１３、１３を
加熱溶着手段により設けて、上下に開口部１４、１５を
有する気体の流路１６を備えた逆止弁本体１７を形成
し、該流路１６の下半部において、逆止弁本体１７に、
角形の頂部１８を該上方開口部１４に向けて配置させた
状態で、加熱溶着手段により山形状の融着部１９を設け
て構成されており、該融着部１９は、この実施例では、
角形の輪郭線で形成されていて、該融着部１９により流
路１６の下半部に斜め両外側に向う流体の第１の分岐流
路１６ａ、１６ａを連通連設して扁平な逆止弁４を構成
したものであって、図において、２０は上記山形状の融
着部１９の下側中間部に長手方向に加熱溶着手段により
設けた逆止弁本体１７の下側辺に至る一条の融着部、１
６ｂ、１６ｂは該融着部２０により逆止弁本体１７の下
部に形成された前記気体の密封袋３ａ、３ｂ、３ｃ内と
連通する第２の分岐流路を示している。

【００１６】上記のように構成された各逆止弁４は、図
１に略示し、図４に明示するように導入管２と各密封袋
３（３ａ、３ｂ）の連設部（融着部９ｃ）における無融
着部９ｄを介して各密封袋３内に挿入され、逆止弁４の
流路１６の上方開口部１４の外側辺縁を無融着部９ｄの
両内側面に融着９ｅすることによって各密封袋３内に装
設されるものであり、したがって各密封袋３は、逆止弁
４の流路１６の上方開口部１４、下方開口部１５、第１
の分岐流路１６ａ、１６ａ及び第２の分岐流路１６ｂ、
１６ｂを介して導入管２と連通され、このようにして導
入管２の一側縁に複数の密封袋３（３ａ、３ｂ）が逆止
弁４の各流路のみを介して夫々連通可能に並列状態で連
設された包装用緩衝材を構成したものである。

【００１７】次に、上記のように構成された包装用緩衝
材の使用状態を説明する。即ち、使用に際しては、該緩
衝材の各密封袋３ａ、３ｂ、３ｃ内に気体を吹込むので
あるが、その際は、導入管２の導入口６に給気具の給気
口を挿入して給気するものであり、給気された気体は、
先づ導入管２を経て一番奥部に位置する閉塞部７側の密
封袋３ｂの逆止弁４の上述した各流路を経て密封袋３ｂ
及び３ｃ内に充填され、順次に奥の方から各密封袋３
ｂ、３ｃ内に円滑に充填されて、この一群の各密封袋３
ｂ、３ｃを膨満した後、さらに、逆止弁４の流路を経て
導入口６側の一群の密封袋３ａを順次に膨満して、図２
に示すように全部の密封袋３を膨満させる。

【００１８】次いで、膨満した短かい方の各密封袋３ａ
を、その横長融着部８のうちの８ａの部分から導入管２
と共に夫々内側に折曲して直立させると共に、各密封袋
３ｃを折目１０の部分から内側に折曲して直立させ、接
合代Ｗを折込線Ｆに沿って内側又は外側に折込んで、接
着テープ等により所要の密封袋に接着すると、図３に示
すように複数の密封袋３ｂから成る底部と、複数の密封
袋３ａから成る一方の側壁と、複数の密封袋３ｃから成
る他方の側壁を備えた稜角形状のコーナー用の包装用緩
衝体Ｎが得られる。

【００１９】上記のようにして形成された包装用緩衝体
Ｎは、図３に略示するように包装箱の各稜角部Ｃ内に当
接配置され、その内側に要緩衝物品の各稜角部の外側を
当接した後、必要に応じて他の開放部を適宜に緩衝材で
覆って梱包されるものである。

【００２０】以上、本考案の主要な実施例について詳述
したが、本考案は上記実施例に限定されるものではな
く、考案の目的を達成でき、且つ考案の要旨を逸脱しな
い範囲内で、種々の設計変更が可能であることは当然で
ある。

【００２１】

【考案の効果】本考案に係る包装用緩衝材は、前記のよ
うに構成され、上記のようにして使用されるものである
から、次のような優れた効果を達成できる。

【００２２】（１） コーナー用の包装用緩衝材を構成
している底部用の各密封袋及び両側壁用の各密封袋は一
体に構成されており、且つ容易に稜角形状となし得るた
め、既述した従来のコーナー用緩衝材に較べて、要緩衝
物品の稜角部の外側に対する当接配置作業が格段に容易
であると共に、当接配置後に妄動するおそれがなく、所
期の緩衝効果を良好に保持できる。

【００２３】（２） 衝撃により最も破損し易い要緩衝
物品の各コーナーを確実に緩衝保護できるので、他の個
所の緩衝手段を著しく簡略化でき、緩衝包装作業の手間
及び費用を低減できる。

【００２４】（３） 導入管に設けた１つの導入口から
気体を供給することにより、各密封袋の全部に空気を充
填密封し得ると共に、各密封袋は各別の逆止弁を備えて
いるので、１部の密封袋が破損して空気を放出しても他
の密封袋の密封空気は放出されることがなく、緩衝材効
果を充分に維持できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の包装用緩衝材の１実施例の平面図であ
る。

【図２】図１に示す包装用緩衝材の各密封袋に空気を充
填密封した状態の斜視図である。

【図３】図２に示す空気を密封した包装用緩衝材により
折曲形成した稜角形状のコーナー用緩衝体の斜視図であ
る。

【図４】図１に示す包装用緩衝材の１部を示す１部切欠
拡大斜視図である。

【図５】本考案で使用する逆止弁の１例を示す正面図で
ある。

【図６】図５のＡ−Ａ線に沿う１部省略拡大断面図であ
る。

【図７】図５のＢ−Ｂ線に沿う拡大断面図である。

【図８】図５のＣ−Ｃ線に沿う拡大断面図である。

【図９】図５のＤ−Ｄ線に沿う拡大断面図である。

【図１０】図５のＥ−Ｅ線に沿う拡大断面図である。

【符号の説明】

１ 包装用緩衝材本体 ２ 導入管 ３ 密封袋 ３ａ 短かい密封袋 ３ｂ 長い密封袋 ３ｃ 折曲可能な密封袋 ４ 逆止弁 ５ 融着部 ６ 導入口 ７ 閉塞部 ８ 横長融着部 ９ 短巾融着部 ９ａ 部分的融着部 ９ｂ 部分的連通部 １０ 通気可能な折目 Ｗ 接合代

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 一端に気体の導入口を設けると共に他端
   を閉塞した扁平な気体の導入管をプラスチックフィルム
   により形成し、この導入管の気体の導入方向に沿った一
   側辺縁に、プラスチックフィルムから成る扁平な逆止弁
   を夫々内装した複数のプラスチックフィルム製の扁平な
   密封袋を並列状態で一体に連設し、この連設辺縁におい
   て各密封袋内に上記逆止弁を装設することにより、導入
   管と各密封袋を該各逆止弁に設けた流路のみを介して各
   別に連通可能に構成し、且つ相隣りする各密封袋をその
   側縁で一体に連設すると共に、導入管の前後のいづれか
   一方側の複数の各密封袋の長さを他方側の複数の各密封
   袋の長さよりも長寸法に形成し、この長い方の各密封袋
   を中途位置で部分的に接着して、この接着部により長い
   方の各密封袋に通気可能な折目を形成したことを特徴と
   する包装用緩衝材。
2. 【請求項２】 短かい方の各密封袋の先端辺縁位置に合
   致させて、長い方の各密封袋に通気可能な折目を形成し
   たことを特徴とする請求項１に記載の包装用緩衝材。
3. 【請求項３】 短かい方の各密封袋の先端辺縁と長い方
   の各密封袋の突出内側辺縁とに亘って接合代を一体に形
   設したことを特徴とする請求項１に記載の包装用緩衝
   材。