JPH0639552Y2 - 芝刈機の伝動装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案はエンジンの駆動力を回転走行する駆動輪と、芝
刈りをするカッターブレードとに伝達するための伝動装
置に関する。

〔従来の技術〕

従来の自走式芝刈機の構造を第２図に示す。前輪２及び
後輪３が機体１の前側及び後側に設けられている。又、
機体１には下端が開放されたカッターハウジング４が取
り付けられ、このカッターハウジング４内にカッターブ
レード５が軸装されて芝を刈り取り刈り取った芝を後方
のグラスボックス６内に収納するようになっている。こ
の自走式芝刈機は機体１上に取り付けられたエンジン７
を駆動源として走行しながら芝を刈り取るものであり、
エンジン７の駆動力はカッターブレード５と後輪３とに
伝達される。このため、エンジン７から出力軸7aが垂下
され、この出力軸7aにカッターブレード５のブレード軸
5aが取り付けられている。一方、後輪３はトランスミッ
ション８を介してエンジン７の駆動力が伝達されるよう
になっており、トランスミッション８の入力軸8aとエン
ジン７の出力軸7aとに夫々プーリ９が取り付けられ、こ
れらのプーリ９にＶベルト10が掛け渡されている。従っ
て、このような構造ではカッターブレード５がエンジン
７に直結される一方、後輪３はプーリ９及びＶベルト10
を介してエンジン７に連結されている。尚、11は操作用
のハンドルである。

〔考案が解決しようとする課題〕

従来の芝刈機ではカッターブレード５とエンジン７の出
力軸7aとが直結されているため、カッターブレード５が
小石を噛み込んだりした場合には、その影響がエンジン
７に及ぶことになり、このため芝刈機の駆動が円滑に行
われなくなる問題がある。又、エンジン７が機体１の前
側に位置するため、芝刈方向のターン時のハンドル11の
押し下げを大きな力で行う必要があり、操作性も悪いも
のとなっている。更に、走行を行う後輪３の動力伝達系
が複雑となっており、動力伝動効率が悪くなっている。
加えて、エンジン７が機体１の前側部分で上方に突出す
る外形とならざるを得ず、外観向上に際しての設計上の
制限がある。

本考案は、前記問題点に鑑みてなされたものであり、そ
の目的とするところは、カッターブレードの悪影響がエ
ンジンに伝達されることがなく、操作性も良好で、然も
駆動輪への動力伝達系を簡素化出来、デザイン的にもス
マートな外形とすることが可能な芝刈機の伝動装置を提
供しようとするものである。

〔課題を解決するための手段〕

前記目的を達成するため、本考案はエンジンの駆動力を
機体の後側に設けた駆動輪にトランスミッションを介し
て伝達すると共に、機体の前側に設けたカッターブレー
ドのブレード軸に伝達する芝刈機の伝動装置に於いて、
前記エンジンの出力軸と前記トランスミッションの入力
軸とが同軸で連結されるようにエンジンが配置され、前
記カッターブレードのブレード軸と前記トランスミッシ
ョンの入力軸とが動力伝達部材により連結されているこ
とを特徴とする。

〔作用〕

エンジンの出力軸がトランスミッションの入力軸に同軸
的に連結されてエンジンは駆動輪を直接に駆動するた
め、駆動輪への動力伝達系が簡素化され、効率的な動力
伝達を行う。一方、カッターブレードは動力伝達部材を
介してエンジンに連結されているため、カッターブレー
ドの小石等の噛み込み等の悪影響がエンジンに直接伝達
されることがない。又、上記構成ではエンジンが駆動輪
側に位置するため、全体の重心が駆動輪側に位置し、タ
ーン時のハンドルの操作が軽くなり、又機体の前側部分
の上方突出量を少なくすることが出来る。

〔実施例〕

以下に第１図を参照して本考案の一実施例を説明する。

芝刈機20は機体21の前後に前輪22及び後輪23が配設され
ており、後輪23の回転駆動によって地上を走行するよう
になっている。即ち、後輪23が駆動輪となっており、こ
の後輪23はトランスミッション24を介してエンジン25の
駆動力が伝達される。芝刈りを行うカッターブレード26
は前輪22と後輪23との間に位置するように機体21に取り
付けられたカッターハウジング27内に設けられており、
その回転はエンジン25の駆動力によっている。

上記構成において、エンジン25の出力軸25aは後輪23に
駆動力を伝達するトランスミッション24の入力軸24aと
同軸上に位置するように垂下されており、トランスミッ
ション24の入力軸24a直上で入力軸24aと直接に連結され
ている。28はエンジン25の出力軸25aに取り付けられた
フライホイール、29はこのフライホイール28に対向する
ようにトランスミッション24の入力軸24aに取り付けら
れたクラッチであり、これらによってフライホイール28
がトランスミッション24のクラッチディスクとして使用
されている。このように、エンジン25の出力軸25aとト
ランスミッション24の入力軸24aとが直接に連結された
構造では、後輪23への動力伝達が簡素化されるため、効
率の良い動力伝達を行うことが出来るメリットがある。
又、このような伝達をするため、エンジン25は後輪側、
即ち機体21の後側に位置することとなり、エンジン25の
重量によって芝刈機全体の重心が後側に位置することに
なる。かかる重心の偏位により、芝刈機の後方への傾動
を軽い力で行うことが出来、芝刈り方向のターン操作の
操作性が向上する。

尚、図示例ではエンジン25としてバーチカル型エンジン
が使用されているが、エンジン25が後側にオフセットさ
れる関係から機体21の前側の突出部分が少なくなる。こ
のため、図示例のように機体21上部をカバー30で覆うこ
とが出来、然もカバー30を流線形々状とすることが可能
で、これによって外観がスマートとなり美観も向上す
る。

一方、カッターブレード26の回転駆動力はそのブレード
軸26aとエンジン25の出力軸25aとが動力伝達部材によっ
て連結されることによってなされる。動力伝達部材はカ
ッターブレード26のブレード軸26aに取り付けられたプ
ーリ31と、エンジン25の出力軸25aに取り付けられてい
るフライホイール28下面に形成されたプーリ32と、これ
らのプーリ31、32に掛け渡されたＶベルト33とを備えて
いる。この場合、カッターブレード26のブレード軸26a
は機体21に取り付けられたオイルケース34内を挿通する
ことにより回転支持され、エンジン25の駆動力がプーリ
32、Ｖベルト33及びプーリ31を介して伝達されて回転す
る。このように芝刈りを行うカッターブレード26が動力
伝達部材を介してエンジン25の出力軸25aに連結される
構造では、カッターブレード26に小石等が衝突したり、
噛み込んでもその影響がエンジン25に及びにくく、この
ためエンジン25の作動を円滑に行うことが出来る。

尚、本実施例に於いて、カッターブレード26は平刃形状
のものが使用されており、このカッターブレード26のブ
レード軸26aには刈芝ファン35が取り付けられている。
この刈芝ファン35はカッターブレード26と一体的に回転
し、その空気流によってカッターブレード26で刈り取ら
れた刈芝を機体21後部のグラスボックス36内に搬入する
ものである。ここで、前記オイルケース34はエンジン25
への潤滑油を貯溜しながら冷却するものである。この潤
滑樹の冷却を行うため、冷却ファン37がエンジン25の駆
動によって回転するようになっていると共に、カバー30
の内側には冷却ファン37からの空気38がオイルケース34
に流れるためのエアスペースが形成されている。本実施
例に於いて、既述のようにエンジン25が後側に位置する
ことからカバー30を流線形々状にすることが出来るた
め、空気38はエアスペース内を円滑に移動してオイルケ
ース34に達し、内部の潤滑油の冷却を良好に行うことが
出来る。

〔考案の効果〕

以上説明したように、本考案はエンジンの出力軸と駆動
輪のトランスミッションの入力軸とが同軸的に連結され
て駆動軸への動力伝達系が簡素化されるため、駆動輪を
効率良く駆動させることが出来る。又、カッターブレー
ドは動力伝達部材を介してエンジンと連結されるため、
カッターブレードの悪影響がエンジンに及ぶことがな
く、エンジンの故障も少なくなる。更には、エンジンが
機体の後側に位置するため、ターン操作を軽い力で行う
ことが出来ると共に、外観が向上したデザインとするこ
とが出来る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例が適用される芝刈機を示す縦
断側面図、第２図は従来の芝刈機を示す縦断側面図であ
る。 20……芝刈機、21……機体、23……後輪（駆動輪）、24
……トランスミッション、24a……入力軸、25……エン
ジン、25a……出力軸、26……カッターブレード、26a…
…ブレード軸、31、32……プーリ、33……Ｖベルト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】エンジンの駆動力を機体の後側に設けた駆
   動輪にトランスミッションを介して伝達すると共に、機
   体の前側に設けたカッターブレードのブレード軸に伝達
   する芝刈機の伝動装置に於いて、前記エンジンの出力軸
   と前記トランスミッションの入力軸とが同軸で連結され
   るようにエンジンが配置され、前記カッターブレードの
   ブレード軸と前記トランスミッションの入力軸とが動力
   伝達部材により連結されていることを特徴とする芝刈機
   の伝動装置。