JPH0639205Y2 - 流動層を有する蒸気発生装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ＜産業上の利用分野＞ この考案は流動層炉の層内伝熱管に係り、特にボイラ組
立て時、補修時に容易な取付け，取外しを可能にする層
内伝熱管群の構成に関するものである。

＜従来の技術＞ 石炭などの固体燃料を燃焼させる流動層炉では流動層内
に層内伝熱管を設置することにより、高い熱交換効率を
得ている。第６図，第７図にこの層内伝熱管の設置例を
示す。ウインドボツクス８よりの流動化用空気を分配す
る分散板９の上に流動層６が形成され、その中に伝熱管
群３が次のように形成される。片方の水壁５の炉外側に
入口管寄せ１を配置する。各伝熱管２は、水壁貫通部４
で水壁５を夫々管列間のフイン部等を貫通し炉内に入
り、流動層６内で伝熱管群３を形成した後、炉外に出、
出口管寄せ７に至る。もう一方の水壁５側には別の系統
の伝熱管群３が配置される。層内伝熱管はボイラ運転中
に、流動媒体の運動による激しい摩耗を受けるため、定
期的な補修取替えを必要とする。

従来これら伝熱管群の組立ては、炉内に持込んだ伝熱管
２の一本一本を炉外に向かつて水壁５を貫通させ、貫通
部４を組立てた後、入口，出口管寄せ1,7に溶接する方
法をとつている。特に水壁貫通部４は、層内流動媒体の
リーク防止のために高い気密性を確保すると同時に、伝
熱管２と水壁５との温度差による熱伸び差の吸収を必要
とする部分であり、複雑な構造であるにもかかわらず現
地組立てを必要とする。このように層内伝熱管３の組立
てには多大の作業時間が必要であつた。また補修取替え
作業においては、上記組立て部を全て分解し、取替え作
業を行なうため、長い補修期間を必要とし、ボイラ運用
上の障害となつていた。上記層内伝熱管群３の構成で
は、その現地組立作業，補修取替作業に対する考慮がな
されていなかつた。

＜考案が解決しようとする問題点＞ 層内伝熱管群の現地組立作業期間，補修取替作業期間を
短縮するために考えられるのは、伝熱管群3,水壁貫通部
4,管寄せ1,7を一体構造とするブロツク化である。ブロ
ツク化は最近のボイラ建設方法として特に注目されてい
るもので、各ブロツクは工場で組立てられ、現地ではブ
ロツクの取付作業のみとなる。しかし、上記従来伝熱管
群構成を使用した場合には、伝熱管群３を管列方向に分
割し、ブロツク化しても、ブロツク取付け前，取外し後
には水壁貫通部４の開口部が炉幅全体に及ぶために、ボ
イラ構造成立のための特別な水壁補強構造を必要とする
か、または組立作業，取替作業の順序に大きな制限を受
けるという問題があり、ブロツク化は不可能であつた。
本考案の目的は、層内伝熱管群の現地組立作業期間，補
修取替作業期間を短縮する目的のブロツク化を可能にす
る、層内伝熱管群構成を与えることである。

＜問題点を解決するための手段＞ 流動層内に設置される、層内伝熱管群及び管寄せを、管
列方向に複数個に分割し、工場で製作組立て可能な伝熱
管の束，水壁貫通部，管寄せを一体構造としたブロツク
を形成する。このブロツクを対向する水壁から炉内に向
かつて、互いに隣接するよう交互に挿入設置する。上記
目的は、この層内伝熱管構成によつて達成される。

＜手段の概要＞ 要するにこの考案は、火炉を水管壁で形成する流動層型
の蒸気発生装置において、入口管寄せと出口管寄せとを
複数の水平伝熱管パネルで接続し、前記水管壁に開口を
設け、該開口を貫通して流動層内に配置される前記伝熱
管パネルと前記開口を閉塞する水壁貫通部とを一体とし
て単位伝熱管群を形成し、該単位伝熱管群を対向する水
壁管から炉内に向かつて互いに隣接するように交互に装
着したことを特徴とする流動層を有する蒸気発生装置で
ある。

＜考案の目的＞ 要するにこの考案は流動層型の蒸気発生装置において、
伝熱管群をブロツク化し補修容易な構造を提供すること
を目的とする。

＜実施例１＞ 以下にこの考案の第一実施例について説明する。

第１図は流動層炉中の流動層部に設置された層内伝熱管
群を示す。流動層部６は、ウインドボツクス８上に分散
板９を設置し、その上で流動媒体，固定燃料をウインド
ボツクス８からの空気により流動，燃焼させる部分であ
るが、流動層部６には層内伝熱管群３が配置され、熱交
換が行なわれる。

この考案では、この伝熱管群３を管列方向に数個に分割
し、これに応じて入口管寄せ1,出口管寄せ７を分割し、
伝熱管３の束，管寄せ1,7,水壁貫通部４を一体構造とし
たブロツクを形成する。各ブロツクを対向する水壁５よ
り炉内に向かつて、互いに隣接するよう交互に挿入され
た形で設置する。第２図は上記単位の一体ブロツクの斜
視図を示す。一体ブロツクは、伝熱管2,入口管寄せ1,出
口管寄せ7,水壁貫通部４と蓋部材4aより構成され、伝熱
管２はサポート10で束ねられている。工場ではブロツク
単位まで組立てを行ない、現地作業では第３図に示すよ
うに、炉外ではクレーン等，炉内では分散板９上で台車
12を使用して挿入し、所定の位置に設置し、サポート座
11への接合，水壁管の接合，連絡配管の接合を行なう。
層内伝熱管の補修取替え作業においては各ブロツクを上
記接合部の切り離しにより取外し工場で製作した伝熱管
ブロツクと交換する。

なお蓋部材4aは角型の蓋状をしてその周縁を水管壁面と
接続し、伝熱管パネルの伝熱管が水壁貫通部４の壁面を
貫通する個所のガス漏れがあつても外部に漏れぬように
するものである。

＜実施例２＞ 第５図にこの考案の第２実施例を示す。

第５図に示すものは、入口管寄せ1,出口管寄せ７を炉の
管列方向全体に通して設置したものである。層内伝熱管
群を管列方向に細かく分割し、ブロツクを数多く形成し
た場合には、その分割毎に管寄せを単体で製作設置する
よりも、炉の管列方向全体に通して設置できるように形
成し、ブロツクの取付け交換には管寄せの接合，切離し
を行なう方が、管寄せの製作，連絡配管の設置上から、
より経済的となる効果がある。

＜作用＞ この考案の一実施例の層内伝熱管群構成において、ボイ
ラ組立て時及び伝熱管補修時の層部水壁の状態を第４図
に示す。伝熱管ブロツクの挿入される水壁５には、ブロ
ツク未設置時には開口部5aが存在する。しかし、各ブロ
ツクが対向する水壁５から隣接して交互に配置されるの
で、その開口部5aは水壁５の幅方向全体には及ばず、水
壁５には非開口部5bが残つた状態となる。流動層炉にお
いては、炉本体の支持方向に吊り下げ型と自立型があ
る。

吊り下げ型の場合には、上記層部水壁には、その自重及
びそれ以下の部分の構造物重量が水壁管軸方向の引張り
力として作用する。また自立型の場合には、上記層部水
壁には、その自重及びそれより上方部分の構造物重量が
水壁管軸方向の圧縮力として作用する。これら水壁に作
用する荷重は、非開口部5bで分坦するため、組立工事，
補修工事時に特別の水壁補強を行なう必要なく、ボイラ
構造成立の面からの制約なく、各ブロツクの取付け取外
しが可能である。

つまり、この考案の層内伝熱管群構成では、その伝熱管
群のブロツク化が可能となり、伝熱管群の組立時、及び
伝熱管補修取替時には、水壁の補強構造を何ら必要とせ
ず、各ブロツクを容易且つ同時に取外し取付けが可能と
なる特有の効果をもつ。

＜効果＞ この考案を実施することにより層内伝熱管群の取付け、
及び補修取替え時に、何らの水壁補強構造を必要とせ
ず、管群全体を同時に且つ容易に取付け及び交換でき
る、伝熱管ブロツクを与えることができるので、現地組
立作業，補修取替作業の高効率化を図ることができ、工
期の大幅な短縮が可能となる効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の第１実施例にかかる層内伝熱管構成
の斜視図、第２図はこの考案の実施例に使用する層内伝
熱管構成の要素となる伝熱管ブロツクの斜視図、第３図
は伝熱管ブロツクの交換作業の説明図、第４図は伝熱管
ブロツク取付け前のボイラ本体の斜視図、第５図はこの
考案の第２実施例の平面図、第６図は従来の層内伝熱管
構成の正面図、第７図はその平面図を示す。 １…入口管寄せ、２…伝熱管（パネル） ３…伝熱管群、４…水壁管貫通部 ５…水壁、６…流動層 ７…出口管寄せ、８…ウインドボツクス ９…分散板

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】火炉を水管壁で形成する流動層型の蒸気発
   生装置において、入口管寄せと出口管寄せとを複数の水
   平伝熱管パネルで接続し、前記水管壁に開口を設け、該
   開口を貫通して流動層内に配置される前記伝熱管パネル
   と前記開口を閉塞する水壁貫通部とを一体として単位伝
   熱管群を形成し、該単位伝熱管群を対向する水壁管から
   炉内に向かつて互いに隣接するように交互に装着したこ
   とを特徴とする流動層を有する蒸気発生装置。