JPH0639175A - アーム型ミシンの振動・騒音低減装置 - Google Patents

アーム型ミシンの振動・騒音低減装置

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JPH0639175A
JPH0639175A JP22068192A JP22068192A JPH0639175A JP H0639175 A JPH0639175 A JP H0639175A JP 22068192 A JP22068192 A JP 22068192A JP 22068192 A JP22068192 A JP 22068192A JP H0639175 A JPH0639175 A JP H0639175A
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JP
Japan
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vibration
sewing machine
arm
frame
bed
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Application number
JP22068192A
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Inventor
Eiichi Ota
榮一 太田
Masao Higuchi
正朗 樋口
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Brother Industries Ltd
Original Assignee
Brother Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 アーム型ミシンにおいて、フレームの共振に
よる振動や騒音を効果的に低減する。 【構成】 アーム型電子制御式本縫いミシン1の駆動時
には、アーム部4に設けられた針棒上下動機構などの駆
動糸の駆動やベッド部2に設けられた布送り機構などの
駆動糸の駆動により、コ字状の本体フレーム5は、特に
アーム部4とベッド部2とが相対的に離間又は接近する
方向に振動する。そして、ミシンの縫製速度が低速から
高速に変更される際に、本体フレーム5にその固有振動
数と等しい振動数の振動が作用するとき、本体フレーム
5は共振現象より大きく振動し且つ騒音が大きくなろう
とするが、本体フレーム5のベッド部2に本体フレーム
5の固有振動数と略等しい固有振動数のダイナミックダ
ンパー20が設けられているため、本体フレーム5の共
振を抑制し、本体フレーム5の振動や騒音を低減する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アーム型ミシンの振動
・騒音低減装置に関し、特にフレームのベッド及び/又
はアームに別体の振動系を付加し、フレームの共振によ
る振動や騒音を低減するようにしたものに関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】最近、縫製作業の高能率化のため、工業
用電動ミシンを高速で回転させるようになり、その結果
ミシンフレームの振動が大きくなるとともに、この振動
に伴って発生する騒音が大きくなり、縫製作業に携わる
作業者の作業条件が悪化してきている。ところで、一般
に、アーム型のミシンは、布送り機構や釜回転機構など
が設けられたベッドと、このベッドから立上がる脚柱部
と、この脚柱部の上端からベッドに対向するように延び
る片持ち状の針棒・天秤機構などが設けられたアームと
から構成されるコ字状フレームを備えている。
【0003】そこで、従来、この振動や騒音を低減させ
る為に、例えば、ベッドと脚柱部との連結部や脚柱部と
アームとの連結部に対応するフレームの内側に補強用の
リブを形成して剛性を高めたり、フレームの動的構造解
析結果に基いて振動を低減し得るようなフレーム構造を
設計するなどして、振動や騒音を低減させる為の様々な
研究が行なわれている。
【0004】ところで、機械系の振動や騒音を低減させ
る為に、その振動発生箇所にゴムなどの弾性部材とウェ
イトとからなる振動系を設ける技術は周知である。例え
ば、実開平2─38489号公報には、多頭刺繍ミシン
のカバーなどの振動発生部材上に、ゴムなどの弾性部材
を介してウェイトを載置し、このウェイトを取付け部材
で振動発生部材に取付けるようにした振動減少構造が記
載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述し
たように、アーム型のミシンにおいては、ミシンのコ字
状フレームの一部にリブを追加的に形成する場合、フレ
ームには、針棒駆動機構や天秤駆動機構や布送り機構や
釜回転機構などの複数の駆動機構を設ける為のスペース
に加えて、リブを設ける為の余分なスペースが必要にな
り、フレームが大型化し且つ重くなっていた。また、フ
レームの動的構造解析を行なう場合には、機種毎に複雑
な解析を行なうことになり、フレームの製作が複雑化し
ていた。更に、これら何れの場合においても、複雑な駆
動系を多数有するフレームの振動や騒音を効果的に低減
させるような結果を得るまでには至っていなかった。そ
して、例えば布送り機構における布送りピッチが大き
く、高回転数の時に発生するビビリ振動を低減し得る有
効な手段がないなどの問題がある。
【0006】前記実開平2─38489号公報に記載の
振動減少構造においては、振動発生部材上に、ゴムなど
の弾性部材を介してウェイトを載置しただけの単なる振
動系を付加したに過ぎず、この振動系の固有振動数を振
動発生部材の固有振動数に合致させたものではないの
で、この振動系がダイナミックダンパーとして作用する
ことがなく、低速から高速に亙って回転駆動されるアー
ム型ミシンの共振を抑制できないという問題がある。
【0007】本発明は前記問題点を解決するためになさ
れたものであり、その目的は、簡単な構造のダイナミッ
クダンパーをフレームのベッド及び/又はアームに設
け、フレームの共振による振動や騒音を効果的に低減し
得るようなアーム型ミシンの振動・騒音低減装置を提供
することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、請求項1に係るアーム型ミシンの振動・騒音低減装
置は、ベッドと、ベッドから立上がる脚柱部と、脚柱部
の上端から延びたアームとからなるコ字状フレームを備
えたアーム型ミシンにおいて、フレームの固有振動数と
略等しい固有振動数の振動系を、フレームのベッド及び
/又はアームに設けたものである。
【0009】また、請求項2に係るアーム型ミシンの振
動・騒音低減装置は、ベッドと、ベッドから立上がる脚
柱部と、脚柱部の上端から延びたアームとからなるコ字
状フレームを備えたアーム型ミシンにおいて、フレーム
の固有振動数と略等しい固有振動数をもち且つ粘性減衰
に優れる振動系を、フレームのベッド及び/又はアーム
に設けたものである。
【0010】更に、請求項3に係るアーム型ミシンの振
動・騒音低減装置は、請求項1又は請求項2に記載のア
ーム型ミシンの振動・騒音低減装置において、前記振動
系が、基端側の取付部においてフレームに固定される片
持ち状の制振鋼板と、制振鋼板の先端部分に固着された
ウェイトとを備えたものである。
【0011】請求項4に係るアーム型ミシンの振動・騒
音低減装置は、請求項2に記載のアーム型ミシンの振動
・騒音低減装置において、前記振動系が、基端側の取付
部においてフレームに固定される片持ち状の板バネと、
板バネの先端部分に固着されたウェイトと、板バネの表
面に貼着された膜状の制振部材とを備えたものである。
【0012】請求項5に係るアーム型ミシンの振動・騒
音低減装置は、請求項3又は請求項4に記載のアーム型
ミシンの振動・騒音低減装置において、前記取付部をフ
レームに取付ける取付け位置を調節する為の調節機構を
設けたものである。
【0013】請求項6に係るアーム型ミシンの振動・騒
音低減装置は、請求項1に記載のアーム型ミシンの振動
・騒音低減装置において、前記振動系が、基端面側にお
いてフレームに固定されたラバー部材と、ラバー部材の
先端面側に固着されたウェイトとを備え、振動方向がラ
バー部材の剪断方向となるように構成されたものであ
る。
【0014】請求項7に係るアーム型ミシンの振動・騒
音低減装置は、ベッドと、ベッドから立上がる脚柱部
と、脚柱部の上端から延びたアームとからなるコ字状フ
レームを備えたアーム型ミシンにおいて、ミシンの布送
り駆動系に布送り駆動系で発生する振動を抑制する振動
系を設けたものである。
【0015】
【作用】前記構成を有する請求項1に係るアーム型ミシ
ンの振動・騒音低減装置においては、アーム型ミシンの
駆動時には、アームに設けられた針棒上下動機構などの
駆動系の駆動により、またベッドに設けられた布送り機
構などの駆動系の駆動により、コ字状フレームは、特に
アームとベッドとが相対的に離間又は接近する方向に振
動する。そして、ミシンの縫製速度が低速から高速に亙
って変更されたときに、フレームにその固有振動数と等
しい振動数の振動が作用するとき、フレームは共振現象
により大きく振動し且つ騒音が大きくなる。しかし、フ
レームのベッド及び/又はアームにフレームの固有振動
数と略等しい固有振動数の振動系が設けられているの
で、この振動系がダイナミックダンパーとして作用し、
フレームの共振を抑制でき、フレームの振動及び騒音が
低減する。尚、前記振動系を、基端面側においてフレー
ムに固定された板状のラバー部材と、ラバー部材の先端
面側に固着されたウェイトとを備え、振動方向がラバー
部材の剪断方向となるように構成する場合(請求項6)
には、振動系を簡単化することが可能になる。また、振
動糸を基端側の取付部においてフレームに固定される片
持ち状の制振鋼板と、制振鋼板の先端部分に固着された
ウェイトとで構成した場合(請求項3)には、振動糸を
簡単化することが可能となる。
【0016】また、請求項2に係るアーム型ミシンの振
動・騒音低減装置においては、請求項1と同様に作用す
るが、次の点で異なる。即ち、振動系は、フレームの固
有振動数と略等しい固有振動数をもち且つ粘性減衰に優
れているので、フレームの共振時の振動と騒音が低減さ
れ、しかも共振特性において、共振振動数より高い振動
数と低い振動数とに発生する2つの新規の共振も同時に
抑制することが可能となる。
【0017】尚、前記振動系を基端側の取付部において
フレームに固定される片持ち状の制振鋼板と、制振鋼板
の先端部分に固着されたウェイトとで構成した場合(請
求項3)には、振動系を簡単化することができる。ま
た、前記振動系を基端側の取付部においてフレームに固
定される片持ち状の板バネと、板バネの先端部分に固着
されたウェイトと、板バネの表面に貼着された膜状の制
振部材とで構成した場合(請求項4)にも、振動系を簡
単化することが可能になる。また、前記振動系の取付部
をフレームに取付ける取付け位置を調節する為の調節機
構を設けた場合(請求項5)には、振動系の固有振動数
を微調節することが可能になる。
【0018】そして、請求項7に係るアーム型ミシンの
振動・騒音低減装置においては、ミシンの布送り駆動系
に振動系を設けたので、ミシンの縫製速度が高速になり
更に送り量が大きくなって送り駆動系に発生する所謂ビ
ビリ振動をこの振動系で抑制することが可能となる。
【0019】
【実施例】以下、本発明を具体化した実施例について、
図面に基いて説明する。本実施例は、アーム型電子制御
式本縫いミシンの振動・騒音低減装置に適用した場合の
ものである。電子制御式本縫いミシン1は、図1に示す
ように、ベッド部2と、このベッド部2の右端部から上
方に延びる脚柱部3と、この脚柱部3の上端部からベッ
ド部2に対向するように左方に延びるアーム部4とから
なる正面視略コ字状の本体フレーム5を備え、作業テー
ブルTに支持されている。前記ベッド部2には、図示し
ていないが、送り歯を上下方向及び前後方向に駆動する
布送り機構40(図12参照)、下軸の回転により糸輪
捕捉器を駆動する釜回転機構などが設けられ、アーム部
4には、図示していないが、ミシン主軸の回転により針
棒を上下駆動する針棒上下駆動機構及び天秤駆動機構、
針棒を左右方向に揺動駆動する針棒揺動駆動機構などが
設けられている。更に、前記作業テーブルTの下部に
は、ミシン主軸を回転駆動する為のミシンモータが設け
られ、下軸はベルトを介してこのミシン主軸に連動して
回転駆動される。尚、アーム部4の先端部において、上
下方向に延びる針棒には、その下端部に縫針11が取付
けられ、更に上下方向に延びる押え棒には、その下端部
に押え足12が取付けられている。また、ベッド部2に
は、上下動する縫い針11のための針穴を有する針板1
0が配置されている。更に、アーム部4の先端部には、
図1に示すように、天秤13が設けられている。
【0020】そして、作業テーブルTの下方に設けられ
たペダル(図示略)を踏み込むことによりミシンモータ
が回転され、ミシン主軸と下軸の回転により、針棒上下
駆動機構や天秤駆動機構や釜回転機構などが駆動され、
縫製作業が開始される。尚、縫製速度つまりミシン主軸
の回転速度は前記ペダルの踏み込み量の操作により、約
200rpm〜約5000rpmの範囲で変更可能にな
っている。ところで、縫製作業時には、これら針棒上下
駆動機構や天秤駆動機構や釜回転機構など複数の駆動機
構が同時に駆動されるので、これら複数の駆動機構から
の振動が本体フレーム5に伝達され、本体フレーム5自
体が振動する。その結果、本体フレーム5の振動による
所謂スピーカ効果で騒音も同時に発生する。
【0021】ここで、本体フレーム5の振動について、
オペレータが縫製時に接触する針板10の上下振動を測
定すると、図2に示すように、ミシン主軸の回転速度が
速くなるのに略比例して大きくなるとともに、騒音につ
いても同様にミシン主軸の回転速度が速くなるのに略比
例して大きくなる。図2に示す振動特性において、ミシ
ン主軸の回転速度が約3500rpm付近と、約475
0rpm付近とにおいて、振動レベルが異常に高くな
り、この2つの回転速度において、本体フレーム5が夫
々共振していることが分かる。そこで、第1共振現象が
起こる約3500rpmの回転速度における振動波形を
周波数分析すると、図3に示すように、約240Hzの
周波数成分が大きくなっており、また第2共振現象が起
こる約4750rpmの回転速度における振動波形を周
波数分析すると、図4に示すように、同様に約240H
zの周波数成分が大きくなっている。また、第1共振現
象が起こる回転速度における騒音を周波数分析すると、
図5に示すように、約240Hzであり、また第2共振
現象が起こる回転速度における騒音を周波数分析する
と、図6に示すように、約240Hzである。
【0022】次に、本体フレーム5の振動について、本
体フレーム5の固有振動数とその固有振動数における振
動モードとを求める為に、モーダル解析によりインパル
ス加振して応答振動を分析した結果、約220〜250
Hzにおいて、図7に示すように、アーム部4とベッド
部2とが相対的に離間又は接近する方向の振動つまりア
ーム部4とベッド部2とが挟み込むような振動モードが
発生している結果が得られた。即ち、約3500rpm
の回転速度においては、演算式{(3500/60)×
4}により求められる回転の4次成分233CPSが本
体フレーム5の固有振動数(約240Hz)と略一致し
て、第1共振現象が発生していることが分かる。一方、
約4750rpmの回転速度においては、演算式{(4
750/60)×3}により求められる回転の3次成分
237CPSが本体フレーム5の固有振動数と略一致し
て、第2共振現象が発生していることが分かる。
【0023】そこで、本体フレーム5の固有振動数(約
240Hz)に等しい固有振動数を有する別体の振動系
つまりダイナミックダンパー20を、振動モードに鑑み
て、ベッド部2の左端部の下側に付加して、本体フレー
ム5の共振現象を取り除くようにする。前記ダイナミッ
クダンパー20は、図8に示すように、制振鋼板21と
この制振鋼板21の右端部にビス23で固着したウェイ
ト22とから構成され、制振鋼板21の左端部には、長
穴21aが形成されている。この制振鋼板21は、上下
1対の鋼板の間に40〜60ミクロンの粘弾性樹脂をサ
ンドイッチし、ロールで圧着したもので、この粘弾性樹
脂により振動を粘性減衰させるようになっている。尚、
図9に示すように、ベッド部2に取付けられるときの下
側の鋼板には、所定ピッチ毎に複数の細線を刻印した目
盛り25が設けられている。
【0024】次に、この片持ち状のダイナミックダンパ
ー20による共振現象の抑制について、図10に基いて
説明する。一般的に、共振曲線は図10に実線で図示の
如くになり、本体フレーム5の固有振動数をNとする
と、本体フレーム5の振動がこの固有振動数Nと等しく
なったときに、振動が最大の値となり、共振現象が生じ
る。そこで、このダイナミックダンパー20の固有振動
数と本体フレーム5の固有振動数Nとが等しくなるよう
に、ダイナミックダンパー20のウェイト22の重さM
と制振鋼板21の取付け長さLとを設定し、図1・図9
に示すように、このダイナミックダンパー20を、長穴
21aを介してベッド部2の取付け部2aに片持ち状に
ボルト24で取付ける。
【0025】その結果、本体フレーム5の共振現象は、
図10に1点鎖線で示すように、この固有振動数Nの前
後のN1 とN2 の2つの新規の振動数において夫々発生
する。しかし、このダイナミックダンパー20において
は、前述したように粘性減衰を有しているので、点線で
示すように、これら2つの新規の振動数における共振に
ついても大幅に減衰させることができる。従って、前記
ウェイト22の重さMを30g、取付け長さLを35mm
に設定して、このダイナミックダンパー20の固有振動
数を本体フレーム5の固有振動数Nと等しくすることに
より、図2に示す針板10の上下振動の振動特性は、点
線で示すように変化する。即ち、第1共振現象が発生す
る約3500rpmの回転速度における振動が大幅に減
少するとともに、第2共振現象が発生する約4750r
pmの回転速度における振動が大幅に減少した。これと
同時に、これら約3500rpmの回転速度及び約47
50rpmの回転速度における騒音レベルが、約1dB
夫々減少した。
【0026】前記ダイナミックダンパー20の制振鋼板
21には、長穴21aと目盛り24とを設けているの
で、ウェイト22の重さMと取付け長さLとを適宜変更
することにより、機種の異なる夫々のミシンに対して、
このダイナミックダンパー20を用いることができる。
尚、長穴21aや目盛り25やボルト24で取付け位置
調節機構が構成されている。従って、このダイナミック
ダンパー20の固有振動数を自由に微調節でき、このダ
ンパー20を種々の機種に適用し得る。ここで、前記制
振鋼板21に代えて表面に粘弾性樹脂を貼着した板バネ
を用いることも可能である。尚、このダイナミックダン
パー20を前記アーム部4に設けてもよく、また、ベッ
ド部2とアーム部4とに設けることも可能である。更
に、ミシンが自動縫製機のように、その回転数が連続的
に変化せず、段階的に切り替わる場合には、その回転数
における共振現象を取り除けば良く、前記制振鋼板21
に代えて、表面に特に粘弾性樹脂を貼着していない単な
る板バネを用いることもできる。
【0027】〔第2実施例〕ところで、ダイナミックダ
ンパー20Aを、図11に示すように、アーム部4Aの
左端部の本体フレーム5Aに取付けるようにしてもよ
い。即ち、ダイナミックダンパー20Aは、本体フレー
ム5Aに取付けた固定板30と、この固定板30に焼き
付け固着された板状のブチルゴム31と、このブチルゴ
ム31に焼き付け固着されたウェイト32とから構成さ
れている。このブチルゴム31は、バネ定数を小さく且
つ粘性減衰を大きくできるように、その剪断方向をアー
ム部4Aの振動方向つまり上下方向に向けて取付けられ
ている。ここで、ウェイト32を90g、ブチルゴム3
1は厚さを約3.5mm 、硬度を約50°に夫々設定され、
このダイナミックダンパー20Aは、固有振動数を約2
40Hzとなるように構成されている。
【0028】従って、ダイナミックダンパー20Aの固
有振動数を本体フレーム5の固有振動数N(240H
z)と等しくすることにより、図2に示す針板10の上
下振動の振動特性は、点線で示すように変化する。即
ち、第1共振現象が発生する約3500rpmの回転速
度における振動が大幅に減少するとともに、第2共振現
象が発生する約4750rpmの回転速度における振動
が大幅に減少した。これと同時に、これら約3500r
pmの回転速度及び約4750rpmの回転速度におけ
る騒音レベルが約1dB夫々減少した。尚、このダイナ
ミックダンパー20Aを前記ベッド部2Aに設けてもよ
く、またアーム部4Aとベッド部2Aとに設けることも
可能である。また、前記板状のブチルゴム31は、他の
ゴム部材でも良く、例えばNBRでも良い。
【0029】〔第3実施例〕また、前述した構成は、単
にフレームの振動や騒音を低減化するのに有効だけでは
なく、ミシンの他の機構に設けることにより、同様な効
果を得ることができる。例えば、ダイナミックダンパー
20Bを、図12に示すように、布送り機構40の切換
器31に設け、縫製時にこの布送り機構40から発生す
るビビリ振動や騒音を抑制させるようにしてもよい。先
ず、この布送り機構40は、通常の布送り機構と同様な
ので、図12〜図14に基いて簡単に説明すると、前記
ミシン主軸41には、偏心カム42が固着され、この偏
心カム42には、上下方向に延びるクランクロッド43
の上端部が回転可能に外嵌されている。一方、ベッド部
2内には水平送り軸44が本体フレーム5に回転可能に
支持され、その水平送り軸44には揺動腕45が固着さ
れ、揺動腕45に固着された支軸46とクランクロッド
43の下端部に固着された支軸47との間には、一対の
第1リンク48が夫々連結されている。この支軸47に
は、一対の第2リンク49の前端部が夫々回動可能に支
持され、第2リンク49の後端部は支軸50により切換
器51に連結されている。尚、ミシン主軸41の一端に
は手動操作用プーリ52が設けられている。
【0030】前記ミシン主軸41の下側に設けられた送
り量設定部材53は、ミシン主軸41と平行な枢支軸5
4を挿通して回動可能に支持され、この送り量設定部材
53の前端部分には側面視略く字状の二股部が形成さ
れ、この二股部には上下一対の送り量調節面55が夫々
形成されている。この送り量設定部材53の後端部と本
体フレーム5とには上下方向向きの引っ張りバネ56が
張架され,送り量設定部材53は常に図13にて反時計
回転方向に弾性付勢されている。送り量設定部材53の
後端部は上下方向に延びる連結ロッド57の上端部に連
結され、この連結ロッド57の下端部は支軸50と略同
一軸線上のピン58を介して連結腕59に連結され、こ
の連結腕59は切換器51の左端部に固着されている。
【0031】前記アーム部4の本体フレーム5には、送
り量を任意に調節する為の送り調節ツマミ60がその螺
子部60aを介して螺合され、送り調節ツマミ60の後
端部に形成された略半球状の係合部が送り量設定部材5
3の下側の送り量調節面55に係合されており、送り調
節ツマミ60の回動操作に伴う係合部の前進または後退
により、送り量設定部材53の傾斜角度つまり送り歯6
2による前進布送り動作における布送り量が変更され
る。この送り歯62は、水平送り軸44の左端近傍部に
回動可能に支持された送り台61に固着されている。前
記水平送り軸44と平行に配設され、ミシン主軸41の
回転により図示外の偏心カム及び連結ロッドを介して揺
動運動する上下送り軸63の左端部には、二股腕64が
固着され、この二股腕64に送り台61の前端部が係合
され、上下送り軸63の揺動により送り歯62が上下方
向に往復運動する。
【0032】従って、ミシン主軸41の回転により偏心
カム42を介してクランクロッド43が上下方向に往復
運動するので、第1リンク48が支軸46を回動中心と
して揺動運動するとともに、第2リンク49及び切換器
51が支軸50を回動中心として揺動運動する。このと
き、支軸50が支軸46と支軸47とを結ぶ線上に位置
していないときには、両リンク48・49の回動中心が
1直線上にないことから、揺動腕45に揺動運動が生じ
て、水平送り軸44と送り台61とを介して送り歯62
が前後方向に移動する。しかも、送り歯62は、前後方
向に移動されるとともに、上下送り軸63により上下方
向に往復運動する。その結果、加工布を前進送り方向に
布送り可能である。更に、前記送り調節ツマミ60の回
動操作により、この前進送り動作の送り量を変更するこ
とができる。
【0033】従って、縫製時には、送り調節ツマミ60
の調節により設定された送り量に応じて水平送り軸44
が揺動する。このとき、この水平送り軸44には、送り
歯62や送り台61などの慣性質量が連結されているの
で、特にミシン主軸41の回転速度が高速になり且つ送
り量が大きく設定されている場合には、布送り機構40
において、この慣性質量の揺動運動による起振力により
所謂ビビリ振動が発生し、これにより不快音が発生した
り、各駆動部の異常摩擦が発生する。そこで、前記切換
器51にダイナミックダンパー20Bを取付ける。即
ち、このダイナミックダンパー20Bは、切換器51に
後端部をビス72で取付けられた板バネ70と、この板
バネ70の前端部に固着されたウェイト71とから構成
されている。
【0034】従って、このウェイト71の重さMと取付
け長さLとからなるダイナミックダンパー20Bによ
り、送り量が大きく且つ高速回転時の振動数となるよう
に設定したときに、布送り機構40において発生するビ
ビリ振動及び騒音を大幅に減衰させることができる。
尚、ダイナミックダンパー20Bを水平送り軸44な
ど、布送り機構40におけるビビリ振動が発生する種々
の駆動軸やレバーなどに取付けるようにしてもよい。
【0035】
【発明の効果】本発明のアーム型ミシンの振動・騒音低
減装置によれば、次のような効果を得ることができる。
請求項1によれば、フレームの固有振動数と略等しい固
有振動数の振動系をコ字状フレームのベッド及び/又は
アームに設けたので、フレームの振動数がその固有振動
数と等しくなってフレームが共振するときに、この振動
系がダイナミックダンパーとして作用し、フレームの共
振を抑制でき、フレームを大型化することなく、フレー
ムの振動及び騒音を低減することができる。
【0036】請求項2によれば、フレームの固有振動数
と略等しい固有振動数をもち且つ粘性減衰に優れた振動
系をコ字状フレームのベッド及び/又はアームに設けた
ので、フレームの振動数がその固有振動数と等しくなっ
てフレームが共振するときに、この振動系がダイナミッ
クダンパーとして作用し、フレームを大型化することな
く、フレームの共振を抑制でき、フレームの振動及び騒
音を低減することができるとともに、共振振動数より高
い振動数と低い振動数とに発生する2つの新規の共振も
同時に抑制することができる。
【0037】請求項7によれば、ミシンの布送り駆動系
に振動系を設けたので、ミシンの縫製速度が高速になり
更に送り量が大きくなって送り駆動系に発生する所謂ビ
ビリ振動をこの振動系で抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本縫いミシンの正面図である。
【図2】本縫いミシンの針板における振動特性を示す線
図である。
【図3】第1振動現象における振動特性の線図である。
【図4】第2振動現象における振動特性数の線図であ
る。
【図5】第1振動現象における騒音特性の線図である。
【図6】第2振動現象における騒音特性の線図である。
【図7】本縫いミシンの振動モードを説明する図であ
る。
【図8】ダイナミックダンパーの拡大図である。
【図9】本縫いミシンのベッド部の部分拡大図である。
【図10】本縫いミシンの共振現象を説明する説明図で
ある。
【図11】第1実施例に係る図1相当図である。
【図12】第2実施例に係り、本縫いミシンの布送り機
構を示す概略斜視図である。
【図13】本縫いミシンの布送り機構の要部縦断側面図
である。
【図14】布送り機構の部分拡大斜視図である。
【符号の説明】
1 電子制御式本縫いミシン 2 ベッド部 3 脚柱部 4 アーム部 5 本体フレーム 20・20A・20B ダイナミックダンパー 21 制振鋼板 22・32・71 ウェイト 31 ブチルゴム 40 布送り機構 51 切換器 70 板バネ

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ベッドと、ベッドから立上がる脚柱部
    と、脚柱部の上端から延びたアームとからなるコ字状フ
    レームを備えたアーム型ミシンにおいて、 前記フレームの固有振動数と略等しい固有振動数の振動
    系を、前記フレームのベッド及び/又はアームに設けた
    ことを特徴とするアーム型ミシンの振動・騒音低減装
    置。
  2. 【請求項2】 ベッドと、ベッドから立上がる脚柱部
    と、脚柱部の上端から延びたアームとからなるコ字状フ
    レームを備えたアーム型ミシンにおいて、 前記フレームの固有振動数と略等しい固有振動数をもち
    且つ粘性減衰に優れる振動系を、前記フレームのベッド
    及び/又はアームに設けたことを特徴とするアーム型ミ
    シンの振動・騒音低減装置。
  3. 【請求項3】 前記振動系が、基端側の取付部において
    前記フレームに固定される片持ち状の制振鋼板と、前記
    制振鋼板の先端部分に固着されたウェイトとを備えたこ
    とを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のアーム型
    ミシンの振動・騒音低減装置。
  4. 【請求項4】 前記振動系が、基端側の取付部において
    前記フレームに固定される片持ち状の板バネと、前記板
    バネの先端部分に固着されたウェイトと、前記板バネの
    表面に貼着された膜状の制振部材とを備えたことを特徴
    とする請求項2に記載のアーム型ミシンの振動・騒音低
    減装置。
  5. 【請求項5】 前記取付部を前記フレームに取付ける取
    付け位置を調節する為の調節機構を設けたことを特徴と
    する請求項3又は請求項4に記載のアーム型ミシンの振
    動・騒音低減装置。
  6. 【請求項6】 前記振動系が、基端面側において前記フ
    レームに固定されたラバー部材と、前記ラバー部材の先
    端面側に固着されたウェイトとを備え、振動方向がラバ
    ー部材の剪断方向となるように構成されたことを特徴と
    する請求項1に記載のアーム型ミシンの振動・騒音低減
    装置。
  7. 【請求項7】 ベッドと、ベッドから立上がる脚柱部
    と、脚柱部の上端から延びたアームとからなるコ字状フ
    レームを備えたアーム型ミシンにおいて、 前記ミシンの布送り駆動系に布送り駆動系で発生する振
    動を抑制する振動系を設けたことを特徴とするアーム型
    ミシンの振動・騒音低減装置。
JP22068192A 1992-07-27 1992-07-27 アーム型ミシンの振動・騒音低減装置 Pending JPH0639175A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109554852A (zh) * 2018-12-29 2019-04-02 杰克缝纫机股份有限公司 一种共振与噪音的消除方法、缝纫机控制器及缝纫机
CN109610104A (zh) * 2019-01-29 2019-04-12 浙江耐拓机电科技有限公司 一种模板缝纫机

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