JPH0638623U - 開離嵌挿具を装備した隠しスライドファスナー - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 箱体、箱棒、蝶棒の三点構成からなる隠しス
ライドファスナーの開離嵌挿具であり、スライダーと箱
体とが安定した接触状態を保ち、蝶棒の嵌脱操作が簡易
に行える。 【構成】 箱体１の背壁８中央上部に嵌合片９を設け、
嵌合片９は中途に段差部１０を設けて、先端部分が肉薄
の薄片部１１、基部分が肉厚に形成され、スライダー１
２は背板１３の後口１４側に、前記嵌合片９が収容でき
る嵌合凹部１５を設け、嵌合凹部１５は端縁部が切り欠
いた開口部１６が形成されており、スライダー１２と箱
体とが接触した場合、嵌合片９と嵌合凹部１５とが、し
っかりと嵌まりスライダー１２と箱体１とは安定した状
態を保ち、この状態で蝶棒の嵌脱操作を行えば、きわめ
て簡単、容易に行える。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、隠しスライドファスナーにおけるファスナーチェンの一端部に取 付けられて、スライダーの開閉操作に基づいて、閉鎖状のファスナーチェンを左 右のストリンガに開離し、また開放状のファスナーチェンを閉鎖させる機能を備 え、かつ箱体はスライダーとの係合が保持できる開離嵌挿具を備えた隠しスライ ドファスナーに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来、隠しスライドファスナーの開離嵌挿具として、知られている開離嵌挿具 は、箱棒に相当するストリンガ取付部と箱体とが一体成形で形成された箱体と、 蝶棒とから構成された隠しスライドファスナーの開離嵌挿具（実公昭３８−７９ ３９号公報参照）が知られている。

【０００３】 さらに、箱棒に相当する取付部と箱体とが一体成形で形成され、かつ取付部を 中心として箱体の上面における背面と一側面とに壁面を立設して、スライダーが 嵌入できるように形成した隠しスライドファスナーの開離嵌挿具（実公昭５１− ４８１６号公報参照）が知られている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

前項で挙げた第一の公知例は、開離嵌挿具における箱体とスライダーとは関連 性がなく、蝶棒を箱体に挿入する際、スライダーと箱体とが接合状態において、 きわめて不安定で、蝶棒を確実に箱体に差込むことが難儀であった。

【０００５】 また、第二の公知例の場合は、スライダーと箱体との接合状態はよいが、いか んせん箱体が大きく通常の箱体よりも大型になり、その結果隠しスライドファス ナーを被着物に縫着するとき、箱体が邪魔で適正な縫製ができず、体裁もよくな かった。

【０００６】 この考案は、上述の問題点を解消するため考案されたもので、この考案の隠し スライドファスナーの開離嵌挿具は、箱体とスライダーとが安定した接合状態を 保ち、箱体に対する蝶棒の嵌脱操作が円滑に行え、かつ箱体の小型化によって、 ストリンガを被着物に縫着するとき、箱体が邪魔にならず、きれいに縫製するこ とができ、かつ開離嵌挿具における裏面からの突き上げ力によって発生するチェ ン割れ現象を未然に防ぐことができる開離嵌挿具を備えた隠しスライドファスナ ーを提供することが目的である。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

前記の目的を達成するため、この考案の開離嵌挿具を装備した、隠しスライド ファスナーにおける開離嵌挿具は、箱棒２および蝶棒３を装備した箱体１におい て、箱体１の背壁８の中央に嵌合片９を突設し、一方スライダー１２の背板１３ の後口１４側に、前記嵌合片９を収容することができる嵌合凹部１５が設けられ た、開離嵌挿具を備えた隠しスライドファスナーを主な構成としている。

【０００８】 さらに、箱体１に設けた嵌合片９は、内側面に段差部１０を設け、先端部に薄 片部１１を形成し、スライダー１２に設けた嵌合凹部１５は、端縁部を切欠した 開口部１６として形成された、開離嵌挿具を装備した隠しスライドファスナーで ある。

【０００９】

【作用】

この考案の開離嵌挿具を備えた隠しスライドファスナーは、上述のような構成 であり、開離嵌挿具は箱体１に固定された箱棒２側のストリンガ２１に挿通され ているスライダー１２を摺動して、箱体１に突設した嵌合片９が、スライダー１ ２の背板１３に設けた嵌合凹部１５に嵌合させ収容させるとともに、スライダー １２と箱体１とを当接させ、この状態で他方のストリンガの蝶棒３をスライダー １２のガイド溝、さらに箱体１の挿入孔５へと嵌挿し、しかる後にスライダー１ ２の嵌合凹部１５と箱体１の嵌合片９とを引き離し、スライダー１２を引上げ左 右ストリンガ２１の噛合エレメント２０を噛み合せて、スライドファスナーの閉 鎖操作は終了する。

【００１０】 次に、スライドファスナーの開放操作は、スライダー１２を開離方向すなわち 箱体１に向って摺動させ、左右ストリンガ２１の噛合エレメント２０の噛み合せ を開離し、箱体１にスライダー１２の嵌合片９とスライダー１２の嵌合凹部１５ とを嵌合させるとともに、箱体１にスライダー１２を当接し、そして蝶棒３を箱 体１の挿入孔５、およびスライダー１２のガイド溝から脱抜することによって、 ストリンガ２１をスライダー１２から脱却し、スライドファスナーの開離操作は 終了する。

【００１１】

【実施例】

この考案の開離嵌挿具を装備した隠しスライドファスナーにおける開離嵌挿具 は、図１に示すとおり、箱体１、箱棒２および蝶棒３の三点構成から形成されて おり、箱体１には箱棒２の挿入用の挿入孔４と、蝶棒３の挿入用の挿入孔５とが 並設され、正面にはストリンガ用のガイド溝６が形成され、挿入孔４の底面側の 一壁面に凹陥部７が設けられ、箱体１の背壁８の中央には嵌合片９が突設されて おり、この嵌合片９は内側面の中途に段差部１０が設けられ、先端部分に肉薄の 薄片部１１が形成されている。

【００１２】 一方、スライダー１２は図２，３に示すとおり、背板１３の後口１４側に、前 記嵌合片９を収容できる嵌合凹部１５が設けられ、この嵌合凹部１５は入口の端 縁部が切欠した開口部１６として形成され、前記段差部１０を備えた嵌合片９を 確実に収容する。

【００１３】 箱棒２は、断面略Ｕ形の長方体から形成され、Ｕ溝内へファスナーテープ１７ が挟着され、先端に一体成形の突起１８が設けられ、中央には表裏に連通する凹 部１９が凹設され、箱棒２は箱体１の挿入孔４に嵌挿され、先端の突起１８を前 記凹陥部７に掛合させ、凹部１９に相当する箱体１の表面を、かしめパンチによ って押圧変形させて箱棒２を固定する。

【００１４】 また、蝶棒３も断面略Ｕ形の長方体から形成され、Ｕ溝内へ他のファスナーテ ープ１７の側縁部を挟着し、蝶棒３は箱体１の挿入孔５に対し、嵌挿脱抜が自由 にできるように形成されている。

【００１５】 なお、ファスナーテープ１７の一側縁には、噛合エレメント２０が縫着され、 そして折り返されて左右のストリンガ２１が形成されている。

【００１６】

【考案の効果】

この考案の開離嵌挿具を装備した隠しスライドファスナーは、上記のとおりの 構成であり、この構成によって下記の効果を奏する。

【００１７】 この考案の開離嵌挿具を装備した隠しスライドファスナーは、箱棒２および蝶 棒３を装備した箱体１において、箱体１の背壁８の中央に嵌合片９を突設し、一 方スライダー１２の背板１３の後口１４側に前記嵌合片９を収容する嵌合凹部１ ５を設けたことによって、従来、隠しスライドファスナーの開き製品が、通常の スライドファスナーの開き製品に比して、開離嵌挿操作が難しく、実用化が困難 視されていたが、この考案のように箱体１とスライダー１２との接合状態が、嵌 合片９と嵌合凹部１５との設置により、きわめて安定した接合状態におかれ、開 離嵌挿操作を的確、容易に行うことができる効果がある。

【００１８】 また箱体１を小型化することができるので、蝶棒３の嵌脱操作が容易であり、 しかも左右のファスナーストリンガ２１を被着物に縫着後、箱体１と箱棒とを固 定することができるから、箱体１が縫製上が邪魔になることがなく、ストリンガ ２１における折り返し部に接近した個所を縫製することができるので、きれいに 縫製仕上げができ、かつ開離嵌挿具における裏面からの突き上げ力によって発生 するチェン割れ現象を未然に防ぐことができる効果がある。

【００１９】 さらに、箱体１に設けた嵌合片９は、内側面に段差部１０を設け、先端部に薄 片部１１を形成し、スライダー１２に設けた嵌合凹部１５は、端縁部が切欠した 開口部１６として形成されているから、箱体１の嵌合片９に形成された段差部１ ０と薄片部１１、およびスライダー１２の嵌合凹部１５に形成された開口部１６ 等が掛合するので、接合状態がきわめて安定し、開離嵌挿操作の際、円滑に操作 を行うことができる効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】隠しスライドファスナーの開離嵌挿具の分解斜
視図である。

【図２】箱体とスライダーとの関連を示した斜視図であ
る。

【図３】隠しスライドファスナーの開離状態を示した背
面図である。

【図４】隠しスライドファスナーの閉鎖状態を示した一
部切断した正面図である。

【図５】隠しスライドファスナーの開離状態を示した側
面図である。

【図６】図４におけるＡ−Ａ線断面図である。

【符号の説明】

１ 箱体 ２ 箱棒 ３ 蝶棒 ８ 背壁 ９ 嵌合片 10 段差部 11 薄片部 12 スライダー 13 背板 14 後口 15 嵌合凹部 16 開口部

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 箱棒２および蝶棒３を装備した箱体１に
   おいて、箱体１の背壁８の中央に嵌合片９を突設し、一
   方スライダー１２の背板１３の後口１４側に前記嵌合片
   ９を収容する嵌合凹部１５を設けた開離嵌挿具を装備し
   た隠しスライドファスナー。
2. 【請求項２】 箱体１に設けた嵌合片９は、内側面に段
   差部１０を設け、先端部に薄片部１１を形成し、スライ
   ダー１２に設けた嵌合凹部１５は、端縁部が切欠した開
   口部１６として形成された請求項１記載の開離嵌挿具を
   装備した隠しスライドファスナー。