JPH0638221U - 絶縁変圧器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 高圧巻線と低圧巻線との間を絶縁する部分
に、定常直流電圧および過度電圧が印加される場合、そ
の絶縁部分の電位分担を均一化することを目的とする。 【構成】 高圧巻線と低圧巻線との間を多層のシールド
筒によって絶縁する。その各シールド筒間の距離を、低
圧巻線側では広く、高圧巻線側に行くのにしたがって順
次狭くなるように構成して、各シールド筒間の静電容量
を均一化する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は高電圧直流発生器用整流変圧器、高直流耐電圧絶縁変圧器のように、 高直流耐電圧を必要とする絶縁変圧器に関する。

【０００２】

【従来の技術】

周知のようにこの種絶縁変圧器は、低圧巻線と高圧巻線とを備え、前記低圧巻 線と高圧巻線との間を絶縁している絶縁部の内部に、電界緩和用のシールドリン グを端部に備えたシールド筒を多層にかつ段状に配置し、各シールド筒には、外 部の分圧抵抗などにより直流電圧を分圧して得た電圧を与えるようにして構成さ れている。

【０００３】 これを図１によって説明する。なお図は変圧器の右半分のみを示している。１ は鉄心脚、２はヨーク鉄心、３は鉄心脚１に巻装された低圧巻線、４は同じく高 圧巻線、５は低圧巻線３と高圧巻線４との間を絶縁している多層の絶縁部、６１ 〜６５は両端にそれぞれシールドリング７１〜７５を備えたシールド筒で、絶縁 部５の間に段状に挿入されている。８は絶縁筒で、シールドリングのアースに対 する絶縁と、シールドリングの支持のために設置されてある。９は各巻線３，４ を支持する絶縁筒である。

【０００４】 シールド筒の層数は耐電圧値などの設計条件により決められる。図の例は５層 のシールド筒を使用した場合を示しており、高圧巻線４と低圧巻線３との間の直 流電圧をＶとすると、各シールド筒７１〜７５には、外部の分圧抵抗などにより 直流電圧を分圧して、低圧巻線３側より順次０％Ｖ，２５％Ｖ，５０％Ｖ，７５ ％Ｖおよび１００％Ｖの電位が与えられている。

【０００５】 ところで従来では、各シールド筒７１〜７５間の距離ｄ１〜ｄ４をすべて同じ に設定していた。高圧巻線４と低圧巻線３との間の直流電圧分担は、定常的には さきに述べて外部から与えられている分電圧によって決まっている。しかし直流 電位の急激な変動などの過度時には、シールド筒間の静電容量により決まる。

【０００６】 ところが前記距離ｄ１〜ｄ４が同じであると、低圧巻線３側のシールド筒によ る電極面積が広いことにより、各シールド筒間の静電容量は低圧巻線３側の方が 一般的に大きい。そのため過度時の電圧分担は、高圧巻線４側のシールド筒間が 大きくなり、電圧分担が不均一になるという欠点がある。

【０００７】

【考案が解決しようとする課題】

本考案は、絶縁変圧器における高圧巻線と低圧巻線との間の絶縁部に、シール ドリングを端部に有する多層のシールド筒を挿入する構成において、各シールド 筒に与えられている直流電位の急激な変動などの過度時においても、各シールド 筒による電圧分担を均等化することを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

本考案は、各シールド筒間の距離を、低圧巻線側では広く、高圧巻線側に行く のにしたがって順次狭くなるように構成し、これによって各シールド筒間の静電 容量を均一化するようにしたことを特徴とする。

【０００９】

【作用】

各シールド筒間の静電容量は、シールド筒の表面積である電極面積に比例し、 シールド筒間の距離に反比例する。したがって高圧巻線側のシールド筒間の距離 を狭くすれば、高圧巻線側のシールド筒間の静電容量は大きくなる。したがって 各距離を適当に設定することによって、各シールド筒間の静電容量を均一化する ことができるようになる。このように各静電容量が均一化されれば、過度時にお ける電圧分担は均等化されることになる。

【００１０】

【実施例】

本考案の実施例を図１によって説明する。本考案にしたがい、低圧巻線３側の シールド筒間の距離を長くし、高圧巻線４側に近づくにしたがってシールド筒間 の距離を短くして構成する。すなわち各距離につきｄ１＞ｄ２＞ｄ３＞ｄ４＞の 関係となるように構成する。

【００１１】 このように構成すると、低圧巻線３側においては、シールド筒間の静電容量は 小さくなり、逆に高圧巻線４側においては、シールド筒間の静電容量は大きくな る。したがって各距離を適当に選定すれば、各シールド筒間の静電容量は均一化 されるようになる。

【００１２】 このように各シールド筒７１〜７５間の静電容量が均一化されると、過度時に おける各シールド筒による電圧分担が均等化されるようになる。また各シールド 筒間の絶縁抵抗は、シールド筒間の距離に比例し、電極面積に反比例するので、 各距離を前記のように設定することにより、定常時の電圧分担の均等化にも寄与 するようになる。

【００１３】 このように定常時および過度時の電圧分担が均等化されることにより、過度の 絶縁寸法をもって設計製作する必要はなくなり、機器の小型化も可能となる。

【００１４】

【考案の効果】

以上説明したように本考案によれば、絶縁変圧器の高圧巻線と低圧巻線との間 の絶縁部にシールド筒を多層に挿入配置するにあたり、定常直流印加時および過 度電圧印加時ともに、シールド筒間における電圧分担を均一化することができる 効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例を示す断面図である。

【符号の説明】

１ 鉄心脚 ３ 低圧巻線 ４ 高圧巻線 ５ 絶縁部 ７１〜７５ シールド筒 ７１〜７５ シールドリング ｄ１〜ｄ４ シールド筒間の距離

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 低圧巻線と高圧巻線とを備え、前記低圧
   巻線と高圧巻線との間を絶縁する絶縁部に、端部に電界
   緩和用のシールドリングを備えたシールド筒を多層にか
   つ段状に配置し、前記各シールド筒には、外部より直流
   電圧を分圧して得た分電圧を与えてなる絶縁変圧器にお
   いて、前記各シールド筒間の静電容量が均一化するよう
   に、前記各シールド筒間の距離を、前記低圧巻線側では
   広く、前記高圧巻線側に行くのにしたがって順次狭くし
   てなる絶縁変圧器。