JPH06370A - 吸水剤およびその製造方法 - Google Patents

吸水剤およびその製造方法

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JPH06370A
JPH06370A JP15974592A JP15974592A JPH06370A JP H06370 A JPH06370 A JP H06370A JP 15974592 A JP15974592 A JP 15974592A JP 15974592 A JP15974592 A JP 15974592A JP H06370 A JPH06370 A JP H06370A
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信幸 原田
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克之 和田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 吸水速度が制御され、かつ優れたゲル弾性を
有する新規な吸水剤およびその製造方法を提供する。 【構成】 生理食塩水28g/吸水剤gを吸水する際に
吸水速度が20〜90秒の範囲で、かつこのようにして
得られる膨潤ヒドロゲルに鋼球を20cmの高さから自
由落下させたときに該膨潤ヒドロゲルへの該鋼球の侵入
がない吸水剤であり、該吸水剤は、149μm未満の粒
子が15〜75重量%の範囲の酸性基を有する架橋重合
体粒子100重量部に対し、分子量5,000以上のポ
リカチオン化合物を1〜10重量部含有する水溶液を添
加混合することにより得られる。 【効果】 膨潤ヒドロゲルが高い反発力を有しているの
で、荷重がかかる用途において、荷重がかかった後も二
次および三次の吸水速度を速く保つことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、制御された吸水速度お
よび優れたゲル弾性を有する新規な吸水剤およびその製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、合成の吸水剤、いわゆる吸水性樹
脂が開発され、生理用ナプキン、使い捨ておむつ等の衛
生材料の構成素材としてのみならず、止水材、結露防止
材、さらに鮮度保持材、溶剤脱水材等の産業用途、緑
化、農園芸などの保水、吸水の必要な用途に実用化され
つつある。
【0003】この種の吸水性樹脂としては、カルボキシ
メチルセルロース架橋体、架橋ポリオキシエチレン、架
橋された澱粉−アクリル酸塩グラフト共重合体、部分中
和架橋ポリアクリル酸、ビニルアルコール−アクリル酸
塩共重合体などが知られている。特に、これら吸水性樹
脂を衛生材料分野に適用する場合、その吸水速度が重要
であることが開示されており、吸水速度を向上させるた
めの改質方法について数多くの提案がなされている。例
えば、ポリビニルアルコール等の水溶性高分子化合物に
よる樹脂の被覆(特開昭57−168,921号公
報)、多価金属塩による表面イオン架橋処理(特開昭6
0−163,956号公報、米国特許第4,043,9
52号、4,295,987号、4,558,091
号、4,693,713号等)、比較的低分子量のカチ
オン性化合物による表面イオン架橋処理(特開昭60−
135,432号公報、特開昭61−293,246号
公報、特開平2−248,404号公報、米国特許第
4,755,562号等)、吸水性樹脂微粒子を造粒す
る方法(特開昭57−187,306号公報、特開昭6
1−97,333号公報、特開昭63−154,766
号公報、特開平3−501,493号公報、欧州特許第
326,382号、米国特許第5,002,986号
等)等である。
【0004】しかしながら、従来の吸水性樹脂の改質方
法は、吸水性樹脂が水性液体と接触したときに出来る限
り速やかに吸水するように設計することを目的としてお
り、意図的にその吸水速度をコントロールしようとする
試みはほとんどなされておらず、どの程度吸水速度がコ
ントロールされればその吸水特性が最大限発揮できるか
詳細に検討された例も知られていない。また、吸水速度
は吸水性樹脂の表面積を大きくすれば速くなるものの、
表面積を大きくすればする程、その物理的なゲル弾性は
低下するという欠点を併発するため、設計どおりの吸水
能力を発揮できなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らはそのよう
な現状に鑑み、鋭意検討を加えた結果、吸水速度を特定
範囲に制御し、物理的ゲル弾性を改善した吸水剤が、著
しくすぐれた吸収挙動を示すことを見出し、本発明に到
達した。
【0006】従って、本発明の目的は、吸水性樹脂の吸
収能を最大限に発揮できる新規な吸水剤およびその製造
方法を提供することにある。このような吸水剤は制御さ
れた粒径特性およびゲル弾性を有する新規な吸水剤によ
り達成される。また本発明はそのような吸水剤を安価に
簡便に得る方法を提供することにある。更に本発明の別
の目的は改良された吸水剤を使って作られた著しく漏れ
の少ない吸収物品を提供することにある。
【0007】
【問題点を解決するための手段】これらの諸目的は、生
理食塩水28g/吸水剤gを吸水する際に吸水速度が2
0〜90秒の範囲である粒子状の吸水剤であって、かつ
このようにして得られる膨潤ヒドロゲルに直径15/3
2インチの鋼球を20cmの高さから自由落下させたと
きに該膨潤ヒドロゲルへの該鋼球の侵入がないことを特
徴とする吸水剤により達成される。
【0008】これらの諸目的は、149μm以下の粒径
を有する粒子が15〜75重量%の範囲の酸性基を有す
る吸水性架橋重合体粒子100重量部に対し、分子量
5,000以上の第1級アミノ基、第2級アミノ基、第
3級アミノ基およびそれらの塩よりなる群から選ばれた
少なくとも1種のポリカチオン化合物を1〜10重量部
含有する水性液として添加混合することを特徴とする吸
水剤の製造方法によっても達成される。
【0009】
【作用】本発明は、第1に、生理食塩水28g/吸水剤
gを吸水する際に吸水速度が20〜90秒、好ましくは
30〜70秒の範囲で、かつこのようにして得られる膨
潤ヒドロゲルに直径15/32インチの鋼球を20cm
の高さから自由落下させたときに該膨潤ヒドロゲルへの
該鋼球の侵入がないことを特徴とする吸水剤である。
【0010】しかして、該吸水剤は、粒子状であって、
その粒度分布が造粒により149μm以下の粒子が10
重量%より少なく、好ましくは5重量%未満であり、か
つ149〜500μmの粒子が50重量%以上、好まし
くは70重量%以上含有するものである。
【0011】前記吸水剤は、吸水速度が速ければ、速い
ほどよいものではない。すなわち、従来は、吸水速度は
速ければ速いほど良いと考えられてきた。しかしながら
驚くべきことに、前記吸水速度が20秒未満の場合、例
えばパルプと混合して吸水体を作成した場合、無荷重下
での一次吸水速度は確かに優れるものの、荷重下での二
次および三次にわたる吸水において逆にマイナスとなる
ことが確認されたのである。すなわち、吸水速度が速す
ぎる場合、吸水し膨潤した吸水剤間での液の流れを閉塞
させる傾向がみられたのである。したがって、荷重下で
の再吸収速度が遅くなるので、おむつ等の吸収物品にお
いて漏れを生じるのである。一方、前記吸水速度が90
秒を越える場合、無荷重時の吸水速度が遅くなるので、
おむつ等の吸収物品において漏れを生じるのである。
【0012】また、前記落球試験において鋼球の侵入が
ないことが必須の要件である。すなわち、鋼球の侵入が
ないということは、膨潤ヒドロゲルが高い反発力を有す
るため、荷重がかかる用途(例えば紙おむつ、生理用ナ
プキンなど)において、荷重がかかった後も、二次およ
び三次吸水の吸水速度を速く保つことができるのであ
る。
【0013】さらに、同じような吸水速度を持つ吸水剤
を用いて、落球侵入の重要性を比較してみると、明らか
に落球侵入の有無によって荷重下の二次吸水速度が異な
っているのである。また、繊維質材料とともに複合化し
て得られる紙おむつや生理ナプキン等のごとき吸収物品
においては、ゲル弾性が高いために、荷重下であっても
繊維(例えばセルロース繊維)間のキャピラリーを閉塞
させることなく、このため荷重下でも吸水速度が速くな
る。
【0014】本発明の吸水剤の典型例は、特定の粒子径
を有する酸性基を有する吸水性架橋重合体粒子に、特定
分子量の水溶性ポリカチオン化合物含有水性液を添加混
合することにより得られる。
【0015】本発明で使用される酸性基を有する吸水性
架橋重合体粒子としては、公知のものが使用できる。例
えば、部分中和ポリアクリル酸架橋重合体(米国特許第
4,286,082号、4,654,039号、4,8
33,222号、欧州特許第68,189号等)、架橋
された澱粉−アクリル酸塩共重合体(米国特許第4,0
76,663号)、部分中和架橋イソブチレン−マイレ
ン酸共重合体(米国特許第4,389,513号)等で
ある。そしてこれらは上記特許に記載されている方法に
より得ることができる。中でも好ましいものは、アクリ
ル酸および/またはアクリル酸塩を共重合性架橋剤の存
在下に水溶液重合し、必要により中和し、乾燥の後粉砕
して得られる、部分中和ポリアクレル酸架橋重合体であ
る。該重合反応液中に澱粉やポリビニルアルコールのよ
うな水溶性高分子化合物を存在させておくこともでき
る。
【0016】本発明において、水溶性の高分子量ポリカ
チオン化合物水性液と接触混合されるベースポリマー粒
子は、その1次粒子のすべてが840μmよりも小さ
く、かつ149μmよりも小さい粒子が15〜75重量
%、特に25〜70重量%の範囲であることが好まし
い。15重量%未満では、得られた吸水剤の吸水速度の
バランスが崩れてしまう。また、処理後に得られる顆粒
は、粗粒子が増加してしまう。また、149μmよりも
小さい粒子が全体の75重量部%よりも多い場合にも吸
水速度のバランスが崩れてしまい、更に吸水後にそのゲ
ル強度が小さくなりすぎていわゆるゲルブロックを起こ
すので吸水特性上好ましくない。
【0017】本発明に使用される水溶性高分子量ポリカ
チオンは、少なくともその平均分子量が5,000以
上、好ましくは、10,000〜100,000のもの
であって、第1級アミノ基、第2級アミノ基、第3級ア
ミノ基およびそれらの塩よりなる群から選ばれる少なく
とも1種を含むポリカチオン化合物であることか好まし
い。平均分子量がこれよりも低いと、得られた吸水剤の
ゲル弾性が低下し、本発明の吸水剤は得られない。また
第4級アミノ基のみを含有する化合物を使用した場合で
あっても本発明の効果は得られない。本発明で使用され
る水溶性の高分子ポリカチオンとしては、ポリエチレン
イミン、ポリプロピレンイミン等のポリアルキレンポリ
アミン、変性ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、
ポリビニルアミン、ポリエーテルアミン等を例示でき
る。好ましいポリカチオンはポリエチレンイミンであ
る。
【0018】水溶性高分子量ポリカチオン化合物の使用
量は、好ましくは酸性基を有する吸水性架橋重合体粒子
100重量部に対し、1〜10重量部の範囲である。1
重量部未満では、得られた吸水剤のゲル弾性が不十分と
なる。更に得られた顆粒品が弱い衝撃等で簡単に元の粉
粒に戻ることがあって好ましくない。一方、10重量部
を越える場合には吸水速度のコントロールが困難となる
だけでなく、経済的観点からも好ましくない。本発明に
おいて、ポリカチオン化合物は水性液の状態で添加混合
される。水性液は通常水溶液の状態で使用されるが、必
要により水に親水性有機溶媒を混合させておくことも可
能である。使用される親水性有機溶媒の量は水に対して
同量よりも少ない量が適切である。
【0019】本発明の吸水剤は、例えば、以下の方法、
すなわち、すべての粒子が840ミクロンよりも小さ
く、149ミクロン以下の粒子が15〜75重量%の範
囲の、酸性基を有する架橋重合体粒子100重量部に対
し、分子量5,000以上の第1級アミノ基、第2級ア
ミノ基、第3級アミノ基およびそれらの塩よりなる群か
ら選ばれる少なくとも1種を含むポリカチオン化合物を
1〜10重量部、好ましくは2〜8重量部含有する水性
液を添加混合することによって得ることができる。混合
に際しては、例えば、洗剤等の製造に用いられている顆
粒製造装置や、高速攪拌混合機、気流混合機、転動式混
合機、混練機、スプレードライヤー等機械的に混合ある
いは造粒する装置を使用できる、また、ポリカチオン化
合物を含有する水性液中のポリカチオンの濃度は通常1
0〜90重量%、好ましくは35〜75重量%の範囲で
ある。あまりにポリカチオン化合物の濃度が薄かったり
濃かったりすると、均一な混合が行われていないことが
ある。得られた混合物は必要に応じて乾燥させてもよ
い。また、微粒子酸化チタン、シリカ等を後添加しても
よい。得られた顆粒の粒子径は140ミクロンよりも小
さい粒子が10重量%未満となるようにコントロールさ
れることが好ましい。顆粒の粒子径をこの範囲にコント
ロールするためにフラッシュミルの様な装置を使用して
破砕造粒することが好ましい。本発明では、高分子量の
ポリカチオンがバインダー助剤として働くため、得られ
る吸水剤の粒度分布をよりシャープにすることができ
る。得られた吸水剤は微粒子の発生が少ないために、そ
の取扱い性を飛躍的に向上させることもできる。
【0020】上記方法により得られた本発明の吸水剤
は、吸水速度が適切な範囲に制御され、かつ、従来の方
法では得ることのできなかったゲル弾性を有するもので
ある。さらに、水溶性のポリカチオン化合物がバインダ
ー助剤としても働くために、得られた顆粒の機械的強度
が著しく向上しており、実使用にあっては吸水性重合体
微粒子の飛散を著しく押さえることができるものであ
る。
【0021】本発明の吸水剤は、その改善された吸水特
性のため、例えば粉砕バルブと混合されて使用されるこ
とによって特に優れた効果を発揮するものである。粉砕
パルプとの混合物は、マット状に成形されることによ
り、例えば紙おむつ、生理用ナプキン等の吸水体として
好適に使用できる。本発明者らによって、吸水速度を限
りなく速くすることは、逆にその荷重下における吸水速
度が低下するものであることが実証された。従って、適
当な範囲に吸水速度が制御されることは特にこの用途に
好ましい。28g生理食塩水/吸水剤gを吸水するまで
の吸水速度が、20〜90秒の範囲に制御されることは
本発明において臨界的な意味を持つものである。更に、
本発明の吸水剤は28g生理食塩水/吸水剤gを吸水し
たときに、鋼球の自由落下侵入がないというこれまでに
ない新規なゲル弾性を有する吸水剤を提供するものであ
る。鋼球の自由落下侵入がないということにより、例え
ば吸水剤/粉砕パルプの使用比率を55〜95/45〜
5というこれまでにない、吸水剤リッチな条件の使用で
あっても、パルプのキャピラリーを閉塞させることなく
使用可能であることも明らかになった。
【0022】従って、本発明の吸水剤は、使い捨ておむ
つ、生理用ナプキン等の衛生材料の他、土壌保水剤、育
苗シート、種子コーティング、農薬崩壊助剤、キノコ培
地、水苔代替、鮮度保持材、ドリップ吸収材、猫砂、食
品の脱水、結露防止材、法面吹付用保水材、使い捨てカ
イロ、シーリング材、ゲル芳香剤、汗取りバンド、保冷
材、消臭材、携帯用トイレ、湿布材、創傷保護用ドレッ
シング、止水材、油水分離、消化用ゲル等種々の用途に
も使用可能である。
【0023】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに説明する
が、これに限定されるものではない。
【0024】参考例1 吸水性樹脂粒子(A)の合成 アクリル酸ナトリウム74.95モル%、アクリル酸2
5モル%およびトリメチロールプロパントリアクリレー
ト0.05モル%からなるアクリル酸塩系単量体の39
%水溶液4,000重量部を、過硫酸ナトリウム5.0
重量部およびL−アスコルビン酸0.25重量部を用い
て窒素雰囲気中30〜70℃で重合を行ない、ゲル状含
有水架橋共重合体を得た。得られた含水ゲル状重合体を
150℃の熱風乾燥機で乾燥後、ハンマーミルで粉砕
し、500μmの開孔を有する金網(JIS 32メッ
シュ標準ふるい)でふるい分けして、32メッシュ通過
物(以下、吸水性樹脂粒子(A)という)を得た。この
物の粒度分布は、149〜500μmの粒子が68.7
重量%、149μm以下の粒子が31.3重量%であっ
た。
【0025】参考例2 吸水性樹脂粒子(B)の合成例 アクリル酸99.8モル%およびメチレンビスアクリル
アミド0.2モル%からなるアクリル酸系単量体の20
%水溶液4,000重量部をアゾ系開始剤V−50(和
光純薬工業株式会社製)12重量部、過酸化水素4重量
部およびL−アスコルビン酸1重量部を用いて窒素雰囲
気中10〜80℃で重合を行ない、ゲル状含水架橋重合
体を得た。得られた含水ゲル状重合体を解砕し、このも
のに水酸化ナトリウムを2,224重量部加え混合し
た。その後、150℃の熱風乾燥機で乾燥し、ハンマー
ミルで粉砕し、500μmの開孔を有する金網でふるい
分けして、500μm以下の吸水性樹脂粒子(B)を得
た。この物の粒度分布は、149〜500μmが30
%、149μm以下は70%であった。
【0026】実施例1 吸水性樹脂粒子(A)100重量部に対して、エポミン
P−1050(ポリエチレンイミン、数平均分子量約7
万の50%水溶液、株式会社日本触媒社製)を6重量部
添加混合し、室温で1時間放置後、混合物を解砕し、全
ての粒子を840μmの開孔を有する金網を通過せしめ
た。更にアエロジル200(超微粒子の酸化硅素、日本
アエロジル株式会社製)を0.5重量部混合して本発明
の吸水剤(1)を得た。この物の粒度分布は、149〜
500μmの粒子が85.4重量%、149μm以下の
粒子が2.2重量%であった。
【0027】実施例2 吸水性樹脂粒子(A)をさらに297μmの開孔を有す
る金網(JIS 48メッシュ標準ふるい)でふるい分
けして、48メッシュ通過物(以下、吸水性樹脂粒子
(C)という)を得た。この物の粒度分布は、149μ
m以下の粒子が46.2重量であった。吸水性樹脂粒子
(C)100重量部に対して、エポミンP−1050
(ポリエチレンイミン、数平均分子量約7万の50%水
溶液、株式会社日本触媒社製)6重量部、エタノール2
重量部からなる水性液を添加混合し、70℃で15分間
放置後、混合物を解砕し、全ての粒子を840μmの開
孔を有する金網を通過せしめた。このものにさらにアエ
ロジル200(超微粒子の酸化硅素、日本エアロジル株
式会社製)を0.5重量部混合して本発明の吸水剤
(2)を得た。この物の粒度分布は、149〜500μ
mの粒子が90.3重量%、149μm以下の粒子が
2.7重量%であった。
【0028】実施例3 吸水性樹脂粒子(B)100重量部に対して、エポミン
P−1050(ポリエチレンイミン、数平均分子量約7
万の50%水溶液、株式会社日本触媒社製)6重量部、
エタノール2重量部からなる水性液を添加混合し、室温
で1時間放置した。全ての粒子を840μmの開孔を有
する金網を通過せしめ、さらにアエロジル200(超微
粒子の酸化硅素、日本エアロジル株式会社製)を0.5
重量部混合して本発明の吸水剤(3)を得た。この物の
粒度分布は、149〜500μmの粒子が76重量%、
149μm以下の粒子は4.7重量%であった。
【0029】比較例1 吸水性樹脂粒子(A)をさらに149μmの開孔を有す
る金網(JIS 100メッシュ標準ふるい)でふるい
分けして、100メッシュ通過物(以下、吸水性樹脂粒
子(D)という)を得た。吸水性樹脂粒子(D)100
重量部に対して、実施例2と同様の処理を行ない、比較
吸水剤(1)を得た。この物の粒度分布は、149〜5
00μmの粒子が62.8重量%、149μm以下の粒
子が19.0重量%であった。
【0030】比較例2 吸水性樹脂粒子(A)100重量部に対して、硫酸アル
ミニウムの10%水溶液を5重量部添加混合し室温で4
0分間放置し、アエロジル200(超微粒子の酸化硅
素、日本アエロジル株式会社製)を1重量部混合し84
0μmの開孔を有するふるいを通過せしめて比較吸水剤
(2)を得た。この物の粒度分布は、149〜500μ
mの粒子が67.7重量%、149μm以下の粒子が
5.5重量%であった。
【0031】実施例4〜6および比較例3〜4 実施例1〜3および比較例1〜2で得られた吸水剤
(1)〜(3)および比較吸水剤(1)〜(2)を以下
の方法で評価した。結果を表1に示した。
【0032】(吸水速度)内径50mm、高さ70mm
の円筒形のポリプロピレン製カップに吸水剤1gを取
り、そこに28gの生理食塩水を注ぎ均一に吸収せしめ
た。注ぎ始めてから、生理食塩水がすべてゲル化(表面
に生理食塩水が見えなくなる状態)するまでの時間を測
定し、3回の平均を値とした。
【0033】(落球試験)吸水速度測定後、カップ内で
28g/gに膨潤したゲルを10分間放置した。その
後、得られた膨潤ヒドロゲルに高さ20cmから鋼球
(直径15/32インチ、重量6.9g:JIS B−
1501の鋼球)を自由落下させた。ボールが該膨潤ヒ
ドロゲルから弾むか、もしくは侵入した距離を測定し
た。この試験を3回行い平均を求めた。
【0034】実施例7 実施例1で得られた吸水剤(1)140重量部および粉
砕パルプ60重量部をミキサー中で乾式混合し、次いで
バッチ型空気抄造装置を用いてワイヤースクリーン上に
空気抄造して、寸法10cm×20cmのウエブとし
た。得られたウエブの上下面を坪量0.0013g/c
2 のティッシュペーパで挟持し、その後圧力2kg/
cm2 で5秒間プレスして、坪量約0.05g/c
2 、密度約0.17g/cm3 の本発明の吸水体
(1)を得た。
【0035】実施例8〜9および比較例5〜6 実施例2〜3で得られた吸水剤(2)〜(3)および比
較例1〜2で得られた比較吸水剤(1)〜(2)を用
い、実施例7と同様にして本発明の吸水体(2)〜
(3)および比較吸水体(1)〜(2)を得た。
【0036】実施例10〜12および比較例7〜8 得られた本発明の吸水体(1)〜(3)、比較吸水体
(1)〜(2)を以下の方法で評価して、吸水体の吸水
特性を評価した。結果を表1に示した。
【0037】(無荷重下での吸水体評価)得られた吸水
体を直径9cmの円形に切り取り、直径120mm、高
さ40mmのシャーレーに入れ、そこに生理食塩水50
gを注いだ。注ぎ始めてから、生理食塩水がすべて吸水
体に吸水されるまでの時間を測定し、3回の平均を値と
した。
【0038】(荷重下での吸水体評価)得られた吸水体
を直径9cmの円形に切取り、直径120mm、高さ4
0mmのシャーレーに入れ、そこに生理食塩水30gを
注いだ。注ぎ始めてから、生理食塩水がすべて吸水体に
吸収されるまでの時間を測定した(無荷重下)。5分間
放置後、12g/cm2 の荷重を吸水体全体にかけ、そ
の状態でさらに生理食塩水20gを注いだ。注ぎ始めて
から、生理食塩水が全て吸水体に吸収されるまでの時間
を測定した(荷重下)。3回の平均を値とした。
【0039】
【表1】
【0040】実施例13 実施例1で得られた吸水剤(1)150重量部および粉
砕パルプ150重量部をミキサー中で乾式混合し、次い
でバッチ型空気抄造装置を用いてワイヤースクリーン上
に空気抄造して、寸法10cm×20cmのウエブとし
た。得られたウエブの上下面を坪量0.0013g/c
2 のティシュペーパーで挟持し、その後圧力2kg/
cm2 で5秒間プレスして、坪量約0.05g/c
2 、密度約0.17g/cm3 の本発明の吸水体
(4)を得た。
【0041】実施例14〜15および比較例9〜10 実施例2〜3で得られた吸水剤(2)〜(3)および比
較例1〜2で得られた比較吸水剤(1)〜(2)を用
い、実施例13と同様にして本発明の吸水体(5)〜
(6)および比較吸水体(3)〜(4)を得た。
【0042】実施例16〜21および比較例11〜14 得られた本発明の吸水体(1)〜(6)、比較吸水体
(1)〜(4)を以下の方法で評価して、吸水体の吸水
特性を評価した。結果を表2に示した。
【0043】(荷重下での吸水体の一次・二次吸収評
価)得られた吸水体を直径9cmの円形に切り取り、直
径120mm、高さ40mmのシャーレーに入れた。吸
水体の上に直径9cmのアクリル樹脂板を載せ、更にそ
の上に荷重を置いて、吸水体全体に14g/cm2 の荷
重がかかるようにした。
【0044】この状態で、生理食塩水25gを注ぎ、注
ぎ始めてから生理食塩水がすべて吸水体に吸水されるま
での時間を測定した(一次吸収)。5分後、更に25g
の生理食塩水を注ぎ、再び生理食塩水がすべて吸水体に
吸収されるまでの時間を測定した(二次吸収)。
【0045】
【表2】
【0046】実施例22 実施例1で得られた吸水剤(1)120重量部および粉
砕パルプ80重量部をミキサー中で乾式混合し、次いで
バッチ型空気抄造装置を用いてワイヤースクリーン上に
空気抄造して、寸法15cm×40cmのウエブとし
た。得られたウエブの上下面を坪量0.0013g/c
2 のティッシュペーパーで挟持し、その後圧力2kg
/cm2 で5秒間プレスして、坪量約0.05g/cm
2 、密度約0.17g/cm3 の本発明の吸水体(7)
を得た(重量24g)。
【0047】液透過性ポリプロピレントップシート、本
発明の吸水体(7)、レッグギャザーを含む液不透過性
ポリエチレンバッグシートおよび2つのテープファスナ
ーからなる本発明の吸収物品(1)を両面テープにより
個々のコンポーネントを締結させて手で組み立てた。本
発明の吸収物品(1)の重量は、45gであった。
【0048】比較例15 比較例2で得られた比較吸水剤(2)を用いて、実施例
22と同様の方法で比較吸収物品(1)を作成した。比
較吸収物品(1)の重量は45gであった。
【0049】実施例23 本発明の吸収物品(1)と比較吸収物品(1)を、8人
の母親のパネル(1才児)により約一ヶ月にわたり試験
した。各パネリストは、20個のおむつを無作意に受け
取って試験した。試験後、各おむつを回収し、その漏れ
率を比較した。結果を表3に示した。本発明の吸収物品
が優れた吸収特性を有していることが判る。
【0050】
【表3】
【0051】
【発明の効果】本発明による吸水剤は、以上のごとき構
成を有しており、膨潤ヒドロゲルが高い反発力を有して
いるので、荷重がかかる用途において、荷重がかかった
後も、二次および三次吸水の吸水速度を速く保つことが
できる。
【0052】また、繊維質材料とともに複合化して得ら
れる紙おむつや生理用ナプキン等のごとき吸水物品にお
いては、ゲル弾性が高いために、荷重下であっても繊維
間のキャピラリーを閉塞させることはなく、このため荷
重下でも吸水速度が速くなるという利点がある。

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 生理食塩水28g/吸水剤gを吸水する
    際に吸水速度が20〜90秒の範囲である粒子状の吸水
    剤であって、かつこのようにして得られる膨潤ヒドロゲ
    ルに直径15/32インチの鋼球を20cmの高さから
    自由落下させたときに該膨潤ヒドロゲルへの該鋼球の侵
    入がないことを特徴とする吸水剤。
  2. 【請求項2】 造粒により149μm以下の粒子が10
    重量%よりも少なく、かつ149〜500μmの粒子が
    50重量%以上に粒子径制御されたものである請求項1
    に記載の吸水剤。
  3. 【請求項3】 該吸水速度が30〜70秒である請求項
    1または2に記載の吸水剤。
  4. 【請求項4】 149μm以下の粒径を有する粒子が1
    5〜75重量%の範囲の酸性基を有する吸水性架橋重合
    体粒子100重量部に対し、分子量5,000以上の第
    1級アミノ基、第2級アミノ基、第3級アミノ基および
    それらの塩よりなる群から選ばれた少なくとも1種のポ
    リカチオン化合物を1〜10重量部含有する水性液とし
    て添加混合することを特徴とする吸水剤の製造方法。
  5. 【請求項5】 149μm以下の粒径を有する粒子が2
    5〜65重量%の範囲である請求項4に記載の吸水剤の
    製造方法。
  6. 【請求項6】 該酸性基を有する重合体粒子が部分中和
    ポリアクリル酸塩架橋重合体粒子である請求項4または
    5に記載の吸水剤の製造方法。
  7. 【請求項7】 ポリアクリル酸塩架橋重合体粒子が水溶
    液重合により得られたものである請求項6に記載の吸水
    剤の製造方法。
  8. 【請求項8】 該ポリカチオン化合物がポリアルキレン
    ポリアミン、変性ポリエチレンイミン、ポリアリルアミ
    ン、ポリビニルアミンおよびポリエーテルアミンよりな
    る群よりなる群から選ばれた少なくとも1種のものであ
    る請求項4〜7のいずれか一つに記載の吸水剤の製造方
    法。
  9. 【請求項9】 該ポリカチオン化合物がポリエチレンイ
    ミンである請求項4〜7のいずれか一つに記載の吸水剤
    の製造方法。
  10. 【請求項10】 該ポリカチオン化合物の分子量が1
    0,000〜100,000の範囲である請求項4〜9
    のいずれか一つに記載の吸水剤の製造方法。
  11. 【請求項11】 請求項1〜3に記載の吸水剤55〜9
    5重量部および粉砕パルプ55〜5重量部の混合物より
    なる吸水体。
  12. 【請求項12】 請求項11に記載の吸水体を用いた体
    液吸収物品。
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