JPH0636509A - 磁気テープカセット - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】録音・再生時間の調節ができる磁気テープカセ
ットに用いられる制御ピンでテープダメージが発生する
ことなく安全な走行制御を可能にし、コスト、組立性並
びに信頼性の向上をはかる。 【構成】カセットケース内のリールにテープ送出停止用
の制御ピン７を有する連動板５を備えた磁気テープカセ
ットにおいて、前記制御ピン７を平板状の腕杆とその一
端に巻込テープ周面に沿うピン７₂ をカシメにより立設
し、他端に軸受８を設け、該軸受８を前記連動板５に突
設した溶着軸８₁ に嵌挿してカシメ溶着接合したこと
で、制御ピンの上下動がなく、しかも一定の範囲内に規
制されて、テープダメージがなく安全に操作することが
できて信頼性の高いものとなり、テープ損傷による影響
を受けずに、録音・再生時間の調節が容易にできる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、オーディオなどの磁気
テープ類を巻装収納したテープカセット内において、テ
ープの記録再生時間の調節ができる制御ピンを備えた磁
気テープカセットに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、テープカセット自体で録音・再生
時間を自由に調節できるものとして、図１０に示すよう
に本出願人が先に提案（実願平２−７２４９６号）した
ものに、テープａの供給リールｂの凹所に調節ボタンｃ
及びテープ制御ピンｄのある連動板ｅを回動自在に嵌装
し、該調節ボタンｃを前記凹所に備えた連結用凸部に係
脱させて、供給リールｂと連動板ｅとを一体回転或いは
相対回転ができるようにし、テープの送出を制御ピンｄ
により、所定位置で停止させるテープカセットがある。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところが、このテープ
ａの長さ方向の任意の位置でテープの送出を停止するた
めの制御ピンｄは、取付基部において上下方向に対する
規制をしていないと、テープと接触する自由端部でテー
プとのこすれが発生しやすく、テープ損傷によるワウ、
フラッタの劣化並びにドロップアウトの発生が多発する
欠点があり、しかも制御ピンｄがある範囲以外に動く
と、ケース内部材とひっかかり干渉して作動不能とな
り、テープ走行が急停止してしまって、操作上不具合が
生じ、動作の信頼性が低下すると共に、組立が煩雑で生
産能率もあげられないなど問題であった。 本発明は、
これら欠点を適確に排除しようとするもので、録音・再
生時間の調節ができる磁気テープカセットとするのに、
テープの送出を停止する制御ピンでリール回転を安全に
止めることができ、テープダメージを発生することな
く、信頼性を向上し耐久性の高い安価な形態とした取扱
い容易で、組立も簡便な磁気テープカセットを提供する
ことを目的とするものである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明は、カセットケー
ス１内に磁気テープ２が、回転可能の供給リール３と巻
取リール４とに巻装されて収納され、該供給リール３に
連動板５を回転自在に設け、かつ供給リール３と連動板
５とを係脱する調節ボタン６と、テープ送出停止用の制
御ピン７とを連動板５に備えた磁気テープカセットにお
いて、前記制御ピン７が平板状の腕杆の一端に巻込テー
プ周面に沿うピン７₂ をカシメにより立設し、他端に軸
受８を設けたものからなり、該軸受８を前記連動板５に
突設した溶着軸８₁ に嵌挿してカシメ溶着接合したこと
を特徴とする磁気テープカセットである。

【０００５】

【作用】供給リール３の凹１３にある連動板５は、係止
部１０で回動自在に嵌装され、軸方向に抜き出ないよう
になっていて、調節ボタン６が、ケース１に形成した開
口１４内に嵌入されている第１の位置（ロックＯＦＦ）
にあるときは、連動板５は供給リール３から分離されて
いて静止した状態にあり、制御ピン７の自由端部のピン
７₂ は磁気テープ２の半径方向外方に離れた位置で、或
いは制御ピン案内部材１７がある場合には、これとテー
プ２の接線方向に伸びる部分とにはさまれたところに位
置し、一方、供給リール３は自由に回転できる。この状
態では、磁気テープ２は供給リール３と巻取リール４の
間で磁気テープ２の始端から終端の全長にわたって自由
な往復走行が可能である。また、スライドシャッタ１４
₁ で開口１４を閉じることにより、調節ボタン６を押し
込み、上ケース内面にもぐらせた第２の位置（ロックＯ
Ｎ）とすると、供給リール３の凸部１５に係合して供給
リール３と連動板５は一体になって回転し、この連動板
５の回転と同時に制御ピン７も回転する。もともと、制
御ピン７はロックＯＦＦ時にテープまたは制御ピン案内
部材のある場合には、制御ピン案内部材と、テープ２の
接線方向に伸びる部分とにはさまれたところに位置して
いるので、そのまま連動板５が回転すれば、連動板５に
軸支された制御ピン７の自由端部のピン７₂ が、テープ
２または制御ピン案内部材に係合して、供給リール３の
回転を止め、それにより、テープレコーダの張力検出機
構（図示せず）が作動してテープ２の走行が停止され、
テープのこすれがなく安定した切替ができる。

【０００６】

【実施例】本発明の実施例を図１乃至図６で説明する
と、テープカセットはカセットケース１と、その内部に
それぞれ回転可能に収納された一対の供給リール３と巻
取リール４とに巻装された磁気テープ２とより構成され
ている。各リール３，４は磁気テープ２の走行方向によ
って供給側、或いは巻き取り側のいずれともなり得る
が、供給リール３及び巻取リール４には、両端の一方が
それぞれ固定された所定長さの磁気テープ２が巻装され
ている。そして、供給リール３には、その中心部にテー
プレコーダーからの回転を受ける放射状に内方に伸びる
突起が、一体に形成されているとともに、リール３の巻
取ドラム部の内側には凹所１３が形成されている。この
凹所１３を画成している円筒状の内壁には半径方向内方
に張り出した係止用の凸部１５が等間隔に複数設けられ
ており、そのうちの１つはテープ端固定部が形成される
ことになる。

【０００７】前記供給リール３の凹所１３内には、円環
状の連動板５が回動自在にリングまたは爪の係止部で嵌
装されている。この連動板５は合成樹脂材からなり円筒
壁の上縁に外方に突設される環状フランジ部と、下縁に
内方に突設される環状フランジ部とを備えたドーナッツ
状のもので、該環状フランジ部の上面外周部には制御ピ
ン７が備えられており、その直径方向反対側の外周部に
はバネ部６₁ を介して調節ボタン６が金属バネ材などの
可撓性材で一体に成形されている。

【０００８】また、前記連動板５の係止部としては、供
給リール３のドラム内筒部３₁ の外周に突設されたリン
グ、またはアンダーカット爪を用いてもよく、前記連動
板５の円筒壁の下縁に形成される環状フランジ部に係止
されるもので、連動板５が凹所１３で回動自在に嵌装さ
れ抜出防止構造としてある。

【０００９】なお、前記制御ピン７は、平板状の腕杆
と、その一端に巻込テープ周面に沿うピン７₂ をカシメ
により立設した２部材からなり、他端を取付基板７₁ と
して軸受８を設け、該軸受８を前記連動板５に突設した
溶着軸８₁ に嵌挿してカシメ溶着接合して、制御ピン７
は、溶着軸８₁ を中心として旋回して、その自由端部の
ピン７₂ が磁気テープ２の表面に接触することができ
る。

【００１０】前記供給リール３の凹所１３内に納められ
た連動板５は、その中心穴が供給リール３に形成された
内側の円筒部３₁ に緩く嵌入されており、円筒部３₁ に
突設された係止部によって、上下方向に位置決めされて
おり、安定して回転できるようにされている。前記調節
ボタン６が、第１の位置（ロックＯＦＦ）にあるとき、
即ち、ケース１に形成した開口１４内に嵌入されている
ときは、連動板５は供給リール３に形成した凸部１５と
係合しないで供給リール３に対し、その回転軸線まわり
の相対回転が可能であるし、制御ピン７は、磁気テープ
２の半径方向外方に離れた位置で、或いは制御ピン案内
部材がある場合には、これとテープ２の接線方向に伸び
る部分とにはさまれたところに位置し、フリー状態とな
ってテープにテンションをかけない状態となっている。
また、調節ボタン６が下方に押し込まれて、第２の位置
（ロックＯＮ）となったとき、即ち、ケース１の内面に
もぐりこんだときは、連動板５に設けた調節ボタン６の
底面部が、供給リール３に形成した凸部１５の１つと係
合して、連動板５と供給リール３の相対回転は不可能と
なる。なお、調節ボタン６を上ケース内面にもぐらせた
ときには、ケース１の開口１４は、スライドシャッタ１
４₁ で閉じて連動板５の回転操作に支障がないようにな
っているし、制御ピン７はテープ２の接線方向部分また
は制御ピン案内部材のある場合には、該制御ピン案内部
材に係合してテープにテンションをかける状態となる。
そして前記調節ボタン６が、ケース１に形成した開口１
４内にある第１の位置にあるときは、供給リール３と巻
取リール４との間で磁気テープの往復走行が自由にでき
る。

【００１１】例えば、既に録音済の磁気テープ２の全長
のうち、特定範囲に限って再生を繰り返したい場合に
は、再生対象の最後の磁気テープ位置でテープ長さ調節
装置を作動させる。まず、テープカセットをテープレコ
ーダにローディングして再生操作を行ない、再生対象範
囲の最後に到達した時点でテープの走行を停止する。テ
ープレコーダからカセットテープを取り出し、スライド
シャッタ１４₁ で開口１４を閉じることにより、調節ボ
タン６を押し込み第２の位置とする。そして、このテー
プカセットをテープレコーダに再装填する。テープレコ
ーダを操作して、再生または早送りによりテープカセッ
トを取り出し前と同じ方向に走行させる。テープレコー
ダから回転力を受けて、供給リール３は反時計方向に回
転し始めるが、調節ボタン６に隣接した供給リール３の
凸部１５がただちに調節ボタン６に係合して、供給リー
ル３と連動板５は一体になって回転し、制御ピン７がテ
ープ２または制御ピン案内部材に引掛けられて移動係合
して、それによりテープ２に作用する張力を増大してテ
ープ走行が停止される。

【００１２】この状態でテープ２を巻取リール４から供
給リール３の方向に巻き戻すと、調節ボタン６は、押し
込まれた第２の位置にあるので、供給リール３と連動板
５は一体となって時計方向に回転する。制御ピン７の自
由端部７₂ は、テープ２の接線方向に伸びる部分の内面
に接触し、さらに供給リール３と連動板５が回転する
と、制御ピン７は、取付基部７₁ を中心として、反時計
方向に回動して自由端部のピン７₂ をテープにはさみ込
んだ状態で、そのまま供給リール３にテープ２を巻き取
り続けることができる。そしてまた、この巻き戻したテ
ープ２を再生または早送りにより供給リール３から巻取
リール４の方向に走行させると、先に制御ピン７を停止
位置としてセットしたテープの長さ方向の位置になる直
前に、制御ピン７のピン７₂ が、磁気テープ２の半径方
向外方に離れた位置にでてきて、セット位置となった時
点で制御ピン７のピン７₂ は、供給リール３の回転を止
め、それにより、テープ２に作用する張力が増大して、
テープ２の走行が再び停止されることとなる。また制御
ピン案内部材のある場合は、巻き戻したテープ２を再生
または早送りにより走行させると、テープ２の接線方向
に伸びる部分とにはさまれた位置にでてきて、制御ピン
案内部材と係合してテープ張力増大により走行が止ま
る。

【００１３】なお、一旦、設定した送り出し停止位置を
変更したり、設定を解除したりする場合には、送り出し
停止位置で停止したテープカセットをテープレコーダか
ら取り出し、手でスライドシャッタ１４₁ を移動して開
口１４を開け、次に、供給リール３を少し回転させて、
調節ボタン６をケース１の開口１４に合わせれば、調節
ボタン６が開口１４に入って第１の位置（ロックＯＦ
Ｆ）に復帰する。

【００１４】図７乃至図９の例では、前記制御ピン７
が、制御ピン案内部材１７とともに設けられた例で、制
御ピンは、その取付基部７₁ に供給リール３の外ハブ３
₁ に当接するストッパ部７₃ を備えていて、その制御ピ
ンを或る範囲内でしか動けないように、内ハブ壁即ち供
給リール３のドラム内筒部３₁ に衝突するようにしてあ
る。

【００１５】この場合、前記ストッパ部７₃ が、前記連
動板５に形成した段差面部５₁ に当接する取付基部７₁
を斜めに傾斜した状態に折り曲げた折曲片からなるが、
斜めに傾斜した状態の端縁でもよく、当接した際にすべ
らないように配慮してある。また、その取付基部７₁ を
段付形状に折曲げて、前記供給リール３の上面より下方
の凹所１３に配備される連動板５即ち連動板５に形成し
た凹状の段差面部５₁に回動自在に溶着することもでき
る。

【００１６】また、磁気テープ２にテンションの掛かっ
た状態において、磁気テープ２のテープ磁性面側とテー
プバック面側との両面に常時先端が接触しているよう
に、テープ接触端１７₂ のある制御ピン案内部材１７を
支軸１７₁ で回動自在にケースに配備してあって、制御
ピン７が制御ピン案内部材１７に引掛けられて供給リー
ル３が止まる直前から直後に変位して制御ピン案内部材
１７で係止されてテープ２にテンションをかけるように
してある。

【００１７】なお、前記制御ピン案内部材１７として
は、先端部を弧状に弯曲したレバーであって、該先端部
のテープ接触端１７₂ をアールに丸めてあるが、該テー
プ接触端１７₂ のアールを前記制御ピン７の先端のピン
７₂ のアールより小径の丸味を持たせ、制御ピン７がテ
ープ案内部材１７の内方にもぐり込まないようにしたも
のがよく、さらに磁気テープ２に接触させる関係から、
この制御ピン案内部材１７は、テープ幅を持った帯状片
であって、帯電防止処理が施されているのを用いるのが
好ましい。また制御ピン案内部材１７をリールハブ軸芯
方向にバネ（図示せず）で付勢させることを配慮するの
も好ましい形態となる。

【００１８】さらに前記連動板５は、供給リール３の内
筒部３₁ の外周に突設したリング或いは爪などの係止部
１０で係止され、凹所１３内で回動自在に嵌装された組
立構造となっている。

【００１９】

【発明の効果】本発明は、カセットケース内に磁気テー
プが一対の回転可能のリールに巻装されて収納され、該
リールに連動板を回転自在に設け、かつ供給リールと連
動板とを係脱する調節ボタンと、テープ送出停止用の制
御ピンとを連動板に備えた磁気テープカセットにおい
て、前記制御ピンを平板状の腕杆と、その一端に巻込テ
ープ周面に沿うピンをカシメにより立設し、他端に軸受
を設け、該軸受を前記連動板に突設した溶着軸に嵌挿し
てカシメ溶着接合したことにより、制御ピンがピンと腕
杆とがカシメで接合できるし、連動板に溶着で接合でき
て自動機での組立がきわめて容易であると共に、制御ピ
ンの溶着部が水平面上に拡張されて固着されるために、
制御ピンの上下方向への動きが押えられ、制御ピンをテ
ープに巻き込んだ時に、テープとのこすれが生じないで
安全に引掛けられるほか、制御ピンの一定の範囲内で動
かないように規制することもでき、供給リールに損傷を
与えることなく動作されて、テープダメージもなく安全
に操作することができ、信頼性の高いものとなり、さら
に制御ピンを著しくシンプルな形状にできるので、録音
・再生時間の調節可能の磁気テープカセットを量産対応
の自動組立ラインでの組込みも容易にし、作業性向上に
も役立つなどの実用上の効果もある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例の上ケースを除いた平面図であ
る。

【図２】図１の実施例の制御ピンの平面図である。

【図３】図２の縦断面図である。

【図４】図２の使用状態を示す一部切断側面図である。

【図５】図４の一部の斜視図である。

【図６】実施例の連動板を上方から見た斜視図である。

【図７】本発明の他の実施例の上ケースを除いた平面図
である。

【図８】図７の実施例の制御ピンの使用状態の拡大斜視
図である。

【図９】図７のＡ−Ａ線における拡大縦断面図である。

【図１０】従来例の上ケースを除いた平面図である。

【符号の説明】

１ ケース ２ 磁気テープ ３ 供給リール ３₁ 内筒部 ４ 巻取リール ５ 連動板 ６ 調節ボタン ６₁ バネ部材 ７ 制御ピン ７₁ 取付基部 ７₂ ピン ７₃ ストッパ部 ８ 軸受 ８₁ 溶着軸 13 凹所 14 開口 14₁ スライドシャッタ 15 凸部 17 制御ピン案内部材 17₁ 支軸

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 カセットケース１内に磁気テープ２が、
   回転可能の供給リール３と巻取リール４とに巻装されて
   収納され、該供給リール３に連動板５を回転自在に設
   け、かつ供給リール３と連動板５とを係脱する調節ボタ
   ン６と、テープ送出停止用の制御ピン７とを連動板５に
   備えた磁気テープカセットにおいて、前記制御ピン７が
   平板状の腕杆の一端に巻込テープ周面に沿うピン７₂ を
   カシメにより立設し、他端に軸受８を設けたものからな
   り、該軸受８を前記連動板５に突設した溶着軸８₁ に嵌
   挿してカシメ溶着接合したことを特徴とする磁気テープ
   カセット。
2. 【請求項２】 前記制御ピン７が、その取付基部７₁ に
   供給リール３の外ハブ３₁ に当接するストッパ部７₃ を
   備えている請求項１記載の磁気テープカセット。
3. 【請求項３】 前記ストッパ部７₃ が、前記連動板５に
   形成した段差面部５₁ に当接する取付基部７₁ を折曲げ
   た折曲片からなる請求項２記載の磁気テープカセット。
4. 【請求項４】 前記制御ピン７が、その取付基部７₁ を
   段付形状に折曲げたものであって、前記供給リール３の
   上面より下方の凹所１３に配備される連動板５に回動自
   在に溶着されている請求項２または３記載の磁気テープ
   カセット。