JPH0635866U - ソーラーシステムにおける集熱装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】 最上層に断熱空気層を有する複層板硝子を用
いることにより、放熱による熱損失を低減させ、集熱体
を集熱装置の略中間層となる位置に配設させ、屋根板等
の外壁材の過熱を回避させて屋内の快適な条件を得ると
同時に、通風路を二層に形成させて暖房負荷の異なる暖
房装置に選択的に利用できる集熱装置を提供する。 【構成】 屋根板等の外壁材Ａの上面に断熱層２を配設
し、断熱層の上方に第１通風路３を介して集熱板又は集
熱管から成る集熱体Ａを配設させると共に、集熱体の上
方へ第２通風路５を介して複層板硝子６を配設させる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、太陽エネルギーを空気や水等の熱媒体を用いて熱エネルギーに変換 し、一般建物の暖房装置や給湯装置等へ利用する熱利用のソーラーシステムにお ける集熱装置（コレクター）に関するものである。

【０００２】

【従来技術とその問題点】

従来より、住宅等の一般建物における太陽エネルギーを利用したソーラーシス テムは、他のエネルギー源を用いた冷暖房・給湯システムの補助システムとして 、或は、それ等に替わるシステムとして採用され、近年、経済性等の点で重要視 されているものである。

【０００３】 又、ソーラーシステムには、太陽エネルギーを太陽電池アレイを用いて電気エ ネルギーに変換する光利用システムと、空気や水等の熱媒体を用いて熱エネルギ ーに変換する熱利用システムがあるが、コスト面や電気系統の技術面の問題で、 主として熱エネルギーに変換する熱利用システムが多く採用されているのが現状 である。

【０００４】 この種の熱利用システムの概要は、太陽光の熱エネルギーを熱吸収に適した金 属製等の集熱体を用いて集熱し、次いで、空気や水等の熱媒体を介して蓄熱槽へ 蓄熱し、これを熱源として電気、ボイラー、湯沸器等の補助熱源と共に屋内の冷 暖房・給湯システムにおける暖房装置、給湯装置、或は吸収式冷凍機を用いた冷 房装置等に利用するもので、例えば、熱媒体に空気を用いた例に、鉄等の金属製 の屋根材を集熱体とした非集光固定型のソーラーハウスシステムが実用化されて いる。

【０００５】 図４に図示のものは、この様なソーラーハウスシステムにおける集熱構造を説 明するもので、集熱体に屋根材１１を利用し、屋根材１１と梁１４の上面に敷設 した断熱材１３との間に通風路１２を設けたものであり、先ず、軒下から通風路 １２内に流入する外気を加熱して上方で集約し、次いで、ファンを内蔵したダク ト等の空気流路を介して床下の蓄熱槽に集熱させて床下暖房や室内暖房等の暖房 装置の熱源として利用するものである。

【０００６】 然し乍ら、屋根材１１を集熱体とした集熱構造を採用すると、冬期においては 、屋根材１１からの放熱による熱損失が多いために充分な熱量が得られず、一方 、夏期においては、屋根材１１が過熱するので、例えば、ダンパー等を設けて空 気の流路制御を行い、通風路１２と屋内側の空気流路を遮断して加熱された通風 路１２内の空気を外気へ強制的に排気させても、梁１４の上面に敷設した断熱材 １３を通過して屋内に熱が伝導するので、特に冷房装置等のマイナス要因となっ て、快適な居住空間を現出できない等の問題点があった。

【０００７】

【考案の目的】

本考案の主たる目的は、上記の事由に鑑みて、最上層に予め断熱空気層を有し た複層板硝子を用いることにより、放熱による熱損失を低減させると共に、集熱 体を集熱装置の略中間層となる位置に配設させ、従来の問題点となっていた屋根 板等の外壁材の過熱を回避させて、屋内の快適な条件を得ることが可能なソーラ ーシステムにおける集熱装置を提供する目的であり、又、同時に、通風路を二層 に形成させて暖房負荷の異なる暖房装置に選択的に利用できる集熱装置を提供す る目的である。

【０００８】

【考案の構成】

本考案の構成は、屋根板等の外壁材の上面に断熱層を配設し、断熱層の上方に 第１通風路を介して集熱板又は集熱管から成る集熱体を配設させると共に、集熱 体の上方へ第２通風路を介して複層板硝子を配設させた構成である。

【０００９】

【実施例】

斯る目的を達成させた本考案を以下実施例の図面によって説明する。 図１は 、本考案の集熱装置の概要図であり、図２は、本考案の集熱装置を用いたソーラ ーシステムハウスの概要図であり、図３は、本考案の集熱装置を用いたソーラー システムの一部を省略した機能説明図であり、図４は、従来の屋根材を集熱体と したソーラーシステムハウスの集熱構造を示す概要図である。

【００１０】 本考案は、図１及び図２に図示の如く、太陽エネルギーを空気や水等の熱媒体 を用いて熱エネルギーに変換する熱利用のソーラーシステムにおける集熱装置１ に関するものであり、一般建物のソーラーシステムにおいて略南面向きの屋外構 造物として形成される非集光固定型の集熱装置１であって、図１に図示の如く、 屋根板等の外壁材Ａの上面に断熱層２を配設し、該断熱層２の上方に第１通風路 ３を介して集熱板又は集熱管から成る集熱体４を配設させると共に、前記集熱体 ４の上方へ第２通風路５を介して複層板硝子６を配設させたものである。

【００１１】 即ち、本考案の集熱装置１は、住宅等の一般建物の冷暖房・給湯システムの図 ３に示す暖房負荷の異なる二種類の暖房装置７．７や給湯装置（図示せず）等へ 太陽光の熱エネルギーを供給する熱利用のソーラーシステムの重要部であり、図 ２に図示の如く、住宅等の一般建物へ屋外構造物として設置されるユニット式平 板型の非集光固定型の集熱装置１であり、該集熱装置１はＦＲＰ等の合成樹脂、 或は、アルミ、ステンレス等の金属を用いた外装ケーシング（図示せず）で一体 的に形設されると共に単体、或は複数個の集合体でも使用できるものであり、以 下、その細部と作用を説明するものである。

【００１２】 先ず、本考案の集熱装置１を設置する住宅等の一般建物の外壁材Ａは、鉄等の 金属製の屋根板は勿論のこと、南面向きの傾斜壁面等の太陽光が充分に照射され る適宜な建築構造物が選択される。

【００１３】 一方、前記集熱装置１は、図１に図示の如く、屋根板等の外壁材Ａの上面に配 設させた断熱層２と、該断熱層２の上方に第１通風路３を介して配設させた集熱 体４と、該集熱体４の上方へ第２通風路５を介して配設させた複層板硝子６で構 成されている。

【００１４】 前記断熱層２は通風路３の加熱空気から外壁材Ａを通過して屋内に熱が伝導す ることを防止させるために集熱装置１の最下層に設けられるもので、前記外壁材 Ａの上面に密着させて敷設させるアルミ箔付ガラスウール、ロックウール等のシ ート状の断熱材から成り、該断熱層２の機能により集熱装置１全体の伝導による 熱損失を低減させている。

【００１５】 前記第１通風路３は最下層の断熱層２と上層の集熱体４との間に適宜なスペー サー（図示せず）により形成されたものであり、該第１通風路３の、例えば、傾 斜設置状態での下方部位へは外気取入口を形成させると共に上方部位へは配管口 （図示せず）を形成させ、該配管口へ屋内に配設されたダクト等の空気流路を配 管接続させ、該空気流路へはファン等の強制循環手段を内蔵させると共に屋内の 床暖房等の暖房装置７と接続させるものである。尚、前記第１通風路３内には、 実質上、顕熱型の空気を用いるが、例えば、フロン等の潜熱型の気体を用いても 構わないものである。

【００１６】 前記第２通風路５は最上層の複層板硝子６と下層の集熱体４との間に適宜なス ペーサー（図示せず）により形成されたものであり、該第２通風路５の、例えば 、傾斜設置状態での下方部位へは外気取入口を形成させると共に上方部位へは配 管口（図示せず）を形成させ、該配管口へ屋内に配設されたダクト等の空気流路 を配管接続させ、該空気流路へはファン等の強制循環手段を内蔵させると共に屋 内の空調暖房等の暖房装置７と接続させるものである。

【００１７】 前記集熱体４は銅、アルミ、ステンレス、鋼等の熱伝導率の高い金属製の材質 が用いることが好ましく、前記第１通風路３と第２通風路５内の空気を加熱する 複数の集熱板や給湯装置（図示せず）の管路系の一部として水や不凍液等を貯溜 又は循環させる複数の集熱管等で形設させたものであり、該集熱板は、例えば、 熱吸収率を高めるために黒色塗装された鋼板、選択吸収膜処理されたアルミ、ス テンレス板を用いるもので、平板は勿論のこと、前記第１通風路３と第２通風路 ５内の空気との接触面を増す様に両面を波状としたコルゲート板等を用いても構 わない。

【００１８】 前記複層板硝子６は集熱装置１の最上層に形成された透明な二枚の板硝子６ａ ．６ｂから成り、該夫々の板硝子６ａ．６ｂの間には断熱空気層６ｃが乾燥剤等 を充填させたスペーサー６ｄにより形成されたものであり、該複層板硝子６の断 熱空気層６ｃは、前記集熱体４からの放熱を防止させる密閉空間となっており、 空気の対流を防止させて集熱装置１全体の対流による熱損失を低減させている。

【００１９】 尚、前記複層板硝子６は二枚の板硝子６ａ．６ｂから形成させたが、例えば、 アクリル樹脂等の合成樹脂製の板材を用いても良く、夫々の板硝子６ａ．６ｂの 表面には前記集熱体４と同様に熱吸収率を高めるために表面に選択吸収膜処理を 行っても良い。又、複層板硝子６を複数枚用いる場合には、図示の如く、連結型 のスペーサー６ｄで連結させても良い。

【作用】

【００２０】 図３は、本考案の集熱装置１を用いたソーラーシステムの一部を省略した機能 説明図である。屋内の冷暖房・給湯システムにおいて、前記集熱装置１で集熱さ れた熱エネルギーは暖房負荷の異なる二種類の暖房装置７．７へ二系統に別れて 供給させることが可能であり、図１に示す第１通風路３は一方の床下暖房を負荷 とする暖房装置７の集熱部として、第２通風路５は他方の空調暖房を負荷とする 暖房装置７の集熱部として機能し、従って、第１通風路３内の空気は一方の暖房 装置７の熱媒体として、第２通風路５内の空気は他方の暖房装置７の熱媒体とし て機能する。

【００２１】 前記第１通風路３内の空気は、図１に示す集熱板から成る集熱体４の上面に照 射された太陽光により加熱され、図示しないダンパー等の流路制御手段を有した 空気流路を介して屋内の、例えば、床下暖房を負荷とする一方の暖房装置７に供 給される。

【００２２】 前記第２通風路５内の空気は、図１に示す集熱板から成る集熱体４の上面に照 射された太陽光により加熱され、図示しないダンパー等の流路制御手段を有した 空気流路を介して屋内の、例えば、空調暖房を負荷とする他方の暖房装置７に供 給されるものであり、この場合、加熱された空気は熱媒体であると同時に直接、 温風として利用される。

【００２３】 又、前記第１通風路３内の空気と第２通風路５内の加熱された空気は、例えば 、図示の三方向電磁弁や、ダンパー（図示せず）等の流路制御機構を適宜に配設 することにより、一方の暖房装置７に混合状態で供給することも可能であり、こ れにより温度制御を流路制御だけで機械的に行うこともできる。

【００２４】 本考案の集熱体４は接触する第１通風路３と第２通風路５内の空気を加熱する ので、屋根板等の外壁材Ａを第１通風路３により直接過熱させることがなく、特 に、夏期等においては、第１通風路３及び第２通風路５内を通る外気を直接外へ 排気させれば、断熱層２に届く熱を効果的に低減でき、屋内は快適に保たれるも のである。

【００２５】 尚、前記集熱体４の一部に集熱管を用いた場合には、集熱管内の水等の液体は 集熱管の上面に照射された太陽光により加熱され、循環ポンプにより蓄熱槽等に 蓄熱され、台所や浴室等の給湯装置に供給されるものであるが、不凍液を用いる 場合には熱交換器で間接集熱を行い、加熱された水を直接浴用等に用いる場合に は蓄熱槽を省略することもできる。

【００２６】 又、本考案の実施例では暖房装置７．７を用いて説明したが、第１通風路３又 は第２通風路５の何れかを熱交換器を介して給湯装置に接続させても良く、その 場合、熱交換器による熱損失を鑑みて確保する熱量の多い通風路を適宜に選択す る。

【考案の効果】

本考案の集熱装置は、前述の如く構成したものであり、複層板硝子の断熱空気 層と、断熱層の機能により対流と伝導による熱損失を低減させた極めて熱効率の 良い集熱装置であることは勿論のこと、二種類の通風路を形成させたことにより 、例えば、暖房負荷の異なる二種類の暖房装置に夫々用いることができる等の太 陽光の熱エネルギーを有効利用できる機能性に優れたものであり、特に、夏期に おける屋内への熱伝導を防ぐので、四季を通じて極めて効率の良い冷暖房・給湯 システムを実現できるものであり、又、窓用等に生産されている複層板硝子をそ のまま用いることにより、装置全体の低コスト化を実現できる実用性に富んだ画 期的で有意義な考案である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の集熱装置の概要図である。

【図２】本考案の集熱装置を用いたソーラーシステムハ
ウスの概要図である。

【図３】本考案の集熱装置を用いたソーラーシステムの
一部を省略した機能説明図である。

【図４】従来の屋根材を集熱体としたソーラーシステム
ハウスの集熱構造を示す概要図である。

【符号の説明】 Ａ 外壁材 １ 集熱装置 ２ 断熱層 ３ 第１通風路 ４ 集熱体 ５ 第２通風路 ６ 複層板硝子 ６ａ 板硝子 ６ｂ 板硝子 ６ｃ 断熱空気層 ６ｄ スペーサー ７ 暖房装置 １１ 屋根材 １２ 通風路 １３ 断熱材 １４ 梁

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】一般建物のソーラーシステムにおいて略南
   面向きの屋外構造物として設置される多層構造の集熱装
   置であって、屋根板等の外壁材の上面に断熱層を配設
   し、該断熱層の上方に第１通風路を介して集熱板又は集
   熱管から成る集熱体を配設させると共に、前記集熱体の
   上方へ第２通風路を介して複層板硝子を配設させたこと
   を特徴とするソーラーシステムにおける集熱装置