JPH0635048B2 - 低圧鋳造法における溶湯供給方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、低圧鋳造法における溶湯供給方法、更に詳
しくは電磁ポンプによって炉内の溶湯を鋳型内に給湯す
る溶湯供給方法に関するものである。

〔従来の技術〕

従来、低圧鋳造法は周知のように、炉内を気密にして同
炉内に空気圧を加え、溶湯面を押圧して鋳型内に溶湯を
給湯するものである。即ち、第２図に示す如く、炉７Ａ
内に溶湯８Ａを収容し、同炉内をパッキング部材１１Ａ
を介して閉蓋１０Ａで密封することにより炉７Ａ内を気
密にし、この炉７Ａ内と上型４Ａおよび下型３Ａの鋳型
によって形成されるキャビティ５Ａとを、上記上閉蓋１
０Ａに気密に取り付けられた給湯管２Ａで連結し、そし
て、空気圧調整装置１Ａにより圧力の調節された空気を
送気パイプ１２Ａによって炉７Ａ内に上記閉蓋１０Ａを
介して送り込むもので、溶湯８Ａはその上面８Ｂを空気
圧によって押圧されるので、給湯管２Ａを通じてキャビ
ティ５Ａ内に供給されることになる。

ところで、このように構成されている従来の溶湯供給手
段においては、炉を気密構造にする必要がある。

〔発明が解決しようとする問題点〕

ところが、炉を密閉構造にすることは非常に高価なもの
となるばかりか、溶湯が減少したときの補給は、鋳造を
一旦停止して行なわなければならないという煩わしさが
ある。更に鋳型に注湯する際には、空気の巻き込みを防
止するために、空気圧調整装置１Ａで空気圧を微細に調
整して給湯の流速をコントロールしなければならないと
いう高度な技術をも必要とした。

この発明は、上記従来の欠点に着目してなされたもので
あって、その目的は、炉の構造を簡単にし、コストおよ
び操作性を改善し、巣のない良質の鋳物を得ることがで
きる低圧鋳造法における溶湯供給方法を提供するにあ
る。

〔問題を解決するための手段および作用〕

この発明は、電磁ポンプによって炉内の溶湯を鋳型内に
供給する低圧鋳造において、電磁ポンプの電磁コイルに
流れる電流を高周波のパルスで変調して印加し、キャビ
テイ内に供給する溶湯を加振させるようにしたことを特
徴とする低圧鋳造法における溶湯供給方法である。ま
た、上記加振する手段として、電磁ポンプの電磁コイル
に流れる多相交流電流の流れの方向を、瞬間的に高周波
的に変換する手段を用いて行うようにしたことを特徴と
する低圧鋳造法における溶湯供給方法である。

〔作用〕

低圧鋳造法における溶湯の供給が電磁ポンプで行われる
ので、保温炉を密閉構造に形成する必要がない。また、
電磁ポンプの励磁コイルに加える電流を高周波パルスで
変調するか、あるいは多相交流電流の流れの方向を瞬間
的，高周波的に変換する手段で、キャビティに供給する
溶湯を容易に加振することができるので、巣のない良質
の鋳物を形成することが可能となる。

〔実施例〕

第１図は、この発明の溶湯供給方法を適用した溶湯供給
装置の一実施例であって、溶湯８を収容した炉７は蓋１
０で閉じられて内部の溶湯８は加熱器９で保温されるよ
うになっている。上記炉７の下部よりには、Ｌ字状に折
り曲げられた給湯管２の下端開口部が液密的に固定され
ており、炉７内に連通した上記給湯管２の上端開口部は
下型３と上型４の鋳型で形成されたキャビティ５内に連
通するように下型３に取り付けられている。

そして、上記給湯管２の適所には電磁ポンプの多相交流
励磁コイル１が巻装されている。

次に、このように構成された溶湯供給装置によって本発
明の方法を説明すると、給湯作用は電磁ポンプの電磁コ
イル１に多相の交流を流すことによって行われる。電磁
コイル１に電流が流されると、電磁ポンプの動作によっ
て炉７内の溶湯８は給湯管２内に汲み上げられてキャビ
ティ５内に注入されて鋳込まれるが、適度に注入した時
点で電磁コイル１の励磁電流を高周波のパルスで変調し
て振動を溶湯に加え、溶湯中に存在するガスの放出を促
す。溶湯はこの高周波振動が与えられることによってガ
スが除去されるので、密度の高い巣の無い良質の鋳物を
鋳込むことができる。

また、この加振は鋳型内に溶湯を充満させた後も、その
振動加圧を続けて溶湯を凝固させることにより、更に良
質の鋳物を製作することができる。

上記加振手段としては、上述した多相の交流電流に高周
波パルスを加えて変調するものの他に、多相交流の電流
の流れの方向を瞬時に正相または逆相に高周波的に変更
する手段で行うか、あるいは多相交流のうち、例えば３
相交流において２相運転をする等、瞬時かつ高周波的に
スイッチング回路で変調する等の適宜な手段を使用する
ことができる。

そして、加振制御の動作タイミングは、プリセットした
時間で制御する周知のタイマー制御法や、温度検出器を
金型に設け、金型温度の上昇を検出して溶湯の到達を検
知する周知の位置制御法で行うことができる。

〔発明の効果〕

以上説明したように、この発明によれば電磁ポンプによ
る溶湯供給方式を採用しているため、炉を気密構造にす
る必要がなく、鋳造中に溶湯の補給ができるので連続鋳
造作業が行える。そして、一番の効果は溶湯を容易に加
振することができるので、これにより巣のない良質の鋳
物を生産することが可能となる。

従って、この発明によれば従来の欠点を除去し、コスト
の低廉化，生産性および操作性が格段に向上した低圧鋳
造法における溶湯供給方法となる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明方法の適用された溶湯供給装置の断面
図、 第２図は、従来の方法の適用された溶湯供給装置の断面
図である。 １‥‥電磁コイル ７，７Ａ‥‥炉 ８，８Ａ‥‥溶湯

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】電磁ポンプによって炉内の溶湯を鋳型内に
   供給する低圧鋳造法における溶湯の供給方法において、 電磁ポンプの電磁コイルに流れる電流を高周波のパルス
   で変調して印加し、キャビテイ内に供給する溶湯を加振
   させるようにしたことを特徴とする低圧鋳造法における
   溶湯供給方法。
2. 【請求項２】上記溶湯を加振する手段として、電磁ポン
   プの電磁コイルに流れる多相交流電流の流れの方向を、
   瞬間的に高周波的に変換する手段を用いて行うようにし
   たことを特徴とする特許請求の範囲第１項記載の低圧鋳
   造法における溶湯供給方法。