JPH06349035A

JPH06349035A - 小型浮上式磁気ヘッド装置とスライダーの保持部材

Info

Publication number: JPH06349035A
Application number: JP16516593A
Authority: JP
Inventors: Norio Uemura; 典夫植村; Akira Taguchi; 彰田口; Masayuki Hosoda; 雅之細田
Original assignee: Hitachi Metals Ltd
Current assignee: Proterial Ltd
Priority date: 1993-06-10
Filing date: 1993-06-10
Publication date: 1994-12-22

Abstract

(57)【要約】【目的】浮上式磁気ヘッドにおいて、保持部材に接着
剤で接着されたスライダーの記録媒体流出側が非対称に
変形することを防止し、一対のエアベアリングの変形を
なくしてスライダーが基準浮上高さを安定に得られるよ
うにした。【構成】保持部材２におけるスライダー３ａの磁気記
録媒体流出側の端部近くに凹溝１２が形成され、保持部
材２の凹溝１２より磁気記録媒体流入側の部分とスライ
ダー３ａの背面とが接着剤により接着されるようにし
た。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、磁気ディスク装置に使
用する小型の浮上式磁気ヘッド装置に係り、特に、低浮
上で安定した浮上特性を有する磁気ヘッド装置と、スラ
イダーの保持部材とに関する。

【０００２】

【従来の技術】浮上式磁気ヘッド装置は、片持ちのロー
ドアームの先端に保持部材（通称ジンバルと云われる）
を介して磁気ヘッドが取付けられる。その磁気ヘッドが
磁気記録媒体の表面に対向され、磁気ヘッドと磁気記録
媒体との相対速度に対応して磁気ヘッドのスライダーが
磁気記録媒体から微小間隔だけ浮上するようになってい
る。コンポジット型磁気ヘッドは図２に示すような形状
であり、磁気記録媒体に対向して配置されるスライダー
が非磁性材料で形成され、そのスライダーに例えば２つ
のエアベアリングが設けられ、一方のエアベアリング面
の先端部に設けたスリットに磁気コアが挿入されて固定
されている。磁気コアは、一対のＭｎ−Ｚｎ単結晶フェ
ライトコア片の間に高い飽和磁束密度を有する金属磁性
薄膜が介在され、磁気コアが前記スリットに固定された
状態で、磁気コアにコイルが巻かれている。なおスライ
ダーは磁気コアにコイルを巻くために、磁気記録媒体流
出側の上下間に切欠きが設けられている。スライダーと
ロードアームとの間に介在されている保持部材は、ピボ
ットを有していて、そのピボットがロードアームに対し
て支点となり、保持部材に接着剤で接着されているスラ
イダーが磁気記録媒体との間に相対運動するときに、ス
ライダーが磁気記録媒体に対して所定の角度に保てるよ
うになっている。なおスライダーの浮上が安定していれ
ば、記録、再生時の電磁変換特性が安定して得ることが
できる。

【０００３】浮上式磁気ヘッドは、スライダーの背面が
ロードアームに取付けてある略長板形の保持部材に接着
され、スライダーが磁気ディスクに対し微小間隔で浮上
するようになっている。保持部材に接着されたスライダ
ーが安定した浮上特性を得るためには、保持部材とスラ
イダーの長手方向の中心線を略一致させ且つスライダー
の姿勢を磁気記録媒体に対して平行に近い状態に維持す
ること、十分な接着強度を確保してスライダーの脱落
や、一部剥れによりスライダーの姿勢にアンバランスが
生じないようにすることが必要である。また接着強度を
高めるために余剰の接着剤を塗布すると、接着部から流
出した接着剤がスライダーの磁気記録媒体流出側に固着
すると、スライダーが保持部材に引き寄せられる応力が
発生し、スライダーを変形して記録再生特性を劣化する
という問題がある。

【０００４】このため、スライダーの一対のエアベアリ
ングのそれぞれの磁気記録媒体流出側の切欠のある部分
の剛性が釣り合うようにして、スライダーが変形しない
ようにした提案がある（実開昭６３−８７６０６号）。
この場合、スライダーの記録媒体流出側の切欠部で、磁
気コアを設けていない方の端部に補強部材を入れて、ス
ライダーの左右の剛性をほぼ同一にして変形を生じさせ
ないようにしている。またモノリシック型の磁気ヘッド
では、ロードアームに取付けた保持部材にスライダーを
接着剤で固定する場合に、接着剤が巻き線されたコア側
に付着すると、コアが保持部材側に引っ張られ、センタ
ーレールの磁気ギャップ近傍にダレや、凹状の変形を起
こして電磁変換特性が劣化する。このためスライダーの
接着面に溝を設け、接着剤が巻き線のコイルに付着しな
いようにしてスライダーの変形を防止した提案がされて
いる（特開平４−６６１４号公報）。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】最近では、磁気ディス
ク装置の高密度記録化、高周波化と小型化に対し、浮上
式磁気ヘッドも小型化と浮上高さの低浮上化及び安定し
た浮上特性が必要とされている。コンポジット型の浮上
式磁気ヘッドは、34MIL サイズのスライダーでは長さＬ
は、4.3mm 、幅Ｗは3.2mm 、高さＨは0.86mm前後であっ
たものが、24MILサイズでは全体のサイズが70％と小さ
くなり、50％スライダーと呼称される19MIL サイズで
は、長さは2.1mm 、幅は1.6mm 、高さは0.46mmと小型化
が顕著になってきている。また、浮上式磁気ヘッドの浮
上高さも、従来の0.1 〜0.15μｍに対して、0.1μｍ前
後、望ましくは0.05〜0.1 μｍ程度が必要となり、それ
に従って基準浮上高さに対する高い精度、スライダーの
左右の浮上高さの差がより少ないことが要求される。

【０００６】コンポジット型の磁気ヘッドでは、通常、
スライダーの一対のエアベアリングのうち一方の磁気記
録媒体流出側にのみ磁気コアが挿入して固定され、他方
のエアベアリングの記録媒体流出側は切欠きのままにな
っているために一対のエアベアリングの記録媒体流出側
は剛性が釣りあっていない状態にある。一方、スライダ
ーは小型化により全体の剛性が低下しており、保持部材
とスライダーとの接着に使用した接着剤のうち余剰な接
着剤がスライダーの磁気記録媒体流出側に流出して固着
し、それによりスライダーに応力が作用して変形量が増
大する。このため、一対のエアベアリングの変形量の違
いが大きくなり、基準浮上高さとの違いが大きくなり、
一対のエアベアリングの浮上高さ（スライダー左右の浮
上高さ）の違いも大きくなるという問題が生じる。

【０００７】これら問題を解決するため従来技術のよう
に、スライダーの磁気記録媒体流出側の切欠部に補強部
材を設けるのは、製造工程が増すなど生産性に問題があ
り、またスライダーの接着面に溝を設けただけでは、余
剰接着剤によるスライダーの変形を十分に防止できない
とともに、生産性が良くないものであった。そこで本発
明は、保持部材に接着剤で接着されたスライダーの記録
媒体流出側が非対称に変形することを防止し、一対のエ
アベアリングの変形をなくしてスライダーが基準浮上高
さを安定に得られるようにすることを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明は、ロードアーム
の先端に保持部材が取付けられ、エアベアリング面の磁
気記録媒体流出側のスリット内に磁気コアが固着された
スライダーの背面を前記保持部材に接着剤で固定した浮
上式磁気ヘッド装置において、上記目的を達成した。そ
のため、保持部材におけるスライダーの磁気記録媒体流
出側の端部近くに凹溝が形成され、保持部材の凹溝より
磁気記録媒体流入側の部分とスライダー背面とが接着剤
により接着されていることを特徴とする。スライダー背
面における接着剤で固定されていない部分の長手方向長
さは、スライダーの長手方向の全長のスライダー流出端
より１／１０〜１／３である。このように接着剤で接着
しない部分の長さを制限したのは、１／１０より小さい
と接着によりスライダーに変形が生じ易くなるからであ
り、１／３より大きいとスライダーの固定が不安定にな
るからである。

【０００９】また本発明の保持部材は、長板状に形成さ
れてスライダーとロードアーム先端との間に配置され、
保持部材は、概略コ字形の切溝が形成されており、磁気
記録媒体流出側が連結された片持ち板となっている。そ
の片持ち板のスライダーへの接着面の磁気記録媒体流出
側の端部近くに凹溝が片持ち板の幅のほぼ全長にわたっ
て設けられ、片持ち板に接着されるスライダーの先端と
凹溝との間の長さが、スライダーの全長のスライダー流
出端より１／１０〜１／３となるように構成した。スラ
イダーの流出端と凹溝との間の長さを制限したのは、前
記と同様スライダーの変形と固定とを考慮したからであ
る。片持ち板に設けられている凹溝は、前後に２つ以上
ほぼ平行に設けてもよい。

【００１０】

【作用】本発明の磁気ヘッド装置では、保持部材の磁気
記録媒体の流出側に凹溝が形成されているので、保持部
材にスライダー背面を接着剤で接着する場合に、余剰の
接着剤が凹溝で止められ、接着剤が凹溝よりも磁気記録
媒体の流出側に流れることはない。よって、スライダー
の磁気記録媒体の流出側に接着剤が付着することがな
く、スライダーの変形を防止し、スライダーは基準高さ
に浮上し、記録、再生特性が安定したものとなる。また
スライダーの全長の少なくとも２／３が接着剤で保持部
材に接着されることになり、スライダーの固定は安定し
たものとなる。

【００１１】

【実施例】小型浮上式磁気ヘッド装置は図１に示すよう
に、基部が固定されたロードアーム１の先端に保持部材
２が取付けられ、その保持部材２に磁気ヘッド３が接着
剤により接着されて固定されている。そして磁気ヘッド
が磁気記録媒体に対して微小間隔で浮上することによ
り、記録再生ができるようになっている。なお磁気ヘッ
ドは小型であってその大きさは、長さ4.4 〜1.8 ｍｍ、
幅3.2 〜1.0 ｍｍ、高さ0.9 〜0.3 ｍｍとなるように形
成される。磁気ヘッド３は図２に示すように、CaTiO₃で
構成したスライダー３ａの２つのエアベアリング４のう
ちの一方の磁気記録媒体流出側に形成したスリット５
に、磁気コア６が挿入されてガラス材７により固定され
ている。なおスライダー３ａは、磁気コア６にコイルを
巻くために磁気記録媒体流出側の上下間に切欠き８が設
けられている。

【００１２】磁気コア６を構成する一対の磁性体コア６
ａ、６ｂは、モル％でMnO 28％、ZnO 19％、残部実質的
にFe₂O₃ からなるMnO-ZnO 単結晶フェライトで作成さ
れ、重量％でAl 6％、Si 8％、残部実質的にFeであるセ
ンダストと通称されるFe-Al-Si系金属性磁性薄膜９をス
パッタ法により双方又は一方のコアに成膜し、従来と同
様の方法により一対のコアをガラスで接着して形成し
た。

【００１３】保持部材２は、長板形であってその基端が
ロードアーム１に固定され、図３に示すように先端部に
概略コ字状の切溝１０が設けられることにより、先端側
が連結された片持ち板１１が形成されている。片持ち板
１１の先端側（磁気記録媒体流出側）に、凹溝１２が設
けられ、その凹溝１２は片持ち板１１の幅の全長にわた
って設けられる。なお凹溝１２はハーフエッチングによ
り形成されるので、凹溝１２の両端は片持ち板１１の両
側縁の内側位置となっている。また本実施例では片持ち
板１１の凹溝１２より磁気記録媒体流入側を、図４に示
すようにハーフエッチングにより凹部１３に形成して、
その部分に接着剤を塗布して磁気ヘッドのスライダー３
ａの背面を接着させるようになっている。

【００１４】本実施例の保持部材２の厚さは３８μｍで
あり、凹溝１２の幅は３２μｍとし、深さはノミナル値
がそれぞれ０．１ｍｍ、１９μｍのものを使用した。ま
た片持ち板１１に設けた凹溝１２の位置は、その片持ち
板１１に磁気ヘッドのスライダー３ａの背面を接着した
状態で、凹溝１２の後端とスライダー３ａの磁気記録媒
体流出側端部との間の長さが、スライダー３ａの磁気記
録媒体の相対移動方向の全長の１／１０〜１／３となる
ようにした。このように凹溝１２の位置を規制したの
は、固着した接着剤がスライダー３ａに変形を与えない
ようにするとともに、スライダー３ａの固定を安定にす
るためである。なお凹溝１２とスライダー３ａの磁気記
録媒体流出側端部との間の長さｌと、スライダー３ａの
磁気記録媒体の相対移動方向の全長Ｌとの割合ｌ／Ｌ
を、１／２０〜３／８と変えたものと、従来タイプのジ
ンバルで磁気ヘッド装置を作成し、浮上特性を測定し
た。２つのエアベアリング面の変形量の分布例について
図６に本発明によるジンバルを使用した場合、図７に従
来タイプのジンバルを使用した場合を示す。図８には上
記ｌ／Ｌ比を１／２０〜３／８間で種々の比率にした時
の２つのエアベアリング面の変形量の差を示す。ｌ／Ｌ
比が１／１０〜３／８となるようにハーフエッチングを
施したものでは浮上量が安定しているが、従来タイプの
もの、及びｌ／Ｌ比が１／１２以下のものでは浮上量の
アンバランスが生じている。但し、ｌ／Ｌ比が３／８以
上のものではスライダーの固定が不安定であった。

【００１５】上記の凹溝１２の形状は図３と図５（ａ）
〜（ｃ）に示すように、直線状、弧状、く字形、２本線
など種々の形状を適用でき、それらが片持ち板１１に塗
布した接着剤が磁気記録媒体流出側に流出しないように
溝で堰止められるものであれば良い。なお、図３、図５
（ａ）〜（ｃ）は、図１（ａ）に示すようにいずれも保
持部材２にピボットがある場合を示しているが、図１
（ｂ）のように、ピボット３ｃがロードアーム１’側に
ある場合でも、凹溝の効果は同様である。

【００１６】

【発明の効果】本発明によれば、保持部材に凹溝を設け
ているために、スライダーを接着させる接着剤が磁気記
録媒体流出側に流出するのを防止でき、固着した接着剤
がスライダーの磁気記録媒体流出側の切欠部付近に応力
を作用させて変形させるようなことがなく、記録、再生
特性を良好な状態に保つことができる。またスライダー
と保持部材とはスライダーの１／３以上の長さ部分を接
着剤で保持部材に接着させているので、スライダーの固
定状態は安定したものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の小型浮上式磁気ヘッド装置であって、
ピボットが保持部材側にあるもの（ａ）と、ロードアー
ム側にあるもの（ｂ）とのそれぞれの側面図である。

【図２】磁気ヘッドの斜視図である。

【図３】保持部材の平面図である。

【図４】保持部材にスライダーを接着した状態の断面図
である。

【図５】保持部材に凹溝を形成した種々の実施例の説明
図である。

【図６】本発明のスライダーの浮上量を示す特性図であ
る。

【図７】ハーフエッチングを施さない従来のスライダー
の浮上量を示す特性図である。

【図８】スライダーの２つのエアベアリング面の変形量
の差をｌ／Ｌ比に対応して示す特性図である。

【符号の説明】

２保持部材３磁気ヘッド３ａスライダー１１片持ち板１２凹溝

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】ロードアームの先端に保持部材が取付け
られ、エアベアリング面の磁気記録媒体流出側のスリッ
ト内に磁気コアが固着されたスライダーの背面を前記保
持部材に接着剤で固定した浮上式磁気ヘッド装置におい
て、保持部材におけるスライダーの磁気記録媒体流出側
端部近くに凹溝が形成され、保持部材の凹溝より磁気記
録媒体流入側の部分とスライダー背面とが接着剤により
接着されていることを特徴とする小型浮上式磁気ヘッド
装置。
【請求項２】スライダー背面における接着剤で固定さ
れていない部分の磁気記録媒体の移動方向の長さは、ス
ライダーの全長の１／１０〜１／３であることを特徴と
する請求項１に記載の小型浮上式磁気ヘッド装置。
【請求項３】浮上式磁気ヘッド装置のスライダーをロ
ードアームの先端に安定に保持させるため、スライダー
とロードアーム先端との間に介在させる略長板状の保持
部材であって、保持部材は、コ字形の切溝が形成される
ことにより磁気記録媒体流出側が連結された片持ち板が
形成され、その片持ち板のスライダーへの接着面におけ
る磁気記録媒体流出側端部近くに凹溝が片持ち板の幅の
ほぼ全長にわたって設けられ、片持ち板に接着されるス
ライダーの先端と凹溝との間の長さが、スライダーの全
長の１／１０〜１／３となるように構成したことを特徴
とするスライダーの保持部材。
【請求項４】片持ち板に設けられている凹溝は、前後
に２つ以上設けられていることを特徴とする請求項３に
記載のスライダーの保持部材。