JPH06347622A - 再帰反射シート - Google Patents

再帰反射シート

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JPH06347622A
JPH06347622A JP16504093A JP16504093A JPH06347622A JP H06347622 A JPH06347622 A JP H06347622A JP 16504093 A JP16504093 A JP 16504093A JP 16504093 A JP16504093 A JP 16504093A JP H06347622 A JPH06347622 A JP H06347622A
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修 田中
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Abstract

(57)【要約】 【目的】色相にくすみが生じることなく、また、煩雑な
カプセリング工程が不要で、カプセル破壊の心配も全く
ない再帰反射シートの提供。 【構成】再帰反射性要素を含む光透過性層と、その背面
に積層形成された高屈折率光透過層と、さらにその背面
に積層された低屈折率層とからなる再帰反射シート。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、道路標識、工事標識、
自動車、オートバイ等の車輌のナンバープレート、衣
服、救命具等の安全用資材、看板等のマーキング等にお
いて有用な再帰反射シートに関する。
【0002】
【従来の技術】従来より光を光源に向けて再帰反射させ
る再帰反射シートはよく知られており、その再帰反射性
を利用して、該シートは、道路標識、工事標識、車輌の
ナンバープレート、安全用資材、看板などのディスプレ
イマーキング等の分野で広く利用されている。
【0003】再帰反射シートはその再帰反射性を得るた
めの原理の相異により概ね3種に大別される。
【0004】1つは、例えば、特公昭48-28837号公報、
特公昭61-13561号公報第3図等に記載されるような、ガ
ラスビーズのごとき透明微小球をレンズとして用い、そ
のレンズのちょうど焦点位置付近にアルミニウムで代表
されるような金属蒸着膜のごとき金属光反射層を配置し
た一般レンズ型と呼ばれる再帰反射シートである。
【0005】また1つは、特公昭61-13561号公報第6図
に記載されるような、幾何学的に再帰反射条件を満たす
一般にキューブコーナーと呼ばれる透明成型物を利用
し、その成型物の背面にカプセル状に空気のごとき低屈
折率気体をとじ込め、高屈折率の樹脂状物と低屈折率気
体の屈折率の差を利用して両者の界面にて光を全反射さ
せる一般にカプセルキューブコーナー型と呼ばれる再帰
反射シートである。
【0006】さらにもう1つは上記同様キューブコーナ
ー透明成型物を利用し、その成型物の背面にアルミニウ
ムで代表されるような金属蒸着膜のごとき金属光反射層
を積層配置した一般にメタライズドキューブコーナー型
と呼ばれる再帰反射シートである。
【0007】いずれにしろ、これら再帰反射シートは、
その光の反射においける再帰性(光が光源に向けてもど
る性質)を得るための透明球状レンズ、あるいはキュー
ブコーナー型透明成型物等の再帰反射性要素と、光を反
射させるための金属蒸着膜のごとき金属層、あるいは低
屈折率気体/高屈折率樹脂界面のごとき光全反射界面等
の光反射層よりなっている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
従来の再帰反射シートにおいては、種々問題点がある。
【0009】まず、金属蒸着膜のごとき金属光反射層を
用いた再帰反射シートにおいては、光の反射効率が悪
く、また、金属特有の金属色のため再帰反射シートの色
相にくすみを生じ、白度の高い再帰反射シートが得られ
ないという問題点である。
【0010】また、低屈折率気体/高屈折率樹脂界面の
ごとき光全反射界面光反射層を用いた再帰反射シートに
おいては、光の反射効率もよく金属色に基づくような色
相のくすみも発生しないが、低屈折率気体を高屈折率樹
脂界面に封じ込めるための煩雑なカプセリング工程を必
要とし、その生産性が悪いという問題点がある。
【0011】加えて、シートのカッティング、あるいは
外的要因でのシートのクラック等により低屈折率気体を
封じ込めたカプセルが破壊された場合は、カプセル中へ
の水等の侵入により光全反射条件が損なわれ、光の反射
性能が低下してしまうという問題もある。
【0012】本発明の目的は、これら従来型再帰反射シ
ートの問題点に鑑み、色相にくすみが生じることなく、
また、煩雑なカプセリング工程が不要で、カプセル破壊
の心配も全くない、優れた再帰反射シートを提供するこ
とにある。
【0013】本発明者等は、種々構成の光反射層につい
て検討した結果、高屈折率光透過層と低屈折率層を用い
ることにより、両者の界面で光が効率よく全反射するこ
とを見い出し、上記課題を解決し得ることを知見した。
【0014】
【課題を解決するための手段】かくして本発明によれ
ば、再帰反射性要素を含む光透過性層と、その背面に積
層形成された高屈折率光透過層と、さらにその背面に積
層された低屈折率層とからなる再帰反射シートが提供さ
れる。
【0015】本発明の再帰反射シートの最大の特徴は、
再帰反射性要素を通過してきた光を、高屈折率光透過層
と低屈折率層界面で全反射させることにあり、即ち、カ
プセリングが必要となる空気等のごとき低屈折率気体を
用いずに全反射を達成したことにある。
【0016】本発明において、高屈折率光透過層/低屈
折率層界面の上部に位置する再帰反射性要素を含む光透
過性層及び高屈折率光透過層は共に光透過性でなくては
ならない。
【0017】再帰反射性要素を含む光透過性層は、再帰
反射性をシートに付与できる機能を有し、光非透過性の
金属蒸着膜を含まないものであればよく、微小球状レン
ズ再帰反射性要素を用いたもの、キューブコーナー型再
帰反射性要素を用いたもの等を任意に使用すればよい
が、再帰反射性能が高く、また、全反射条件を形成しや
すいキューブコーナー型再帰反射性要素を用いることが
最も好ましい。
【0018】再帰反射性要素を含む光透過性層は、より
高い再帰反射性能を得るためにはより高い光透過性が必
要であり、通常、全光透過率30%以上、好ましくは50%
以上、より好ましくは60%以上に調整するのがよい。
【0019】これら再帰反射性要素を含む光透過性層を
形成するには、例えば、特公昭48-28837号公報、特公昭
61-13561号公報等に記載される通常公知の方法を用いれ
ばよく、微小球状レンズ再帰反射性要素を形成するに
は、例えば微小球状レンズとして粒子径30〜100μm、屈
折率1.7〜2.8程度の透明ガラスビーズを用い、透明合成
樹脂により該ガラスビーズを固定する等の手段が好適に
採用でき、またキューブコーナー型再帰反射性要素を形
成するには、例えば透明合成樹脂シートに、凹型キュー
ブコーナー型要素を持つエンボスロールでエンボス加工
することにより、シートの片面の全面に亘って多数の凸
型キューブコーナー型再帰反射性要素を形成する等の手
段が好適に採用できる。
【0020】上記再帰反射性要素を含む光透過性層に
は、通常、透明合成樹脂が用いられる。このような透明
合成樹脂としては、特に限定されるものではなく、例え
ばアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、フッ素系樹脂、ポ
リエステル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリカーボネー
ト系樹脂、ポリアリレート系樹脂、シリコン系樹脂、ポ
リオレフィン系樹脂、アイオノマー樹脂等が単独で、も
しくは、混合されて用いられ中でも透明性、耐候性等に
優れるアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、フッ素系樹
脂、ポリカーボネート系樹脂等が好ましく用いられる。
【0021】再帰反射性要素を含む光透過性層は、光透
過性を著しく損なわない範囲で、顔料、染料等の着色剤
にて着色してもよく、また紫外線吸収剤、光安定剤、熱
安定剤等の各種添加剤を含んでもよい。
【0022】本発明において再帰反射性要素を含む光透
過性層の背面には高屈折率光透過層が積層される。
【0023】高屈折率光透過層の光透過性についても、
より高い再帰反射性能を得るためには、より高い光透過
性が必要で、通常、全光線透過率50%以上、好ましくは
60%以上、より好ましくは80%以上に調整される。
【0024】高屈折率光透過層に用いる構成物の屈折率
n1については、通常、屈折率1.8以上、好ましくは2.0以
上、より好ましくは2.2以上に設定すればよい。
【0025】また高屈折率光透過層の屈折率n1と、該高
屈折率光透過層の背面に積層された低屈折率層の屈折率
n2との比n1/n2は、1.42以上となるように、それぞれ高
屈折率光透過層の構成物及び低屈折率層の構成物が選定
されるのが好ましい。該比n1/n2が1.42以上であれば、
高屈折率光透過層、低屈折率層界面における全反射性が
得やすいので好ましい。該比n1/n2は、1.50以上であ
るのがより好ましく、1.60以上であるのがさらに好まし
い。
【0026】高屈折率光透過層に用いられる構成物とし
ては、上記光透過性及び屈折率条件を満足するものなら
なんでもよいが、通常硫化亜鉛、二酸化チタン、酸化鉛
等の無機物が好ましく用いられる。
【0027】高屈折率光透過層を形成するには、特に限
定されるものではないが真空蒸着法、スパッタリング
法、イオンプレーティング法等を用いて簡単に形成する
ことができる。
【0028】高屈折率光透過層の厚みは通常0.005〜1.0
μm、好ましくは0.05〜0.5μm、さらに好ましくは0.08
〜0.3μmとされる。
【0029】高屈折率光透過層の背面に積層される低屈
折率層は、前述の屈折率条件を満足するような構成物を
用いた層であれば無機物、有機物等なんでもよいが、通
常屈折率1.7以下、好ましくは1.6以下、より好ましくは
1.5以下の屈折率を有する樹脂を用いて形成され、例え
ばアクリル系樹脂、シリコン系樹脂、ウレタン系樹脂、
ゴム系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂等が
単独であるいは混合されて用いられる。
【0030】低屈折率層には各種添加剤を含有させるこ
とができ、例えば着色剤、充填剤、紫外線吸収剤、蛍光
増白剤等が添加可能である。
【0031】本発明においては、低屈折率層の上部に
は、光非透過性層が存在しないので、再帰反射性要素を
含む光透過性層及び高屈折率光透過層を無色透明とし、
低屈折率層を白色とすることにより、白度の高い美麗な
反射シートを簡単に製造することができる。
【0032】また、再帰反射性要素を含む光透過性層及
び/又は高屈折率光透過層に有彩色の着色を施し、低屈
折率層を白色とすることにより、或いは再帰反射性要素
を含む光透過性層及び/又は高屈折率光透過層を無色透
明ないしは有彩色とし低屈折率層を有彩色に着色するこ
と等により、彩度の高い美麗な再帰反射シートを簡単に
製造することができる。
【0033】本発明においては、低屈折率層を接着剤層
として形成することもできる。通常、再帰反射シートは
感圧接着剤層、感熱接着剤層等を用いて被着体に貼り付
けて使用されることが多く、低屈折率層を接着剤層とし
て用いることにより、付加的に接着剤層を設ける煩雑さ
を避けることができ、効率的である。
【0034】低屈折率層を接着剤層とする場合において
は、高屈折率光透過層の上に塗布乾燥して形成してもよ
いが、再帰反射性要素を含む光透過性層、高屈折率光透
過層の形状にできるだけ影響を与えないよう、予め剥離
紙等の基材上に塗布乾燥した低屈折率層を高屈折率光透
過層上に積層、貼り合わせる方法を用いることが好まし
い。
【0035】
【実施例】以下、本発明の再帰反射シートを実施例に基
づいて具体的に説明する。なお、試験方法は全て以下に
従って実施した。
【0036】(1) 色相及び白度 JIS Z-9117に規定される色の測定法に従って色相を測定
し(光源としてC光源を用いた)、得られた値をL*
*、b*表色系にて現わした。またL*値をもって白度
とした。
【0037】(2) 反射性能 JIS Z-9117に規定される反射性能の測定に従って再帰反
射シートの反射性能を測定した。なお、角度条件は観測
角0.2゜、入射角5゜にて実施した。
【0038】(3) 全光線透過率 試験機として「カラーアナライザー TC-1800MK2」〔商
品名;東京電色(株)製〕により試料の全光線透過率を測
定した。
【0039】なお、光を透過させる方向により全光線透
過率が大きく変化する場合は、2方向の測定値の平均値
をもって、全光線透過率とした。
【0040】また、高屈折率光透過層の全光線透過率に
ついては、再帰反射性要素を含む光透過性層と該高屈折
率光透過層との積層品の全光線透過率を求め、得られた
値を再帰反射性要素を含む光透過性層の全光線透過率で
除し求めた。
【0041】(4) 水浸漬後の外観 再帰反射シートを10cm角にカットし、水中に浸漬した。
その後、シートを水中から取り出し、暗室で懐中電灯を
用い再帰反射条件下で外観を観察し以下評点に従って評
価した。
【0042】1・・・・全体が均一に光り、光らない部分が
ない。 2・・・・エッジ部分にわずかに光らない部分がある。 3・・・・光らない部分が多数ある。
【0043】実施例1 ポリメチルメタクリレートを主成分とする透明アクリル
フイルムを加熱エンボス加工して、一方の表面の全面に
一辺約200μm、高さ約90μmのキューブコーナー型突起
を有する厚み約200μmの再帰反射要素を含む光透過性層
を得た。本光透過性層の全光線透過率は77.5%であっ
た。
【0044】次に、この光透過性層のキューブコーナー
型突起を有する面に、酸化チタン屈折率約2.6を真空蒸
着法にて、厚み約0.1μmで積層形成し、高屈折率光透過
層とした。高屈折率光透過層の全光線透過率は86.3%で
あった。
【0045】さらに、この高屈折率光透過層を別途、予
め剥離紙〔リンテック(株)製 EA2P-SLPE〕上に形成した
厚み40μm、色相L* 87.3、a* -1.9、b* -1.6の白色
粘着剤層(本発明の低屈折率樹脂層に当たる)〔日本カ
ーバイド工業(株)製アクリル系粘着剤「ニッセツ KP-17
39」100重量部、日本カーバイド工業(株)製架橋剤「ニ
ッセツ CK-101」3重量部、及び、特殊色料工業(株)製
着色剤「マルコ480」16重量部により調整〕と貼り合わ
せ、本発明の再帰反射シートを得た。粘着剤層用樹脂の
屈折率は1.5であった。
【0046】得られた再帰反射シートは表1に示すごと
く、白度に優れ、かつ反射性能に優れる本発明の目的を
十分に達成するものであった。
【0047】比較例1 酸化チタンのかわりに金属アルミニウムを真空蒸着法に
て、厚み約0.15μm積層形成した以外は全て実施例1と
同様にして再帰反射シート得た。得られた再帰反射シー
トは表1に示すごとく、金属色のくすみのある白度に劣
る本発明の目的を達しないものであった。
【0048】比較例2 カプセルキューブコーナー型再帰反射シートとして3M
社製ダイヤモンドグレートを用い性能を比較した。シー
トは表1に示すごとく、水浸漬後の外観に劣る本発明の
目的を達しないものであった。
【0049】
【表1】
【0050】
【発明の効果】本発明によれば、再帰反射性要素を含む
光透過性層と、その背面に積層形成された高屈折率光透
過層と、さらにその背面に積層された低屈折率層によ
り、白度あるいは彩度の高い反射シートが、また、水等
の侵入による反射性能低下の心配がない優れた反射シー
トが非常に簡単な工程で生産効率よく製造できる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 再帰反射性要素を含む光透過性層と、そ
    の背面に積層形成された高屈折率光透過層と、さらにそ
    の背面に積層された低屈折率層とからなる再帰反射シー
    ト。
  2. 【請求項2】 再帰反射性要素がキューブコーナー型再
    帰反射性要素である請求項1記載の再帰反射シート。
  3. 【請求項3】 高屈折率光透過層の屈折率n1と低屈折率
    層の屈折率n2においてn1/n2が1.42以上である請求項1
    または2項記載の再帰反射シート。
  4. 【請求項4】 低屈折率層が接着剤樹脂層である請求項
    1〜3の何れかに記載の再帰反射シート。
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