JPH06346873A - 流体圧縮機 - Google Patents

流体圧縮機

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JPH06346873A
JPH06346873A JP13727193A JP13727193A JPH06346873A JP H06346873 A JPH06346873 A JP H06346873A JP 13727193 A JP13727193 A JP 13727193A JP 13727193 A JP13727193 A JP 13727193A JP H06346873 A JPH06346873 A JP H06346873A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 シール性に優れ、高い成績係数を確保する。 【構成】 シリンダ17と回転体21との間を作動室3
5に区画する螺旋状のブレード33とを有し、前記回転
体21の旋回時に、吸込端側から流入した冷媒を吐出端
側の作動室35へ順次移送させる流体圧縮機において、
前記ブレード33は、螺旋状の溝31の溝巾方向Pt
と、溝深さ方向Phの断面寸法比率に対して、寸法比率
の小さい側は大きい線膨張係数を有し、寸法比率の大き
い側は小さい線膨張係数を有し、かつ、ブレード断面の
寸法比率を線膨張係数の比率の積が少なくとも1±0.
2範囲としてある。また、ブレード33断面の螺旋状の
溝31の溝巾方向Ptと、溝深さ方向Phの寸法は、寸
法の小さい側の線膨張係数が20×10-5/℃(30〜
150℃範囲の値)以下の四フッ化エチレン樹脂又は四
フッ化エチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテル
共重合樹脂の複合材料で構成したことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、例えば冷凍サイクル
の冷媒ガスを圧縮するのに適する螺旋方式の流体圧縮機
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より一般的な圧縮機として、レシプ
ロ方式、ロータリ方式等のものが知られており、その外
に、シリンダの吸込端側から作動室に流入した冷媒をシ
リンダの吐出端側の作動室へ順次移送させながら圧縮し
ていき外部へ吐出する螺旋方式の流体圧縮機が提供され
ている。
【0003】螺旋方式の圧縮機の概要は、例えば、図2
7に示す如くステータ101及びロータ103から成る
駆動手段によって回転するシリンダ105と、シリンダ
105内にeだけ偏心して配置されオルダム機構107
を介してシリンダ105に対し相対的に旋回可能な回転
体109とを備えている。回転体109の外周面には略
全長に亘って螺旋状の溝111が形成され、この溝11
1に螺旋状のブレード113が出没自在に嵌合してい
る。ブレード113の外周面はシリンダ105の内周面
と密着し合い、ブレード113は回転体109と一体的
に旋回する。シリンダ105に対する回転体109はオ
ルダム機構107によって偏心して旋回するため回転体
109の外周面と、これに対向するシリンダ内周面との
間には、相対速度が生じ、この相対速度は一回転を一周
期として変化する。そのために、前記した如くブレード
113が螺旋状の溝111に対して出没することで回転
体109とシリンダ105との間の空間に複数の作動室
115が軸方向に沿って形成されるようになる。作動室
115の容積は、図28に示す如くブレード113が嵌
合される螺旋状の溝111のピッチPによって決定さ
れ、溝111のピッチPは回転体109の一端から他端
に向かって徐々に小さくなっている。したがって、前記
ブレード113によって形成される作動室115の容積
は、吸込パイプ117側となる回転体109の吸込端側
から吐出パイプ119側となる吐出端側に向かって徐々
に小さくなるため、冷媒は吐出端側へ向けて順次移送さ
れる間に圧縮されて外に吐出される構造となっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記した如く螺旋状の
ブレード113によって冷媒を圧縮する作動室115が
作られる所から、ブレード113には、冷媒にさらされ
ても性質が劣化しない等といった冷媒圧縮に必要な種々
の性能が求められる。例えば、溝113に容易に嵌め込
めるよう弾性変形可能な剛性の低い性能が要求される。
そのために、ブレード113には、摩擦係数が小さく、
耐冷媒性、耐熱性、曲げ弾性率が低い等の性質をもつ合
成樹脂が最適であり、具体的には、四フッ化エチレン樹
脂(以下、PTFEと称す)や四フッ化エチレンとパー
フルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂(以下、P
FAと称す)が考えられている。また、ブレード113
の摺動特性や差圧による変形を改善する目的でガラス繊
維や炭素繊維などを充填した複合材料を使用することも
考えられているが、これら材料は、いずれも、熱膨張に
より寸法変化が大きい欠点を持つ。
【0005】一方、流体圧縮機の成績係数(冷凍能力/
負荷電力)は、ブレード113と螺旋状の溝111のク
リアランスが大きく影響する。
【0006】クリアランスは、図29の溝111の幅方
向Ptと深さ方向Phに対し、図30に示す幅方向Bt
と深さ方向Bhのブレード113を溝111に挿入した
際に隙間が形成され、この隙間がクリアランスとなって
いる。また、クリアランスの溝幅方向をCt、溝深さ方
向をChとすると、CtとChともに冷媒ガスをシール
する必要があり成績係数に影響を与える。よって、理想
的には潤滑油の油膜によって冷媒ガスをシールできる範
囲のクリアランスが、ブレード113断面のいずれの方
向にも均一に構成することが望ましいことがわかる。
【0007】しかし、実際の問題として流体圧縮機の使
用温度範囲(温度上昇)は、流体圧縮機の構成(圧縮比
や冷凍能力、稼働回転速度、冷媒ガスの種類など)によ
って変化する。また、当然のことではあるが停止時と稼
働時、季節による周辺温度によっても異なる。このため
ブレード113の熱膨張による寸法変化量が異なる問題
がある。
【0008】また、ブレード113の断面寸法を図3
1,32に示すように、溝巾方向より溝深さ方向が大き
く形成され、しかも、単一の線膨張係数のブレード11
3を構成した場合、熱膨張によるブレード113の寸法
変化量Dt,Dhに差が生じ、クリアランスCt,Ch
が異なる問題が起きる。
【0009】さらに、流体圧縮機を構成する寸法によっ
て、適切なクリアランスの範囲からずれを生じる場合も
ある。例えば、十分な大きさを有するブレード113と
小さいブレード113では熱膨張による寸法変化量(D
t,Dh)が異なる。このためクリアランス大の場合
は、シール性の低下や差圧によるブレード113の倒れ
が生じる恐れがあり、またクリアランス小では、ブレー
ド113が溝111を出入りする際の抵抗が増加するこ
とで流体圧縮機の負荷電力の上昇となって成績係数の低
下を招く。さらに、線膨張係数の大きい材料でブレード
113を構成した場合、適切なクリアランスを確保する
ためには小さい寸法のブレードとなり、所定の冷凍能力
が得られない問題もある。
【0010】つまり、熱膨張によるブレード113の寸
法変化上、流体圧縮機を構成する寸法比によって適切な
クリアランスの範囲を逸脱する問題があった。
【0011】そこで、この発明は、熱膨張による影響を
受けることなくシール性に優れ、成績係数の高い流体圧
縮機を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、この発明は、駆動手段により回転動力が与えられる
シリンダと、前記シリンダの軸方向に沿って偏心して配
置され、その一部が前記シリンダの内周面に接触した状
態で前記シリンダと相対的に旋回可能な円柱状の回転体
と、前記シリンダの回転に対して回転体を相対的に旋回
運動させるオルダム機構と、回転体の外周に設けられ前
記シリンダの吸込端側から吐出端側へ徐々に小さくなる
ピッチで形成された螺旋状の溝と、この溝に出没自在に
嵌挿されると共に前記シリンダの内周面に密着する外周
面を有し前記シリンダと回転体との間を複数の作動室に
区画する螺旋状のブレードとを有し、前記回転体の旋回
時に、吸込端側から流入した冷媒を吐出端側の作動室へ
順次移送させる流体圧縮機において、前記ブレードは、
螺旋状の溝の溝巾方向と、溝深さ方向の断面寸法比率に
対して、寸法比率の小さい側は大きい線膨張係数を有
し、寸法比率の大きい側は小さい線膨張係数を有し、か
つ、ブレード断面の寸法比率を線膨張係数の比率の積が
少なくとも1±0.2範囲とする。
【0013】また、ブレード断面の螺旋状の溝の溝巾方
向と溝深さ方向の寸法は、寸法の小さい側の線膨張係数
が20×10-5/℃(30〜150℃範囲の値)以下の
四フッ化エチレン樹脂又は四フッ化エチレンとパーフル
オロアルキルビニルエーテル共重合樹脂の複合材料で構
成する。
【0014】
【作用】かかる流体圧縮機によれば、ブレードは螺旋状
の溝の溝幅方向と溝深さ方向の断面寸法比率に対して、
寸法比率の小さい側は大きい線膨張係数を有し、寸法比
率の大きい側は小さい線膨張係数を有し、かつ、ブレー
ド断面の寸法比率と線膨張係数の比率の積が1±0.2
の範囲としたことで、ブレードの螺旋状の溝の溝幅方向
と溝深さ方向の寸法構成に関係なく熱膨張による寸法変
化量が均一となり、ほぼ一定のクリアランスが得られ
る。また、ブレード断面の溝幅方向と溝深さ方向の寸法
において、寸法の小さい方向の線膨張係数が20×10
-5/℃(30〜150℃範囲の値)以下の四フッ化エチ
レン樹脂または四フッ化エチレンとパーフルオロアルキ
ルビニルエーテル共重合樹脂の複合材料で構成すること
で、ブレードの種々の特性を損なわずに最適なクリアラ
ンスを得ることができるようになり、長期間に亘り安定
したシール性能が確保されるようになる。
【0015】
【実施例】以下、図1乃至図14の図面を参照しながら
この発明の一実施例を詳細に説明する。図1において、
1は冷凍サイクルに使用される密閉型の流体圧縮機3の
密閉ケースを示しており、密閉ケース1の一方には冷凍
サイクルの吸込パイプ5が、他方には吐出パイプ7がそ
れぞれ設けられている。密閉ケース1内には駆動手段と
しての電動要素9および圧縮手段としての圧縮要素11
がそれぞれ配置されている。
【0016】電動要素9は、密閉ケース1の内面に固定
されたステータ13と、その内側に設けられた回転可能
なロータ15とを有している。
【0017】圧縮要素11は両端が開放されたシリンダ
17を有しており、シリンダ17は密閉ケース1の内面
に固定された左右の主軸受19、副軸受20により回転
自在に両端支持されている。各軸受19,20はシリン
ダ17の端部が回転自在に嵌合したボス部19a,20
aと、これらボス部19a,20aよりも大径で前記密
閉ケース1の内面に固定された基部19b,20bとか
らなり、シリンダ17の両端は気密的に閉塞されてい
る。
【0018】シリンダ17の内部には、シリンダ17の
内径よりも小さい円筒状の回転体21がシリンダ17の
軸方向に沿って配設されている。回転体21はその中心
軸線Aがシリンダ17の中心軸線Bに対して距離eだけ
図2において下方に偏心して配設され一部が内周面と線
接触している。
【0019】回転体21の両端部にはそれぞれ径の細い
支軸部21a,21bが設けられ、これら支軸部21
a,21bはそれぞれ前記主軸受19、副軸受20のボ
ス部19a,20aに形成された軸受穴19c,20c
に回転自在に挿入支持されている。
【0020】回転体21の右側の支軸部21aには、オ
ルダム機構23を介してシリンダ17側からの回転動力
が伝達される動力伝達面として機能する断面正方形状の
角柱部25が形成されている。
【0021】オルダム機構23は、リング状のオルダム
リング24と伝達ピン27とから成り、オルダムリング
24に形成された矩形状の長孔26内は、前記回転体2
1の角柱部25に対して遊びを有して嵌合し、長孔26
の範囲内において面接触しながら中心軸線Aと直交し合
う方向にオルダムリング24の摺動が可能となってい
る。
【0022】また、オルダムリング24の外周面には、
前記長孔26の長手方向と直交する径方向に前記伝達ピ
ン27,27の一端部がそれぞれスライド自在に嵌挿
し、伝達ピン27,27の他端部は前記シリンダ17の
周壁に穿設された嵌合孔29に嵌合固定されている。こ
れにより、前記回転体21はシリンダ17に対して偏心
した位置で無理なく結合状態が確保されると共に、シリ
ンダ17の回転力はオルダム機構23を介して回転体2
1に伝達されるようになっている。
【0023】従って、電動要素9の作動によりシリンダ
17がロータ15と一体的に回転することで、シリンダ
17に対して回転体21はオルダム機構23を介して偏
心して回転運動する。この時、回転体21の外周面と、
それに対向するシリンダ17の内周面との間には相対速
度が生じ、この相対速度は一回転を一周期として変化し
ながらシリンダ17内で内転し、シリンダ17に対して
自転を伴なうことなく旋回運動が与えられる。
【0024】一方、前記回転体21の外周面には螺旋状
の溝31が設けられており、この螺旋状の溝31は、吸
込端側(図2右側)のピッチPが一番大きく、以下、吐
出端側(図面左側)へ向けてピッチが順次小さくなるよ
う設定されている。
【0025】螺旋状の溝31には、螺旋状のブレード3
3が弾性力を利用して出没自在に嵌め込まれている。こ
れにより、各作動室35が形成されると共に吸込端側と
なる作動室35の容積が一番大きくなっている。以下、
吐出端側へ向けて各作動室35の容積が順次小さくなる
よう設定され、吐出側となる最終の作動室35は、副軸
受20に形成され密閉ケース1内に開放された吐出孔3
7と接続連通している。また、各作動室35は図1に示
す如くブレード33に沿って回転体21とシリンダ17
の内周面との接触部から次の接触部までのびたほぼ三日
月状の領域となっている。吸込端側の第1番目の作動室
35は、回転体21の軸端部に設けられたメイン通路3
9と、主軸受19に設けられた吸込通路41とを介して
前記冷凍サイクルの吸込パイプ5と接続連通し、吸込パ
イプ5からシリンダ17内に吸引される冷媒は第1番目
の作動室35に途切れることなく確実に導入されるよう
になっている。
【0026】ブレード33は、螺旋状の溝31の溝巾方
向Ptと溝深さ方向Phの断面寸法比率に対して、寸法
比率の小さい側は大きい線膨張係数を有し、寸法比率の
大きい側は小さい線膨張係数を有し、かつ、ブレード3
3断面の寸法比率と線膨張係数の比率の積が1±0.2
の範囲に設定してある。
【0027】また、ブレード断面の螺旋状の溝31の溝
巾Ptと溝深さPhの寸法は、寸法の小さい側の線膨張
係数が20×10-5/℃(30〜150℃範囲の値)以
下の四フッ化エチレン樹脂又は四フッ化エチレンパーフ
ルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂の複合材料で
構成したものである。
【0028】なお、図2において、43は回転体21に
設けられた油導入路を示しており、この油導入路43の
一端は前記螺旋状の溝31と連通し、他端は吸込端側の
主軸受19に穿設された連通孔45を介して前記密閉ケ
ース1の底部に吸込口47が臨む導入管49と接続連通
している。したがって、密閉ケース1内の圧力が上昇す
れば、密閉ケース1の底部に蓄えられた潤滑オイルが導
入管49、連通孔45および油導入路43を通って前記
溝31内に送り込まれることでブレード33の出入時の
潤滑が確保されるようになっている。
【0029】次に、このように構成された流体圧縮機の
動作について説明する。
【0030】まず、電動要素9に通電するとロータ15
が回転し、このロータ15と一体にシリンダ17も回転
する。シリンダ17が回転すれば、オルダム機構23を
介して回転体21も回転する。シリンダ17に対する回
転体21は、偏心して旋回するため回転体21の外周面
とそれに対向するシリンダ17の内周面との間には相対
速度が生じ、さらに、その相対速度は一回転を一周期と
して変化しながらシリンダ17内で内転し、シリンダ1
7に対して回転体21は自転の伴わない旋回運動をする
ようになる。この結果、吸込端側の作動室35に取り込
まれた冷媒等の流体は閉じ込められた状態で吐出端側の
作動室35へ向けて順次送られながら圧縮され、吐出パ
イプ7から外へ吐出されるようになる。
【0031】この運転時において、螺旋状の溝31の溝
巾方向Ptと溝深さ方向Phはほぼ同一のクリアランス
Ct=Chで、しかも、最適なクリアランス値が確保さ
れ、安定したシール性能と良好な成績係数が得られた。
【0032】図5から図14は第1の実験結果を示した
ものである。この実験は、実施例1〜3と比較例1〜3
となるブレード33を、密度2.15g/cm3 のPT
FE樹脂にφ13μmのガラス繊維を複合したものを用
いている。
【0033】具体的には、実施例1と比較例1に繊維長
20μm、実施例2と比較例2に繊維長30μm、実施
例3と比較例3に繊維長40μmのガラス繊維が15重
量%複合され、加工手順は、400〜600kg/cm
2 の圧力の加圧成形およびその後の380℃の焼成によ
り、100mm角の角材51(母材)を作成する。この
角材51から丸棒材53を切削加工してさらに、螺旋状
のブレード33に機械加工したものである。このとき図
6ないし図7に示されるように加圧成形の加圧面Fに対
し、丸棒材53を作成する方向によってブレード33を
作成した際のガラス繊維の配向が変化する。即ち、ガラ
ス繊維は加圧方向に対して横並びとなり繊維の方向によ
って線膨張係数が変わる。つまり、図6の加圧面Fに対
して垂直に丸棒材53を作成しブレード33を構成した
場合、溝深さ方向Bhに繊維が配向して溝巾方向Dt及
び溝深さ方向Dhの寸法変化量はDt>Dhの関係にな
る。また、図7の加圧面Fに対して水平方向に丸棒材5
3を作成しブレード33を構成した場合、溝幅方向Bt
に繊維が配向し寸法変化量はDt<Dhの関係になる。
さらに、繊維の配向度(配向の強さ)は成形圧力と繊維
長でコントロールされ、成形圧力が高いほど、繊維長が
長いほど配向度が強くなる。よって、線膨張係数は繊維
の配向度が強い方向に補強され小さくなるところから、
この関係を利用し図5に示すように、ブレード33の溝
幅方向寸法(Bt)を統一し溝深さ方向の寸法(Bh)
を変え、このブレード断面寸法の比率と逆数の関係、即
ち、比率小の時、線膨張係数大、比率大の時、線膨張係
数小となる線膨張係数(溝巾方向Dt、溝深さ方向D
h)とした条件としてある。また、図8から図13に示
すように設定のクリアランスCt,Chと偏心量αを統
一している。この目的とするところは、偏心量αとブレ
ード33の溝幅方向寸法によって作動室35の容積が変
わり冷凍能力が異なることから、本発明の線膨張係数の
影響が明確にならないためである。この構成で異なるの
はブレード33の溝深さ方向の寸法Phで、a1〜a3
の掛りしろと称されるブレード33が飛び出しても溝3
1に残る寸法である。この掛りしろは、差圧によるブレ
ード33の倒れを防いでいる。
【0034】また、ブレード断面の寸法比率と線膨張係
数の比率の積を1±0.2の範囲とした実施例1〜3
と、ブレード断面の寸法比率と線膨張係数の比率の積を
0.7以下ないし1.3以上とした比較例1〜3のブレ
ード33を図1に示す螺旋方式の流体圧縮機に適用し
た。
【0035】流体圧縮機には、冷媒ガスに「フレオン1
2」を使用し、シリンダ17に「3,000rpm」の
速度で回転を与える。また、コンプレッサ温度は80℃
とした。そのときの負荷電力、冷凍能力を測定し、成績
係数COP(冷凍能力/負荷電力)を求めた。
【0036】図14に測定した流体圧縮機の性能が示さ
れている。図14は成績係数COPとBt/Bh×Dt
/Dhの結果が対比して示されている。
【0037】すなわち、比較例1の「Bt/Bh×Dt
/Dhが0.7以下ないし1.3以上」で得れるCOP
をみると、実施例1の「Bt/Bh×Dt/Dhが1±
0.2の範囲」に対して低下が認められる。また比較例
2の「Bt/Bh×Dt/Dhが0.7以下ないし1.
3以上」で得れるCOPをみると、実施例2の「Bt/
Bh×Dt/Dhが1±0.2の範囲」に対して低下が
認められる。さらに比較例3の「Bt/Bh×Dt/D
hが0.7以下ないし1.3以上」と、実施例3の「B
t/Bh×Dt/Dhが1±0.2の範囲」もまた同様
な結果であった。つまり比較例1〜3の「Bt/Bh×
Dt/Dhが0.7以下」では、寸法変化量Dt<Dh
関係であることから溝深さ方向のクリアランスChが小
さくなり、シリンダ17と溝31の底にブレード33の
溝高さ方向Bhが接触して流体圧縮機の負荷電力が増加
し、結果としてCOPが低下したものと思われる。また
比較例1〜3の「Bt/Bh×Dt/Dhが1.3以
上」では寸法変化量Dt>Dh関係であることから、溝
深さ方向のクリアランスCtが小さくなり、ブレード3
3が溝31を出入りする抵抗が増加するに従って流体圧
縮機の負荷電力が増加し、結果としてCOPが低下した
ものと思われる。
【0038】一方、実施例1〜3の「Bt/Bh×Dt
/Dhが1±0.2の範囲」で構成されたブレード33
はクリアランスCtとChが適切な範囲に維持されるこ
とで良好なシール性が確保され、いずれも高いCOPが
得られることがわかる。ここで、実施例2に対して実施
例1のCOPが低いのは、a1の掛りしろが小さく差圧
によりブレード33の倒れがあり、冷媒ガスのリークに
よるものである。また、実施例3は逆にa3の掛りしろ
が大きく、ブレード33が弾性変形されながら溝31に
押込められる際の抵抗が大きいために流体圧縮機の負荷
電力が増加してCOPが低くなった。さらに、比較例1
〜3の比較においてCOPの落ち方が比較例1<比較例
2<比較例3の順であることがわかる。これは、ブレー
ド33の溝巾方向Btに対して溝深さ方向Bhが大きく
なることによってBh側の熱膨張による寸法変化量(D
h)の絶対値が大きく、結果としてクリアランスへの影
響度の違いが前記結果として現われたものと思われる。
【0039】図15から図26は第2の実験結果を示し
たものである。
【0040】この実験は、実施例4〜5、比較例4〜5
となるブレード33を、密度2.12g/cm3 のPF
A樹脂に径15μm、長さ100μmのピッチ系炭素繊
維を複合したものを用いている。具体的には、実施例4
に15重量%、実施例5に5重量%、比較例4に2重量
%、比較例5に1重量%が複合され、図16に示すよう
に螺旋状の溝がある入れ子55を有する金型57を射出
成形装置59の固定金型61に装着し、成形温度380
℃、金型温度200℃の条件により射出成形でブレード
33を作成したものである。このとき図17に示される
ようにPFA樹脂の流れに沿ってピッチ系炭素繊維は配
向する。一般に、射出成形で形成した場合、いずれもピ
ッチ系炭素繊維の配向に差は無いが、ピッチ系炭素繊維
の充填量によって線膨張係数が変わるところから、この
関係を利用して図15に示すようにブレード33の溝幅
方向寸法(Bt)と溝深さ方向寸法(Bh)の比率をB
t/Bh=1/1に統一し、溝幅方向Bt、溝深さ方向
Bhに対応する線膨張係数もDt/Dh=1/1として
いる。ここで、図18ないし図21に示すような設定の
クリアランスCt,Chを確保するためには、ブレード
33の線膨張係数に応じた大きさにする必要がある。ま
た、他の条件を合わせるため、偏心量(α1〜α4)お
よび掛りしろはブレード33の大きさの相似形とした条
件としてある。
【0041】また、ブレード断面の溝31の幅方向と溝
31の深さ方向において、寸法の小さい方向(本実施例
では同一寸法)の線膨張係数が20×10-5/℃以下と
した実施例4〜5と線膨張係数が20×10-5/℃を越
える比較例4〜5のブレード21を図1に示す螺旋方式
の流体圧縮機に適用した。
【0042】流体圧縮機には、冷媒ガスに「フレオン1
2」を使用し、シリンダ17に「3,000rpm」の
速度で回転を与える。また、コンプレッサ温度は80℃
とした。そのときの負荷電力、冷凍能力を測定し、成績
係数COP(冷凍能力/負荷電力)を求めた。
【0043】図26に測定した流体圧縮機の性能が示さ
れている。
【0044】すなわち、比較例4の「線膨張係数Dtが
25×10-5/℃」と、比較例5の「線膨張係数Dtが
30×10-5/℃」は成績係数COPが小さかった。こ
れは、設定クリアランスを確保するためにブレード33
の断面形状を小さくしたことで、作動室35の容積が必
然的に小さくなり、冷凍能力が低くなったものと思われ
る。また、比較例5の急激な成績係数COPの低下は、
ブレード33の断面形状に対して設定クリアランスが大
きいために、差圧によってブレード33の倒れが生じ、
冷媒ガスのシール性が低下した結果である。つまり、線
膨張係数Dtが大きいと適切なクリアランスを確保する
ためにブレード33の形状寸法が小さくなり、冷凍能力
の低下を招来する。また、ブレード33の形状寸法が小
さくなることで適切なクリアランスの範囲も異なってく
ることが判る。
【0045】一方、実施例4の「線膨張係数Dtが10
×10-5/℃」と、実施例5の「線膨張係数Dtが20
×10-5/℃」は成績係数COPが大きく、良好なコン
プレッサ性能が得られた。しかし、実施例4は、実施例
5に対して冷凍能力が大きいにも係わらずCOPで大き
な差は無かった。これは、ブレード33の断面形状が大
きくなることでブレード33が弾性変形されながら溝3
1に押込められる際の抵抗が大きくなり、結果としてコ
ンプレッサの負荷電力が増加してCOP向上の度合いが
小さくなったものと思われる。本実験では、ブレード3
3の線膨張係数とクリアランスの関係のみを示してお
り、COPにはブレード33の出没損失や差圧による倒
れなども影響することを考慮しなければならない。
【0046】よって、線膨張係数Dtを20×10-5
℃以下とすることで適切なクリアランスを維持しながら
大きな冷凍能力が得られ、高い成績係数COPが得られ
る。また、本実験はDt=Dhの構成で実施したが、断
面寸法の小さい方向に対して線膨張係数を20×10-5
/℃以下に設定すれば、実験1で実証済みの断面比率に
対して線膨張係数が逆数の関係であることを前提に断面
寸法の大きい方向の線膨張係数はそれ以下となる。つま
り、断面寸法の小さい方向のみ線膨張係数を規定するこ
とで上記効果が得られることは言うまでもない。
【0047】また、コンプレッサの温度が本実験よりも
高い場合も温度上昇に応じた線膨張係数(小)のブレー
ド33で構成することで同様な効果が得られる。さら
に、本実験でPFA樹脂を用いたがPTFE樹脂におい
ても同様な効果が得られ、ブレード33の種々の特性を
損なわずに適切なクリアランスを維持しながら大きな冷
凍能力が得られ、高い成績係数COPが得られるように
なる。なお、充填材としては、ガラス繊維や炭素繊維な
どの無機繊維、セラミック粉やセラミックウィスカーな
どの金属酸化物、潤滑性を付与するブロンズ、モリブデ
ン、グラファイト、二硫化モリブデンなどの固体潤滑
剤、全および一部芳香族ポリアミド系樹脂、全および一
部芳香ポリエステル系樹脂、全および一部芳香族ポリイ
ミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリサルフォン樹脂
などの有機充填材などがあり、充填量や充填材の形状お
よび配向の方向など線膨張係数に応じて使い分けること
が望ましい。
【0048】また、シングルタイプのブレード33につ
いて説明したが、左右に一対あるツインタイプに適用す
ることも可能である。
【0049】
【発明の効果】以上説明したようにこの発明によれば、
ブレードの溝巾方向及び溝深さ方向のクリアランスをほ
ぼ同一に確保することができると共に最適なクリアラン
スを得ることができるため、ブレードのシール性、成績
係数を大巾に向上させることができる。したがって、初
期の性能を長期に渡って安定して維持でき、しかも、組
付性の面でも大変好ましいものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明を実施した流体圧縮機の切断面図。
【図2】回転体の斜視図。
【図3】オルダム機構の切断面図。
【図4】圧縮要素を示した分解図。
【図5】実施例1〜3と比較例1〜3の第1の実験条件
を示した説明図。
【図6】ブレードの第1の成形方法を示した説明図。
【図7】ブレードの第2の成形方法を示した説明図。
【図8】螺旋状の溝内にブレードが入った状態の切断面
図。
【図9】同上の溝からブレードが突出し掛り代が小さい
状態を示した切断面図。
【図10】溝深さ方向の大きいブレードが溝内に入った
状態の切断面図。
【図11】同上のブレードが溝から突出し掛り代が比較
的大きい状態を示した切断面図。
【図12】溝深さ方向の大きいブレードが溝内に入った
状態の切断面図。
【図13】同上のブレードが溝から突出し掛り代が大き
い状態を示した切断面図。
【図14】流体圧縮機の性能実験結果を示した特性図。
【図15】実施例4〜5と比較例4〜5の第2の実験条
件を示した説明図。
【図16】ブレードを成形する射出成形装置の概要説明
図。
【図17】射出成形によって成形された一部分のブレー
ドの切断斜視図。
【図18】ブレードの大きさが最大で、溝内に入った状
態の切断面図。
【図19】同上のブレードが溝から突出した状態の切断
面図。
【図20】ブレードの大きさが第2位で、溝内に入った
状態の切断面図。
【図21】同上のブレードが溝から突出した状態の切断
面図。
【図22】ブレードの大きさが第3位で、溝内に入った
状態の切断面図。
【図23】同上のブレードが溝から突出した状態の切断
面図。
【図24】ブレードが最小で、溝内に入った状態の切断
面図。
【図25】同上のブレードが溝から突出した状態の切断
面図。
【図26】第2の実験結果を示した特性図。
【図27】従来例を示した図1と同様の切断面図。
【図28】回転体の斜視図。
【図29】螺旋状の溝の切断面図。
【図30】ブレードの切断面図。
【図31】ブレードのクリアランスを示した切断面図。
【図32】ブレードの寸法変化量を示した説明図。
【符号の説明】
9 駆動要素(駆動手段) 17 シリンダ 21 回転体 23 オルダム機構 31 螺旋状の溝 33 ブレード 35 作動室 Pt 溝巾方向 Ph 溝深さ方向

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 駆動手段により回転動力が与えられるシ
    リンダと、前記シリンダの軸方向に沿って偏心して配置
    され、その一部が前記シリンダの内周面に接触した状態
    で前記シリンダと相対的に旋回可能な円柱状の回転体
    と、前記シリンダの回転に対して回転体を相対的に旋回
    運動させるオルダム機構と、回転体の外周に設けられ前
    記シリンダの吸込端側から吐出端側へ徐々に小さくなる
    ピッチで形成された螺旋状の溝と、この溝に出没自在に
    嵌挿されると共に前記シリンダの内周面に密着する外周
    面を有し前記シリンダと回転体との間を複数の作動室に
    区画する螺旋状のブレードとを有し、前記回転体の旋回
    時に、吸込端側から流入した冷媒を吐出端側の作動室へ
    順次移送させる流体圧縮機において、前記ブレードは、
    螺旋状の溝の溝巾方向と、溝深さ方向の断面寸法比率に
    対して、寸法比率の小さい側は大きい線膨張係数を有
    し、寸法比率の大きい側は小さい線膨張係数を有し、か
    つ、ブレード断面の寸法比率を線膨張係数の比率の積が
    少なくとも1±0.2範囲であることを特徴とする流体
    圧縮機。
  2. 【請求項2】 ブレード断面の螺旋状の溝の溝巾方向と
    溝深さ方向の寸法は、寸法の小さい側の線膨張係数が2
    0×10-5/℃(30〜150℃範囲の値)以下の四フ
    ッ化エチレン樹脂又は四フッ化エチレンとパーフルオロ
    アルキルビニルエーテル共重合樹脂の複合材料で構成し
    たことを特徴とする請求項1記載の流体圧縮機。
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