JPH06346819A - 蓄圧容器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 インジェクタへ供給される高圧燃料の流路面
積を減少させることなく、インジェクタへの異物の侵入
を防止すること。 【構成】 蓄圧容器１は、容器本体３、一対のリテーニ
ングナット４、および２組のフィルタ装置５より構成さ
れ、各フィルタ装置５がリテーニングナット４によって
容器本体３に固定されている。フィルタ装置５は、高圧
燃料が流れる流入通路８ｂおよび連通路８ｃが形成され
たコネクタ８、このコネクタ８と一体に設けられたバー
フィルタ９、およびバーフィルタ９の外周に所定のクリ
アランスを有して嵌め合わされるカラー１０より成る。
高圧配管７を介して燃料供給ポンプ２より圧送された高
圧燃料は、コネクタ８の流入通路８ｂおよび連通路８ｃ
を通ってバーフィルタ９側へ流れ込み、バーフィルタ９
とカラー１０との間のクリアランスを通過する際に、高
圧燃料に含まれる異物が補足される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、燃料供給ポンプより圧
送された高圧燃料を蓄圧して、ディーゼル機関の各気筒
毎に取り付けられたインジェクタに供給する蓄圧容器に
関する。

【０００２】

【従来の技術】従来より、コモンレールと呼ばれる一種
のサージタンクに高圧燃料を蓄圧し、この蓄圧された高
圧燃料をインジェクタよりディーゼル機関に噴射するコ
モンレール式燃料噴射装置が提案されている（特開昭５
９−１６５８５８号公報参照）。このコモンレール式燃
料噴射装置は、インジェクタ内部に油圧ピストンや電磁
弁等の精密摺動部品が存在するため、高圧燃料中に含ま
れる異物が摺動部内に堆積した場合には摺動不良を生じ
る。このため、インジェクタ内部のニードルが作動しな
くなることで、燃料の無噴射や連続噴射を招くことが予
想される。そこで、図５に示すように、インジェクタの
インレットコネクタ１００内にバーフィルタ１１０を挿
入したり、図６に示すように、インレットコネクタ１０
０の出口にメッシュフィルタ１２０を装着することによ
って、摺動部内への異物の侵入を防止することが考えら
れる。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところが、インジェク
タの各摺動部内へ入り込む程の小さな異物（１０μｍ程
度）を補足する能力をバーフィルタ１１０やメッシュフ
ィルタ１２０に持たせると、流路面積の減少に伴って、
噴射性能が悪化するという課題を有していた。本発明
は、上記事情に基づいて成されたもので、その目的は、
インジェクタへ供給される高圧燃料の流路面積を減少さ
せることなく、インジェクタへの異物の侵入を防止する
ことにある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するために、高圧燃料を圧送する燃料供給ポンプの燃
料吐出口と連絡されて、前記燃料供給ポンプより圧送さ
れた燃料が流入する燃料流入口、この燃料流入口より流
入した高圧燃料を蓄圧する蓄圧室、ディーゼル機関の各
気筒毎に取り付けられた各インジェクタとそれぞれ連絡
されて、前記蓄圧室の高圧燃料が流出する燃料流出口を
有する蓄圧容器において、前記蓄圧室に、前記燃料流入
口から前記燃料流出口へ向かって流れる燃料をろ過する
ろ過手段が配設されたことを技術的手段とする。

【０００５】

【作用】上記構成より成る本発明の蓄圧容器は、蓄圧室
に配設されたろ過手段によって、燃料流入口から燃料供
給口へ向かって流れる燃料をろ過することができる。こ
の結果、蓄圧室の高圧燃料がろ過手段を通過する際に、
燃料中に含まれる不純物がろ過手段によって補足され、
そのろ過された高圧燃料が燃料流出口を介してインジェ
クタへ供給される。

【０００６】

【実施例】次に、本発明の蓄圧容器の一実施例を図１お
よび図２に基づいて説明する。図１は蓄圧容器の断面
図、図２はフィルタ装置の構成図である。本実施例の蓄
圧容器１は、高圧燃料を圧送する燃料供給ポンプ２とデ
ィーゼル機関（図示しない）の各気筒毎に取り付けられ
たインジェクタ（図示しない）とを連絡する燃料経路中
に介在されて、燃料供給ポンプ２より圧送された高圧燃
料を蓄圧するものである。この蓄圧容器１は、円筒形の
容器本体３、一対のリテーニングナット４、および２組
のフィルタ装置５より構成される。容器本体３の壁面に
は、高圧燃料の流出口を成す燃料継手部６がエンジンの
気筒数と同じ数だけ設けられ、それぞれ各インジェクタ
へ高圧燃料を導くための燃料配管（図示しない）が接続
されている。リテーニングナット４は、容器本体３の両
端外周部に螺着することで、容器本体３にフィルタ装置
５を固定するものである。

【０００７】フィルタ装置５は、高圧配管７が接続され
るコネクタ８、このコネクタ８と一体に設けられたバー
フィルタ９、およびバーフィルタ９の外周に装着される
円筒状のカラー１０より成る。コネクタ８は、バーフィ
ルタ９と反対側の外周端部に高圧配管７との接続を行う
螺子部８ａが形成されて、この螺子部８ａを介して接続
された高圧配管７によって燃料供給ポンプ２の燃料吐出
口２ａと連絡される。このコネクタ８には、高圧配管７
によって導かれた高圧燃料が流入する流入通路８ｂと、
この流入通路８ｂと連通する連通路８ｃが設けられてい
る。流入通路８ｂはコネクタ８の中央部を貫通して設け
られ、連通路８ｃはコネクタ８の端部を径方向に貫通し
て設けられている。また、コネクタ８には、螺子部８ａ
よりバーフィルタ９側（図２右側）の外周部に、容器本
体３の端部と同一の外径を有するフランジ部８ｄが設け
られ、このフランジ部８ｄよりバーフィルタ９側（図２
右側）には、カラー１０を圧入するための圧入部８ｅが
設けられている。なお、連通路８ｃが設けられたコネク
タ８の端部は、圧入部８ｅより外径が小さく設定されて
いる。

【０００８】バーフィルタ９は、図２に示すように、コ
ネクタ８側の端面から先端側（図２右側）の途中まで軸
方向に設けられた外周溝９ａと、バーフィルタ９の先端
面からコネクタ８側の途中まで軸方向に設けられた外周
溝９ｂとが周方向に交互に設けられている。カラー１０
は、バーフィルタ９の外周面との間に所定のクリアラン
ス（１０μｍ程度）を有してバーフィルタ９の外周に嵌
め合わされ、端部をコネクタ８の圧入部８ｅに圧入する
ことにより固定される。なお、本発明のろ過手段は、バ
ーフィルタ９とカラー１０とで構成され、バーフィルタ
９の外周面とカラー１０の内周面とのクリアランスを高
圧燃料が通過する際に、高圧燃料に含まれる異物が補足
される。

【０００９】このフィルタ装置５は、バーフィルタ９お
よびカラー１０を容器本体３の内部に同軸的に配置し
て、容器本体３の端面との間にパッキン１１を介してフ
ランジ部８ｄをリテーニングナット４で挟み込み、その
リテーニングナット４を容器本体３に締め付けることに
よって固定される。これにより、容器本体３の内部が、
燃料供給ポンプ２より圧送された高圧燃料を蓄圧するた
めの蓄圧室１２として形成される。なお、容器本体３に
収容されたカラー１０の外周には、蓄圧室１２に流入し
た高圧燃料がカラー１０の外周に流れ込むことができる
ように、容器本体３との間に一定の間隔が保たれてい
る。

【００１０】次に、本実施例の作動を説明する。燃料供
給ポンプ２より圧送された高圧燃料は、高圧配管７を介
して蓄圧容器１に導かれる。蓄圧容器１に導かれた高圧
燃料は、各コネクタ８の流入通路８ｂから連通路８ｃを
通って外周溝９ａへ流れ込み、バーフィルタ９とカラー
１０との間のクリアランスを通過することでろ過され
る。ろ過されて異物が除去された高圧燃料は、外周溝９
ｂより流出して蓄圧室１２に蓄圧される。この蓄圧室１
２に蓄圧された高圧燃料は、容器本体３に設けられた各
燃料継手部６より燃料配管を通ってそれぞれのインジェ
クタへ供給される（図１に高圧燃料の流れを実線矢印で
示す）。

【００１１】このように、本実施例では、大きな容積を
有する蓄圧容器１内にフィルタ装置５を配置したことに
より、バーフィルタ９およびカラー１０の全長（図１の
左右方向の長さ）を長く、且つ外径を大きくすることが
できるため、フィルタ性能（異物を補足する能力）を高
めるためにバーフィルタ９の外周面とカラー１０の内周
面との間のクリアランスを小さく（１０μｍ程度）設定
しても、十分な流路面積を確保することができる。ま
た、従来技術で説明したように、インジェクタのインレ
ットコネクタ内にバーフィルタ９を挿入した場合には、
高圧燃料の圧力によってインレットコネクタの内径が拡
大し、高圧時と低圧時とでフィルタクリアランスが異な
るため、安定した異物補足能力が得られないという不具
合が生じる。これに対して、本実施例では、カラー１０
の外周側にも高圧燃料が流れ込むため、カラー１０の内
側と外側にほぼ同じ圧力が作用することから、高圧時お
よび低圧時に係わらず、常時バーフィルタ９とカラー１
０との間のクリアランスを一定に保つことができる。こ
れにより安定した異物補足能力を確保することができ
る。

【００１２】次に、本発明の第２実施例を説明する。図
３は第２実施例に係る蓄圧容器１の断面図である。本実
施例の蓄圧容器１は、中空状の容器本体３とメッシュフ
ィルタ１３より構成される。容器本体３は、長手方向
（図３の上下方向）に二分割された容器３ａと容器３ｂ
から成り、両容器３ａ、３ｂの嵌め合い部３ａ´、３ｂ
´が螺子結合されることで、内部に蓄圧室１２を形成す
る容器本体３を構成する。蓄圧室１２の一端面（図３下
面）を形成する容器３ａの端面には、高圧配管７を接続
する流入側燃料継手部１４がポンプ気筒数と同じ数だけ
形成され、蓄圧室１２の他端面（図３上面）を形成する
容器３ｂの端面には、圧力センサ（図示しない）を取り
付ける取付穴１５が１か所形成されるとともに、燃料配
管（図示しない）を接続する流出側燃料継手部１６がエ
ンジン気筒数と同じ数だけ形成されている。

【００１３】流入側燃料継手部１４は、燃料供給ポンプ
２より圧送された高圧燃料を蓄圧室１２へ流入させる燃
料流入口を成すもので、高圧配管７によって燃料供給ポ
ンプ２の燃料吐出口２ａと連絡されている。圧力センサ
の取付穴１５は、図４（容器３ｂの平面図）に示すよう
に、容器３ｂの端面中央部（蓄圧室１２の中央部）に設
けられている。流出側燃料継手部１６は、蓄圧室１２の
高圧燃料が流出する燃料流出口を成すもので、燃料配管
によって各々インジェクタ（図示しない）に連絡されて
いる。各流出側燃料継手部１６は、圧力センサの取付穴
１５が設けられる容器３ｂの中心から同一半径上で、且
つ周方向に等間隔をおいて設けられている。メッシュフ
ィルタ１３は、１０μｍ程度の網目状金属材を円形状に
形成したもので、蓄圧室１２を長手方向に二分割するよ
うに、容器３ａと容器３ｂとの間に挟み込まれて保持さ
れている。

【００１４】次に、本実施例の作動を説明する。高圧配
管７を介して蓄圧容器１に導かれた高圧燃料は、流入側
燃料継手部１４を介して蓄圧室１２へ流入し、メッシュ
フィルタ１３を通過する際に異物が除去されて、流出側
燃料継手部１６より燃料配管を介して各インジェクタへ
供給される。この第２実施例においても、大きな容積を
有する蓄圧容器１内にメッシュフィルタ１３を配置した
ことにより、メッシュフィルタ１３の外径を大きく設定
することができるため、フィルタ性能を高めるために網
目の大きさを小さく（１０μｍ程度）設定しても、十分
な流路面積を確保することができる。また、本実施例で
は、各流出側燃料継手部１６が、容器３ｂの中心から同
一半径上で、且つ周方向に等間隔をおいて設けられてい
ることから、１つのインジェクタにより生じた反射波が
同じ条件で他のインジェクタへ伝わるため、他のインジ
ェクタの噴射量および噴射時期のばらつきを無くすこと
ができる。さらに、本実施例では、容器本体３を容器３
ａと容器３ｂとに分離することができるため、メッシュ
フィルタ１３を容易に取り出すことができるため、メッ
シュフィルタ１３の洗浄が可能である。

【００１５】

【発明の効果】本発明の蓄圧容器は、蓄圧室にろ過手段
を配置したことにより、ろ過手段の補足能力を高めても
十分な流路面積を確保することができる。このため、噴
射性能の悪化を伴うことなく、インジェクタへの異物の
侵入を防止することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】第１実施例に係る蓄圧容器の断面図である。

【図２】第１実施例に係るフィルタ装置の部品図であ
る。

【図３】第２実施例に係る蓄圧容器の断面図である。

【図４】第２実施例に係る蓄圧容器の平面図である。

【図５】従来のインジェクタのインレットパイプ内にバ
ーフィルタを挿入した状態を示す断面図である。

【図６】従来のインジェクタのインレットパイプ出口に
メッシュフィルタを配置した状態を示す断面図である。

【符号の説明】

１ 蓄圧容器 ２ 燃料供給ポンプ ２ａ 燃料吐出口 ６ 燃料継手部（燃料流出口） ８ｂ 流入通路（燃料流入口） ９ バーフィルタ（ろ過手段） １０ カラー（ろ過手段） １２ 蓄圧室 １３ メッシュフィルタ（ろ過手段） １４ 流入側燃料継手部（燃料流入口） １６ 流出側燃料継手部（燃料流出口）

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】高圧燃料を圧送する燃料供給ポンプの燃料
   吐出口と連絡されて、前記燃料供給ポンプより圧送され
   た燃料が流入する燃料流入口、この燃料流入口より流入
   した高圧燃料を蓄圧する蓄圧室、ディーゼル機関の各気
   筒毎に取り付けられた各インジェクタとそれぞれ連絡さ
   れて、前記蓄圧室の高圧燃料が流出する燃料流出口を有
   する蓄圧容器において、 前記蓄圧室に、前記燃料流入口から前記燃料流出口へ向
   かって流れる燃料をろ過するろ過手段が配設されたこと
   を特徴とする蓄圧容器。