JPH06342949A - 固体レーザ装置 - Google Patents

固体レーザ装置

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JPH06342949A
JPH06342949A JP30808492A JP30808492A JPH06342949A JP H06342949 A JPH06342949 A JP H06342949A JP 30808492 A JP30808492 A JP 30808492A JP 30808492 A JP30808492 A JP 30808492A JP H06342949 A JPH06342949 A JP H06342949A
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JP
Japan
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solid
state laser
resonator
laser medium
medium
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Withdrawn
Application number
JP30808492A
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English (en)
Inventor
Hirofumi Imai
浩文 今井
Masahiro Daimon
正博 大門
Satoru Yamaguchi
哲 山口
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 放射光の光分布が異方性を有する励起光源を
用いることで、固体レーザ媒質に熱誘起複屈折効果が生
じた場合でも安定に偏光面制御を行い、レーザ光の光ノ
イズを低減し、かつ高ビーム品質の第2高調波光を得
る。 【構成】 固体レーザ媒質を端面励起するべく発振光軸
に対して垂直な面上で異方的に分布する励起光を発生す
る励起光源と、一対のミラーと等方性固体レーザ媒質と
からなる共振器と、波長変換素子であるKTP結晶と、
偏光面制御のための1/4波長板とがこの順序で光路上
に配列され、かつ横モード制御のためのピンホールが前
記共振器内に設けられていて、前記KTP結晶の異常光
方向に対する前記1/4波長板の異常光方向の方位角が
約45゜である固体レーザ装置を提供することにより、
励起光強度の変化による固体レーザ媒質の熱誘起複屈折
効果の変化に依存することなく、安定な偏光面制御が可
能となり、低ノイズで高ビーム品質の第2高調波光を得
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、半導体レーザチップを
励起光として固体レーザ媒質を端面励起する固体レーザ
装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、互いに対向する一対の共振器
ミラー間にNd:YAG等の固体レーザ媒質を設置して
なる共振器中に、その一方の端面に半導体レーザチップ
からの放射光を励起光として照射して固体レーザ媒質を
励起させる形式の固体レーザ装置があり、これは希ガス
ランプなどを励起光源として用いた形式の固体レーザ装
置よりも手軽なレーザ光源として知られている。特にN
d:YAGレーザの第2高調波光は、高密度な光ディス
ク用や様々な計測用の緑色光源としても利用価値が高
い。
【0003】上記の端面励起型固体レーザ装置の構成の
一例を図5に示す。励起光源としての半導体レーザチッ
プ1からの放射光の光軸上に集光レンズ2と、共振器と
しての一対の共振器ミラー3・4及び前記共振器ミラー
3・4間に設けられた円柱状の固体レーザ媒質5とから
構成される。尚、図示されていないが、これら半導体レ
ーザチップ1と、集光レンズ2と、共振器ミラー3・4
及び固体レーザ媒質5はその光学的位置関係を維持する
ホルダーなどにより支持されている。以下、他の図面に
ついても同様である。
【0004】このような端面励起型固体レーザ装置に於
いて、その固体レーザ媒質5を励起する励起光の出力強
度を強くする場合、その励起光の吸収によって固体レー
ザ媒質5が局部的に加熱されて温度上昇し、その固体レ
ーザ媒質5への入熱と固体レーザ媒質5内での熱伝導と
固体レーザ媒質5からの放熱方法とで決まる温度分布と
なる。この局部熱に起因する温度分布は、光軸に対して
平行な面内と光軸に対して垂直な面内とに分けて考える
ことができる。光軸に対して平行な面内の温度分布は励
起光の吸収による減衰を反映して励起光入射面5bが最
も高温で、そこから奥にいくに従い指数関数的に減衰す
る。
【0005】一方、光軸に対して垂直な面内の温度分布
は、励起光源の放射光強度分布が異方性を有する場合に
発生する。よく知られているように、半導体レーザチッ
プ1からの放射光の強度分布は、半導体レーザチップ1
の活性層の延在する方向に対して平行な方向と垂直な方
向とで遍在し、換言すれば異方性を有し、その形状は概
ね楕円形をなす。そして、この半導体レーザチップ1を
励起光源として使用する場合には上記光軸に対して垂直
な面の温度分布に異方性が生じることとなる。これを固
体レーザ媒質5の端面を模式的に示す図6をもって説明
すると、半導体レーザチップ1からの放射光で励起する
励起光の分布状態Lは楕円形をなし、その楕円形の中心
をOとして示している。また、固体レーザ媒質5の光軸
に対して垂直な面内の温度分布は、この励起光を吸収す
ることによる発熱に基づくものであることから、上記励
起光分布を反映して励起光の分布状態Lと相似な形、即
ち楕円形のままレーザ媒質5の光軸に対して垂直な面内
で広がることとなる。
【0006】上記したような半導体レーザチップからの
放射光の光強度分布の異方性を矯正するために、シリン
ドリカルレンズやプリズムをもって励起光を円形にビー
ム整形する方法があるが、完全に矯正することは困難で
あり、実際には整形後も上記の光強度分布の異方性が残
ってしまう。また、固体レーザ媒質の表面の一部に放熱
手段を有する物質を熱的に接触させて、異方的に放熱さ
せることにより、固体レーザ媒質の異方的な発熱を打ち
消すことも考えられるが、固体レーザ媒質であるレーザ
結晶自体の大きさ、即ち放熱手段を有する物質までの距
離が長く、かつレーザ結晶の熱伝導率が金属ほど大きく
ないことから、異方性を解消するほどの放熱効果は必ず
しも期待できない。
【0007】上記励起光分布を反映する異方性の温度分
布により、固体レーザ媒質5に於いて異方性を有する熱
誘起複屈折効果が生じ、固体レーザ装置としての出力限
界を低下させ、レーザ光を高出力化することを阻害して
いた。また、出力可能範囲であっても、低出力域では問
題ないが、高出力域では光出力ビームに収差が含まれる
ことから、例えば光ディスク装置の光源として用いる場
合のように収差に厳しい要求がある用途には不向きであ
った。更に、この光ディスク装置の光源では、光ノイズ
を可及的に小さくすることが望まれており、この実現の
ために、例えば特開平1−220879号公報及び特開
平4−97580号公報などにはレーザ共振器内の基本
波の偏光面を制御する方法が開示されているが、固体レ
ーザ装置の出力を増大させるために励起光を強くすれ
ば、上に記したように固体レーザ媒質の熱誘起複屈折効
果が大きくなるために偏光面制御が困難になり、光源の
光ノイズが小さくならないという短所があった。
【0008】ここで、従来技術に於ける偏光面制御の考
え方について説明する。図2(a)、図2(b)、図2
(c)は、第2高調波を発生させるための半導体レーザ
励起固体レーザ装置の代表的な構成の模式図である。こ
の種の装置に於いては固体レーザ媒質5から第2高調波
発生素子であるKTP結晶6に向かう方向でKTP結晶
6に入射する基本レーザ光の偏光状態を制御することが
共振器内第2高調波発生の安定化のために重要であるこ
とが知られている。上記の入射光(図2中の位置Jから
KTP結晶6に向かう基本レーザ光)の偏光状態を解析
するためには、公知のジョーンズ行列が用いられる。
【0009】共振器内の偏光状態を解析するためのジョ
ーンズ行列は、基本的に、位相遅延の行列C(u)と座
標変換の行列R(v)のみである。これらは、各々下記
の数1及び数2ような行列要素を有している。ただし、
u、vは任意の実数である。
【0010】
【数1】
【0011】
【数2】
【0012】さて、従来技術の実施例に於いては固体レ
ーザ媒質5として等方性結晶であるNd:YAGが用い
られているため、固体レーザ媒質5に於ける熱誘起複屈
折効果は考慮されていない。しかしここでは後での説明
の重複を避けるため、予め固体レーザ媒質5に熱誘起複
屈折効果があることを考慮して、固体レーザ媒質5のリ
タデーション(位相遅延)をξとしておく。また、座標
軸は、タイプ2位相整合のKTP結晶6の常光、異常光
方向にとる。また、固体レーザ媒質5に発生する熱誘起
複屈折効果の軸の方位角をφ、KTP結晶6のリタデー
ションをδ、1/4波長板7のリタデーションを一般に
γ、方位角をθとする。以下一例として図2(a)につ
いて計算するが、固体レーザ媒質5に於ける熱誘起複屈
折効果を考慮しない場合は、後述するように図2
(a)、図2(b)、図2(c)とも結果は同じにな
る。図2(a)中の位置JからKTP結晶6に向かう基
本レーザ光の偏光状態は、以下の1ラウンドトリップの
ジョーンズ行列Mの固有ベクトルを求めることにより解
析される。
【0013】
【数3】
【0014】ジョーンズ行列は、2行2列の行列である
から、一般に2つの固有ベクトル、ψ1及びψ2を持つ。
これらを用いて、基本レーザ光の偏光ベクトル(電界ベ
クトル)
【0015】
【外1】
【0016】は
【0017】
【数4】
【0018】のように表すことができる。ここで、
ω1、ω2は各々の固有偏光状態の発振周波数であり、一
般にω1≠ω2である。
【0019】次に、上式を用いて第2高調波光を発生す
る分極Pを求める。実効非線形光学定数をdeffとする
と分極Pは
【0020】
【数5】
【0021】となる。
【0022】次に分極Pを用いて、第2高調波光強度I
SHGの計算を行う。第2高調波光強度ISHGは分極Pの絶
対値の2乗の時間平均に比例する。よって上式より
【0023】
【数6】
【0024】である。
【0025】上式の第3項は、2つの固有偏光同士の結
合を表しており、これにより2つの固有偏光状態間でエ
ネルギーの授受が生じ、その結果基本レーザ光出力が不
安定になり、これが第2高調波光出力の不安定として現
れることになる。この第3項の係数は、固有偏光結合係
数と呼ばれ、以下C1で表す。つまり
【0026】
【数7】
【0027】である。C1=0とすることができれば、
固有偏光状態の結合がなくなることから、第2高調波光
出力を安定化できる。
【0028】図3は、KTP結晶6のリタデーションδ
をパラメーターとし、固体レーザ媒質5のリタデーショ
ンξを0°として、固有偏光結合係数C1の1/4波長
板7の方位角θに対する依存性をグラフ化したものであ
る。ここで、1/4波長板7のリタデーションγを90
゜とし、KTP結晶6のリタデーションδについて、δ
=30゜、60゜、85゜の3通りの場合を示してい
る。図3より明らかなように、1/4波長板7の方位角
θが45゜の場合にはδに関わらずC1=0となる。こ
のように従来は、固体レーザ媒質5に励起による熱誘起
複屈折効果が発生することが考慮されていなかったた
め、図2(a)、図2(b)、図2(c)の全ての配列
に於いて、1/4波長板7の方位角θを45゜に設定す
ることにより、C1=0とすることができ、第2高調波
光出力が安定に得られるとされていた。
【0029】しかしながら、実際の端面励起型の半導体
レーザ励起固体レーザ装置に於いては、上述のごとく励
起光分布の異方性を解消することは困難であり、従っ
て、固体レーザ媒質の温度分布に異方性が生じ、結果と
して固体レーザ媒質の屈折率に異方性が生じる。即ち、
固体レーザ媒質として等方性媒質を用いたとしても励起
による熱誘起複屈折効果が生じることは避けられないの
である。また、熱誘起複屈折効果は、励起光の強度によ
って状態が変化する。従って、これらのことを考慮しな
いで、C1=0となる条件を設定しても実用上意味がな
いのである。
【0030】
【発明が解決しようとする課題】このような従来技術の
問題点に鑑み、本発明の主な目的は、励起光源の放射光
の光分布が異方性を有するために、固体レーザ媒質に熱
誘起複屈折効果が生じた場合でも安定に偏光面制御を行
い、レーザ光の光ノイズを低減し、ビーム品質の高い緑
色光を安定に得ることができる固体レーザ装置を提供す
ることにある。
【0031】
【課題を解決するための手段】上述した目的は本発明に
よれば、一対のミラーからなる共振器と、前記共振器中
に配置された固体レーザ媒質と、前記固体レーザ媒質の
光軸に対して垂直な面上で異方的に分布する励起光を発
生する励起光源と、波長変換素子であるKTP(KTi
OPO4)結晶と、偏光面制御のための1/4波長板と
を備える固体レーザ装置に於いて、前記励起光源側から
前記固体レーザ媒質、前記KTP結晶及び前記1/4波
長板がこの順序で光路上に配列され、かつ横モード制御
のためのピンホールが前記共振器内に設けられていて、
前記1/4波長板の方位角が前記KTP結晶のタイプ2
の主軸に対して約45゜であることを特徴とする固体レ
ーザ装置を提供することにより達成される。
【0032】ここで、本発明の基礎となる理論計算を説
明する。図4(a)、図4(b)、図4(c)は、固体
レーザ媒質5のリタデーションξをパラメーターとし、
1/4波長板7の方位角θの関数としての固有偏光結合
係数Cをグラフ化したものである。煩雑さを避けるため
個々の計算過程は省略するが、図2(a)、図2
(b)、図2(c)の共振器に対応する固有偏光結合係
数を、各々C1、C2、C3として、各々図4(a)、図
4(b)、図4(c)に示す。簡単のため、図4
(a)、図4(b)、図4(c)に於いては各光学素子
のリタデーションおよび方位角はδ=60゜、γ=90
゜、φ=30゜、ξ=30゜、60゜、85゜を用い
た。これらの値は特に故意に選んだものではなく、一例
として示すものである。図4(a)、図4(b)、図4
(c)よりわかるように、固体レーザ媒質5に於ける熱
誘起複屈折効果を考慮する場合、図2(a)、図2
(b)、図2(c)の共振器は、それぞれ異なる偏光特
性を示すようになる。
【0033】図4(b)、図4(c)では、固体レーザ
媒質5に於いて熱誘起複屈折効果が存在し、よって固体
レーザ媒質5のリタデーションξが変化すると、固有偏
光結合係数C2、C3が0となる1/4波長板7の方位角
θは45゜から外れてしまうことがわかる。従って、第
2高調波出力は不安定になる。再びC2=0またはC3
0とするためには、1/4波長板7を回転して新たに方
位を設定し直さなければならない。しかしながら、励起
光の吸収による熱誘起複屈折効果は、言うまでもなく励
起光の強さによって変わるものであるから、励起光の強
さを変えるとまたリタデーションξが変わり、C2、C3
はやはり0からずれてしまう。従って、図2(b)、図
2(c)の配列の固体レーザ装置に於いては、第2高調
波の出力レベルを変えるために励起光強度を変えるたび
ごとに1/4波長板7の方位角θを変えなければならな
い。更に、固体レーザ媒質5に於ける熱誘起複屈折効果
は、励起光強度のみによって決まるものではなく、周囲
温度や放熱状態によっても変わるので、定量的に制御す
ることは極めて困難である。このように、固体レーザ媒
質5の熱誘起複屈折効果を考慮した場合、図2(b)、
図2(c)の配置の固体レーザ装置に於いて安定な第2
高調波出力を得ることは現実的でないということがわか
る。
【0034】一方、図2(a)の配列の固体レーザ装置
では、図4(a)より明らかなように、固体レーザ媒質
5の熱誘起複屈折効果によるリタデーションξの変化に
よらず、1/4波長板7の方位角θが45゜の時に常に
1=0となる。この性質は、固体レーザ媒質5の主軸
を回転させても変わらない。即ち、図2(a)の配列の
固体レーザ装置に於いては、はじめに1/4波長板7の
方位角θを45゜に設定しておきさえすれば、励起光の
強さや周囲温度などの変化に関わらず安定な第2高調波
が得られることが期待できる。
【0035】以上のことから明らかなように、従来技術
に於いて考慮されていなかった固体レーザ媒質の熱誘起
複屈折効果は、決して無視できるものではなく、第2高
調波光を発生するための共振器内の素子の配列は、熱誘
起複屈折効果を考慮して決定されなければならない。そ
こで本発明に於いては、固体レーザ共振器内に、励起光
源側から固体レーザ媒質、KTP結晶、1/4波長板を
この順序で配列する。1/4波長板の方位角θはKTP
結晶に対して45゜とする。また、共振器内にピンホー
ルを挿入する。
【0036】
【作用】このようにすれば、励起光強度の変化による固
体レーザ媒質の熱誘起複屈折効果の変化に依存すること
なく、安定な偏光面制御が可能となり、低ノイズの緑色
光を得ることができる。また、熱誘起複屈折効果による
レーザビームの収差の発生は、共振器内にピンホールを
挿入することによって抑制できる。更に、固体レーザ媒
質の少なくとも一方の端面に共振器ミラーコーティング
を施すことにより、構造を単純化できる。
【0037】
【実施例】以下、本発明の好適実施例を添付の図面につ
いて詳しく説明する。
【0038】図1は、本発明が適用された実施例に於け
る固体レーザ装置の構成を示す模式的斜視図である。本
実施例に於いては固体レーザ媒質5はNd:YAGとす
る。AlGaAs系半導体レーザチップ1から放射され
た励起光(808nm)は集光レンズ2で集められ、固
体レーザ媒質5に照射され、固体レーザ媒質5を励起
し、自然放出光(1064nm)を生じさせる。固体レ
ーザ媒質5から放射された自然放出光は、ピンホール
8、KTP結晶6、1/4波長板7を通って共振器ミラ
ー4で反射され、もと来た光路を逆に通って固体レーザ
媒質5に戻り、固体レーザ媒質5内で誘導放出により増
幅されつつ、固体レーザ媒質5の励起側端面に施した共
振器ミラーコーティング5aにより反射され、共振器内
を往復する。こうして共振器ミラーコーティング5a及
び共振器ミラー4の設定がレーザ発振の条件を満足すれ
ばレーザ発振を生じる。発振した基本レーザ光は非線形
光学素子であるKTP結晶6内で波長変換され、第2高
調波(532nm)となり、共振器ミラー4から出力さ
れる。ピンホール8は、半導体レーザ励起による固体レ
ーザ媒質5の異方的熱誘起複屈折効果に基づく固体レー
ザビームの収差を抑制するためのものである。1/4波
長板7は、基本レーザ光(1064nm)の偏光面を制
御するためのものである。本実施例によれば、低ノイズ
でビーム品質の高い緑色光である第2高調波光が容易に
得られる。
【0039】尚、本実施例に於いては、固体レーザ媒質
5としてNd:YAGを用いたが、これに限るものでは
なく等方性結晶であれば、他の固体レーザ媒質でも良
い。
【0040】
【発明の効果】以上の説明により明らかなように、本発
明による固体レーザ装置によれば、放射光の光分布が異
方性を有する励起光源を用いることで、固体レーザ媒質
に熱誘起複屈折効果が生じた場合でも安定に偏光面制御
を行い、レーザ光源の光ノイズを低減することができ、
かつ高ビーム品質の第2高調波光が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示す模式的斜視図である。
【図2】従来の端面励起型半導体レーザ励起固体レーザ
装置を示す図であり、(a)部は半導体レーザチップ側
から固体レーザ媒質、KTP結晶、1/4波長板の順序
に配列された端面励起型半導体レーザ励起固体レーザ装
置の模式図、(b)部は半導体レーザチップ側から固体
レーザ媒質、1/4波長板、KTP結晶の順序に配列さ
れた端面励起型半導体レーザ励起固体レーザ装置の模式
図、(c)部は半導体レーザチップ側から1/4波長
板、固体レーザ媒質、KTP結晶の順序に配列された端
面励起型半導体レーザ励起固体レーザ装置の模式図であ
る。
【図3】固体レーザ媒質に於ける熱誘起複屈折効果を考
慮しない場合の固有偏光結合係数の1/4波長板方位角
依存性を示す図である。
【図4】本発明の基礎となる、固体レーザ媒質に於ける
熱誘起複屈折効果を考慮した場合の固有偏光結合係数の
1/4波長板方位角依存性を示す図であり、(a)部は
図2(a)の共振器に対する計算例を示す図、(b)部
は図2(b)の共振器に対する計算例を示す図、(c)
部は図2(c)の共振器に対する計算例を示す図であ
る。
【図5】端面励起型半導体レーザ励起固体レーザ装置の
構成を示す斜視的模式図である。
【図6】励起光の強度分布と固体レーザ媒質の温度分布
とを併せて示す図5の要部拡大正面図である。
【符号の説明】 1 半導体レーザチップ 2 集光レンズ 3 共振器ミラー 4 共振器ミラー 5 固体レーザ媒質 5a 共振器ミラーコーティング 5b 励起光入射面 6 KTP結晶 7 1/4波長板 8 ピンホール
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年12月9日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正内容】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、半導体レーザや他の光
源からの光を直接あるいは光ファイバなどで導光し、こ
を励起光として固体レーザ媒質を端面励起する固体レ
ーザ装置に関するものである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0003
【補正方法】変更
【補正内容】
【0003】上記の端面励起型固体レーザ装置の構成の
一例を図5に示す。励起光源としての半導体レーザ1
らの放射光の光軸上に集光レンズ2と、共振器としての
一対の共振器ミラー3・4及び前記共振器ミラー3・4
間に設けられた円柱状の固体レーザ媒質5とから構成さ
れる。尚、図示されていないが、これら半導体レーザ1
と、集光レンズ2と、共振器ミラー3・4及び固体レー
ザ媒質5はその光学的位置関係を維持するホルダーなど
により支持されている。以下、他の図面についても同様
である。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正内容】
【0005】一方、光軸に対して垂直な面内の温度分布
は、励起光源の放射光強度分布が異方性を有する場合に
発生する。よく知られているように、半導体レーザ1
らの放射光の強度分布は、半導体レーザ1の活性層の延
在する方向に対して平行な方向と垂直な方向とで遍在
し、換言すれば異方性を有し、その形状は概ね楕円形を
なす。そして、この半導体レーザ1を励起光源として使
用する場合には上記光軸に対して垂直な面の温度分布に
異方性が生じることとなる。これを固体レーザ媒質5の
端面を模式的に示す図6をもって説明すると、半導体レ
ザ1からの放射光で励起する励起光の分布状態Lは楕
円形をなし、その楕円形の中心をOとして示している。
また、固体レーザ媒質5の光軸に対して垂直な面内の温
度分布は、この励起光を吸収することによる発熱に基づ
くものであることから、上記励起光分布を反映して励起
光の分布状態Lと相似な形、即ち楕円形のままレーザ媒
質5の光軸に対して垂直な面内で広がることとなる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正内容】
【0006】上記したような半導体レーザからの放射光
の光強度分布の異方性を矯正するために、シリンドリカ
ルレンズやプリズムをもって励起光を円形にビーム整形
する方法があるが、完全に矯正することは困難であり、
実際には整形後も上記の光強度分布の異方性が残ってし
まう。また、固体レーザ媒質の表面の一部に放熱手段を
有する物質を熱的に接触させて、異方的に放熱させるこ
とにより、固体レーザ媒質の異方的な発熱を打ち消すこ
とも考えられるが、固体レーザ媒質であるレーザ結晶自
体の大きさ、即ち放熱手段を有する物質までの距離が長
く、かつレーザ結晶の熱伝導率が金属ほど大きくないこ
とから、異方性を解消するほどの放熱効果は必ずしも期
待できない。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正内容】
【0014】ジョーンズ行列は、2行2列の行列である
から、一般に2つの固有ベクトルを持つ。これらを用い
て、基本レーザ光の偏光ベクトル(電界ベクトル)
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】変更
【補正内容】
【0031】
【課題を解決するための手段】上述した目的は本発明に
よれば、一対のミラーからなる共振器と、前記共振器中
に配置された等方性固体レーザ媒質と、前記固体レーザ
媒質を端面励起するべく発振光軸に対して垂直な面上で
異方的に分布する励起光を発生する励起光源と、波長変
換素子であるKTP(KTiOPO4)結晶と、偏光面
制御のための1/4波長板とを備える固体レーザ装置に
於いて、前記励起光源側から前記固体レーザ媒質、前記
KTP結晶及び前記1/4波長板がこの順序で光路上に
配列され、かつ横モード制御のためのピンホールが前記
共振器内に設けられていて、前記KTP結晶の異常光方
向に対する前記1/4波長板の異常光方向の方位角が
45゜であることを特徴とする固体レーザ装置を提供す
ることにより達成される。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0036
【補正方法】変更
【補正内容】
【0036】
【作用】このようにすれば、励起光強度の変化による固
体レーザ媒質の熱誘起複屈折効果の変化に依存すること
なく、安定な偏光面制御が可能となり、低ノイズの緑色
光を得ることができる。また、熱誘起複屈折効果による
レーザビームの収差の発生は、共振器内にピンホールを
挿入することによって抑制できる。更に、固体レーザ媒
質の励起光源側端面に共振器ミラーコーティングを施す
ことにより、構造を単純化できる。更にまた、1/4波
長板の励起光源側と相反する側の面に共振器ミラーコー
ティングを施すことにより、更に構造を単純化できる。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0038
【補正方法】変更
【補正内容】
【0038】図1は、本発明が適用された実施例に於け
る固体レーザ装置の構成を示す模式的斜視図である。本
実施例に於いては固体レーザ媒質5はNd:YAGとす
る。AlGaAs系半導体レーザ1から放射された励起
光(808nm)は集光レンズ2で集められ、固体レー
ザ媒質5に照射され、固体レーザ媒質5を励起し、自然
放出光(1064nm)を生じさせる。固体レーザ媒質
5から放射された自然放出光は、ピンホール8、KTP
結晶6、1/4波長板7を通って共振器ミラー4で反射
され、もと来た光路を逆に通って固体レーザ媒質5に戻
り、固体レーザ媒質5内で誘導放出により増幅されつ
つ、固体レーザ媒質5の励起側端面に施した共振器ミラ
ーコーティング5aにより反射され、共振器内を往復す
る。こうして共振器ミラーコーティング5a及び共振器
ミラー4の設定がレーザ発振の条件を満足すればレーザ
発振を生じる。発振した基本レーザ光は非線形光学素子
であるKTP結晶6内で波長変換され、第2高調波(5
32nm)となり、共振器ミラー4から出力される。ピ
ンホール8は、半導体レーザ励起による固体レーザ媒質
5の異方的熱誘起複屈折効果に基づく固体レーザビーム
の収差を抑制するためのものである。1/4波長板7
は、基本レーザ光(1064nm)の偏光面を制御する
ためのものであり、その方位角をKTP結晶6に対して
45°に設定してある。本実施例によれば、低ノイズで
ビーム品質の高い緑色光である第2高調波光が容易に得
られる。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示す模式的斜視図である。
【図2】従来の端面励起型半導体レーザ励起固体レーザ
装置を示す図であり、(a)部は半導体レーザ側から固
体レーザ媒質、KTP結晶、1/4波長板の順序に配列
された端面励起型半導体レーザ励起固体レーザ装置の模
式図、(b)部は半導体レーザ側から固体レーザ媒質、
1/4波長板、KTP結晶の順序に配列された端面励起
型半導体レーザ励起固体レーザ装置の模式図、(c)部
は半導体レーザ側から1/4波長板、固体レーザ媒質、
KTP結晶の順序に配列された端面励起型半導体レーザ
励起固体レーザ装置の模式図である。
【図3】固体レーザ媒質に於ける熱誘起複屈折効果を考
慮しない場合の固有偏光結合係数の1/4波長板方位角
依存性を示す図である。
【図4】本発明の基礎となる、固体レーザ媒質に於ける
熱誘起複屈折効果を考慮した場合の固有偏光結合係数の
1/4波長板方位角依存性を示す図であり、(a)部は
図2(a)の共振器に対する計算例を示す図、(b)部
は図2(b)の共振器に対する計算例を示す図、(c)
部は図2(c)の共振器に対する計算例を示す図であ
る。
【図5】端面励起型半導体レーザ励起固体レーザ装置の
構成を示す斜視的模式図である。
【図6】励起光の強度分布と固体レーザ媒質の温度分布
とを併せて示す図5の要部拡大正面図である。
【符号の説明】 1 半導体レーザ 2 集光レンズ 3 共振器ミラー 4 共振器ミラー 5 固体レーザ媒質 5a 共振器ミラーコーティング 5b 励起光入射面 6 KTP結晶 7 1/4波長板 8 ピンホール
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01S 3/109 8934−4M

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一対のミラーからなる共振器と、前記
    共振器中に配置された固体レーザ媒質と、前記固体レー
    ザ媒質の光軸に対して垂直な面上で異方的に分布する励
    起光を発生する励起光源と、波長変換素子であるKTP
    (KTiOPO4)結晶と、偏光面制御のための1/4
    波長板とを備える固体レーザ装置に於いて、 前記励起光源側から前記固体レーザ媒質、前記KTP結
    晶及び前記1/4波長板がこの順序で光路上に配列さ
    れ、かつ横モード制御のためのピンホールが前記共振器
    内に設けられたことを特徴とする固体レーザ装置。
  2. 【請求項2】 前記1/4波長板の方位角が前記KT
    P結晶のタイプ2の主軸に対して約45゜であることを
    特徴とする請求項1に記載の固体レーザ装置。
  3. 【請求項3】 前記共振器に於ける前記固体レーザ媒
    質の少なくとも一方の端面に共振器ミラーコーティング
    を施したことを特徴とする請求項1若しくは請求項2に
    記載の固体レーザ装置。
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