JPH06342947A - 多孔質圧電体の製造方法及びポリマ−圧電性多孔膜 - Google Patents

多孔質圧電体の製造方法及びポリマ−圧電性多孔膜

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JPH06342947A
JPH06342947A JP15617293A JP15617293A JPH06342947A JP H06342947 A JPH06342947 A JP H06342947A JP 15617293 A JP15617293 A JP 15617293A JP 15617293 A JP15617293 A JP 15617293A JP H06342947 A JPH06342947 A JP H06342947A
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porous film
porous
piezoelectric
film
polymer
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JP15617293A
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Nobuhiro Moriyama
信宏 森山
Kazumoto Suzuki
和元 鈴木
Kenichi Nakamura
謙一 中村
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Kureha Corp
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  • Manufacture Of Porous Articles, And Recovery And Treatment Of Waste Products (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 空気放電や絶縁破壊を抑えて、圧電性材料か
らなる多孔膜に圧電性付与のための分極処理を施す方法
を提供する。 【構成】 多孔膜は、好ましくはそれに予め絶縁油を含
浸させおいて、誘電体シートで挾んで分極処理される。
特に、ポリマー圧電材料好ましくはβ型結晶化された弗
化ビニリデン系樹脂からなり、平均細孔径が0.01〜
20μmの連通孔からなる多孔膜を分極処理して得られ
るポリマー圧電性多孔膜は、圧電特性に優れている。用
いられる絶縁油としては、フルオロカーボン類、パーフ
ルオロポリエーテル類或いは弗素化アルコール類などの
不燃性、常温で液体、沸点があまり高くなく乾燥除去が
容易なものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、多孔膜に分極処理を施
して圧電性を付与する方法、および優れた圧電特性のポ
リマー圧電性多孔膜に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、分極処理した弗化ビニリデン系樹
脂をはじめとするフィルム状のポリマー圧電体或いは板
状や筒状で供給されるチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)
のようなセラミック圧電体が知られており、マイクロホ
ン、ハイドロホン、スピーカー振動体または焦電変換素
子などとして、広範な用途への適用が提案され、或いは
実用化されている。
【0003】一方、多孔質圧電体に関しては、特公平2
−19984号公報に高分子物質と圧電性無機物微粒子
と無機微粉体との混合物を溶融成形によりシート状とな
し、続いて分極処理ののち無機微粉体のみを抽出・除去
する工程を経て多孔質化し、複合多孔質圧電体を得る方
法が開示されている。
【0004】
【発明が解決すべき課題】しかしながら、上述のフィル
ム状等のポリマーおよびセラミック圧電体は、表裏面に
連通した孔を有する構造ではなく、そこで用いられてい
る製造技術を連通孔を有する多孔膜に適用しようとする
と、膜材料内に空間が存在するために分極処理(以下、
ポーリングとも称す)において空気放電や絶縁破壊が起
き、高電界を印加できないとか、電圧印加用の電極との
接触が悪く、均一に電界がかからないという問題があ
る。
【0005】さらに、上記従来の複合多孔質圧電体の製
造方法では、分極後に、無機微粉体を抽出するという注
意深い操作が要求される工程が新たに必要となり、また
抽出時に圧電性無機物微粒子が動いて分極方向がくず
れ、結果として圧電定数が低下する恐れがある。因み
に、前記特許公報の実施例に記された複合多孔質圧電体
の圧電ひずみ定数を見ると、用いられた圧電性無機物微
粒子の持つ優れた圧電特性(ポリマー圧電材料に比べて
1オーダー程度高い)を十分に利用していず、改善の余
地を残している。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上述の課
題を解決すべく研究している過程で、多孔膜を出発材料
として用い、好ましくは絶縁油を含浸させた多孔膜を誘
電体シートで挾んで分極処理する着想を得た。そして、
該分極方法によって、空気放電や絶縁破壊が抑えられて
十分な電界を膜材料に印加できること、さらに、それに
よってポリマー圧電材料から製作された多孔膜が優れた
圧電特性を示すことを見い出し、本発明に到達した。
【0007】すなわち本発明は、多孔膜を誘電体シート
で挾んで分極処理することを特徴とする多孔質圧電体の
製造方法に関する。本発明方法においては、予め多孔膜
に絶縁油を含浸させておいて、分極処理後に該絶縁油を
除去することが好ましい。さらに本発明は、ポリマー圧
電材料好ましくはβ型結晶化された弗化ビニリデン系樹
脂からなり、平均細孔径が0.01〜20μmの連通孔
からなる多孔膜を分極処理して得られる圧電特性に優れ
たポリマー圧電性多孔膜を提供する。
【0008】
【作用】多孔膜を誘電体シートで挾んで分極処理する本
発明方法によれば、誘電体シートの存在により荷電空間
での絶縁破壊が生じ難くなり、膜表面での荷電圧を配向
分極に必要なレベル以上にまで高めることができる。そ
れに加えて、誘電体シートは、膜と電極面との接触不良
や針電極による電界の不均一性を低減するのに役立つ。
さらに、予め多孔膜に絶縁油を含侵させておく方法を採
用すれば、上述のような膜荷電量の増加はより一層促進
される。
【0009】
【発明の具体的説明】本発明において、多孔質圧電体お
よびポリマー圧電性多孔膜は、本発明多孔膜の結晶に配
向分極を付与したものを言う。そこで用いられる多孔膜
は、圧電性を付与可能な材料(本発明では圧電性材料と
称す)を含有し、かつ小さい寸法の開放細孔或いは管構
造からなる膜の表裏面に実質的に連通した連通孔が形成
されたシート体及び筒状中空体である。そして、この限
りにおいて多孔膜は、圧電性材料としてポリマー圧電材
料またはセラミック圧電材料のいずれを用いて形成され
たものであっても、また特公平2−19984号公報に
記載のような高分子物質と圧電性無機物微粒子との複合
多孔質圧電体であってもよい。
【0010】さらに、多孔膜は、通気(液)性能や機械
的強度などを勘案すると、その容積の30〜90%、特
に50〜80%が連通孔によって占められており(この
連通孔の容積割合を空孔率と称す)、平均の細孔径が
0.01〜20μm、特に0.1〜5μmのものが好適
である。また、単層の膜としての肉厚は10〜2000
μmの範囲から選ばれるのがよい。肉厚が2000μm
以上であると、分極にますます高電圧が必要となるた
め、分極処理が極めて困難となる。
【0011】本発明のポリマー圧電材料としては、比較
的高い耐熱性を有するシアン化ビニリデン−酢酸ビニル
共重合体やポリアミド系樹脂が好適に用いられるほか、
優れた圧電特性の弗化ビニリデン系樹脂(PVDF系樹
脂)が好ましく、中でも圧電性発現に適したβ型結晶化
のため膜成形時に強溶媒の使用或いは一軸延伸の必要な
弗化ビニリデン(VDF)単独重合体に比べて、通常の
結晶化条件のもとでもβ型結晶化が可能なVDF系共重
合体[例えば優位量のVDFと劣位量の弗化ビニル、三
弗化エチレン(TrFE)、四弗化エチレン、三弗化塩
化エチレン或いは六弗化プロピレンなどとの共重合体]
が好ましく、更には優位量(特に70〜80モル%)の
VDFと劣位量(特に30〜20モル%)のTrFEと
の共重合体が特に好ましく用いられる。
【0012】上述のポリマー圧電材料からなる多孔膜
は、(1)圧電材料を良溶媒および良溶媒と混和しうる
非溶媒の混合溶液に溶解し、基体上に一定の厚さに流延
または適用した後、注意深く混合溶液を蒸発除去する乾
式法、(2)圧電材料を良溶媒に溶解し、基体上に一定
の厚さに流延または適用した後、非溶媒で良溶媒を抽出
する湿式法、(3)膜を特定の条件下において延伸する
延伸法、(4)放射線照射により膜に照射損傷を形成
し、それを化学エッチングにより拡大する方法、(5)
溶出可能な物質を圧電材料中に混練しておき、成膜後に
それを除去する方法、(6)膜を機械的にまたはレーザ
ービームで穿孔する方法など数多くの方法により製造す
ることができる。
【0013】これらの方法の中で、湿式法が特に簡便で
あり、厚さ10〜300μm程度で所望の性状の多孔膜
を再現よく製作できるため、最も好ましく採用される。
また、(1)、(2)、(3)および(5)の方法によ
る多孔膜は、多数の微細な繊維状物が互いに結合しなが
ら複雑に絡み合っており、該繊維状物の間に連続性の空
隙(連通孔)が形成された編目状構造をもって得られ
る。
【0014】PVDF系樹脂に対する上記良溶媒として
は、樹脂を塗膜形成に適した溶液濃度に溶解し得るもの
であればよく、例えば、ジメチルアセトアミド(DM
A)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ヘキサメチル
燐酸トリアミド(HMPTA)、アセトン、2−ブタノ
ン、ジメチルスルフォキサイド、シクロヘキサノン等の
有極性有機溶媒を例示し得る。特に、VDF単独重合体
の場合、該単独重合体をβ型結晶化するためには、DM
A、DMF、HMPTA等の強溶媒が好ましく用いられ
る。また、水は好ましい非溶媒であるが、メタノール、
エタノールのような他の非溶媒を用いてもよい。無論、
選択する非溶媒は、使用する良溶媒と混和可能でなけれ
ばならない。
【0015】本発明のセラミック圧電材料としては、ペ
ロブスカイト型結晶構造を持つPZTやチタン酸バリウ
ムに代表されるような強誘電体セラミックを挙げること
ができる。本発明の多孔膜は、このような圧電性を有す
るセラミック微粒子を焼結しても、また例えば特公平2
−19984号公報に従って、該微粒子を高分子物質中
に分散したのち孔形成のための処理を行うことによって
も得ることができる。高分子物質としては、分極処理を
施してもそれ自体には圧電性を付与することができない
四弗化エチレン樹脂やポリプロピレン樹脂等の有機高分
子物質を用いることができるが、前記のポリマー圧電材
料を用いることが好ましい。セラミック微粒子は、10
0μm以下の大きさものが有効であり、高分子物質に対
して体積比で0.1〜1の割合で混合される。
【0016】図1と図2は従来のポーリング方法の説明
図、図3は本発明のポーリング方法の説明図である。図
1は、多孔膜1の両表面に直接板状電極2,2を対峙し
接触させて多孔質膜1に電界を印加する方法である。ま
た、図2は、一方の高圧側電極を針電極3に代えて、コ
ロナ放電により膜表面に荷電する方法である。この従来
法により多孔膜1を処理すると、膜材料内に空間が存在
するために、空気放電や絶縁破壊が起き易く、高電界を
印加できない、板状電極2,2と多孔膜1との接触が悪
く、均一に電界がかからないという不都合が見られる。
図の符号5は高電圧電源である。
【0017】一方、図3に示す本発明方法は、多孔膜1
を誘電体シート4,4で挾んでポーリングを施すもので
ある。ポーリングは、常温〜200℃(ポリマー材料の
場合、ポリマーの融点)の温度で、10〜3000KV
/cmの電界を加え、室温まで徐冷することにより行う
ことができる。この方法によれば、誘電体シートの存在
により荷電空間での絶縁破壊が生じ難くなり、膜表面
(図の上面)での荷電圧を高めることができる。それに
加えて、膜と電極面との接触不良や針電極3による電界
の不均一性は、誘電体シート4,4による分圧のため低
下する。その結果として、圧電性発現に必要な十分な電
界を膜材料に印加でき、圧電特性に優れた多孔質圧電体
を得ることができる。さらに、予め多孔膜1に絶縁油を
含侵させておく方法を採用すれば、荷電圧の更なる増大
が可能となり、より一層の効果がもたらされる。ポーリ
ング後、絶縁油は多孔膜1から乾燥などにより除去され
る。この本発明方法は、ポリマー圧電材料から形成され
た多孔膜1に対して、特に有効である。
【0018】本発明に従えば、圧電定数の一つである静
水圧電圧ひずみ定数(dh 定数)として、0.4〜10
0pC/N(ピコクーロン/ニュートン)の多孔質圧電
体および0.4〜8pC/Nのポリマー圧電性多孔膜が
好ましく得られる。
【0019】ここで、誘電体シートとしては、電気絶縁
性であって耐熱性・耐電圧性に優れたシートが用いら
れ、例示すればポリエチレン、ポリプロピレンやα−ポ
リオレフィンなどのオレフィン系樹脂のシート、ポリエ
ステル、ポリスチレン、ポリ弗化ビニリデン、ポリカー
ボネート、四弗化エチレン、ポリフェニレンスルフィ
ド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどの合成樹
脂のシート、それらの2種類以上の共重合体やブレンド
成形物や無極性ガラス板などが挙げられる。これらの中
で、多孔膜に対する誘電体シートの厚み方向の抵抗比
が、1/100乃至100、特に同程度(1/10乃至
10)である誘電体シートが好ましく用いられる。ま
た、誘電体シートの厚みは、いたずらに電圧降下をもた
らさないために、多孔膜の厚みと同一乃至その1/10
程度とされる。
【0020】また、絶縁油を例示すれば、トリクロロト
リフルオロエタン、テトラクロロジフルオロエタン、ジ
ブロモテトラフルオロエタン、トリクロロモノフルオロ
メタン、パーフルオロヘプタン、パーフルオロヘキサ
ン、パーフルオロオクタンなどのフルオロカーボン類、
パーフルオロポリエーテル類或いはペンタフルオロプロ
パノールなどの弗素化アルコール類で代表される不燃
性、常温で液体、沸点があまり高くなく乾燥除去が容易
などの特徴を有するものである。本発明では、25℃、
2.54mm・gapでの絶縁耐力が、10KV以上、
好ましくは25KV以上の絶縁油が好ましく用いられ
る。
【0021】ポリマー圧電性多孔膜の場合、その通気
(液)性や圧電性を阻害することなく、表面に電極を形
成することができる。図4にそのような電極形成がなさ
れた圧電体(以下、多孔質ポリマー圧電素子と称す)を
示す。この多孔質ポリマー圧電素子10は、ポリマー圧
電性多孔膜6とその両表面に埋入された多孔シート状電
極7からなる。多孔シート状電極7の孔径、厚み、開口
率は、それぞれ20〜350μm、10〜300μm、
30〜80%の範囲から選ばれるのが好ましく、電極の
具体例としてはパンチングメタル、金網(好ましくは4
0〜500メッシュ)などである。
【0022】上述のような電極7をポリマー圧電材料か
らなる多孔膜6の表面に埋入するには、前記良溶媒やポ
リマーを膨潤できる溶媒などで多孔膜6の表面を軽く処
理して電極を圧着する、多孔膜形成時に予め多孔シート
状電極7をセットしておき、前記湿式法或いは乾式法で
成膜するなどの方法がある。ポーリングは、電極形成の
前後どちらでも可能である。また、電極の埋入状態は、
膜表面に完全埋没であっても、アンカー効果が発現して
必要な電極剥離強度が得られるのに充分ならば部分的埋
入であってもよい。
【0023】本発明の多孔質ポリマー圧電素子10にお
ける電極形成の態様は、フィルタと電気−機械(音響)
変換素子の機能を併せ持つためには好ましいものであ
る。なぜならば、金属蒸着、箔電極の接着剤貼付或いは
金属溶射などの他の電極形成法では、特にフィルタ性能
の著しい低下がもたらされるからである。
【0024】本発明の多孔質圧電体、ポリマー圧電性多
孔膜および多孔質ポリマー圧電素子は、圧電体としての
一般的用途に用いられるだけでなく、圧電性と濾過性を
共有するという特徴を生かし振動フィルタ或いは医療用
材料としても用いられる。交流電圧を印加することによ
り振動を発生させた振動フィルタは、目詰まり防止効果
が期待されている。
【0025】
【実施例】以下、実施例および比較例により、本発明を
更に具体的に説明する。これらの例で作成した多孔膜お
よびポリマー圧電性多孔質膜については、次の特性を評
価した。
【0026】圧電特性:以下の方法でdh 定数を測定し
て求めた。まず、ポーリング後の多孔膜の両面に、導電
性スプレー塗料((株)シントーケミトロン製、Shi
ntron E−63)を用い、塗布と乾燥を数回繰り
返して表面電気抵抗が10Ω/□以下となるように電極
を形成する。続いて、測定用に1.5cm×2cmに切
り出した資料を耐圧容器に入れたシリコン油中に浸漬
し、容器に窒素ガス源から圧力P(ニュートン(N)/
2 )を加えながら資料の電荷量Q(クーロン(C))
を測定する。そして、ゲージ圧2kg/cm2 近辺での
圧力上昇dPに対する電荷の増加量dQを得、下式で計
算した。 dh =(dQ/dP)/A 単位は、C/Nである。ここで、Aは電極面積(m2
である。なお、本実施例の圧電材料ではdh 定数は負の
値となるが、本発明では絶対値としてその大きさのみを
示す。
【0027】空孔率:多孔膜の見かけの体積に占める空
隙の割合(百分率)であり、膜の重量と固体ポリマーの
密度とから計算して求めた。 平均細孔径:多孔膜表面の電子顕微鏡写真より求めた。
【0028】多孔膜の製造例 まず、VDF/TrFE(75/25モル比)共重合体
(呉羽化学工業(株)製)を、常温にてアセトン溶液中
で攪拌・溶解し、5重量%ポリマー濃度の溶液とした。
この溶液をガラス板上にキャストした後、水浴中に30
分間浸漬し、乾燥して膜厚130μmの多孔膜1を得
た。用いた共重合体の固有粘度は、ポリマー濃度0.4
g/dl、温度30℃のDMF溶液として、3.0dl
/gであった。
【0029】得られた膜の空孔率は70%、平均細孔径
は約0.45μmであった。また、キャスト後に溶媒の
抽出・置換を行なわず、そのまま乾燥して得られた透明
なフィルムについて、赤外線吸収スペクトルでα型結晶
の吸収波長538cm-1とβ型結晶の吸収波長510c
-1との吸光度比より求めたβ型結晶の割合は92%で
あった。このことから、多孔膜1についても同様に結晶
構造は実質的にβ型結晶であると言える。
【0030】比較例1 上記製造例で得られた多孔膜1を10cm四方の大きさ
に切断し、その両面に対向して8cm四方の錫箔電極
2,2を密着させ、図1に示す方法により常温でポーリ
ングを行なった。高電圧電源5(パルス電子(株)製、
HDV−100K3SS)の出力電圧Vp を徐々に増加
させたが、空気放電や絶縁破壊のため1〜3KVまでし
か印加できなかった。ポーリングを施した多孔膜のdh
定数は電界不足のため、0.1pC/N以下でり、圧電
性に乏しいものであった。
【0031】比較例2 錫箔電極の一方を針電極3として電極間距離約1cmで
コロナ荷電したことを除いて比較例1と同様にして、図
2に示すポーリングを行なった。出力電圧Vpは、やは
り絶縁破壊のため10KVまでしか印加できなかった
が、この最高電圧で50秒間保持した。多孔膜を外した
ときの放電の電圧降下は約7KVであった。この場合、
実際に被処理膜に印加された電圧は経験的に2〜3KV
程度と推定される。ポーリングを施した多孔膜のdh
数は電界不足のため、0.1pC/N以下であり、圧電
性に乏しいものであった。
【0032】実施例1 厚み30μmのPVDF系一軸延伸シート4,4で多孔
膜1をサンドイッチしたものをコロナ荷電したことを除
いて比較例2と同様にして、図3に示すポーリングを行
なった。出力電圧Vp は、やはり絶縁破壊のため14K
Vまでしか印加できなかったが、この最高電圧で50秒
間保持した。得られたポリマー圧電性多孔膜のdh 定数
は、0.69pC/N(=2.1×10-8cgs.es
u)であった。連通孔の性状に変化はなかった。
【0033】実施例2 絶縁油としてのパーフルオロポリエーテル油(沸点97
℃、25℃/2.54mm・gapでの絶縁耐力40K
V)中に多孔膜1を浸漬して、該油を予め含浸した多孔
膜1を用いたことを除いて、実施例1と同様にしてポー
リングを行ない、35KVの出力電圧Vp で50秒間保
持した。続いて、多孔膜を真空中で乾燥し、パーフルオ
ロポリエーテル油を除去した。得られたポリマー圧電性
多孔膜のdh 定数は、2.1pC/N(=6.3×10
-8cgs.esu)であった。連通孔の性状に変化はな
かった。
【0034】
【発明の効果】多孔膜を誘電体シートで挾んで分極処理
する本発明方法によれば、誘電体シートの存在により荷
電空間での絶縁破壊が生じ難くなり、膜表面での荷電圧
を高めることができる。さらに、膜と電極面との接触不
良や針電極による電界の不均一性は、誘電体シートによ
る分圧のため低減される。その結果として、圧電性発現
に必要な十分な電界を膜材料に印加でき、圧電特性に優
れた多孔質圧電体を得ることができる。さらに、予め多
孔膜に絶縁油を含侵させておく方法を採用すれば、荷電
圧の更なる増大が可能であり、より一層の効果がもたら
される。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のポーリング方法の説明図。
【図2】従来の別のポーリング方法の説明図。
【図3】本発明のポーリング方法の説明図。
【図4】本発明の多孔質ポリマー圧電素子を示す側面
図。
【符号の説明】
1:多孔膜 2,2:箔電極 3:針電極 4:誘電体フィルム 5:高電圧電源 6:ポリマー圧電性多孔膜 7:多孔シート状電極 10:多孔質ポリマー圧電素子
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年3月16日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 圧電性材料からなる多孔膜を誘電体シー
    トで挾んで分極処理することを特徴とする多孔質圧電体
    の製造方法。
  2. 【請求項2】 多孔膜に絶縁油を含浸させ、分極処理後
    に該絶縁油を除去する請求項1に記載の多孔質圧電体の
    製造方法。
  3. 【請求項3】 ポリマー圧電材料からなり、平均細孔径
    が0.01〜20μmの連通孔からなる多孔膜を分極処
    理して得られるポリマー圧電性多孔膜。
  4. 【請求項4】 多孔膜がβ型結晶化された弗化ビニリデ
    ン系樹脂からなる請求項3に記載のポリマー圧電性多孔
    膜。
JP15617293A 1993-06-01 1993-06-01 多孔質圧電体の製造方法及びポリマ−圧電性多孔膜 Pending JPH06342947A (ja)

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