JPH06340771A - ポリオレフィン−デンプン系成形用組成物 - Google Patents

ポリオレフィン−デンプン系成形用組成物

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JPH06340771A
JPH06340771A JP14302193A JP14302193A JPH06340771A JP H06340771 A JPH06340771 A JP H06340771A JP 14302193 A JP14302193 A JP 14302193A JP 14302193 A JP14302193 A JP 14302193A JP H06340771 A JPH06340771 A JP H06340771A
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JP
Japan
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starch
component
polyolefin resin
polyolefin
unsaturated carboxylic
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JP14302193A
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English (en)
Inventor
Nobuo Shiraishi
信夫 白石
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Mitsubishi Corp
Japan Maize Products Co Ltd
JSP Corp
Nihon Shokuhin Kako Co Ltd
Idemitsu Fine Composites Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Corp
CALP Corp
Japan Maize Products Co Ltd
JSP Corp
Nihon Shokuhin Kako Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 加工性、熱流動性及び光分解性に優れ、実用
上十分な機械的強度を有するポリオレフィン系成形用組
成物の提供。 【構成】 不飽和カルボン酸若しくはその誘導体で変性
されたポリオレフィン樹脂、または不飽和カルボン酸若
しくはその誘導体で変性されたポリオレフィン樹脂と未
変性ポリオレフィン樹脂との混合物(A)及びデンプン
系材料(B)を含有するポリオレフィン−デンプン系成
形用組成物。不飽和カルボン酸若しくはその誘導体で変
性されたポリオレフィン樹脂、または不飽和カルボン酸
若しくはその誘導体で変性されたポリオレフィン樹脂と
未変性ポリオレフィン樹脂との混合物(A)、デンプン
系材料(B)及び可塑剤(C)を含有するポリオレフィ
ン−デンプン系成形用組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はポリオレフィン−デンプ
ン系成形用組成物に関し、詳しくは該組成物を用いて得
られる成形品が十分な機械的強度を有し、平滑性、塗装
性、耐水性に優れ、フィルム、シート、各種成形物等と
して使い捨て用成形物(ワンウェイ成形物)、さらに
は、家具部品、建材や自動車、家電製品の内装材、ハウ
ジング等に有効に利用することができ、しかも成形時の
溶融粘度が一般的成形が可能な範囲にあるポリオレフィ
ン−デンプン系成形用組成物に関する。
【0002】
【従来の技術、発明が解決しようとする課題】スーパー
マーケット等で用いられる包装用のトレイや買物袋等、
使い捨てプラスチック材料は世界的にかなりの量使用さ
れているが、その多くはポリプロピレン等のポリオレフ
ィンからできている。それらは家庭や事業所からゴミと
して莫大な量が日常的に排出されている。我が国等では
それらの多くは焼却により廃棄されている。その際、従
来より、それらが燃焼カロリーが高いために、焼却炉を
傷めるということが問題となってきた。そこでこの十数
年、炭酸カルシウム等の燃えない無機物を数十パーセン
ト添加して、発熱量を低減させる方法がとられてきた。
【0003】しかし、最近、添加した無機物が灰として
残ってしまうことが、その埋立処理とも絡んで問題視さ
れるようになった。そこで現在それらに代わる、燃焼さ
せたときの発熱量を小さくすることができ、しかも燃焼
後灰分として多量に残渣を残さない材料が求められてい
る。その一つの対応策として、ポリプロピレン等のポリ
オレフィンとセルロース及び木材等のリグノセルロース
の粉末ないし繊維状物との複合化が提案されている。こ
の場合、確かに燃焼時の発熱量を小さくすることがで
き、しかも燃焼後灰分を多量に残さないという利点があ
る。
【0004】しかしながら、熱可塑性のポリオレフィン
にセルロースまたはリグノセルロースを充填剤または増
量剤として単純に使用すると、複合樹脂組成物中でのセ
ルロースまたはリグノセルロースの分散が悪くなるこ
と、熱可塑性樹脂が本来有する機械的強度を著しく低下
させること、及び、熱流動性を著しく低下させることと
いった問題点を持つようになる。
【0005】そこで、機械的強度とリグノセルロース充
填剤の分散性の改善のために、ポリオレフィン及びセル
ロース又はリグノセルロース充填剤に、一定量以上(数
パーセント)の無水マレイン酸変性ポリプロピレンを共
存させるという技術が検討された。それにより当該充填
剤の表面にポリプロピレンがグラフト共重合され、充填
剤とマトリックス樹脂(ポリプロピレン)とのなじみが
良くなり、前者の後者への分離が改良されるとともに、
両者の界面の接着性が良くなり、補強効果が向上される
という事実が知られ、この技術は工業的にも一部実施さ
れるようになって来つつある。ただし、セルロースの場
合、バージンパルプの場合も、古紙の場合も一般に水懸
濁状態からマット状に回収され、乾燥されたものが原料
となり、パルプ同志が絡み合うと強固な水素結合で凝集
している。そのため、分散が悪く、変性ポリプロピレン
等の添加のみでは問題を解決し得ないでいる。サーモメ
カニカルパルプの使用等、木材繊維の利用の場合にも同
様な問題がある。そこで、フラファー装置の使用等乾式
解繊が行われるが、分散の問題は必ずしも十分には解決
できず、さらにかさばかりが大きくなるという別の問題
も生じてくる。そこで、ヘンシルミキサーや高圧ニーダ
ーの使用といった対応策がとられ、検討されている。
【0006】この問題のもう一つの解決策として、装置
を用いてセルロース及び木材を粉末状にするということ
も行われている。この場合問題を大幅に解決するが、そ
のためにエネルギーを大量に要し、コストを要すること
が新たな問題点となる。
【0007】セルロースや木材を充填剤として単純に使
用すると成形時の熱流動性を悪くするという問題は、当
然成形加工に悪い影響を与え、特に発泡成形等を困難に
するということにつながる。それらとの関連では、エス
テル化、エーテル化等の化学処理を行ったセルロース又
はリグノセルロースを各種高分子材料の充填剤、ブレン
ド物等として用いる試みが開発され、特開昭57−10
3804号公報や特開昭56−135552号公報等に
記載されている。
【0008】しかし、セルロース及びリグノセルロース
中のセルロースは結晶性高分子であり、その結晶構造も
強固なものであるところから、効果のある化学処理条件
は一般にかなり本格的なものとなりがちである。又、そ
れに応じたエステル化またはエーテル化等を、場合によ
っては洗滌をも要する湿式法等で行うことは、セルロー
スやリグノセルロース充填剤の使用目的の一つである経
済性を著しく損ない、その利用分野を極めて狭くすると
いう問題点もある。
【0009】本発明では、これらの点を勘案し、細粉状
等粒子状で供給されることが多く、かさばりも小さく、
しかも一般に結晶性が低く、結晶があったとしても熱水
等への分子溶解が可能で、反応性もセルロース、リグノ
セルロースと比べると相対的に高いデンプンを充填剤と
したポリオレフィンとの複合材料化をとりあげる。その
上で、上述のその他の問題を解決すべく、変性ポリオレ
フィンを有効に活用して、鋭意研究を重ねた結果、加工
性を損なわない熱流動性を有し、実用上十分な機械的強
度を有し、かつ屋外光(自然光)にても容易に分解し環
境対応に好適である、新規なポリオレフィン−デンプン
系成形用組成物が得られることを見出し、この知見に基
づいて本発明を完成させるに到った。
【0010】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明の第1の
態様は、不飽和カルボン酸若しくはその誘導体で変性さ
れたポリオレフィン樹脂、または不飽和カルボン酸若し
くはその誘導体で変性されたポリオレフィン樹脂と未変
性ポリオレフィン樹脂との混合物(A)、及びデンプン
系材料(B)を含有するポリオレフィン−デンプン系成
形用組成物に関する。
【0011】さらに本発明の第2の態様は、不飽和カル
ボン酸若しくはその誘導体で変性されたポリオレフィン
樹脂、または不飽和カルボン酸若しくはその誘導体で変
性されたポリオレフィン樹脂と未変性ポリオレフィン樹
脂との混合物(A)、デンプン系材料(B)及び可塑剤
(C)を含有するポリオレフィン−デンプン系成形用組
成物に関する。
【0012】本発明においては(A)成分として、不飽
和カルボン酸若しくはその誘導体で変性されたポリオレ
フィン樹脂(以下変性ポリオレフィン樹脂と略称する)
または変性ポリオレフィン樹脂と未変性ポリオレフィン
樹脂との混合物を用いる。ここで変性ポリオレフィン樹
脂としては例えば、(a)ポリオレフィン樹脂と不飽和
カルボン酸またはその誘導体と、ラジカル発生剤とを溶
媒の存在下または不存在下に加熱混合することにより得
られるもの、(b)ポリオレフィン樹脂と不飽和カルボ
ン酸またはその誘導体とエラストマーとラジカル発生剤
とを溶媒の存在下または不存在下で加熱混合して得たも
の等を挙げることができる。本発明においては、前記各
種の変性ポリオレフィンのいずれにおいても、不飽和カ
ルボン酸またはその誘導体の付加量は、0.02〜14
重量%、特に0.1〜10重量%が好ましい。また、本
発明において未変性ポリオレフィン樹脂とは、上記不飽
和カルボン酸又はその誘導体による変性を受けていない
ポリオレフィン樹脂である。
【0013】前記変性ポリオレフィンの原料となるポリ
オレフィン樹脂としては如何なるものであっても良く、
例えば低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密
度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリ−
4−メチルペンテン−1等のモノオレフィンポリマーあ
るいはエチレン−プロピレンコポリマーまたはこれらの
ポリマーの混合物等が好適に挙げられる。
【0014】前記エラストマーはジエンモノマーを主成
分とする数平均分子量 500〜10,000の重合体で、室温で
流動性を示すものが好ましい。このような例として例え
ば分子内にカルボキシル基、水酸基、メルカプト基、ハ
ロゲン原子、アミノ基、エポキシ基等の官能基を有する
1,2−ポリブタジエン、1,4−ポリブタジエン、ポ
リイソプレン、ポリクロロプレン、1,2−ポリペンタ
ジエン、スチレン−ブタジエンコポリマー、アクリロニ
トリル−ブタジエンコポリマー、ブタジエン−イソプレ
ンコポリマー、ブタジエン−ペンタジエンコポリマーの
ようなエラストマーや末端ヒドロキシル化1,2−ポリ
ブタジエン、1,4−ポリブタジエン等の不飽和ジカル
ボン酸半エステル化物あるいは官能基を有しない数平均
分子量 500〜10,000の1,2−ポリブタジエン、1,4
−ポリブタジエン、スチレン−ブタジエンコポリマー、
アクリロニトリル−ブタジエンコポリマー等または熱分
解ゴム、オゾン分解ゴム等、さらには以上に挙げたエラ
ストマーの混合物等が挙げられる。
【0015】前記不飽和カルボン酸またはその誘導体と
しては、例えばマレイン酸、イタコン酸、シトラコン
酸、クロトン酸、イソクロトン酸、メサコン酸、アンゲ
リカ酸、ソルビン酸、アクリル酸、無水マレイン酸、無
水イタコン酸、無水シトラコン酸等が好ましく、特に無
水マレイン酸が好ましい。また、前記不飽和カルボン酸
の誘導体としては、前記不飽和カルボン酸の金属塩、ア
ミド、イミド、エステル等を使用することができる。な
お、この変性ポリオレフィンに使用する前記不飽和カル
ボン酸及びその誘導体は前記各種の中の1種あるいは2
種以上を使用することができる。
【0016】前記ラジカル発生剤は、ポリオレフィン樹
脂と必要に応じて配合されたエラストマーと不飽和カル
ボン酸またはその誘導体との反応を促進するものであれ
ば良く、例えば、ジクミルパーオキシド、ベンゾイルパ
ーオキシド、ラウリルパーオキシド、アゾビスイソブチ
ロニトリル、クメンパーオキシド、α,α’−ビス(t
−ブチルパーオキシジイソプロピル)ベンゼン、ジ−t
−ブチルパーオキシド、2,5−ジ(t−ブチルパーオ
キシ)ヘキサン等を好適に使用することができる。
【0017】このようは各種の変性ポリオレフィンの中
でも特にメルトインデックス(以下、MIと略する。)
が0.5〜200g/10分のポリエチレン及び/また
はポリプロピレンと無水マレイン酸と末端ヒドロキシル
化ポリブタジエンとをキシレン、トルエン、ヘプタン、
モノクロルベンゼン等の溶媒中でベンゾイルパーオキシ
ド等のラジカル発生剤を使用して反応して得られるとこ
ろの、無水マレイン酸を0.1〜10重量%付加した樹
脂が好適である。
【0018】また、未変性ポリオレフィン樹脂として
は、種々のものが使用でき、例えばポリプロピレン、高
密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエ
チレン、直鎖状ポリエチレン、ポリブテン、ポリ−4−
メチルペンテン−1等のモノオレフィンポリマーあるい
はエチレン−プロピレンコポリマー、エチレン−塩化ビ
ニルコポリマー、プロピレン−塩化ビニルコポリマーま
たはこれらのポリマーの混合物等が好適に挙げられる。
【0019】次に、本発明においては(B)成分として
デンプン系材料を用いる。ここでデンプン系材料として
は、例えばコーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、
小麦デンプン等の地上デンプン、タピオカスターチ、馬
鈴薯デンプン等の地下デンプン、アミロース又はアミロ
ペクチンに富んだデンプンを挙げることができる。さら
に、これらのデンプンをアセチル化、ヒドロキシエチル
化、ヒドロキシプロピル化、カチオン化等の化学修飾し
たデンプン等を挙げるたとができる。化学修飾デンプン
としては、アセチル化コーンスターチ、アセチル化タピ
オカスターチ、ヒドロキシエチル化コーンスターチ等各
種の化学修飾スターチを挙げることができる。
【0020】上記(A)成分と(B)成分の割合は、
(A)成分と(B)成分との合計を100重量部とした
ときに、(A)成分を5〜95重量部とし、(B)成分
を95〜5重量部とすることが適当であり、好ましく
は、(A)成分を10〜90重量部に対して(B)成分
を90〜10重量部とする。ここで(A)成分の割合が
95重量部を超えると、デンプン系材料による補強効果
が低くなり過ぎるので好ましくなく、かつ光分解性が劣
る。一方、(A)成分の割合が5重量部未満であると、
デンプン系材料が多すぎてグラフトが不十分となり、透
明性、光沢に劣るものとなり、さらにはデンプン系材料
の分散が不十分となり強度に問題がある成形物が得られ
るので好ましくない。
【0021】本発明の第1の態様は、上記(A)と
(B)の2成分を含有してなる複合樹脂組成物である。
それに対して、本発明の第2の態様は上記(A)、
(B)成分に加え、(C)成分として可塑剤を加えた複
合樹脂組成物である。
【0022】ここで可塑剤としては、フタル酸エステ
ル、リン酸エステル、脂肪族二塩基酸エステル、グリコ
ール誘導体、ポリエステル系可塑剤、エポキシ化合物系
可塑剤等を挙げることができる。特に、フタル酸エステ
ル、リン酸エステル、脂肪族二塩基酸エステル、グリコ
ール誘導体等が好ましい。さらに、これらの中でも特に
フタル酸エステル系可塑剤であるジメチルフタレート、
ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジオクチル
フタレート等が好適である。
【0023】ここで(C)成分の割合は前記(A)成分
と(B)成分の合計量100重量部に対して2〜70重
量部、好ましくは5〜60重量部とすることが適当であ
る。(C)成分の割合が上記範囲を超えると、得られる
成形物が実用上十分な強度及び剛性を示さないものとな
り、一方、上記範囲未満であると、可塑剤混入の効果が
現れず、かつ光分解性が促進されないからである。
【0024】なお、本発明においては、上記成分の他に
必要に応じて適宜滑剤、酸化防止剤、着色剤、帯電防止
剤等の各種添加剤を加えることもできる。
【0025】本発明の複合樹脂組成物は上述の(A)成
分と(B)成分又は(A)成分と(B)成分と(C)成
分とを含有するものであるが、これらの成分は、組成物
中で均一に混合されていることが好ましい。そのため、
本発明の組成物は、(A)成分と(B)成分又は(A)
成分と(B)成分と(C)成分とを混練することにより
調製することが好ましい。本発明の組成物を得るための
混練は、従来公知の方法、例えばバンバリーミキサー、
ヘンシエルミキサー等の混合機やニーダー、各種押出機
等を用いて行うことかできる。混練条件は、各成分の種
類及び量並びに使用する混練機等に応じて適宜決定する
ことができる。例えば、ニーダー、バンバリーミキサー
を用いる場合、温度は140〜200℃、好ましくは1
50〜190℃とし、この温度で10〜30分間、好ま
しくは15〜20分間混練することが適当である。
【0026】なお、混練に際しては上述の成分を加える
順序は特に制限はない。しかしながら、まず(A)成分
と(B)成分を加え、次いで(C)成分や必要な添加剤
を加えることが好ましい。上記の如くし得られる本発明
の複合樹脂組成物は、通常、成形用原料として、粉体、
粒子、フレーク等の形状に成形する。但し、場合によ
り、混練して得た本発明の組成物をそのまま、所望の形
成品に形成することも可能である。
【0027】このようにして得られたフレーク状等の形
状の本発明の複合樹脂組成物は、加圧成形、フィルム成
形、押出成形、射出成形等の手段により適宜所望の形状
に成形して各種成形品を製造することができる。
【0028】
【発明の効果】本発明のポリオレフィン−デンプン系成
形用組成物によれば、従来の化学処理したセルロース等
より入手が容易であり、かつ従来は比較的低い付加価値
でしか利用されていなかったデンプン系材料を高度に利
用して、現在大いに求められている焼却により灰の残ら
ない焼却廃棄しやすい材料として、かつ光による分解の
促進された成形品を得ることができる。また、本発明の
ポリオレフィン−デンプン系成形用組成物によれば引張
強さ、引張破断伸び、引張弾性率等の機械的、力学的強
度に優れた成形品を得ることができる。しかも、本発明
のポリオレフィン−デンプン系成形物より得られる成形
品は平滑性、耐水性、塗装、印刷等の二次加工性にも優
れたものである。
【0029】さらに、本発明の第2の態様によれば、本
発明の第1の態様に比し、透明性に優れ、熱流動がより
容易に起こり、成形性の優れた成形品を得ることがで
き、さらに、光分解、微生物分解等の自然分解性が促進
される。したがって、本発明のポリオレフィン−デンプ
ン系成形用組成物は各種のフィルム、シート材料及び関
連の成形材料として、野菜小売収納用のトレイ等デスポ
ーザル(ワンウェイ)等家庭用品と包装材料用途に好適
に用いられるほか、家具、建材の一部等として有効に用
いることができる。
【0030】
【実施例】以下に製造例、実施例を挙げて本発明をさら
に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定
されるものではない。 製造例(MPPの製造) ポリプロピレン〔宇部興産(株)製、J−109G〕1
00重量部に無水マレイン酸粉末0.2重量部及びジク
ミルパーオキサイド0.1重量部を加え、冷却水を通し
たヘンシエルミキサー中にて10分間撹拌し、これを二
軸押出機(L/D=28、スクリュー径30mm、ベン
ト付)へ供給、混練反応させた後、ペレタイザーを経て
取り出し、ペレット状の変性ポリプロピレン(MPP)
を得た(押出機 温度195℃、押出機内 滞留時間5
0秒)。
【0031】実施例1〜7 スターチ(コーンスターチ)試料(日本食品化工(株)
製)、ポリプロピレン(PP、宇部興産(株)製、J−
109G)、無水マレイン酸変性PP(MPP)及び酸
化防止剤(AO)を表1の該当欄に示す量比で秤取り、
すべてを同一ビーカーに入れて軽くかきまぜた。次いで
180℃に調温したラボプラストミルを用い、混練回転
数を50rpmとし、ビーカー中の試料を投入、合計1
5分間混練を行い複合化した。得られた混練複合材料の
200℃における溶融粘度(10kgf荷重、ダイ寸
法:1×2mm)をフローテスターで測定するととも
に、混練複合材料から0.4mm厚フィルムを成形(1
90℃、150kgf/cm2加圧、30秒)してサン
プルを得た。得られたサンプルについて、以下に示す方
法を用いて溶融粘度、引張力学特性及び光分解性(耐候
試験後の引張強度)を測定した。得られたデータは表2
に示す。
【0032】溶融粘度 フローテスターを用いて、等温試験を行った。条件は、
200℃、10kgf、ダイ寸法1×2mmである。
【0033】引張強度、伸長率、ヤンク率 試料を80×5×0.4mmの短冊形切片として切り出
した後、20℃、RH65%の条件下で、48時間以上
調温を行った。次いで、オートグラフ(DCS−R−5
00)を用いて、スパン長40mm、クロスヘッドスピ
ード0.5mm/minで測定した。
【0034】光分解性(耐候試験後の引張強度) サンシャインウエザオメータ(スガ試験機)を用いて、
パネル温度60℃で照射時間500時間後の引張強度を
測定した。
【0035】比較例1〜2 スターチ(コーンスターチ)試料に代えてセルロース
(ワットマン製 CF−11粉末)試料を表1に示す量
で用いた以外は実施例1〜7と同様の操作によりサンプ
ルを得た。得られたサンプルについて、溶融粘度、引張
力学特性及び光分解性の測定を行い、結果を表2に示
す。
【0036】比較例1と直接比較しうるのは、実施例4
であるが、溶融粘度、力学特性値共それほど違いはなく
同等のものとなっていることが分かる。また、比較例2
と直接比較しうるのは実施例5であるが、デンプンを充
填剤〔(B)成分〕とする場合の方が明らかに溶融粘度
が低く(数値上は約1/2になっている)、より成形加
工性の良い複合材料となっていることが分かる。なお、
比較例2の場合、必ずしも平滑なフィルムを成形できな
かったので、引張強度等の測定は行えなかった。
【0037】実施例8、9 実施例3及び4におけるPPの一部を可塑剤(ジオクチ
ルフタレート、DOP)に置き換えて混練して得た混練
物(組成は表1に示す)を用いた以外は、実施例1〜7
と同様に行った。試験結果は表2に示す。この結果を実
施例1〜7と比較すると、溶融粘度が数分の1低下し、
後の比較例6〜7と同等のものとなり、加工性の良い複
合材料となっていることは明らかであり、強度的特性も
実用に耐える値を保持しているといえる。
【0038】比較例3 実施例9のスターチ(コーンスターチ)試料の代わりに
表1に示す量のセルロース(ワットマン製 CF−11
粉末)を用いた以外は実施例8〜9と同様に操作してサ
ンプルを得た。試験結果を表2に示す。この結果を実施
例9の結果と比較すると、ほぼ同等のものであるといえ
る。また、比較例1〜2と比較すると溶融粘度が数分の
1に低下し、成形加工性が格段に良くなったいるといえ
る。可塑剤の添加により強度特性は低下しているが、な
お実用に耐える範囲にあるといえる。
【0039】比較例4〜7 マトリックス熱可塑性樹脂として用いたPP、MPP及
びそれらの混合物を実施例1〜9と同様に混練し、得ら
れた混練物について、200℃における溶融粘度及び成
形フィルムの引張力学特性を測定し表1に示した。これ
らの値と比較することにより実施例1〜9の混練複合材
料の特性がより具体的に把握できる。
【0040】比較例8 無水マレイン酸を用いず、表1の組成の混合物を実施例
1と同様に混練し、得られた混練物について、200℃
における溶融粘度及び成形フィルムの引張強度、伸長
率、ヤング率を測定し表1に示した。この結果と、実施
例3又は4と比較すると、本発明の組成物は、より優れ
た引張強度を有することが分かる。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】実施例10〜13 スターチ(コーンスターチ)試料(市販品)、無水マレ
イン酸変性PP(MPP)及び酸化防止剤(AO)を表
3に示す量で用いた以外は実施例1〜7と同様に操作し
てサンプルを得た。得られたサンプルについて、溶融粘
度、引張力学特性及び光分解性を測定し、データは表4
に示す。
【0044】実施例14〜15 実施例2において、PPと無水マレイン酸変性PP(M
PP)との量比を変えた以外は実施例2と同様に操作し
てサンプルを得た。得られたサンプルについて、溶融粘
度、引張力学特性及び光分解性を測定し、データは表4
に示す。
【0045】実施例16〜19 実施例3において、スターチ(コーンスターチ)試料の
代わりに表3に示す各種のデンプン系材料を用いた以外
は実施例3と同様に操作してサンプルを得た。得られた
サンプルについて、溶融粘度、引張力学特性及び光分解
性を測定し、データは表4に示す。
【0046】実施例20〜21 実施例8において、可塑剤(ジオクチルフタレート、D
OP)を表3に示す量用いた以外は実施例8と同様に操
作してサンプルを得た。得られたサンプルについて、溶
融粘度、引張力学特性及び光分解性を測定し、データは
表4に示す。
【0047】実施例22 実施例8のジオクチルフタレート(DOP)に代えて可
塑剤としてジメチルフタレート(DMP)を用いた以外
は実施例8と同様に操作してサンプルを得た。得られた
サンプルについて、溶融粘度、引張力学特性及び光分解
性を測定し、データは表4に示す。
【0048】実施例23 スターチ(コーンスターチ)試料(市販品)、ポリエチ
レン(PE1、出光石油化学製、120J)、変性PE
(出光石油化学製、H−6000P)及び酸化防止剤
(AO)を表3に示す量比で用いた以外は実施例1〜7
と同様に操作してサンプルを得た。得られたサンプルに
ついて、溶融粘度、引張力学特性及び光分解性(耐候試
験後の引張強度)を測定した。得られたデータは表4に
示す。
【0049】実施例24 スターチ(コーンスターチ)試料(市販品)、ポリエチ
レン(PE2、出光石油化学製、2024G)、変性P
E(出光石油化学製、H−6000P)、酸化防止剤
(AO)及び可塑剤としてジオクチルフタレート(DO
P)を表3に示す量比で用いた以外は実施例1〜7と同
様に操作してサンプルを得た。得られたサンプルについ
て、溶融粘度、引張力学特性及び光分解性(耐候試験後
の引張強度)を測定した。得られたデータは表4に示
す。
【0050】実施例25〜26 スターチ(コーンスターチ)試料(市販品)、ポリプロ
ピレン(PP、宇部興産(株)製、J−109G)、変
性PE(出光石油化学製、H−1100P)及び酸化防
止剤(AO)〔実施例25〕、加えて可塑剤としてジオ
クチルフタレート(DOP)〔実施例26〕を表3に示
す量比で用いた以外は実施例1〜7と同様に操作してサ
ンプルを得た。得られたサンプルについて、溶融粘度、
引張力学特性及び光分解性(耐候試験後の引張強度)を
測定した。得られたデータは表4に示す。
【0051】
【表3】
【0052】
【表4】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (71)出願人 000131810 株式会社ジェイエスピー 東京都千代田区内幸町2−1−1 飯野ビ ル (72)発明者 白石 信夫 京都府京都市左京区下鴨狗子田町13−3

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 不飽和カルボン酸若しくはその誘導体で
    変性されたポリオレフィン樹脂、または不飽和カルボン
    酸若しくはその誘導体で変性されたポリオレフィン樹脂
    と未変性ポリオレフィン樹脂との混合物(A)及びデン
    プン系材料(B)を含有するポリオレフィン−デンプン
    系成形用組成物。
  2. 【請求項2】 (A)成分を5〜95重量部及び(B)
    成分を95〜5重量部含有し、(A)成分と(B)成分
    との合計が100重量部である請求項1記載の組成物。
  3. 【請求項3】 不飽和カルボン酸が無水マレイン酸であ
    る請求項1又は2記載の組成物。
  4. 【請求項4】 不飽和カルボン酸若しくはその誘導体で
    変性されたポリオレフィン樹脂、または不飽和カルボン
    酸若しくはその誘導体で変性されたポリオレフィン樹脂
    と未変性ポリオレフィン樹脂との混合物(A)、デンプ
    ン系材料(B)及び可塑剤(C)を含有するポリオレフ
    ィン−デンプン系成形用組成物。
  5. 【請求項5】 (A)成分を5〜95重量部及び(B)
    成分を95〜5重量部含有し、(A)成分と(B)成分
    との合計が100重量部である請求項4記載の組成物。
  6. 【請求項6】 (A)成分と(B)成分の合計量100
    重量部に対して(C)成分を2〜50重量部含有する請
    求項4又は5記載の組成物。
  7. 【請求項7】 (C)成分がフタル酸エステル、リン酸
    エステル、脂肪族二塩基酸エステル及びグリコール誘導
    体からなる群から選ばれる可塑剤である請求項4〜6の
    いずれか1項記載の組成物。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれか1項記載の組成
    物を成形した成形品。
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