JPH06337036A - トーションダンパー - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 特に自動車用のトーションダンパーを、２つ
の同軸部の共振周波数範囲の回転速度において、摩擦手
段の作用を改善する。 【構成】 第１同軸部１１Ａと第２同軸部１１Ｂとを備
え、両者は、弾性手段１２の作用に抗し、両者間で作用
する摩擦手段１３と共に、互いに対して回転しうるよう
に取り付けられており、前記摩擦手段１３は、スリーブ
形の径方向に作用する摩擦リング３２を備え、それは、
同軸部１１Ａ、１１Ｂの１つと隙間を置いて係合してお
り、スペーサーリング３３は、摩擦リング３２と同軸
で、その内周か外周を押圧しており、スペーサーリング
３３は、同軸部１１Ｂ、１１Ａの他の１つに、共に回転
しうるように取り付けられている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、トーションダンパーに
関する。それは、自動車用に適しているが、自動車専用
と言う訳ではない。

【０００２】

【従来の技術】この種トーションダンパーは、２つの同
軸部、即ち第１同軸部と第２同軸部とを備え、両者は、
弾性手段の作用に抗し、互いに対して回転しうるように
取り付けられており、かつ２つの前記同軸部の間で作用
する摩擦手段を備えている。

【０００３】トーションダンパーの２つの同軸部の間
で、適当に配分することによって、トーションダンパー
（通称、二重減衰フライホイール）の共振周波数は、大
半の自動車用エンジンの低速走行時に生じる振動周波数
よりも低い値が得られ、有利である。これによって、全
てのエンジン速度で、自動車の乗員の快適さは増す。

【０００４】しかし、始動時と停止時に、２つの同軸部
の間で生じる、高い振幅の共振周波数による振動を抑え
ることが重要である。そのため、トーションダンパーの
２つの同軸部の間に、前記摩擦手段が設けられている。

【０００５】ドイツ国特許出願第ＤＥ ３ ９３１ ４
２９Ａ号の明細書に記載のものでは、前記摩擦手段とし
て、トーションダンパーの２つの同軸部の間の一定の角
変位を超えた時のみ有効になる摩擦リングを備えてい
る。従って、高い振幅の共振による振動が生じた時、所
要の摩擦減衰は得られるが、同軸部間の低い振幅の振動
の摩擦減衰は得られない。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかし、前記ドイツ特
許の明細書では、この摩擦リングは、軸方向に作用し、
通常、摩擦リングに負荷を与える目的のための弾性手段
も軸方向に作用する。スペースの都合で、これら弾性手
段のたわみは、極めて小さくなければならない。

【０００７】従って、摩擦リングに対する負荷の制御
は、やや不良であり、その結果、摩損は、不可避であ
り、それを緩和することは殆ど不可能である。

【０００８】本発明の目的は、上記の欠点を有しない、
より良い効果を有するトーションダンパーを提供するこ
とである。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明による、特に自動
車用のトーションダンパーは、２つの同軸部、即ち第１
同軸部と第２同軸部とを備え、両者は、弾性手段の作用
に抗し、両者間で作用する摩擦手段と共に、互いに対し
て回転しうるように取り付けられており、前記摩擦手段
は、スリーブ形の径方向に作用する摩擦リングを備え、
かつ前記同軸部の１つと隙間を置いて係合しており、ス
ペーサーリングは、摩擦リングと同軸で、その内周か外
周を押圧しており、スペーサーリングは、前記同軸部の
他の１つに、共に回転しうるように取り付けられている
ことを特徴としている。

【００１０】従って、摩擦リングに負荷を与える弾性手
段も径方向に作用し、その結果、弾性手段は、それが軸
方向に作用した場合より、大きくたわむことができ、ま
たそれが好ましい。

【００１１】また、本発明によるトーションダンパーの
摩擦リングは、単なる摩擦リングより作り易い形をして
おり、より良く制御できるより良い摩擦効果を得られ
る。例えば、この摩擦リングは、射出成形により合成樹
脂から非常に簡単に作ることができる。

【００１２】本発明によれば、トーションダンパーの好
ましい形では、前記摩擦リングは、間隔を置いて第１同
軸部と係合しており、スペーサーリングは、第２同軸部
に、共に回転しうるように取り付けられている。

【００１３】この場合、摩擦リングを弾力的に取り巻く
ために、前記スペーサーリングが、摩擦リングの外周、
すなわち、直径のより大きな周辺と係合しているのがよ
い。この構成によると、高速で作用する遠心力により、
摩擦力は若干減少する。摩擦力に反対する力は、所要の
方向に作用する。以下に述べるように、この摩擦は、始
動時と停止時に必要になる。

【００１４】

【実施例】本発明の好ましい実施例を、単なる例示にす
ぎないが、添付図面に基づき次下に説明する。それによ
り、本発明の各種特徴や効果が、より明かになると思
う。

【００１５】図に示すように、公知の方法で、トーショ
ンダンパー１０は、２つの同軸部１１Ａ，１１Ｂを有し
ている。第１同軸部１１Ａと第２同軸部１１Ｂである。
両者は、弾性手段１２の作用に抗し、両者間で作用する
摩擦手段１３と共に、互いに対して回転しうるように取
り付けられている。

【００１６】この実施例では、第１同軸部１１Ａは、２
つの径方向板１４，１５を備えている。スペーサーとし
て作用し、径方向板１４と一体になっているフランジ１
６は、径方向板１４，１５の外周になっている。第２径
方向板１５は、ネジ１７で、フランジ１６に固着されて
いる。フランジ１６は、スタータークラウン１８を有し
ている。

【００１７】また、第１同軸部１１Ａは、ハブ２２を備
えており、それは、ネジ２０で、第１径方向板１４の内
周に固着されている。この構成は、組立体をシャフト２
１に取り付ける手段でもある。この実施例では、このシ
ャフト２１は、自動車の内燃機関のクランクシャフトで
ある。

【００１８】この実施例では、第２同軸部１１Ｂは、ダ
ンパー板２３を備えており、それは、第１同軸部１１Ａ
の２つの径方向板１４と１５の間に設けられている。ダ
ンパー板２３は、第２径方向板１５と接触している第２
ハブ２４に固着されている。第２同軸部１１Ｂはまた、
板２６を備えており、それは、ダンパー板２３のあるハ
ブ２４にネジ２５で固着されている。

【００１９】ロールベアリング２８は、板２６の内周
と、第１同軸部１１Ａのハブ２２との間に挿入されてい
る。クラッチ メカニズム（図示せず）は、（図１の右
側に示すような）板２６の外周で、板２６に固着されて
いる。

【００２０】この実施例では、２つの同軸部１１Ａ、１
１Ｂの間で作用する弾性手段１２は、円周方向に作用す
る弾性手段である。板２６は、クラッチの反応板であ
る。このクラッチ（図示せず）の摩擦盤は、自動車のギ
アボックスの入力軸に取り付けられており、それと共に
回転する。

【００２１】この実施例では、弾性手段１２は、第２同
軸部１１Ｂのダンパー板２３のアーム３０の間に円周方
向に設けられている複数のコイルバネ２９の形をしてい
る。コイルバネ２９の端は、図には示されていないが、
第１同軸部１１Ａによりこの目的のために設けられた突
起と係合している。

【００２２】２つの同軸部１１Ａと１１Ｂの間で作用し
ている摩擦手段１３は、スリーブ形の径方向に作用する
摩擦リング３２を備えており、それは、２つの同軸部１
１Ａ、１１Ｂの１つと緩く係合している。摩擦リング３
２と、それが係合している同軸部１１Ａと１１Ｂとの間
には、円周方向に隙間がある。

【００２３】摩擦手段１３はまた、摩擦リング３２と同
軸で、その内周か外周に作用するスペーサーリング３３
を有している。スペーサーリング３３は、他の同軸部１
１Ｂか１１Ａに、それと共に回転しうるように取り付け
られている。図１〜図３に示す例では、この摩擦リング
３２は、第１同軸部１１Ａと、隙間を介して係合してお
り、スペーサーリング３３は、第２同軸部１１Ｂに，共
に回転しうるように取り付けられている。

【００２４】従って、この実施例では、スペーサーリン
グ３３は、摩擦リング３２の最大直径を有する外周と係
合している。また、この実施例では、摩擦リング３２と
スペーサーリング３３は、第１同軸部１１Ａのハブ２２
と、第２同軸部１１Ｂのダンパー板２３のハブ２４との
間に径方向に作用する。

【００２５】摩擦リング３２とスペーサーリング３３は
また、まず、ダンパー板２３のハブ２４から径方向内側
に、例えば第１同軸部１１Ａの内側のハブ２２の方に伸
びる径方向リング３４と、次に、反応板２６から内側、
ハブ２２の方に径方向に伸びる径方向リング３５との間
に軸方向に伸びている。

【００２６】この実施例では、図３に示すように、摩擦
リング３２は、剛性で重い。例えば、それは、適当な強
化化学繊維で作られている。直径が小さくなる内周で、
摩擦リング３２は、軸方向のスロット３７を有してお
り、それにより、歯３８と前記の間隔を置いて係合して
いる。歯３８は、径方向外側に突き出ており、第１同軸
部１１Ａのハブ２２に、この目的のために作られてい
る。

【００２７】この実施例では、スペーサーリング３３
は、図３に示すような形をした、例えば金属の薄片から
なる。図３に示すように、スペーサーリング３３は、不
連続で、切れ目３６があり、摩擦リング３２の外周を弾
力的に取り巻いている。

【００２８】スペーサーリング３３の一部は、ダンパー
の第２同軸部１１Ｂに固着されている軸方向に伸びるペ
グ３９も取り巻いている。従って、スペーサーリング３
３は、いわばペグ３９と第２同軸部１１Ｂとの間に把持
されている。このようにして、スペーサーリング３３
は、第２同軸部１１Ｂに、共に回転しうるように取り付
けられている。

【００２９】図３に示す例では、ペグ３９は、単にダン
パー板２３のハブ２４の内周に作られた溝４０Ｂに、ス
ペーサーリング３３の連係部と軸方向に係合している。
溝４０Ｂの断面は、半円より大きい。

【００３０】この実施例では、ペグ３９は、不連続のス
ペーサーリング３３で作られた切れ目３６の径方向の反
対側にある。ペグ３９の断面は、ギリシャ文字のオメガ
Ωに似ている。スペーサーリング３３の協動部分も同じ
形をしている。

【００３１】図に示すように、スペーサーリング３３
は、摩擦リング３２に常に圧力を加える径方向に作用す
る弾性手段の作用にを受けるようにするのがよい。この
実施例では、径方向に作用する弾性手段は、波形のバネ
リング４１であり、それは、スペーサーリング３３と、
第２同軸部１１Ｂの円筒面４２Ｂとの間で径方向に作用
する。

【００３２】スペーサーリング３３は、第２同軸部１１
Ｂに、前述のごとく、それと共に回転しうるように取り
付けられている。波形のバネリング４１は、スペーサー
リング３３と円筒面４２Ｂを径方向に押圧している。

【００３３】波形のバネリング４１は、適当な材料の帯
からなり、ペグ３９の辺りで切れていて不連続である。
円筒面４２Ｂは、ダンパー板２３のハブ２４の内周であ
る。

【００３４】図４、図５に示すように、摩擦リング３２
は、第２同軸部１１Ｂと間隔を置いて係合しており、ス
ペーサーリング３３は、第１同軸部１１Ａに、共に回転
しうるように取り付けられている。

【００３５】スペーサーリング３３は、摩擦リング３２
に、その内側で当接し、摩擦リング３２は、その外周
に、突き出ている歯３７’を有し、歯３７’とスロット
３８’は、隙間を介して係合している。スロット３８’
は、第２同軸部１１Ｂのダンパー板２３のハブ２４の内
周に、この目的のために設けられている。

【００３６】この実施例では、ペグ３９によって、スペ
ーサーリング３３は、第１同軸部１１Ａに、共に回転し
うるように取り付けられているが、ペグ３９は、第１同
軸部１１Ａのハブ２２の外周にある溝４０Ａと軸方向に
係合している。波形のバネリング４１が所々押圧してい
る面４２Ａは、ハブ２２の外周である。

【００３７】本発明は、図示した前記実施例に限定され
ず、他のいかなる実施例をも包含している。

【００３８】

【発明の効果】２つの同軸部の共振周波数範囲の回転速
度で、摩擦手段の作用は改善される。摩擦リングも弾性
手段も径方向に作用し、弾性手段は、それが軸方向に作
用した場合より、大きくたわむことができる。従って、
摩擦リングに対する負荷の制御がし易くなり、摩損を緩
和することができる。

【００３９】また、本発明によるトーションダンパーの
摩擦リングは、作り易い形をしており、良く制御でき、
かつ良い摩擦効果が得られる。この摩擦リングは、射出
成形により、合成樹脂から非常に簡単に作れる。

【図面の簡単な説明】

【図１】図３の切断線Ｉ−Ｉによる断面図をもって、本
発明によるトーションダンパーを示す。

【図２】図１の１点鎖線のボックスＩＩ内を示す詳細拡
大断面図である。

【図３】図１の切断線ＩＩＩ−ＩＩＩにおける断面図
で、本発明によるトーションダンパーの一部を示す。

【図４】図５の切断線ＩＶ−ＩＶにおける断面図で、図
１と同様であるが、本発明の別の実施例によるトーショ
ンダンパーの一部を示す。

【図５】図４の切断線Ｖ−Ｖにおける部分断面図であ
る。

【符号の説明】

１０ トーションダンパー １１Ａ 第１同軸部 １１Ｂ 第２同軸部 １２ 弾性手段 １３ 摩擦手段 １４，１５ 径方向板 １６ フランジ １７ ネジ １８ スタータークラウン ２０ ネジ ２１ シャフト ２２ ハブ ２３ ダンパー板 ２４ 第２ハブ ２５ ネジ ２６ 板 ２８ ロールベアリング ２９ コイルバネ ３０ アーム ３２ 摩擦リング ３３ スペーサーリング ３４、３５ 径方向リング ３６ 切れ目 ３７ スロット ３８ 歯 ３８’スロット ３７’歯 ３９ ペグ ４０Ａ、４０Ｂ 溝 ４１ バネリング ４２Ａ、４２Ｂ 面

Claims (10)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ２つの同軸部、即ち第１同軸部（１１
   Ａ）と第２同軸部（１１Ｂ）とを備え、両者は、弾性手
   段（１２）の作用に抗して両者間で作用する摩擦手段
   （１３）と共に、互いに対して回転しうるように取り付
   けられている、特に自動車用のトーションダンパーにお
   いて、前記摩擦手段（１３）は、スリーブ形の径方向に
   作用する摩擦リング（３２）を備え、かつ同軸部（１１
   Ａ）（１１Ｂ）の１つと隙間を置いて係合しており、ス
   ペーサーリング（３３）は、摩擦リング（３２）と同軸
   で、その内周か外周を押圧しており、スペーサーリング
   （３３）は、前記同軸部（１１Ｂ）（１１Ａ）の他の１
   つに、共に回転しうるように取り付けられていることを
   特徴とするトーションダンパー。
2. 【請求項２】 前記摩擦リング（３２）は、間隔を置い
   て第１同軸部（１１Ａ）と係合しており、かつスペーサ
   ーリング（３３）は、第２同軸部（１１Ｂ）に、共に回
   転しうるように取り付けられていることを特徴とする請
   求項１記載のトーションダンパー。
3. 【請求項３】 前記スペーサーリング（３３）は、摩擦
   リング（３２）の外周と係合していることを特徴とする
   請求項２記載のトーションダンパー。
4. 【請求項４】 摩擦リング（３２）は、第２同軸部（１
   １Ｂ）と、隙間を開けて係合しており、かつスペーサー
   リング（３３）は、第１同軸部（１１Ａ）に、共に回転
   しうるように取り付けられていることを特徴とする請求
   項１記載のトーションダンパー。
5. 【請求項５】 スペーサーリング（３３）は、摩擦リン
   グ（３２）の内周と係合していることを特徴とする請求
   項４記載のトーションダンパー。
6. 【請求項６】 スペーサーリング（３３）は、切れ目
   （３６）があって不連続であることを特徴とする請求項
   １記載のトーションダンパー。
7. 【請求項７】 スペーサーリング（３３）は、適当な形
   の薄片からなることを特徴とする請求項１記載のトーシ
   ョンダンパー。
8. 【請求項８】 スペーサーリング（３３）は、同軸部
   （１１Ａ）（１１Ｂ）の１つに固着されている軸方向の
   ペグ（３９）を一部取り巻いており、かつ同軸部に、共
   に回転しうるように取り付けられており、ペグ（３９）
   と前記同軸部との間に把持されていることを特徴とする
   請求項７記載のトーションダンパー。
9. 【請求項９】 スペーサーリング（３３）は、摩擦リン
   グ（３２）と係合するように加圧するべく、径方向に作
   用する弾性手段の作用を受けていることを特徴とする請
   求項１記載のトーションダンパー。
10. 【請求項１０】 径方向に作用する弾性手段は、波形の
    バネリング（４１）であり、それは、スペーサーリング
    （３３）を径方向に、同軸部（１１Ａ）（１１Ｂ）の面
    （４２Ａ）（４２Ｂ）で交互に押圧し、かつスペーサー
    リング（３３）は、同軸部に、共に回転しうるように取
    り付けられていることを特徴とする請求項９記載のトー
    ションダンパー。