JPH06336734A - 土留め壁の止水管理方法及びその装置 - Google Patents

土留め壁の止水管理方法及びその装置

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JPH06336734A
JPH06336734A JP12564593A JP12564593A JPH06336734A JP H06336734 A JPH06336734 A JP H06336734A JP 12564593 A JP12564593 A JP 12564593A JP 12564593 A JP12564593 A JP 12564593A JP H06336734 A JPH06336734 A JP H06336734A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 土留め壁に水が浸透することによって生じる
電気的な変化を測定し、土留め壁における浸透場所、浸
透量を初期の段階で察知する。 【構成】 土留め壁1の異なる位置に複数の電極2を配
設し、電極2間のインピーダンスのような電気量を測定
する。電気量の変化に基づき土留め壁1における水の浸
透箇所と浸透量を推定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、土留め壁における止水
の管理方法及びその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】地中構造物を建設するに当たっては、ま
ず、周囲に土留め壁を造成し、その内部を掘削して地中
構造物を建設するものである。ところが、地盤に含まれ
ている土中水(主として地下水)が湧き水となって土留
め壁の一部から内部に浸出し、周囲の地盤を沈下させた
り、あるいは、土留め壁内部における工事の阻害要因と
なっている。そこで、これらの対策として、従来は土留
め壁の壁厚を必要以上に厚くしたり、あるいは、土留め
壁を構成するためのセメント成分やその他の固結成分の
量を必要以上に増大させたりして湧き水防止をおこなっ
ているのが現状である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記のよう
に土留め壁の壁厚を必要以上に厚くしたり、あるいは、
土留め壁を構成するためのセメント成分やその他の固結
成分の量を必要以上に増大させたりして湧き水防止をお
こなうものにおいては、土留め壁全体の壁厚を厚くする
必要があり、また、セメント成分やその他の固結成分の
量を土留め壁全体にわたり増量する必要があり、コスト
が高くなるという問題がある。しかも、上記のように土
留め壁を必要以上に厚く形成したり、あるいはセメント
成分やその他の固結成分の量を必要以上に増量したりし
たものでも、土留め壁に不完全な部分があると湧き水が
浸出すという問題がある。そして、この土留め壁を浸透
する水は、浸透の初期の段階で察知できれば、対策が講
じられるが、従来は土留め壁における浸透場所、浸透量
を初期の段階で正確に察知することができず、大事故を
招いていた。
【0004】本発明は上記の従来例の問題点に鑑みて発
明したものであって、その目的とするところは、土留め
壁に水が浸透することによって生じる電気的な変化を測
定し、土留め壁における浸透場所、浸透量を初期の段階
で察知することができる土留め壁の止水管理方法及びそ
の装置を提供するにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の従来例の問題点を
解決して本発明の目的を達成するため、本発明の土留め
壁の止水管理方法は、土留め壁1の異なる位置に複数の
電極2を配設し、電極2間の電気量を測定し、電気量の
変化に基づき土留め壁1における水の浸透箇所を推定す
ることを特徴とするものである。そして、測定する電気
量は例えばインピーダンスであることが好ましい。
【0006】また、本発明の土留め壁1の止水管理装置
は、土留め壁1の異なる位置に埋設された複数の電極2
と、任意の電極2間の電気量を測定するための計測装置
3とより成ることを特徴とするものであり、計測装置3
として例えばインピーダンスを測定するための計測装置
3であることが好ましい。また、計測結果に基づいて土
留め壁1における水の浸透箇所を表示する表示装置4を
設ける構成とすることが好ましい。
【0007】また、計測結果に基づいて水の浸透が所定
量以上の場合に警報する警報手段9を設ける構成とする
ことも好ましい。
【0008】
【作用】しかして、上記のような方法、装置の本発明に
よれば、土留め壁1の異なる位置に複数の電極2を配設
し、電極2間の電気量を計測装置3により測定する。そ
して、水の浸透があると、ある電極2間の電気量の変化
の割合が他の電極2間の電気量の変化の割合と異なるの
で、これに基づき土留め壁1における水の浸透箇所を推
定するものであり、この時の電気量の変化量により水の
浸透量も推定するものである。
【0009】また、計測結果に基づいて土留め壁1にお
ける水の浸透箇所を表示する表示装置4を設けると、表
示装置4により土留め壁1のどの場所が水の浸透箇所で
あるかが簡単に確認できるものである。また、計測結果
に基づいて水の浸透が所定量以上の場合に警報する警報
手段9を設ける構成とすると、水漏れが初期の段階で警
報できて、避難が早期にでき、また、止水を防止するた
めの対策に早期にかかれるものである。
【0010】
【実施例】以下、本発明を添付図面に示す実施例に基づ
いて詳述する。土留め壁1は従来から公知の工法により
地盤6に造成される。一例を挙げれば、地盤6を掘削機
により掘削すると共に掘削孔にセメントミルク等の固結
用材を注入し、固結用材と掘削土砂とを攪拌混合してソ
イルセメントなどの柱体を形成し、これを連続して形成
することでソイルセメントなどの土留め壁1を形成する
ものである。土留め壁1にはH鋼のような補強材5が埋
入されるものである。この補強材5は土留め壁1が硬化
する前に埋入する。
【0011】上記のような土留め壁1には複数箇所に電
極2が埋設して配置してある。そして、電極2にはリー
ド線7が接続してあって、リード線7は土留め壁1から
外部に導出してある。ここで、土留め壁1の複数箇所に
電極2を埋設するには、例えば、任意の補強材5の上下
方向の複数箇所に電極2を絶縁材を介して取付け、この
電極2付きの補強材5を土留め壁1に任意のピッチで埋
入することで、土留め壁1の上下方向及び横方向の複数
箇所にそれぞれ電極2を埋設することができる。もちろ
ん、土留め壁1を形成後、土留め壁1の内側を掘削して
地下建造物を構築する際に露出した土留め壁1の内側面
部の上下方向及び横方向の複数箇所にそれぞれ電極2を
埋入して土留め壁1の上下方向及び横方向の複数箇所に
電極2を配設するようにしてもよい。この場合は補強材
5がなくても電極2を埋設することができる。
【0012】土留め壁1の上下方向及び横方向の複数箇
所に埋設した各電極2に接続されて外部に導出された各
リード線7は計測装置3に接続してある。ここで、計測
装置3においては、各電極2間の電気量を測定するよう
になっており、実施例においては各電極2間のインピー
ダンスを測定するようになっている。そして、水の浸透
がない場合には各電極2間のインピーダンスは変化しな
いが、土留め壁1のある場所に水の浸透があると、水の
浸透により水の浸透の影響を受ける電極2間のインピー
ダンスが低下する。この場合、ある電極2間はインピー
ダンスの変化の割合が大きく、また別の電極2間はイン
ピーダンスの変化の割合が比較的小さく、また、水の浸
透箇所から遠く離れた箇所の電極2間においては、イン
ピーダンスの変化ががほとんどなかったり、あるいは変
化の割合がきわめて小さいといったように、各電極2間
のインピーダンスの変化の割合が異なるものである。そ
して、この電極2間のインピーダンスの変化の割合の違
いに基づいて、土留め壁1における水の浸透箇所を推定
するものである。この時、同時にインピーダンスの変化
量により水の浸透量も推定する。
【0013】計測装置3はマイクロコンピュータのよう
な制御手段8により制御されるようになっており、一定
時間毎に各電極2間のインピーダンスを測定し、この測
定結果をディスプレーのような表示装置4に表示した
り、プリンター10で打ち出すようになっている。そし
て、水の浸透があった場合、計測信号を制御手段8によ
り処理し、土留め壁1のどの場所にどの程度の水の浸透
量があるのかを表示装置4に表示するようになってい
る。この場合、更に、異常とされる水の浸透量の場合に
はブザー、光、その他の警報手段9により異常を報知す
る。
【0014】上記のようにして、土留め壁1のどの場所
にどの程度の水の浸透量があるかを初期の段階で察知す
ることで、土留め壁1の必要な場所のみに必要な止水工
事を初期の段階で行うことができ、このことにより湧き
水による地盤沈下や地下工事の中断、あるいは事故等を
防止することができることになる。次に、具体的実験例
につき説明する。
【0015】(実験1)砂に含水比が5%となるように
水を加え、図3に示すような縦24cm、横32cm、
高さ12cmのプラスチック製のボックス13内に単位
体積重量1.45gf/cm3 になるように突き固め
る。次に、電極2を図3のようにボックス13内の4隅
に埋入する。この状態で、図4のイで示す部分(直径6
cmの円の枠内)に水を100ml単位で500mlま
で浸透させる。この場合における図において形成される
〜の6つの回路のインピーダンスの変化を測定し
た。ここで、測定周波数は120Hz、測定回路モード
は抵抗素子(R,G)とリアクタンス素子(L,C)の
並列等価回路である。また上記〜の回路は、電極2
aと電極2bとの間の等価回路をとし、同様にして電
極2cと電極2dとの間の等価回路をとし、電極2a
と電極2cとの間の等価回路をとし、電極2bと電極
2dとの間の等価回路をとし、同様にして電極2aと
電極2dとの間の等価回路をとし、電極2cと電極2
bとの間の等価回路をとしたものである。測定結果を
下記の表1に示し、この表1をグラフにしたものを図5
に示す。
【0016】(実験2)実験1と同様にして、図6のロ
で示す部分(直径6cmの円の枠内)に水を100ml
単位で500mlまで浸透させる。この場合における図
6において形成される〜の6つの回路のインピーダ
ンスの変化を測定した。この場合も、測定周波数120
Hz、測定回路モードは抵抗素子(R,G)とリアクタ
ンス素子(L,C)の並列等価回路である。インピーダ
ンスの測定結果を、下記の表2に示し、表2をグラフに
したものをそれぞれ図7に示す。
【0017】
【表1】
【0018】
【表2】
【0019】上記表1及び図5により明らかなように、
電極2aと2dとの間の等価回路、電極2bと電極2
cとの間の等価回路のインピーダンスの変化の割合が
ほぼ同じで一番大きく、また、電極2aと電極2cとの
間の等価回路と電極2bと電極2dとの間の等価回路
のインピーダンスの変化の割合がほぼ同じで一番小さ
く、また、電極2aと電極2bとの間の等価回路と電
極2cと電極2dとの間の等価回路のインピーダンス
の変化の割合がほぼ同じで中間の変化量であることが判
る。このデータを分析すると、図4のイで示す電極2a
と電極2dを結んだ線と電極2bと電極2cとを結んだ
線の交わる部分の近くが浸水場所であると推定できる。
そして、インピーダンスがどれだけ変化したかにより浸
水量も推定できる。
【0020】また、上記表2及び図7により明らかなよ
うに、電極2aと電極2bとの間の等価回路のインピ
ーダンスの変化量が一番大きく、電極2aと2dとの間
の等価回路、電極2bと電極2cとの間の等価回路
のインピーダンスの変化の割合がほぼ同じで次に変化量
が大きく、また、電極2aと電極2cとの間の等価回路
と電極2bと電極2dとの間の等価回路のインピー
ダンスの変化の割合がほぼ同じで変化量が小さく、ま
た、電極2cと電極2dとの間の等価回路のインピー
ダンスの変化の割合が一番小さいことが判る。このデー
タを分析すると、浸水場所が電極2aと電極2bとを結
んだ線と電極2aと電極2dを結んだ線と電極2bと電
極2cとを結んだ線とにより囲まれた部分の図6のロで
示す場所であることが推定できる。そして、インピーダ
ンスがどれだけ変化したかにより浸水量も推定できる。
【0021】上記実験は砂に水を加えた場合の実験であ
るが、次に、砂と水とセメントとの混合による固結体で
実験した例につき説明する。 (実験3)砂に含水比が10%となるように水を加え、
次に普通ポルトランドセメントを6%混合し、これを実
験1に用いたプラスチック製のボックス13内に単位体
積重量1.6gf/cm3 になるように突き固める。次
に、電極2を図8のようにボックス13内の4隅に埋入
する。この状態で、図8のハで示す部分(直径6cmの
円の枠内)に水を100ml単位で500mlまで浸透
させる。この場合における図8において形成される〜
の6つの回路のインピーダンスの変化を測定した。こ
こで、測定周波数は120Hz、測定回路モードは抵抗
素子(R,G)とリアクタンス素子(L,C)の並列等
価回路である。測定結果を、下記の表3に示し、この表
3をグラフにしたものを図9に示す。
【0022】
【表3】
【0023】上記表3及び図9により明らかなように、
電極2aと2dとの間の等価回路、電極2bと電極2
cとの間の等価回路のインピーダンスの変化の割合が
ほぼ同じで一番大きく、また、電極2aと電極2cとの
間の等価回路と電極2bと電極2dとの間の等価回路
のインピーダンスの変化の割合がほぼ同じで一番小さ
く、また、電極2aと電極2bとの間の等価回路と電
極2cと電極2dとの間の等価回路のインピーダンス
の変化の割合がほぼ同じで中間の変化量であることが判
る。このデータを分析すると、図8のハで示す電極2a
と電極2dを結んだ線と電極2bと電極2cとを結んだ
線の交わる部分の近くが浸水場所であると推定できる。
このように、砂と水とセメントとの固結体も、実験1や
実験2で示した砂と水との混合物のものと同様に電極2
間のインピーダンスを測定することで、浸水場所が推定
できるのである。また、そして、インピーダンスがどれ
だけ変化したかにより浸水量も推定できる。
【0024】上記実施例においては、電極間の電気量を
測定するに当たり、インピーダンスの変化に基づき土留
め壁における水の浸透箇所を推定した例を示したが、電
極2間の電気量の変化の測定としては、インピーダンス
の変化の測定のみに限定されるものではない。電極2間
の静電容量の変化を測定したり、あるいは、電極2間の
インダクタンスの変化を測定したりして水の浸透箇所、
浸透量を推定するようにしてもよいものである。
【0025】
【発明の効果】本発明にあっては、上述のように、土留
め壁の異なる位置に複数の電極を配設し、電極間の電気
量を測定し、電気量の変化に基づき土留め壁における水
の浸透箇所を推定するので、土留め壁の一部から浸水が
ある場合、浸水の初期の段階で土留め壁のどの場所で、
どの程度の浸水があるのかが推定でき、事故が発生する
前に土留め壁の必要な箇所のみ必要な止水工事を行えば
よく、この結果、はじめから土留め壁全体を必要以上に
厚く形成したり、あるいはセメント成分やその他の固結
成分の量を必要以上に増量したりする必要がなくてコス
トダウンがはかれ、土留め壁を安全な状態に管理するこ
とができるものである。
【0026】しかも、本発明における装置は、土留め壁
の異なる位置に埋設された複数の電極と、任意の電極間
の電気量を測定するための計測装置とより成るので、簡
単な構成で、土留め壁の浸水箇所及び浸水量を初期の段
階でつかむことができるものである。しかも、計測結果
に基づいて土留め壁における水の浸透箇所を表示する表
示装置を設けることで、土留め壁のどの場所が水の浸透
している箇所であるかを表示装置で表すことができて、
浸透箇所が一目で判るものである。
【0027】また、計測結果に基づいて水の浸透が所定
量以上の場合に警報する警報手段9を設ける構成とする
と、水漏れが初期の段階で警報できて、避難が早期にで
き、また、止水を防止するための対策に早期にかかれる
ものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の概略斜視図である。
【図2】同上の制御を示すブロック図である。
【図3】(a)(b)は同上の実験に用いるボックスの
平面図及び断面図である。
【図4】同上の実験1の説明図である。
【図5】同上の実験1における各電極間のインーピダン
スの変化を示すグラフである。
【図6】同上の実験2の説明図である。
【図7】同上の実験2における各電極間のインーピダン
スの変化を示すグラフである。
【図8】同上の実験3の説明図である。
【図9】同上の実験3における各電極間のインーピダン
スの変化を示すグラフである。
【符号の説明】
1 土留め壁 2 電極 3 計測装置 4 表示装置 9 警報手段

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 土留め壁の異なる位置に複数の電極を配
    設し、電極間の電気量を測定し、電気量の変化に基づき
    土留め壁における水の浸透箇所を推定することを特徴と
    する土留め壁の止水管理方法。
  2. 【請求項2】 土留め壁の異なる位置に複数の電極を配
    設し、電極間のインピーダンスを測定し、インピーダン
    スの変化に基づき土留め壁における水の浸透箇所を推定
    することを特徴とする土留め壁の止水管理方法。
  3. 【請求項3】 土留め壁の異なる位置に埋設された複数
    の電極と、任意の電極間の電気量を測定するための計測
    装置とより成ることを特徴とする土留め壁の止水管理装
    置。
  4. 【請求項4】 土留め壁の異なる位置に埋設された複数
    の電極と、任意の電極間のインピーダンスを測定するた
    めの計測装置とより成ることを特徴とする土留め壁の止
    水管理装置。
  5. 【請求項5】 計測装置の計測結果に基づいて土留め壁
    における水の浸透箇所を表示する表示装置を設けて成る
    ことを特徴とする請求項3又は請求項4記載の土留め壁
    の止水管理装置。
  6. 【請求項6】 計測装置の計測結果に基づいて水の浸透
    が所定量以上の場合に警報する警報手段を設けて成るこ
    とを特徴とする請求項3又は請求項4又は請求項5記載
    の土留め壁の止水管理装置。
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Cited By (2)

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JPH09222377A (ja) * 1996-02-19 1997-08-26 Maeda Corp ボーリング孔漏水位置測定方法及び測定装置
CN110397044A (zh) * 2019-07-22 2019-11-01 中铁第四勘察设计院集团有限公司 抗承压水突涌的基坑施工方法及基坑结构

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