JPH06331794A - 放射性廃棄物セメント固化用骨材およびその製造方法 - Google Patents

放射性廃棄物セメント固化用骨材およびその製造方法

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JPH06331794A
JPH06331794A JP12268293A JP12268293A JPH06331794A JP H06331794 A JPH06331794 A JP H06331794A JP 12268293 A JP12268293 A JP 12268293A JP 12268293 A JP12268293 A JP 12268293A JP H06331794 A JPH06331794 A JP H06331794A
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Japan
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cement
aggregate
water
radioactive waste
mixture
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JP12268293A
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English (en)
Inventor
Michitaka Mikura
通孝 三倉
Naomi Toyohara
尚実 豊原
Tatsuaki Sato
龍明 佐藤
Masaaki Kaneko
昌章 金子
Mikio Wada
幹雄 和田
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】固化時における発熱や体積変化が少なく、水と
接触した場合においても、接触水の液性を長期に渡って
アルカリ性に保持し、放射性元素の溶解溶出を効果的に
抑止することが可能な放射性廃棄物セメント固化用骨材
およびその製法ならびに上記骨材を使用した廃棄物処理
貯蔵施設およびその閉鎖方法を提供する。 【構成】本発明に係る放射性廃棄物セメント固化用骨材
は、ポルトランドセメント、高炉スラグセメント、フラ
イアッシュセメント等のセメント材料と水との混練物の
固化体を粉砕して成ることを特徴とする。また放射性廃
棄物セメント固化体を形成するためのセメント混合体、
放射性廃棄物処理貯蔵施設の躯体構築物を建設するため
のセメント混合体、放射性廃棄物処理貯蔵施設閉鎖用の
バックフィル材として、上記骨材を含有するセメント混
合体を使用することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、原子力発電所や核燃料
再処理工場等の原子力施設において発生する放射性廃棄
物をセメント固化する際に使用する骨材およびその製造
方法ならびに上記骨材を含有するセメント混合体を使用
した放射性廃棄物セメント固化方法、上記骨材を含有す
るセメント混合体で躯体等を構築した放射性廃棄物処理
貯蔵施設、上記骨材を含有するセメント混合体をバック
フィル材として使用する廃棄物処理貯蔵施設の閉鎖方法
に関する。
【0002】特に本発明はセメント混合体の構成材料と
して、機械的強度および長期間に亘る物理化学的安定性
や耐久性に優れ、かつ水と接触した場合においても、接
触水の液性を長期に亘り、アルカリ性に保持し放射性元
素の溶解を抑止することが可能な放射性廃棄物セメント
固化用骨材およびその製造方法ならびにその骨材を使用
した放射性廃棄物セメント固化方法等に関する。
【0003】
【従来の技術】原子力発電所や核燃料再処理工場等の原
子力施設で発生する放射性廃棄物には、原子炉冷却系か
らの床ドレン、原子炉付帯設備からの漏洩水、各浄化系
のイオン交換樹脂の再生廃液、洗濯雑廃液などの液体廃
棄物や使用済樹脂、フィルタスラッジ、使用済制御棒、
気体廃棄物系のフィルタ、汚染機械等の雑固体廃棄物や
上記液体廃棄物を蒸発乾燥処理した後に生成する粉末状
の固体廃棄物がある。これらの放射性廃棄物は、セメン
ト混合体、アスファルトあるいはプラスチックと混練固
化されたり、または充填固化されて処理されている。
【0004】また放射性廃棄物処理貯蔵施設を構成する
ピットや貯蔵容器等の躯体部分はセメント混合体で形成
される一方、上記放射性廃棄物処理貯蔵施設を閉鎖する
場合には、セメント混合体をバックフィル材として施設
全体に充填し固化して放射性物質を封じ込める方法が採
用されている。
【0005】ところで、上記のようなセメント混合体を
使用して放射性廃棄物処理貯蔵施設の躯体部を建設する
場合には、セメント混合体が固化する際の発熱量を低減
するとともに乾燥時の体積変化を減少させるために、セ
メント混合体には砂、砕砂、砂利、砕石等の骨材が配合
される。
【0006】上記セメント混合体は、セメント成分の水
和反応によって固化し、固化体を形成する。この固化体
が水と接触するとセメント成分の水和生成物が水中に溶
出するため、水は高いアルカリ性を呈する。このような
水和生成物を含む溶液中において、プルトニウムやアメ
リシウム等のTRU元素は溶解度または溶解度積が小さ
い化合物を形成する。したがって、砂や砂利等の骨材を
配合したセメント混合体を使用して形成した放射性廃棄
物セメント固化体および放射性廃棄物処理貯蔵施設の躯
体構造物においては、固化したセメント成分の作用によ
り、TRU元素等の放射性物質が水に溶解することがあ
る程度は抑止できる効果があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
セメント混合体においては、固化時の発熱量や体積収縮
を低減するために配合する骨材として、セメント成分が
含まれていない砂や砂利を配合していたため、セメント
混合体の単位体積当りのセメント成分量が減少する結
果、セメント材単独で処理した固化体と比較して、TR
U元素等の放射性元素の溶出を長期間に亘って抑制する
効果が低い欠点があった。
【0008】そこで上記欠点を解決するために、従来の
砂や砂利等に代えて、セメント製造時に発生するクリン
カーを骨材として使用し、セメント成分の絶対量を高め
る方法も提案されている。
【0009】しかしながら、クリンカーを骨材として配
合したものが水と接触した場合、固化時において骨材内
部に水和反応が終了していないセメント成分が存在する
ため発熱量の増大や体積変化が顕著になり、ひび割れ等
の欠陥を生じる不具合があり、固化体の機械的強度が低
下し、保存耐久性が低下してしまう問題点もあった。
【0010】本発明は上記問題点を解決するためになさ
れたものであり、固化時における発熱や体積変化が少な
く、水と接触した場合においても、接触水の液性を長期
に渡ってアルカリ性に保持し、放射性元素の溶解溶出を
効果的に抑止することが可能な放射性廃棄物セメント固
化用骨材およびその製法ならびに上記骨材を使用した廃
棄物処理貯蔵施設およびその閉鎖方法を提供することを
目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本発明に係る放射性廃棄物セメント固化用骨材は、ポル
トランドセメント、高炉スラグセメント、フライアッシ
ュセメント等のセメント材料と水との混練物の固化体を
粉砕して成ることを特徴とする。
【0012】また本発明に係る放射性廃棄物処理方法
は、ポルトランドセメント、高炉スラグセメント、フラ
イアッシュセメント等のセメント材料と水との混練物の
固化体を粉砕して成る骨材と、セメント材料と水とを混
合してセメント混合体を調製し、しかる後に上記セメン
ト混合体と放射性廃棄物とを混合し、固化せしめること
を特徴とする。
【0013】さらに本発明に係る放射性廃棄物処理貯蔵
施設は、セメント混合体を充填固化せしめて形成したピ
ット等の躯体構造物を有する放射性廃棄物処理貯蔵施設
において、上記躯体構造物を構成するセメント混合体
が、ポルトランドセメント、高炉スラグセメント、フラ
イアッシュセメント等のセメント材料と水との混練物の
固化体を粉砕して成る骨材を含有することを特徴とす
る。
【0014】また本発明に係る放射性廃棄物処理貯蔵施
設の閉鎖方法は、放射性廃棄物処理貯蔵施設にセメント
混合体から成るバックフィル材を充填した後に固化せし
める放射性廃棄物処理貯蔵施設の閉鎖方法において、上
記バックフィル材として、ポルトランドセメント、高炉
スラグセメント、フライアッシュセメント等のセメント
材料と水との混練物の固化体を粉砕して成る骨材を含有
するセメント混合体を使用することを特徴とする。
【0015】さらに本発明に係る放射性廃棄物セメント
固化用骨材の製造方法は、セメント材料と混練用水とを
混練する工程と、混練工程で得られた混練体を固化する
工程と、固化工程で得られた固化体を粉砕して放射性廃
棄物セメント固化用骨材とする工程とから成り、上記混
練用水として脱炭酸水を使用するとともに、混練工程を
脱炭酸ガス雰囲気で実施することを特徴とする。
【0016】ここで上記骨材の主成分となるセメント材
料としては、普通ポルトランドセメント、高炉スラグセ
メント、フライアッシュセメント、早強ポルトランドセ
メント、中庸熱スラグセメント、耐硫酸塩ポルトランド
セメント、シリカセメント等を採用する。普通ポルトラ
ンドセメントはコンクリート用として土木建築工事に最
も汎用的に使用されており入手が容易である。高炉スラ
グセメントは、塩基性急冷高炉スラグとポルトランドセ
メントと適量の石膏とを混合粉砕して製造され、水和熱
が小さく、化学抵抗性が大きい特長を有する。またフラ
イアッシュセメントは、フライアッシュとポルトランド
セメントとを均一に混合して製造され、水和熱が低く、
固化体(硬化体)の水密性および化学抵抗性が大きい特
長を有する。
【0017】本発明に係る放射性廃棄物セメント固化用
骨材は、例えば図1に示すようなフローで製造される。
すなわち上記普通ポルトランドセメント、高炉スラグセ
メント、フライアッシュセメントなどのセメント材料1
と混練用水2とを水セメント比(W/C)が35〜65
%となるように配合して混練した後に、一定の養生期間
をおいて固化せしめ、得られた固化体をボールミルやク
ラッシャー等の粉砕機を使用して粉砕することによって
本発明に係る骨材3が形成される。なお上記セメント材
料1としては、各種セメントを単独で使用してもよい
が、要求特性に応じて2種以上混合して使用してもよ
い。
【0018】本発明に係る放射性廃棄物セメント固化法
において使用するセメント混合体、放射性廃棄物処理貯
蔵施設を構成する躯体構造物を形成するために使用する
セメント混合体、廃棄物処理貯蔵施設の閉鎖方法におい
てバックフィル材として使用するセメント混合体は、い
ずれも上記のように調製した骨材を含有するものであ
る。
【0019】ところで、上記骨材を製造する工程におい
て、混練用水や混練雰囲気中に炭酸成分が含有されてい
る場合、その炭酸成分がセメント成分の水和生成物を部
分的に中和し、アルカリ分が低減されるおそれがある。
【0020】そこで骨材製造時の雰囲気中から予め二酸
化炭素を除去したり、混練用水から炭酸イオンを除去す
ることにより、上記の中和反応が起こりにくくなる。上
記のような脱炭酸水および脱炭酸雰囲気を採用すること
により、骨材による放射性元素の封じ込め効果をより長
期間に亘り維持することができる。
【0021】
【作用】上記構成に係る放射性廃棄物セメント固化用骨
材によれば、骨材自体にセメント成分が含有されるとと
もに、そのセメント成分は既に水和した状態にあるた
め、以後に水と接触した場合においても骨材自体の体積
変化や発熱を起こさない。そのため上記骨材を含有する
セメント材料を使用して放射性廃棄物の均質固化体や充
填固化体、または躯体構造物を形成した場合において
も、固化体の機械的強度が損われることが少ない。
【0022】またセメント成分が含有される骨材をセメ
ント混合体が含有しているため、このセメント混合体で
形成した固化体、躯体構造物、充填材(バックフィル
材)の単位体積当りの水和物生成量は、従来の砂や砂利
等のセメント成分を含有しない骨材を使用した固化体等
の場合と比較して、大幅に増加させることができる。し
たがって、セメント成分の水和生成物による放射性元素
の封じ込め効果が高い固化体や躯体構造物を形成するこ
とができ、放射性廃棄物の長期保管に極めて有効であ
る。
【0023】
【実施例】以下に実施例を示し、本発明をより具体的に
説明する。まず本実施例に係る骨材と水とを接触させた
場合における接触水の液性変化および放射性元素の保持
性能を評価するために、図1に示す手順で実施例1〜3
に係る骨材を製造し、引き続き各骨材について繰り返し
て純水を接触せしめ、接触水の液性の経時変化を測定し
た。
【0024】実施例1 すなわちセメント材料としての普通ポルトランドセメン
ト1に対して40重量%の混練用水2としての純水を配
合し、3分間混練した。次に28日間の養生期間をおい
て固化せしめ、得られた固化体をボールミルにて粉砕し
て実施例1に係る骨材3を製造した。この骨材3を5g
分取した後に10倍量の純水4を添加し、骨材3を浸漬
状態においた。そして1日毎に骨材3aと浸漬水(接触
水)5とを濾別し、浸漬水5のpHを測定するととも
に、濾別した骨材3aに対して新たに同量の純水を入れ
換える操作を長期に亘って繰り返し、浸漬水5の液性の
変化を観察した。
【0025】実施例2 セメント材料として高炉スラグセメントと普通ポルトラ
ンドセメントとを、混合比9:1で配合した混合セメン
トを使用した以外は実施例1と同様に処理して骨材を調
製し、この骨材について同様の条件で純水を添加し、骨
材に接触した浸漬水のpHの経時変化を測定した。
【0026】実施例3 セメント材料としてフライアッシュセメントと普通ポル
トランドセメントとを、混合比9:1で配合した混合セ
メントを使用した以外は実施例1と同様に処理して骨材
を調製し、この骨材について同様の条件で純水を添加
し、骨材に接触した浸漬水のpHの経時変化を測定し
た。
【0027】次に上記実施例1〜3において調製した各
骨材5gに対して、放射性元素としてのプルトニウムと
アメリシウムとをそれぞれ0.1μCi含有する放射性
元素水溶液を50ml添加して混合液を調製し、温度1
0℃で28日間保持した。しかる後に、混合液を濾過
し、元の骨材と浸漬液とに分離し、浸漬液中に含有され
るプルトニウムおよびアメリシウム量を液体シンチレー
ション検出器によって定量測定した。これらの定量測定
結果から骨材へのプルトニウムおよびアメリシウムの分
配係数を求め下記表1に示す結果を得た。なお上記分配
係数は下記の導出式に従って算出した。
【0028】
【数1】
【0029】
【表1】
【0030】表1に示す結果から明らかなように実施例
1〜3に係る骨材によればプルトニウムおよびアメリシ
ウムから成る放射性元素の液相と固相との濃度比(分配
係数)がいずれも104 以上と高くなり、上記各元素の
液相への溶出が少なく、優れた保持性能が発揮されるこ
とが確認できた。
【0031】また実施例1にて調製された骨材は、酸化
カルシウム、二酸化けい素、水から成るゲル状物質と水
酸化カルシウムとの混合物であった。この実施例1に係
る骨材と純水とを接触させた場合の浸漬液のpH値は1
2.5であった。さらに図2で示した手順では1日毎に
純水を入れ換える操作を繰り返した結果、10日間まで
の浸漬液のpH値は11以上に保持でき、優れた保持性
能を有することが確認できた。
【0032】また実施例2にて調製された骨材は、酸化
カルシウム、二酸化けい素、水から成るゲル状物質と二
酸化けい素との混合物であった。この実施例2に係る骨
材と純水とを接触させた場合の浸漬液のpH値は12で
あった。さらに図2で示した手順では1日毎に純水を入
れ換える操作を繰り返した結果、50日以上に亘って浸
漬液のpH値は12以上に保持でき、優れた保持性能を
有することが確認できた。
【0033】また実施例3にて調製された骨材は、酸化
カルシウム、二酸化けい素、水から成るゲル状物質と二
酸化けい素との混合物であった。この実施例3に係る骨
材と純水とを接触させた場合の浸漬液のpH値は9.5
であった。さらに図2で示した手順では1日毎に純水を
入れ換える操作を繰り返した結果、50日以上に亘って
浸漬液のpH値は9.5以上に保持でき、優れた保持性
能を有することが確認できた。
【0034】したがって上記実施例1〜4に係る骨材を
含有したセメント混合体を使用して放射性廃棄物固化体
や躯体構築物を形成した場合、骨材が接触する水の液性
を長期間に亘りアルカリ性に保持することが可能とな
り、プルトニウムやアメリシウム等のTRU元素を固相
に封じ込めることができる。
【0035】次に本発明に係る骨材の機械的強度の変化
について以下の実施例4について説明する。
【0036】実施例4 実施例1〜3において水とセメント材料とを混練した後
に24時間以上の養生期間をおいてし固化せしめて調製
した粉砕前の各骨材試験体(直径50mm×高さ100m
m)について圧縮強度を測定した。また各試験体を純水
中に所定期間浸漬した場合における各試験体の圧縮強度
の経時変化、試験体の長さおよび重量の経時変化を測定
した。
【0037】その結果、普通ポルトランドセメントにて
形成した実施例1に係る骨材から成る試験体の圧縮強度
は、3日後に150kgf/cm2 、7日後に250kgf/c
m2 、28日後に400kgf/cm2 に達した。一方、実施
例2〜3に係る骨材から成る試験体の圧縮強度は、いず
れも実施例1よりは大であった。
【0038】また各試験体を純水中に3ヶ月間浸漬させ
た場合においても各試験体の圧縮強度の変化は観察され
なかった。
【0039】一方、各試験体を純水中に浸漬させた場合
における各試験体の長さおよび重量の経時変化はそれぞ
れ図3および図4に示す通りであった。図3〜図4に示
す結果から明らかなように、6ヶ月以上の長期に亘り各
試験体を浸漬した場合においても、各試験体についてそ
の長さおよび重量の大きな変化は観察されず、形状変化
が少ない骨材が得られた。
【0040】また各骨材の機械的強度に間しては、セメ
ント材料と水とを混練後、養生期間を28日以上おくこ
とにより、いずれも圧縮強度として400kgf/cm2 以上
の値が得られ、従来の骨材と遜色のない機械的強度が得
られることが確認された。
【0041】次に本発明に係る骨材とセメント材料と水
とを混合して調製したセメント混合体を使用して放射性
廃棄物をセメント固化する場合、放射性廃棄物処理貯蔵
施設のピット等の躯体構造物を建設する場合、および上
記セメント混合体をバックフィル材(充填材)として使
用し放射性廃棄物処理貯蔵施設を閉鎖する場合等を想定
した実施例5に基づいて上記セメント混合体の固化体の
特性について比較例1とともに説明する。
【0042】実施例5 図5に示すように実施例1において調製した骨材3(普
通ポルランドセメントの固化体の粉砕粉から成る)10
0gに対して、セメント材料1としての普通ポルトラン
ドセメント140gを配合混合して混合材料6を調製
し、さらに得られた混合材料6に水4を90ml添加混
練してセメント混合体を調製した。さらにこのセメント
混合体の固化体をボールミルにて粉砕し、得られた粉砕
粉5gを分取し、さらに50mlの純水を添加して粉砕
粉を浸漬した。以後、24時間(1日)経過毎に浸漬水
のpHを測定するとともに、古い浸漬水を新しい純水に
入れ換える操作を繰り返して各浸漬水の液性の経時変化
を測定した。
【0043】比較例1 一方、比較例1として、従来汎用の天然砂を骨材として
使用した以外は実施例5と同様な条件でセメント混合体
を調製し、その固化体の粉砕粉に接触する浸漬水のpH
の経時変化を測定した。
【0044】測定結果を下記表2に示す。
【0045】
【表2】
【0046】上記表2に示す結果から明らかなように本
発明に係る骨材を使用した実施例5の場合、1日後にお
ける浸漬水のpH値は12.5であり、天然砂を骨材と
した比較例1とほぼ近い値であった。しかしながら、日
数の経過とともに有意差が現われ、実施例5では、10
日間経過後においても液相のpHは11以上に保持でき
た。一方比較例1においては7日間経過以降においては
pHは11未満まで低下することが確認された。
【0047】また放射性廃棄物のセメント混練固化体、
充填固化体、処理貯蔵施設のコンクリート構造物および
施設閉鎖用バックフィル材の固化体となるコンクリート
ブロックを本実施例のセメント混合体で形成したとこ
ろ、ブロックに接触した溶液の液性をアルカリ性に維持
できる期間が、従来の砂などを骨材としたコンクリート
ブロックと比較して、約1.3倍以上に延伸することが
できた。したがって本実施例に係る骨材を使用すること
により、固化体と接触した水を長期間に亘ってアルカリ
性に維持でき、TRU元素等の放射性元素を固化体内に
長期間に亘り封じ込めることが可能になる。
【0048】次に本発明に係る骨材の製造時の雰囲気条
件が骨材の特性に及ぼす影響について、下記の実施例6
および比較例2を例示して説明する。
【0049】実施例6 骨材製造時の雰囲気ガスを制御するため、図6に示すよ
うな骨材製造装置7を用意した。この骨材製造装置7
は、密閉容器で形成したグローブボックス8と、グロー
ブボックス8内の雰囲気ガス9を循環させるための雰囲
気ガス循環配管10と、この配管10の途中に配設され
雰囲気ガス9に含有される二酸化炭素(炭酸ガス)を除
去する二酸化炭素トラップ11と、雰囲気ガス9を循環
させるエアポンプ12とを備えて構成される。また二酸
化炭素トラップ11内には、二酸化炭素を吸収する10
N−水酸化ナトリウム水溶液等の炭酸ガス吸収剤13が
充填されている。
【0050】そしてグローブボックス8内の雰囲気ガス
9中の炭酸ガスを除去した状態にした後に、グローブボ
ックス8内において、セメント材料1としての普通ポル
ランドセメントと脱炭酸水14とを混練した後に、28
日間の養生期間をおいて固化せしめ実施例6に係る骨材
試料を調製した。次に得られた骨材試料を純水中に浸漬
させて24時間(1日)経過毎に浸漬水を純水に入れ換
える操作を繰り返して、各浸漬水のpHの経時変化を測
定した。
【0051】比較例2 実施例6で使用した骨材製造装置7を使用せずに、空気
雰囲気にてセメント材料と純水とを混練し固化せめした
以外は実施例6と同一条件で処理して同一寸法を有する
比較例2に係る骨材試料を調製し、同様に浸漬試験を実
施して浸漬水のpHの経時変化を測定した。
【0052】測定結果を下記表3に示す。
【0053】
【表3】
【0054】表3に示す結果から明らかなように、脱炭
酸ガス雰囲気のグローブボックス内で調製した実施例6
に係る骨材試料の浸漬水のpH値は12日経過後におい
ても11.0と高い値を示す一方、空気雰囲気下で調製
した比較例2に係る骨材試料の浸漬水のpH値は10.
5と低くなることが確認された。すなわち骨材の製造雰
囲気の二酸化炭素濃度を低減することにより、また混練
用水の炭酸イオン濃度を低減させることによりセメント
材料中のアルカリ成分が二酸化炭素と中和して減少する
ことが効果的に防止でき、骨材と水とが接触した場合
に、接触水のpH値をより長期に亘り高いpH値に維持
できることが確認された。したがって骨材製造時の雰囲
気を制御することにより、TRU元素等を固相中で保持
する効果が長期間に亘って持続することが確認できた。
【0055】
【発明の効果】以上説明の通り本発明に係る放射性廃棄
物セメント固化用骨材によれば、骨材自体にセメント成
分が含有されるとともに、そのセメント成分は既に水和
した状態にあるため、以後に水と接触した場合において
も骨材自体の体積変化や発熱を起こさない。そのため上
記骨材を含有するセメント材料を使用して放射性廃棄物
の均質固化体や充填固化体、または躯体構造物を形成し
た場合においても、固化体の機械的強度が損われること
が少ない。
【0056】またセメント成分が含有される骨材をセメ
ント混合体が含有しているため、このセメント混合体で
形成した固化体、躯体構造物、充填材(バックフィル
材)の単位体積当りの水和物生成量は、従来の砂や砂利
等のセメント成分を含有しない骨材を使用した固化体等
の場合と比較して、大幅に増加させることができる。し
たがって、セメント成分の水和生成物による放射性元素
の封じ込め効果が高い固化体や躯体構造物を形成するこ
とができ、放射性廃棄物の長期保管に極めて有効であ
る。
【0057】また本発明に係る骨材の原料として、使用
済みのポルランドセメント、高炉スラグセメント、フラ
イアッシュセメント等を再利用することも可能であるた
め、資源の有効利用および環境保護の観点からも極めて
有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る放射性廃棄物セメント固化用骨材
の製造工程を示すフローダイアグラム。
【図2】実施例1〜3に係る骨材を使用した実験操作手
順を示すフローダイアグラム。
【図3】各骨材試験体の長さの経時変化を示すグラフ。
【図4】各骨材試験体の重量の経時変化を示すグラフ。
【図5】本発明において使用するセメント混合体の製造
工程および用途を示すフローダイアグラム。
【図6】本発明に係る骨材を製造するための装置の構成
例を示す系統図。
【符号の説明】
1 セメント材料 2 混練用水 3,3a 骨材 4 純水(水) 5 浸漬水(接触水) 6 混合材料 7 骨材製造装置 8 グローブボックス 9 雰囲気ガス 10 雰囲気ガス循環配管 11 二酸化炭素トラップ 12 エアポンプ 13 炭酸ガス吸収剤
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 金子 昌章 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内 (72)発明者 和田 幹雄 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポルトランドセメント、高炉スラグセメ
    ント、フライアッシュセメント等のセメント材料と水と
    の混練物の固化体を粉砕して成ることを特徴とする放射
    性廃棄物セメント固化用骨材。
  2. 【請求項2】 ポルトランドセメント、高炉スラグセメ
    ント、フライアッシュセメント等のセメント材料と水と
    の混練物の固化体を粉砕して成る骨材と、セメント材料
    と水とを混合してセメント混合体を調製し、しかる後に
    上記セメント混合体と放射性廃棄物とを混合し、固化せ
    しめることを特徴とする放射性廃棄物セメント固化方
    法。
  3. 【請求項3】 セメント混合体を充填固化せしめて形成
    したピット等の躯体構造物を有する放射性廃棄物処理貯
    蔵施設において、上記躯体構造物を構成するセメント混
    合体が、ポルトランドセメント、高炉スラグセメント、
    フライアッシュセメント等のセメント材料と水との混練
    物の固化体を粉砕して成る骨材を含有することを特徴と
    する放射性廃棄物処理貯蔵施設。
  4. 【請求項4】 放射性廃棄物処理貯蔵施設にセメント混
    合体から成るバックフィル材を充填した後に固化せしめ
    る放射性廃棄物処理貯蔵施設の閉鎖方法において、上記
    バックフィル材として、ポルトランドセメント、高炉ス
    ラグセメント、フライアッシュセメント等のセメント材
    料と水との混練物の固化体を粉砕して成る骨材を含有す
    るセメント混合体を使用することを特徴とする放射性廃
    棄物処理貯蔵施設の閉鎖方法。
  5. 【請求項5】 セメント材料と混練用水とを混練する工
    程と、混練工程で得られた混練体を固化する工程と、固
    化工程で得られた固化体を粉砕して放射性廃棄物セメン
    ト固化用骨材とする工程とから成り、上記混練用水とし
    て脱炭酸水を使用するとともに、混練工程を脱炭酸ガス
    雰囲気で実施することを特徴とする放射性廃棄物セメン
    ト固化用骨材の製造方法。
JP12268293A 1993-05-25 1993-05-25 放射性廃棄物セメント固化用骨材およびその製造方法 Pending JPH06331794A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
FR2742256A1 (fr) * 1995-12-11 1997-06-13 Korea Atomic Energy Res Methode de solidification de dechets radioactifs sans bore sous forme vitrifiee en utilisant des cendres volantes et des dechets radioactifs contenant du bore en tant que frittes de verre borosilicate
JP2012006811A (ja) * 2010-06-28 2012-01-12 Takenaka Komuten Co Ltd 再生微粉末、その回収方法、それを用いたコンクリート組成物及び分級装置
JP2012225682A (ja) * 2011-04-15 2012-11-15 Toshiba Corp 放射性廃棄物の処理方法及び処理装置

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