JPH06329468A - ジルコニア質焼結体及びその製造方法 - Google Patents
ジルコニア質焼結体及びその製造方法Info
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- JPH06329468A JPH06329468A JP5121434A JP12143493A JPH06329468A JP H06329468 A JPH06329468 A JP H06329468A JP 5121434 A JP5121434 A JP 5121434A JP 12143493 A JP12143493 A JP 12143493A JP H06329468 A JPH06329468 A JP H06329468A
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Abstract
(57)【要約】
【構成】 Ln2 O3 /ZrO2 (ただし、LnはD
y,Ho,Er及びYbよりなる群から選ばれる1種又
は2種以上を表す。)のモル比が、2/98〜6/94
の範囲であるジルコニア組成物に、特性向上剤として、
La2 O3 ,Pr2O11/3及びNd2 O3 よりなる群か
ら選ばれる1種又は2種以上を0.01〜0.5モル%
添加したジルコニア質焼結体。原料粉を所定の形状に成
型した後、大気雰囲気中にて1300〜1700℃で焼
結させる。 【効果】 ジルコニア質焼結体が本来持っている強靭
性、潤滑性、断熱性、熱膨張特性、酸素物イオン導電性
等の特性を生かしつつ、比較的厳しい環境下で使用され
るため耐熱衝撃特性や耐久試験による特性が望まれるよ
うな所、又は、粉砕用部材、切断工具、ダイス、ノズル
などの機械構造材料及び酸素センサー、燃料電池用材料
などの機能性材料等に好適なジルコニア質焼結体が提供
される。
y,Ho,Er及びYbよりなる群から選ばれる1種又
は2種以上を表す。)のモル比が、2/98〜6/94
の範囲であるジルコニア組成物に、特性向上剤として、
La2 O3 ,Pr2O11/3及びNd2 O3 よりなる群か
ら選ばれる1種又は2種以上を0.01〜0.5モル%
添加したジルコニア質焼結体。原料粉を所定の形状に成
型した後、大気雰囲気中にて1300〜1700℃で焼
結させる。 【効果】 ジルコニア質焼結体が本来持っている強靭
性、潤滑性、断熱性、熱膨張特性、酸素物イオン導電性
等の特性を生かしつつ、比較的厳しい環境下で使用され
るため耐熱衝撃特性や耐久試験による特性が望まれるよ
うな所、又は、粉砕用部材、切断工具、ダイス、ノズル
などの機械構造材料及び酸素センサー、燃料電池用材料
などの機能性材料等に好適なジルコニア質焼結体が提供
される。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はジルコニア質焼結体及び
その製造方法に係り、特に、耐熱衝撃特性に優れ、高い
機械的特性を有すると共に、水又は水蒸気が存在するよ
うな高温(100〜300℃)環境下にて相転移による
劣化を起こし難い、安定したジルコニア質焼結体及びそ
の製造方法に関する。
その製造方法に係り、特に、耐熱衝撃特性に優れ、高い
機械的特性を有すると共に、水又は水蒸気が存在するよ
うな高温(100〜300℃)環境下にて相転移による
劣化を起こし難い、安定したジルコニア質焼結体及びそ
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ジルコニア質焼結体としては、安
定化剤に希土類元素のうちSc,Y,Ce,Sm,E
u,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu
からなる酸化物を用い結晶相を立方晶とした完全安定化
ジルコニアと、結晶相を正方晶及び立方晶の混合相とし
た部分安定化ジルコニアとが広く知られており、高強度
材料、断熱材料、固体電解質などとして利用されている
(例えば、特開昭61−26562号公報)。
定化剤に希土類元素のうちSc,Y,Ce,Sm,E
u,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu
からなる酸化物を用い結晶相を立方晶とした完全安定化
ジルコニアと、結晶相を正方晶及び立方晶の混合相とし
た部分安定化ジルコニアとが広く知られており、高強度
材料、断熱材料、固体電解質などとして利用されている
(例えば、特開昭61−26562号公報)。
【0003】一方、La,Pr,Ndからなる酸化物を
安定化剤として加えてもその効果は期待できないことは
よく知られている。また、その他の安定化剤としては、
MgOやCaOなどがあり様々な所で使用されている。
安定化剤として加えてもその効果は期待できないことは
よく知られている。また、その他の安定化剤としては、
MgOやCaOなどがあり様々な所で使用されている。
【0004】200〜300℃の温度に長時間保持され
た場合の熱安定性を高める方法としては特開昭61−2
6562号公報によってY2 O3 で安定化されたZrO
2 にLa,Pr,Nd又はPmとZrの複酸化物を添加
した系が示されている。しかし、その中では耐熱衝撃特
性及び100〜300℃の熱水中における熱安定性には
まったく触れていない。また、Y2 O3 以外の安定化剤
もしくは、La,Pr及びNdの単酸化物を添加した
(特に、少量添加が効果がある)場合について明確な事
実が示されていない。
た場合の熱安定性を高める方法としては特開昭61−2
6562号公報によってY2 O3 で安定化されたZrO
2 にLa,Pr,Nd又はPmとZrの複酸化物を添加
した系が示されている。しかし、その中では耐熱衝撃特
性及び100〜300℃の熱水中における熱安定性には
まったく触れていない。また、Y2 O3 以外の安定化剤
もしくは、La,Pr及びNdの単酸化物を添加した
(特に、少量添加が効果がある)場合について明確な事
実が示されていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】完全安定化ジルコニア
は、高い酸化物イオン導電性を有し、常温〜1500℃
の温度範囲で安定であり、長時間の使用でも経時変化は
殆ど見られないが、機械的強度が低く耐熱衝撃性に弱い
といった欠点を有する。
は、高い酸化物イオン導電性を有し、常温〜1500℃
の温度範囲で安定であり、長時間の使用でも経時変化は
殆ど見られないが、機械的強度が低く耐熱衝撃性に弱い
といった欠点を有する。
【0006】一方、部分安定化ジルコニアは、酸化物イ
オン導電性は低いが、機械的強度や耐熱衝撃性において
完全安定化ジルコニアに比べかなり良い特性を示すこと
が知られている。しかし、200〜300℃前後の温度
に保持された場合、正方晶が次第に単斜晶へと転移して
いき、相転移に伴う体積変化によって結晶粒子内に微亀
裂が生じる。そのため、機械的強度が著しく低下すると
いう欠点がある。また、水中若しくは水蒸気中では、前
記した温度より更に低温度域でも相転移による劣化が見
られている。
オン導電性は低いが、機械的強度や耐熱衝撃性において
完全安定化ジルコニアに比べかなり良い特性を示すこと
が知られている。しかし、200〜300℃前後の温度
に保持された場合、正方晶が次第に単斜晶へと転移して
いき、相転移に伴う体積変化によって結晶粒子内に微亀
裂が生じる。そのため、機械的強度が著しく低下すると
いう欠点がある。また、水中若しくは水蒸気中では、前
記した温度より更に低温度域でも相転移による劣化が見
られている。
【0007】本発明は上記従来のジルコニア質焼結体の
問題点を解決し、耐熱衝撃特性に優れ、高い機械的特性
を有すると共に、水又は水蒸気が存在するような高温
(100〜300℃)環境下にて相転移による劣化を起
こし難い、安定した新規ジルコニア質焼結体及びその製
造方法を提供することを目的とする。
問題点を解決し、耐熱衝撃特性に優れ、高い機械的特性
を有すると共に、水又は水蒸気が存在するような高温
(100〜300℃)環境下にて相転移による劣化を起
こし難い、安定した新規ジルコニア質焼結体及びその製
造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段及び作用】請求項1のジル
コニア質焼結体は、Ln2 O3 /ZrO2 (ただし、L
nはDy,Ho,Er及びYbよりなる群から選ばれる
1種又は2種以上を表す。)のモル比が、2/98〜6
/94の範囲であるジルコニア組成物に、特性向上剤と
して、La2 O3 ,Pr2 O11/3及びNd2 O3 よりな
る群から選ばれる1種又は2種以上を0.01〜0.5
モル%添加したことを特徴とする。
コニア質焼結体は、Ln2 O3 /ZrO2 (ただし、L
nはDy,Ho,Er及びYbよりなる群から選ばれる
1種又は2種以上を表す。)のモル比が、2/98〜6
/94の範囲であるジルコニア組成物に、特性向上剤と
して、La2 O3 ,Pr2 O11/3及びNd2 O3 よりな
る群から選ばれる1種又は2種以上を0.01〜0.5
モル%添加したことを特徴とする。
【0009】請求項2のジルコニア質焼結体は、請求項
1において、前記ジルコニア組成物に、焼結助剤として
Al2 O3 を5重量%未満、及び/又は、SiO2 を2
重量%未満添加したことを特徴とする。
1において、前記ジルコニア組成物に、焼結助剤として
Al2 O3 を5重量%未満、及び/又は、SiO2 を2
重量%未満添加したことを特徴とする。
【0010】請求項3のジルコニア質焼結体は、請求項
1又は2において、焼結体の結晶相が主として正方晶の
相又は正方晶と立方晶の混合相からなり、結晶の平均粒
子径が5μm以下であることを特徴とする。
1又は2において、焼結体の結晶相が主として正方晶の
相又は正方晶と立方晶の混合相からなり、結晶の平均粒
子径が5μm以下であることを特徴とする。
【0011】請求項4のジルコニア質焼結体の製造方法
は、請求項1〜3のジルコニア質焼結体の製造方法に関
し、原料粉を所定の形状に成型した後、大気雰囲気中に
て1300〜1700℃で焼結させることを特徴とす
る。
は、請求項1〜3のジルコニア質焼結体の製造方法に関
し、原料粉を所定の形状に成型した後、大気雰囲気中に
て1300〜1700℃で焼結させることを特徴とす
る。
【0012】なお、ここで、結晶粒子が主として正方晶
よりなるとは、全体の結晶粒子において95%以上を正
方晶が占めていることを意味すると共に、5%未満の単
斜晶を含むことを示唆するものである。
よりなるとは、全体の結晶粒子において95%以上を正
方晶が占めていることを意味すると共に、5%未満の単
斜晶を含むことを示唆するものである。
【0013】なお、この単斜晶の含有量は、X線回折で
のピーク強度比を用い下記(1)式により算出したもの
である。
のピーク強度比を用い下記(1)式により算出したもの
である。
【0014】
【数1】
【0015】以下に本発明を詳細に説明する。
【0016】本発明のジルコニア質焼結体は、ZrO2
にLn2 O3 (ただし、LnはDy,Ho,Er及びY
bよりなる群から選ばれる1種又は2種以上を表す。)
を2〜6モル%置換してZrO2 を安定化させた組成物
を主成分とする。この安定化剤となるLnが2モル%未
満においては、ZrO2 を安定させる効果が少なく、焼
結体に亀裂が生じてしまう。また、Ln2 O3 が6モル
%を超えるものでは、焼結体の結晶相が立方晶の単一相
となり、低強度のジルコニア質焼結体となってしまう。
これらのことより、機械的強度の面から、Ln2 O3 は
2〜5モル%として、結晶の平均粒子径を5μm以下、
特に2μm以下とするのが好ましい。
にLn2 O3 (ただし、LnはDy,Ho,Er及びY
bよりなる群から選ばれる1種又は2種以上を表す。)
を2〜6モル%置換してZrO2 を安定化させた組成物
を主成分とする。この安定化剤となるLnが2モル%未
満においては、ZrO2 を安定させる効果が少なく、焼
結体に亀裂が生じてしまう。また、Ln2 O3 が6モル
%を超えるものでは、焼結体の結晶相が立方晶の単一相
となり、低強度のジルコニア質焼結体となってしまう。
これらのことより、機械的強度の面から、Ln2 O3 は
2〜5モル%として、結晶の平均粒子径を5μm以下、
特に2μm以下とするのが好ましい。
【0017】本発明においてはこのようなLn2 O3 /
ZrO2 =2/98〜6/94のジルコニア組成物に対
して、特性向上剤として、La2 O3 ,Pr2 O11/3,
Nd2 O3 から選ばれる少なくとも1種類以上の添加物
を0.01〜0.5モル%添加する。なお、特性向上剤
とは、ジルコニア質焼結体をある一定温度より冷水中に
急冷却したときの特性(以下、「耐熱衝撃特性」と称
す。)及び200〜300℃での大気中又は水中、或い
は水蒸気中での長期耐久試験に伴う特性(以下、「耐久
特性」と称す。)を向上させることのできる添加物を示
す。このような特性向上助剤の添加効果は、上記ジルコ
ニア組成物に対して0.01モル%以上の添加により発
現する。また、この添加量が0.5モル%を超えると、
逆に特性低下の原因となる。特性向上剤の特に好ましい
添加量はジルコニア組成物に対して0.03〜0.2モ
ル%である。
ZrO2 =2/98〜6/94のジルコニア組成物に対
して、特性向上剤として、La2 O3 ,Pr2 O11/3,
Nd2 O3 から選ばれる少なくとも1種類以上の添加物
を0.01〜0.5モル%添加する。なお、特性向上剤
とは、ジルコニア質焼結体をある一定温度より冷水中に
急冷却したときの特性(以下、「耐熱衝撃特性」と称
す。)及び200〜300℃での大気中又は水中、或い
は水蒸気中での長期耐久試験に伴う特性(以下、「耐久
特性」と称す。)を向上させることのできる添加物を示
す。このような特性向上助剤の添加効果は、上記ジルコ
ニア組成物に対して0.01モル%以上の添加により発
現する。また、この添加量が0.5モル%を超えると、
逆に特性低下の原因となる。特性向上剤の特に好ましい
添加量はジルコニア組成物に対して0.03〜0.2モ
ル%である。
【0018】また、本発明のジルコニア質焼結体には、
焼結を促進させるためにAl2 O3及び/又はSiO2
を添加するのが好ましい。それぞれの好ましい添加量
は、主成分とするジルコニア組成物に対し、Al2 O3
5重量%未満、SiO2 2重量%未満である。これら
は、これよりも多く添加すると、本発明で目的とする結
晶相及び結晶粒子径となり得ない。
焼結を促進させるためにAl2 O3及び/又はSiO2
を添加するのが好ましい。それぞれの好ましい添加量
は、主成分とするジルコニア組成物に対し、Al2 O3
5重量%未満、SiO2 2重量%未満である。これら
は、これよりも多く添加すると、本発明で目的とする結
晶相及び結晶粒子径となり得ない。
【0019】なお、Al2 O3 ,SiO2 は酸化物のほ
かに炭化物、窒化物又は水酸化物などの形で添加しても
同様の効果が得られる。
かに炭化物、窒化物又は水酸化物などの形で添加しても
同様の効果が得られる。
【0020】本発明の方法に従って、このようなジルコ
ニア質焼結体を製造するには、出発原料として、各酸化
物の混合によるもの、或は、各成分の混合溶液の共沈
物、又は、反応物等を用い、これらの原料粉を所定の形
状にて成型した後、大気雰囲気中にて、1300〜17
00℃で焼結させる。
ニア質焼結体を製造するには、出発原料として、各酸化
物の混合によるもの、或は、各成分の混合溶液の共沈
物、又は、反応物等を用い、これらの原料粉を所定の形
状にて成型した後、大気雰囲気中にて、1300〜17
00℃で焼結させる。
【0021】この焼成温度を1300℃未満とすると、
焼結が不十分であるため高強度なジルコニア質焼結体は
得られない。また、1700℃を超えた温度にて焼結さ
せたものは、平均粒子径5μm以下の結晶粒子よりなる
焼結体とはならないことから、強度面及び耐久特性が低
下してしまう。特に好ましい焼成温度は1400〜16
00℃である。
焼結が不十分であるため高強度なジルコニア質焼結体は
得られない。また、1700℃を超えた温度にて焼結さ
せたものは、平均粒子径5μm以下の結晶粒子よりなる
焼結体とはならないことから、強度面及び耐久特性が低
下してしまう。特に好ましい焼成温度は1400〜16
00℃である。
【0022】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に
説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の
実施例に限定されるものではない。
説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の
実施例に限定されるものではない。
【0023】実施例1 表1,2に示す組成となるようにそれぞれの原料を秤量
し、混練、仮焼、解砕工程をへてジルコニア質焼結体用
原料粉を作成した。次に、原料粉を成型した後、表3,
4に示す1300〜1700℃の温度にて焼成を行いジ
ルコニア質焼結体を得た。得られたジルコニア質焼結体
について、主たる焼結相を調べ、また、ファインセラミ
ックスの曲げ強さ試験方法(JIS R1601)に従
って測定した3点曲げ強度、ビッカース硬さ(JIS
R1610)、IF法により求めた破壊靭性値(JIS
R1607)を測定した。また、一定温度より冷水中
へ入れ急冷却した後、曲げ強度の低下を測定し強度低下
の直前温度を試料のΔtとした耐熱衝撃試験を行なうと
共に、試料をオートクレーブ内の熱水中(200℃)に
入れ250時間熱処理をした後、曲げ強度の測定を行
い、強度低下を見て劣化の有無を求めた耐久試験を行な
った。更に、一部のものについては電気抵抗値を調べ、
これらの結果を表3,4に示した。
し、混練、仮焼、解砕工程をへてジルコニア質焼結体用
原料粉を作成した。次に、原料粉を成型した後、表3,
4に示す1300〜1700℃の温度にて焼成を行いジ
ルコニア質焼結体を得た。得られたジルコニア質焼結体
について、主たる焼結相を調べ、また、ファインセラミ
ックスの曲げ強さ試験方法(JIS R1601)に従
って測定した3点曲げ強度、ビッカース硬さ(JIS
R1610)、IF法により求めた破壊靭性値(JIS
R1607)を測定した。また、一定温度より冷水中
へ入れ急冷却した後、曲げ強度の低下を測定し強度低下
の直前温度を試料のΔtとした耐熱衝撃試験を行なうと
共に、試料をオートクレーブ内の熱水中(200℃)に
入れ250時間熱処理をした後、曲げ強度の測定を行
い、強度低下を見て劣化の有無を求めた耐久試験を行な
った。更に、一部のものについては電気抵抗値を調べ、
これらの結果を表3,4に示した。
【0024】なお、電気抵抗値は、電極として白金ペー
スを焼き付けた試料を用いて500℃において複素イン
ピーダンス解析法により求めた粒内抵抗+粒界抵抗値を
示したものである。オートクレーブによる耐久試験は、
特願昭58−107645号「セラミックスの試験法」
などによって報告されている。また、250℃の熱水中
で50時間オートクレーブ試験をすることは、空気中の
250℃でほぼ5000時間以上試験したことに相当す
ると言われている(特公平2−29625)。このこと
から、本発明の実施例により行った耐久試験において良
好な結果を得るものは、水及び水蒸気中での耐久性に加
え、大気中での耐久性も保証されることとなることは明
らかである。
スを焼き付けた試料を用いて500℃において複素イン
ピーダンス解析法により求めた粒内抵抗+粒界抵抗値を
示したものである。オートクレーブによる耐久試験は、
特願昭58−107645号「セラミックスの試験法」
などによって報告されている。また、250℃の熱水中
で50時間オートクレーブ試験をすることは、空気中の
250℃でほぼ5000時間以上試験したことに相当す
ると言われている(特公平2−29625)。このこと
から、本発明の実施例により行った耐久試験において良
好な結果を得るものは、水及び水蒸気中での耐久性に加
え、大気中での耐久性も保証されることとなることは明
らかである。
【0025】
【表1】
【0026】
【表2】
【0027】
【表3】
【0028】
【表4】
【0029】表1〜4により次のことが明らかである。
Ln2 O3 (Ln=Dy,Ho,Er,Yb)を2〜6
モル%含有するジルコニア組成物にLa2 O3 ,Pr2
O11/3,Nd2 O3 から選ばれる少なくとも1種類以上
を0.01〜0.5モル%添加し、更に、Al2 O3 又
はSiO2 をそれぞれ、5重量%、2重量%未満添加し
た組成を有する本実施例のジルコニア質焼結体に対し
て、含有成分や成分組成が異なる比較例のジルコニア質
焼結体では良好な結果が得られない。
Ln2 O3 (Ln=Dy,Ho,Er,Yb)を2〜6
モル%含有するジルコニア組成物にLa2 O3 ,Pr2
O11/3,Nd2 O3 から選ばれる少なくとも1種類以上
を0.01〜0.5モル%添加し、更に、Al2 O3 又
はSiO2 をそれぞれ、5重量%、2重量%未満添加し
た組成を有する本実施例のジルコニア質焼結体に対し
て、含有成分や成分組成が異なる比較例のジルコニア質
焼結体では良好な結果が得られない。
【0030】また、含有成分や成分組成が本発明の範囲
内であっても、結晶の平均粒子径が5μm以下でかつ、
焼結体の結晶層が、主として正方晶の相、又は、正方晶
と立方晶の混合からなる相よりなっていないもの、即
ち、焼結温度を1300〜1700℃範囲以外に設けた
場合においては、良好な結果は得られない。
内であっても、結晶の平均粒子径が5μm以下でかつ、
焼結体の結晶層が、主として正方晶の相、又は、正方晶
と立方晶の混合からなる相よりなっていないもの、即
ち、焼結温度を1300〜1700℃範囲以外に設けた
場合においては、良好な結果は得られない。
【0031】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明のジルコニア
質焼結体及びその製造方法によれば、高強度でかつ、耐
熱衝撃特性が良く耐久試験による劣化のない優れた特性
を有するジルコニア質焼結体が提供される。
質焼結体及びその製造方法によれば、高強度でかつ、耐
熱衝撃特性が良く耐久試験による劣化のない優れた特性
を有するジルコニア質焼結体が提供される。
【0032】従って、本発明によれば、ジルコニア質焼
結体が本来持っている強靭性、潤滑性、断熱性、熱膨張
特性、酸素物イオン導電性等の特性を生かしつつ、比較
的厳しい環境下で使用されるため耐熱衝撃特性や耐久試
験による特性が望まれるような所、又は、粉砕用部材、
切断工具、ダイス、ノズルなどの機械構造材料及び酸素
センサー、燃料電池用材料などの機能性材料等に好適な
ジルコニア質焼結体が提供される。
結体が本来持っている強靭性、潤滑性、断熱性、熱膨張
特性、酸素物イオン導電性等の特性を生かしつつ、比較
的厳しい環境下で使用されるため耐熱衝撃特性や耐久試
験による特性が望まれるような所、又は、粉砕用部材、
切断工具、ダイス、ノズルなどの機械構造材料及び酸素
センサー、燃料電池用材料などの機能性材料等に好適な
ジルコニア質焼結体が提供される。
Claims (4)
- 【請求項1】 Ln2 O3 /ZrO2 (ただし、Lnは
Dy,Ho,Er及びYbよりなる群から選ばれる1種
又は2種以上を表す。)のモル比が、2/98〜6/9
4の範囲であるジルコニア組成物に、特性向上剤とし
て、La2 O3,Pr2 O11/3及びNd2 O3 よりなる
群から選ばれる1種又は2種以上を0.01〜0.5モ
ル%添加したことを特徴とするジルコニア質焼結体。 - 【請求項2】 前記ジルコニア組成物に、焼結助剤とし
てAl2 O3 を5重量%未満、及び/又は、SiO2 を
2重量%未満添加したことを特徴とする請求項1に記載
のジルコニア質焼結体。 - 【請求項3】 焼結体の結晶相が主として正方晶の相又
は正方晶と立方晶の混合相からなり、結晶の平均粒子径
が5μm以下であることを特徴とする請求項1又は2に
記載のジルコニア質焼結体。 - 【請求項4】 原料粉を所定の形状に成型した後、大気
雰囲気中にて1300〜1700℃で焼結させることを
特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のジ
ルコニア質焼結体の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5121434A JPH06329468A (ja) | 1993-05-24 | 1993-05-24 | ジルコニア質焼結体及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5121434A JPH06329468A (ja) | 1993-05-24 | 1993-05-24 | ジルコニア質焼結体及びその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06329468A true JPH06329468A (ja) | 1994-11-29 |
Family
ID=14811047
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5121434A Pending JPH06329468A (ja) | 1993-05-24 | 1993-05-24 | ジルコニア質焼結体及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH06329468A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011514629A (ja) * | 2008-02-19 | 2011-05-06 | ハー.ツェー.スタルク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング | 高出力および高い機械的強度を有する安価な電解質支持型高温燃料電池のための電解質 |
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1993
- 1993-05-24 JP JP5121434A patent/JPH06329468A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2011514629A (ja) * | 2008-02-19 | 2011-05-06 | ハー.ツェー.スタルク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング | 高出力および高い機械的強度を有する安価な電解質支持型高温燃料電池のための電解質 |
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