JPH0632805A - 連続重合プロセスの非定常運転時の制御方法 - Google Patents

連続重合プロセスの非定常運転時の制御方法

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JPH0632805A
JPH0632805A JP19040892A JP19040892A JPH0632805A JP H0632805 A JPH0632805 A JP H0632805A JP 19040892 A JP19040892 A JP 19040892A JP 19040892 A JP19040892 A JP 19040892A JP H0632805 A JPH0632805 A JP H0632805A
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polymerization
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Junji Asai
順二 浅井
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 連続重合プロセスの非定常運転を自動化す
る。 【構成】 過去の非定常運転時の時系列的な軌道を示す
状態量(重合シナリオ)および操作状態量(熱媒シナリ
オ)のデータを取得しておき、この操作状態量のデータ
に従って非定常運転を行う。異常を検知した場合は正常
運転時の実測データに基づき、操作状態量の軌道を修正
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、連続重合プロセスに
おいて生産量変更や銘柄切り替えなど非定常な運転操作
中において、ある特定の物理量(温度、圧力など)の制
御を行う場合に、その物理量を自動的に制御する連続重
合プロセスの非定常運転時の制御方法に関するものであ
る。好ましい応用例として、ポリスチレン連続製造プラ
ントのように管型反応器を用いた連続重合があげられ
る。
【0002】
【従来の技術】一般に連続重合プロセスの銘柄切り替え
時や生産変更時のような非定常状態においては、重合物
の物理量や化学量の推定は困難である。また一方で、重
合速度や重合熱は時々刻々と変化し、これらの動特性を
完全に動的モデルとして表現することは、多くのケース
を伴うため非常に難しい。たとえできたとしても、実用
に耐え得るものにすることは至難の技である。さらに、
重合による系の粘度の変化やオリゴマーによる反応機内
汚れによって総括伝熱係数がダイナミックに変化し、正
確に除熱量を算出し、熱媒温度の設定値を決定すること
はできない。このように種々の要因が相互に関係しあっ
て、以上の理由から実際のプラントでは反応器内流動状
態を把握することは非常に困難であり、正確な数式モデ
ルで表現することは不可能である。従って、通常のPI
D制御などの制御アルゴリズムでは達成困難であり、オ
ペレータの知識と経験にまかせられていることが多い。
【0003】このため、連続重合プロセスの中でも、特
に、完全混合型反応器を用いたプロセスでの銘柄切り替
えや生産量変更における制御方法として、モデル予測制
御などの方法が提案されている。これらの方法は、線形
および非干渉プロセスに適した方法であり、非線形で干
渉系の重合プロセスに対しては、頑健ではない。例え
ば、最短時間で目標値に移行させようとすると通常、大
きなオーバーシュートを起こし、またオーバーシュート
を極力無くすように調整すると、移行に時間がかかり過
ぎるという特徴がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来の連続重合プロセ
スの非定常運転時における温度や圧力の自動制御方法
は、すなわち、数式モデルにより熱媒温度や真空度を求
める方法は予測精度の点において好適ではなく、人が勘
と経験により所定の物理量、化学量になるように熱媒温
度、真空度を変えて行かなければならない。この手動制
御の方法では、銘柄切り替え中や生産量変更中はオペレ
ータがつききりで監視および制御を行わなければなら
ず、多大な負荷がオペレータに掛かることになる。また
オペレータによって熱媒温度や真空度の操作方法が異な
るため個人差があらわれ、次銘柄の安定状態になるまで
に要する時間にバラツキが生じ、常に物質が安定な重合
反応物を得ることができない。しかも、重合物温度に対
する除熱としての熱媒温度を決定する方法は、通常正確
に決定することは困難である上、反応物の粘度や反応機
内の汚れの変化にともなう総括伝熱係数の変動によって
時間的に大きく変化するので、重合物の温度を制御する
ことは実際上大変に難しい。
【0005】一般的に用いられる従来の制御方法では、
制御対象となる非定常運転時の連続重合プロセスを数式
モデルによって表現することが不可能であり、切り替え
中の原料組成の過渡応答や重合による発熱量の変動を正
確な数式で表すことができない。例えば、銘柄切り替え
中における反応機内流動状態は数式モデルによって表現
することができず、そのため、切り替えの触媒濃度変動
の推定が困難である上、触媒濃度によって反応速度が変
化し、重合熱を定量的に推算することはできない。その
結果、重合熱による発熱量と熱媒による除熱量の熱バラ
ンスが崩れ、重合物の重合温度が変動する。また、過剰
量の触媒が添加されたときなどは、暴走反応という危険
状態に陥ることも考えられる。従って、所定の重合温度
に制御するためには、正確に重合熱や総括伝熱係数を定
量することが必要であるが、以上の理由から定量化が不
可能である。
【0006】また、管型反応器による連続重合プロセス
の銘柄切り替えのような非定常運転時においては、ある
1つのゾーンにおいて切り替え中の重合率が変動する
と、次ゾーンの反応速度へ影響を及ぼし、重合温度が変
動する。このようなケースでは、重合温度が不安定にな
ってしまうばかりではなく、重合物の粘度が大きく変動
するため機器異常の原因となったり、製品の物性へ悪影
響が現れる。銘柄切り替え中の重合物温度目標値を決定
する方法は、厳密に滞留時間や反応速度などを考慮して
決定されているわけではなく、過去の実績値を基準とし
て決定されている。重合物温度目標値の評価としては、
銘柄切り替え中の各ゾーンでの重合率が安定していると
いうことやゾーン間における顕熱の影響を考慮したもの
にする必要がある。重合物温度の目標値は銘柄切り替え
中の重合率が一定、またはその変動ができるだけ小さく
するのが好ましく、前後のゾーンにおいて干渉しないよ
うな設定になっているべきである。
【0007】以上のように反応系として非定常状態で
は、重合熱、重合物の粘度、総括伝熱係数などを定量的
に決定するのは不可能であり、熱収支を正確に計算する
ことができない。従って、重合物温度の目標値に制御す
るための熱媒温度の目標値を決定することは、解析的に
は不可能である。そのために従来でも、安定な重合状態
で銘柄切り替えを実行するために、オペレータがつきき
りで連続重合プロセスを監視および制御しなければなら
なかった。
【0008】そこで、本発明の目的は、連続重合プロセ
スの非定常運転を自動制御することの可能な連続重合プ
ロセスの非定常運転時の制御方法を提供することにあ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るために、第1の発明は、連続重合プロセスの非定常運
転時の過渡応答状態を示す第1状態量の軌道に対応す
る、この過渡応答状態を得るための前記連続重合プロセ
スの操作状態を示す第1操作量の軌道を予め見出してお
き、前記連続重合プロセスの非定常運転期間の間、前記
第1操作量の軌道に沿って、前記連続重合プロセスを制
御することを特徴とする。
【0010】第2の発明は、第1の発明に加えて、前記
非定常運転時の前記連続重合プロセスの過渡応答状態の
第2操作量および第2状態量を実測し、当該第2状態量
が前記第1状態量の軌道上にあるか否かを判定すること
により正常/異常運転を判別し、異常運転の判別結果が
得られた場合は、これまでの正常運転期間において実測
された前記第2状態量と前記第2操作量との間の相対関
係と前記第1状態量と前記第1操作量との間の相対関係
が類似するように前記第1操作量の以後の軌道を修正す
ることを特徴とする。
【0011】
【作用】第1の発明は、正常運転されたときの(生産)
状態の軌道と操作状態のの軌道とは相関関係にあること
に着目し、予め見出した操作状態の軌道に沿って連続重
合プロセスをそのまま操作することで生産状態の自動運
転が可能となる。
【0012】第2の発明は、何等かの原因で運転状態が
生産状態の軌道をずれたことを検知した場合は、操作状
態の軌道修正を行うことで異常を解消し、生産状態の自
動運転が可能となる。
【0013】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例を詳細
に説明する。
【0014】本願発明者は、銘柄切り替え中の重合率の
変動、反応機内各ゾーンの流動状態および滞留時間に基
づいた反応物温度の目標値を設定し、反応物温度の変更
の開始と終了時刻を決定し、その反応物目標温度にある
程度の精度で制御し得る熱媒温度の目標値をそれぞれ重
合シナリオ、熱媒シナリオと呼ぶことにする。また、本
願発明者は重合シナリオに対する実重合温度の偏差と偏
差の変化率を自動的に感知し、より正確な制御を実行す
るために熱媒シナリオを自動的にオンラインで逐次修正
することができる累積型ファジィ制御方法を見いだし
た。
【0015】重合シナリオは、生産状態の変化(軌道)
を示し、反応機内各ゾーンの流動状態から求められる触
媒の時間的変化量やその他の原料組成のダイナミックな
変動量を考慮し、反応器出口における重合率の変動がで
きる限り小さくなるような重合物温度の時系列目標値で
ある。この目標値によって、銘柄切り替え中において物
性として安定な重合反応物が得られ、また反応機内にお
いて安定な重合状態が保たれる。
【0016】熱媒シナリオは、重合シナリオで設定した
重合物温度の時系列目標値に対して、操作制御を行うと
きの操作状態を示す熱媒温度の時系列目標値である。こ
の熱媒シナリオは、過去の銘柄切り替えの実績値および
熱収支計算より決定され、オペレータの個人差による熱
媒温度設定値のばらつきをなくすことができ、オペレー
タの勘や経験によるノウハウを統一することができる。
重合シナリオおよび熱媒シナリオの一例を図1に示す。
【0017】より具体的には、重合プロセスの銘柄切り
替えを行う場合、この切り替え運転に先立って図1のよ
うに、ある反応機のゾーンにおいてそれぞれ重合物温度
の時系列目標値として重合シナリオおよび熱媒温度の時
系列目標値として熱媒シナリオを設定する。重合シナリ
オと熱媒シナリオというのは、それぞれ重合物温度と熱
媒温度の前銘柄の安定時の条件から後銘柄の安定時の条
件へ変更する場合に、変更の開始時刻、終了時刻および
温度の軌跡を与えるものである。なお、銘柄によっては
重合シナリオと熱媒シナリオの温度変更の開始時間と終
了時間が一致するとは限らず、あくまでも温度変更中の
反応率の変動が最小になるような重合シナリオが最適な
ものであり、その重合シナリオに制御しうる熱媒シナリ
オが最適なものである。
【0018】以上の重合シナリオと熱媒シナリオに従っ
て連続重合プロセスの非定常状態の銘柄切り替えによる
温度変更を実行する。前ゾーンの乱れやその他の外乱要
因によって重合シナリオから実重合温度がはずれてきた
場合、累積型のファジィ制御によって熱媒シナリオの微
修正をオンラインで行い、重合シナリオに制御を行う。
従来のファジィ制御は、ファジィ推論から得られた出力
値によって逐次操作量を変更して行うのに対して、累積
型ファジィ制御では切り替え開始時点からのファジィ制
御による出力値を累積し、熱媒シナリオの修正を行うも
のである。すなわち、ファジィ制御により熱媒シナリオ
が修正された場合、その時点以降の熱媒シナリオは修正
された点を起点とした新しい熱媒シナリオに変更され、
同様にファジイ出力値分だけ修正されるべきである。従
って熱媒シナリオを修正するときは、逐次過去のファジ
ィ出力値を累積し、その値によって最初に設定した熱媒
シナリオを修正することになる。
【0019】具体的には、図2に示すように、ファジィ
制御により時刻Aで修正を行うとその時点以降の熱媒シ
ナリオは第1の熱媒シナリオから第2の熱媒シナリオ
に修正され、また時刻Bで修正されたとすると、時刻
B以降は第3の熱媒シナリオの熱媒シナリオとして新
しくなる。このように→→のようにファジィ制御
による出力値分ずつ熱媒シナリオの軌道は温度軸に対し
て逐次平行移動することになる。
【0020】このファジィ制御は実重合温度の重合シナ
リオに対する偏差と偏差変化率の2入力であり、出力は
熱媒シナリオに対する修正量である。また前件部および
後件部のメンバーシップ関数は、一般的な三角形型であ
り、制御ルールはオペレータの知識から収集した。これ
らのメンバーシップ関数および制御ルールは反応器やゾ
ーンによらず同一のもので良く、また、銘柄切り替え中
の温度変更がある時間帯だけでなく定常運転時で重合温
度の目標値が一定となっている区間に対しても同一のも
ので適用できる。
【0021】この方式は、温度制御に関するものとは限
らず、非定常状態であり解析的に数式モデルでプロセス
が表現できない制御問題に対して、オペレータの勘や経
験によっているものすべてに適用される。
【0022】以下に非定常状態の重合プロセスの温度制
御を実施するための具体的な手順を説明する。しかし本
発明は、この実施例に限定されるものではない。
【0023】図3は銘柄切り替え中の目標および実際の
重合物温度および熱媒温度の軌道を示す。図中1は目標
の重合シナリオ、2は目標の熱媒シナリオ、3は実重合
温度、4は実熱媒温度、5は累積型ファジィ制御によっ
て修正された熱媒シナリオを示す。
【0024】この具体例では、前銘柄から後銘柄へ切り
替えるのに重合温度を下げていくという例である。初め
に切り替え中の重合率の変動ができるだけ小さくなるよ
うな重合率温度の目標値の重合シナリオ1の軌道を予め
見出し設定する。この目標値は、それぞれ前銘柄と後銘
柄の組み合せによって異なり、しかも温度変更の時間幅
も異なる。次に、設定した重合シナリオの軌道に対応の
操作量である熱媒シナリオ2の熱媒温度の各目標値を設
定する。これも、銘柄の組み合せによって異なり、また
温度変更の時間幅は連合シナリオ1における温度変更の
時間幅と異なる場合もある。この例では、熱媒温度の変
更は図3の時刻Aより開始され時刻Bで終了し、後銘柄
の定常運転時の温度になる予定である。温度変更終了時
刻は重合シナリオの終了時刻と一致していない。
【0025】以上が重合シナリオおよび熱媒シナリオの
設定であり、銘柄切り替え運転を実行する前に予め準備
しておく必要がある。基本的には、熱媒シナリオに従っ
て操作を行い、重合シナリオに制御を行う。
【0026】実際に銘柄切り替えが実行されると、実重
合温度3は重合シナリオ1に対して時刻C頃まで良く追
従しているが、時刻Cを過ぎたあたりから重合シナリオ
よりも若干下がってきている。それに応じてファジィ制
御では、熱媒シナリオ2よりも温度設定を高くする修正
を行っている。5が累積型ファジィ制御により修正され
た熱媒温度の設定値であり、4が実熱媒温度である。ま
た時刻D以降の後銘柄定常運転時では速やかに重合温度
を安定させるために、ファジィ制御によって熱媒温度を
微妙に修正し制御している。
【0027】以上のように、この制御方法により生産量
変更時や銘柄切り替え時に伴う重合物温度の制御を自動
的にかつ短時間で行うことが可能になった。また、重合
率の変動を小さくするという最適な重合物温度を設定す
ることで、生産量変更時や銘柄切り替え時に伴う規格外
製品を大幅に減少することができた。累積型ファジィ制
御により、オペレータの勘や経験によって行われていた
制御を自動化でき、非定常運転時のみならず定常運転時
の制御にも適用できることがわかった。
【0028】このような制御方法を実際に実施するため
のシステム構成を図4に示す。
【0029】図4において、100は熱媒温度および重
合温度の目標値を決定する制御装置である。制御装置1
00にはワークステーション等の演算処理装置を用いる
ことができる。
【0030】制御装置100は少なくとも中央演算処理
装置(CPU)101、メモリ102、入力装置10
3、インタフェース104から構成される。CPU10
1は上述の制御方法を適用した図5の制御手順に従っ
て、実測の熱媒温度等(操作量)および実測の重合温度
(制御状態量)に基づき、連続重合プロセスを監視し、
異常を検知した場合は、その異常を解消すべく、以後の
目標操作量を変更する。
【0031】メモリ102はサンプリング時刻毎に実測
により取得した実重合温度および実熱媒温度のデータ並
びに、目標重合温度および目標熱媒温度を時系列的にサ
ンプリング時刻に対応させて記憶する。
【0032】入力装置103にはキーボード等を用いる
ことができ、重合温度変更の開始時点から終了時点まで
の初期値、すなわち、予め過去の実測データから定めら
れた時系列的な重合温度および熱媒温度のデータ(本発
明の第1状態量および第1操作量の軌道を示すデータ)
を運転に先立って入力する。入力装置103から入力さ
れたこの初期値データはCPU101によりメモリ10
2に書き込まれる。
【0033】インタフェース104は、連続重合プロセ
ス200において実測された熱媒温度および重合温度に
ついてのデータをCPU101の指示でCPU101に
転送する。
【0034】また、CPU101により決定された目標
操作量(熱媒温度)を示すデータを連続重合プロセス2
00に転送する。連続重合プロセス200は、この目標
操作量に従って進行中の重合プロセスを自動制御する。
なお、目標操作量を与えるための重合プロセスの自動制
御する方法は、周知であり、詳細な説明については省略
する。
【0035】このようなシステム構成において、オペレ
ータは運転に先立って、目標操作量のシナリオ(一例と
して時系列的な熱媒温度データ)および制御対象の状態
量(一例として時系列的な重合温度データ)を入力装置
103から入力し、メモリ102に登録しておく。
【0036】次に、オペレータは連続重合プロセスの温
度変更開始時に、入力装置103から図5の制御手順の
起動を指示すると、CPU101は登録された操作量デ
ータの中の目標熱媒温度に関する第1番目のデータ、す
なわち、図3の時刻Aにおいて連続重合プロセス200
に送信すべき熱媒温度データをメモリ102から読出
し、インタフェース104を介して連続重合プロセス2
00に送信する(ステップS10)。
【0037】この目標熱媒温度データに基づき、連続重
合プロセス200では重合温度を下げるべく制御操作を
行う。この後、CPU101はステップS20→S30
→S20のループ処理を繰り返し、実重合温度,実熱媒
温度のサンプリング時刻になるのを待つ。内部タイマ
(不図示)の計時によりサンプリング時刻の到達を知る
と、CPU101はインタフェース104から実重合温
度データおよび実熱媒温度データを読取り、メモリ10
2内のサンプリング時刻に対応させた記憶領域に一時記
憶する(ステップS40)。
【0038】また、CPU101はこのサンプリング時
刻に対応の目標重合温度を読出し、すでに読取りの実重
合温度データと比較する(ステップS50→S60)。
この判定で実重合温度データが目標重合温度の軌道上の
許容範囲内にあること、すなわち、運転が正常であるこ
とが確認されると、CPU101は、メモリ102に格
納された第2番目の目標熱媒温度データを連続重合プロ
セス200に送信する(ステップS65)。以下、CP
U101は、連続重合プロセス200において、正常運
転が続けられている間は、ステップS20〜S60→S
65→S20のループ処理を繰り返し、目標熱媒シナリ
オの軌道に沿って熱媒温度データを設定して行く。何等
かの原因で、図3の時刻Cで実重合温度が目標重合温度
の許容範囲を超えた場合、この異常がCPU101にお
いてステップS60の異常有無判定処理で検出される。
【0039】そこで、CPU101は現在、メモリ10
2に登録されている目標熱媒温度データ例を修正する。
【0040】この修正には、これまでの正常運転時に取
得した実熱媒温度および実重合温度を用いる。より具体
的には実熱媒温度および実重合温度の偏差および偏差変
化率を算出し、次にこの偏差および偏差変化率を入力と
するファジィ制御により現在の実重合温度を目標重合シ
ナリオの軌道に乗せるための新たな目標熱媒シナリオを
決定する。この処理は、実熱媒温度と実重合温度の相対
関係に類似するように目標重合温度を固定し、目標熱媒
温度を変更することを意味する。
【0041】本実施例では、最初に登録した目標熱媒シ
ナリオに対する修正量が上述のファジィ制御により算出
され、新たな目標熱媒シナリオを構成する時系列的な目
標熱媒温度データが作成される。この目標熱媒温度デー
タはメモリ102に更新記憶される(ステップS70→
S80)。
【0042】CPU101が修正された目標熱媒温度デ
ータを連続重合プロセス200に送信すると、連続重合
プロセス200は正常運転に戻すべく熱媒操作量を変更
する。何等かの原因で重合プロセスに温度異常が生じた
場合でもこのようにして、予め定めた目標熱媒シナリオ
を修正していくことにより、温度異常を解消することが
できる。
【0043】CPU101は予め定めた、温度変更期間
の終了したことをタイマ等により検知すると図3の制御
手順を終了する(ステップS20→終了)。
【0044】本実施例の他、次の例を実現できる。
【0045】1)本実施例では重合プロセスの過渡応答
時の重合温度を監視する例を示したが、その他、重合プ
ロセスの状態変化を表わす要素(状態量)の監視にも本
発明を適用できる。
【0046】2)予め設定した目標熱媒シナリオを修正
するためにはファジィ制御の他、次の方法を用いること
ができる。すなわち、正常運転期間の実重合温度および
実熱媒温度の各累積平均値を求め、両累積平均値の差分
(相対関係)を算出する。次に、登録の目標重合シナリ
オを上記差分だけ移動演算することにより新たな目標熱
媒シナリオを作成する。
【0047】
【発明の効果】以上、説明したように、本発明によれ
ば、連続的に重合物が製造するに際し、連続重合プロセ
スの非定常運転時の自動制御を行うことができ、人員の
効率化に加え均一な組成を有する極めて安定な重合反応
物を得ることができる。例えば、本発明によるポリスチ
レン連続重合プロセスの生産量変更時や銘柄切り替え時
の重合温度自動制御によって、オペレータの勘や知識が
統一された熱媒温度の操作によって、極めて安定な反応
状態で生産量の変更や銘柄切り替えが行える。また生産
量変更時や銘柄切り替え時にともなう規格外の製品をで
きる限り少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施例において重合シナリオと熱媒シナ
リオが設定された場合の具体例を示す説明図である。
【図2】累積型ファジィ制御によって熱媒シナリオが修
正されていく具体例を示す説明図である。
【図3】銘柄切り替え時における重合物温度および熱媒
温度を本発明による制御方法によって行った一実施例を
示す説明図である。
【図4】本発明実施例の回路構成を示すブロック図であ
る。
【図5】図4のCPU101が実行する制御手順を示す
フローチャートである。
【符号の説明】
100 制御装置 101 CPU 102 メモリ 103 入力装置 104 インタフェース

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 連続重合プロセスの非定常運転時の過渡
    応答状態を示す第1状態量の軌道に対応する、この過渡
    応答状態を得るための前記連続重合プロセスの操作状態
    を示す第1操作量の軌道を予め見出しておき、 前記連続重合プロセスの非定常運転期間の間、前記第1
    操作量の軌道に沿って、前記連続重合プロセスを制御す
    ることを特徴とする連続重合プロセスの非定常運転時の
    制御方法。
  2. 【請求項2】 前記非定常運転時の前記連続重合プロセ
    スの過渡応答状態の第2操作量および第2状態量を実測
    し、当該第2状態量が前記第1状態量の軌道上にあるか
    否かを判定することにより正常/異常運転を判別し、異
    常運転の判別結果が得られた場合は、これまでの正常運
    転期間において実測された前記第2状態量と前記第2操
    作量との間の相対関係と前記第1状態量と前記第1操作
    量との間の相対関係が類似するように前記第1操作量の
    以後の軌道を修正することを特徴とする請求項1に記載
    の連続重合プロセスの非定常運転時の制御方法。
JP19040892A 1992-07-17 1992-07-17 連続重合プロセスの非定常運転時の制御方法 Pending JPH0632805A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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