JP2001356803A - プロセスフィードバック制御のパラメータ設定方法、同設定装置および化学製品の製造方法、同製造装置ならびにプロセスフィードバック制御用プログラムを記録した記憶媒体 - Google Patents

プロセスフィードバック制御のパラメータ設定方法、同設定装置および化学製品の製造方法、同製造装置ならびにプロセスフィードバック制御用プログラムを記録した記憶媒体

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JP2001356803A
JP2001356803A JP2000180228A JP2000180228A JP2001356803A JP 2001356803 A JP2001356803 A JP 2001356803A JP 2000180228 A JP2000180228 A JP 2000180228A JP 2000180228 A JP2000180228 A JP 2000180228A JP 2001356803 A JP2001356803 A JP 2001356803A
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feedback control
chemical
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JP2000180228A
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Hiroshi Tashimo
博 田下
Akira Sakiyama
明 崎山
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Toyobo Co Ltd
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Toyobo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 実操業に対応した適正な制御式を容易に得る
ことができるようにする。 【解決手段】 所定期間内におけるフィードバック制御
を行った結果である実ポリマー粘度の経時的変動を検出
する一方、同一期間内におけるフィードバック制御が行
われなかったとした場合の予測ポリマー粘度を経時的に
算出し、この予測ポリマー粘度を基準にしてフィードバ
ック制御を行った場合の計算ポリマー粘度の変動を経時
的に求めるシミュレーションを、上記粘度制御式のパラ
メータの値を種々変更して複数回実行し、計算ポリマー
粘度の目標粘度に対する変動が最小になるシミュレーシ
ョンで採用されたパラメータを実操業で用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、所定の原料に所定
の処理を施すことによって予め設定された目標製品特性
の製品を連続的に製造するに際し、より品質の安定した
製品を製造するために用いられる、プロセスフィードバ
ック制御のパラメータ設定方法、同設定装置および化学
製品の製造方法、同製造装置ならびにプロセスフィード
バック制御用プログラムを記録した記憶媒体に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】プロセスフィードバック制御(例えばP
ID制御)により連続的に製品を製造する従来技術につ
いて、ポリマー製品の製造を例に挙げて以下説明する。
通常、ポリマー製品を連続的に製造する化学プラントに
おいては、導入管路を通して反応槽に連続的に供給され
る原料モノマーに副原料(溶媒的な働きをするもの)の
一種または複数種が連続的に混入されて混合され、温度
や圧力制御等による所定の重合処理が施されてポリマー
製品が製造されるようになっている。得られたポリマー
製品は、反応槽から導出管路を通してつぎの工程に向け
て導出される一方、その品質を示す指標として例えば粘
度が採用され、この粘度が予め設定された所定の制御値
(目標粘度値)を維持するように副原料の添加量を調節
する等の制御が実行されている。
【0003】このような制御を行うために、導出管路に
はそれから分岐したサンプリング用のバイパス管路が設
けられている。そして、このバイパス管路を流れる重合
反応後のサンプリング試料の粘度値が所定の粘度計によ
って連続的に検出され、この検出値と予め設定された目
標粘度値とを用いてフィードバック制御が行われるのが
一般的である。
【0004】ところで、ポリマーの粘度は、主原料であ
るモノマーや各種の副原料の性状、これらの供給量、さ
らには温度、圧力、混合槽における滞留時間等の各種の
要因によって決まるため、実際には制御量としてこれら
の要因の多くが採用されているが、この例の場合、これ
らの内で目標粘度に対して最も影響力の大きい要因は所
定の副原料の添加量である。
【0005】以下、かかるフィードバック制御につき例
えば副原料の添加量を調節する制御弁を制御対象とし、
ポリマー製品の粘度を制御量とした例を挙げて具体的に
説明する。すなわち、ポリマー粘度値を目標粘度値に近
づけるために、以下の一般的な制御式が採用されたとす
る。以下の式では、制御弁に向けて出力される操作出力
が計算されるのである。
【0006】M(t)=(100/P)×(e(t)+(1/I)×∫e(t)d
t+D×(de(t)/dt)) ここに、M(t)は、操作出力(目標粘度値からのずれに
応じて制御弁に向けて出力される弁開度の操作量に対応
した出力)であり、e(t)は制御偏差(目標粘度値と実
粘度値との差であり、時間tの関数として表されてい
る)、Pは比例帯、Iは積分時間、Dは微分時間であ
る。
【0007】この制御式を用いるフィードバック制御
は、偏差(実粘度値と目標粘度値との差)に比例した動
作(Proportional action)、偏差の時間に関する積分
値による動作(Integral action)、および偏差の時間
に関する微分値による動作(Derivative action)を利
用して行われるものであり、PID制御と通称されてい
る。
【0008】従って、検出粘度が目標粘度から外れてい
るときは、上記制御式に基く計算の結果得られた操作出
力M(t)に見合う量の副原料が増減され(副原料の種類
に応じて増やされたり減らされたりし)、これによって
検出粘度は目標粘度に戻る挙動を示すのである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記制御式
におけるパラメータの「P」、「I」および「D」の値は、
所定の操業条件において経験則を加味して導き出された
ものであるが、実際の操業においては、各種の要因が複
雑に絡み合って粘度に影響を与えており、従って、一旦
設定されたパラメータの「P」、「I」および「D」の値が
常に適正にフィードバック制御を実現し得るものである
とは限らない。また、全ての要因を加味してそのときど
きで理論的に最も適したパラメータの値を決めることは
実質的に不可能である。
【0010】そこで、従来、上記制御式が実際の操業と
かけ離れた状態になっているとき、すなわち上記計算式
に基く制御を行ってもばらつきが所定の値以下になる状
態で目標粘度を達成することができないときには、オペ
レータの長年の経験に基づく知見に基いてパラメータの
「P」、「I」および「D」の値が変更されたり、各制御機
器メーカーが独自に開発した数学的な制御理論式に基づ
く最適と考えられるパラメータの値に自動的に設定変更
されたりし、この変更されたパラメータを用いた制御式
に基く制御を行ってみて適正であるか否かが判定され、
不具合がある場合はさらにパラメータ値を変更してみる
(自動設定変更の場合は自動的にパラメータ値が設定さ
れる)、いわゆるトライアンドエラー方式が採用されて
いた。
【0011】しかしながら、上記のようなトライアンド
エラー方式では、適正なパラメータの値を見出すまでに
長期間を要するばかりか、せっかく適正値を見出し得た
としても、そのときには新たな変動要因が発生して見出
したパラメータを再度変更しなければならなくなること
がある等、常に後追いで対策されるため、製品ポリマー
の粘度の変動に迅速かつ適正に対応することができず、
これによって常に品質が安定した状態でポリマーを製造
することが困難であるという問題点を有していた。
【0012】また、配管変更等によりポリマー製造装置
の仕様が変更されたときにも、設備条件が変更になるた
め、パラメータの値を上記変更に対応したものに置き替
える必要が生じるが、この場合にも上記と同様の問題点
が存在する。
【0013】以上、PID制御を例に挙げて発明が解決
しようとする課題について説明したが、かかる課題は、
PID制御以外のフィードバック制御や、各種の要因と
制御量との関係から前以って制御量を予測して制御す
る、いわゆるフィードフォアード制御についても存在す
る。
【0014】本発明は、かかる問題点を解決するために
なされたものであり、実操業に対応した適正なパラメー
タを容易にかつ迅速に設定することが可能であり、これ
によって日常の生産活動時はもちろんのこと、設備仕様
が変更になったときも含めて常に安定した品質の製品を
製造することができるとともに、設備仕様の変更に対す
る評価をも容易に行い得るプロセスフィードバック制御
のパラメータ設定方法、同設定装置および化学製品の製
造方法、同製造装置ならびにプロセスフィードバック制
御用プログラムを記録した記憶媒体を提供することを目
的としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
原料に所定の処理を施すことによって予め設定された目
標製品特性の製品を連続的に製造するためのプロセスフ
ィードバック制御の制御式におけるパラメータを設定す
る方法であって、製品特性の値を制御量とするとともに
上記所定の処理を行う機器を制御対象とし、所定期間内
におけるフィードバック制御を行った結果である実製品
特性の経時的変動を検出し、この実製品特性に基いて上
記フィードバック制御が行われなかったとした場合の経
時的な予測製品特性を求め、この予測製品特性を基準に
するとともに上記制御式のパラメータの値を種々変更し
てフィードバック制御を行った場合の経時的な計算製品
特性の変動を求めるシミュレーション演算を複数回実行
し、求めた計算製品特性のうちから目標製品特性に対す
る変動が最小になるシミュレーション演算に用いたパラ
メータを選出して上記制御式のパラメータとして更新す
ることを特徴とするものである。
【0016】この発明によれば、所定の期間内における
実操業において、実際にはフィードバック制御が行われ
ていたのであるが、このフィードバック制御が行われな
かったとした場合の予測製品特性を実製品特性に基き、
かつ、制御対象の所定の動作に対する既知のタイムラグ
等から算出することにより、フィードバック制御が行わ
れなかった状態、すなわちフィードバック制御の制御対
象の影響が取り除かれた定値制御状態ので経時的に変動
した予測製品特性のデータが得られる。
【0017】この計算で得られた予測製品特性の経時変
動は、定値制御状態のときに全ての変動要因を含み込ん
だ状態で起こった変動であり、制御を評価する場合の基
礎データとして採用されるのである。すなわち、かかる
予測製品特性の変動に対して現状の制御式によるフィー
ドバック制御を実行すれば、実操業での実制御特性の経
時的な変動になるのである。
【0018】そして、この発明では、制御を評価する基
礎になる予測製品特性の経時的な変動に対し、制御式の
パラメータを種々変えて多数の制御式を導入し、各制御
式に基くフィードバック制御を机上で行う、いわゆるシ
ミュレーションを実行するのである。
【0019】このようなシミュレーションを、制御式の
パラメータを種々変えて複数回実行することにより(す
なわち、異なるパラメータ毎にシミュレーションを複数
回実行することにより)、多数のシミュレーション結果
が得られる。そして、各シミュレーションにおける計算
製品特性が、目標製品特性に対してどの程度変動してい
るかを両者の差として経時的に計算し(具体的には差の
自乗和を経時的に計算し)、最も小さい差であったシミ
ュレーションで採用されているパラメータを選び出すの
である。
【0020】このようにして選び出されたパラメータ
は、これを用いた制御式で計算してフィードバック制御
を行うことにより、目標粘度に対して変動がより少ない
ものであるから、以後、このパラメータを用いた制御式
をフィードバック制御に採用することにより、そのフィ
ードバック制御系の実状に合った相応しい制御が実現
し、これによって実製品特性のばらつきがより小さく抑
えられた状態で操業が行われ、良質の製品が製造される
のである。
【0021】従って、ただ単に過去の経験や熟練者の勘
に頼ってパラメータを変更した場合には、各種の把握し
得ない変動要因により、実状に合ったフィードバック制
御を行うことができず、これによってばらつきを抑えた
状態で安定した品質の製品を得ることが困難であった従
来の不都合が解消され、品質が常に安定した状態で製品
を製造することができる。
【0022】そして、本発明によるパラメータの設定
は、新規設備の本格的な稼働開始直前に行うことはもち
ろん、経年変化で設備の稼働条件が変わってきたとき
や、主原料あるいは副原料の銘柄変更があったときや、
設備仕様が変更になったとき等に行えばよく、こうする
ことによって、これらの操業条件の変更に対応した常に
適正なフィードバック制御が実現する。
【0023】請求項2記載の発明は、請求項1記載の発
明を用いる化学製品の製造方法であって、上記原料は一
または複数の所定の化学原料であり、上記製品は上記化
学原料の化学反応によって得られる化学反応物であり、
上記製品特性は化学反応物の一の特性であり、上記制御
対象は上記一の特性に影響を及ぼす機器であり、上記更
新されたパラメータによるフィードバック制御で実操業
を行って化学製品を製造することを特徴とするものであ
る。
【0024】この発明によれば、化学製品の製造に対し
て請求項1記載のプロセスフィードバック制御のパラメ
ータ設定方法を採用することにより、その化学製品に対
して請求項1の発明の作用と同様の作用が得られ、常に
ばらつきを抑えた状態で安定した品質の化学製品を得る
ことが可能になる。
【0025】請求項3記載の発明は、請求項2記載の発
明において、上記化学原料は、主原料である所定のモノ
マーおよびこのモノマーに添加して化学反応を起させる
副原料であり、上記化学製品はモノマーと副原料との化
学反応によって得られるポリマーであり、上記一の特性
に影響を及ぼす機器は副原料の添加量を調節する制御弁
であることを特徴とするものである。
【0026】この発明によれば、ポリマーの製造に対し
て請求項1記載のプロセスフィードバック制御のパラメ
ータ設定方法を採用することにより、そのポリマーに対
して請求項2の発明の作用と同様の作用が得られ、これ
によって常にばらつきを抑えた状態で安定した品質(例
えば粘度、透明度、PH度等)のポリマーを得ることが
可能になる。
【0027】請求項4記載の発明は、原料に所定の処理
を施すことによって連続的に製造される製品が予め設定
された目標製品特性になるように製品特性の値を制御量
とするとともに上記所定の処理を施す機器を制御対象と
して制御するフィードバック制御の制御式のパラメータ
を設定するための制御装置を備えてなるプロセスフィー
ドバック制御のパラメータ設定装置であって、上記制御
装置は、所定期間内におけるフィードバック制御を行っ
た結果である実製品特性の経時的変動を検出する検出手
段と、この実製品特性に基いてフィードバック制御が行
われなかったとした場合の経時的な予測製品特性を求め
る予測製品特性演算手段と、上記予測製品特性を基準に
するとともに上記制御式のパラメータの値を種々変更し
てフィードバック制御を行った場合の経時的な計算製品
特性を求めるシミュレーションを実行するシミュレーシ
ョン演算手段と、上記計算製品特性の目標製品特性に対
する変動が最小となるシミュレーションで採用されたパ
ラメータを選択する制御パラメータ選択手段とを備えて
いることを特徴とするものである。
【0028】この発明によれば、請求項1記載の発明と
同様の作用効果が得られた上で、制御装置としてフィー
ドバック制御用の制御装置と、シミュレーション実行用
の制御装置とを設け、これらの制御装置間を通信回線で
接続して互いに連係しながらフィードバック制御を行い
得るシステムを構築した上で、普段の実操業では、フィ
ードバック制御用の制御装置を用い、必要の都度、新た
な制御パラメータを設定するための計算手段としてシミ
ュレーション用の制御装置を利用することにより、実操
業のデータを一々面倒な入力操作で行うことなく直ちに
シミュレーションを実行することが可能になるため、オ
フラインでシミュレーションを実行した場合に生じる時
間遅れがなくなり、制御装置を実操業に用いながら現状
の制御パラメータをシミュレーション結果に基く新たな
制御パラメータに短時間で切り換えることができる。
【0029】従って、かかるシミュレーションを定期的
に実行することにより、実操業を継続しながら制御パラ
メータが常により精度の高い制御パラメータに自動的に
置き換わっていくようにすることが可能であり、これに
よって従来にも増して常に品質の安定した製品が製造さ
れる。
【0030】なお、新しいパラメータへの変更は、自動
設定することが可能であるが、このようにすると、製造
条件が人的なチェックなくして変更されてしまい、トラ
ブルが生じたときの対策に苦慮するような不都合の起こ
ることが想定されるため、パラメータの変更について
は、人的な判断を介在させることが好ましい。
【0031】請求項5記載の発明は、請求項4記載の発
明を用いて化学製品を製造する化学製品の製造装置であ
って、上記原料は一または複数の所定の化学原料であ
り、上記製品は上記化学原料の化学反応によって得られ
る化学反応物であり、上記製品特性は化学反応物の一の
特性であり、上記制御対象は上記一の特性に影響を及ぼ
す機器であり、上記シミュレーションの結果採用された
パラメータを実操業で用いて化学製品を製造することを
特徴とするものである。
【0032】この発明によれば、請求項2および4の発
明と同様の作用効果が得られた上で、実操業を継続しな
がら制御パラメータが常により精度の高い制御パラメー
タに自動的に置き換わっていくようにすることが可能で
あり、これによって従来にも増して常に品質の安定した
化学製品が製造される。
【0033】請求項6記載の発明は、請求項5記載の発
明において、上記化学原料は、主原料である所定のモノ
マーおよびこのモノマーに添加して化学反応を起させる
副原料であり、上記化学製品はモノマーと副原料との化
学反応によって得られるポリマーであり、上記製品特性
はポリマーの粘度であり、上記一の特性に影響を及ぼす
機器は副原料の添加量を調節する制御弁であることを特
徴とするものである。
【0034】この発明によれば、請求項3および4の発
明と同様の作用効果が得られた上で、実操業を継続しな
がら制御パラメータが常により精度の高い制御パラメー
タに自動的に置き換わっていくようにすることが可能で
あり、これによって従来にも増して常に品質(粘度)の
安定したポリマーが製造される。
【0035】請求項7記載の発明は、原料に所定の処理
を施すことによって連続的に製造される製品が予め設定
された目標製品特性になるように製品特性の値を制御量
とするとともに上記所定の処理を施す機器を制御対象と
して制御するフィードバック制御の制御式のパラメータ
を設定するための制御プログラムが記録された記憶媒体
であって、所定の記憶装置に記憶されているフィードバ
ック制御を行った結果である経時的な実製品特性を読み
取るステップと、実製品特性に基いて上記フィードバッ
ク制御が行われなかったとした場合の予測製品特性を経
時的に演算するステップと、この予測製品特性を基準に
してフィードバック制御を行った場合の経時的な計算製
品特性を求めるシミュレーションを、上記制御式のパラ
メータの値を種々変更して実行するステップと、上記計
算製品特性の目標製品特性に対する変動が最小になるシ
ミュレーションで採用されたパラメータを選択して上記
制御式のパラメータとして更新するステップと実行する
プログラムが記録されていることを特徴とするものであ
る。
【0036】この発明によれば、各ステップの内容が記
録された記憶媒体を採用し、この記憶媒体を汎用コンピ
ュータあるいは製品製造のために設けられたプロセスコ
ンピュータにセッティングして各ステップをコンピュー
タに入力することにより、そのコンピュータを用いてフ
ィードバック制御の制御式に対する最適のパラメータを
演算することが可能になり、これによって請求項1およ
び4の発明と同様の作用効果が得られる。
【0037】そして、かかる記憶媒体を採用すれば、コ
ンピュータ毎にキーボードからのキーイン操作でパラメ
ータ導出のための各ステップを一々入力するような面倒
な操作を行う必要がなくなり、記憶媒体の内容を読み取
るという簡単な操作でそのコンピュータを直ちに最適パ
ラメータを演算し得るものにすることが可能になる。
【0038】また、記憶媒体を電気的にコピーすること
によって多数の複製品をつくることが可能であり、この
複製品を用いることによって複数のコンピュータが極め
て容易に最適パラメータ演算可能なものになる。そし
て、かかる記憶媒体は、そのコピーが商品として取り引
き可能なものになる。
【0039】
【発明の実施の形態】図1は、本発明に係るポリマー製
造方法を説明するための製造設備の一実施形態を示す説
明図である。この図に示すように、ポリマー製造設備1
は、主原料であるプレポリマーMと、副原料である第1
溶液Aおよび第2溶液Bとを反応させて製品であるポリ
マーPにする反応槽2と、この反応槽2内の原料と副原
料とを混合する混合機3と、反応槽2からポリマーPを
抜き出すポリマー抜出しポンプ4と、ポリマー抜出しポ
ンプ4の下流側で抜き出されたポリマーPからさらにサ
ンプリング用に少量を取り出すサンプリング用ポンプ5
と、このサンプリング用ポンプ5の下流側に設けられた
粘度計6と、第1溶液Aの流量を調節する制御弁7と、
粘度計6の検出信号に基いて制御弁7に向けて操作信号
を出力する制御装置8(制御装置8については後に図6
を基に詳述する)とからなる基本構成を有している。
【0040】上記プレポリマーMは、図略のプレポリマ
ー貯槽から所定の原料ポンプの駆動で予め設定された流
量で原料配管91を通って反応槽2に供給されるととも
に、第1溶液Aおよび第2溶液Bも図略の貯槽からそれ
ぞれ専用の副原料ポンプの駆動で第1副原料配管92お
よび第2副原料配管93を通って反応槽2に供給される
ようになっている。
【0041】上記混合機3は、反応槽2の天板上に据え
付けられた駆動モータ31と、反応槽2の天板を貫通し
て上下方向に延びる駆動モータ31の駆動軸32と、こ
の駆動軸32に取り付けられた攪拌フィン33とからな
り、頂部から反応槽2に導入されたプレポリマーM、第
1溶液Aおよび第2溶液Bは、駆動モータ31の駆動に
よる駆動軸32を介した攪拌フィン33の回転により、
混合されて重合反応が順次進行し、ポリマーPになって
反応槽2の底部からポリマー抜出しポンプ4の駆動で導
出されて次工程に向けて送り出されるようになってい
る。
【0042】反応槽2の底部には、ポリマー抜出し配管
94が接続され、上記ポリマー抜出しポンプ4はこのポ
リマー抜出し配管94に設けられているとともに、ポリ
マー抜出しポンプ4の下流側のポリマー抜出し配管94
からサンプリング配管95が分岐され、このサンプリン
グ配管95にサンプリング用ポンプ5と粘度計6とが直
列で設けられ、その下流端はポリマー抜出し配管94に
合流されている。
【0043】従って、ポリマー抜出しポンプ4の駆動で
反応槽2から抜き出されたポリマーPは、ポリマー抜出
しポンプ4の下流側でその一部がサンプリング用ポンプ
5の駆動によりサンプリング配管95に分流し、サンプ
リング用ポンプ5の下流側で粘度計6によって粘度が検
出され、その検出信号が制御装置8に入力されることに
なる。
【0044】そして、本実施形態においては、第2溶液
Bは、プレポリマーMと同様に所定の流量で反応槽2に
供給されるようになされている一方、第1溶液Aについ
ては、制御装置8からの操作出力による制御弁7の開閉
動作によって流量が逐一増減され、これによって反応槽
2から導出されるポリマーPの粘度が予め設定された目
標粘度になるように制御されている。
【0045】具体的には、粘度計6の検出した粘度が目
標粘度を下回ったときは、この検出信号を入力された制
御装置8は、制御弁7に向けて弁の開度を小さくする操
作信号を出力し、これによって第1溶液Aの添加量を少
なくしてポリマーPの粘度を上昇させる一方、検出粘度
が目標粘度を越えたときは、制御装置8からは制御弁7
に向けて弁の開度を大きくする操作信号が出力され、こ
れによって第1溶液Aの添加量を多くしてポリマーPの
粘度を下降させるのである。かかる制御弁7の弁開度の
調節による第1溶液Aの供給量の調節により、ポリマー
Pの粘度が目標粘度になるように制御されているのであ
る。
【0046】そして、本実施形態においては、以下に示
す制御式が制御装置8に記憶されており、この制御式に
基く計算によって制御弁7の弁の開度を調節する操作信
号が出力されるようになっている。
【0047】 M(t)=(100/P)×(e(t)+(1/I)×∫e(t)dt+D×(de(t)/dt))… 式において、M(t)は操作出力であり、図1に示す実
施形態では、制御装置8から出力される操作信号におけ
る弁の開度をどの程度にするかの操作量を示すものであ
る。
【0048】上記e(t)は、制御偏差(制御の対象とな
る目標値からずれている量)を示す曲線であり、時間の
関数として表されている。この関数は、具体的に数式で
表現されるものではなく、実際の操業で粘度計6が検出
する実粘度と目標粘度との差を経時的にグラフ化したと
きの曲線のことであり、この曲線は時間の推移とともに
変動しているため、結果的に時間の関数になっており、
従ってe(t)と表現している。操作出力をこの制御偏差
に比例させる、いわゆる比例動作が制御に採用されるの
である。
【0049】上記「∫e(t)dt」は、具体的には偏差曲線
と時間軸とで囲まれた面積、すなわち積分値であり、操
作出力をこの積分値に比例させる、いわゆる積分動作が
制御に採用されるのである。
【0050】上記「de(t)/dt」は、偏差曲線の傾斜の度
合い(勾配)を示すものであり、偏差曲線の時間に対す
る微分値である。操作出力をこの微分値にも比例させ
る、いわゆる微分動作が制御に採用されるのである。
【0051】なお、実際には、上記式の代わりにこれ
と等価の差分式である式が採用され、この式が図1
の制御装置8に記憶されている。
【0052】 ΔMn=Mn−Mn-1=(100/P)×[(en−en-1)+(ΔT・en)/ I)+D・((en−2en-1+en-2)/ΔT)]… 式において、ΔTは、図1における粘度計6の経時的
な粘度検出の検出時間間隔であって、例えば数秒毎に検
出される場合の数秒のことである。なお、粘度計6は、
連続的に粘度を検出するが、この検出信号が入力される
制御装置8は、ディジタル処理を行うため、アナログ量
である検出信号がディジタル化され、上記ΔT秒毎に検
出信号の値を記憶する。
【0053】上記ΔMは、上記式の「M(t)」に対応
するものであり、前回((n−1)回)の操作出力値に
対してΔTだけ時間が進行した今回(n回)の操作出力
値の増分である。また、(en−en-1)は、上記式の
「e(t)」に対応するものであり、前回の粘度値の制御偏
差(目標値との差)に対するΔT秒後の今回の制御偏差
の増分である。また、(ΔT・en)は上記式の「∫e
(t)dt」に対応するものであり、((en−2en-1+e
n-2)/ΔT)は、上記式の(de(t)/dt)に対応するも
のである。そして、式において、P、IおよびDがパ
ラメータであるのは先の式の場合と同様である。
【0054】式を用いれば、粘度計6によってΔT秒
毎に検出された検出値を用いて簡単な計算を行うだけで
制御弁7に対する操作出力を得ることができ便利であ
る。
【0055】上記式および式のような制御式を用い
るフィードバック制御は、偏差(実粘度と目標粘度との
差)に比例した動作要素(Proportional action)、偏
差の時間に関する積分値による動作要素(Integral act
ion)、および偏差の時間に関する微分値による動作要
素(Derivative action)の全てを勘案して行われるも
のであり、フィードバック制御と通称されるものである
のは前述したとおりである。
【0056】なお、本発明は、制御式として上記式お
よび式を採用することに限定されるものではなく、各
種の制御式を採用することが可能である。また、本発明
は、プロセス制御としてフィードバック制御が採用され
ることに限定されるものではなく、各種の制御において
適用可能であるが、以下、説明の便宜のためにフィード
バック制御を例として挙げている。
【0057】そして、このようなフィードバック制御に
おいて、制御式に採用されるパラメータが重要な役割を
果たすのである。まず、「P」は比例帯と呼ばれるパラ
メータであり、Iは、積分時間を表すパラメータであ
り、Dは、微分時間を表すパラメータである。これらの
パラメータの値によって式の制御出力の値が変わって
くるのである。これらのパラメータは、過去の知見に基
いて最良と考えられるものが採用されているが、採用さ
れたパラメータの値が常に良好な結果をもたらすものと
は限らず、完全に把握し得ない要因や操業条件の変更等
によって一旦設定したパラメータの値に不具合が生じる
ことが日常的に生じるのである。
【0058】従来このような不具合が生じたときは、パ
ラメータの値を熟練者の過去の経験や勘に基づいて変更
してみることが行われ、この変更されたパラメータによ
る制御が所定期間試みられた後に制御の良否が検討さ
れ、思わしくないときはさらに変更される、いわゆる実
操業でのトライアンドエラーが繰り返されていたが、か
かるトライアンドエラー方式では、パラメータの設定が
常に後追いになって時期を逸するばかりか、変更された
パラメータが最適のものであるのか否かは不明である。
【0059】本発明は、上記のようなパラメータの設定
を経験や勘に頼ることなく合理的に行うものであり、こ
のパラメータの設定によって、把握しきれない要因によ
る変動を許容した上で、操業条件の変更等による目標粘
度に対する実粘度の偏差を確実に低く抑えることができ
るものである。
【0060】以下本発明方法について図2を基に説明す
る。図2は、本発明方法を説明するための系統図であ
る。この図に示すように、まず、手順T1で実操業が実
行される。この実操業においては、上記式に基くフィ
ードバック制御が実行されるのである。図2では、かか
るフィードバック制御のアルゴリズムを制御ロジックと
表現している。このときの上記式におけるパラメータ
(P、I、D)は、実操業において実際に採用された値
(現行のパラメータ)である。
【0061】ついで手順T2で過去の所定期間(本実施
形態では直前の12時間)における実際の操業時の粘度
偏差曲線(実粘度変動曲線)が抽出される。この実粘度
変動曲線の抽出は、図1における粘度計6の経時的な粘
度検出結果を所定時間毎(例えば数秒毎、この時間間隔
をΔTとする)に制御装置8に記憶させておき、この記
憶内容を出力させることで得ることができる。図3は、
このようにして得られた実粘度変動曲線の一例を示すグ
ラフである。このグラフにおいて、横軸は時間(hr)
を示し、縦軸はポリマーPの目標粘度値(X)からの変
位を示している。
【0062】ついで手順T3で、もしも上記直前の12
時間内に制御ロジックに基く制御が実行されなかったと
した場合、すなわち制御弁7の弁開度が変更されなかっ
たとした場合、ポリマーPの粘度はどのように推移する
か(この推移を予測粘度変動曲線という)を、上記実粘
度変動曲線を用いて算出する。
【0063】以下、図4を基に制御逆ロジックによる予
測粘度変動曲線の求め方について説明する。図4は、図
3における実粘度変動曲線の所定時間内での経時変化に
対応した関連事項の経時変化を拡大して示すグラフであ
り、(イ)は実粘度の経時変化、(ロ)は制御弁7の弁
開度の経時変化、(ハ)は所定時間内における第1回め
の弁開度の変更に対応した経験や実験で得られた粘度の
経時変化、(ニ)は同第2回めの弁開度の変更に対応し
た経験や実験で得られた粘度の経時変化、(ホ)は微小
時間内における予測粘度の経時変化をそれぞれ示してい
る。
【0064】まず、図4の(イ)に示すように、一点鎖
線間で示された所定時間内に実粘度が目標粘度Xに対し
てそれより大きいX1で推移していたとする。この所定
時間内に、図4の(ロ)に示すように、時刻T1で制御
弁7の基準開度(所定時間の最初の開度)EよりΔE1
だけ小さくなってE1になり、時刻T2でさらにΔE2
だけ小さくなってE2になっていたとする。このことは
制御装置8から制御弁7に向けて出力される操作信号の
値(制御出力)を微小時間毎に記録しておくことにより
知ることができる(実際は制御装置8内の記憶装置にデ
ジタル信号で記憶されている)。
【0065】なお、実際には実粘度が変動したときに操
作信号が出力されるのであるから実粘度に変動がないと
きに操作出力は積分要素分だけしか出力されないが、説
明を簡単に行うために図4では実粘度が一定であると仮
定している。
【0066】そして、時刻T1で基準弁開度EよりΔE
1だけ弁開度が小さくなっているとともに、時刻T2で
さらにそれよりΔE2だけ弁開度が小さくなっているに
も拘らず実粘度に変動がないのであるから、もし時刻T
1で弁開度がEのままであったなら、第1溶液Aの添加
量が少なくなることはないため、図4の(ハ)に示すよ
うに、その分(x1)粘度が低下するはずである。すな
わち弁開度が小さくなっているにも拘らず実粘度が低下
していないのは、第1溶液Aの添加量以外の要因に起因
しているのである。
【0067】なお、図4の(ハ)においては、時刻T1
で弁開度がE1になってからさらにt1時間が経過した
後に所定の下り勾配で粘度が低下し、t2時間経過後に
x1に落ち着くのは、弁開度が変更になってからのタイ
ムラグによるものであり、この挙動についてはしかるべ
き試験の結果や過去の実績等に基いて予め判明している
事項である。
【0068】そして、本発明においては、図4の(ロ)
に示す弁開度の増減ΔEと、時間t1、t2および粘度
の増減xとの関係が、予め制御装置8に入力されてお
り、この関係に基いてt1、t2およびx1の値が決め
られるようにしている。これらの関係は、ポリマー製造
設備1の特質に合わせて理論的に導出された理論式で表
現される場合もあるし、所定の実験を行った結果の実験
式で表されることもある。そして、制御装置8に記憶さ
れている関係式(理論式あるいは実験式)によってx1
の値が計算されるのである。かかる図4の(ハ)におけ
るような粘度の増減算出方法を図2の手順T3で「制御
逆ロジックを利用」と表現している。
【0069】なお、上記のような関係式によって計算す
るのではなく、ΔEの所定間隔毎の値に応じたt1、t
2およびx1の値のテーブルを予め制御装置8に記憶さ
せておき、このテーブルからΔEの値に応じてt1、t
2およびx1の値を読み取るようにしてもよい。
【0070】また、T2時刻に弁開度がさらにΔE2だ
け小さくなってE2になると(図4の(ロ))、上記と
同様にT2時刻からt1時間経過後に粘度の低下が開始
され、t2時間後にx2になる(図4の(ニ))。
【0071】従って、図4の(ロ)に示すように、所定
時間内の時刻T1および時刻T2で制御弁7の弁開度が
絞られた例では、図4の(ホ)に示すように、当初X1
であったポリマーPの粘度は、T1時刻に弁開度がE1
に絞られてからt1時間経過後に降下を開始し、t2時
間経過後に(X−x1)になり、さらにT2時刻に弁開
度がE2に絞られることにより所定のタイムラグで(X
1−(x1+x2))にまで降下することになる。
【0072】なお、図4の(ハ)および(ニ)の粘度降
下の変動応答線を直線で近似しているが、直線であるこ
とに限定されるものではなく、曲線であってもよい。
【0073】以上、本質を違えずに説明を簡単にするた
め粘度が直線状で推移する場合について述べたが、実際
には実粘度値は経時的に変動しているため、この変動し
ている曲線に対して上記同様の処理が施されて予測粘度
変動曲線が求められるのである。
【0074】このような計算を、図3に示す12時間に
亘った実粘度変動曲線に対して、所定の微小時間間隔毎
に例えばコンピュータを用いて実行することにより、図
5に示すような粘度の推移の曲線を得ることができる。
このような計算のアルゴリズムを本明細書で制御逆ロジ
ックと表現している。そして、図5に示す曲線が、過去
の12時間について制御弁7の弁開度が一定であったと
仮定した場合の粘度の推移曲線(予測粘度変動曲線)で
ある。なお、図5には、参考のため点線で図3の実粘度
変動曲線も示している。
【0075】すなわち、この予測粘度変動曲線は、制御
弁7の弁開度が一定であると仮定したものであるため、
粘度の変動要因の内の弁開度(すなわち第1溶液Aの添
加量)についてはオミットして考えることができるもの
であり、把握することが困難な弁開度以外の各種の要因
によって粘度が変動しているのである。
【0076】そして、本発明においては、かかる弁開度
以外の要因で変動する粘度(すなわち予測粘度変動曲
線)に対し、つぎの段階として図2の手順T4が実行さ
れ、上記式を利用した机上でのフィードバック制御、
すなわちシミュレーションが行われるのである。このシ
ミュレーションに際しては、フィードバック制御におけ
る制御パラメータの値(式のP、IおよびDの値)を
種々変更して多数ケースが実行されるのである。
【0077】このシミュレーションは、予測粘度変動曲
線がフィードバック制御を行った結果である実粘度の推
移に対して定値制御状態のものであることから、この定
値制御状態の粘度変動に対し制御パラメータを種々変更
して式による制御が実際に行われた場合には、粘度が
どのように変化するかを机上計算(実際にはコンピュー
タを用いて計算)するものである。
【0078】そして、この机上計算においては、式に
よって実際と同様の制御出力が計算されるため、この制
御出力に対応した第1溶液Aが反応槽2内のプレポリマ
ーMに添加されたと仮定してこれに応じた予測粘度が逐
一計算される。この計算においては、先の制御逆ロジッ
クで採用された、制御弁7が動作してから粘度に効いて
くるまでのタイムラグが考慮されるのである。
【0079】つぎの手順5では、このようにして実行さ
れた多数ケースのシミュレーション結果の各々におい
て、時系列的に予測粘度と目標粘度との偏差の自乗和が
計算され、この自乗和が最も小さくなるシミュレーショ
ンで採用された制御パラメータ(上記式のP、I、D
の値)が、今後の実操業に適用されるのである(T
6)。
【0080】因みに、過去12時間の実粘度の変動が図
3に示す実粘度変動曲線であった場合(すなわち予測粘
度変動曲線が図5に実線で示すものであった場合の)、
選択された制御パラメータを適用した最適シミュレーシ
ョン粘度曲線を、図5に一点鎖線で表示した。このシミ
ュレーション粘度曲線における15分毎の目標粘度との
偏差の自乗和は、940,220であるのに対し、同図
に点線で示した実粘度変動曲線の15分毎の同自乗和
は、1,914,810であり、シミュレーション粘度
(計算ポリマー粘度)の方が大幅に変動が小さくなって
いることが判る。従って、このシミュレーション粘度曲
線に係る制御パラメータを今後の実操業で採用すること
により、実粘度の変動が少ないより安定した操業が実現
される。
【0081】図6は、制御装置8を利用して制御パラメ
ータの設定を行う(すなわち、制御装置8を用いてシミ
ュレーションを実行する)場合の一実施形態を示すブロ
ック図である。先に説明したように、本発明は、所定期
間(本実施形態では12時間)内の実ポリマー粘度の経
時的変動を検出する一方、同一期間内におけるフィード
バック制御が行われなかったとした場合の予測ポリマー
粘度を経時的に算出し、この予測ポリマー粘度を基準に
してフィードバック制御を行った場合の計算ポリマー粘
度の変動を経時的に求めるシミュレーションを、上記粘
度制御式のパラメータの値を種々変更して複数回実行
し、計算ポリマー粘度の目標粘度に対する変動が小さく
ものを選び出し、この選択されたパラメータを今後の実
操業で用いるものである。
【0082】このような本発明方法において制御装置8
が関わっているのは、実操業におけるフィードバック制
御と本発明に係るシミュレーションの実行であり、フィ
ードバック制御においては、粘度計6からの検出信号を
基に式に基いて制御量ΔMnを演算し、この演算結果
を操作出力として制御弁7に向けて発信するようになさ
れているが、かかる制御装置8を本発明のシミュレーシ
ョン実行に適用している。
【0083】そして、本実施形態においては、図6に示
すように、制御装置8は、実操業のフィードバック制御
を行う第1制御手段80と、シミュレーションを実行す
る第2制御手段81とからなっている。第1制御手段8
0としては、シーケンサあるいは制御用のコンピュータ
が適用され、第2制御手段81としてはパーソナルコン
ピュータが適用されている。第1制御手段80と第2制
御手段81とは、高速の通信回線を介して互いに接続さ
れ、互いに補完し合いながらパラメータの設定を行うよ
うになっている。
【0084】第1制御手段80は、実操業でポリマーP
の粘度が目標粘度になるようにフィードバック制御を行
うフィードバック制御部82を有している。また、第2
制御手段81は、本発明に係るシミュレーションを実行
するシミュレーション実行部84を有している。また、
フィードバック制御部82には、制御量演算部82aお
よび操作出力発信部82bが設けられている。
【0085】そして、粘度計6が検出したポリマーPの
粘度は、検出信号に変換されて一定の時間間隔で制御量
演算部82aに逐一入力され、ここで上記式により制
御弁7を開閉させるための制御量(操作出力)が逐一演
算されるとともに、この演算結果が操作出力発信部82
bに向けて逐一出力される。
【0086】この演算結果が入力された操作出力発信部
82bは、この制御量を操作出力に変換し、この操作出
力を制御弁7に向けて逐一制御弁7に向けて出力するた
め、制御弁7はこの操作出力に基いて、ポリマーPの粘
度が目標粘度より低いときは制御弁7の開度を小さくし
て第1溶液Aの混入量を減らす一方、同高いときは制御
弁7の開度を大きくして第1溶液Aの混入量を増やすフ
ィードバック制御が実行されることになる。
【0087】そして、上記第1制御手段80は、粘度計
6が検出した検出信号の内容が逐一書き込まれる第1記
憶装置83を有しており、ここには所定の時間内のデー
タ(例えば過去12時間の最新のデータ)が一時的に記
憶されるようになっている。また、第1制御手段80
は、第1記憶装置83の他にディスク等からなる第1外
部記憶装置83aを有しており、第1記憶装置83で記
憶更新のために消去される過去のデータが長期間に亘っ
て記憶されており、この第1外部記憶装置83aに記憶
されたデータが、つぎに説明するシミュレーション実行
部84でのシミュレーションで使用される。
【0088】また、第1記憶装置83には、フィードバ
ック制御で使用される制御式や制御パラメータの値(上
記式のP、IおよびDの値)が、第1制御手段80に
付設された入力装置82eを介して予め入力されてお
り、制御量演算部82aでの式に基く制御量演算時に
これらの制御パラメータの値が使用される。
【0089】上記第2制御手段81は、最適パラメータ
を設定するためのシミュレーションを実行するシミュレ
ーション実行部84と、制御式、シミュレーション式、
シミュレーション結果およびシミュレーション結果得ら
れたパラメータ等を記憶する第2記憶装置85と、ディ
スク等からなる第2外部記憶装置85aと、シミュレー
ション実行部84に対して所定の入出力を行う入出力装
置86とを備えて構成されている。
【0090】上記シミュレーション実行部84は、第2
制御手段81から実粘度の変動曲線(具体的には例えば
第1外部記憶装置83aに記憶されている過去12時間
の制御量のデータ)を読み取る実粘度変動曲線抽出部8
4aと、この実粘度変動曲線抽出部84aが読み取った
データを基に予測粘度曲線を演算する予測粘度曲線演算
部84bと、入出力装置86から入力された複数組の制
御パラメータ値の各々を用いて上記式により各組(す
なわち各シミュレーションケース)の経時的な制御量
(制御出力値)を演算するとともに、この制御出力値に
見合うシミュレーション粘度を演算するシミュレーショ
ン粘度曲線演算部84cと、このシミュレーション粘度
曲線演算部84cによって演算された結果得られた各ケ
ースのシミュレーション粘度曲線と実粘度変動曲線とを
比較して最適の制御パラメータを選び出す制御パラメー
タ選択部84dと、選択された制御パラメータの値を第
2制御手段81に入力して現状の制御パラメータの値と
置き換える制御パラメータ設定部84eとを備えてい
る。
【0091】上記予測粘度曲線演算部84bにおいて
は、第2外部記憶装置85aが記憶している演算プログ
ラムに基づき、もしも過去の12時間にフィードバック
制御が行われなかったとした場合の粘度の経時的な変
動、すなわち予測粘度変動曲線が先に説明した方法によ
って求められる。この予測粘度変動曲線は、過去の12
時間にフィードバック制御が行われなかったとした場合
の粘度の変動であるから、通常、実粘度変動曲線よりも
ばらつきは大きくなっている。
【0092】上記シミュレーション粘度曲線演算部84
cにおいては、上記予測粘度変動曲線を基にして、制御
パラメータの値を種々変えたシミュレーションケース毎
に、実操業時と同一の手法で制御出力値が演算される。
実操業時には、演算結果である制御出力値が制御弁7に
向けて出力され、制御弁7の開閉動作による第1溶液A
の添加量の変化でポリマーPの粘度が目標粘度に向かう
ように制御されるのであるが、シミュレーションにおい
ては、制御弁7に向けた操作信号の出力は行われない代
わりに、もしもこの操作信号が出力されたとした場合の
制御弁7の開閉動作に基くポリマーPの粘度が経時的に
演算されてシミュレーション粘度曲線が求められるので
ある。このシミュレーション粘度曲線は、シミュレーシ
ョンケースの数だけ得られることになる。
【0093】上記制御パラメータ選択部84dにおいて
は、シミュレーション粘度曲線演算部84cで得られた
複数のシミュレーション粘度曲線の各々について、経時
的に(具体的には例えば100〜1000μsec毎
に)シミュレーション粘度と目標粘度との差が演算され
るとともに、各差の自乗和が演算され、通常この自乗和
の最も小さな制御パラメータの値が新たな制御パラメー
タとして採用されるが、曲線の形を見て大きく変動する
部分が少ないものを選択する等、制御パラメータの選択
については総合的な判断が行われるのが一般的である。
そのために制御パラメータ選択部84dで演算された上
記自乗和の値およびシミュレーション粘度曲線が、シミ
ュレーションケースに対応させた状態で後述する出力装
置86bから出力される。
【0094】そして、この出力されたデータに基づいて
最終的なパラメータ値が決定され、このパラメータ値が
第1制御手段80の入力装置82eからフィードバック
制御部82に入力されることにより、以後の第1制御手
段80による制御は、この新たな制御パラメータに基づ
いて行われることになる。
【0095】上記制御パラメータ設定部84eは、直接
反映させるか、あるいは人的な判断を経て反映させるか
については、入出力装置86を介して予め第2制御手段
81内に入力することができるようになっている。そし
て、人的な判断を経ることなくシミュレーション結果を
直接第1制御手段80に反映させる場合には、制御パラ
メータ選択部84dで得られた上記自乗和に基づいて自
動的に制御パラメータの値が設定され、この値が入力装
置82eを介することなく第1制御手段80に直接入力
されるようになっている。これによって第1記憶装置8
3に記憶されていた現状の制御パラメータが新たな制御
パラメータと置き換えられ、フィードバック制御部82
による実操業での制御が、新たな制御パラメータの基に
行われることになる。
【0096】なお、本発明においては、制御パラメータ
設定部84eを設けることに限定されるものではなく、
特に設けなくてもよい。
【0097】上記入出力装置86は、キーボード等から
なる入力装置86aと、ディスプレイやプリンタ等から
なる出力装置86bとを備えている。入力装置86aか
らはシミュレーションを実行するタイミングや、シミュ
レーションケースの数や各ケースの制御パラメータの値
(上記式のP、IおよびDの値)等が入力される。ま
た、出力装置86bには、実粘度変動曲線抽出部84a
で抽出された実粘度変動曲線やシミュレーション粘度曲
線演算部84cで演算されたシミュレーション粘度曲
線、さらには、制御パラメータ選択部84dで演算され
た各シミュレーションケース毎の上記自乗和が出力され
るようになっている。
【0098】このような制御装置8によれば、制御パラ
メータを変更するに際し、まず第2制御手段81の入力
装置86aからシミュレーションを実行する旨の入力を
行う。そうすると、シミュレーション実行部84が演算
可能状態に設定されて立ち上がる。ついで、入力装置8
6aから初期値およびシミュレーションケースの数と各
ケースの制御パラメータの値(P、IおよびDの値)と
を入力する。初期値としては、予測粘度曲線を求めたい
開始時間と終了時間とが入力される。
【0099】初期値の入力が完了すると、入力装置86
aから演算スタートの入力を行う。そうすると、まず第
1外部記憶装置83aに記憶されている例えば過去12
時間の実粘度変動曲線のΔT毎の経時的な値が実粘度変
動曲線抽出部84aに読み込まれ、引き続き予測粘度曲
線演算部84bが先に図4に基いて説明した方法によっ
てΔT毎に予測粘度を演算し、これを時分割数だけ繰り
返すことによって予測粘度曲線が演算される。
【0100】つぎにシミュレーション粘度曲線演算部8
4cは、予測粘度変動曲線を基にして、制御パラメータ
の値を種々変えたシミュレーションケース毎に、実操業
時と同一の手法で制御出力値を演算する。制御弁7に向
けた操作信号の出力は行われない代わりに、もしもこの
操作信号が出力されたとした場合の制御弁7の開閉動作
に基くポリマーPの粘度を経時的に演算してシミュレー
ション粘度曲線を求める。これによってシミュレーショ
ン粘度曲線がシミュレーションケースの数だけ得られる
ことになる。
【0101】つぎに制御パラメータ選択部84dは、シ
ミュレーション粘度曲線演算部84cで得られた複数の
シミュレーション粘度曲線の各々について、経時的に
(例えば100〜1000μsec毎に)シミュレーシ
ョン粘度と目標粘度との差を演算するとともに、各差の
自乗和を演算し、この演算結果が出力装置86bに出力
される。なお、出力装置86bには、上記自乗和の値に
加えて実粘度曲線および各シミュレーションケース毎の
予測粘度曲線も出力される。これらの出力値を基づく各
種の判断要素を加えた人的な判断により、最終的な制御
パラメータの値が決定され、この決定された値が第1制
御手段80の制御量演算部82aから新たな制御パラメ
ータとしてフィードバック制御部82に入力される。
【0102】これによって、第1制御手段80は、以後
この新たな制御パラメータに基づく粘度制御が実行され
ることになる。
【0103】つぎに、第2制御手段81でのシミュレー
ション結果を自動的に第1制御手段80に反映させる場
合について説明する。この場合は、制御パラメータ選択
部84dに到るまでの一連の処理は、先の説明の通りで
あるが、制御パラメータ設定部84eが制御パラメータ
選択部84dで演算された上記自乗和のうち最小のもの
を選び出し、これに対応するシミュレーションケースの
制御パラメータの値を第1制御手段80の第1記憶装置
83に向けて出力するようにしている。これによって第
1記憶装置83に記憶されていた現状の制御パラメータ
が新たな制御パラメータと置き換えられ、フィードバッ
ク制御部82による実操業での制御が、新たな制御パラ
メータの基に行われることになる。
【0104】このように、第2制御手段81のシミュレ
ーション結果を、第2制御手段81の入出力装置86お
よび第1制御手段80の入力装置82eを介することな
く直ちに第1制御手段80に伝達することにより、新た
に設定された制御パラメータを一々面倒な入力操作を行
うことなくシミュレーション実行後に直ちに実操業に用
いることが可能になるため、オフラインでシミュレーシ
ョンを実行した場合に生じる時間遅れがなくなり、制御
装置8を実操業に用いながら現状の制御パラメータをシ
ミュレーション結果に基く新たな制御パラメータに切り
換えることができる。
【0105】従って、かかるシミュレーションを定期的
に(例えば12時間毎に)実行することにより、実操業
を継続しながら制御パラメータが常により精度の高い制
御パラメータに置き換えていくことになり、これによっ
て常に品質の安定したポリマーPを製造することができ
る。
【0106】つぎに、上記のようなフィードバック制御
における制御式のパラメータの設定方法を記録した記憶
媒体について説明する。図6に基く説明では、第2制御
手段81のシミュレーション実行部84にプログラムが
ロードされた状態における制御装置8の機能について述
べたが、シミュレーション実行部84のプログラム内容
を磁気ディスク等の記憶媒体に記憶させておき、必要の
都度、第2外部記憶装置85aを介して第2制御手段8
1内にロードして演算を行わせるようにしてもよい。
【0107】そして、この記憶媒体には、所定の記憶装
置に記憶されているフィードバック制御を行った結果で
ある経時的な実粘度曲線(実製品特性)を読み取るステ
ップ(実粘度リードステップ)と、経時的な実粘度曲線
に基いて上記フィードバック制御が行われなかったとし
た場合の予測粘度曲線(予測製品特性)を経時的に演算
するステップ(予測粘度演算ステップ)と、この予測粘
度曲線を基準にしてフィードバック制御を行った場合の
経時的なシミュレーション粘度曲線(計算製品特性)を
求めるシミュレーションを、上記制御式のパラメータの
値を種々変更して実行するステップ(シミュレーション
ステップ)と、上記シミュレーション粘度曲線の目標粘
度値(目標製品特性)に対する変動が最小になるシミュ
レーションで採用されたパラメータを選択して上記制御
式のパラメータとして更新するステップ(パラメータ選
択ステップ)とを実行するプログラムが記録されてい
る。
【0108】上記実粘度リードステップは、シミュレー
ション実行部84の実粘度変動曲線抽出部84aに対応
するものであり、上記予測粘度演算ステップは、同予測
粘度曲線演算部84bに対応するものである。また、上
記シミュレーションステップは、同シミュレーション粘
度曲線演算部84cに対応し、パラメータ選択ステップ
は、同制御パラメータ選択部84dおよび制御パラメー
タ設定部84eに対応するものである。
【0109】このような記憶媒体を用いることにより、
入力装置86aからのキーイン操作で第2制御手段81
にシミュレーション実行部84のプログラムを一々入力
するような面倒な操作を行う必要がなくなり、第2外部
記憶装置85aを介して記憶媒体の内容を第2制御手段
81内に読み取るという簡単な操作で第2制御手段81
を直ちに最適パラメータを演算し得るものにすることが
できる。
【0110】また、記憶媒体を電気的にコピーすること
によって多数の複製品をつくることが可能であり、この
複製品を用いることによって複数のコンピュータを極め
て容易に最適パラメータ演算可能なものにすることがで
きる。
【0111】本発明は、上記の実施形態に限定されるも
のではなく、以下の内容をも包含するものである。
【0112】(1)上記の実施形態においては、主原料
としてプレポリマーMが、副原料として第1溶液Aおよ
び第2溶液Bが採用され、これら主原料と副原料との化
学反応によって得られるポリマーPを製品とするととも
に、制御量としてポリマー粘度が、制御対象として制御
弁7が採用されているが、本発明は、かかるポリマー製
造設備1に適用することに限定されるものではなく、連
続的に化学製品やその他の製品を製造する装置に適用す
ることが可能である。
【0113】特に化学分野では、所定流量の原料が配管
により反応設備に送り込まれ、化学反応物が所定流量で
送出されるような形態の製造設備が多く採用されている
が、本発明は、このような製造設備に好適に適用するこ
とができる。また、化学分野に限らず、連続的に定量供
給される原料に対して何らかの操作を施して製品にする
ような設備であれば、本発明方法や装置を適用すること
が可能である。
【0114】また、制御量および制御対象については、
ポリマー粘度および制御弁7に限定されるものではな
く、適用した製造設備に応じて適宜設定することができ
る。さらに、制御量および制御対象がそれぞれ1つであ
ることに限定されるものではなく、製造設備あるいは状
況に応じてそれぞれ複数を採用してもよい。
【0115】(2)上記のポリマー製造の実施形態で
は、制御要因として第1溶液Aの添加量を挙げて説明し
たが、本発明は、制御要因が第1溶液Aのみであること
に限定されるものではなく、第2溶液Bの添加量や温
度、圧力、混合機3の出力等のその他の制御要因を追加
してもよい。
【0116】(3)上記の実施形態においては、シミュ
レーションの基礎となる過去の実粘度変動曲線を、直前
の12時間のものを採用するようにしているが、本発明
は、実粘度変動曲線として採用するものが過去12時間
のものであることに限定されるものではなく、その製造
現場の実状に合うように12時間未満であってもよい
し、12時間を越えてもよい。
【0117】(4)上記の実施形態においては、多数ケ
ースのシミュレーションを実行して、その中で予測粘度
の目標粘度に対する偏差の自乗和が最小にシミュレーシ
ョンで採用された制御パラメータの値を、今後の実操業
で用いるようにしているが、実際の操業においては、必
ずしも上記自乗和が最小になるものを選択しなければな
らない訳ではなく、自乗和が多少大きくても、予測変動
曲線が急激に変化しないシミュレーションで採用された
パラメータを採用する等、最終的には担当者による総合
的な判断でその製造現場の実状に合致したものを選択す
るようにしてもよい。但し、この選択は、本発明方法の
実行によって得られた多くのシミュレーション結果を比
較考量して人が行うものである。
【0118】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、製品特性
の経時的変動を検出する一方、同一期間内におけるフィ
ードバック制御が行われなかったとした場合の予測製品
特性を経時的に算出し、この予測製品特性を基準にして
フィードバック制御を行った場合の計算製品特性の変動
を経時的に求めるシミュレーションを、粘度制御式のパ
ラメータの値を種々変更して複数回実行し、計算製品特
性の目標粘度に対する変動が少なくとも最も小さくなる
シミュレーションで採用されたパラメータを実操業で用
いるようにしているため、まず、所定の期間内における
実操業において、実際にはフィードバック制御が行われ
ていたのであるが、このフィードバック制御が行われな
かったとした場合の予測製品特性を副原料の添加量およ
びその添加が行われてから粘度に効いてくるまでの既知
のタイムラグから算出することにより、フィードバック
制御が行われなかった状態、すなわちフィードバック制
御の操作そのものの影響が取り除かれた定値制御状態で
経時的に変動した製品特性(予測製品特性)のデータを
得ることができる。
【0119】この計算で得られた予測製品特性の経時変
動は、定値制御状態のときに全ての変動要因を含み込ん
だ状態で起こった変動であり、制御を評価する場合の基
礎データとして採用されるのであるから、かかる予測製
品特性の変動に対して現状の制御式によるフィードバッ
ク制御を実行すれば、実操業での製品特性の経時的な変
動とみなすことができる。
【0120】そして、制御を評価する基礎になる予測製
品特性の経時的な変動に対し、制御式のパラメータを種
々変えて多数の制御式を導入し、各制御式に基くフィー
ドバック制御を机上で行う、いわゆるシミュレーション
を実行するのであり、このようなシミュレーションを、
制御式のパラメータを種々変えて複数回実行することに
より(すなわち、異なるパラメータ毎にシミュレーショ
ンを複数回実行することにより)、多数のシミュレーシ
ョン結果を得ることができる。
【0121】そして、各シミュレーションにおける計算
製品特性が、目標製品特性に対してどの程度変動してい
るかを両者の差として経時的に計算し(具体的には差の
自乗和を経時的に計算し)、最も小さい差であったシミ
ュレーションで採用されているパラメータを選び出し、
以後、このパラメータを用いた制御式をフィードバック
制御に採用することにより、そのフィードバック制御系
の実状に合った相応しい制御が実現し、これによって製
品特性のばらつきがより小さく抑えられた状態で以後の
操業を行うことができる。
【0122】従って、ただ単に過去の経験や熟練者の勘
に頼ってパラメータを変更した場合には、各種の把握し
得ない変動要因により、実状に合った制御を行うことが
できず、これによってばらつきを抑えた状態で安定した
品質のポリマーを得ることが困難であった従来の不都合
が解消され、品質が常に安定した状態でポリマーを製造
することができる。
【0123】そして、本発明によるパラメータの設定
は、新規設備の本格的な稼働開始直前に行うことはもち
ろん、経年変化で設備の稼働条件が変わってきたとき
や、主原料あるいは副原料の銘柄変更があったときや、
設備仕様が変更になったとき等に行えばよく、こうする
ことによって、これらの操業条件の変更に対応した常に
適正なフィードバック制御を実現することができる。
【0124】請求項2記載の発明によれば、原料として
一または複数の所定の化学原料を採用することにより製
品を化学原料の化学反応によって得られる化学反応物と
し、従って製品特性は化学反応物の一の特性とするとと
もに、制御対象は一の特性に影響を及ぼす機器とし、更
新されたパラメータによるフィードバック制御で実操業
を行って化学製品を製造するようにしたため、その化学
製品に対して請求項1の発明と同様の効果が得られ、常
にばらつきを抑えた状態で安定した品質の化学製品を製
造することができる。
【0125】請求項3記載の発明によれば、化学原料と
して、主原料である所定のモノマーおよびこのモノマー
に添加して化学反応を起させる副原料を用いてモノマー
と副原料との化学反応でポリマーを製造するに際し、製
品特性としてポリマーの粘度を採用するとともに、制御
対象を副原料の添加量を調節するための制御弁としたた
め、そのポリマーに対して請求項2の発明の作用と同様
の効果が得られ、常にばらつきを抑えた状態で安定した
品質(粘度)のポリマーを製造することができる。
【0126】請求項4記載の発明によれば、実操業でポ
リマーの粘度を目標粘度になるようにフィードバック制
御する制御装置にシミュレーションを行う機能を付加し
たため、請求項1記載の発明と同様の効果を確保した上
で、普段は実操業のフィードバック制御に使用している
制御装置を、必要の都度、新たな制御パラメータを設定
するための計算手段として直ちに利用することができる
とともに、新たに設定された制御パラメータを一々面倒
な入力操作を行うことなくシミュレーション実行後に直
ちに実操業に用いることができるため、オフラインでシ
ミュレーションを実行した場合に生じる時間遅れがなく
なり、制御装置を実操業に用いながら現状の制御パラメ
ータをシミュレーション結果に基く新たな制御パラメー
タに瞬時に切り換えることができる。
【0127】従って、かかるシミュレーションを定期的
に実行することにより、実操業を継続しながら制御パラ
メータが常により精度の高い制御パラメータに自動的に
置き換わっていくようにすることが可能であり、これに
よって従来にも増して常に品質が安定した製品を製造す
ることができる。
【0128】請求項5記載の発明によれば、原料として
化学原料を採用してこの化学反応により得られる化学反
応物を製品とする場合に、製品特性として化学反応物の
一の特性を採用するとともに制御対象として一の特性に
影響を及ぼす機器を採用し、シミュレーションの結果採
用されたパラメータを実操業で用いて化学製品を製造す
るようにしたため、請求項2および4の発明と同様の効
果を確保した上で、実操業を継続しながら制御パラメー
タが常により精度の高い制御パラメータに自動的に置き
換わっていくようにすることが可能であり、これによっ
て従来にも増して常に品質の安定した化学製品を製造す
ることができる。
【0129】請求項6記載の発明によれば、化学原料と
して主原料である所定のモノマーおよびこのモノマーに
添加して化学反応を起させる副原料を採用してこれらの
化学反応でポリマーを製造する場合に、製品特性として
はポリマーの粘度を採用するとともに、制御対象として
副原料の添加量を調節する制御弁を採用したため、請求
項3および4の発明と同様の効果を確保した上で、実操
業を継続しながら制御パラメータが常により精度の高い
制御パラメータに自動的に置き換わっていくようにする
ことが可能であり、これによって従来にも増して常に品
質(粘度)の安定したポリマーを製造することができ
る。
【0130】請求項7記載の発明によれば、制御式のパ
ラメータを決める各ステップのプログラムが記録された
記憶媒体を採用し、この記憶媒体を汎用コンピュータあ
るいは製品製造のために設けられたプロセスコンピュー
タにセッティングして各プログラムをコンピュータに入
力することにより、そのコンピュータを用いてフィード
バック制御の制御式に対する最適のパラメータを演算す
ることが可能になり、これによって請求項1および4の
発明と同様の効果を得ることができる。
【0131】そして、かかる記憶媒体を採用すれば、コ
ンピュータ毎にキーボードからのキーイン操作でパラメ
ータ導出のための各ステップを一々入力するような面倒
な操作を行う必要がなくなり、記憶媒体の内容を読み取
るという簡単な操作でそのコンピュータを直ちに最適パ
ラメータを演算し得るものにすることができる。
【0132】また、記憶媒体を電気的にコピーすること
によって多数の複製品をつくることが可能であり、この
複製品を用いることによって複数のコンピュータを極め
て容易に最適パラメータ演算可能なものにすることがで
きる。そして、かかる記憶媒体のコピーをそれのみで商
品として取り引き可能なものにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るポリマー製造方法を説明するため
の製造設備の一実施形態を示す説明図である。
【図2】本発明方法を説明するための系統図である。
【図3】実粘度変動曲線の一例を示すグラフである。
【図4】図3における実粘度変動曲線の所定時間内での
経時変化に対応した関連事項の経時変化を拡大して示す
グラフであり、(イ)は実粘度の経時変化、(ロ)は制
御弁7の弁開度の経時変化、(ハ)は所定時間内におけ
る第1回めの弁開度の変更に対応した経験や実験で得ら
れた粘度の経時変化、(ニ)は同第2回めの弁開度の変
更に対応した経験や実験で得られた粘度の経時変化、
(ホ)は微小時間内における予測粘度の経時変化をそれ
ぞれ示している。
【図5】過去の12時間について制御弁の弁開度が一定
であったと仮定した場合の粘度の推移曲線(予測粘度変
動曲線)である。
【図6】制御装置を利用して制御パラメータの設定を行
う場合の一実施形態を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 ポリマー製造設備 2 反応槽 3 混合機 31 駆動モータ 32 駆動軸 33 攪拌フィン 4 ポリマー抜出しポンプ 5 サンプリング用ポンプ 6 粘度計 7 制御弁 8 制御装置 80 第1制御手段 82 フィードバック制御部 82a 制御量演算部 82b 制御信号発信部 82c 入力装置 83 第1記憶装置 83a 第1外部記憶装置 81 第2制御手段 84 シミュレーション実行部 84a 実粘度変動曲線抽出部 84b 予測粘度曲線演算部 84c シミュレーション粘度曲線演算部 84d 制御パラメータ選択部 84e 制御パラメータ設定部 85 第2記憶装置 85a 第2外部記憶装置 86 入出力装置 86a 入力装置 86b 出力装置 91 原料配管 92 第1副原料配管 93 第2副原料配管 94 ポリマー抜出し配管 95 サンプリング配管 A 第1溶液 B 第2溶液 M プレポリマー
フロントページの続き Fターム(参考) 5B049 AA06 BB07 EE31 EE41 5H004 GA27 GA30 GB02 HA20 HB20 JA03 KB02 KB04 KB06 KC22 KC27 KC46

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原料に所定の処理を施すことによって予
    め設定された目標製品特性の製品を連続的に製造するた
    めのプロセスフィードバック制御の制御式におけるパラ
    メータを設定する方法であって、 製品特性の値を制御量とするとともに上記所定の処理を
    行う機器を制御対象とし、所定期間内におけるフィード
    バック制御を行った結果である実製品特性の経時的変動
    を検出し、この実製品特性に基いて上記フィードバック
    制御が行われなかったとした場合の経時的な予測製品特
    性を求め、この予測製品特性を基準にするとともに上記
    制御式のパラメータの値を種々変更してフィードバック
    制御を行った場合の経時的な計算製品特性の変動を求め
    るシミュレーション演算を複数回実行し、求めた計算製
    品特性のうちから目標製品特性に対する変動が最小にな
    るシミュレーション演算に用いたパラメータを選出して
    上記制御式のパラメータとして更新することを特徴とす
    るプロセスフィードバック制御のパラメータ設定方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のプロセスフィードバック
    制御のパラメータ設定方法を用いる化学製品の製造方法
    であって、上記原料は一または複数の所定の化学原料で
    あり、上記製品は上記化学原料の化学反応によって得ら
    れる化学反応物であり、上記製品特性は化学反応物の一
    の特性であり、上記制御対象は上記一の特性に影響を及
    ぼす機器であり、上記更新されたパラメータによるフィ
    ードバック制御で実操業を行って化学製品を製造するこ
    とを特徴とする化学製品の製造方法。
  3. 【請求項3】 上記化学原料は、主原料である所定のモ
    ノマーおよびこのモノマーに添加して化学反応を起させ
    る副原料であり、上記化学製品はモノマーと副原料との
    化学反応によって得られるポリマーであり、上記一の特
    性に影響を及ぼす機器は副原料の添加量を調節する制御
    弁であることを特徴とする請求項2記載の化学製品の製
    造方法。
  4. 【請求項4】 原料に所定の処理を施すことによって連
    続的に製造される製品が予め設定された目標製品特性に
    なるように製品特性の値を制御量とするとともに上記所
    定の処理を施す機器を制御対象として制御するフィード
    バック制御の制御式のパラメータを設定するための制御
    装置を備えてなるプロセスフィードバック制御のパラメ
    ータ設定装置であって、 上記制御装置は、所定期間内におけるフィードバック制
    御を行った結果である実製品特性の経時的変動を検出す
    る検出手段と、 この実製品特性に基いてフィードバック制御が行われな
    かったとした場合の経時的な予測製品特性を求める予測
    製品特性演算手段と、 上記予測製品特性を基準にするとともに上記制御式のパ
    ラメータの値を種々変更してフィードバック制御を行っ
    た場合の経時的な計算製品特性を求めるシミュレーショ
    ンを実行するシミュレーション演算手段と、 上記計算製品特性の目標製品特性に対する変動が最小と
    なるシミュレーションで採用されたパラメータを選択す
    る制御パラメータ選択手段とを備えていることを特徴と
    するプロセスフィードバック制御のパラメータ設定装
    置。
  5. 【請求項5】 請求項4記載のプロセスフィードバック
    制御のパラメータ設定装置を用いて化学製品を製造する
    化学製品の製造装置であって、上記原料は一または複数
    の所定の化学原料であり、上記製品は上記化学原料の化
    学反応によって得られる化学反応物であり、上記製品特
    性は化学反応物の一の特性であり、上記制御対象は上記
    一の特性に影響を及ぼす機器であり、上記シミュレーシ
    ョンの結果採用されたパラメータを実操業で用いて化学
    製品を製造することを特徴とする化学製品の製造装置。
  6. 【請求項6】 上記化学原料は、主原料である所定のモ
    ノマーおよびこのモノマーに添加して化学反応を起させ
    る副原料であり、上記化学製品はモノマーと副原料との
    化学反応によって得られるポリマーであり、上記製品特
    性はポリマーの粘度であり、上記一の特性に影響を及ぼ
    す機器は副原料の添加量を調節する制御弁であることを
    特徴とする請求項5記載の化学製品の製造装置。
  7. 【請求項7】 原料に所定の処理を施すことによって連
    続的に製造される製品が予め設定された目標製品特性に
    なるように製品特性の値を制御量とするとともに上記所
    定の処理を施す機器を制御対象として制御するフィード
    バック制御の制御式のパラメータを設定するための制御
    プログラムが記録された記憶媒体であって、 所定の記憶装置に記憶されているフィードバック制御を
    行った結果である経時的な実製品特性を読み取るステッ
    プと、 実製品特性に基いて上記フィードバック制御が行われな
    かったとした場合の予測製品特性を経時的に演算するス
    テップと、 この予測製品特性を基準にしてフィードバック制御を行
    った場合の経時的な計算製品特性を求めるシミュレーシ
    ョンを、上記制御式のパラメータの値を種々変更して実
    行するステップと、 上記計算製品特性の目標製品特性に対する変動が最小に
    なるシミュレーションで採用されたパラメータを選択し
    て上記制御式のパラメータとして更新するステップとを
    実行するプログラムが記録されていることを特徴とする
    プロセスフィードバック制御用プログラムを記録した記
    憶媒体。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2020066309A1 (ja) * 2018-09-28 2020-04-02 富士フイルム株式会社 フロー反応設備及び方法
EP3851461A4 (en) * 2018-09-10 2021-11-17 FUJIFILM Corporation FLOW REACTION AID DEVICE AND METHOD, FLOW REACTION EQUIPMENT AND METHOD

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