JPH0632681A - ガラス化表面をもつセメント硬化物 - Google Patents

ガラス化表面をもつセメント硬化物

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JPH0632681A
JPH0632681A JP18966292A JP18966292A JPH0632681A JP H0632681 A JPH0632681 A JP H0632681A JP 18966292 A JP18966292 A JP 18966292A JP 18966292 A JP18966292 A JP 18966292A JP H0632681 A JPH0632681 A JP H0632681A
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JP
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glaze
fly ash
alumina cement
wool
composite material
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Akira Kojima
昭 小島
Seitaro Takahashi
清太郎 高橋
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SANSOU KK
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    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
    • C04B28/00Compositions of mortars, concrete or artificial stone, containing inorganic binders or the reaction product of an inorganic and an organic binder, e.g. polycarboxylate cements
    • C04B28/02Compositions of mortars, concrete or artificial stone, containing inorganic binders or the reaction product of an inorganic and an organic binder, e.g. polycarboxylate cements containing hydraulic cements other than calcium sulfates
    • C04B28/06Aluminous cements
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
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    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
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    • C04B2111/00241Physical properties of the materials not provided for elsewhere in C04B2111/00
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 アルミナセメントにフライアッシュウールを
補強材として含有させたフライアッシュウール/アルミ
ナセメント複合材料上にガラス化層を設ける。 【効果】 素地との接着性が優れ、剥離することもな
く、良好な表面光沢度及び硬度を有し、水の浸透性が改
善された、優れたガラス化質表面を有する無機系建築材
料が得られるとともに、フライアッシュを有効に利用で
きる。また、種々の形状をもつセメント複合材料に適用
可能である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ガラス化表面をもつセ
メント硬化物に関する。
【0002】
【従来の技術】コンクリート系材料は、高い圧縮性や耐
久性などの優れた特性を有している。しかし、引張り荷
重に対して弱いことや脆いことなどから、鉄筋、鉄骨、
又は各種繊維によって補強されている。また、水和反応
によって凝結することから、自由水の除去した後には空
隙が生じる。その空隙内部に水が浸透した場合には、凍
結融解による強度や耐久性の低下を引き起こしている。
これらを防止するために、コンクリート表面に有機高分
子系の防水塗装が試みられているが、紫外線劣化や酸化
等の点で、長期強度に問題がある。従って、有機高分子
系塗膜のこれらの問題を鑑み、無機系の塗膜層を作るこ
とが強く望まれている。
【0003】また、建築材料の進歩や建造物の多機能
化、インテリアデザインの多様化などから、新しい形
態、形状、色彩、光沢など従来の建築材料にはない特
色、機能をもった新機能性建材が求められている。その
一つに、表面に無機系のガラス化層をもつ、不燃性の建
築材料がある。無機系建材の表面にガラス層を形成させ
るには、通常釉薬(うわぐすり)を使用するものであ
る。釉薬は素地を被覆する一種のガラス質のものであっ
て、製品に美的効果を与えるだけでなく、素地への水の
浸透を防ぎ、また化学薬品に対する抵抗性を増大させ、
更に多くの場合製品の強度を高めることに貢献する。
【0004】これに相当するものにいわゆるタイルがあ
る。タイルは、粘土、長石、硅石、石灰岩、顔料等を湿
式又は乾式で粉砕し、混合した成形物を焼成して作られ
る。その際、釉薬の有無やプレス方法などによって、大
略以下の3つの方法に大別される。第一に、上記の原料
を混合し、その成形物を焼成する方法であり、この方法
により床タイル、磁器質タイル、モザイクタイルなどが
作られている。第二に、成形物表面に釉薬を塗り、それ
を高温焼成して作る方法であり、この方法により壁タイ
ルなどが作られている。第三に、更に改善された方法と
して、水の使用量を極めて少なくし、原料の粘土粉末と
バインダー(焼結助剤)を混合し、振動高圧プレスで予
め固めたものの表面上に粉末状の釉薬を散布し、この圧
粉体を再度加圧し、焼成することによってタイルを作る
方法がある。この方法は、主として大判タイルの製造に
使用されているが、粉の配合や粒子サイズによって亀裂
が生じたり、焼成後に変形したりすることも多い。ま
た、いずれの方法でも、曲面をもったタイルは製造しに
くいのが実状である。これらのことから、ガラス化表面
をもち、着色可能で、機械的強度の高い、場合によって
は、曲面をもつことも可能な、無機系の建築材料が求め
られている。
【0005】一方、建築材料ではないが、ガラス化表面
をもつ無機系材料に、衛生陶器や一般的な陶磁器があ
る。衛生陶器は、粘度形成物を乾燥後、素焼きし、その
後釉薬をかけ、再度焼成することによって作られてい
る。陶磁器類は、粘度成形物を乾燥後、1100から1
300℃程度に素焼きし、釉薬をかけて1200℃から
1400℃程度で本焼成を行い、その後絵を描き、80
0から900℃程度に加熱して絵を焼きつけている。従
って、陶磁器の製造には、3回の加熱処理が必要であ
る。3回の高温焼成が避けられないのは、粘土鉱物と水
とを練った泥状物を成形したものを焼成した場合には、
大きな寸法収縮が生じるからである。従って、この段階
で釉薬層や絵付けを行ったとしても、焼成時の収縮に追
随できないので、やむにやまれず、3回の焼成を行って
いる。
【0006】また、釉薬には、陶磁器用のもの以外に、
ホウロウ用ものもある。いずれも素地の熱膨張係数とほ
ぼ等しいガラス質を溶融して密着させたものである。一
般に陶磁器質のものは熱膨張係数が小さく、その溶融温
度は700℃位から1500℃位までである。一般に陶
磁器用の釉薬は、焼成する温度や土質によって配合、組
成が異なっており、磁器釉、せっき釉、陶磁器釉などが
ある。ホウロウ用の釉薬は、素地が金属であるために、
熱膨張係数が大きく、融点の低いものが多い。
【0007】陶磁器やホウロウなどの表面に被覆したガ
ラス層の強さや耐食性は、釉薬自体の性質と、釉薬と素
地との適合性とによって決まる。金属とホウロウ用釉薬
との接着状況は、両者の熱膨張係数によって支配され
る。主な下地と釉薬の線膨張係数は、軟鋼板13〜14
×10-6、鋳鉄12〜13×10-6、鋼板15〜17×
10-6、下釉9〜12×10-6、上釉10〜14×10
-6、鋳鉄白色上釉10〜11×10-6、銅白色上釉10
〜12×10-6である。陶磁器の場合にも、同じように
素地と被覆する釉層(ガラス被膜)とが同じ熱膨張係数
をもっていることが必要である。焼成温度が500〜6
00℃の場合、その温度から室温まで冷却した際、釉層
の方が熱膨張係数が大きいと、釉層には引張り応力が働
いている状態になる。この応力が大きすぎると、釉は剥
離してしまう。更にこの差が大きい場合には、釉層は破
壊する。破壊や剥離が生じない程度の圧縮応力を受けて
いる釉は、圧縮釉と呼ばれ、強化ガラスと同じようにそ
の強度は向上する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】このように、表面ガラ
ス化層の熱膨張係数は、接着力の点からも極めて重要で
ある。しかし一方で、ガラス化層を形成する釉薬層の熱
膨張係数は、その配合・成分によって調節することが可
能である。従って、表面にガラス化層を形成させる素地
は、ガラス化層との熱膨張係数の調和を図ることはもち
ろんであるが、それ以上に、機械的強度が高いと共に、
釉層を形成させる温度で焼成しても、機械的強度が低下
しないことが要求される。
【0009】具体的には、大量に使用されているポルト
ランドセメントから作られているコンクリートの表面に
釉薬を施し、高温下に加熱し、溶融することによって、
ガラス化層を構築することが考えられる。しかしなが
ら、ガラス化層を作るためには、被覆母体となるコンク
リート自体を高温に加熱しなければならない。しかし、
大量に使用されているポルトランドセメントは、熱的に
問題があり、200℃で水和水の脱離、400℃では結
合水の分解などが生じ、セメント硬化物の強度は著しく
低下する。このように、ポルトランドセメント自体の耐
火性が不足していることなどからガラス化層の構築は不
可能であった。また、耐火性の高いアルミナセメントを
使用しても、機械的な強度が不足していることやタフネ
スを有していないなどの欠点があり、耐火性と機械的強
度の高い建築材料の追求が強く求められている。
【0010】更に、この素地は、曲面をもてること、種
々の形態を保持できること、経済性を満足させることな
どが好ましい。また、従来のタイルや陶磁器などは、破
壊に対しては脆く、靱性を有していない。これらのこと
から、高温焼成しても充分な機械的強度をもち、その上
破壊に対しても靱性を示すなどの特性をもつ、セメント
系材料の開発が強く望まれている。以上述べてきたよう
に、本発明は、このような社会的状況を鑑み、高温で焼
成しても充分に高い機械的強度をもつことのできる素地
素材の開発を意図し、ガラス化層を表面に有する無機系
建築材料を提供することをすることを目的とするもので
ある。
【0011】
【課題を解決するための手段】以上の如く、耐火性、機
械的強度の高い無機系の建築材料の開発を試みた結果、
フライアッシュウールを補強材とし、アルミナセメント
と複合化して、ガラス化層を設けるための素地とするこ
とが、上記目的達成に非常に有効であることが判った。
即ち、本発明は、請求項1記載の通り、フライアッシュ
ウールを含有するアルミナセメント複合材の表面にガラ
ス化層を有することを特徴とするガラス化表面をもつセ
メント硬化物である。
【0012】本発明で用いられるフライアッシュウール
は、石炭を燃焼させた際に副生する石炭灰(フライアッ
シュ)を千数百度の高温で溶融紡糸して繊維化すること
により得ることができ、耐熱性及び機械的特性に優れて
いる。原料のフライアッシュはロックウールの原料とな
る玄武岩や安山岩又は高炉スラグ等の化学組成と類似し
ており、ロックウールとほぼ同等の性能を持つ繊維の製
造が可能であることが判明した。フライアッシュウール
はロックウールに比して、比較的繊維長を長くできるた
め断熱性の点で有利であり、また溶融温度が高いことか
ら耐熱性に優れている。また、未利用資源のフライアッ
シュを原料として有効に利用することができ、経済性に
優れている。
【0013】フライアッシュウールの耐熱性は、熱分析
装置を用い、空気中1300℃まで加熱して検討した。
その結果、熱重量曲線には何の変化も見られないで重量
の増減はなかった。また、示差熱曲線では、1000℃
以下には明確な吸熱、発熱ピークはなかったが、105
0℃付近に発熱ピーク、1150℃近辺に吸熱ピークが
それぞれ見られた。前者の発熱はガラス質フライアッシ
ュウールの結晶化であり、後者の吸熱はフライアッシュ
ウールの融解によるものであった。事実、分析後の白金
製試料皿中には、繊維状のフライアッシュウールはなく
なり、溶融固化したもののみであった。従って、このフ
ライアッシュウールを用いた複合材料の使用温度は、結
晶化の生じない温度以下、即ち1050℃以下であるこ
とが好ましい。但し、短時間であるならば、1150℃
の融点付近までならば使用可能である。
【0014】フライアッシュウールの直径や表面状態を
走査電子顕微鏡で観察すると、表面は平滑で、大部分は
ガラス状(無定形)である。フライアッシュウールの直
径は5〜20μm程度である。フライアッシュウールの
機械的特性は、繊維径によって異なった。例えば、直径
が6μmの場合には、引張り強度4120MPa、引張
り弾性率200GPaである。これらの特性を他の無機
質繊維、例えばアルミナ繊維(強度1400MPa、弾
性率385GPa)、ガラス繊維(強度2400MP
a、弾性率70GPa)、炭素繊維(強度3000MP
a、弾性率220GPa)などと比べると、フライアッ
シュウールの方が優れた特性を有している。また、繊維
径が15μmのフライアッシュウールでは、引張り強度
290MPa及び引張り弾性率17.5GPaであり、
繊維径によって機械的特性は著しく影響をうける。しか
し、ロックウールファイバーや一般的なガラスファイバ
ーとは耐熱性の点でも機械的強度の点でもはるかに優れ
ている。
【0015】原料となるフライアッシュの成分は、石炭
の産地によって異なっているが、主たるものはニ酸化珪
素(シリカ)とアルミナであり、この2つの無機質で、
全体の60〜80%を占める。その他、少量の酸化第ニ
鉄、酸化カルシウム、酸化マグネシウムなどが含まれて
いる。フライアッシュウールの品質保持のためには、原
料であるフライアッシュの成分が安定していることが好
ましい。また、できるだけ二酸化珪素含量が低く、アル
ミナ含量が高いフライアッシュの方が、高温における粘
度が小さく低温融解が可能と考えられるため好ましい。
また、フライアッシュウールの組成と溶解性をロックウ
ールのそれらと近似させるために、フライアッシュに石
灰岩等の副原料を添加することができる。
【0016】フライアッシュウールは、従来のミネラル
ウール製造法を用いて製造することができ、例えば粉状
体の原料を固めて投入するキューポラによるバッチシス
テム法(キューポラ方式)、原料を粉体のまま直接投入
する電気炉を用いた電気炉法(例えばGeotech社
によるGeotech方式)等が挙げられる。特に電気
炉法は、電力原単位が低い、収率が高い、ショット球
(繊維化しない粒子)混入率が低い、長めの繊維長が期
待できる等の利点を有するため好ましい。フライアッシ
ュウールは、場合により、繊維の末端についているショ
ット球を水ひ操作により取り除いてもよい。高温融体の
繊維化には、適性な粘度が得られる温度での融解が必要
であり、原料の石炭灰の組成にもよるが、1100〜1
900℃、特に1400〜1700℃の温度が適当であ
る。
【0017】アルミナセメントは、アルミン酸カルシウ
ムを主成分とする無機質の水硬性セメントである。アル
ミナセメントの性質は、CaOやAl23等の組成や粒
子径等によって異なる。早強性や機械的強度を主目的と
した場合には、CaOの割合が多く、耐火性を目指した
場合にはAl23の割合を多くすることが好ましい。ま
た必要に応じてその他の添加剤、例えば骨材、安定化
剤、流動化剤等を加えることができる。
【0018】アルミナセメント複合材料中に含有させる
ことができるフライアッシュウールの量は、用いるアル
カリセメントの水/セメント(W/C)比などによっ
て、適宜設定することができる。一般にフライアッシュ
ウール含有量が多いほど曲げ強度を高くすることができ
有利である。アルミナセメント複合材料中のフライアッ
シュウール含有量は、通常1〜40重量%であり、特に
10〜25重量%の範囲が好ましい。
【0019】フライアッシュウールを必要に応じて適当
な繊維長さになるよう適宜細かくした後、通常の方法に
従い、アルミナセメントペースト中に添加、混合し、分
散させることにより、アルミナセメント複合材料とし、
硬化、必要に応じて養生させて耐熱性に優れたアルミナ
セメント複合材を得ることができる。また、フライアッ
シュウールを含有するアルミナセメント複合材の機械的
強度は、初期固化後、オートクレーブ中でスチール養生
することによって更に向上させることができる。
【0020】このようにして、フライアッシュウールと
耐火性に優れたアルミナセメントとを複合させて作られ
たフライアッシュウール/アルミナセメント複合材は、
機械的強度及び耐熱性に優れたものである。例えば、水
/セメント比が0.3のセメントペースト中に、フライ
アッシュウールをセメント重量の15%ほど添加したも
のについては、以下の如き結果が得られている。アルミ
ナセメントペースト中にフライアッシュウールを添加
し、充分にミキサーで混合した後、型枠中に流し込み、
一日後に脱型し、水中で1週間養生した。作製したフラ
イアッシュウール/アルミナセメント複合材料は、嵩密
度2.24g/cm3、曲げ強度200kg/cm2、圧
縮強度1120kg/cm2、ヤング率9.3GPaで
あった。
【0021】このようにして作ったフライアッシュウー
ル/アルミナセメント複合材料の熱膨張率を測定した。
測定は、熱膨張計を用いて行い、空気中300〜600
℃での熱膨張率を求めた。熱膨張率は、複合材料の切り
出し場所によって異なる可能性を想定し、2カ所から採
取し、測定した。それらは、型枠面に対して平行方向と
垂直方向とである。型枠面と平行方向でのフライアッシ
ュウール/アルミナセメント複合材の熱膨張率は、6.
38×10ー6/℃であった。また、型枠面と垂直方向で
の複合材の熱膨張率は、6.38×10ー6/℃であっ
た。従って、試料の採取方向が異なっても熱膨張係数は
同一であり、優れた等方向性材料であることが判った。
この熱膨張係数は、陶磁器と同一のものであり、陶磁器
用の釉薬は、すべて適用可能であるといえる。
【0022】このフライアッシュウール/アルミナセメ
ント複合材料を900℃の電気炉中に入れ、2時間加熱
処理しても、その曲げ強度は100kg/cm2、圧縮
強度は540kg/cm2であり、耐熱性に優れてい
た。これらの機械的強度は、充分実用性のある値であっ
た。またその際の収縮率は0.8%、重量減少率は20
%程度であった。従って、900℃焼成品の嵩密度は
1.8g/cm3で、20%ほど軽量化された。このよ
うに、フライアッシュウール/アルミナセメント複合材
料は、900℃に加熱しても高い機械的強度を保持し、
寸法変化も少ないので、表面にガラス化層を構築するた
めの素地として極めて有効である。
【0023】フライアッシュウール/アルミナセメント
複合材料の表面にガラス化層を構築するための釉薬とし
ては、一般に着色タイル、衛生陶器及び陶磁器等に使用
される釉薬を用いることができる。例えば、それを作る
原料を基礎にして、(1)長石釉、(2)石灰釉、(3)鉛釉、
(4)食塩釉などに分類される。(1)の長石釉は釉材の主成
分が長石又は長石類似鉱物で、通常主として硬質磁器、
衛生陶器に用いられるものである。この釉薬は、125
0℃又はそれより高温でガラス化するものである。場合
によっては、鉛化合物と組み合わせることができる。
(2)の石灰釉は、その主成分がCaであり、通常陶器に
用いられるものである。(3)の鉛釉は、ケイ酸鉛が主成
分である。あるいは、長石釉とケイ酸鉛との混合物もあ
る。これらは、鉛化合物を含むので、溶融温度は低く、
色物の釉として広く用いられている。
【0024】一般に陶磁器質用として知られる釉薬は、
熱膨張係数が小さく、それの溶融温度は700℃位から
1500℃位までである。更に表面を美しくするため
に、透明釉を施してもよい。その他に、色釉、乳白釉、
結晶釉、つや消し釉、きれつ釉などを施すこともでき
る。一般に陶磁器用の釉薬は、焼成する温度や土質によ
って配合、組成が異なっている。それらには、磁器釉、
せっき釉、陶磁器釉などがあり、それらを本発明にも同
様に適用することができる。これらの例を表−1に示
す。
【0025】
【表1】
【0026】また、一般に釉薬は、陶磁器用のもの以外
に、ホウロウ用もあり、本発明に同様に用いることがで
きる。一般にホウロウ用として用いられる釉薬は、その
適用されるべき素地が金属であるために、熱膨張係数が
大きく、融点の低いものが多い。ホウロウ用釉薬の代表
的な配合と成分を表−2に示す。
【0027】
【表2】
【0028】また、釉薬を着色する場合の色は、含有す
る金属元素の種類と炎の種類によって決まる。炎の違い
による各釉薬の呈色状況を表−3に示す。
【0029】
【表3】
【0030】表面に被覆したガラス層の強さや耐食性
は、釉薬自体の性質と、釉薬と素地との適合性とによっ
て決まる。従って、本発明に従うフライアッシュウール
/アルミナセメント複合材料の熱膨張係数なども充分考
慮した上で、用いるべき釉薬を適宜選択することができ
る。また、比較的低い温度、例えば1000℃以下、好
ましくは800〜900℃程度で溶融する釉薬を用いる
ことが好ましい。
【0031】表面のガラス化層は、通常の釉薬塗布の場
合と同様の方法により、アルミナセメント複合材料上に
構築することができる。釉薬には、本分野で通常用いら
れる希釈剤(水、有機溶媒など)、添加剤などを適宜含
有させて用いることができる。塗設方法としては、例え
ば、粉末状の釉薬を水で湿らせたものを、フライアッシ
ュウール/アルミナセメント複合材料の表面に塗布する
方法の他、スプレー塗布、どぶづけ(含浸法)などが挙
げられる。膜厚は特に限定的ではないが、0.1〜3m
m、好ましくは0.2〜1.0mm程度である。該複合
材表面に釉薬を塗設した後、乾燥し、電気炉中に入れ
て、釉薬の溶融温度まで加熱し、該温度に一定時間保持
して焼きつけ処理を行い、冷却することにより、ガラス
化層を設けることができる。
【0032】本発明に従いフライアッシュウール/アル
ミナセメント複合材料上に構築されたガラス化層は、剥
離するようなこともなく、素地との接着性が優れてい
る。また、素地の複合材料が反ったりなど変形すること
もなく、表面状態は良好で、ピンホールや亀裂などは見
られず、コンクリート材料上に優れたガラス化質表面を
設けることができる。また、焼成した市販のタイルと同
程度の高い表面光沢度を有するものが作製でき、表面は
著しく緻密になり、表面硬さもガラス化層を設けない場
合に比べてはるかに向上する。また、ガラス化層表面を
構築することにより水に対する浸透性も改善される。例
えば、楽焼き用の釉薬を使用した場合、表面の光沢度を
光沢度計で測定したところ、釉薬塗布前のアルミナセメ
ント硬化物板の光沢度が1であったのに対し、ガラス化
層構築により80〜90の光沢度が得られた。
【0033】本発明は種々の形状をもつセメント複合材
料に適用可能であり、円筒やパイプなどの曲面をもつ表
面をガラス化することもできる。また、大判タイルの作
製にも利用できる。更に、釉薬の選択や熱膨張係数の選
択によって、よりふさわしいガラス化表面をもつセメン
ト材料を提供することができる。
【0034】
【実施例】以下本発明を実施例により例証するが、本発
明はこれらに限定されるものではない。
【0035】実施例1 水/セメント比が0.3のアルミナセメント(電気化学
工業製)ペースト中に手で小さくしたフライアッシュウ
ール(中国製;特性は後述の参考例1参照)をセメント
重量の15%ほど添加し、充分にミキサーで混合した
後、型枠中に流し込んだ。1日後に脱型し、水中で1週
間養生した。作製したフライアッシュウール/アルミナ
セメント複合材料は、嵩密度2.24g/cm3、曲げ
強度200kg/cm2、圧縮強度1120kg/c
2、ヤング率9.3GPaであった。粉末状の楽焼き
用釉薬(有鉛)を水に分散させ、濃度約50%の水溶液
を調製した。この分散液を攪拌して、先に作製したフラ
イアッシュウール/アルミナセメント複合材料の表面
(型枠面)上にはけなどを用いて均一に塗布した(一回
塗布)。一回の塗布が終わったら、3分間放置した。分
散液中の水分はすぐに蒸発した。更に必要に応じてこの
操作を三回繰り返して三回塗りを行い、厚めのガラス化
層を調製した。水分は蒸発し、セメント板の表面は釉薬
の色となった。塗膜層は一日間室温で風乾した。
【0036】このフライアッシュウール/アルミナセメ
ント複合板を、箱型電気炉中に入れ、焼成した。電気炉
内の加熱室の大きさは、縦15cm、横20cm、奥行
25cmであった。この中に耐火れんが(縦10cm、
横18cm、奥行23cm)を入れ、この上にセメント
板(幅3cm、長さ6cm、厚さ1cm)を水平に置い
た。温度計の先端と試料との距離は約5cmであった。
溶融温度(800℃)までの加熱時間は約150分であ
った。従って、昇温速度は5.3℃/分であった。目的
とする焼成温度(800℃)に到達したら、この温度に
15分間保持した。冷却は試料のセメント板を電気炉中
に入れたままの状態で加熱を中止し、所定温度から室温
まで12時間以上かけて行った。
【0037】フライアッシュウール/アルミナセメント
複合材上に、釉薬液を一回塗布した場合には、釉薬量が
少なくセメント硬化物内部に吸収されてしまった。それ
に対して、釉薬を三回塗布したフライアッシュウール/
アルミナセメント複合材では、試料の表面上に均一で透
明なガラス被覆が形成されていた。この光沢度を測定す
ると、90であった。
【0038】実施例2 実施例1と同様にしてフライアッシュウール/アルミナ
セメント複合材料を調製した。粉末状の楽焼き用釉薬
(無鉛)を、水に分散させ、濃度約50%溶液を調製し
た。この分散液を攪拌して、作製したフライアッシュウ
ール/アルミナセメント複合材料の表面(型枠面)上
に、はけを用いて均一に塗布した(一回塗布)。更に必
要に応じて三回塗りを行い、厚めのガラス化層を調製し
た。この試料を実施例1と同様の電気炉中に入れ、溶融
温度(860℃)に加熱した。その時の電気炉内への試
料設置方法、昇温速度などは実施例と同様に行った。所
定温度(860℃)に15分間保持し、その後は実施例
1と同様にして冷却した。取りだしたフライアッシュウ
ール/アルミナセメント複合材の表面は、釉薬液を一回
塗布した場合には釉薬量が少なく、セメント内部に吸収
されていた。それに対し、三回塗布では、試料の表面上
に均一で透明なガラス被覆が形成されていた。この光沢
度は90であった。
【0039】実施例3 以下の如くして、釉薬の塗布量の多いガラス化層を形成
した。実施例1と同様にしてフライアッシュウール/ア
ルミナセメント複合材料を調製した。この試料セメント
板の周囲にセロテープを卷きつけ、枠(高さ2mm)を
作った。この枠中に釉薬の濃厚液(濃度50%)をもり
こんだ。使用した釉薬は、実施例2と同じ楽焼き用(有
鉛)を使用した。この時の塗布層の厚さは、約1mmで
あった。一日間風乾したところ、塗布した釉薬層は、収
縮し高さが0.8mm程度になった。この試料を乾燥し
た後、周囲にまいてあるセロテープ製の枠を除去した。
これを実施例1と同じ電気炉中に入れ、所定温度(86
0℃)に加熱し、同温度に15分間保持した。加熱後は
実施例2と同じ冷却速度で冷却し、充分に冷却してから
複合材料を取り出した。試料表面は均一で透明なガラス
層が形成された。塗膜層の光沢度は90であった。
【0040】焼成前のアルミナセメント板の光沢度、及
びアルミナセメントを900℃に加熱した場合の光沢度
はともに1であった。また、表面硬さ(ヌーブ硬さ)を
微小光度計を用いて測定すると、540HKであった。
焼成前のアルミナセメントの表面硬さが93HK、フラ
イアッシュウール/アルミナセメント複合材を900℃
に焼成した場合の表面硬さが94HKであり、ガラス化
層の構築により、約4.5倍も表面硬さが増大し、表面
硬度は著しく向上した。
【0041】また、ガラス化層表面上に水滴を落として
も滲み込むことなく、球形のままであった。900℃に
焼成したフライアッシュウール/アルミナセメント複合
材上に水を落とすと、徐々にではあるが滲み込んでいっ
たことと比べても顕著な相違であった。またガラス化層
を被覆する前のフライアッシュウール/アルミナセメン
ト複合材上に滴下すると球形にはなるが、すぐにセメン
ト硬化物中に吸収された。従って、本発明に従いガラス
化層表面を構築することにより、水に対しての浸透性が
改善されたことが判る。
【0042】参考例1 実施例1から実施例3で用いたフライアッシュウールの
原料(フライアッシュ)の化学成分及びフライアッシュ
ウールの繊維の特性をそれぞれグラスウール及びロック
ウールと対比させて表−4及び表−5に示す。
【0043】
【表4】
【0044】
【表5】
【0045】
【発明の効果】本発明に従い、アルミナセメントにフラ
イアッシュウールを補強材として含有させたフライアッ
シュウール/アルミナセメント複合材料上にガラス化層
を設けることにより、素地との接着性が優れ、剥離する
こともなく、良好な表面光沢度及び硬度を有し、水の浸
透性が改善された、優れたガラス化質表面を有する無機
系建築材料を得ることができる。また、経済性に優れて
おり、従来の課題であった石炭灰の有効利用を達成でき
る。本発明は種々の形状をもつセメント複合材料に適用
可能であり、円筒やパイプなどの曲面をもつ表面をガラ
ス化することもできる。また、大判タイルの作製にも利
用できる。更に、釉薬の選択や熱膨張係数の選択によっ
て、よりふさわしいガラス化表面をもつセメント材料を
提供することができる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フライアッシュウールを含有するアルミ
    ナセメント複合材の表面にガラス化層を有することを特
    徴とするガラス化表面をもつセメント硬化物。
JP18966292A 1992-07-16 1992-07-16 ガラス化表面をもつセメント硬化物 Pending JPH0632681A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023009783A1 (en) * 2021-07-29 2023-02-02 Rouff Kevin Alkali-activated concrete having a glassy surface finish, and methods and products related thereto

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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Effective date: 20020718