JPH06321599A - 耐火被覆材料 - Google Patents

耐火被覆材料

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JPH06321599A
JPH06321599A JP10809293A JP10809293A JPH06321599A JP H06321599 A JPH06321599 A JP H06321599A JP 10809293 A JP10809293 A JP 10809293A JP 10809293 A JP10809293 A JP 10809293A JP H06321599 A JPH06321599 A JP H06321599A
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JP
Japan
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fly ash
cement
gypsum
ash fiber
fiber
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JP10809293A
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Akira Kojima
昭 小島
Seitaro Takahashi
清太郎 高橋
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SANSOU KK
Original Assignee
SANSOU KK
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 強化材としてフライアッシュファイバー及び
母材として水硬性又は気硬性無機質材料を含有する耐火
被覆材料。 【効果】 不燃性で且つ軽量であり、断熱性、機械的強
度等の性能を維持できる耐火被覆材料が得られる。ま
た、経済性に優れており、従来の課題であった石炭灰を
有効利用できる。更に軽量骨材を用いることにより、更
なる軽量化を達成でき、更に金属粉末又は界面活性剤を
添加し、母材を発泡させて軽量化することにより、表面
の強度を低下させることなく軽量化を達成できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐火被覆材料、特に成
形板工法、現場施工、及びこれらを組み合わせた複合工
法に用いることができる耐火被覆材料に関する。
【0002】
【従来の技術】建築材料として具備しなければならない
条件は、多々あるが、その中でも特に重要であるのは不
燃性である。すなわち、800〜1000℃の高温下に
長時間保持されても、機械的強度を持続し、膨張や収縮
することなく、形態、形状、および特有の機能を保持で
きることである。
【0003】近年純鉄構造の建物が増加している。これ
に使用されている鋼材は、不燃材料であるが、温度が4
50℃以上になると強度が急激に低下し、800〜12
00℃に加熱すると熱に耐えられなくなり、何らかの耐
火被覆が必要となる。そこで、これらを耐火構造とする
ために、コンクリートなどの耐火材料でおおう鉄骨鉄筋
コンクリートが多く作られるようになった。純鉄骨造り
の建築物は、超高層建築物の出現とともに益々多くな
り、耐火被覆が必要となってきている。耐火被覆を工法
的に分類すると、工場で製作された部材を現場で張り付
け又は組み立てる「成形板工法」、現場で直接材料を吹
きつけ、塗付け又は打設する「現場施工」と、二つの工
法を組合せた「複合工法」の3種類になる。そして、鋼
材の耐火被覆には、断熱性と耐熱性に優れた材料が使わ
れる。
【0004】第1の「成形板工法」に用いられる成形板
は、石綿ロックウール板、石綿けい酸カルシウム板、ひ
る石石綿セメント板、軽量石膏成形板などが知られてい
る。これらのうちで石綿ロックウール成形板(石綿成形
板)は、超高層建築物ばかりでなく、一般建築物への使
用実績も多く、その耐久性は広く実証されている。この
成形板は、石綿と岩綿を主材とし、これにポルトランド
セメントを加え、混練してプレス成形したもので、材料
のうち石綿、岩綿が50%以上を占めている。比重は、
0.45以上、曲げ強度は4kgf/cm2以上、熱伝導率は
0.08kcal/m・hr・℃である。これと鋼材との接着はケ
イ酸ソーダを主材とし、石綿耐火結合材を配合したもの
で、耐熱性は1000℃以上である。
【0005】不燃建築材料として、大量に使用されてい
るケイ酸カルシウム系断熱材は、けいそう土、石英粉末
等のケイ酸質原料と生石灰、消石灰などの石灰質に無機
繊維を加え、抄造またはプレス成形され、常温または高
温高圧下で養生して作られている。その他に、生石灰、
ケイ石粉末をスラリー状のまま攪拌しながらオートクレ
ーブ処理をし、トバモライト又はゾノトライトを合成
し、脱水プレス成形し、比重0.15程度の軽い材料が
作られている。そして、ケイ酸分とカルシウムとを結合
し、硬化して耐熱材料となる。その組成は、ケイ酸カル
シウム90〜75%、石綿10〜25%である。この板
の特性は、比重によって1号と2号に大別される。1号
ケイ酸カルシウム板は、嵩密度0.35〜0.8g/c
m3、曲げ強度25kgf/cm2、熱伝導率0.07〜0.1
0kcal/m・hr・℃である。また、2号は、嵩密度0.24
〜0.4g/cm3、曲げ強度4kgf/cm2、熱伝導率0.05
kcal/m・hr・℃である。
【0006】JIS A9510に記載されているケイ酸カルシ
ウム保温材の規格を表−1に示す。かさ比重が0.13
で、曲げ強さ3kgf/cm2、圧縮強度6kgf/cm2の材料は、
850℃程度まで使用できる。しかし、いずれの場合
も、曲げ強度が2〜3kgf/cm2程度であり、機械的強度
を要求される箇所には使用できない。また、作業中に割
れてしまうなど、施工性にも問題点が多い。また、石綿
ケイ酸カルシウム板は、防錆処理された鉄骨の耐火被覆
にも用いられている。
【0007】
【表1】
【0008】バーミキュライト(ひる石)断熱材は、ひ
る石(アルミニウム−鉄−マグネシウム含水ケイ酸塩
で、三層構造の粘土鉱物で雲母状)を、1000℃程度
に急速に加熱すると、水分が急激に蒸発して20〜30
倍に膨張する。これにセメント、水ガラスなどを加えて
加熱焼結したものがバーミキュライトで、密度0.4〜
0.6g/cm3で、0.12kcal/m・hr・℃の熱伝導率を有
し、高温用断熱材、軽量骨材などに用いられて いる。
しかし、この材料も機械的強度は低く、使用範囲が限定
される。
【0009】また、石膏成形板は、石膏を主成分とし、
これにロックウール、ガラス繊維、石綿などの鉱物繊
維、軽量の耐火骨材、けい酸質耐火材料によって形成さ
れている成形材である。この組成は、石膏80〜92
%、石綿などの鉱物繊維4〜8%、増量材4〜8%であ
る。性能は、比重0.45〜0.65、曲げ強度8〜4
0kgf/cm2、圧縮強度6〜50kgf/cm2、熱伝導率0.1
kcal/m・hr・℃程度である。
【0010】その他の耐火被覆成形板には、石綿ケイ酸
カルシウム耐火被覆板、ALCパネル、PC板などがあ
る。これらの材料は、いずれも耐熱性と断熱性に優れて
いると共に、機械的強度、軽量性も必要としている。軽
量気泡コンクリート(ALC)は、石灰質原料(石灰ま
たセメント)およびケイ酸質原料(ケイ石、ケイ砂、高
炉スラグなど)を粉砕したものに、水気泡材(金属粉
末、表面活性材剤など)、混和材料を加えて混合し、多
孔質化したものである。この軽量コンクリートは、軽
量、不燃性で、断熱性が大であることから、プレハブ住
宅など一般住宅建材の外壁材として、使用されている。
しかし、吸水性が高く、凍結融解には弱いなどの問題が
ある。また、機械的強度も低く、使用範囲は限定され
る。JIS A5416(軽量気泡コンクリートパネル)に外壁
用、間仕切り用、屋根用などが規定されている。
【0011】断熱性、耐水性、防火性などに優れた建築
用内外装材として、種々のものが製造されている。その
中の一つに、ロックウールを主原料とした建築材料(東
洋紡製)がある。この材料の特徴は、熱伝導率が0.
045kcal/m・hr・℃と低く、断熱性、防露性に優れてい
る、吸水性が低く、吸水吸湿時の強度低下および寸法
の変化が少ない、準不燃である、簡単な施工性であ
る、などである。この建材の主な用途は、一般住宅の内
外装下地材、鉄筋コンクリート建造物の内外装下地材、
軒天井などである。しかしながら、主材料がロックウー
ルであることから、不燃材ではなく、準不燃にしかすぎ
ない。ロックウールの最高安全使用温度は、600℃で
あり、それを用いている限り不燃材料にはなり得ない。
これらのことから、800℃〜1000℃の高温下でも
耐火性を保持する不燃建築材料が求められている。
【0012】その他に、第2の「現場施工」の中に吹き
つけによる耐火被覆がある。それらは、ロックウールと
石綿を基材とするものが多く、セメント、石膏、石灰な
どを粘着剤に用いている。建築材料として使用されてい
る鋼板に、吸音性、遮音性、断熱性、結露防止性などを
付与させるために、不燃性の材料を吹きつけることが、
しばしば試みられている。いわゆる吹きつけ工法であ
る。使用される吹きつけ材料に、レトラガードがある。
この吹きつけ材は、石膏を主体にして構成されている。
その特徴は、石膏を主体にしたセメント用材料で、規
制された鉱物繊維や人体に有害な可能性がある無機繊維
は含んでいない、高い抵抗性をもつ耐久性のある表面
を形成し、長期材令における性能の低下はない、不燃
性である、現場を汚さずに環境に悪影響を与えない
(低圧の湿式吹きつけ施工であり、塵埃の飛散はなく、
はねかえりが少ない。施工中に有毒ガスや悪臭の発生が
ない)、高効率で連続施工が可能、高い吸音性、優
れた断熱性、防火基準に合格、などである。この耐火
被覆材料の用途は、柱、壁、天井、屋根、床などであ
る。この吹きつけ材料は、優れた特性を有しているが、
表面強度が低く、他材料と接触すると容易に表面が剥離
し、粉が飛散する。そのために、表面の汚染性も高いな
どの欠点を有している。
【0013】この様に従来の石膏系被覆材料は、成形板
工法及び吹き付け工法のいずれでも用いられているが、
表面堅牢性が低く、粉が発生しやすいことや、機械的強
度も低いなどの問題があり、また、石膏自体の耐熱性も
低く、耐火被覆材として使用する場合には、ロックウー
ル、ガラス繊維などの無機繊維を添加して使用しなけれ
ばならない。しかし、これらの無機繊維は、耐火性が不
十分、機械的強度が低い、変形時の伸びが少ないことな
どから、これら以外の無機繊維が強く求められている。
この分野でも、800℃の耐熱性を有する、石膏材料の
補強材料となりうる、新しい無機繊維が強く求められて
いた。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】このように従来から不
燃又は準不燃の建築材料は、多数製造されているが、い
ずれの場合も問題を有しており、新たな不燃性建材の開
発が強く望まれている。また、ポルトランドセメントを
主体にして構成された建築材料は、不燃性であるが、3
00℃以上に加熱されると、脱水が起り、機械的強度を
維持することはできない。このような点を解決するため
に、現状では種々の試みが行われているが、準不燃又は
難燃という表示を建築施工時につけ、やむにやまれず建
築施工時に、使用しているのが実情である。
【0015】本発明は建築材料におけるこのような社会
的状況を鑑みなされたものであり、請求項1記載の発明
は、不燃性の建築材料、特に800〜1000℃の如き
高温下でも不燃性であり、その他の機能を維持できる耐
火被覆材料を提供することを目的とするものである。請
求項2記載の発明は、更に軽量化を達成することができ
る耐火被覆材料を提供することを目的とするものであ
る。請求項3記載の発明は、表面の強度を低下させるこ
となく軽量化を達成することができる耐火被覆材料を提
供することを目的とするものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、請
求項1記載のように、強化材としてフライアッシュファ
イバー、及び母材として水硬性又は気硬性無機質材料を
含有することを特徴とする耐火被覆材料により達成でき
ることが見いだされた。また、請求項2記載のように、
更にシラスバルーンなどの軽量骨材を使用することによ
り軽量化を達成することができ、更に請求項3記載のよ
うに、アルミニウムなどの金属粉末又は界面活性剤を添
加することによって母材を発泡させて軽量化することに
より、表面の強度を低下させることなく軽量化を達成す
ることができるものである。
【0017】本発明によって、不燃性、軽量、断熱性、
遮音性、吸音性、耐火性、機械的強度、表面強度、耐久
性、耐水性、耐湿性、耐結露性、耐久性、熱衝撃性など
の性質を有する耐火被覆材を開発することができた。本
発明の耐火被覆材料は、いわゆる前述の「成形板工
法」、「現場施工」及び「複合工法」のいずれの工法に
も有効に用いることができる。
【0018】本発明において耐熱性の強化材として重要
な材料であるフライアッシュファイバーは、石炭を燃焼
させた際に副生する石炭灰(フライアッシュ)を原料に
し、1400〜1700℃の高温下で溶融させ、それを
遠心力で繊維化し、あるいは圧縮空気を吹きつけて繊維
状あるいは綿状にしたものである。原料のフライアッシ
ュはロックウールの原料となる玄武岩や安山岩又は高炉
スラグ等の化学組成と類似しており、ロックウールとほ
ぼ同等の性能を持つ繊維の製造が可能であることが判明
した。
【0019】原料となるフライアッシュの成分は、石炭
の産地によって異なっているが、主たるものは二酸化珪
素(シリカ)とアルミナであり、この2つの無機質で、
全体の60〜80%を占める。その他、少量の酸化第ニ
鉄、酸化カルシウム、酸化マグネシウムなどが含まれて
いる。フライアッシュファイバーの品質保持のために
は、原料であるフライアッシュの成分が安定しているこ
とが好ましい。また、できるだけ二酸化珪素含量が低
く、アルミナ含量が高いフライアッシュの方が、高温に
おける粘度が小さく低温融解が可能と考えられるため好
ましい。また、フライアッシュファイバーの組成と溶解
性を高めるために、フライアッシュに石灰岩等の副原料
を添加することができる。
【0020】本発明に好適なフライアッシュファイバー
の化学組成は、Al23が20〜40%、SiO2が3
5〜50%、CaOが15〜35%、Fe23が3〜1
2%及びMgOが2〜5%である。あるいは耐アルカリ
性が良好なフライアッシュファイバーの好適な組成は、
Al23が20〜45%、SiO2が25〜50%、C
aOが15〜35%、Fe23が3〜12%、MgOが
0〜5%及びZrO2が3〜10%である。ここで、フ
ライアッシュファイバーを構成する各成分の組成は、X
線マイクロアナライザーにより元素分析を行い得られた
結果に基づき、それぞれの安定した形態である酸化物の
形に換算して表現したものである。従って、該繊維中に
必ずしも上記酸化物の形で存在するわけではない。ま
た、X線回折分析から該フライアッシュファイバーの構
造はアモルファスであった。
【0021】フライアッシュファイバーは、従来のミネ
ラルウール製造法を用いて製造することができ、例えば
粉状体の原料を固めて投入するキューポラによるバッチ
システム法(キューポラ方式)、原料を粉体のまま直接
投入する電気炉を用いた電気炉法(例えばGeotec
h社によるGeotech方式)等が挙げられる。特に
電気炉法は、電力原単位が低い、収率が高い、ショット
球(繊維化しない粒子)混入率が低い、長めの繊維長が
期待できる等の利点を有するため好ましい。フライアッ
シュファイバーは、場合により、繊維の末端についてい
るショット球を水ひ操作により取り除いてもよい。高温
融体の繊維化には、適性な粘度が得られる温度での融解
が必要であり、原料の石炭灰の組成にもよるが、110
0〜1900℃、特に1400〜1700℃の温度が適
当である。
【0022】このフライアッシュファイバーの耐熱性
を、熱分析装置を用い、空気中1300℃まで加熱して
検討した。その結果、熱重量曲線には何の変化も見られ
ず、重量の増加はなかった。また、示差熱曲線では、1
000℃以下には明確な吸熱、発熱ピークはなかった
が、1050℃付近に発熱ピーク、1150℃に吸熱ピ
ークがそれぞれ見られた。前者の発熱は、ガラス質フラ
イアッシュファイバーの結晶化であり、後者の吸熱はフ
ライアッシュファイバーの融解によるものであった。従
って、このフライアッシュファイバーを用いた複合材料
の使用温度は、結晶化の生じない温度以下、すなわち1
050℃以下であることが好ましい。ただし、短時間で
あるならば、1150℃の融点付近でも使用可能であ
る。フライアッシュファイバーの耐熱性の高いことは、
次の簡単な実験からも支持できる。フライアッシュファ
イバーをガスバーナー内で赤熱状態にまで加熱し、それ
を一気に水中に投入しても、フライアシュファイバー自
体には何の変化も見られなかった。
【0023】フライアッシュファイバーの直径は、走査
電子顕微鏡で観察すると、5〜10μm程度であった。
また、フライアッシュファイバーの機械的強度は、直径
が6μmの場合には、引張り強度4120MPa、引張り
弾性率200GPaであった。これらの特性は、他の無機
繊維(例えばアルミナ繊維、炭素繊維、ガラス繊維な
ど)と比べはるかに高いものであった。製鉄所のスラグ
を原料にしたロックウールやガラスウールなどとは比べ
物にならないくらい、耐熱性と機械的特性に優れてい
る。
【0024】本発明では、母材として水硬性又は気硬性
無機質材料が用いられ、例えばセメント、石膏、ケイ酸
カルシウム等を挙げることができる。セメントとして
は、ポルトランド系セメント、特殊セメント、アルミナ
セメント等を挙げることができる。一般的には生産量の
多い普通ポルトランドセメントを用いることが経済性の
点で好ましいが、特に高温での耐熱性を必要とする場合
には、アルミナセメントを使用することが好ましい。ま
た、石膏中にフライアッシュファイバーを添加すること
により、軽量、耐熱性でタフネスをもった耐火被覆材料
を作製することができる。
【0025】本発明で用いられるポルトランド系セメン
ト材としては、普通ポルトランドセメント、早強ポルト
ランドセメント、超早強ポルトランドセメント、中庸熱
ポルトランドセメント等の如き単味ポルトランドセメン
ト、高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセ
メント等の如きポルトランドセメントに混和材料を添加
した混合セメントを挙げることができる。また、必要に
応じて、セメント材に通常用いられる他の添加剤、例え
ば骨材、安定化剤、流動化剤、凝結調整剤、促進剤、減
水剤などを加えることができる。
【0026】アルミナセメントは、アルミン酸カルシウ
ムを主成分とする無機質の水硬性セメントである。アル
ミナセメントの性質は、CaOやAl23等の組成や粒
子径等によって異なり、早強性のものから、耐火性のも
のまで多種類ある。早強性や機械的強度を主目的とした
場合には、CaOの割合が多く、耐火性を目指した場合
にはAl23の割合を多くすることが好ましい。目的に
応じて組成や粒子径を適宜選択することができる。
【0027】本発明で用いられる石膏は、天然石膏及び
化学石膏のいずれでもよい。化学石膏としては、例え
ば、リン鉱石と硫酸からリン酸を製造する際副生するリ
ン酸石膏、ホタル石に硫酸を作用させフッ酸を製造する
ときのフッ酸石膏、海水から製塩する時に副生する製塩
石膏、硫酸法で酸化チタンを製造する際副生するチタン
石膏、鋼精錬廃液の中和による石膏及び排煙脱硫石膏な
ど各種工業の副産物として得られるものが挙げられる。
また必要に応じて他の混和材、例えばおが屑、パルプ、
グラスウール、凝結調節剤、更には消石灰、ドロマイト
プラスター、粘土、粘着材等を加えることができる。
【0028】本発明で用いられるケイ酸カルシウムは、
ケイソウ土などの酸化ケイ素原料と、石灰などのカルシ
ウム原料とを混合し、オートクレーブ中で加熱すること
によってケイ酸カルシウムを作製するものである。
【0029】本発明の耐熱被覆材料中に含有させること
ができるフライアッシュファイバーの量は、用いる母材
の性質、水/母材比などによって、適宜選択することが
できる。一般にフライアッシュファイバー含有量が多い
ほど機械的強度を高くすることができ有利であるが、含
有量が多すぎると母材中へのフライアッシュファイバー
の混合や分散がしにくくなるため、機械的強度が低下す
る。耐火被覆材料中のフライアッシュファイバー含有量
は特に限定的ではないが、通常1〜40重量%程度であ
り、10〜25重量%の範囲が好ましい。
【0030】本発明においては、軽量化と断熱性、耐熱
性の向上を目的として軽量骨材を添加することが好まし
い。軽量骨材として本分野で公知の種々のものを単独又
は2種以上を組み合わせて用いることができる。例え
ば、シラスバルーン、パーライト、バーミキュライト、
黒曜石、真珠石、松脂岩などを挙げることができる。最
も好適に用いることができるシラスバルーンは、鹿児島
県地方に堆積している火山性噴出物であるシラスを原料
とし、それを高温下で発泡させたものである。これは球
状をしており、密度、直径など種々のものがある。この
シラスバルーンは、軽量、耐火性が優れていることか
ら、軽量建材としてカーテウォールなどに使用されてい
る。また、黒曜石、真珠石、松脂岩などは、天然ガラス
質の岩石を粉砕して、800〜900℃以上に加熱する
と、急速に発泡して比重0.04〜0.20の中空体と
したものを骨材として用いることができる。但し、この
断熱材の最高使用温度は、600℃にしかすぎないの
で、それ以上の温度範囲、すなわち800〜1000℃
程度の温度では使用することはできない。
【0031】更に、必要に応じて、耐熱被覆材料に適し
た種々の添加材、例えば骨材、導電化剤、防滑性化剤等
を含有することができる。また、強化材用無機繊維とし
て従来用いられていた他の無機繊維、例えばガラス繊
維、炭素繊維などを併用させることもできる。
【0032】これらの素原料を使用して、次のようにし
て耐火被覆材料としての成形板を作成することができ
る。これらの成形板は、耐熱性の無機系接着剤で、鉄鋼
材料に固定することができる。所定量のセメント、セッ
コウ又はケイ酸カルシウム等の水硬性又は気硬性無機質
材料、更に必要に応じて軽量骨材、および水をはかりと
り、これらをミキサー内で混合する。この中にフライア
ッシュファイバーを少量ずつ添加し、混合させる。これ
を型枠中に入れ所定期間、水中で又は気中で養生する。
あるいは、簡易オートクレーブ内に入れ水蒸気養生を行
うこともできる。
【0033】特に、母材としてアルミナセメントを用い
て得られる耐火被覆材料の製作上の特徴は、製作時間の
短いことと、生産性の高いことである。すなわち、各原
料を計量し、混合、攪拌、流し込み、そして簡易オート
クレーブ養生が主な製造方法であり、全工程が3〜5間
程度で可能である。更に、フライアッシュファイバー/
アルミナセメント耐火被覆材料は、特に耐熱性にすぐれ
ており、耐火被覆材料として、好ましいものであった。
例えば、作製したフライアッシュファイバー/アルミナ
セメント複合材を電気炉中に入れ、1000℃に加熱
し、それを一気に水中に投入しても、破壊することはな
かった。従って、本発明に従い得られるフライアッシュ
ファイバー/アルミナセメント耐火被覆材料は、軽量で
あるだけでなく、低熱伝導率、耐熱性などの優れた熱的
特性を示すことがわかった。さらに、アルミニウム粉末
による発泡方法、温度などを調節することによって、よ
り軽量化することができる。
【0034】また、石膏を母材とする場合には、石膏と
フライアッシュファイバーとの混合物に所定量の水を加
え攪拌混合後、余分の水を、ろ過、遠心分離、蒸発など
によって取り除くことが好ましい。石膏の凝結速度が速
く硬化速度を調節しにくいこと及びフライアッシュファ
イバーが石膏と分散しにくいことから、ろ過は減圧及び
/又は加圧ろ過が好ましい。また、水/石膏比や用いる
硬化調節剤を適宜選定することにより、流し込み法、遠
心法などにより製造することもできる。工業的には、石
膏、フライアッシュファイバー及び水との混合物を通常
用いられる工業用ろ過機、例えばフィルタープレス、葉
状ろ過機、回転ろ過機、素焼きろ過機、流線ろ過機等を
用いて、容易に製造できる。
【0035】本発明の耐火被覆材料の軽量性について考
察すると、セメントを母材とし、シラスバルーン等の軽
量骨材の量をセメント量の0.3〜0.5程度用いた場
合に得られる複合材の嵩密度は、1.3〜1.7g/cm3
程度であり軽量建材とは言い難かった。しかし、これの
熱伝導率をプロ−ブ法で測定すると0.5〜0.9kcal
/m・hr・℃であり、通常のコンクリートやモルタル(熱伝
導率0.8〜1.6kcal/m・hr・℃)よりは断熱性が大で
あった。また、一般に軽量コンクリートとよばれるもの
熱伝導率は、0.6〜0.8kcal/m・hr・℃程度であり、
本発明で得られるものと同程度であり、充分に実用に供
することができる。
【0036】更に、軽量化および低熱伝導率化をはかる
ために、軽量骨材の添加量を増加する(例えば軽量骨材
/セメント比を3以上とする)ことができる。また、水
/セメント比を高くし(例えばW/C=4以上)、それ
にフライアッシュファイバーを添加して作製したセメン
ト材料は、その嵩密度が0.4〜0.7g/cm3程度の極
めて軽量のものとすることができる。またその熱伝導率
は、0.13〜0.26kcal/m・hr・℃であり、優れた特
性を有している。しかしながら、軽量骨材の量を増量し
て得られた軽量断熱材は、凝結硬化が始るまでの時間の
長いことが問題であり、更に、表面強度が弱く、表面を
こすると、粉が落ちる欠点があった。従って、場合によ
り別の無機系の塗膜を被覆させることが好ましい。該塗
膜用の無機系塗料としては該分野で通常用いられるもの
を適宜使用できる。
【0037】そこで、マトリックス中に空隙を形成させ
ることにより、表面の強度を低下させることなく軽量化
できることが判明した。そのためには、粉末状のアルミ
ニウム等の金属を添加するか、又は界面活性剤などで気
泡を生じさせることが有効である。該界面活性剤として
は、軽量コンクリート(例えばALC)などを製造する
際に、起泡し、内部に空隙を形成するために一般的に添
加される界面活性剤を適宜用いることができる。
【0038】セメント系建材の軽量化、低熱伝導率化を
はかるには、試料内部に空隙を作ればよい。そのために
は、アルミニウム粉末を添加して、それから発生した水
素を用いて気泡を構築してもよい。また、それ以外に
は、界面活性剤等を添加し、それを充分攪拌しバブリン
グを行うことによっても、セメント試料中に気泡、空隙
を作ることが可能である。これらの方法は、通常ALC
の製作に使用されている方法であり、特に難しい技術で
はない。
【0039】ここで、例えば、セメント重量の1〜30
%に相当するアルミニウム粉末を加え、充分に混合攪拌
したところ、嵩密度は0.6〜0.7g/cm3程度まで軽
量化されたが、熱伝導率は0.2〜0.7kcal/m・hr・℃
程度であり、上記の試料よりも高くなってしまった。こ
の点を改善するために、アルミニウム粉末の添加量や添
加方法を検討した。その結果、嵩密度は0.5〜0.6
g/cm3程度まで低くなるとともに、熱伝導率は0.17k
cal/m・hr・℃程度まで低くなった。表−2に示す市販断
熱材の熱伝導率と比較すると、この値は充分実用性のあ
る値であることが判る。また、この曲げ強度は10〜1
8kgf/cm2、圧縮強度は55〜58kgf/cm2であった。ま
た、試料の表面強度は高く、粉が生じたり、飛散ったり
することはなかった。
【0040】
【表2】
【0041】耐火被覆材料の場合、不燃、軽量、低熱伝
導性の材料を、鋼板への吹きつけ施工によって被覆する
こともできる。本発明で得られる軽量、不燃、低熱伝導
率の耐火被覆材料もこれらの「裏打ち材料」として、使
用することができる。軽量化をはかる場合には、アルミ
ニウム粉末を入れて発泡させるのでは困難と思われるの
で、界面活性剤を用いる方法が好ましい。
【0042】また、フライアッシュファイバーの添加量
を増すことによる、複合材の機械的強度および熱伝導率
について検討した。水/セメント、軽量骨材/セメン
ト、および添加するアルミニウム粉末量を一定にし、充
填するフライアッシュファイバー量を変化させて、軽
量、低熱伝導率をもち、機械的強度の高い、不燃材料を
開発することにした。その結果、例えば、水/セメント
比が1.0〜2.0、好ましくは1.1〜1.2、軽量
骨材/セメント比が0.4〜1.5、好ましくは0.6
〜0.8、フライアッシュファイバー/セメント比が
0.05〜0.35、好ましくは0.1〜0.15、ア
ルミニウム粉末/セメント比が0.01〜0.30、好
ましくは0.15〜0.20の配合で作製した供試体
は、嵩密度0.5〜0.8g/cm3、好ましくは0.5〜
0.6g/cm3、熱伝導率0.12〜0.26kcal/m・hr・
℃、好ましくは0.18〜0.19kcal/m・hr・℃、曲げ
強度0〜18kgf/cm2、好ましくは1.0〜15kgf/c
m2、圧縮強度0〜58kgf/cm2、好ましくは55〜58k
gf/cm2を有しており、優れた軽量性、低熱伝導性、高耐
熱性などの特性を有している。
【0043】例えば、フライアシュファイバーをセメン
ト重量の25%添加した場合には、嵩密度0.60g/cm
3、熱伝導率0.176kcal/m・hr・℃、曲げ強度8.5k
gf/cm2、圧縮強度15.8kgf/cm2で、さらに熱伝導率
の小さい不燃建材が得られた。これらの試料は、熱的に
も機械的強度の点でも優れており、実用性の高い建材で
あった。
【0044】本発明では、特に耐熱性を要求する場合に
は、アルミナセメントを用いるが、一般的には生産量の
多い、安価な、普通ポルトランドセメントを用いる。フ
ライアッシュファイバーをセメント中に分散し、さらに
所定量のシラスバルーンを添加し、アルミニウム粉末を
入れて発泡すると、フライアッシュファイバーで補強さ
れた、軽量の低熱伝導性のモルタルが得られた。その特
性は、限定的ではないが、0.4〜0.5g/cm3、曲げ
強度1.4〜5.4kgf/cm2、熱伝導率0.13〜0.
18kcal/m.hr.℃程度である。
【0045】本発明では、母材として石膏系のものを使
用することもできる。従来耐火被覆材料として用いられ
る石膏系のものと同様にして用いることができ、成形板
工法および吹きつけ工法のいずれでも施工することがで
きる。本発明に従い、フライアッシュファイバーと石膏
とを複合化することにより、930℃に加熱しても変形
することも、また爆裂することもなく、原形を維持し、
実用強度を有する耐火被覆材料を開発したものである。
また、フライアッシュファイバー量を増加させるにつ
れ、嵩密度も低下する傾向がみられた。
【0046】フライアッシュファイバーと石膏との複合
材を種々作製したところ、嵩密度0.7g/cm3、熱伝導
率は0.3kcal/m.hr.℃のものが得られた。熱伝導率
は、嵩密度に関係するから、この値をさらに小さくする
ことができれば、熱伝導率もより低くすることが可能と
なる。即ち、アルミニウムなどの発泡材を添加したり、
又は界面活性剤などを分散させて泡を多数つくり、それ
らによって空隙を構築することによって可能となる。ま
た、シラスバルーン、パーライトなどの軽量骨材を添加
することによって、より特性を高めることもできる。
【0047】これは、いわゆる石膏系の耐火被覆材にお
いてすでに行なわれている方法を適宜適用することで容
易に行うことができる。本発明の特色は、これらの軽量
性と低熱伝導率以外に、耐熱性を付与させたことにあ
る。従来の、石膏のみのものや無機繊維と複合化させた
ものよりも、耐熱強度の点で優れていることである。フ
ライアッシュファイバーと石膏との複合材の成形方法
は、型枠に入れ所定の形状を作製してもよいし、また混
合後スプレーガン等から鉄骨などの鉄板などに吹きつけ
ても可能である。事実、フライアッシュファイバーと石
膏との混合物を鉄板上に塗布したところ、容易に剥離す
ることはなかった。
【0048】セメント系やセッコウ系の耐火被覆材以外
にも、ケイ酸カルシウムを使用することができる。例え
ば、ケイソウ土と水酸化カルシウムとを混合し、水酸化
ナトリウムでアルカリ性にしたあと、加熱しながら反応
させる。加熱温度によって凝結速度は影響される。ま
た、その中にフライアッシュファイバーを添加しておく
と、繊維で強化されたケイ酸カルシウム板が製造でき
る。この場合にも、軽量骨材の使用、発泡材や界面活性
剤の添加などによって、低密度の成形板を作製すること
ができる。
【0049】
【実施例】以下本発明を実施例により例証するが、本発
明はこれらに限定されるものではない。 実施例1 アルミナセメント100gに表−3に示す所定量となる
ように水、シラスバルーン及びフライアッシュファイバ
ーを添加する。アルミナセメント100gに、所定水/
セメント比の水を加えてセメントペ−ストを作った。こ
れに所定量のシラスバルーンを一度に加え、8分間攪拌
した。最後に、所定量のフライアッシュファイバーを細
かくちぎりながら、10回に分けて攪拌しながら加えた
(3分間)。この混合物をプラスチック容器(縦14.
5cm、横8cm、高さ2cm)に加えた。2日後に脱
型し、簡易オートクレーブ中(121℃、1時間)で養
生した。作製したフライアッシュファイバー/アルミナ
セメント複合材の作製条件、熱伝導率、嵩密度および強
度を表−3に示す。
【0050】
【表3】
【0051】嵩密度は0.5付近で、極めて軽量であっ
た。また、プローブ法で測定した熱伝導率も0.13kc
al/m・hr・℃となり、市販の軽量コンクリートと同程度の
値となった。しかし、この軽量不燃材は、表面強度が弱
く、指で材料表面をこすると、白い粉が剥落してしまっ
た。従って、この材料の表面に、別の無機系の塗膜を被
覆させることが有効である。
【0052】実施例2 シラスバルーン量を減らし、発泡材のアルミニウム粉末
を添加し、それによる軽量性や熱伝導性への影響につい
て検討した。アルミナセメント100gに所定水/セメ
ント比の水を加えて、セメントペ−ストを作った。これ
に所定S/C量のシラスバルーン(50g)を一度に加
え、8分間攪拌した。最後に、フライアッシュファイバ
ー10gを細かくちぎり攪拌しながら10回に分けて加
えた(2分間)。最後に、アルミニウム粉末(5g又は
10g)を一度に加え、2分間攪拌した。この混合物を
プラスチック容器(縦14.5cm、横8cm、高さ2
cm)に入れた。1日後に脱型し、簡易オートクレーブ
中で養生(121℃、1時間)した。作製したフライア
ッシュファイバー/アルミナセメント複合材の作製条
件、熱伝導率および嵩密度を表−4に示す。比較のため
に、作製条件が違うので厳密な比較は出来ないがフライ
アッシュファイバーやアルミニウム粉末を入れない場合
についても記載した。アルミニウム粉末を添加し発泡さ
せることによって、嵩密度は1/2に、熱伝導率は1/
3から1/4程度にまで低くなっていることが判る。ま
た、この試料の表面を指でこすっても粉がついたり、剥
がれたりすることはなかった。
【0053】
【表4】
【0054】実施例3 更にアルミニウム粉末の添加量による影響について検討
した。アルミナセメント100gに所定水/セメント比
(1.1〜1.5)の水(110g、120g、150
g)を加えてセメントペ−ストを作った。これに所定量
のシラスバルーン(60g、70g、100g)を一度
に加え、4分間攪拌した。最後に、フライアッシュファ
イバー10gをちぎりながら、10回に分けて攪拌しな
がら加えた(2分間)。最後に、アルミニウム粉末(2
0g)を一度に加え、2分間攪拌した。この混合物をプ
ラスチック容器(縦14.5cm、横8cm、高さ2c
m)に入れた。この容器を約50〜80℃の温水中に浮
かせ、30分間加熱した。この加熱処理によって反応は
早められ、水素や水蒸気の発生が顕著になった。1日後
に脱型し、簡易オートクレーブ中で養生(121℃、1
時間)した。作製したフライアッシュファイバー/アル
ミナセメント複合材の作製条件、熱伝導率、嵩密度およ
び機械的強度を表−5に示す。
【0055】
【表5】
【0056】アルミニウム粉末の添加量を増やすと、嵩
密度と熱伝導率は小さくなるようであった。ただ、シラ
スバルーン量も変動しているので、それによる影響もあ
るようであった。しかし、試料C3の場合には、嵩密度
0.60g/cm3、熱伝導率0.19kcal/m・hr・℃、曲げ
強度10.5kgf/cm2、圧縮強度58kgf/cm2の不燃建材
が得られた。これらは熱的にも、機械的強度の点でも、
実用性の高い建材である。
【0057】実施例4 フライアッシュファイバーの添加量による影響について
検討した。アルミナセメント100gに所定水/セメン
ト比(1.5)の水(150g)を加えてセメントペ−
ストを作った。これに所定量のシラスバルーン(80
g)を一度に加え、4分間攪拌した。最後に、所定量
(FAW/C=0、0.1、0.15、0.20、0.
25、0.30)のフライアッシュファイバー(なし、
10g、15g、20g、25g、30g)を細かくち
ぎりながら、数10回に分けて攪拌しながら加えた(2
〜8分間)。最後に、アルミニウム粉末(30g)を一
度に加え、4分間攪拌した。この混合物をプラスチック
容器(縦14.5cm、横8cm、高さ2cm)に入れ
た。この容器を約50〜80℃の温水中に浮かせ、30
分間加熱した。この加熱処理によって反応は早められ、
水素や水蒸気の発生が顕著になった。1日後に脱型し、
簡易オートクレーブ中で養生(121℃、1時間)し
た。作製したフライアッシュファイバー/アルミナセメ
ント複合材の作製条件、熱伝導率、嵩密度および機械的
強度を表−6に示す。
【0058】
【表6】
【0059】フライアッシュファイバーを添加すると、
その添加量にかかわらず嵩密度、熱伝導率、曲げ強度お
よび圧縮強度は大きくなった。中でも、フライアッシュ
ファイバーをセメント重量の25%添加した場合には、
嵩密度0.60g/cm3、熱伝導率0.176kcal/m・hr・
℃、曲げ強度8.5kgf/cm2、圧縮強度15.8kgf/cm2
をもつ不燃建材が得られた。これらの値は、極めて実用
性の高い値である。
【0060】実施例5 セメントの種類による影響について検討した。普通ポル
トランドセメント100gに所定水/セメント比(1.
5)の水(150g)を加えてセメントペ−ストを作っ
た。。これに所定量のシラスバルーン(80g)を一度
に加え、4分間攪拌した。最後に、所定量(FAW/C
=0、0.10、0.20、0.30)のフライアッシ
ュファイバー(なし、10g、20g、30g)を細か
くちぎりながら、数10回に分けて攪拌しながら加えた
(2〜8分間)。最後にアルミニウム粉末(5g又は1
0g)を一度に加え、4分間攪拌した。この混合物をプ
ラスチック容器(縦14.5cm、横8cm、高さ2c
m)に入れた。1日後に脱型し、4日間放置した。作製
したフライアッシュファイバー/ポルトランドセメント
複合材の作製条件、熱伝導率、嵩密度および曲げ強度を
表−7に示す。
【0061】
【表7】
【0062】フライアッシュファイバーを添加すると熱
伝導率および曲げ強度は大きくなる傾向を示した。中で
も、フライアッシュファイバーをセメント重量の20%
添加した場合には、嵩密度0.43g/cm3、熱伝導率
0.161kcal/m・hr・℃、 曲げ強度4.1kgf/cm2をも
つ不燃建材が得られた。これらの値は、極めて実用性の
高い値であった。
【0063】実施例6 焼石膏100gにフライアッシュファイバーを5g、1
0g又は20g加え、予め混合し分散させた中に、水4
00ccを加え充分に攪拌した。この時の水/石膏は4
になる。また、フライアッシュファイバー/石膏は、そ
れぞれ0.05、0.10および0.20になる。充分
に攪拌した混合物は、ヌッチェ(直径10cm)中に注
ぎこみ、表面が平滑に、そしてフライアッシュファイバ
ーが均一に分散するように攪拌しながら吸引ロ過した。
水が出なくなるまで充分に吸引した後、ヌッチェから取
り出し、厚さ7〜10mmのフライアッシュファイバー
/石膏複合材板を作製した。この板について、体積およ
び重量測定から嵩密度を求めた。また、万能試験機を用
いて、三点曲げ試験法で支点間距離を60mmとし、1
mm/分の速度で荷重を加え、破壊荷重から曲げ強度
を、荷重−たわみ曲線の初期直線部の傾きからヤング率
を、最大破壊荷重から伸びを求めた。また、熱伝導率
は、プローブ法で求めた。得られたフライアッシュファ
イバー/石膏複合材板の嵩密度、曲げ強度、ヤング率、
伸びおよび熱伝導率を表−8に示す。
【0064】
【表8】
【0065】フライアッシュファイバー/石膏複合材板
の曲げ強度は、いずれの場合も同じであった。フライア
ッシュファイバー含有量が増すにつれて、嵩密度は1.
13g/cm3から0.76g/cm3へと小さくなった。また、
ヤング率も小さくなったが、伸びは大きくなった。伸び
量の大きくなったことは、変形量の増大したことで、フ
ライアッシュファイバーを添加したことの効果である。
また、最大荷重後の曲線は、緩やかに低下し、破壊に対
して高いタフネスをもつことを示した。このことは、建
築材料にとって極めて好ましいことである。熱伝導率
は、フライアッシュファイバー含有量が増すにつれて、
0.53kcal/m.hr.℃から0.32kcal/m.hr.℃へと小
さくなった。さらに、嵩密度を小さくできれば、この値
も低くなることは明らかである。
【0066】このようにして製作した石膏ボードを93
0℃に加熱して、耐火性について検討した。実験は、二
通りの方法で加熱した。一つは、930℃まで2時間か
けて昇温させた場合であり、もう一つは同温度の電気炉
中に直接投入する方法であった。その結果、いずれの場
合もフライアッシュファイバー/石膏複合材は、電気炉
中で爆裂することなく、原型を止めていた。また、熱処
理後のフライアッシュファイバー/石膏複合材を、手で
割ろうとしたが、簡単には壊れなかった。これらのこと
から、フライアッシュファイバー/石膏複合材は、耐火
性に優れていると判断できる。
【0067】実施例7 フライアッシュファイバーを含む石膏ボードの耐熱性に
ついて詳細に検討した。実施例6と同様の方法で、板状
のフライアッシュファイバー/石膏複合材を作製した。
その時の配合は、水/石膏=4、フライアッシュファイ
バー/石膏=0.20であった。これらの試料を、電気
炉中に入れ、500℃/時間の昇温速度で加熱し、所定
温度(200℃、400℃、600℃、800℃、93
0℃)に20分間保持した。電気炉中から取り出した試
料は放冷した。また、比較のために、フライアッシュフ
ァイバーを含まない石膏板を同じ水/石膏比で作り、電
気炉中に入れて同様の処理を行った。熱処理後の各試料
について、試料寸法、重量を測定し、寸法収縮率、重量
減少率および曲げ強度を求めた。その結果を表−9に示
す。
【0068】
【表9】
【0069】フライアッシュファイバーを含む石膏複合
材では、930℃に加熱しても爆裂することなく、原形
を止めていた。また曲げ強度は12kgf/cm2を有してお
り、優れた耐火性を有していると判断できる。それに対
し、FAファイバーを含まない石膏板の場合は、400
℃から亀裂が発生しはじめ、それ以上の温度では、バラ
バラに壊れ、耐熱性材料とは言えなかった。したがっ
て、耐火被覆材料として従来石膏系材料も使用されてい
るが、耐熱性に問題があることは明白である。それに対
し、フライアッシュファイバーを添加した場合には、耐
熱性、機械的強度、熱衝撃性などの問題点も改善され
た。
【0070】
【発明の効果】本発明によれば、不燃性で且つ軽量、断
熱性、機械的強度等の性能を維持できる耐火被覆材料を
得ることができる。更に軽量骨材を用いることにより更
なる軽量化を達成でき、更に、金属粉末又は界面活性剤
を添加し、母材を発泡させて軽量化することにより、表
面の強度を低下させることなく軽量化を達成できる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 強化材としてフライアッシュファイバー
    及び母材として水硬性又は気硬性無機質材料を含有する
    ことを特徴とする耐火被覆材料
  2. 【請求項2】 更に軽量骨材を含有する請求項1記載の
    耐火被覆材料
  3. 【請求項3】 更に金属粉末及び界面活性剤のうちの少
    なくとも1種を含有する請求項2記載の耐火被覆材料
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007507680A (ja) * 2003-10-06 2007-03-29 サン−ゴバン・イソベール 空調または換気チャネル
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JP2019065649A (ja) * 2017-10-04 2019-04-25 富士川建材工業株式会社 湿式断熱モルタル工法、及び断熱モルタル構造

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