JPH06325897A - 高周波プラズマ用インピーダンス整合装置 - Google Patents
高周波プラズマ用インピーダンス整合装置Info
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- JPH06325897A JPH06325897A JP5139505A JP13950593A JPH06325897A JP H06325897 A JPH06325897 A JP H06325897A JP 5139505 A JP5139505 A JP 5139505A JP 13950593 A JP13950593 A JP 13950593A JP H06325897 A JPH06325897 A JP H06325897A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 高周波電源とプラズマ反応チャンバーとの間
のインピーダンス整合を効果的に行う。 【構成】 高周波プラズマ用電源1とプラズマ反応チャ
ンバ4における一対の電極6a、6bとの間に挿入され
たインピーダンス整合装置であって、前記一対の電極6
a、6bに導かれる一対の出力ライン中にn2 :1型イ
ンピーダンス変換器として接続された伝送線路トランス
(但し、n=2以上の整数)3を挿入し、これによって
電源の出力インピーダンス値の1/n2 の定格負荷イン
ピーダンス値となるプラズマ反応チャンバー4に電力供
給するようにしたものである。
のインピーダンス整合を効果的に行う。 【構成】 高周波プラズマ用電源1とプラズマ反応チャ
ンバ4における一対の電極6a、6bとの間に挿入され
たインピーダンス整合装置であって、前記一対の電極6
a、6bに導かれる一対の出力ライン中にn2 :1型イ
ンピーダンス変換器として接続された伝送線路トランス
(但し、n=2以上の整数)3を挿入し、これによって
電源の出力インピーダンス値の1/n2 の定格負荷イン
ピーダンス値となるプラズマ反応チャンバー4に電力供
給するようにしたものである。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高周波プラズマ用イン
ピーダンス整合装置に関するものであり、より特定すれ
ば、高周波電力で励起したプラズマ中での化学反応及び
物理現象を利用したプラズマCVD、プラズマエッチン
グ、プラズマアッシング装置など、主として半導体製造
ライン内のプラズマ加工装置における反応チャンバー
に、インピーダンス整合素子を介して高周波電力を供給
する回路の終段トランス接続に関するものである。
ピーダンス整合装置に関するものであり、より特定すれ
ば、高周波電力で励起したプラズマ中での化学反応及び
物理現象を利用したプラズマCVD、プラズマエッチン
グ、プラズマアッシング装置など、主として半導体製造
ライン内のプラズマ加工装置における反応チャンバー
に、インピーダンス整合素子を介して高周波電力を供給
する回路の終段トランス接続に関するものである。
【0002】
【従来の技術】高周波プラズマ電源から供給された高周
波電力エネルギーをプラズマ反応チャンバー内の負荷抵
抗に効率よく伝達させるためには、π型、L型、又はT
型回路等からなる高周波プラズマ用インピーダンス整合
装置が使用され、高周波プラズマ電源の等価出力インピ
ーダンス(通常50Ω)をプラズマ反応チャンバーのイ
ンピーダンス(Z=R±jX)に整合させている。
波電力エネルギーをプラズマ反応チャンバー内の負荷抵
抗に効率よく伝達させるためには、π型、L型、又はT
型回路等からなる高周波プラズマ用インピーダンス整合
装置が使用され、高周波プラズマ電源の等価出力インピ
ーダンス(通常50Ω)をプラズマ反応チャンバーのイ
ンピーダンス(Z=R±jX)に整合させている。
【0003】近年の半導体製造プロセスにおいては、パ
ターンの細密化と薄膜化の要求が高まり、それにはプラ
ズマ反応チャンバー内のプラズマの安定性を高めること
が必要である。すなわち、チャンバーから電源への反射
波電力をいかに少なくし、かつ短時間にプラズマ励起電
力を一定にできるかということ、及びチャンバー側面の
影響(後述)を避け、必要とされる安定かつ高密度な正
規電極間のプラズマを発生させられるかという点であ
る。
ターンの細密化と薄膜化の要求が高まり、それにはプラ
ズマ反応チャンバー内のプラズマの安定性を高めること
が必要である。すなわち、チャンバーから電源への反射
波電力をいかに少なくし、かつ短時間にプラズマ励起電
力を一定にできるかということ、及びチャンバー側面の
影響(後述)を避け、必要とされる安定かつ高密度な正
規電極間のプラズマを発生させられるかという点であ
る。
【0004】それらを解決する一般的な試みとしては、
2台の高周波プラズマ電源と位相シフターを使用し、2
枚の電極に前記2台の高周波プラズマ電源から得られる
互いに180°相差の高周波電位を印加して動作させ、
各電極とチャンバー側面との間の電界による影響を避
け、プラズマを電極間だけに有効に、そして高密度かつ
安定に発生させようとする方法も行われている。すなわ
ち、いずれかの電極とチャンバー側壁との間に積極的な
電気接続がなければ、後者はほぼゼロ電位となり、高周
波電流の通過する道筋はゼロ電位の両側に対称的な交番
電位をもつ電極間に定まるため、この道筋外への漏洩電
流が防止される。したがって、必要とされる電極間だけ
に有効なプラズマが高密度かつ安定に発生する。
2台の高周波プラズマ電源と位相シフターを使用し、2
枚の電極に前記2台の高周波プラズマ電源から得られる
互いに180°相差の高周波電位を印加して動作させ、
各電極とチャンバー側面との間の電界による影響を避
け、プラズマを電極間だけに有効に、そして高密度かつ
安定に発生させようとする方法も行われている。すなわ
ち、いずれかの電極とチャンバー側壁との間に積極的な
電気接続がなければ、後者はほぼゼロ電位となり、高周
波電流の通過する道筋はゼロ電位の両側に対称的な交番
電位をもつ電極間に定まるため、この道筋外への漏洩電
流が防止される。したがって、必要とされる電極間だけ
に有効なプラズマが高密度かつ安定に発生する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、現在使
用されているほとんどのプラズマ反応チャンバー装置
は、二つの電極のうち一つを高周波のグラウンド(接
地)とし、かつ筐体と同じ電位(接地電位)にして使用
されている。そのため二つの対向電極間だけのプラズマ
発生にとどまらず、非接地側の電極と側面やその対向電
位となる近くの筐体との間においても放電し、必要とさ
れる電極間だけに有効にプラズマを高密度かつ安定に発
生させていない。
用されているほとんどのプラズマ反応チャンバー装置
は、二つの電極のうち一つを高周波のグラウンド(接
地)とし、かつ筐体と同じ電位(接地電位)にして使用
されている。そのため二つの対向電極間だけのプラズマ
発生にとどまらず、非接地側の電極と側面やその対向電
位となる近くの筐体との間においても放電し、必要とさ
れる電極間だけに有効にプラズマを高密度かつ安定に発
生させていない。
【0006】高周波プラズマ電源から供給された高周波
電力エネルギーをプラズマ反応チャンバー内の負荷抵抗
に対して、より効率的に消費させるためには、前述の通
り高周波プラズマ用インピーダンス整合装置を介して高
周波電力エネルギーを伝達させているが、現実には大電
力、すなわち高密度プラズマとなって行くにつれてプラ
ズマ反応チャンバー内のインピーダンス(Z=R±j
X)の純抵抗分(R)も虚数抵抗(±jX)も低くな
り、当然ながら電流が大きくなる。そのため高周波プラ
ズマ用インピーダンス整合装置に使用しているコイルと
コンデンサーの発熱が大きくなる。
電力エネルギーをプラズマ反応チャンバー内の負荷抵抗
に対して、より効率的に消費させるためには、前述の通
り高周波プラズマ用インピーダンス整合装置を介して高
周波電力エネルギーを伝達させているが、現実には大電
力、すなわち高密度プラズマとなって行くにつれてプラ
ズマ反応チャンバー内のインピーダンス(Z=R±j
X)の純抵抗分(R)も虚数抵抗(±jX)も低くな
り、当然ながら電流が大きくなる。そのため高周波プラ
ズマ用インピーダンス整合装置に使用しているコイルと
コンデンサーの発熱が大きくなる。
【0007】また、高周波プラズマ電源の出力インピー
ダンス50Ωに対してプラズマ反応チャンバーのインピ
ーダンス(Z=R±jX)が相対的にきわめて小さいイ
ンピーダンスになるため整合装置による整合自体もとり
にくくなるという問題が生じる。
ダンス50Ωに対してプラズマ反応チャンバーのインピ
ーダンス(Z=R±jX)が相対的にきわめて小さいイ
ンピーダンスになるため整合装置による整合自体もとり
にくくなるという問題が生じる。
【0008】さらに、周波数に応じてコイルはωLの誘
導性リアクタンス(XL )を有し、コンデンサーは1/
ωCの容量性リアクタンス(XC )を有するため、電流
が増えることは電流が通過するL、C部品の両端に発生
する電圧が高くなり、耐電圧及び電流容量の大きい部品
を使用しなければならない。同時に、L、C部品の発熱
が大きいことは、本来プラズマ反応チャンバー内の負荷
抵抗で消費すべき高周波エネルギーの増加分を高周波プ
ラズマ用インピーダンス整合装置内の部品の発熱として
消費していることであり、これはプラズマ反応装置の効
率的なエネルギー消費を達成するためにも避けなければ
ならない。
導性リアクタンス(XL )を有し、コンデンサーは1/
ωCの容量性リアクタンス(XC )を有するため、電流
が増えることは電流が通過するL、C部品の両端に発生
する電圧が高くなり、耐電圧及び電流容量の大きい部品
を使用しなければならない。同時に、L、C部品の発熱
が大きいことは、本来プラズマ反応チャンバー内の負荷
抵抗で消費すべき高周波エネルギーの増加分を高周波プ
ラズマ用インピーダンス整合装置内の部品の発熱として
消費していることであり、これはプラズマ反応装置の効
率的なエネルギー消費を達成するためにも避けなければ
ならない。
【0009】本発明は上述した問題点に鑑み、インピー
ダンス整合素子における無効な発熱による電力の消費を
避け、かつ整合を確実に行うとともに、電極間だけに有
効にプラズマを高密度かつ安定に発生させることができ
る高周波プラズマ用インピーダンス整合装置を提供しよ
うとするものである。
ダンス整合素子における無効な発熱による電力の消費を
避け、かつ整合を確実に行うとともに、電極間だけに有
効にプラズマを高密度かつ安定に発生させることができ
る高周波プラズマ用インピーダンス整合装置を提供しよ
うとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の基本的構成は、
高周波プラズマ用電源とプラズマ反応チャンバにおける
一対の電極との間に挿入されたインピーダンス整合装置
であって、前記一対の電極に導かれる一対の出力ライン
中にn2 :1型インピーダンス変換器として接続された
伝送線路トランス(但し、n=2以上の整数)を挿入
し、これによって電源の出力インピーダンス値に対し、
1/n2 の定格負荷インピーダンス値となるプラズマ反
応チャンバーにインピーダンス変換させ、電力供給する
ようにしたことを特徴とするものである。
高周波プラズマ用電源とプラズマ反応チャンバにおける
一対の電極との間に挿入されたインピーダンス整合装置
であって、前記一対の電極に導かれる一対の出力ライン
中にn2 :1型インピーダンス変換器として接続された
伝送線路トランス(但し、n=2以上の整数)を挿入
し、これによって電源の出力インピーダンス値に対し、
1/n2 の定格負荷インピーダンス値となるプラズマ反
応チャンバーにインピーダンス変換させ、電力供給する
ようにしたことを特徴とするものである。
【0011】本発明の第2の構成は、前記インピーダン
ス整合装置における電源側端子の一つ、及び前記プラズ
マ反応チャンバーの構成壁体を接地接続する一方、前記
一対の電極を非接地接続としたことを特徴とするもので
ある。
ス整合装置における電源側端子の一つ、及び前記プラズ
マ反応チャンバーの構成壁体を接地接続する一方、前記
一対の電極を非接地接続としたことを特徴とするもので
ある。
【0012】
【作用】本発明の基本構成によれば、伝送線路トランス
のインピーダンス変換比n2 :1により回路に流れる電
流を少なく(1/nに低下)し、これにともなってイン
ピーダンス整合用コイルとコンデンサーに流れる電流を
小さくすることによりコイルとコンデンサーの発熱を抑
え、電力をより効率的にプラズマ反応チャンバーに供給
することができる。
のインピーダンス変換比n2 :1により回路に流れる電
流を少なく(1/nに低下)し、これにともなってイン
ピーダンス整合用コイルとコンデンサーに流れる電流を
小さくすることによりコイルとコンデンサーの発熱を抑
え、電力をより効率的にプラズマ反応チャンバーに供給
することができる。
【0013】また、本発明の第2の構成においては、前
記伝送線路トランスの入出力間アイソレーション機能に
より、プラズマ反応チャンバーの両電極電位はゼロ電位
の両側で対称的に(180°相差で)振動するため、電
極間だけに有効にプラズマが発生するように高周波電流
の通過する道筋が定まり(換言すれば、チャンバー側壁
が余分な電極とならないで)、これによって外側への漏
洩電流を防ぎ、電極間だけに有効なプラズマを高密度か
つ安定に発生させることができる高周波プラズマ用イン
ピーダンス整合装置を提供するものである。
記伝送線路トランスの入出力間アイソレーション機能に
より、プラズマ反応チャンバーの両電極電位はゼロ電位
の両側で対称的に(180°相差で)振動するため、電
極間だけに有効にプラズマが発生するように高周波電流
の通過する道筋が定まり(換言すれば、チャンバー側壁
が余分な電極とならないで)、これによって外側への漏
洩電流を防ぎ、電極間だけに有効なプラズマを高密度か
つ安定に発生させることができる高周波プラズマ用イン
ピーダンス整合装置を提供するものである。
【0014】さらに、上記各構成を通じ、伝送線路トラ
ンスは伝達すべき高周波電力エネルギーをほとんど消費
することなくプラズマ反応チャンバー負荷に伝達できる
ため、挿入損失はほとんどない。
ンスは伝達すべき高周波電力エネルギーをほとんど消費
することなくプラズマ反応チャンバー負荷に伝達できる
ため、挿入損失はほとんどない。
【0015】また、使用する電力が大電力になるに従っ
て回路に流れる電流が必然的に大きくなること自体によ
る発熱の問題や、高周波プラズマ電源の50Ωの出力イ
ンピーダンスに対してプラズマ反応チャンバーのインピ
ーダンス(Z=R±jX)が非常に小さいインピーダン
スになるため整合がとりにくくなるという問題も、伝送
線路トランスのn2 :1インピーダンス変換比を利用し
て容易に解決することができる。
て回路に流れる電流が必然的に大きくなること自体によ
る発熱の問題や、高周波プラズマ電源の50Ωの出力イ
ンピーダンスに対してプラズマ反応チャンバーのインピ
ーダンス(Z=R±jX)が非常に小さいインピーダン
スになるため整合がとりにくくなるという問題も、伝送
線路トランスのn2 :1インピーダンス変換比を利用し
て容易に解決することができる。
【0016】
【実施例】図1は本発明において4:1型インピーダン
ス変換器として接続された伝送線路トランスを用いる場
合の原理を示す等価回路図である。図において、1は高
周波プラズマ用電源の等価出力電源であり、2は4R=
2Z0 で代表するその出力インピーダンスである。伝送
線路トランス回路3を構成するトランスT1 及びT2 の
各一次巻線は、端子電圧2Eを提供する前記電源回路の
出力端子a及びbにそれぞれ伝送線路として接続され
る。トランスT1 、T2 の各二次巻線の電源側端子は互
いに接続されるとともに、各出力側端子は互いに他方の
トランスの一次巻線の出力側端子と合流する形で交差状
に接続される。このように各合流接続点において提供さ
れる伝送線路トランス回路3の出力端子c及びd間には
R=Z0/2で代表されるプラズマチャンバー4の一対
の電極が接続される。この伝送線路トランス回路3が
4:1インピーダンス変換器となる理由はこれらのトラ
ンスT1 及びT2 がそれぞれ1:1の巻数比を有する変
流器であると考えて、各一次巻線にI/2の電流が流入
及び流出した場合を仮定すると、トランスT2 の二次巻
線に誘導される電流I/2はT1 の一次巻線電流I/2
と合流し、したがって、端子cには電流Iが流入し、こ
の電流Iがプラズマ反応チャンバー4を通って端子dか
ら電源側に戻るときはトランスT1 の二次巻線及びトラ
ンスT2 の一次巻線にI/2を分流し、結局、電源端子
bにはI/2が還流することになる。したがって、電源
の出力インピーダンス4RにI/2の電流が流れること
による端子電圧はI/2×4R=2IR、反応チャンバ
ーの抵抗Rの両端に発生する電圧はIRとなり、電源側
の電圧2Eに対して負荷側はその半分(E)となるた
め、一次側の消費電力は(I/2)2 ×4R=I2 R、
したがって、出力側の消費電力I2 Rと同一であり、結
局、電源側出力インピーダンス4Rに対する負荷インピ
ーダンスRにおいてインピーダンス整合が得られたこと
を示している。なお、図1は原理図であるため、インピ
ーダンス整合回路のコイル及びコンデンサーによるリア
クタンス分は回路全体として相殺されたものとして図か
ら削除されている。
ス変換器として接続された伝送線路トランスを用いる場
合の原理を示す等価回路図である。図において、1は高
周波プラズマ用電源の等価出力電源であり、2は4R=
2Z0 で代表するその出力インピーダンスである。伝送
線路トランス回路3を構成するトランスT1 及びT2 の
各一次巻線は、端子電圧2Eを提供する前記電源回路の
出力端子a及びbにそれぞれ伝送線路として接続され
る。トランスT1 、T2 の各二次巻線の電源側端子は互
いに接続されるとともに、各出力側端子は互いに他方の
トランスの一次巻線の出力側端子と合流する形で交差状
に接続される。このように各合流接続点において提供さ
れる伝送線路トランス回路3の出力端子c及びd間には
R=Z0/2で代表されるプラズマチャンバー4の一対
の電極が接続される。この伝送線路トランス回路3が
4:1インピーダンス変換器となる理由はこれらのトラ
ンスT1 及びT2 がそれぞれ1:1の巻数比を有する変
流器であると考えて、各一次巻線にI/2の電流が流入
及び流出した場合を仮定すると、トランスT2 の二次巻
線に誘導される電流I/2はT1 の一次巻線電流I/2
と合流し、したがって、端子cには電流Iが流入し、こ
の電流Iがプラズマ反応チャンバー4を通って端子dか
ら電源側に戻るときはトランスT1 の二次巻線及びトラ
ンスT2 の一次巻線にI/2を分流し、結局、電源端子
bにはI/2が還流することになる。したがって、電源
の出力インピーダンス4RにI/2の電流が流れること
による端子電圧はI/2×4R=2IR、反応チャンバ
ーの抵抗Rの両端に発生する電圧はIRとなり、電源側
の電圧2Eに対して負荷側はその半分(E)となるた
め、一次側の消費電力は(I/2)2 ×4R=I2 R、
したがって、出力側の消費電力I2 Rと同一であり、結
局、電源側出力インピーダンス4Rに対する負荷インピ
ーダンスRにおいてインピーダンス整合が得られたこと
を示している。なお、図1は原理図であるため、インピ
ーダンス整合回路のコイル及びコンデンサーによるリア
クタンス分は回路全体として相殺されたものとして図か
ら削除されている。
【0017】図2は負荷及びインピーダンス整合回路に
おいて実際にあり得べき抵抗値及びリアクタンス値を明
示したものである。すなわち、電源端子a及びbにはX
L 、Xl 、Xc2からなる直列リアクタンスとXc1からな
る並列リアクタンスを有するインピーダンス整合回路5
を接続し、このインピーダンス整合回路5と出力端子c
及びdとの間に図1と同様な4:1型インピーダンス変
換器としての伝送線路トランス回路3を接続し、端子c
及びd間に接続される反応チャンバーの定格負荷インピ
ーダンスはR=5(Ω)とX=−j25(Ω)の直列回
路において代表されている。等価回路において、負荷イ
ンピーダンスのリアクタンス分X=−j25(Ω)はそ
の4倍の値、すなわち−j100となり、この値はイン
ピーダンス整合回路におけるj(Xl −Xc2)=+j1
00と相殺され、XL =+j24.5Ωと電源側に換算
した負荷インピーダンス(実数分)20Ωの直列回路に
−j40.6ΩのリアクタンスXc1を有する並列コンデ
ンサが並列接続された形となり、これが電源側から見て
50Ωの純抵抗に等しくなるわけである。この場合、イ
ンピーダンス整合回路5のインダクタンス及びキャパシ
タンスはそれぞれXL +Xl =2.38μH、C1=2
89pF、そして、C2=150pFであり、これらが
13.56MHzにおいて前述したリアクタンスとな
り、電力1KWでの整合を与えるものである。
おいて実際にあり得べき抵抗値及びリアクタンス値を明
示したものである。すなわち、電源端子a及びbにはX
L 、Xl 、Xc2からなる直列リアクタンスとXc1からな
る並列リアクタンスを有するインピーダンス整合回路5
を接続し、このインピーダンス整合回路5と出力端子c
及びdとの間に図1と同様な4:1型インピーダンス変
換器としての伝送線路トランス回路3を接続し、端子c
及びd間に接続される反応チャンバーの定格負荷インピ
ーダンスはR=5(Ω)とX=−j25(Ω)の直列回
路において代表されている。等価回路において、負荷イ
ンピーダンスのリアクタンス分X=−j25(Ω)はそ
の4倍の値、すなわち−j100となり、この値はイン
ピーダンス整合回路におけるj(Xl −Xc2)=+j1
00と相殺され、XL =+j24.5Ωと電源側に換算
した負荷インピーダンス(実数分)20Ωの直列回路に
−j40.6ΩのリアクタンスXc1を有する並列コンデ
ンサが並列接続された形となり、これが電源側から見て
50Ωの純抵抗に等しくなるわけである。この場合、イ
ンピーダンス整合回路5のインダクタンス及びキャパシ
タンスはそれぞれXL +Xl =2.38μH、C1=2
89pF、そして、C2=150pFであり、これらが
13.56MHzにおいて前述したリアクタンスとな
り、電力1KWでの整合を与えるものである。
【0018】図3はプラズマ反応チャンバー4の対向電
極6a及び6bのいずれも接地接続しない、いわゆる伝
送線路トランスのアイソレーション機能を利用した実施
例を示すものである。ここに、5’は図2に示したと同
様なインピーダンス整合機能を発揮するためのインピー
ダンス整合回路であり、伝送線路トランス回路3も同様
に4:1型インピーダンス変換器の機能を有し、電源端
子a及びb’と出力端子c及びd間におけるこれらの接
続の全体においてインピーダンス整合装置を構成してい
る。
極6a及び6bのいずれも接地接続しない、いわゆる伝
送線路トランスのアイソレーション機能を利用した実施
例を示すものである。ここに、5’は図2に示したと同
様なインピーダンス整合機能を発揮するためのインピー
ダンス整合回路であり、伝送線路トランス回路3も同様
に4:1型インピーダンス変換器の機能を有し、電源端
子a及びb’と出力端子c及びd間におけるこれらの接
続の全体においてインピーダンス整合装置を構成してい
る。
【0019】図4は従来型のいわゆる対向電極片側接地
タイプにおいて図3と同様なインピーダンス整合装置を
構成した実施例を示している。すなわち、対向電極の一
方6b’がチャンバー構成壁とともに接地接続されたも
のである。この場合、他方の電極6aは対向電極6b’
だけでなく、チャンバー構成壁に対しても同一の高周波
電位をもつことになるが、インピーダンス整合回路を流
れる電流を(1/nに)低下できる効果は変わらないた
め、不規則な漏洩高周波電力をなくすことはできない
が、整合回路素子の発熱を抑え、高周波エネルギーを効
率よくプラズマチャンバーに伝達供給できる効果を有し
ている。
タイプにおいて図3と同様なインピーダンス整合装置を
構成した実施例を示している。すなわち、対向電極の一
方6b’がチャンバー構成壁とともに接地接続されたも
のである。この場合、他方の電極6aは対向電極6b’
だけでなく、チャンバー構成壁に対しても同一の高周波
電位をもつことになるが、インピーダンス整合回路を流
れる電流を(1/nに)低下できる効果は変わらないた
め、不規則な漏洩高周波電力をなくすことはできない
が、整合回路素子の発熱を抑え、高周波エネルギーを効
率よくプラズマチャンバーに伝達供給できる効果を有し
ている。
【0020】図5A及びBは図4の実施例における伝送
線路トランス回路の具体的接続例3a及び3bを示すた
め、インピーダンス整合回路を省略してそれぞれ作図し
た等価回路であり、前者(3a)では2個のトランスを
用い、後者(3b)では1個のトランスのみを用いてn
2 :1インピーダンス変換を行うものである。
線路トランス回路の具体的接続例3a及び3bを示すた
め、インピーダンス整合回路を省略してそれぞれ作図し
た等価回路であり、前者(3a)では2個のトランスを
用い、後者(3b)では1個のトランスのみを用いてn
2 :1インピーダンス変換を行うものである。
【0021】以上述べた実施例において、実際の回路接
続を用いて示した伝送線路トランスのインピーダンス変
換比n2 :1はn=2(変換比、4:1)を典型例とす
るものであったが、n=3(変換比、9:1)において
も十分な結果が得られた。結局、このn2 :1は電源側
の出力インピーダンスと、プラズマチャンバーの定格負
荷インピーダンスの比率によって決まることであり、そ
の意味でn=4以上の場合も構成されるであろう。
続を用いて示した伝送線路トランスのインピーダンス変
換比n2 :1はn=2(変換比、4:1)を典型例とす
るものであったが、n=3(変換比、9:1)において
も十分な結果が得られた。結局、このn2 :1は電源側
の出力インピーダンスと、プラズマチャンバーの定格負
荷インピーダンスの比率によって決まることであり、そ
の意味でn=4以上の場合も構成されるであろう。
【0022】
【発明の効果】本発明は以上の通りであり、インピーダ
ンス整合装置の出力側に挿入した伝送線路トランスは高
周波電力エネルギーをほとんど消費することなく、プラ
ズマ反応チャンバー負荷に伝達でき、かつ対向電極非接
地タイプのプラズマ反応チャンバーに対しては伝送線路
トランスのアイソレーション機能により不規則な漏洩高
周波電力を完全になくすことができる。
ンス整合装置の出力側に挿入した伝送線路トランスは高
周波電力エネルギーをほとんど消費することなく、プラ
ズマ反応チャンバー負荷に伝達でき、かつ対向電極非接
地タイプのプラズマ反応チャンバーに対しては伝送線路
トランスのアイソレーション機能により不規則な漏洩高
周波電力を完全になくすことができる。
【0023】また、本発明の構成は、通じてn2 :1型
伝送線路トランスの機能により入力側(インピーダンス
整合装置)回路を流れる電流を少なく(1/nに低下)
し、これに伴って整合回路素子の発熱を抑え、その結
果、高周波電力エネルギーを効率よく、プラズマ反応チ
ャンバーに伝達供給できるという前述した効果を発揮す
る他、プラズマ反応チャンバーへの供給電力の増大にと
もなう反応チャンバーのインピーダンス(Z=R±j
X)が非常に小さくなるということも等価回路ではその
値をn2 倍として取り扱えるため、整合操作も容易であ
るという効果を有するものである。
伝送線路トランスの機能により入力側(インピーダンス
整合装置)回路を流れる電流を少なく(1/nに低下)
し、これに伴って整合回路素子の発熱を抑え、その結
果、高周波電力エネルギーを効率よく、プラズマ反応チ
ャンバーに伝達供給できるという前述した効果を発揮す
る他、プラズマ反応チャンバーへの供給電力の増大にと
もなう反応チャンバーのインピーダンス(Z=R±j
X)が非常に小さくなるということも等価回路ではその
値をn2 倍として取り扱えるため、整合操作も容易であ
るという効果を有するものである。
【図1】実施例の単純化された基本原理を示す回路図で
ある。
ある。
【図2】実施例の具体的なインピーダンス値を用いて説
明する基本原理を示す回路図である。
明する基本原理を示す回路図である。
【図3】本発明の好ましい実施例における接続状態を示
すブロック線図である。
すブロック線図である。
【図4】従来多用されてきた対向電極片側接地タイプに
おいて本発明を適用した実施例のブロック線図である。
おいて本発明を適用した実施例のブロック線図である。
【図5】図4の実施例における伝送線路トランス回路の
接続例A及びBを示すための等価回路図である。
接続例A及びBを示すための等価回路図である。
1 高周波プラズマ電源 2 電源出力インピーダンス 3 伝送線路トランス回路 4 負荷インピーダンス(プラズマ反応チャンバー) 5 インピーダンス整合回路 6a、6b 対向電極
Claims (2)
- 【請求項1】 高周波プラズマ用電源とプラズマ反応チ
ャンバにおける一対の電極との間に挿入されたインピー
ダンス整合装置であって、前記一対の電極に導かれる一
対の出力ライン中にn2 :1型インピーダンス変換器と
して接続された伝送線路トランス(但し、n=2以上の
整数)を挿入し、これによって電源の出力インピーダン
ス値の1/n2 の定格負荷インピーダンス値となるプラ
ズマ反応チャンバーに電力供給するようにしたことを特
徴とする高周波プラズマ用インピーダンス整合装置。 - 【請求項2】 前記インピーダンス整合装置における電
源側端子の一つ、及び前記プラズマ反応チャンバーの構
成壁体を接地接続する一方、前記一対の電極を非接地接
続としたことを特徴とする請求項1記載の装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5139505A JP2530560B2 (ja) | 1993-05-17 | 1993-05-17 | 高周波プラズマ用インピ―ダンス整合装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5139505A JP2530560B2 (ja) | 1993-05-17 | 1993-05-17 | 高周波プラズマ用インピ―ダンス整合装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06325897A true JPH06325897A (ja) | 1994-11-25 |
JP2530560B2 JP2530560B2 (ja) | 1996-09-04 |
Family
ID=15246856
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5139505A Expired - Fee Related JP2530560B2 (ja) | 1993-05-17 | 1993-05-17 | 高周波プラズマ用インピ―ダンス整合装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2530560B2 (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2000058465A (ja) * | 1998-05-29 | 2000-02-25 | Mitsubishi Heavy Ind Ltd | プラズマ化学蒸着装置 |
JP2000068253A (ja) * | 1998-08-21 | 2000-03-03 | Toyo Commun Equip Co Ltd | ドライエッチング槽 |
JP2009515292A (ja) * | 2005-10-07 | 2009-04-09 | アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド | プラズマ処理のための低電圧誘電結合プラズマ発生装置 |
JP2013098177A (ja) * | 2011-10-31 | 2013-05-20 | Semes Co Ltd | 基板処理装置及びインピーダンスマッチング方法 |
TWI563881B (en) * | 2011-10-31 | 2016-12-21 | Semes Co Ltd | Substrate processing device and impedance matching method |
Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS58158929A (ja) * | 1982-03-17 | 1983-09-21 | Kokusai Electric Co Ltd | プラズマ発生装置 |
JPS59153303A (ja) * | 1983-02-22 | 1984-09-01 | Tokyo Denshi Kagaku Kabushiki | 高周波発振器 |
-
1993
- 1993-05-17 JP JP5139505A patent/JP2530560B2/ja not_active Expired - Fee Related
Patent Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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TWI563881B (en) * | 2011-10-31 | 2016-12-21 | Semes Co Ltd | Substrate processing device and impedance matching method |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2530560B2 (ja) | 1996-09-04 |
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