JP2004206937A - 高周波発振器 - Google Patents
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Abstract
【課題】高周波電源の回路素子数の軽減による電力変換効率改善と小型化を実現すること。
【解決手段】発振回路9の発振出力を増幅する増幅回路11は少なくとも一つの半導体スイッチ素子19と電力変換トランス20を有し、前記半導体スイッチ素子19の接合容量と電力変換トランス20の漏洩インダクタンスで共振回路を構成したものであり、これにより高周波発振器の増幅回路の素子数が軽減できるので、効率よく電力が増幅できると同時に高周波電源の小型化を図ることができる。
【選択図】 図2
【解決手段】発振回路9の発振出力を増幅する増幅回路11は少なくとも一つの半導体スイッチ素子19と電力変換トランス20を有し、前記半導体スイッチ素子19の接合容量と電力変換トランス20の漏洩インダクタンスで共振回路を構成したものであり、これにより高周波発振器の増幅回路の素子数が軽減できるので、効率よく電力が増幅できると同時に高周波電源の小型化を図ることができる。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、業務用や一般家庭用として使用される高周波解凍装置や高周波誘電加熱装置に用いる高周波発振器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、加熱室内の上、下電極板間に高周波の高電圧を供給し、両電極板の間に高周波電界を生じさせることによって、被解凍物の誘電加熱を行わせる高周波解凍装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、放電灯店頭装置ではあるが電力増幅回路により必要な電力まで増幅することも知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
したがって、高周波解凍装置において、高周波出力が微弱である場合は、いくつかの電力増幅回路を経て、食品の加熱に必要な電力まで増幅することが考えられる。例えば家庭用電子レンジと同等あるいはそれ以上の解凍能力を得ようとすると、両電極板間に与える電力としては200Wないしは300W程度の電力を必要とする。この程度の電力変換を行うためには、一つの半導体スイッチ素子で増幅することは素子の発熱の問題から非常に困難である。そこで、一般的には大電力用途としては、二つ以上の半導体スイッチ素子を使用した、いわゆるハーフブリッジ式の回路構成を最終段の増幅回路として回路が構成される。
【0004】
【特許文献1】
特開平08−255682号公報
【特許文献2】
特開平06−045087号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の構成における高周波解凍装置用の高周波電源においては、増幅回路の素子数が多くなってしまう。特に増幅回路には多数の共振コンデンサを配置しており、また、インダクタンス素子も複数あるので、これらの素子を流れる電流によって電力損失が発生するため、効率よく電力増幅ができない。また、素子数が多くなるため、基板実装の面積が多く必要となり、高周波電源の小型化を阻害してしまうという課題があった。
【0006】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、増幅回路の素子数を軽減し、高周波電源の小型化を実現した高周波発振器を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明の高周波発振器は、発振回路の発振出力を増幅する増幅回路は少なくとも一つの半導体スイッチ素子と電力変換トランスを有し、前記半導体スイッチ素子の接合容量と電力変換トランスの漏洩インダクタンスで共振回路を構成したものである。
【0008】
これによって、高周波発振器の増幅回路の素子数が軽減できるので、効率よく電力が増幅できると同時に高周波電源の小型化を図ることができるものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
請求項1に記載の発明は、発振回路とその発振出力を増幅する増幅回路を有し、前記増幅回路は少なくとも一つの半導体スイッチ素子と増幅出力を負荷に出力する電力変換トランスを有し、前記半導体スイッチ素子の接合容量と電力変換トランスの漏洩インダクタンスで共振回路を構成した高周波発振器とすることにより、増幅回路の素子数が軽減できるので、効率よく電力を増幅できると同時に高周波電源の小型化を図ることができるものである。
【0010】
請求項2に記載の発明は、発振回路とその発振出力を増幅する増幅回路を有し、前記増幅回路は少なくとも一つの半導体スイッチ素子と増幅出力を負荷に出力する電力変換トランスを有し、電力変換トランスの1次巻線と負荷に結合される2次巻線との結合係数を0.6〜0.8に設定した高周波発振器とすることにより、増幅回路の素子数が軽減できるので、効率よく電力を増幅できると同時に高周波電源の小型化を図ることができるものである。
【0011】
請求項3に記載の発明は、1次巻線を電力変換トランスのコアの一部に密に巻く構成とした請求項1または2にに記載の高周波発振器とすることにより、電力変換トランスの結合係数を調整し、増幅回路の素子数の軽減と高周波電源の小型化を実現可能としたものである。
【0012】
請求項4に記載の発明は、電力変換トランスのコアはリング状のコアとし、その円周の1/3の部分内に1次巻線を巻回する構成とした請求項3に記載の高周波発振器とすることにより、請求項3の発明と同様、電力変換トランスの結合係数を調整し、増幅回路の素子数の軽減と高周波電源の小型化を実現可能としたものである。
【0013】
請求項5に記載の発明は、電力変換トランスの2次巻線をコア全周に疎に巻く構成とした請求項1〜4のいずれか1項に記載の高周波発振器とすることにより、請求項2の発明と同様、電力変換トランスの結合係数を調整し、増幅回路の素子数の軽減と高周波電源の小型化を実現可能としたものである。
【0014】
請求項6に記載の発明は、可変容量コンデンサを半導体スイッチ素子と並列接続し、共振電圧が一定となるように可変容量コンデンサの容量値を調整する構成とした請求項1〜5のいずれか1項に記載の高周波発振器とすることにより、半導体スイッチ素子の電圧定格を超えない設計を容易にし、半導体スイッチ素子の耐圧破壊を防止することができる。
【0015】
請求項7に記載の発明は、電力変換トランスの1次巻線をコアの1/3周に密に巻き、かつ、2次巻線を残りの2/3周に密に巻く構成とした請求項1〜4、6のいずれか1項に記載の高周波発振器とすることにより、電力変換トランスの結合係数を調整し、増幅回路の素子数の軽減と高周波電源の小型化を実現可能としたものである。
【0016】
【実施例】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら説明する。
【0017】
(実施例1)
本発明の実施例1における高周波発振器について、図1〜図6を参照して説明する。
【0018】
図1は高周波解凍装置の一例を示したものであり、冷凍食品などの被加熱物1は一対の加熱電極2、3に挟み込まれるように載置され、高周波発振器4から例えば13.56MHzの高周波電力が供給されることによって、被加熱物1は誘電加熱される。また、加熱電極2、3と高周波発振器4の間には整合回路5が挿入されており、整合回路5に備えられた可変インダクタ6と可変コンデンサ7は、そのインダクタンス値およびキャパシタンス値を適宜変化させることによって、被加熱物1の形状、種類や加熱電極2、3間の距離によって電極間のインピーダンスが変化しても高周波発振器4とのインピーダンス整合状態を維持する。このため被加熱物1に効率よく高周波電力を伝達することができるようになっている。
【0019】
図2は高周波発振器4の回路構成を示したものであり、8は直流電源であり、高周波電源に備えられた発振回路9および増幅回路10、11に電力を供給する。発振回路9は水晶振動子などの発振子12を備えており、この発振子12によって定まる発振周波数で発振する。発振回路9の出力は増幅回路10のパワーMOSFET13に接続され、増幅回路10の働きによって発信回路9の出力は増幅される。増幅回路10の出力はその後段に設けられた増幅回路11によってさらに電力増幅され、主増幅回路14に備えられたパワーMOSFET15、16に駆動電力を供給する。主増幅回路14には第2の直流電源17が接続されており、加熱電力として必要な電力を出力する。
【0020】
また主増幅回路14の出力にはフィルタ回路18が接続されており、主増幅回路14のパワーMOSFET15、16のスイッチング動作によって生じる出力の高調波を除去する構成となっている。
【0021】
ここで、増幅回路11の動作について詳細に説明する。増幅回路11は、少なくとも一つのパワーMOSFET19(半導体スイッチ素子)と増幅出力を負荷に出力する電力変換トランス20を有し、パワーMOSFET19は増幅回路10が出力する略正弦波状電圧によってスイッチング動作する。
【0022】
また、電力変換トランス20は、図3〜図5に示すように、リング状のコア20cに1次巻線20aと2つの2次巻線20b1、20b2を巻回する構成となっている。図3はコア20cに2次巻線20b1、20b2を巻回した様子を示し、コア20cの全周にわたり疎に巻回している。
【0023】
また、図4は同様に1次巻線20aをコア20cに巻回した様子を示し、1次巻線20aはコア20cの円周の一部に密に巻回する構成としている。図5は図3、図4を重ね合わせた状態で、電力変換トランス20全体の構成を示している。このようにコア20cの一部分に対して1次巻線20aを密に巻き、2次巻線20bを全体に疎に巻くことによって1次巻線20aが作る磁束の一部を2次巻線20bが作る磁束と鎖交しないようにすることができるので、1次巻線20aと2次巻線20bの間の結合係数を0.6〜0.8に設定することができる。なお、本実施例では、1次巻線20aはコア20cの円周の1/3範囲に密に巻回しているものである。
【0024】
図6は電力変換トランス20の電気的な等価回路を示したものであり、20a2は漏洩インダクタンスであり、等価的に電力変換トランス20の1次側に励磁インダクタンス20a1に直列に接続する構成で表現することができる。
【0025】
また、パワーMOSFET19のドレーンソース間には、素子の構成上、接合容量が存在している。このため回路図上では素子として表記しないが、電力変換トランス20の漏洩インダクタンス20a2とパワーMOSFET19のドレーンソース間接合容量で直列共振回路を構成することができる。このため増幅回路11の動作波形は図7に示す波形となる。(1)は前段の増幅回路10から与えられる駆動信号であり、(2)はパワーMOSFET19にかかる電圧波形であり、(3)は電力変換トランス20の1次巻線20aに流れる電流波形である。
【0026】
発振回路9の発振周波数に対して電力変換トランス20の漏洩インダクタンスとパワーMOSFET19のドレーンソース間接合容量によって定まる共振周波数を適切に設定することで、パワーMOSFET19の電圧波形が半波の正弦波状に変化しており、スイッチングのタイミングで電圧値が略零となっており、パワーMOSFET19のスイッチング損失を低減できる動作を実現している。そして、増幅回路11は共振動作のために余分なコンデンサおよびインダクタを必要としないため、素子数の軽減と高周波電源の小型化を図ることが可能となっている。
【0027】
(実施例2)
本発明の実施例2における高周波発振器について、図8を参照して説明する。実施例1と同一要素については同一符号を付して説明を省略する。
【0028】
本実施例において、実施例1と相違する点は、可変容量コンデンサ21をパワーMOSFET19と並列接続し、共振電圧が一定となるように可変容量コンデンサ21の容量値を調整する構成としたことである。
【0029】
このような構成とすることにより、本実施例では、電力変換トランス20の1次巻線20aとパワーMOSFET19のドレーンソース間の接合容量および可変容量コンデンサ21によって共振回路が構成され、実施例1と同様の効果を発揮できる。さらに、可変容量コンデンサ21を接続しているので、可変容量コンデンサ21の容量を調整することによって、共振回路の状態を調整することが可能である。直列共振回路が発生する共振電圧は、その共振回路の先鋭度によって発生電圧が異なる。共振回路の先鋭度は共振コンデンサの容量と共振インダクタのインダクタンス値の比と相関関係があり、(数1)で関係付けることができる。
【0030】
【数1】
【0031】
したがって、共振キャパシタンスを大きくすることによって、共振回路の先鋭度を下げてパワーMOSFET19にかかる電圧を低くすることができる。このためパワーMOSFET19の耐圧を超える共振電圧が印加されることを防止でき、安全性の高い高周波発振器を実現することができる。
【0032】
(実施例3)
本発明の実施例3における高周波発振器について、図9、図10を参照して説明する。実施例1、2と同一要素については同一符号を付して説明を省略する。
【0033】
本実施例では、実施例1、2と相違する点は、図9に示すように、発振回路9に例えばCMOSのロジックICと水晶などの発振子を使った構成としている。これにより、実施例1、2のように発振回路9の構成としてトランジスタを1つ使用した発振回路と同様の動作特性を得ることができる。
【0034】
図10は本実施例における電力変換トランス20の構成を示しており、リング状のコア20cに1次巻線20aと2つの2次巻線20b1、20b2を巻回する構成となっている。このようにコア20cに対して1次巻線20aを一部分(1/3)に密に巻き、残りの部分(2/3)に2次巻線20bを疎に巻くことによって1次巻線20aが作る磁束を2次巻線20bが作る磁束と鎖交しないようにすることができるので、1次巻線20aと2次巻線20bの間の結合係数を0.6〜0.8に設定することができる。
【0035】
このため、実施例1、2と同様、直列共振回路を構成することができ、パワーMOSFET19のスイッチング損失を低減できる動作を実現している。そして増幅回路11は共振動作のために余分なコンデンサおよびインダクタを必要としないため、素子数の軽減と高周波電源の小型化を図ることが可能となっている。
【0036】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の高周波発振器は、発振回路の発振出力を増幅する増幅回路は少なくとも一つの半導体スイッチ素子と電力変換トランスを有し、前記半導体スイッチ素子の接合容量と電力変換トランスの漏洩インダクタンスで共振回路を構成したものであり、高周波発振器の増幅回路の素子数が軽減できるので、効率よく電力が増幅できると同時に高周波電源の小型化を図ることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1における高周波発振器を用いた高周波解凍装置のブロック図
【図2】同高周波発振器の回路図
【図3】同高周波発振器の電力変換トランスにおける2次巻線を施した状態の平面図
【図4】同高周波発振器の電力変換トランスにおける1次巻線を施した状態の平面図
【図5】同電力変換トランスの平面図
【図6】同電力変換トランスの電気的な等価回路図
【図7】同高周波発振器の増幅回路における動作波形図
【図8】本発明の実施例2における高周波発振器の回路図
【図9】本発明の実施例3における高周波発振器の回路図
【図10】同高周波発振器における電力変換トランスの平面図
【符号の説明】
4 高周波発振器
9 発振回路
10、11 増幅回路
14 主増幅回路
19 パワーMOSFET(半導体スイチ素子)
20 電力変換トランス
20a 1次巻線
20b 2次巻線
20c コア
21 可変容量コンデンサ
【発明の属する技術分野】
本発明は、業務用や一般家庭用として使用される高周波解凍装置や高周波誘電加熱装置に用いる高周波発振器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、加熱室内の上、下電極板間に高周波の高電圧を供給し、両電極板の間に高周波電界を生じさせることによって、被解凍物の誘電加熱を行わせる高周波解凍装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、放電灯店頭装置ではあるが電力増幅回路により必要な電力まで増幅することも知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
したがって、高周波解凍装置において、高周波出力が微弱である場合は、いくつかの電力増幅回路を経て、食品の加熱に必要な電力まで増幅することが考えられる。例えば家庭用電子レンジと同等あるいはそれ以上の解凍能力を得ようとすると、両電極板間に与える電力としては200Wないしは300W程度の電力を必要とする。この程度の電力変換を行うためには、一つの半導体スイッチ素子で増幅することは素子の発熱の問題から非常に困難である。そこで、一般的には大電力用途としては、二つ以上の半導体スイッチ素子を使用した、いわゆるハーフブリッジ式の回路構成を最終段の増幅回路として回路が構成される。
【0004】
【特許文献1】
特開平08−255682号公報
【特許文献2】
特開平06−045087号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の構成における高周波解凍装置用の高周波電源においては、増幅回路の素子数が多くなってしまう。特に増幅回路には多数の共振コンデンサを配置しており、また、インダクタンス素子も複数あるので、これらの素子を流れる電流によって電力損失が発生するため、効率よく電力増幅ができない。また、素子数が多くなるため、基板実装の面積が多く必要となり、高周波電源の小型化を阻害してしまうという課題があった。
【0006】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、増幅回路の素子数を軽減し、高周波電源の小型化を実現した高周波発振器を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明の高周波発振器は、発振回路の発振出力を増幅する増幅回路は少なくとも一つの半導体スイッチ素子と電力変換トランスを有し、前記半導体スイッチ素子の接合容量と電力変換トランスの漏洩インダクタンスで共振回路を構成したものである。
【0008】
これによって、高周波発振器の増幅回路の素子数が軽減できるので、効率よく電力が増幅できると同時に高周波電源の小型化を図ることができるものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
請求項1に記載の発明は、発振回路とその発振出力を増幅する増幅回路を有し、前記増幅回路は少なくとも一つの半導体スイッチ素子と増幅出力を負荷に出力する電力変換トランスを有し、前記半導体スイッチ素子の接合容量と電力変換トランスの漏洩インダクタンスで共振回路を構成した高周波発振器とすることにより、増幅回路の素子数が軽減できるので、効率よく電力を増幅できると同時に高周波電源の小型化を図ることができるものである。
【0010】
請求項2に記載の発明は、発振回路とその発振出力を増幅する増幅回路を有し、前記増幅回路は少なくとも一つの半導体スイッチ素子と増幅出力を負荷に出力する電力変換トランスを有し、電力変換トランスの1次巻線と負荷に結合される2次巻線との結合係数を0.6〜0.8に設定した高周波発振器とすることにより、増幅回路の素子数が軽減できるので、効率よく電力を増幅できると同時に高周波電源の小型化を図ることができるものである。
【0011】
請求項3に記載の発明は、1次巻線を電力変換トランスのコアの一部に密に巻く構成とした請求項1または2にに記載の高周波発振器とすることにより、電力変換トランスの結合係数を調整し、増幅回路の素子数の軽減と高周波電源の小型化を実現可能としたものである。
【0012】
請求項4に記載の発明は、電力変換トランスのコアはリング状のコアとし、その円周の1/3の部分内に1次巻線を巻回する構成とした請求項3に記載の高周波発振器とすることにより、請求項3の発明と同様、電力変換トランスの結合係数を調整し、増幅回路の素子数の軽減と高周波電源の小型化を実現可能としたものである。
【0013】
請求項5に記載の発明は、電力変換トランスの2次巻線をコア全周に疎に巻く構成とした請求項1〜4のいずれか1項に記載の高周波発振器とすることにより、請求項2の発明と同様、電力変換トランスの結合係数を調整し、増幅回路の素子数の軽減と高周波電源の小型化を実現可能としたものである。
【0014】
請求項6に記載の発明は、可変容量コンデンサを半導体スイッチ素子と並列接続し、共振電圧が一定となるように可変容量コンデンサの容量値を調整する構成とした請求項1〜5のいずれか1項に記載の高周波発振器とすることにより、半導体スイッチ素子の電圧定格を超えない設計を容易にし、半導体スイッチ素子の耐圧破壊を防止することができる。
【0015】
請求項7に記載の発明は、電力変換トランスの1次巻線をコアの1/3周に密に巻き、かつ、2次巻線を残りの2/3周に密に巻く構成とした請求項1〜4、6のいずれか1項に記載の高周波発振器とすることにより、電力変換トランスの結合係数を調整し、増幅回路の素子数の軽減と高周波電源の小型化を実現可能としたものである。
【0016】
【実施例】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら説明する。
【0017】
(実施例1)
本発明の実施例1における高周波発振器について、図1〜図6を参照して説明する。
【0018】
図1は高周波解凍装置の一例を示したものであり、冷凍食品などの被加熱物1は一対の加熱電極2、3に挟み込まれるように載置され、高周波発振器4から例えば13.56MHzの高周波電力が供給されることによって、被加熱物1は誘電加熱される。また、加熱電極2、3と高周波発振器4の間には整合回路5が挿入されており、整合回路5に備えられた可変インダクタ6と可変コンデンサ7は、そのインダクタンス値およびキャパシタンス値を適宜変化させることによって、被加熱物1の形状、種類や加熱電極2、3間の距離によって電極間のインピーダンスが変化しても高周波発振器4とのインピーダンス整合状態を維持する。このため被加熱物1に効率よく高周波電力を伝達することができるようになっている。
【0019】
図2は高周波発振器4の回路構成を示したものであり、8は直流電源であり、高周波電源に備えられた発振回路9および増幅回路10、11に電力を供給する。発振回路9は水晶振動子などの発振子12を備えており、この発振子12によって定まる発振周波数で発振する。発振回路9の出力は増幅回路10のパワーMOSFET13に接続され、増幅回路10の働きによって発信回路9の出力は増幅される。増幅回路10の出力はその後段に設けられた増幅回路11によってさらに電力増幅され、主増幅回路14に備えられたパワーMOSFET15、16に駆動電力を供給する。主増幅回路14には第2の直流電源17が接続されており、加熱電力として必要な電力を出力する。
【0020】
また主増幅回路14の出力にはフィルタ回路18が接続されており、主増幅回路14のパワーMOSFET15、16のスイッチング動作によって生じる出力の高調波を除去する構成となっている。
【0021】
ここで、増幅回路11の動作について詳細に説明する。増幅回路11は、少なくとも一つのパワーMOSFET19(半導体スイッチ素子)と増幅出力を負荷に出力する電力変換トランス20を有し、パワーMOSFET19は増幅回路10が出力する略正弦波状電圧によってスイッチング動作する。
【0022】
また、電力変換トランス20は、図3〜図5に示すように、リング状のコア20cに1次巻線20aと2つの2次巻線20b1、20b2を巻回する構成となっている。図3はコア20cに2次巻線20b1、20b2を巻回した様子を示し、コア20cの全周にわたり疎に巻回している。
【0023】
また、図4は同様に1次巻線20aをコア20cに巻回した様子を示し、1次巻線20aはコア20cの円周の一部に密に巻回する構成としている。図5は図3、図4を重ね合わせた状態で、電力変換トランス20全体の構成を示している。このようにコア20cの一部分に対して1次巻線20aを密に巻き、2次巻線20bを全体に疎に巻くことによって1次巻線20aが作る磁束の一部を2次巻線20bが作る磁束と鎖交しないようにすることができるので、1次巻線20aと2次巻線20bの間の結合係数を0.6〜0.8に設定することができる。なお、本実施例では、1次巻線20aはコア20cの円周の1/3範囲に密に巻回しているものである。
【0024】
図6は電力変換トランス20の電気的な等価回路を示したものであり、20a2は漏洩インダクタンスであり、等価的に電力変換トランス20の1次側に励磁インダクタンス20a1に直列に接続する構成で表現することができる。
【0025】
また、パワーMOSFET19のドレーンソース間には、素子の構成上、接合容量が存在している。このため回路図上では素子として表記しないが、電力変換トランス20の漏洩インダクタンス20a2とパワーMOSFET19のドレーンソース間接合容量で直列共振回路を構成することができる。このため増幅回路11の動作波形は図7に示す波形となる。(1)は前段の増幅回路10から与えられる駆動信号であり、(2)はパワーMOSFET19にかかる電圧波形であり、(3)は電力変換トランス20の1次巻線20aに流れる電流波形である。
【0026】
発振回路9の発振周波数に対して電力変換トランス20の漏洩インダクタンスとパワーMOSFET19のドレーンソース間接合容量によって定まる共振周波数を適切に設定することで、パワーMOSFET19の電圧波形が半波の正弦波状に変化しており、スイッチングのタイミングで電圧値が略零となっており、パワーMOSFET19のスイッチング損失を低減できる動作を実現している。そして、増幅回路11は共振動作のために余分なコンデンサおよびインダクタを必要としないため、素子数の軽減と高周波電源の小型化を図ることが可能となっている。
【0027】
(実施例2)
本発明の実施例2における高周波発振器について、図8を参照して説明する。実施例1と同一要素については同一符号を付して説明を省略する。
【0028】
本実施例において、実施例1と相違する点は、可変容量コンデンサ21をパワーMOSFET19と並列接続し、共振電圧が一定となるように可変容量コンデンサ21の容量値を調整する構成としたことである。
【0029】
このような構成とすることにより、本実施例では、電力変換トランス20の1次巻線20aとパワーMOSFET19のドレーンソース間の接合容量および可変容量コンデンサ21によって共振回路が構成され、実施例1と同様の効果を発揮できる。さらに、可変容量コンデンサ21を接続しているので、可変容量コンデンサ21の容量を調整することによって、共振回路の状態を調整することが可能である。直列共振回路が発生する共振電圧は、その共振回路の先鋭度によって発生電圧が異なる。共振回路の先鋭度は共振コンデンサの容量と共振インダクタのインダクタンス値の比と相関関係があり、(数1)で関係付けることができる。
【0030】
【数1】
【0031】
したがって、共振キャパシタンスを大きくすることによって、共振回路の先鋭度を下げてパワーMOSFET19にかかる電圧を低くすることができる。このためパワーMOSFET19の耐圧を超える共振電圧が印加されることを防止でき、安全性の高い高周波発振器を実現することができる。
【0032】
(実施例3)
本発明の実施例3における高周波発振器について、図9、図10を参照して説明する。実施例1、2と同一要素については同一符号を付して説明を省略する。
【0033】
本実施例では、実施例1、2と相違する点は、図9に示すように、発振回路9に例えばCMOSのロジックICと水晶などの発振子を使った構成としている。これにより、実施例1、2のように発振回路9の構成としてトランジスタを1つ使用した発振回路と同様の動作特性を得ることができる。
【0034】
図10は本実施例における電力変換トランス20の構成を示しており、リング状のコア20cに1次巻線20aと2つの2次巻線20b1、20b2を巻回する構成となっている。このようにコア20cに対して1次巻線20aを一部分(1/3)に密に巻き、残りの部分(2/3)に2次巻線20bを疎に巻くことによって1次巻線20aが作る磁束を2次巻線20bが作る磁束と鎖交しないようにすることができるので、1次巻線20aと2次巻線20bの間の結合係数を0.6〜0.8に設定することができる。
【0035】
このため、実施例1、2と同様、直列共振回路を構成することができ、パワーMOSFET19のスイッチング損失を低減できる動作を実現している。そして増幅回路11は共振動作のために余分なコンデンサおよびインダクタを必要としないため、素子数の軽減と高周波電源の小型化を図ることが可能となっている。
【0036】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の高周波発振器は、発振回路の発振出力を増幅する増幅回路は少なくとも一つの半導体スイッチ素子と電力変換トランスを有し、前記半導体スイッチ素子の接合容量と電力変換トランスの漏洩インダクタンスで共振回路を構成したものであり、高周波発振器の増幅回路の素子数が軽減できるので、効率よく電力が増幅できると同時に高周波電源の小型化を図ることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1における高周波発振器を用いた高周波解凍装置のブロック図
【図2】同高周波発振器の回路図
【図3】同高周波発振器の電力変換トランスにおける2次巻線を施した状態の平面図
【図4】同高周波発振器の電力変換トランスにおける1次巻線を施した状態の平面図
【図5】同電力変換トランスの平面図
【図6】同電力変換トランスの電気的な等価回路図
【図7】同高周波発振器の増幅回路における動作波形図
【図8】本発明の実施例2における高周波発振器の回路図
【図9】本発明の実施例3における高周波発振器の回路図
【図10】同高周波発振器における電力変換トランスの平面図
【符号の説明】
4 高周波発振器
9 発振回路
10、11 増幅回路
14 主増幅回路
19 パワーMOSFET(半導体スイチ素子)
20 電力変換トランス
20a 1次巻線
20b 2次巻線
20c コア
21 可変容量コンデンサ
Claims (7)
- 発振回路とその発振出力を増幅する増幅回路を有し、前記増幅回路は少なくとも一つの半導体スイッチ素子と増幅出力を負荷に出力する電力変換トランスを有し、前記半導体スイッチ素子の接合容量と電力変換トランスの漏洩インダクタンスで共振回路を構成した高周波発振器。
- 発振回路とその発振出力を増幅する増幅回路を有し、前記増幅回路は少なくとも一つの半導体スイッチ素子と増幅出力を負荷に出力する電力変換トランスを有し、電力変換トランスの1次巻線と負荷に結合される2次巻線との結合係数を0.6〜0.8に設定した高周波発振器。
- 電力変換トランスの1次巻線をコアの一部に密に巻く構成とした請求項1または2に記載の高周波発振器。
- 電力変換トランスのコアはリング状のコアとし、その円周の1/3の部分内に1次巻線を巻回する構成とした請求項3に記載の高周波発振器。
- 電力変換トランスの2次巻線をコア全周に疎に巻く構成とした請求項1〜4のいずれか1項に記載の高周波発振器。
- 可変容量コンデンサを半導体スイッチ素子と並列接続し、共振電圧が一定となるように可変容量コンデンサの容量値を調整する構成とした請求項1〜5のいずれか1項に記載の高周波発振器。
- 電力変換トランスの1次巻線をコアの1/3周に密に巻き、かつ、2次巻線を残りの2/3周に密に巻く構成とした請求項1〜4、6のいずれか1項に記載の高周波発振器。
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JP2014532997A (ja) * | 2011-11-08 | 2014-12-08 | スンシル ユニバーシティー リサーチ コンソルティウム テクノーパークSoongsil University Research Consortium Techno−Park | 螺旋状インダクターを利用したlc回路の制御装置 |
JP2014239645A (ja) * | 2008-09-02 | 2014-12-18 | クゥアルコム・インコーポレイテッドQualcomm Incorporated | 双方向無線電力転送 |
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CN110535439A (zh) * | 2018-09-18 | 2019-12-03 | 恩智浦美国有限公司 | 自振荡除霜设备以及其操作方法 |
-
2002
- 2002-12-24 JP JP2002372234A patent/JP2004206937A/ja active Pending
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