JPH06325653A - 消弧体及び回路遮断器 - Google Patents
消弧体及び回路遮断器Info
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- JPH06325653A JPH06325653A JP11510893A JP11510893A JPH06325653A JP H06325653 A JPH06325653 A JP H06325653A JP 11510893 A JP11510893 A JP 11510893A JP 11510893 A JP11510893 A JP 11510893A JP H06325653 A JPH06325653 A JP H06325653A
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- extinguishing body
- extinguishing
- molding material
- extinguisher
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 性能をより向上させた消弧体及びその消弧体
を消弧部に用いた回路遮断器の提供。 【構成】 エポキシ変性メラミン樹脂を主成分とする成
形材料により消弧体を形成する。成形材料におけるエポ
キシ変性メラミン樹脂の含有量は約50〜75重量%と
した。また、前記成形材料にε−カプロラクタムやガラ
ス繊維を添加している。
を消弧部に用いた回路遮断器の提供。 【構成】 エポキシ変性メラミン樹脂を主成分とする成
形材料により消弧体を形成する。成形材料におけるエポ
キシ変性メラミン樹脂の含有量は約50〜75重量%と
した。また、前記成形材料にε−カプロラクタムやガラ
ス繊維を添加している。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、アークを消弧する消
弧体及び回路遮断器に関するものである。
弧体及び回路遮断器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の消弧体としては、特開平2−25
6110号公報に開示されているものがある。この消弧
体は、主成分であるメラミン樹脂、主フィラーであるセ
ルロース繊維(粉末パルプ)、さらに、ε−カプロラク
タム、ガラス繊維、水酸化アルミニウム、エポキシ樹脂
などを含有した成形材料により形成されるものである。
6110号公報に開示されているものがある。この消弧
体は、主成分であるメラミン樹脂、主フィラーであるセ
ルロース繊維(粉末パルプ)、さらに、ε−カプロラク
タム、ガラス繊維、水酸化アルミニウム、エポキシ樹脂
などを含有した成形材料により形成されるものである。
【0003】このような消弧体を用いた回路遮断器は、
図1に示すような構成の消弧部を有する。すなわち、逆
U字形の消弧体1 が、可動接点4aを有する可動接触子4
と固定接点6aを有する固定接触子6 を覆うように配設さ
れ、さらに、消弧体1 を覆うように逆U字形の磁性体2
が配設されてなる。また、固定接触子6 の両側近傍に
は、アーク駆動コイル7 が設けられている。
図1に示すような構成の消弧部を有する。すなわち、逆
U字形の消弧体1 が、可動接点4aを有する可動接触子4
と固定接点6aを有する固定接触子6 を覆うように配設さ
れ、さらに、消弧体1 を覆うように逆U字形の磁性体2
が配設されてなる。また、固定接触子6 の両側近傍に
は、アーク駆動コイル7 が設けられている。
【0004】X は、アークである。短絡遮断時に可動接
点4aと固定接点6aの間に発生するアークX は、磁性体2
とアーク駆動コイル7 とでつくられる磁場により、磁気
駆動されて引き伸ばされるので、アーク電圧は上昇す
る。そして、アークX の熱によって、消弧体1 から熱分
解ガスが発生する。この熱分解ガスの冷却効果によって
アークX は冷却され、熱的ピンチ効果によりアーク径は
収縮する。その結果、アーク抵抗は増加し、アーク電圧
はさらに上昇して消弧に至る。
点4aと固定接点6aの間に発生するアークX は、磁性体2
とアーク駆動コイル7 とでつくられる磁場により、磁気
駆動されて引き伸ばされるので、アーク電圧は上昇す
る。そして、アークX の熱によって、消弧体1 から熱分
解ガスが発生する。この熱分解ガスの冷却効果によって
アークX は冷却され、熱的ピンチ効果によりアーク径は
収縮する。その結果、アーク抵抗は増加し、アーク電圧
はさらに上昇して消弧に至る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述の消弧
体は、短絡遮断時に生じる圧力に耐える強度を有するよ
う、靱性を上げるエポキシ樹脂を含有した成形材料によ
り形成されている。しかしながら、その含有量が少ない
ために、十分な強度が得られないという問題点がある。
体は、短絡遮断時に生じる圧力に耐える強度を有するよ
う、靱性を上げるエポキシ樹脂を含有した成形材料によ
り形成されている。しかしながら、その含有量が少ない
ために、十分な強度が得られないという問題点がある。
【0006】また、上述の消弧体の成形材料の主なフィ
ラーは、炭化水素よりなるセルロース繊維であるので、
短絡遮断時、アークの熱によって熱分解ガスとともに導
電性のカーボンが発生しやすく、そのカーボンが回路遮
断器のケースに付着して絶縁性能が劣化するという問題
がある。これに対して、無機成分であるガラス繊維を添
加しておくと、相対的に有機成分の分解が抑制されるの
で、絶縁性能の劣化を防ぐことができ、アーク熱による
消弧体の消耗度も低減する。しかしながら、ガラス繊維
を添加すると、熱分解ガスの発生量も少なくなり、消弧
性能が劣化してしまうので、ガラス繊維を多量に添加し
て消弧体の消耗度の低減や絶縁性能を向上させることが
できないという問題がある。
ラーは、炭化水素よりなるセルロース繊維であるので、
短絡遮断時、アークの熱によって熱分解ガスとともに導
電性のカーボンが発生しやすく、そのカーボンが回路遮
断器のケースに付着して絶縁性能が劣化するという問題
がある。これに対して、無機成分であるガラス繊維を添
加しておくと、相対的に有機成分の分解が抑制されるの
で、絶縁性能の劣化を防ぐことができ、アーク熱による
消弧体の消耗度も低減する。しかしながら、ガラス繊維
を添加すると、熱分解ガスの発生量も少なくなり、消弧
性能が劣化してしまうので、ガラス繊維を多量に添加し
て消弧体の消耗度の低減や絶縁性能を向上させることが
できないという問題がある。
【0007】さらに、上述の消弧体の成形材料には、絶
縁性能の劣化を防ぐための水酸化アルミニウムが添加さ
れていたが、その添加によって成形時の金型脱型性が悪
くなるという問題があった。
縁性能の劣化を防ぐための水酸化アルミニウムが添加さ
れていたが、その添加によって成形時の金型脱型性が悪
くなるという問題があった。
【0008】本発明は上記事由に鑑みてなしたもので、
その目的とするところは、性能をより向上させた消弧体
及びその消弧体を消弧部に用いた回路遮断器を提供する
ことにある。
その目的とするところは、性能をより向上させた消弧体
及びその消弧体を消弧部に用いた回路遮断器を提供する
ことにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1記載の消弧体は、エポキシ変性メラミン樹
脂を主成分とする成形材料により形成される。
に、請求項1記載の消弧体は、エポキシ変性メラミン樹
脂を主成分とする成形材料により形成される。
【0010】請求項2記載の消弧体は、エポキシ変性メ
ラミン樹脂の含有量を約50〜75重量%とした成形材
料により形成される。
ラミン樹脂の含有量を約50〜75重量%とした成形材
料により形成される。
【0011】請求項3記載の消弧体は、ε−カプロラク
タムを含有した請求項1又は2記載の成形材料より形成
される。その含有量は、0.5〜20重量%が好まし
い。
タムを含有した請求項1又は2記載の成形材料より形成
される。その含有量は、0.5〜20重量%が好まし
い。
【0012】請求項4記載の消弧体は、ガラス繊維を含
有した請求項1記載の成形材料より形成される。その含
有量は、1〜40重量%が好ましい。
有した請求項1記載の成形材料より形成される。その含
有量は、1〜40重量%が好ましい。
【0013】請求項5記載の消弧体は、ε−カプロラク
タム及びガラス繊維を含有した請求項1記載の成形材料
より形成される。
タム及びガラス繊維を含有した請求項1記載の成形材料
より形成される。
【0014】請求項6記載の回路遮断器は、請求項1乃
至4記載の消弧体を有してなる構成としている。
至4記載の消弧体を有してなる構成としている。
【0015】なお、上述の含有量は、エポキシ変性メラ
ミン樹脂以外のものについては、あくまで例として挙げ
たものであって、本発明を制限するものではない。
ミン樹脂以外のものについては、あくまで例として挙げ
たものであって、本発明を制限するものではない。
【0016】
【作用】請求項1記載の構成によれば、消弧体がエポキ
シ変性メラミン樹脂を主成分とする成形材料からなるの
で、メラミン樹脂の可撓性を高めて靱性を上げることが
できる。
シ変性メラミン樹脂を主成分とする成形材料からなるの
で、メラミン樹脂の可撓性を高めて靱性を上げることが
できる。
【0017】請求項2記載の構成によれば、エポキシ変
性メラミン樹脂の含有量が約50〜75重量%である成
形材料から消弧体が形成されるので、短絡遮断時の圧力
に対する強度が優れたものとなる。ここで、含有量を約
50〜75重量%としたのは、50重量%以下の含有量
では変性が不十分であり、75重量%以上の含有量では
材料がゲル化し易くなるからである。
性メラミン樹脂の含有量が約50〜75重量%である成
形材料から消弧体が形成されるので、短絡遮断時の圧力
に対する強度が優れたものとなる。ここで、含有量を約
50〜75重量%としたのは、50重量%以下の含有量
では変性が不十分であり、75重量%以上の含有量では
材料がゲル化し易くなるからである。
【0018】請求項3記載の構成によれば、主成分をエ
ポキシ変性メラミン樹脂とする消弧体の成形材料にε−
カプロラクタムを含有させるので、消弧性能が向上す
る。ε−カプロラクタムは、
ポキシ変性メラミン樹脂とする消弧体の成形材料にε−
カプロラクタムを含有させるので、消弧性能が向上す
る。ε−カプロラクタムは、
【0019】
【化1】
【0020】の構造式であらわされ、メラミン樹脂より
も揮発しやすいという性質を有する。すなわち、ε−カ
プロラクタムを含有させると、熱分解ガスが発生しやす
くなる。その熱分解ガス中の高熱伝導率を持つ水素ガス
により、アークの冷却効果は促進され、アーク電圧が上
昇して限流効果が増すので、消弧性能が向上する。従っ
て、成形上の問題が無い範囲でε−カプロラクタムの含
有量を増やせば、消弧体の消弧性能はより向上する。
も揮発しやすいという性質を有する。すなわち、ε−カ
プロラクタムを含有させると、熱分解ガスが発生しやす
くなる。その熱分解ガス中の高熱伝導率を持つ水素ガス
により、アークの冷却効果は促進され、アーク電圧が上
昇して限流効果が増すので、消弧性能が向上する。従っ
て、成形上の問題が無い範囲でε−カプロラクタムの含
有量を増やせば、消弧体の消弧性能はより向上する。
【0021】請求項4記載の構成によれば、主成分をエ
ポキシ変性メラミン樹脂とする消弧体の成形材料にガラ
ス繊維を含有させるので、アークによる消弧体の消耗度
が低減する。
ポキシ変性メラミン樹脂とする消弧体の成形材料にガラ
ス繊維を含有させるので、アークによる消弧体の消耗度
が低減する。
【0022】請求項5記載の構成によれば、主成分をエ
ポキシ変性メラミン樹脂とする消弧体の成形材料にε−
カプロラクタム及びガラス繊維を含有させるので、消弧
性能が向上するとともに、アークによる消弧体の消耗度
が低減する。
ポキシ変性メラミン樹脂とする消弧体の成形材料にε−
カプロラクタム及びガラス繊維を含有させるので、消弧
性能が向上するとともに、アークによる消弧体の消耗度
が低減する。
【0023】請求項6記載の構成によれば、回路遮断器
が、請求項1乃至5記載の消弧体を有するので、遮断性
能が向上する。
が、請求項1乃至5記載の消弧体を有するので、遮断性
能が向上する。
【0024】
【実施例】以下、本発明の消弧体の一実施例を、表1乃
至表3に基づいて説明する。本実施例の消弧体は、主成
分をエポキシ変性メラミン樹脂とし、主フィラーをセル
ロース繊維とし、添加剤をε−カプロラクタム、ガラス
繊維とする成形材料から形成される。
至表3に基づいて説明する。本実施例の消弧体は、主成
分をエポキシ変性メラミン樹脂とし、主フィラーをセル
ロース繊維とし、添加剤をε−カプロラクタム、ガラス
繊維とする成形材料から形成される。
【0025】表1は、本実施例における成形材料の配合
を、従来例の配合と比較して示したものである。
を、従来例の配合と比較して示したものである。
【0026】
【表1】
【0027】本実施例の消弧体は、エポキシ変性メラミ
ン樹脂の含有量を従来より増やして靱性を上げたので、
耐衝撃強度が向上している。さらに、ガラス繊維の含有
量を従来より増やしたので、絶縁性能が向上し、消弧体
の消耗度が低減する。また、ガラス繊維の含有量を増や
したことにより、従来、絶縁性能の劣化を防ぐために添
加していた水酸化アルミニウムは添加していないので、
成形時の金型脱型性が良くなる。そして、ガラス繊維の
含有量増加による消弧性能の劣化を補うために、ε−カ
プロラクタムの含有量を従来より増やして消弧性能を向
上させている。さらに、セルロース繊維の含有量を従来
より減らしたので、カーボンが発生しにくくなった。
ン樹脂の含有量を従来より増やして靱性を上げたので、
耐衝撃強度が向上している。さらに、ガラス繊維の含有
量を従来より増やしたので、絶縁性能が向上し、消弧体
の消耗度が低減する。また、ガラス繊維の含有量を増や
したことにより、従来、絶縁性能の劣化を防ぐために添
加していた水酸化アルミニウムは添加していないので、
成形時の金型脱型性が良くなる。そして、ガラス繊維の
含有量増加による消弧性能の劣化を補うために、ε−カ
プロラクタムの含有量を従来より増やして消弧性能を向
上させている。さらに、セルロース繊維の含有量を従来
より減らしたので、カーボンが発生しにくくなった。
【0028】ここで、エポキシ変性メラミン樹脂、ε−
カプロラクタム、ガラス繊維の含有量増加を可能にする
ために、材料の混連方法を従来のボールミル混合、一軸
混練機造粒による方法に替えて二軸ロール工法としてい
る。二軸ロール工法での混連条件は、ロール温度が80
〜140℃、ロールピッチが1.5mm、混連時間が3〜
5分である。
カプロラクタム、ガラス繊維の含有量増加を可能にする
ために、材料の混連方法を従来のボールミル混合、一軸
混練機造粒による方法に替えて二軸ロール工法としてい
る。二軸ロール工法での混連条件は、ロール温度が80
〜140℃、ロールピッチが1.5mm、混連時間が3〜
5分である。
【0029】表2は、表1の配合により形成された本実
施例の消弧体と従来例の消弧体の遮断性能及び絶縁性能
を示すものである。
施例の消弧体と従来例の消弧体の遮断性能及び絶縁性能
を示すものである。
【0030】
【表2】
【0031】遮断性能を調べるために、消弧体を回路遮
断器の消弧部に配設し、265V/5kAの単極遮断試
験を行った。遮断性能の評価として、短絡遮断時の通過
エネルギ値(A2 S)と、通過電流のピーク値(A)
と、発生したアークの電圧値(V)を測定した。また、
絶縁性能を調べるために465V/5kAの3極遮断試
験を行い、絶縁性能の評価として、試験後の回路遮断器
の同極間、異極間の絶縁抵抗を測定した。
断器の消弧部に配設し、265V/5kAの単極遮断試
験を行った。遮断性能の評価として、短絡遮断時の通過
エネルギ値(A2 S)と、通過電流のピーク値(A)
と、発生したアークの電圧値(V)を測定した。また、
絶縁性能を調べるために465V/5kAの3極遮断試
験を行い、絶縁性能の評価として、試験後の回路遮断器
の同極間、異極間の絶縁抵抗を測定した。
【0032】本実施例の消弧体を用いた場合の遮断性能
の測定結果は、従来例の消弧体を用いた場合の測定結果
に比べて、通過エネルギ値と通過電流のピーク値が小さ
く、アーク電圧が高い。このことから、ε−カプロラク
タムの添加量の増加によって遮断性能が向上したことが
わかる。
の測定結果は、従来例の消弧体を用いた場合の測定結果
に比べて、通過エネルギ値と通過電流のピーク値が小さ
く、アーク電圧が高い。このことから、ε−カプロラク
タムの添加量の増加によって遮断性能が向上したことが
わかる。
【0033】また、絶縁性能の評価として測定した絶縁
抵抗値も、本実施例の消弧体を用いた場合の方が、従来
例の消弧体を用いた場合に比べて高い。このことから、
ガラス繊維の添加量の増加によって絶縁性能が向上した
ことがわかる。すなわち、ガラス繊維の添加量増加によ
り、相対的に有機成分の分解が抑制されてカーボンの発
生量が減ったためである。
抵抗値も、本実施例の消弧体を用いた場合の方が、従来
例の消弧体を用いた場合に比べて高い。このことから、
ガラス繊維の添加量の増加によって絶縁性能が向上した
ことがわかる。すなわち、ガラス繊維の添加量増加によ
り、相対的に有機成分の分解が抑制されてカーボンの発
生量が減ったためである。
【0034】さらに、本実施例の消弧体の成形材料にお
いて、ガラス繊維の含有量を増やしたことにより、消弧
体の消耗度が従来より低減することが、回路遮断器の電
気的開閉試験で分かった。
いて、ガラス繊維の含有量を増やしたことにより、消弧
体の消耗度が従来より低減することが、回路遮断器の電
気的開閉試験で分かった。
【0035】表3は、表1の配合により形成された本実
施例の消弧体と従来例の消弧体の耐衝撃強度を示すもの
である。
施例の消弧体と従来例の消弧体の耐衝撃強度を示すもの
である。
【0036】
【表3】
【0037】消弧体の機械的な強度を示すシャルピー衝
撃強度及びデュポン衝撃強度を測定した結果、本実施例
の消弧体を用いた場合の方が、従来例の消弧体を用いた
場合より、高い値を示した。すなわち、エポキシ変性メ
ラミン樹脂の含有量の増加により、材料の靱性が増して
耐衝撃強度が向上している。また、従来よりも長繊維の
ガラス繊維を添加したことによっても、消弧体の強度が
向上している。
撃強度及びデュポン衝撃強度を測定した結果、本実施例
の消弧体を用いた場合の方が、従来例の消弧体を用いた
場合より、高い値を示した。すなわち、エポキシ変性メ
ラミン樹脂の含有量の増加により、材料の靱性が増して
耐衝撃強度が向上している。また、従来よりも長繊維の
ガラス繊維を添加したことによっても、消弧体の強度が
向上している。
【0038】ところで、材料の成形時の生産性も従来に
比べて向上した。例えば、成形時の1サイクル当たりの
時間は、従来に比べて約10%短縮することができた。
これは、材料混連工程の改良によってメラミン樹脂とガ
ラス繊維のなじみが良くなり、材料の硬化時間が短くな
ったためである。
比べて向上した。例えば、成形時の1サイクル当たりの
時間は、従来に比べて約10%短縮することができた。
これは、材料混連工程の改良によってメラミン樹脂とガ
ラス繊維のなじみが良くなり、材料の硬化時間が短くな
ったためである。
【0039】次に、本発明の消弧体を用いた回路遮断器
の消弧部を、図1及び図2に基づいて説明する。この消
弧部の基本的な構造は、従来と同じである。すなわち、
逆U字形に成形された消弧体1 が逆U字形の磁性体2 の
内面に嵌合し、これらが電路部3 に被さるように設置さ
れる。
の消弧部を、図1及び図2に基づいて説明する。この消
弧部の基本的な構造は、従来と同じである。すなわち、
逆U字形に成形された消弧体1 が逆U字形の磁性体2 の
内面に嵌合し、これらが電路部3 に被さるように設置さ
れる。
【0040】電路部3 は、先端部に可動接点4aを有する
可動接触子4 と、中央部に固定接触子6 を有し両側部に
アーク駆動コイル7 を有する固定電路5 とを備える。固
定電路5 の端部には端子が設けられ、固定接触子6 のア
ーク駆動コイル7 に挟まれた部分には固定接点6aが設け
られる。アーク駆動コイル7 は、固定電路5 の一部を各
々逆U字形に曲げることにより形成される。可動接触子
4 は、回路遮断器の機構部(図示せず)に連結されてい
る。
可動接触子4 と、中央部に固定接触子6 を有し両側部に
アーク駆動コイル7 を有する固定電路5 とを備える。固
定電路5 の端部には端子が設けられ、固定接触子6 のア
ーク駆動コイル7 に挟まれた部分には固定接点6aが設け
られる。アーク駆動コイル7 は、固定電路5 の一部を各
々逆U字形に曲げることにより形成される。可動接触子
4 は、回路遮断器の機構部(図示せず)に連結されてい
る。
【0041】X は、アークである。短絡事故が発生して
可動接触子4 が開極動作をしたとき、可動接点4aと固定
接点6aの間に発生するアークX は、アーク駆動コイル7
を流れる電流によって発生する磁場及び磁性体2 によっ
て発生する磁場の中で磁気駆動力を受けて引き伸ばさ
れ、これにより、アーク電圧が上昇する。そして、可動
接点4aを囲むように配設してある消弧体1 に、引き伸ば
されたアークX が接近し、アークX の熱によって消弧体
1 が溶発して熱分解ガスが発生する。この熱分解ガスの
主成分である水素ガスによって、アークX は冷却されて
さらにアーク電圧が上昇し、消弧に至る。
可動接触子4 が開極動作をしたとき、可動接点4aと固定
接点6aの間に発生するアークX は、アーク駆動コイル7
を流れる電流によって発生する磁場及び磁性体2 によっ
て発生する磁場の中で磁気駆動力を受けて引き伸ばさ
れ、これにより、アーク電圧が上昇する。そして、可動
接点4aを囲むように配設してある消弧体1 に、引き伸ば
されたアークX が接近し、アークX の熱によって消弧体
1 が溶発して熱分解ガスが発生する。この熱分解ガスの
主成分である水素ガスによって、アークX は冷却されて
さらにアーク電圧が上昇し、消弧に至る。
【0042】なお、消弧体は、磁性体の内面に設けたも
のに限らず、例えば回路遮断器の消弧室内に単独で配設
してもよい。また、消弧体は、アークに曝される部位に
配設されるものであれば、形状を問わない。
のに限らず、例えば回路遮断器の消弧室内に単独で配設
してもよい。また、消弧体は、アークに曝される部位に
配設されるものであれば、形状を問わない。
【0043】
【発明の効果】請求項1記載の消弧体は、エポキシ変性
メラミン樹脂を主成分とする成形材料からなるので、メ
ラミン樹脂の可撓性を高めて靱性を上げることができ、
従って、短絡遮断時の圧力に対する強度を向上させるこ
とができる。
メラミン樹脂を主成分とする成形材料からなるので、メ
ラミン樹脂の可撓性を高めて靱性を上げることができ、
従って、短絡遮断時の圧力に対する強度を向上させるこ
とができる。
【0044】請求項2記載の消弧体は、請求項1記載の
効果の上に、エポキシ変性メラミン樹脂の含有量が約5
0〜75重量%である成形材料から形成されるので、短
絡遮断時の圧力に対する強度が優れたものとなる。
効果の上に、エポキシ変性メラミン樹脂の含有量が約5
0〜75重量%である成形材料から形成されるので、短
絡遮断時の圧力に対する強度が優れたものとなる。
【0045】請求項3記載の消弧体は、請求項1又は2
記載の効果の上に、ε−カプロラクタムを含有するの
で、消弧性能が向上する。
記載の効果の上に、ε−カプロラクタムを含有するの
で、消弧性能が向上する。
【0046】請求項4記載の消弧体は、請求項1又は2
記載の効果の上に、ガラス繊維を含有するので、消弧体
の消耗度を低減することができる。
記載の効果の上に、ガラス繊維を含有するので、消弧体
の消耗度を低減することができる。
【0047】請求項5記載の消弧体は、請求項1又は2
記載の効果の上に、ε−カプロラクタム及びガラス繊維
を含有するので、消弧性能を向上させることができ、か
つ、消弧体の消耗度を低減することができる。
記載の効果の上に、ε−カプロラクタム及びガラス繊維
を含有するので、消弧性能を向上させることができ、か
つ、消弧体の消耗度を低減することができる。
【0048】請求項6記載の回路遮断器は、請求項1乃
至5記載の消弧体を有するので、遮断性能が向上する。
至5記載の消弧体を有するので、遮断性能が向上する。
【図1】本発明の一実施例及び従来例に共通する回路遮
断器の消弧部を示す斜視図である。
断器の消弧部を示す斜視図である。
【図2】その断面図である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年1月6日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正内容】
【0007】さらに、上述の消弧体の成形材料には、絶
縁性能の劣化を防ぐための水酸化アルミニウムが添加さ
れていたが、その添加によって成形性が悪くなるという
問題があった。
縁性能の劣化を防ぐための水酸化アルミニウムが添加さ
れていたが、その添加によって成形性が悪くなるという
問題があった。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】変更
【補正内容】
【0027】本実施例の消弧体は、エポキシ変性メラミ
ン樹脂の含有量を従来より増やして靱性を上げたので、
耐衝撃強度が向上している。さらに、ガラス繊維の含有
量を従来より増やしたので、絶縁性能が向上し、消弧体
の消耗度が低減する。また、ガラス繊維の含有量を増や
したことにより、従来、絶縁性能の劣化を防ぐために添
加していた水酸化アルミニウムは添加していないので、
成形性が良くなる。そして、ガラス繊維の含有量増加に
よる消弧性能の劣化を補うために、ε−カプロラクタム
の含有量を従来より増やして消弧性能を向上させてい
る。さらに、セルロース繊維の含有量を従来より減らし
たので、カーボンが発生しにくくなった。
ン樹脂の含有量を従来より増やして靱性を上げたので、
耐衝撃強度が向上している。さらに、ガラス繊維の含有
量を従来より増やしたので、絶縁性能が向上し、消弧体
の消耗度が低減する。また、ガラス繊維の含有量を増や
したことにより、従来、絶縁性能の劣化を防ぐために添
加していた水酸化アルミニウムは添加していないので、
成形性が良くなる。そして、ガラス繊維の含有量増加に
よる消弧性能の劣化を補うために、ε−カプロラクタム
の含有量を従来より増やして消弧性能を向上させてい
る。さらに、セルロース繊維の含有量を従来より減らし
たので、カーボンが発生しにくくなった。
Claims (6)
- 【請求項1】 エポキシ変性メラミン樹脂を主成分とす
る成形材料により形成されたことを特徴とする消弧体。 - 【請求項2】 前記成形材料のエポキシ変性メラミン樹
脂の含有量を約50〜75重量%としたことを特徴とす
る請求項1記載の消弧体。 - 【請求項3】 ε−カプロラクタムを含有した請求項1
又は2記載の成形材料により形成されたことを特徴とす
る消弧体。 - 【請求項4】 ガラス繊維を含有した請求項1又は2記
載の成形材料により形成されたことを特徴とする消弧
体。 - 【請求項5】 ε−カプロラクタム及びガラス繊維を含
有した請求項1又は2記載の成形材料より形成されたこ
とを特徴とする消弧体。 - 【請求項6】 請求項1乃至5記載の消弧体を有してな
る回路遮断器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11510893A JPH06325653A (ja) | 1993-05-18 | 1993-05-18 | 消弧体及び回路遮断器 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11510893A JPH06325653A (ja) | 1993-05-18 | 1993-05-18 | 消弧体及び回路遮断器 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06325653A true JPH06325653A (ja) | 1994-11-25 |
Family
ID=14654438
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP11510893A Pending JPH06325653A (ja) | 1993-05-18 | 1993-05-18 | 消弧体及び回路遮断器 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH06325653A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101015334B1 (ko) * | 2008-12-31 | 2011-02-15 | 엘에스산전 주식회사 | 배선용 차단기의 아크 소호 장치 |
JP2018046027A (ja) * | 2017-12-26 | 2018-03-22 | パナソニックIpマネジメント株式会社 | 接点装置 |
WO2022003769A1 (ja) * | 2020-06-29 | 2022-01-06 | 三菱電機株式会社 | 消弧用絶縁材料成形体、回路遮断器、混合フィラーの製造方法および消弧用絶縁材料成形体の製造方法 |
-
1993
- 1993-05-18 JP JP11510893A patent/JPH06325653A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101015334B1 (ko) * | 2008-12-31 | 2011-02-15 | 엘에스산전 주식회사 | 배선용 차단기의 아크 소호 장치 |
JP2018046027A (ja) * | 2017-12-26 | 2018-03-22 | パナソニックIpマネジメント株式会社 | 接点装置 |
WO2022003769A1 (ja) * | 2020-06-29 | 2022-01-06 | 三菱電機株式会社 | 消弧用絶縁材料成形体、回路遮断器、混合フィラーの製造方法および消弧用絶縁材料成形体の製造方法 |
JPWO2022003769A1 (ja) * | 2020-06-29 | 2022-01-06 |
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