JPH0632310U - ポリエステル樹脂製瓶の底部構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】 耐荷重性及び耐熱性を改善した、ポリエステ
ル樹脂製の２軸延伸ブロー成形瓶の底部構造を提供する
ことを目的とする。 【構成】 ２軸延伸ブロー成形されたポリエステル樹脂
製瓶の底部構造であって、該瓶の側壁下端部に連なった
環状の底部かかと部２と、該底部かかと部２に囲まれた
陥凹部３と、該陥凹部３内に円環状且つ放射状に一定間
隔で配列するよう形成された複数個の第１の膨出部４で
あって截頭面が前記陥凹部３の表面から立ち上がる截頭
角錐の形状を有するものである膨出部と、該複数個の第
１の膨出部４の各々の間に放射状に配列するよう形成さ
れた、該第１の膨出部４より小なる第２の膨出部８とか
らなることを特徴とする底部構造。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、特有の底部構造を有するポリエステル樹脂製の２軸延伸ブロー成形 された瓶に関し、特に、底部における耐荷重性及び耐熱性を向上させたポリエス テル樹脂製２軸延伸ブロー成形瓶の底部構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来より清涼飲料水、天然果汁飲料等の容器として汎用されてきたガラス容器 に代わって、近年、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂製容器が 使用されつつある。ポリエステル樹脂製容器は、耐衝撃性及び破損した場合の安 全性、及び軽さ等の種々の利点を有する。しかしその一方、液体荷重のかかる場 合には変形し易く、長期の荷重によっては不可逆的な変形を生じる場合がある。 またガラスに比して著しく耐熱性に劣り、殺菌等のための加熱処理によっても変 形を生じ易い。特に２軸延伸ブロー成形瓶において、瓶底部の樹脂の延伸が不十 分となり易いことから、該部の耐荷重性、耐熱性が劣り、液体荷重若しくは加熱 又はこれらの双方によって、主として瓶底部に変形が生じる。このため例えば、 高温処理された内容物を充填したり、充填後殺菌等のために熱処理を施す必要の ある天然果汁用の瓶等の場合、瓶底部の変形の問題を生ずる。これらの問題を解 決すべく、従来ブロー成形瓶の底部を強化する方法が考案されている。

【０００３】 たとえば、瓶底部の延伸度を高める目的で底部の構造に関し種々の検討がなさ れてきた。特開昭６２−１４６１３７号には、瓶底部の凹入部に同心円状に連続 して瓶内部に向けて突出するように配列した複数の四角錐体の上面に沿った起伏 を備えた底部構造が開示されている。また、実開昭６１−１８３８０３号には、 瓶底部に瓶内部に向かって急激に陥没した傾斜壁と該傾斜壁に底部中央から放射 状に延びた多数の補強リブとを有する底部構造が開示されている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】 上記従来技術のうち前者においては、瓶内部に向けて突出するように配列した 複数の四角錐体に沿った起伏の角部の正確な成形が極めて困難であるため、所期 の効果を十分奏することができなかった。また、後者においては、底部の延伸度 が不十分であるため、耐熱性が不十分であった。更に、従来技術においては瓶底 部中央部の延伸度が極度に不足する傾向が強かった。

【０００５】 本考案は、これら従来技術の問題点を解決し、耐荷重性及び耐熱性を改善した ポリエステル樹脂製の２軸延伸ブロー成形瓶の底部構造を提供することを目的と する。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

すなわち、本考案は、２軸延伸ブロー成形されたポリエステル樹脂製瓶の底部 構造であって、該瓶の側壁下端部に連なった環状の底部かかと部と、該底部かか と部に囲まれた陥凹部と、該陥凹部内に円環状且つ放射状に一定間隔で配列する よう形成された複数個の第１の膨出部であって截頭面が前記陥凹部の表面から立 ち上がる截頭角錐の形状を有するものである膨出部と、該複数個の第１の膨出部 の各々の間に放射状に配列するよう形成された、該第１の膨出部より小なる第２ の膨出部とからなることを特徴とする底部構造を提供する。

【０００７】 本考案はかかる構成であるため、例えば従来技術の特開昭６２−１４６１３７ 号に開示のものと異なり、瓶底部の起伏に富む形状の成形が慣用のブロー成形技 術を用いて容易且つ確実に行われ、それによって瓶底部の樹脂の延伸度が飛躍的 に高められるため、底部の耐荷重性、耐熱性の点で優れた瓶を製造することを可 能にする。

【０００８】 本考案は更に、前記陥凹部の中央部であって前記複数個の第１の膨出部に囲ま れた領域に、その底部の内径が開口部の内径より小なる円錐台形状を有する中央 陥凹部を更に形成したことを特徴とする底部構造をも提供する。

【０００９】 該中央陥凹部の存在は、従来技術では十分な延伸ができなかった瓶底部中央部 における樹脂の延伸度を大幅に向上させるため、該部における耐荷重性と耐熱性 が高められ、底部全体としての耐荷重性、耐熱性をより一層高めた瓶の製造を可 能にする。

【００１０】 本考案において前記截頭角錐としては、截頭三角錐乃至截頭五角錐又はより多 くの角数を有する截頭角錐を適宜使用することができる。但し、成形の容易性、 確実性の観点からは、截頭三角錐及び截頭四角錐であることが一般的には好まし い。

【００１１】 また前記第１の膨出部の個数に特に限定はなく、瓶の大きさ、肉厚その他の実 施条件に応じて適宜決定することができる。例えば１Ｌ容量の瓶の場合、通常４ 乃至１０個とすることができる。また該膨出部の大きさにも特段の限定はなく、 実施条件に応じて適宜決定することができる。

【００１２】 また、前記第２の膨出部は、前記第１の膨出部と相似又は逆相似形状でもよく 、又は例えば紡錘形、砲弾形、涙形、半円柱状等の任意の形状とすることもでき る。該第２の膨出部は第１の膨出部による延伸度の向上を更に高めるとともに補 強リブとしての働きをも有する。

【００１３】

【作用】

本考案は以上のように、底部の延伸度の向上のために截頭角錐の形状を有する 膨出部を利用することから、特開昭６２−１４６１３７号に記載のような瓶内部 に向けて突出するように配列した複数の四角錐体に沿った起伏を用いる従来技術 に比して、成形を容易且つ確実に行うことができる。このため、本考案によれば 、瓶底部の成形工程が安定化し均一な品質の瓶を容易に製造することが可能であ る。また、実開昭６１−１８３８０３号に記載のような、瓶底部に瓶内部に向か って急激に陥没した傾斜壁と該傾斜壁に底部中央から放射状に延びた多数の補強 リブとを有する底部構造に比して、瓶底部の延伸度が飛躍的に高められる。更に 、従来極めて不十分であった底部中央部の延伸度を一層高めて該部を強化するこ ともできる。従って、本考案によれば従来技術に比して底部の耐荷重性及び耐熱 性に優れた２軸延伸ブロー成形瓶を提供することが可能である。

【００１４】

【実施例】

実施例１： 図１は本考案の実施例１の瓶底部において、該瓶底部を上に向けた状態で示す 。図１において、図２はその一部を拡大して示す。図において、１は瓶側壁の底 部付近の一部である。２は底部かかと部であって陥凹部３をとり囲んでおり、該 陥凹部３には６個の第１の膨出部４が形成されている。第１の膨出部４は截頭四 角錐の形状を有し、５はその截頭面であり陥凹部３の表面から立ち上がっている 。６及び７は截頭四角錐の側面である。また第１の膨出部４の各々間には第２の 膨出部８が形成されており、本実施例では紡錘形である。また９は円錐台形状の 中央陥凹部である。

【００１５】 図２は、瓶の中心軸を含み且つ紡錘形の第２の膨出部５の中央を通る平面にそ って切り取った断面図であり、符号の意味は図１と同様である。図１及び図２よ り明らかなように、中央陥凹部９は底部の内径が開口部の口径より小なる逆円錐 台形状を有する。

【００１６】 図３は、瓶の中心軸を含み且つ第１の膨出部の中央を通る平面に沿って切り取 った断面図であり、符号の意味は図１と同様である。

【００１７】 図４は、１個の第１の膨出部を含む底部構造の一部を切り取って拡大して示し た斜視図である。図において、１は瓶側壁、２は底部かかと部、３は陥凹部、４ は第１の膨出部、８は第２の膨出部、９は中央陥凹部であり、５は截頭四角錐の 截頭面、６及び７はその側面である。

【００１８】 本実施例は、以上の通りの構造になるから、既述のように底部の延伸度が高く 耐荷重性、耐熱性に優れ、また成形も容易且つ確実に行いうる。

【００１９】 実施例２： 図５は本考案の実施例２の１個の第１の膨出部を含む底部構造の一部を切り取 って拡大して示した斜視図である。１１は瓶側壁、１２は底部かかと部、１３は 陥凹部、１４は第１の膨出部である。第１の膨出部１４は截頭三角錐であり、１ ５はその截頭面、１６及び１７はその側面である。１８は第２の膨出部、１９は 中央陥凹部である。本実施例の形状は、第１の膨出部１４の形状を除き、実施例 １と同一である。

【００２０】 実施例３： 図６は本考案の実施例３の１個の第１の膨出部を含む底部構造の一部を切り取 って拡大して示した斜視図である。２１は瓶側壁、２２は底部かかと部、２３は 陥凹部、２４は第１の膨出部である。第１の膨出部２４は截頭五角錐であり、２ ５はその截頭面、２６及び２７はその側面である。２８は第２の膨出部、２９は 中央陥凹部である。本実施例の形状は、第１の膨出部２４の形状を除き、実施例 １と同一である。

【００２１】

【考案の効果】

本考案は、既述の作用を有するため、例えば天然果汁入り飲料のような高温の 内容液を充填したり、充填後殺菌のために高温シャワー等の熱処理をうける瓶そ の他、耐荷重性、耐熱性を要求される瓶の底部構造として広く使用するのに最適 な、強化された２軸延伸ブロー成形瓶の底部構造を提供する。

【図面の簡単な説明】

【図１】 実施例１の底部構造を示す斜視図。

【図２】 実施例１の底部構造の、瓶の中心軸を含み且
つ第２の膨出部の中央を通る平面に沿って切り取った断
面図。

【図３】 実施例１の底部構造の、瓶の中心軸を含み且
つ第１の膨出部の中央を通る平面に沿って切り取った断
面図。

【図４】 実施例１の１個の第１の膨出部を含む底部構
造の一部を切り取って拡大して示した斜視図。

【図５】 実施例２の１個の第１の膨出部を含む底部構
造の一部を切り取って拡大して示した斜視図。

【図６】 実施例３の１個の第１の膨出部を含む底部構
造の一部を切り取って拡大して示した斜視図。

【符号の説明】

１、１１、２１・・・瓶側壁、 ２、１２、２２・・・底部かかと部、 ３、１３、２３・・・陥凹部、 ４、１４、２４・・・第１の膨出部、 ５、１５、２５・・・截頭角錐の截頭面 ６、７、１６、１７、２６、２７、．．．截頭角錐の側
面 ８、１８、２８・・・第２の膨出部、 ９、１９、２９・・・中央陥凹部、

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】２軸延伸ブロー成形されたポリエステル樹
   脂製瓶の底部構造であって、該瓶の側壁下端部に連なっ
   た環状の底部かかと部と、該底部かかと部に囲まれた陥
   凹部と、該陥凹部内に円環状且つ放射状に一定間隔で配
   列するよう形成された複数個の第１の膨出部であって截
   頭面が前記陥凹部の表面から立ち上がる截頭角錐の形状
   を有するものである膨出部と、該複数個の第１の膨出部
   の各々の間に放射状に配列するよう形成された、該第１
   の膨出部より小なる第２の膨出部とからなることを特徴
   とする底部構造。
2. 【請求項２】前記陥凹部の中央部であって前記複数個の
   第１の膨出部に囲まれた領域に、その底部の内径が開口
   部の口径より小なる円錐台形状を有する中央陥凹部を更
   に形成したことを特徴とする、請求項１に記載の底部構
   造。
3. 【請求項３】前記截頭角錐が截頭三角錐又は截頭四角錐
   である、請求項１又は２に記載の底部構造。