JPH06321662A - コークス炉用れんがの製造方法と炉構造 - Google Patents

コークス炉用れんがの製造方法と炉構造

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JPH06321662A
JPH06321662A JP27220593A JP27220593A JPH06321662A JP H06321662 A JPH06321662 A JP H06321662A JP 27220593 A JP27220593 A JP 27220593A JP 27220593 A JP27220593 A JP 27220593A JP H06321662 A JPH06321662 A JP H06321662A
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雄司 成田
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修身 常世田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 長期間にわたって炭素付着、ワレの見られな
いコークス炉用れんがとその製造法を提供する。 【構成】 粒径0.01〜1.0 μmの酸化クロム、炭酸カル
シウムを含む珪素系またはジルコニウム系含浸液を2.5
〜100 mmHgの真空下でれんがに含浸させる。 【効果】 見掛気孔率が低く、緻密化され、熱間強度の
高いれんがが製造できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、窯炉の炉本体に使用す
る耐火れんがの改質方法とこれを用いたコークス炉の炉
壁構造に関するものである。より詳しくは、既存のれん
がに二次処理を施すことにより、れんがの性能向上を図
り、コークス炉の炉壁構造を強化したれんがの製造方法
とそのれんがを用いた炉壁構造に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、鉄鋼製造設備の大型化に伴ってコ
ークス炉も大型化され、生産性向上を図っているが、さ
らに省エネルギーやNOx 低減の観点から乾留時間の短
縮を図るため炭化室炉壁の厚さを薄くする傾向があり、
緻密で熱伝導性の高い珪石れんがが要求されている。な
お、以下にあって、「れんが」として珪石れんがを例に
とって説明する。
【0003】一方、コークス炉は、操業中に炉の内壁面
に乾留ガス起源のカーボンが付着し、強固なカーボン付
着層を形成するので、放置すれば窯入れ、窯出し時のト
ラブルの原因となるので、カーボンの付着しにくい緻密
なれんがが要求されている。
【0004】このような状況に対し、従来より緻密なれ
んがの製造方法、れんがを緻密化する処理方法、或いは
れんが表面の清浄性を維持する方法について種々の提案
がなされてきた。
【0005】緻密なれんが、例えば緻密な珪石れんがの
製造面では、CaO 、TiO2、MgO などの酸化物系原料を添
加する方法、或いはSiC 、SiN などの非酸化物を配合
し、焼成段階で酸化を促す方法などがある。しかし、こ
れらの方法では焼成での焼きむらが生じ易く、緻密化を
達成できても、耐火度や荷重軟化点の低下を伴うので、
十分な性能を維持できない。また、この方法では気孔分
布の調整も不十分である。
【0006】一方、珪石れんがを緻密化する処理方法と
しては、れんが表面域の気孔を密閉化するためにれんが
表面に適宜物質を塗布する方法とれんが中の気孔に適宜
物質を含浸する方法がある。
【0007】前者の方法としては、例えば、特公昭57−
27873 号公報に記載のフライアッシュを主成分とする塗
布材で処理する方法、あるいは特開昭59−174585号公報
に記載のように結晶性ガラスからなる釉層を設ける方法
がある。また、同様に釉層を設ける方法としては特開昭
63−236783号公報に記載の方法がある。これらの表面処
理材はいずれも、アルカリ、ZnO 、CaO 等を含む低融点
材であるので、むしろ母材である珪石れんがの耐火性を
悪化させる。その上、表面層は液相を含むため、逆にカ
ーボンの付着を助長し、しかも窯出し時のコークスケー
キとの摩擦で摩耗し、一過性の効果しか期待できない。
【0008】後者の含浸方法としては、例えば、マグネ
シア・ドロマイトれんがでは、吸湿防止のためにワック
スを含浸する場合がある。また、耐食性向上の観点から
コールタールを含浸することも周知の方法である。ま
た、コロイダルシリカ (シリカゾル) を含浸し、気孔中
にSiO2を残存させるように熱処理する方法も知られてい
る。しかし、その含有量は処理するれんがの重量に対し
て20重量%程度で、溶液の浸透量に比べて充填量が少な
く、十分な効果は得られないのが実情である。
【0009】理論的には、アルミナゾルの含浸も可能で
あるが、Al2O3 自体コークス炉の珪石れんがにとっては
石炭灰分に相当する化学成分で、長期使用の観点からは
低融点化あるいはSiO2のクリストバライト化の促進につ
ながり、好ましくない。また従来の含浸方法は、溶液に
浸漬するかあるいは浸漬後脱気する方法であるが、溶液
の物性によっては浸漬ムラが生じ易いことも判った。
【0010】次に、カーボンの付着を防止してれんがの
表面の清浄性を継持するための方法として、カーボンの
除去方法がある。例えば、特開昭61−231088号公報に
は、特殊なノズルでカーボンを燃焼除去する方法が開示
されている。また、研掃機で削り落とす方法もある。し
かし、これらは、付着カーボンそのものの除去には有効
であるが、二次的には母材れんがの損傷を併発し、長期
的には炉の堅牢性を損なうものである。このように、従
来より提案されている各種手段は未だ十分なものではな
く、実用上からは特に堅牢性にすぐれ長寿命化が可能な
手段が求められている。
【0011】ところで、一般に、気孔に酸化物を充填
し、緻密化することは、耐スポーリング性を損ない、強
度向上とは相反する処理である。しかし、気孔分布を細
孔化する方向で組織構成を変えられれば、緻密化と耐ス
ポーリング性を同時に満足し、かつ付着カーボンの生成
しにくい状態が得られる。また、含浸物質に離型作用を
付与できれば、炉壁れんがとして半永久的に使用でき、
経済性は著しく向上するが、現在そのような方法は確立
していない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】かくして、本発明の目
的は、乾留に対する伝熱特性がよく、操業中のカーボン
付着が抑制され、かつ高強度で堅牢な、コークス炉の主
として炭化室内壁面を構成するための、緻密化された珪
石れんがの製造方法、ならびにこれから構成された炉壁
構造を提供することである。
【0013】ここで、従来の珪石れんがによる炉壁構造
の問題点を整理すると次のようになる。 (i) 添加材の配合による緻密化は、耐火性など他の特性
の劣化を招き、気孔分布の調整も不十分である。 (ii)れんが表面を適宜物質で塗布することで封孔する方
法は、効果が一過性で、むしろそれによる二次的弊害が
大きい。 (iii) 気孔を含浸処理で封孔する方法は、残留成分量が
少なく、所要の気孔減少が達成できない。
【0014】特に、従来のれんが気孔に対する含浸処理
には以下に示す問題点がみられる。 含浸液に浸漬するのみではれんが中残留成分量が少な
く、含浸液に残留成分を大量に混合すると沈降が著し
く、かえって所要の気孔減少が達成できない。 残留成分の粒度調整により含浸液における沈降を軽減
しても、凝集が著しく、高粘性の液となり、含浸が不充
分となる。 れんがを浸漬して脱気減圧するとれんが中の空気の脱
気が著しく、含浸むらが生じ易く、それを防止するため
に長時間かけて脱気処理を行う必要がある。
【0015】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らが種
々検討した結果、既存の珪石れんがの気孔中に新たな方
法、手順により、セラミック系微粒子を含浸させて珪石
れんがの見掛気孔率を削減することにより、操業トラブ
ルの少ない堅牢な炉壁構造とすることができることが判
明した。特に、従来の溶液含浸にとどまらず、微粒子を
大量に含浸させることにより、気孔の効率的密閉化が達
成されるのである。
【0016】さらに、微粒子として粒度調整したCr2O3
とCaCO3 粉末を添加することにより、母材の耐火性を損
なうことなく気孔分布の細孔径化も達成できるので、耐
スポーリング性をも損なうことがないことも判明した。
ここに、微粒子を添加、分散する溶液として粘性調整し
たシリカゾルおよび/またはジルコニアゾルを用いるこ
とが有効である。
【0017】よって、本発明の要旨とするところは、平
均粒径0.01〜1.0 μmの酸化クロム粉および炭酸カルシ
ウム粉の1種もしくは2種を添加した常温における粘性
が50センチポアーズ以下の珪素系および/またはジルコ
ニウム系含浸液を2.5 〜100mmHg雰囲気圧力下で珪石れ
んがに含浸させることを特徴とする、コークス炉用珪石
れんがの製造方法、ならびに、炭化室内壁面の少なくと
も一部が、上記方法で製造された珪石れんがで構成され
ていることを特徴とする、コークス炉の炉壁構造にあ
る。
【0018】
【作用】次に、本発明にかかるコークス炉用SiO2系れん
が、つまり珪石れんがの製作工程を説明し、本発明の内
容をその作用とともに明らかにする。本発明で母材とし
て用いるれんがは、組成は特に限定されないが、好まし
くは見掛け気孔率が11〜30%のものを使用する。見掛け
気孔率が11%未満では、本発明の方法で含浸処理して
も、耐スポーリング性が低下し、また、見掛け気孔率が
30%を超えると、含浸効率が低下し、所望の効果が十分
に得られないことがあるからである。
【0019】このれんがを、酸化クロム粉および炭酸カ
ルシウム粉から選ばれた1種または2種からなる微粒子
を分散させた、珪素系もしくはジルコニウム系含浸液、
つまり珪素系もしくはジルコニウム系液状バインダーで
含浸する。このとき含浸液中に分散させる微粒子として
は、酸化クロム粉末か炭酸カルシウム粉末を単独で、ま
たはこれらの混合粉末を使用する。
【0020】クロムイオンは、れんが中のSiO2と反応し
ても高粘度の融液を生成するので、荷重軟化性への悪影
響は少ない。また、カルシウムイオンは、SiO2との反応
ではSiO2をトリジマイト化する性質を有し、急熱・急冷
に対する抵抗性を増すという作用を示す。
【0021】特に、本発明は、その好適態様によれば、
コロイド粒子域ないしはサブミクロン粒子域の即ち、気
孔径に対して微細かつ異なる粒子径の酸化物あるいは炭
酸化物を水に分散させた溶液を減圧脱気下にてれんが気
孔に浸透させて、れんがの気孔分布を細径化するれんが
の性状改善法である。
【0022】また、含浸される粒子の大なる酸化物ある
いは炭酸化物は、その大きさゆえに、コロイド粒子を気
孔内に封ずる役割を示し、その限りでは添加量は0.5 %
以上配合されると無添加の場合より封入効果は大きい。
【0023】これらの微粒子の粒度は、平均粒径で0.01
〜1.0 μmの範囲である。望ましくは最大粒子が5μm
未満とするのがよい。平均粒径が 1.0μmより大きい
と、珪石れんがの気孔中に円滑に侵入することが困難と
なり、ごく表層のみの浸透に終始し、径が30μm以下の
気孔には侵入できない。水を分散媒とした場合に平均粒
径が0.01μmより小さいと、分散させた時の凝集が激し
く、バインダー液中に効率的に分散させることが困難と
なる。
【0024】また、この微粒子を存在させずに、従来の
例えばシリカゾル (分散質の平均粒径が1〜100 nm) の
みをれんがに含浸させた場合には、液の含浸にすぎず、
粒子による実質的な充填率は低い。
【0025】この微粒子を分散させる分散媒としては、
常温での粘度が50CP (センチポアーズ) 以下の珪素系も
しくはジルコニウム系含浸液、つまり水系 (H2O)で珪素
化合物もしくはジルコニウム化合物を含む液状バインダ
ーを使用する。有機系バインダーの多くは蒸気圧が低く
実用に供しない。また50CP超と高粘性のものもあり、粘
性調整面でも実用に供しない。
【0026】珪素系もしくはジルコニウム系液状バイン
ダーを使用することにより、高耐火性のSiあるいはZrを
補うことができ、緻密化に寄与する。このような有用な
液状バインダーの例は、シリコーン油 (必要により有機
溶剤で希釈) 、シリカゾル、および珪酸ナトリウム水溶
液 (例、水ガラス) およびジルコニアゾルである。
【0027】特に、ジルコニアゾルではコロイド粒子
(ZrO2) はシリカゾルの場合のSiO2より質量が大きく、
粒子径も大きいため、レンガ組織中の気孔内に効率良く
含浸される。
【0028】シリカゾルやジルコニアゾルといった水系
の液体は、水の蒸気圧が高く、また水分蒸発過程で結晶
水や付着水が形成されるので、次の乾燥工程で水分が完
全に除去されるように注意を要する。
【0029】かかる液状バインダーは、常温での粘度が
50センチポアズ(cp)以下の範囲内のものである。粘度が
高すぎる時は、適当な希釈剤 (有機溶剤、水) で希釈し
て粘度を低下させる。
【0030】含浸液の粘性 (25℃) としては常態下では
25CP 以下2.5CP 以上、望ましくは15〜 5 CP の範囲に
調整するのがよい。したがって、添加する微粒子の配合
量によって任意に調整することができる。微粒子の配合
量は特に制限ないが、通常は60重量%以下を分散媒に均
一混合する。60%を超えると調合された含浸液の粘度が
増大し、充分な量の含浸を行うことが困難となる場合が
あるからである。この含浸液には、所望により、少量の
他の成分を存在させてもよい。添加しうる他成分の例と
しては、有機系分散剤 (例、デキストリン) がある。
【0031】このように調製した含浸液を真空下でれん
がに含浸させる。この含浸処理は、含浸液とれんがとを
真空槽に装入し、真空ポンプで脱気することにより、或
いは予めれんがを装入した真空槽を脱気してから、真空
度を維持しながら含浸液を投入することにより実施する
ことができる。含浸液投入前の真空槽の真空度はマノメ
ーターで 2.5〜100 mmHg (水銀柱高さでの表示) の範囲
とする。望ましくは、20〜50 mmHg 一定にするのが適当
である。100 mmHg超では、液の含浸が不充分となり易
い、また2.5 mmHg未満では実験室規模の処理では問題は
ないものの、実用規模では脱気に長時間を要し現実的で
ない。
【0032】したがって、理想的には、20mmHgまで一
旦、脱気し、含浸液を槽内に注入し、注入完了時に真空
度が50mmHg以内であれば均一な含浸処理が達成できる。
これ故、例えば、槽内液で浸漬した状態で真空脱気する
方法は、気孔率の大きいれんがの場合、含浸の均一性の
点で十分な効果を上げることができない。従来のタール
含浸に相当する、このような方法ではれんがからの空気
(ガス分) の放出と液の浸透が同時に同一れんがで生ず
るので、ミクロン〜サブミクロン粒子の浸透が気孔中の
泡立ちによって阻害され好ましくない。
【0033】この含浸処理は、れんがの少なくとも表層
から10mm以上に含浸液が浸透するように行う。含浸温度
は常温で十分であるが、所望により加熱してもよい。含
浸時間は通常は1時間以上であり、温度や処理するれん
がの寸法によって調整する。
【0034】含浸処理後、れんがを真空槽から取り出し
て、乾燥し、含浸液中の溶剤などの揮発性成分を除去す
る。乾燥は、加熱乾燥が望ましいが、溶剤の種類によっ
ては常温乾燥も可能である。
【0035】本発明の方法により含浸処理して製造され
た珪石れんがは、緻密化され、熱的および機械的性質が
未処理のれんがに比べて著しく向上するので、これをも
ってコークス炉の炭化室内の炉壁構造を構成することに
より、カーボンの付着が少なく、熱伝導率が高く、堅牢
なコークス炉の炭化室炉壁構造を形成することができ
る。さらに、含浸したバインダーや炭酸カルシウム粉
は、コークス炉操業開始時の昇温によって熱分解して微
細な気孔を形成するので、熱衝撃抵抗性が良好に保た
れ、耐スポーリング性の低下が起こらない。
【0036】従って、コークス炉炭化室の炉壁構造の少
なくとも一部(例えば、炭化室炉壁面中段域)、好まし
くは全部を本発明の方法で選ばれた珪石れんがで構成す
ることにより、熱伝導性が良好でトラブルが少なく、寿
命が従来より大幅に延長され、付着カーボンの除去処理
の不要なコークス炉炉壁構造が構築される。
【0037】なお、本発明方法は、珪石れんがの他に、
溶融石英質レンガあるいはアルミナ系、マグネシア系れ
んが等にも同様に適用可能である。この場合、含浸処理
と加熱処理との繰り返しにより気孔率はさらに低減可能
であるが、あくまでも所要の気孔量と効果に見合った処
理コストとのバランスによることは言うまでもない。
【0038】次に、実施例により本発明をさらに説明す
るが、本発明はこれらの実施例により制限されるもので
はない。
【0039】
【実施例】
〔実施例1〕平均粒径0.1 μmの炭酸カルシウム粉と、
平均粒径0.2 μmの酸化クロム粉とを1:9の重量比で
均一混合し、この混合粉末18%を、表1に示す液状バイ
ンダー82%と混合し、超音波振動で十分に撹拌して粉末
を均一に分散させ、含浸液を調合した。表1において、
比重および粘度の値は希釈後の値である。
【0040】
【表1】
【0041】見掛け気孔率21%の珪石れんがより、直径
50mm×長さ50mmの円柱体と25mm×25mm×140 mmの角棒体
の2種類の形状の試験片を切り出し、この両方の試験片
を10mmHgの真空度まで脱気し、この真空槽に上記含浸液
を投入し、れんが全体の気孔中に含浸液を浸透させた。
その後、真空度20mmHgを維持させて10分間浸漬した。そ
して含浸液から珪石れんがを取り出し、温風乾燥して、
含浸処理材を得た。
【0042】こうして得た含浸処理材を、試験のために
さらに乾燥機内で100 ℃で10時間乾燥してから、水銀圧
入法による気孔径分布と、1000℃での熱間曲げ強度とを
それぞれ測定した。測定結果を表2にまとめて示す。
【0043】目標値として見掛け気孔率16(%) 以下、シ
クロポア量0.08cc/g以下、平均気孔径10μm以下を設定
し、これらをすべて満足するものを合格とした。表2か
らわかるように、本発明により酸化クロムと炭酸カルシ
ウムの微粒子を分散させた含浸液で珪石れんがを含浸処
理すると、未処理の珪石れんがに比べて、見掛け気孔
率、ミクロポア量、平均気孔径のいずれも大幅に低下
し、組織の緻密化と細孔化が達成された。
【0044】
【表2】
【0045】〔実施例2〕実施例1に示した本発明例Ru
n No.2による珪石れんが処理材 (コロイダルシリカ溶液
をバインダーとする含浸処理材、但し、酸化クロム粉の
配合量を17重量%酸化カルシウム粉1.9 重量%として、
コロイダルシリカ固形分の濃度を変化させることにより
含浸液の粘性を変化させた。) と市販の緻密質珪石れん
が (見掛気孔率15.6%) とについて、熱サイクル試験を
行った。試験に先立って一連の含浸処理によって得たこ
の両者の試験材の気孔分布を図1に示す。
【0046】熱サイクル試験は、温度がそれぞれ900 ℃
と400 ℃に保持された二つの上下に連結された円筒形電
気炉内で、円筒形のれんが試験片を上下に往復させ、熱
衝撃を与えることで行った。
【0047】10サイクル熱衝撃を与えた後の試験片の表
面を割れの有無について目視観察した結果を、次の表3
に示す。なお、従来例として、特開昭59−174585号公報
に開示の方法に従って、低膨張性結晶性ガラスからなる
釉層で珪石れんがの表面を被覆した試験材についての同
一試験の結果も併せて示す。
【0048】未処理の従来例では熱衝撃により割れが生
じたのに対し、本発明の方法により含浸処理したもの
は、熱衝撃に耐え、割れを生じなかった。従って、本発
明の方法により耐熱衝撃性に優れた珪石れんがが製造さ
れることがわかる。比較例の低膨張性釉層で表面被覆し
たものは、熱衝撃で被覆が剥離し、被覆の役目を果たし
得ないことが判明した。
【0049】
【表3】
【0050】〔実施例3〕負荷率115 %で操業中のコー
クス炉A (炉容積48.5 m3 、50門) で、コークス側の端
フリュー底の積替え補修のため、約1.9 m2の広さで炉壁
の珪石れんがを切り開き、補修後に別個のれんがを差し
替えて炉壁を修復した。このときの差し替え用れんがと
して、本発明の方法により含浸処理した珪石れんが (実
施例2の処理材b)を適用し、空窯点検時に壁面状況を
割れとカーボンの付着について観察評価した。結果を、
従来の未処理の珪石れんが (見掛気孔率18%) で差し替
えた場合と共に、表4に示す。
【0051】
【表4】
【0052】上の結果から明らかなように、本発明によ
り含浸処理したものは、従来の珪石れんがに比べて、カ
ーボンの付着が少なく、また操業時の割れも少ないこと
が判明した。
【0053】〔実施例4〕実施例1に示した本発明例の
Run No.4による珪石れんが処理材 (ジルコニアゾル溶液
をバインダーとする含浸処理材、但し、酸化クロム粉の
配合量を15重量%、酸化カルシウム粉を2.0 重量%とし
て、コロイド粒子固形分の濃度を変化させることにより
含浸液の粘性を変化させた。) と市販の緻密質珪石れん
が (見掛気孔率15.6%) とについて、前述と同様の熱サ
イクル試験を行った。試験に先立って一連の含浸処理に
よって得たこの両者の試験材の気孔分布を図2に示す。
【0054】10サイクル熱衝撃を与えた後の試験片の表
面を割れの有無について目視観察した結果を、次の表5
に示す。なお、従来例として、特開昭59−174585号公報
に開示の方法に従って、低膨張性結晶性ガラスからなる
釉層で珪石れんがの表面を被覆した試験材についての結
果も併せて示す。また、 (ハ) の溶液は 30 %濃度のジ
ルコニアゾルと55%濃度のシリカゾルの混合液で粘性を
12〜15cps に調整した含浸液である。
【0055】未処理の従来例では熱衝撃により割れが生
じたのに対し、本発明の方法により含浸処理したもの
は、熱衝撃に耐え、割れを生じなかった。従って、本発
明の方法により耐熱衝撃性に優れた珪石れんがが製造さ
れることがわかる。比較例の低膨張性釉層で表面被覆し
たものは、熱衝撃で被覆が剥離し、被覆の役目を果たし
得ないことが判明した。
【0056】
【表5】
【0057】〔実施例5〕負荷率100 %で操業中のコー
クス炉A (炉容積48.5 m3 、50門) で、コークス側の端
フリュー底の積替え補修のため、約3.1 m2の広さで炉壁
の珪石れんがを切り開き、補修後に別個のれんがを差し
替えて炉壁を修復した。このときの差し替え用れんがと
して、本発明の方法により含浸処理した珪石れんが [実
施例4の処理材(ロ)]を適用し、空窯点検時に壁面状況を
割れとカーボンの付着について観察評価した。結果を、
従来の未処理の珪石れんが (見掛気孔率 18 %) で差し
替えた場合と共に、表6に示す。
【0058】
【表6】
【0059】上の結果から明らかなように、本発明によ
り含浸処理したものは、従来の珪石れんがに比べて、カ
ーボンの付着が少なく、また操業時の割れも少ないこと
が判明した。
【0060】
【発明の効果】本発明の方法により含浸処理すること
で、未処理の珪石れんがに比べて、見掛け気孔率が低く
著しく緻密化され、しかも熱間強度の高い強化された珪
石れんがを製造することができる。しかも、得られた珪
石れんがは、含浸処理により気孔径が小さくなるため、
含浸処理を施したにもかかわらず、耐熱衝撃性が未処理
品に比べて高まり、耐スポーリング性が向上する。従っ
て、本発明により、緻密でカーボン付着が少なく、熱伝
導性がよく、高強度で長寿命であり、耐スポーリング性
に優れた、コークス炉炭化室の炉壁を構成するための珪
石れんがを簡単に製造することができる。その結果、コ
ークス炉の操業効率が大幅に改善され、長期にわたり安
定したコークス炉操業が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】コロイダルシリカ溶液を用いた、本発明の方法
で得られた珪石れんが (本発明品) と未処理の市販緻密
質珪石れんが (市販品) の気孔分布を示すグラフであ
る。
【図2】同じくジルコニアゾル溶液を用いたときの気孔
分布を示すグラフである。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平均粒径0.01〜1.0 μmの酸化クロムと
    炭酸カルシウムの1種もしくは2種を添加した常温にお
    ける粘度が50センチポアーズ以下のケイ素含浸液および
    /またはジルコニウム系含浸液を、2.5 〜100 mm水銀柱
    の雰囲気圧力下においてれんがに含浸させることを特徴
    とするコークス炉用れんがの製造方法。
  2. 【請求項2】 炭化室内壁面の少なくとも一部が、請求
    項1記載の方法で製造されたれんがで構成されているこ
    とを特徴とする、コークス炉の炉壁構造。
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