JPH0632160U - パワースライド装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 組立作業を複雑化することなく、良好な作動
性を確保する。 【構成】 リードスクリュー18が、折曲自在なユニバー
サルジョイント28を介して、モータ16の駆動に連動可能
に連結されている。また、ナット20は、取付ブラケット
26を介して、アッパーレール12に固定されている。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、モータの駆動によって、アッパーレールをロアレールに対して前 後方向にスライドさせる湾曲形状のパワースライド装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

たとえば、モータの駆動制御のもとで、シートを前後方向にスライドさせる、 いわゆるパワースライド装置が、自動車等のシートのシートスライド装置として 、広く提供されている。

【０００３】 パワースライド装置は、通常のシートスライド装置と同様に、車床等の床面に 固定されるロアレールとシートに固定されるアッパーレールとを備え、アッパー レールが、転動子を介して、ロアレールにスライド可能に組み込まれている。そ して、たとえば、リードスクリュー、ナットの組み合わせ等を有する駆動機構の 作動によって、アッパーレールが、モータの駆動に連動してスライド可能、つま りはパワースライド装置が作動可能となっている。

【０００４】 ここで、自動車等のリヤシートに装着されるパワースライド装置として、たと えば、アッパーレール、ロアレールが対応する湾曲形状に形成され、シートを湾 曲形状に沿って揺動可能とした構成が知られている。

【０００５】 このような湾曲形状のパワースライド装置においては、ロアレールに対するア ッパーレールのスライドに伴って、リードスクリューに対するナットの上下位置 が変化するため、通常、ナットを上下移動可能に支持して、上下方向でのリード スクリューに対するナットの軌跡のずれを保障している。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

通常、ナットは、アッパーレールに一端の固定されたブラケットの長孔への、 ボルト等での螺着によって、上下方向にスライド可能に取付けられている。

【０００７】 しかし、このような構成においては、たとえば、ボルトを締め過ぎると、ブラ ケット、ナット間に過剰な摩擦力が作用するため、ブラケットに対するナットの スライドが円滑に行えなくなる。

【０００８】 そのため、ロアレールに対するアッパーレールのスライドに障害が生じ、パワ ースライド装置の作動不良を招く虞れがある。

【０００９】 また、これとは逆に、ナットに対するボルトの締め付けが弱いと、ブラケット に対するナットのガタつきが生じやすい。ナットのガタつきは、通常、異音を伴 い、その異音は着座者に不安感、不快感等を与えやすいため、着座者の快適性を 損なう虞れがある。

【００１０】 つまり、公知の構成においては、ブラケットに対するナットの円滑な上下移動 を確保するために、ボルトの締め付けに高い精度が要求され、その締め付け力（ トルク）の管理に厳格さが要求される。そのため、パワースライド装置の組立作 業が煩雑化しやすく、作業性の低下は避けられない。

【００１１】 この考案は、組立作業を複雑化することなく、良好な作動性を確保可能なパワ ースライド装置の提供を目的としている。

【００１２】

【課題を解決するための手段】

この目的を達成するために、この考案によれば、リードスクリューが、折曲自 在な連結手段を介して、モータの駆動に連動可能に連結されている。また、ナッ トは、アッパーレール、ロアレールのうち、モータに対する他方のレールに、取 付ブラケットを介して固定されている。

【００１３】

【実施例】 以下、図面を参照しながらこの考案の実施例について詳細に説明する。

【００１４】 図１、図２に示すように、この考案に係るパワースライド装置10においては、 シートの載置されるアッパーレール12が、車床等の床面に固定されるロアレール 14に対して、モータ16の駆動のもとでスライド可能に構成されている。

【００１５】 パワースライド装置10のアッパーレール12、ロアレール14は、たとえば、ロー ラ、スチールボール等の転動子（図示しない）を介して組み付けられ、転動子の 転動を伴って、アッパーレールがロアレールに対して前後方向にスライド可能と なっている。

【００１６】 なお、このようなアッパーレール12、ロアレール14の構成は公知であり、これ らの構成自体はこの考案の趣旨でないため、詳細に説明しない。

【００１７】 図１、図２に示すように、パワースライド装置10は、モータ16の駆動に連動可 能なリードスクリュー18と、リードスクリューの螺合可能なナット20とを更に備 えて構成されている。

【００１８】 モータ16として、通常、ＤＣギヤードモータが利用され、モータは、出力軸（ 図示しない）に連結されたギヤボックス22とともに、取付ブラケット24を介して ロアレール14に固定されている。

【００１９】 そして、ギヤボックス22に一端の連結されたリードスクリュー18が、ロアレー ル14に沿ったアッパーレール12のスライド方向、つまりはパワースライド装置10 の作動方向（図中左右方向）に延びて配設されている。

【００２０】 なお、ギヤボックス22は、通常、ウォームとウォームホイール（ともに図示し ない）の組み合わせ等を備えて形成されるが、その構成自体はこの考案の趣旨で ないため、ここでは詳細に説明しない。

【００２１】 また、ナット20は、たとえば、取付ブラケット26を介して、モータ16に対する 他方のレール、つまりはアッパーレール12に固定されている。

【００２２】 このような構成では、モータ16の駆動に伴う出力軸の回転によって、リードス クリュー18が、ギヤボックス22を介して対応する方向に回転される。すると、リ ードスクリュー18の回転方向に対応して、ナット20がリードスクリューに対して 螺進、螺退し、これによって、アッパーレール12が、ロアレール14に対して前後 方向にスライドされる。

【００２３】 ところで、乗用車等のリヤシートに装着されるパワースライド装置10として、 たとえば、図１、図２に示すようにアッパーレール12、ロアレール14が対応する 湾曲形状に形成され、アッパーレールが、形状に沿った湾曲状にスライド可能な 構成が知られている。このような構成では、アッパーレール12の湾曲状のスライ ドによって、ナット20がリードスクリュー18に対して上下方向に移動する。

【００２４】 そこで、この考案のパワースライド装置10においては、リードスクリュー18が 折曲自在な連結手段28を介してギヤボックス22、つまりはモータ16に連結されて いる。つまり、リードスクリュー18は、連結手段28を介して、ギヤボックス22に 対して折曲自在となっている。

【００２５】 連結手段28として、たとえば、一対のドライブ軸28a を十字状の連結ピン28b で連結した折曲自在の、いわゆるユニバーサルジョイントが利用できる。なお、 ユニバーサルジョイント（連結手段）28は既成の部材であり、その構成自体は公 知であるため、ここでは詳細に説明しない。

【００２６】 このような構成によれば、リードスクリュー18の折曲状態にも拘らず、モータ 16からの回転力がユニバーサルジョイント28を介して、リードスクリューに伝達 され、折曲状態を維持しながら、リードスクリューが回転される。

【００２７】 たとえば、図１に実線で示す位置をロアレール14に対するアッパーレール12の 初期位置と仮定する。そして、この初期位置から、リードスクリュー18に対して ナット20を螺退させ、アッパーレール12をロアレール14の後方（図中右方）に移 動させると、一点鎖線で示すように、アッパーレールの湾曲状のスライドによっ て、ナットが、初期位置より上昇する。

【００２８】 すると、図１に一点鎖線で示すように、リードスクリュー18が、ユニバーサル ジョイント28によって、ナット20に追従して回転しながら上方に折曲され、初期 位置でのリードスクリューの軸線に対するナットの軌跡のずれが保障される。

【００２９】 つまり、この考案のパワースライド装置10によれば、リードスクリュー18、ナ ット20間の軌跡のずれが、ユニバーサルジョイント28によるリードスクリューの 折曲によって保障されるため、ナットが取付ブラケット26に対して固定でき、取 付ブラケットに対して移動可能とするボルト等での支持が不要となる。

【００３０】 そのため、ナット20の取付けに対する高い精度が不要となり、組立作業時にお ける作業性が、十分に改善される。

【００３１】 そして、ユニバーサルジョイント28によって、リードスクリュー18がナット20 の昇降に追従して折曲されるため、リードスクリューに対するナットの円滑な螺 進、螺退が容易に得られる。そのため、ロアレール14に対するアッパーレール12 の良好なスライドが十分に確保でき、パワースライド装置10の作動性が確実に向 上される。

【００３２】 ここで、実施例においては、ユニバーサルジョイント28が連結手段として例示 されているが、折曲自在であるとともに、折曲状態でもモータ16の回転力をリー ドスクリュー18に伝達可能であれば足りるため、これに限定されず、他の連結手 段、たとえば、フレキシブルシャフト等によって、ギヤボックス22、リードクリ ュー間を連結してもよい。

【００３３】 しかしながら、ユニバーサルジョイン28によって、ギヤボックス22、リードス クリュー18間を連結すれば、ギヤボックスに対するリードスクリューの折曲が容 易に行えるとともに、折曲状態におけるリードスクリューの回転が円滑、容易に 得られるため、この点からも、パワースライド装置10の作動性が十分に向上され る。

【００３４】 なお、実施例においては、モータ16、リードスクリュー18がロアレール14に取 付けられるとともに、ナット20がアッパーレール12に対して取付けられている。 しかし、これとは逆に、モータ16、リードスクリュー18をアッパーレール12に、 ナット20をロアレール14にそれぞれ取付ける構成としてもよい。

【００３５】 また、実施例においては、自動車等のシートに適したパワースライド装置とし て具体化しているが、これに限定されず、たとえば、電車、飛行機、船舶等のシ ートのパワースライド装置に、この考案を応用してもよい。

【００３６】 上述した実施例は、この考案を説明するためのものであり、この考案を何等限 定するものでなく、この考案の技術範囲内で変形、改造等の施されたものも全て この考案に包含されることはいうまでもない。

【００３７】

【考案の効果】

上記のように、この考案に係るパワースライド装置によれば、リードスクリュ ー、ナット間の軌跡のずれが、連結手段によるリードスクリューの折曲によって 保障されるため、ナットが取付ブラケットに対して固定できる。そのため、ナッ トの取付けに対する高い精度が不要となり、組立作業時における作業性が、十分 に改善される。

【００３８】 そして、連結手段により、リードスクリューがナットの昇降に追従して折曲さ れるため、リードスクリューに対するナットの円滑な螺進、螺退が容易に得られ る。そのため、ロアレールに対するアッパーレールの良好なスライドが十分に確 保でき、パワースライド装置の作動性が確実に向上される。

【００３９】 また、連結手段をユニバーサルジョイントとすれば、ギヤボックスに対するリ ードスクリューの折曲が容易に行えるとともに、折曲状態におけるリードスクリ ューの回転が円滑、容易に得られるため、この点からも、パワースライド装置の 作動性が十分に向上される。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案に係るパワースライド装置の側面図で
ある。

【図２】パワースライド装置の斜視図である。

【符号の説明】

10 パワースライド装置 12 アッパーレール 14 ロアレール 16 モータ 18 リードスクリュー 20 ナット 26 取付ブラケット 28 連結手段（ユニバーサルジョイント）

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 対応する湾曲形状に形成され、転動子を
   介して、スライド可能に組み込まれた一対のアッパーレ
   ール、ロアレールと；アッパーレール、ロアレールのい
   ずれか一方に固定されたモータの駆動に連動するリード
   スクリューと；リードスクリューに螺合して、アッパー
   レール、ロアレールの他方に取付けられたナットと；を
   備え、リードスクリューの回転に伴う、リードスクリュ
   ーの軸線方向へのナットの移動によって、アッパーレー
   ルがロアレールに対して湾曲状にスライドするパワース
   ライド装置において、 リードスクリューが、折曲自在な連結手段を介してモー
   タに連動可能に連結されるとともに、ナットが、モータ
   に対する他方のレールに、取付ブラケットを介して固定
   されたことを特徴とするパワースライド装置。
2. 【請求項２】 連結手段が、ユニバーサルジョイントで
   ある請求項１記載のパワースライド装置。