JPH06320032A - 微粉砕機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】臨界回転数をなくし、投入した動力が粉砕力に
有効に変換される粉砕効率の良い微粉砕機を得る。 【構成】粉砕媒体と該粉砕媒体を収容して回転する粉砕
筒と粉砕筒の内部にあって、粉砕媒体を粉砕筒の内壁か
ら分離し、粉砕媒体の運動方向を変化させる案内板とを
必須とする微粉砕機。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、容器の内部に粉砕媒体
を有する粉砕機に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来の粉砕筒が回転し、その内部の粉砕
媒体同士もしくは粉砕媒体と粉砕筒内壁との衝突によっ
て、同じく内部の被粉砕物を粉砕する作用のある粉砕機
の代表的なものとしてボールミルが公知である。該ボー
ルミルにおいて、粉砕媒体は、鋼，セラミック等のボー
ルが使われ、粉砕筒の回転数を調節することで、ボール
は粉砕筒の内壁に沿って、ある点で落下する。落下した
ボールは他のボールとの衝突あるいは粉砕筒内壁との衝
突により、その間に介在する被粉砕物を粉砕する作用を
有している。

【０００３】しかし、粉砕筒の回転によってボールが持
ち上げられ、落下をするためには、遠心力と重力のつり
あいから、ある一定の回転数以上にその回転数を上げる
ことはできない。これは臨界回転数Ｎ_C とよばれ次式で
表される。 Ｎ_C ＝１３３７／√Ｄ Ｄ：粉砕筒直径（mm） もし、臨界回転数以上で運転するとボールと粉砕筒は同
時に回転し、ボールはその遠心力によって落下しなくな
り、即ち粉砕力を無くす。大きな粉砕力を得るために
は、大きな回転半径を有する粉砕筒が必要であるが、粉
砕筒を大きくすれば、これを駆動する動力も大きくな
り、動力の増加の割合程の粉砕効率の向上は期待できな
い。

【０００４】

【発明が解決しようとする問題点】本発明者等は、従来
のボールミルの粉砕力を向上させるために、種々検討し
た結果、臨界回転数を超えてもボールが落下するように
粉砕筒内に、該粉砕筒とは別に固定された案内板を設
け、ボールを粉砕筒内壁から分離し、その運動方向を変
更すれば、臨界回転数による粉砕力の限度が除かれるこ
とを見出し、本発明を完成したものである。

【０００５】

【問題を解決するための問題点】本発明は、粉砕媒体と
該粉砕媒体を収容して回転する粉砕筒の内部にあって、
粉砕媒体を粉砕筒の内壁から分離し、粉砕媒体の運動方
向を変化させる案内板とを必須とする微粉砕機である。
本発明の粉砕媒体はボールの他，棒状，四角柱であって
も使用することができる。該粉砕媒体は、粉砕筒の回転
により同時に粉砕筒の内壁との摩擦によって粉砕筒外径
の方向に向う遠心力が付与され、臨界回転数を超えると
粉砕筒と内壁に押し付けられて、粉砕筒と同速度で回転
するようになる。

【０００６】案内板は、粉砕筒内壁に押し付けられて回
転している粉砕媒体をその内壁より分離しその方向を変
更する機能を有し、この案内板の形状により粉砕力を調
節することが可能である。即ち、最も粉砕力を最大にす
るには、上方で分離した粉砕媒体を自然落下の方向に案
内板で変更して、粉砕筒内壁に衝突させるとよい。ま
た、案内板の位置を横方向に設置すれば、少なくとも自
然落下による位置エネルギーが減少することにより粉砕
力も少なくなる。

【０００７】図１及び図２によって本発明を詳細に説明
すると、固定軸１に取付けられた案内板２の中心と同心
に粉砕筒３が軸受によって支持されており、粉砕筒内３
に固定された歯車４は原動機の歯車５と噛み合ってい
る。従って、歯車５により歯車４，粉砕筒３が図１にお
いて反時計方向に回転するとボール６は同方向に回転す
るが、案内板２によって下方へ方向を変え、粉砕筒３の
壁面に衝突し粉砕が行われる。従って、粉砕筒３の周速
度とボール６の下方への運動速度はほぼ等しく、回転数
が高い程、ボール６の運動速度は高くなり粉砕エネルギ
ーは大きくなる。

【０００８】

【実施例・比較例】図１及び図２に示す本発明の微粉砕
機を用い、粉砕筒の回転数を40〜180r.p.mに変化させ、
銅−10亜鉛合金粉 (−100 メッシュ) を被粉砕物として
用い、最初の比表面積と２０分粉砕した後の比表面積を
比較し、その増加率を測定して表１に示す。なお、用い
た本発明の微粉砕機の粉砕筒の直径は 600 mm , 胴長が
300mm である。このため臨界回転数は 54.6 r.p.m と
なる。また。表１での動力は電流値から計算したもので
ある。なお、比較例として本発明の微粉砕機から案内板
をとり外して粉砕筒の回転数を 40 r.p.m , 80 r.p.mの
２種類について実施例と同じ条件で粉砕し、その比表面
積の増加率を測定して表１に同時に示す。

【０００９】

【表１】

【００１０】

【作用】本発明の微粉砕機は回転する粉砕筒の内部に回
転することのない案内板を設けて、粉砕筒の回転力によ
って回転する粉砕媒体をこの案内板によって強制的に下
方にその速度を変えることなく運動方向を変えることに
よって強い衝突力が得られる。また、この案内板によっ
て強制的に下方向に運動方向を変える作用があるので、
従来のボールミルのように臨界回転数は存在せず、技術
的に可能な限り回転数が上げられることにより強い粉砕
力が得られる。従って、従来のものよりも生産性の高い
微粉砕機である。

【００１１】

【発明の効果】本発明の微粉砕機は小形で強力な粉砕力
が得られることからエネルギー密度が高く、臨界回転数
が存在しないことにより、投入した動力が粉砕力に有効
に変換されることから粉砕効率も向上する効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の微粉砕機の正面図である。

【図２】本発明の微粉砕機の側面図である。

【符号の説明】

１ 固定軸 ２ 案内板 ３ 粉砕筒 ４ 歯車 ５ 歯車 ６ ボール

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 粉砕媒体と該粉砕媒体を収容して回転す
   る粉砕筒と粉砕筒の内部にあって、粉砕媒体を粉砕筒の
   内壁から分離し、粉砕媒体の運動方向を変化させる案内
   板とを必須とする微粉砕機。