JPH0631090A - ドラム式洗濯機用防振ダンパー装置 - Google Patents

ドラム式洗濯機用防振ダンパー装置

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JPH0631090A
JPH0631090A JP4191815A JP19181592A JPH0631090A JP H0631090 A JPH0631090 A JP H0631090A JP 4191815 A JP4191815 A JP 4191815A JP 19181592 A JP19181592 A JP 19181592A JP H0631090 A JPH0631090 A JP H0631090A
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勝彦 角谷
Eiji Matsuda
栄治 松田
Katsuaki Yoshida
勝昭 吉田
Shunichi Iwakiri
俊一 岩切
Tomeo Fuse
留夫 布施
Teiji Suka
貞次 須加
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    • F16F13/007—Units comprising springs of the non-fluid type as well as vibration-dampers, shock-absorbers, or fluid springs comprising both a wound spring and a damper, e.g. a friction damper the damper being a fluid damper
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 緩衝能力が可変可能なダンパーにより脱水行
程時に床面へ伝わる振動を最小限とするドラム式洗濯機
用ダンパー装置を提供することを目的とする。 【構成】 ドラム式洗濯機において、防振ダンパー２７
は、油室を形成するシリンダー３２とピストン３６とピ
ストンロッド３５からなる緩衝力を発生する緩衝装置
と、ピストンロッド３５を摺動自在に保持するとともに
脱水行程起動時にはピストンロッド３５をロック状態と
し共振状態を通過した後はピストンロッド３５をアンロ
ック状態にするロッド保持装置４０とを有し、前記ピス
トンロッド３５の摺動自在な範囲はドラム２１の所定脱
水回転数における水槽振幅以上としたものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は水平軸回りに回転駆動さ
れるドラムで洗濯物の洗濯と遠心脱水とを行なうドラム
式洗濯機用防振ダンパー装置に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】従来のドラム式洗濯機と防振ダンパーは
図６，図７に示すような構成である。図において、１は
ドラムであり、外周部に多数の通水孔２を設けている。
３はドラム１を内包し洗濯水を溜める水槽である。４は
ドラム１を回転駆動するモータ、５は一端をドラム１の
回転中心に固定した水平軸、６は水平軸５の他端に設け
たドラムプーリ、７はモータ４とドラムプーリ６を連結
するベルトである。８は水槽３を本体９より吊下げるバ
ネ体、１０は水槽３に設けた脱水時の振動を低減するた
めの重りである。１１は水槽３の振動を減衰させる防振
ダンパーであり、詳しくは、図７に示すように、シリン
ダー１２と、摺動部材１３を備えたピストン１４と、ピ
ストンロッド１５と、水槽３と本体９に取り付ける取付
部材１６，１７を有している。
【０００３】上記構成において、洗濯工程時にはドラム
１はモータ４により低速回転駆動され、ドラム１内の洗
濯物を持ち上げ水面上に落下させて洗濯を行なう。すす
ぎ工程時においても洗濯工程と同様に行なう。脱水工程
時には、ドラム１を高速回転させて衣類の脱水を行う。
このときドラム１内の衣類の片寄り、すなわちアンバラ
ンスが生じるとドラム１および水槽３は振動し、特に脱
水起動時における共振により生じる大きな振動を、緩衝
力の非常に大きな防振ダンパー１１を用いることにより
共振時の振動振幅を低減している。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】上記従来のドラム式洗
濯機では、脱水時にドラム１内の衣類が偏ったとき、水
槽３が大きく振動する。特に、脱水起動時における共振
によって水槽３は非常に大きく振動する。従来の防振ダ
ンパー１１の緩衝能力は、起こりうる衣類の最大アンバ
ランスに対しても、過度の水槽３の振動を防ぎ所定の振
動以下に抑えるため、非常に大きくする必要があった。
したがって、防振ダンパー１１を介して水槽３の振動が
本体９に非常に伝わりやすく、さらには洗濯機を設置し
ている床面に大きな振動を伝える。これにより床面が大
きく振動し、木造家屋においては家屋全体が振動し出す
とともに使用者に不快感を与え、騒音面でも大きな問題
がある。
【０００５】そこで本発明は緩衝能力が可変可能な防振
ダンパーにより、所定脱水回転時に振動が床面へ伝わる
のを最小限とすることを第一の目的としている。
【０００６】第二の目的は脱水起動時・脱水停止移行時
の水槽振幅を確実に抑えるようにしたことである。
【０００７】第三の目的は脱水起動時・脱水停止移行時
の水槽振幅を確実に抑えるとともに騒音の発生を無くす
ことである。
【０００８】第四の目的は所定脱水回転時において確実
に床面へ伝わる振動を最小限とするとともに騒音の発生
を無くすことである。
【０００９】第五の目的は所定脱水回転時において確実
に床面へ伝わる振動を最小限とすることである。
【００１０】第六の目的は信頼性の高い防振ダンパーを
提供することである。第七の目的は騒音の発生を最小限
とする防振ダンパーを提供することである。
【００１１】
【課題を解決するための手段】上記第一の目的を達成す
るために本発明のドラム式洗濯機用防振ダンパー装置
は、外周に通水孔を設けたドラムと、ドラムを内包し洗
濯水を溜める水槽と、前記ドラムを回転駆動するモータ
と、前記水槽を収容する本体と、前記水槽を本体から吊
すバネ体と、水槽と本体間に取り付けて水槽の振動を抑
制する防振ダンパーとを備え、前記防振ダンパーは、油
室を形成するシリンダーとピストンとピストンロッドか
らなり緩衝力を発生する緩衝装置と、前記ピストンロッ
ドを摺動自在に保持するとともに脱水行程起動時にはピ
ストンロッドをロック状態とし共振状態を通過した後は
ピストンロッドをアンロック状態にするロッド保持装置
とを有し、前記ピストンロッドの摺動自在な範囲は前記
ドラムの所定脱水回転数における水槽振幅以上としたも
のである。
【００１２】また第二の目的を達成するために本発明の
ドラム式洗濯機用防振ダンパー装置は、ピストンロッド
の摺動自在な範囲をドラムの脱水停止移行時における水
槽振幅以下としたものである。
【００１３】また第三の目的を達成するために本発明の
ドラム式洗濯機用防振ダンパー装置は、ピストンロッド
の切り欠き部とロックピン先端をそれぞれテーパ形状と
したものである。
【００１４】また第四の目的を達成するために本発明の
ドラム式洗濯機用防振ダンパー装置は、ロッド保持装置
にはピストンロッドが摺動時にその摺動位置を制限する
バイアスバネを設けたものである。
【００１５】また第五の目的を達成するために本発明の
ドラム式洗濯機用防振ダンパー装置は、ロックピンをソ
レノイドにより駆動し、ソレノイドのプランジャーとロ
ックピンは樹脂材料よりなるジョイントにより締結した
ものである。
【００１６】また第六の目的を達成するために本発明の
ドラム式洗濯機用防振ダンパー装置は、ロッド保持装置
にはピストンロッドの切り欠き部をはさんで一対の軸受
け材を設け、一対の軸受け材とピストンロッドの切り欠
き部間の距離はピストンロッドの摺動自在範囲以上とし
たものである。
【００１７】また第七の目的を達成するために本発明の
ドラム式洗濯機用防振ダンパー装置は、ロッド保持装置
のロックピン摺動部に樹脂材料よりなるロックピン軸受
け材を設けたものである。
【００１８】
【作用】ドラム式洗濯機では、脱水行程を開始しドラム
の回転数が徐々に上がって行き共振状態となった時、水
槽の振動振幅は最大となる。その後ドラムの回転数が上
がるにつれ、水槽の振動振幅は徐々に小さくなり所定の
脱水回転数となった時に最小となる。第一の本発明のド
ラム式洗濯機用防振ダンパー装置は、脱水行程起動時に
は、ロッド保持装置によりピストンロッドをロック状態
としているため、防振ダンパーは緩衝力の大きなものと
して動作し共振状態時の水槽振動振幅が過度に大きくな
ることを防ぐことができる。共振状態を通過した後、ロ
ッド保持装置によりピストンロッドをアンロック状態と
して、防振ダンパーの緩衝力を極めて小さなものとして
いる。さらに、ピストンロッドの摺動自在な範囲は所定
の脱水回転数における水槽振幅以上としているため、大
きな緩衝力を発生するピストンは動作せず、所定の脱水
回転数における防振ダンパーの緩衝力は常に極めて小さ
くなり、防振ダンパーを介して床面に伝わる振動を大き
く低減することができる。
【００１９】第二の本発明のドラム式洗濯機用防振ダン
パー装置は、脱水停止移行時にドラムの回転が小さくな
り、共振回転数に達した時に水槽の振動振幅は再び大き
くなるが、所定の脱水回転数においては床面へ伝わる振
動を低減するために、ロッド保持装置によりピストンロ
ッドをアンロック状態としている。しかし、脱水停止時
における水槽の過度の振動を防ぐため、脱水停止時に確
実にピストンロッドの切り欠き部にロックピンを係合し
ピストンロッドをロック状態とする必要がある。ところ
でピストンロッドの摺動自在な範囲はドラムの脱水停止
時における水槽振幅以下としているため、ロックピンは
必ずピストンロッドの切り欠き部上を通過することとな
り、確実にピストンロッドをロック状態とすることがで
きる。これにより、脱水停止時における水槽の過度の振
動を防ぐことができ、また次回の脱水起動時における水
槽の過度の振動をも確実に防ぐことができる。
【００２０】第三の本発明のドラム式洗濯機用防振ダン
パー装置は、ピストンロッドの切り欠き部とロックピン
先端をテーパ形状としているため、ピストンロッドの切
り欠き部幅は大きく、ロックピンの先端寸法は小さくな
る。このため、ロックピンをピストンロッドの切り欠き
部に容易に係合することが可能となり、脱水停止時にお
ける水槽の過度の振動を防ぐことができ、また次回の脱
水起動時における水槽の過度の振動をも確実に防ぐこと
ができる。さらに、ロックピン係合後のロック状態の
時、ロックピンはピストンロッドの切り欠き部と隙間な
く嵌合することが可能となり、ロックピンのガタによる
騒音発生を無くすことが可能となる。
【００２１】第四の本発明のドラム式洗濯機用防振ダン
パー装置は、所定の脱水回転数においては床面へ伝わる
振動を低減するために、ロッド保持装置によりピストン
ロッドをアンロック状態としている。この時、ピストン
ロッドは摺動自在となっており、脱水時の振動によりピ
ストンが徐々に落下し、最後には摺動自在な範囲を超え
ピストンロッドが底当たりし大きな騒音を発生するとと
もに、床面に伝わる振動も非常に大きくなる。しかしな
がら、この構成ではピストンロッドのアンロック時、バ
イアスバネによりピストンロッドを常に一定の位置にく
るよう小さな力をかけている。したがって、ピストンロ
ッドのアンロック時における底当たりが無くなり、騒音
と床面に伝わる振動を大きく低減できる。
【００２２】第五の本発明のドラム式洗濯機用防振ダン
パー装置は、所定の脱水回転数においては床面へ伝わる
振動を低減するために、ソレノイドによりプランジャー
とジョイントを介してロックピンを駆動し、ピストンロ
ッドをアンロック状態としている。この時、ジョイント
は樹脂材料より形成しているため、ソレノイドの磁力は
遮断されロックピンとピストンロッドが吸引されること
がない。このため、常に確実にピストンロッドをアンロ
ック状態とすることが可能となり、所定脱水回転数にお
いて確実に床面へ伝わる振動を最小限とすることができ
る。
【００２３】第六の本発明のドラム式洗濯機用防振ダン
パー装置は、ピストンロッドを摺動自在とするためには
ロッド保持装置にはピストンロッド用の軸受け材を必要
とするが、軸受け材とピストンロッドの切り欠き部間の
距離をピストンロッドの摺動自在な範囲以上としている
ため、ピストンロッドが摺動自在時において切り欠き部
が軸受け材まで達することがない。このため、ピストン
ロッドの切り欠き部が軸受け材を削ったり損傷すること
がなくなり、信頼性の高い防振ダンパーを実現できる。
【００２４】第七の本発明のドラム式洗濯機用防振ダン
パー装置は、ピストンロッドがロック状態の時、ロック
ピンはピストンロッドを介して上下に大きな力を受け
る。この時、ロックピン摺動部に樹脂材料よりなるロッ
クピン軸受け材を設けているため、ロックピンとロック
ピン軸受け材との間に多少の間隙が存在しても、発生す
る騒音を極めて低く抑えることが可能となる。
【００２５】
【実施例】以下、本発明の一実施例を添付図面にもとづ
いて説明する。図１および図２において、１８はドラム
式洗濯機の本体、１９は本体１８の前面に開閉自在に設
けた衣類投入ふた、２０は水平軸回りに回転駆動される
ドラム２１を内包し洗濯水を溜める水槽、２１ａはドラ
ム２１の外周に設けた通水孔、２２は水槽２０を貫通し
一端をドラム２１の回転中心に固定した水平軸、２３は
水平軸２２の他端に設けたドラムプーリ、２４はドラム
プーリ２３を駆動するモータ、２５はモータ２４とドラ
ムプーリ２３とを連結するベルト、２６は水槽２０を本
体１８に吊り下げるバネ体、２７は振動を減衰させるた
め水槽２０と本体１８間に取り付けた防振ダンパーであ
り、本実施例ではその緩衝能力を大きい状態と小さい状
態に任意に可変可能な構成となっている。２８は水槽２
０の振動を抑制する重り、２９は洗濯水加熱用のヒー
タ、３０は制御装置であり、モ−タ２４・防振ダンパー
２７・ヒータ２９およびその他の制御を行なう。３１は
水槽２０に設けた振動検知装置であり、本実施例では加
速度センサーを利用して振動振幅を検知している。
【００２６】前記防振ダンパー２７は図３に詳細構成を
示すとおり、シリンダー・ピストン・ピストンロッドか
らなり緩衝力を発生する緩衝装置と、ピストンロッドを
摺動自在に装着する摺動機構と、脱水行程起動時にはピ
ストンロッドをロック状態とし共振状態を通過した後は
ピストンロッドをアンロック状態にするロッド保持装置
からなる。前記緩衝装置は、油室を形成するシリンダー
３２の一端部側からオイルシール３３およびロッドガイ
ド３４を介してピストンロッド３５を挿通し、このピス
トンロッド３５の先端部にはシリンダー３２の内周面に
摺接するピストン３６を固着して、シリンダー３２内を
２つの油室に画成している。またピストン３６には緩衝
力発生用油路３７を形成している。シリンダー３２の一
端には水槽２０に取り付けるための取り付け部材３８を
固着している。
【００２７】またロッド保持装置４０は、ピストンロッ
ド３５の他端部を摺動自在に保持するとともに本体１８
に取り付けるため取り付け部３９を備えている。ロッド
保持装置４０内に挿入されるピストンロッド３５の端部
にはＥリング４１を装着し、このＥリング４１よりも中
間部寄りのピストンロッド３５にはテーパ形状をなす切
り欠き部４２を形成している。
【００２８】ロッド保持装置４０側部には、ソレノイド
４３を取り付け、ソレノイド４３のプランジャー４４に
は樹脂材料よりなるジョイント４５を介してロックピン
４６を取り付けている。ロックピン４６はピストンロッ
ド３５の切り欠き部４２に係合可能とし、その先端はテ
ーパ形状としている。ロックピン４６は付勢バネ４７に
より、切り欠き部４２に係合状態とし、通常はピストン
ロッド３５をロック状態とし、ソレノイド４３への通電
によりアンロック状態にしている。
【００２９】上記構成によって、ピストンロッド３５と
ロッド保持装置４０とをロックおよびアンロック状態に
するロック機構を構成している。またロッド保持装置４
０のピストンロッド３５の摺動部には、切り欠き部４２
をはさんで一対の軸受け材４８ａ，４８ｂを設け、ピス
トンロッド３５を極めて軽く摺動させる摺動機構を構成
している。
【００３０】またロッド保持装置４０のロックピン摺動
部には樹脂材料よりなるロックピン軸受け材４９を設け
ている。さらにＥリング４１の両側にはピストンロッド
３５の摺動時にその摺動位置を制限するバイアスバネ５
０ａ、５０ｂを設けている。
【００３１】前記振動検知装置３１と制御装置３０およ
び各部との関係は図４のブロック図に示すとおりであ
る。
【００３２】そして、アンロック状態時におけるピスト
ンロッド３５の摺動自在な範囲Ｌはドラム２１の脱水定
常時の水槽振幅Ｌｔ以上としている。また、ピストンロ
ッド３５の摺動自在な範囲Ｌはドラム２１の脱水停止移
行時の水槽振幅Ｌｓ以下としている。一対の軸受け材４
８ａ，４８ｂとピストンロッド３５の切り欠き部４２間
の距離Ｓは、ピストンロッド３５の摺動自在な範囲Ｌ以
上としている。
【００３３】次にこの一実施例における動作を説明す
る。洗濯を開始すると、水槽２０に所定量給水され所定
温度になるまでヒータ２９に通電される。このとき、ド
ラム２１はモータ２４により低速回転駆動され、ドラム
２１内の衣類を持ち上げ水面上に落下させて洗濯を行
う。洗濯行程終了後、洗濯水を排水し所定回数のすすぎ
を行いすすぎ行程が終了する。脱水行程ではドラム２１
はモータ２４により高速回転駆動され衣類の遠心脱水を
行う。脱水起動時は起こりうるアンバランス量が最大と
なることを想定し、制御装置３０により防振ダンパー２
７をロック状態とし緩衝能力を大としている。すなわち
本実施例では図５（ａ）に示すようにソレノイド４３に
通電せず、ロックピン４６を付勢バネ４７によりピスト
ンロッド３５の切り欠き部４２に係合状態とし、防振ダ
ンパー２７を大きな摩擦力を伴うオイルダンパーとして
動作させる。この状態で水槽２０の共振回転数を通過さ
せ、共振時における水槽２０の過度の振動を防ぐことが
可能となる。その後、約４００ｒｐｍの所定回転数に達
したとき、振動検知装置３１の出力、すなわち水槽の振
動を検知し、このときの水槽２０の振動振幅により最終
脱水回転数を決定する。
【００３４】そして、図５（ｂ）に示すソレノイド４３
に通電し防振ダンパー２７をアンロック状態とする。脱
水定常時の最終脱水回転数に達した時、ピストンロッド
３５の摺動自在な範囲Ｌはドラム２１の所定脱水回転数
における水槽振幅Ｌｔ以上としているため、ピストンロ
ッド３５は摺動抵抗のみの極弱い抵抗力で振動すること
となり、防振ダンパー２７を介して床面に伝わる振動を
大きく低減することが可能となる。
【００３５】脱水停止移行時、すなわち脱水行程が終了
しモータ２４の通電を停止した時には、ドラム２１の回
転が徐々に低下する。そして約４００ｒｐｍの所定回転
数に達した時に、ソレノイド４３の通電を停止すると、
ロックピン４６は付勢バネ４７によりピストンロッド３
５に付勢される。この時、ピストンロッド３５の切り欠
き部４２とロックピン４６の位置関係が一致していない
状況が存在する。この場合、防振ダンパー２７をロック
状態とすることができない。しかしながら、さらにドラ
ム２１の回転数が低下し共振状態に近づき、水槽２０の
振動振幅が大きくなってくると、ピストンロッド３５の
摺動自在な範囲Ｌを脱水停止移行時における水槽振幅Ｌ
ｓ以下としているため、ピストンロッド３５の切り欠き
部４２とロックピン４６の位置関係が必ず一致する状況
となり、ピストンロッド３５の切り欠き部４２に係合状
態とすることができる。これにより、確実に防振ダンパ
ー２７をロック状態とすることができ、脱水停止移行時
の共振状態における水槽２０の過度の振動を防ぐことが
可能となる。
【００３６】また、次回の脱水起動時においてはすでに
防振ダンパー２７はロック状態となっているため、脱水
起動時の水槽２０の過度の振動をも確実に防ぐことがで
きる。
【００３７】また、防振ダンパー２７をロック状態とす
る際に、ピストンロッド３５の切り欠き部４２とロック
ピン４６先端はテーパ形状としているため、ピストンロ
ッド３５の切り欠き部４２の幅は大きく、ロックピン４
６の先端寸法は小さくなる。このため、ロックピン４６
をピストンロッド３５の切り欠き部４２に容易に係合す
ることが可能となり、脱水停止移行時における水槽の過
度の振動を防ぐことができ、また次回の脱水起動時にお
ける水槽２０の過度の振動をも確実に防ぐことができ
る。
【００３８】また、ロックピン４６の係合後のロック状
態の時、ロックピン４６はピストンロッド３５の切り欠
き部４２と隙間なく嵌合することが可能となり、ロック
ピン４６とピストンロッド３５のガタによる騒音発生を
無くすことが可能となる。
【００３９】また、所定の脱水回転数においては床面へ
伝わる振動を低減するために、ロッド保持装置４０によ
りピストンロッド３５をアンロック状態としている。こ
の時、ピストンロッド３５は摺動自在となっており、脱
水時の振動によりピストン３６が徐々に落下し、最後に
は摺動自在な範囲を超えピストンロッド３５が底当たり
し大きな騒音を発生するとともに、床面に伝わる振動も
非常に大きくなる。しかしながら、ロッド保持装置４０
にはピストンロッド３５が摺動自在時にその摺動位置を
制限するバイアスバネ５０ａ，５０ｂを設けており、ピ
ストンロッド３５がアンロック時、バイアスバネ５０
ａ，５０ｂによりピストンロッド３５を常に一定の位置
にくるよう小さな力をかけている。したがって、ピスト
ンロッド３５のアンロック時における底当たりが無くな
り、騒音と床面に伝わる振動を大きく低減できる。
【００４０】また、所定の脱水回転数においては床面へ
伝わる振動を低減するために、ソレノイド４３によりプ
ランジャー４４とジョイント４５を介してロックピン４
６を駆動し、ピストンロッド３５をアンロック状態とし
ている。この時、ジョイント４５は樹脂材料より形成し
ているため、ソレノイド４３の磁力は遮断されロックピ
ン４６とピストンロッド３５が吸引されることがない。
このため、常に確実にピストンロッド３５をアンロック
状態とすることが可能となり、所定脱水回転数において
確実に床面へ伝わる振動を最小限とすることができる。
【００４１】また、ピストンロッド３５を摺動自在とす
るためにはロッド保持装置４０にはピストンロッド３５
用の軸受け材４８ａ，４８ｂを必要とする。軸受け材４
８ａ，４８ｂとピストンロッド３５の切り欠き部４２間
の距離Ｓをピストンロッド３５の摺動自在範囲Ｌ以上と
しているため、ピストンロッド３５が摺動自在時におい
て切り欠き部４２が軸受け材４８ａ，４８ｂまで達する
ことがない。このため、ピストンロッド３５の切り欠き
部４２が軸受け材４８ａ，４８ｂを削ったり損傷するこ
とがなくなり、信頼性の高い防振ダンパーが実現でき
る。
【００４２】さらに、ピストンロッド３５がロック状態
の時、ロックピン４６はピストンロッド３５を介して上
下に大きな力を受ける。この時、ロックピン４６の摺動
部に樹脂材料よりなるロックピン軸受け材４９を設けて
いるため、ロックピン４６とロックピン軸受け材４９と
の間に多少の間隙が存在しても、発生する騒音を極めて
低く抑えることが可能となる。
【００４３】
【発明の効果】以上のように本発明はドラム式洗濯機に
おいて、防振ダンパーのピストンロッドの摺動自在な範
囲を、ドラムの所定脱水回転数における水槽振幅以上と
することにより、所定脱水回転数の床面へ伝わる振動を
最小限とするものである。
【００４４】さらに本発明は、防振ダンパーのピストン
ロッドの摺動自在な範囲はドラムの脱水停止移行時にお
ける水槽振幅以下とすることにより、脱水起動時・脱水
停止移行時の水槽振幅を確実に抑える構造を実現できる
ものである。
【００４５】さらに本発明は、防振ダンパーのピストン
ロッドの切り欠き部とロックピン先端はテーパ形状とす
ることにより、脱水起動時・脱水停止移行時の水槽振幅
を確実に抑え騒音の発生を無くすものである。
【００４６】さらに本発明は、防振ダンパーのロッド保
持装置にはピストンロッドの摺動時にその摺動位置を制
限するバイアスバネを設けることにより、所定脱水回転
数において確実に床面へ伝わる振動を最小限とし、騒音
の発生を無くすことができるものである。
【００４７】さらに本発明は、防振ダンパーのロックピ
ンはソレノイドにより駆動し、ソレノイドのプランジャ
ーとロックピンは樹脂材料よりなるジョイントにより締
結することにより、所定脱水回転数において確実に床面
へ伝わる振動を最小限とすることができるものである。
【００４８】さらに本発明は、防振ダンパーのロッド保
持装置にはピストンロッドの切り欠き部をはさんで一対
の軸受け材を設け、一対の軸受け材とピストンロッドの
切り欠き部間の距離はピストンロッドの摺動自在な範囲
以上とすることにより、信頼性の高い構成を実現したも
のである。
【００４９】さらに本発明は、防振ダンパーのロッド保
持装置のロックピン摺動部に樹脂材料よりなるロックピ
ン軸受け材を設けることにより、騒音の発生を最小限と
する構成を実現したものである。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の一実施例におけるドラム式洗濯機の側
断面図
【図２】同ドラム式洗濯機の正断面図
【図３】同ドラム式洗濯機の防振ダンパーの要部詳細断
面図
【図４】同ドラム式洗濯機の制御構成を示すブロック図
【図５】（ａ）（ｂ）は同ドラム式洗濯機の防振ダンパ
ーの動作状態を示す要部断面図
【図６】従来例におけるドラム式洗濯機を示した側断面
図
【図７】同ドラム式洗濯機の防振ダンパーの断面図
【符号の説明】
１８ 本体 ２０ 水槽 ２１ ドラム ２７ 防振ダンパー ３０ 制御装置 ３１ 振動検知装置 ３５ ピストンロッド ３６ ピストン ４０ ロッド保持装置 ４２ 切り欠き部 ４３ ソレノイド ４４ プランジャー ４５ ジョイント ４６ ロックピン ４８ａ，ｂ 軸受け材 ４９ ロックピン軸受け材 ５０ａ，ｂ バイアスバネ
フロントページの続き (72)発明者 吉田 勝昭 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 岩切 俊一 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 布施 留夫 静岡県磐田郡浅羽町松原字駒川2601番地 株式会社昭和製作所浅羽工場内 (72)発明者 須加 貞次 静岡県磐田郡浅羽町松原字駒川2601番地 株式会社昭和製作所浅羽工場内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】外周に通水孔を設けたドラムと、ドラムを
    内包し洗濯水を溜める水槽と、前記ドラムを回転駆動す
    るモータと、前記水槽を収容する本体と、前記水槽を本
    体から吊すバネ体と、水槽と本体間に取り付けて水槽の
    振動を抑制する防振ダンパーとを備え、前記防振ダンパ
    ーは、油室を形成するシリンダーとピストンとピストン
    ロッドからなり緩衝力を発生する緩衝装置と、前記ピス
    トンロッドを摺動自在に保持するとともに脱水行程起動
    時にはピストンロッドをロック状態とし共振状態を通過
    した後はピストンロッドをアンロック状態にするロッド
    保持装置とを有し、前記ピストンロッドの摺動自在な範
    囲は前記ドラムの所定脱水回転数における水槽振幅以上
    としたドラム式洗濯機用防振ダンパー装置。
  2. 【請求項２】外周に通水孔を設けたドラムと、ドラムを
    内包し洗濯水を溜める水槽と、前記ドラムを回転駆動す
    るモータと、前記水槽を収容する本体と、前記水槽を本
    体から吊すバネ体と、水槽と本体間に取り付けて水槽の
    振動を抑制する防振ダンパーとを備え、前記防振ダンパ
    ーは、油室を形成するシリンダーとピストンとピストン
    ロッドからなる緩衝力を発生する緩衝装置と、前記ピス
    トンロッドを摺動自在に保持するとともに脱水行程起動
    時および脱水停止移行時にはピストンロッドに設けた切
    り欠き部にロックピンを係合することによりピストンロ
    ッドをロック状態とし共振状態を通過した後はピストン
    ロッドをアンロック状態にするロッド保持装置とを有
    し、前記ピストンロッドの摺動自在な範囲は前記ドラム
    の脱水停止移行時における水槽振幅以下としたドラム式
    洗濯機用防振ダンパー装置。
  3. 【請求項３】外周に通水孔を設けたドラムと、ドラムを
    内包し洗濯水を溜める水槽と、前記ドラムを回転駆動す
    るモータと、前記水槽を収容する本体と、前記水槽を本
    体から吊すバネ体と、水槽と本体間に取り付けて水槽の
    振動を抑制する防振ダンパーとを備え、前記防振ダンパ
    ーは、油室を形成するシリンダーとピストンとピストン
    ロッドからなる緩衝力を発生する緩衝装置と、前記ピス
    トンロッドを摺動自在に保持するとともに脱水行程起動
    時にはピストンロッドに設けた切り欠き部にロックピン
    を係合することによりピストンロッドをロック状態とし
    共振状態を通過した後はピストンロッドをアンロック状
    態にするロッド保持装置とを有し、前記ピストンロッド
    の切り欠き部とロックピン先端はそれぞれテーパ形状と
    したドラム式洗濯機用防振ダンパー装置。
  4. 【請求項４】外周に通水孔を設けたドラムと、ドラムを
    内包し洗濯水を溜める水槽と、前記ドラムを回転駆動す
    るモータと、前記水槽を収容する本体と、前記水槽を本
    体から吊すバネ体と、水槽と本体間に取り付けた水槽の
    振動を抑制する防振ダンパーとを備え、前記防振ダンパ
    ーは、油室を形成するシリンダーとピストンとピストン
    ロッドからなる緩衝力を発生する緩衝装置と、前記ピス
    トンロッドを摺動自在に保持するとともに脱水行程起動
    時にはピストンロッドをロック状態とし共振状態を通過
    した後はピストンロッドをアンロック状態にするロッド
    保持装置とを有し、前記ロッド保持装置にはピストンロ
    ッドの摺動時にその摺動位置を制限するバイアスバネを
    設けたドラム式洗濯機用防振ダンパー装置。
  5. 【請求項５】外周に通水孔を設けたドラムと、ドラムを
    内包し洗濯水を溜める水槽と、前記ドラムを回転駆動す
    るモータと、前記水槽を収容する本体と、前記水槽を本
    体から吊すバネ体と、水槽と本体間に取り付けた水槽の
    振動を抑制する防振ダンパーとを備え、前記防振ダンパ
    ーは、油室を形成するシリンダーとピストンとピストン
    ロッドからなる緩衝力を発生する緩衝装置と、前記ピス
    トンロッドを摺動自在に保持するとともに脱水行程起動
    時にはピストンロッドに設けた切り欠き部にロックピン
    を係合することによりピストンロッドをロック状態とし
    共振状態を通過した後はピストンロッドをアンロック状
    態にするロッド保持装置とを有し、前記ロックピンはソ
    レノイドにより駆動し、前記ソレノイドのプランジャー
    とロックピンは樹脂材料よりなるジョイントにより締結
    したドラム式洗濯機用防振ダンパー装置。
  6. 【請求項６】外周に通水孔を設けたドラムと、ドラムを
    内包し洗濯水を溜める水槽と、前記ドラムを回転駆動す
    るモータと、前記水槽を収容する本体と、前記水槽を本
    体から吊すバネ体と、水槽と本体間に取り付けた水槽の
    振動を抑制する防振ダンパーとを備え、前記防振ダンパ
    ーは、油室を形成するシリンダーとピストンとピストン
    ロッドからなる緩衝力を発生する緩衝装置と、前記ピス
    トンロッドを摺動自在に保持するとともに脱水行程起動
    時にはピストンロッドに設けた切り欠き部にロックピン
    を係合することによりピストンロッドをロック状態とし
    共振状態を通過した後はピストンロッドをアンロック状
    態にするロッド保持装置とを有し、前記ロッド保持装置
    にはピストンロッドの切り欠き部をはさんで一対の軸受
    け材を設け、前記一対の軸受け材とピストンロッドの切
    り欠き部間の距離はピストンロッドの摺動自在な範囲以
    上としたドラム式洗濯機用防振ダンパー装置。
  7. 【請求項７】外周に通水孔を設けたドラムと、ドラムを
    内包し洗濯水を溜める水槽と、前記ドラムを回転駆動す
    るモータと、前記水槽を収容する本体と、前記水槽を本
    体から吊すバネ体と、水槽と本体間に取り付けた水槽の
    振動を抑制する防振ダンパーとを備え、前記防振ダンパ
    ーは、油室を形成するシリンダーとピストンとピストン
    ロッドからなる緩衝力を発生する緩衝装置と、前記ピス
    トンロッドを摺動自在に保持するとともに脱水行程起動
    時にはピストンロッドに設けた切り欠き部にロックピン
    を係合することによりピストンロッドをロック状態とし
    共振状態を通過した後はピストンロッドをアンロック状
    態にするロッド保持装置を有し、前記ロッド保持装置の
    ロックピン摺動部に樹脂材料よりなるロックピン軸受け
    材を設けたドラム式洗濯機用防振ダンパー装置。
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