JPH0630818B2 - 角継手部の潜弧溶接方法 - Google Patents

角継手部の潜弧溶接方法

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JPH0630818B2
JPH0630818B2 JP63069161A JP6916188A JPH0630818B2 JP H0630818 B2 JPH0630818 B2 JP H0630818B2 JP 63069161 A JP63069161 A JP 63069161A JP 6916188 A JP6916188 A JP 6916188A JP H0630818 B2 JPH0630818 B2 JP H0630818B2
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welding
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trailing
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裕 西川
敏男 山口
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明はボックス柱の角部を溶接するのに好適の角継手
部の潜弧溶接方法に関し、特に、板厚が40mm以上の厚
肉ボックス柱の溶接を可能とした角継手部の潜弧溶接方
法に関する。
[従来の技術] 第4図(a),(b)は夫々ボックス柱を示す側面図及
び正面図である。通常約12mの長さを有する4枚のス
キンプレート1.2を角筒状に組付けし、建物の梁が出
る床又は天井に相当する位置に補強用としてダイヤフラ
ム3を配置してある。つまり、通常、等間隔(約4m)
の3位置に、夫々2枚づつダイヤフラム3を固定する。
このボックス柱はその長手方向を水平にした状態で、ス
キンプレート1,2のつき合わせ部、つまり、ボックス
柱の角部をその長手方向に溶接して中空柱状に組立てた
後、その長手方向を垂直にして建物の構造物として使用
される。
ところで、本願発明者等はこのボックス柱の角部の溶接
に好適の溶接方法を既に提案している(特開昭56-14486
4号)。この従来方法においては、第5図乃至第8図に
示すように、母材であるスキンプレート1と2との間
に、所謂レ型又はY型の開先4を形成し、先行電極及び
後行電極の少なくとも2個の電極を使用して大電流大入
熱溶接する。これにより、ボックス柱の角部を高溶接能
率で溶接することができる。
[発明が解決しようとする課題] 而して、ボックス柱はその角継手部の溶接線方向につい
ての拘束度が比較的弱いために、溶接作業中に第9図に
示すようにタイコ状に変形しやすいという難点がある。
このボックス柱の中央における歪量は溶接長、板厚及び
柱幅等によっても異なるが、板厚が約40乃至60mmの
場合には、約150乃至250mmにもなる。従って、溶
接線前半は昇り傾斜溶接となり、後半は下り傾斜溶接と
なる。しかも、傾斜角度が一定でないため溶込み形状は
逐次変化すると共に、溶接作業中にも変形が進行するた
め、高品質の溶接部を得ることが困難である。
板厚が40mm未満の薄いスキンプレートの場合には、溶
接入熱が比較的小さく溶接速度が速いので、溶接中の歪
量は比較的少ないため、欠陥の発生には至らない。従っ
て、板厚が40mm未満の比較的薄い母材の場合には、従
来方法により問題なく施工されている。
しかしながら、板厚が40mm以上の場合には、大入熱溶
接にせざるを得ないため、歪量が増大して傾斜角度が大
きくなる。また、板厚が厚い分だけ高電流・低速度溶接
にならざるを得ないため、昇り傾斜溶接と下り傾斜溶接
とを比較すると、溶込み形状の変化幅が極めて大きくな
る。このため、第5図乃至第8図に示すような種々の欠
陥が発生してしまう。
例えば、昇り傾斜溶接で、特に、ルートフェイスが比較
的短い場合には、第5図に示すように、ビードが細く深
く入って高温割れ5が発生したり、第6図に示すよう
に、融合不良6が発生して開先4の一部が残存したり、
第7図に示すように、スラグの巻き込み7が発生したり
する。また、下り傾斜溶接で、特に、ルートフェイスが
比較的長い場合には第8図に示すように、ビードが浅く
なって溶込み不足8が発生し、開先面が残存する。
従って、従来方法をそのまま板厚40mm以上の厚い母材
にも適用しようとすると、上述の如く種々の欠陥が多発
するので、実際上適用することは困難であった。
なお、この溶接欠陥の防止対策として、傾斜角度に応じ
て溶接条件を調整したり、ボックス柱の両端に油圧ジャ
ッキ等を設置して、溶接中にボックス柱を昇降させて溶
接位置を常に水平の状態に調整する方法等が検討されて
いる。
しかしながら、前者のように傾斜角度に応じて溶接条件
を調整するのは、傾斜角度が連続的に変化するため、溶
接条件を逐次又は連続的に変化させる必要がある。この
ため、前者の方法は実用性が劣り、その効果も不十分な
ものであると共に、条件設定を誤まると、スラグの巻き
込み等の欠陥が発生するという難点がある。
また、後者は傾斜角度の変化に対して円滑に対応するこ
とが困難であるため、かえって欠陥が増加する場合もあ
り、更に、昇降移動時に振動を防止するためには多大の
設備費がかかるという欠点がある。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、
被溶接物に溶接熱歪による程度の傾斜が存在しても、欠
陥がない高品質の溶接部を安定して且つ低コストで得る
ことができる角継手部の潜弧溶接方法を提供することを
目的とする。
[課題を解決するための手段] 本発明に係る角継手部の潜弧溶接方法は、ルートフェイ
スが1乃至6mm、開先角度が30乃至45゜のレ型又は
Y型開先継手を、直径が5.3乃至8.0mmのワイヤ状
の先行電極及び後行電極を使用して潜弧溶接する角継手
部の潜弧溶接方法であって、前記先行電極と後行電極と
の間の間隔は40乃至80mmであり、先行電極の電流
(A)と後行電極の電流(A)との比(A
)が0.65乃至0.90であり、先行電極の電圧
(V)と後行電極の電圧(V)との比(V
)が1.20乃至1.50であり、先行電極及び後
行電極の通電部から開先底部までの距離が夫々75乃至
220mm及び100乃至270mmであり、溶接進行方向
についての第1電極及び第2電極の傾斜角度がその基端
側が前方に傾いている場合を−として夫々−10゜乃至
+5゜及び0゜乃至+15゜であることを特徴とする。
また、この潜弧溶接時に、SiO;10乃至25重量
%、Al;4乃至20重量%、MgO;10乃至
25重量%、CaCO;4乃至12重量%、MgO/
SiO重量%比;0.9乃至1.5の組成を有するフ
ラックスを使用することが好ましい。
[作用] 本発明においては、ワイヤ状の先行電極と後行電極とを
使用してレ型又はY型の開先継手を潜弧溶接する。
第1図及び第2図は夫々レ型及びY型の開先形状の一例
を示す。この第1及び第2図は被溶接物の一例としてス
キンプレート1,2の端面の一部を示すものであり、第
1図においては、スキンプレート1のつき合わせ面を面
とりすることにより、レ型の開先4aを形成し、第2図
においてはスキンプレート1,2の双方のつき合わせ面
を面とりすることにより、Y型の開先4bを形成してあ
る。そして、この開先4a,4bの下方に裏当金9を配
置し、第3図に示すように開先4a,4bに対して1対
の電極10,11を配設してこの開先継手を潜弧溶接す
る。
第3図においては、開先4a,4bの延長方向(ボック
ス柱の長手方向)に離隔して1対の電極10,11が配
設されており、先行電極10は後行電極11よりも溶接
の進行方向12の前方の配置されている。なお、図示例
は先行電極10の基端部側が垂直方向に対し溶接進行方
向12の前方側に傾斜しており、後行電極11の基端部
側は垂直方向に対し溶接進行方向12の後方側に傾斜し
ている。
そして、この1対の先行電極10及び後行電極11を使
用してこれらの電極を矢印12方向に移動させつつ開先
継手部を潜弧溶接すると、先行電極10により形成され
た溶融金属が完全に凝固しないうちに後行電極による入
熱が加えられるように各種の条件を設定することによ
り、高温割れの発生を効果的に防止することができる。
以下、この高温割れ及びその他の溶接欠陥を防止すると
いう本願発明の目的を達成すべく、本願特許請求の範囲
の請求項1にて規定した隔溶接条件について説明する。
ルートフェイス ルートフェイスRは、第1図及び第2図に示すように開
先4a,4bにおいて、スキンプレート1,2が接触す
る領域の長さであるが、このルートフェイスRは1乃至
6mmにすることが必要である。ルートフェイスRが1mm
未満であると、特に昇り傾斜溶接において、溶込みが深
くなり、裏当金9に直接アークが当たるため溶落が発生
する。
一方、ルートフェイスRが6mmを超えると、特に下り傾
斜溶接において、溶込みが浅くなり、溶込み不足(第8
図参照)が生じて開先面が残存する。このため、ルート
フェイスRを1乃至6mmに設定する。
開先角度 開先角度αが30゜未満であると、開先が狭すぎるた
め、ビードが細長いものとなり、高温割れ(第5図参
照)が発生し易い。特に、上り傾斜溶接の場合に高温割
れが発生する。
一方、開先角度αが45゜を超えると、開先断面積が広
過ぎるため、溶接能率が悪く不経済である。
電極ワイヤ径 本発明においては、比較的太い電極ワイヤを使用するこ
とによって、過度の溶込みを防止すると共に、ビード底
部においてビードを十分に広がらせて種々の欠陥を防止
する。電極ワイヤ径が5.3mm未満であると、溶込みが
過剰になり、ビード底部のビード幅が狭いため、高温割
れ、融合不良(第6図参照)及びスラグ巻き込み(第7
図参照)等の欠陥が発生する。
一方、電極ワイヤ径が8.0mmを超えると、電極ワイヤ
が硬くなり、取扱いが不便であると共に、ワイヤの矯正
も困難であり、所定位置に電極ワイヤを位置させ難くな
り、そのズレが生じる。このため電極ワイヤ径は5.3
乃至8.0mmにする。
先行電極と後行電極との間の距離 先行電極の先端と後行電極と先端との間の距離l(第3
図参照)は40乃至80mmにする。これにより先行電極
により形成された溶融金属のプールが半凝固状態のとき
に後行電極により溶融金属のプールが形成されるので、
所謂セミワンプール状態で溶融金属が形成されて高温割
れが防止される。
これに対し、極間距離lが40mm未満の場合には、ワン
プール溶接の状態となり、1電極により溶接する場合と
同様の状態となって高温割れが発生する。また、1電極
溶接の場合は溶接速度が極端に遅くなるため、ビード外
観が劣化する。
一方、極間距離lが80mmを超えると、所謂ツープール
で溶接が進行する状態、つまり先行電極によるプールが
完全に凝固した後に後行電極が通過することになり、先
行電極の溶接金属に発生した高温割れが後行電極の通過
後にも消失せずに残存する。
このように、極間距離lが長過ぎてもまた短か過ぎても
高温割れが発生するので、極間距離lは40乃至80mm
にする。
先行電極の電流(A)に対する後行電極の電流
(A)の比A/A 高温割れを防止すると共に、ビード形状を適切なものに
するために、先行電極(A)と後行電極(A)との
電流比A/Aを0.65乃至0.90に設定する。
電流比A/Aが0.65未満であると、後行電極の
溶込みが不十分となり、特に、昇り傾斜溶接において先
行電極の溶接金属に高温割れが発生する。
電流比A/Aが0.90を超えると、後行電極の溶
込みが過剰になり、後行電極の溶接金属に高温割れが発
生する。また、下り傾斜溶接においては、後行電極の溶
接入熱が過剰のため、ビード形状がその中心部にて鋭角
に突出するものとなり、ビード外観が劣化する。
このような理由で、電流比A/Aを0.65乃至
0.90に設定する。
先行電極の電圧(V)に対する後行電極の電圧
(V)の比V/V 高温割れ、融合不良及びスラグ巻き込み等の欠陥を防止
するため、電圧比V/Vを1.20乃至1.50に
設定する。一般的に電圧が低い方がビードが深く形成さ
れ易く、電圧が高い方が溶接ビードの広がりが良くな
る。而して、電圧比V/Vが1.20未満である
と、後行電極の溶込みが過剰になり、1プールと同様の
状態になって、特に昇り傾斜溶接において後行電極の溶
接金属に高温割れが発生する。
逆に、電圧比V/Vが1.50を超えると、後行電
極の溶込みが不足するため、特に、昇り溶接で先行電極
の溶接金属に高温割れが発生する。また先行電極と後行
電極により形成される溶接金属の境界部において、融合
不良及びスラグ巻き込み等の欠陥が発生する。
このため、電圧比V/Vを1.20乃至1.50に
する。
ワイヤ突出し長さ 先行電極の通電部から開先底部までの距離h(第3図
参照、以下ワイヤ突出し長さという)を75乃至220
mmに設定し、同様に後行電極のワイヤ突出し長さh
100乃至270mm、好ましくは150乃至270mmに
する。
本発明においては、ワイヤ突出し長さを比較的長くする
ことによって、ビード底部のビードの広がりを良好なも
のにして欠陥を防止する。突出し長さが長い方がジュー
ル熱が多く発生し、ワイヤ溶融速度が速いため、溶接能
率が向上し、ボックス柱等の被溶接物の歪量も若干少な
くなる。
先行電極のワイヤ突出し長さhが75mm未満である
と、ビード底部のビード幅が狭くなり、高温割れ、融合
不良及びスラグの巻き込みが発生する。また、ワイヤの
溶融速度が遅くなり、非能率的である。更に、生成した
溶融スラグを引きづり易く、ビード外観が劣化する。
一方、ワイヤ突出し長さhが220mmを超えると、溶
込みが不安定とな、特に、下り傾斜突溶接において、溶
込み不足が発生し易い。
後行電極のワイヤ突出し長さhが100mm未満である
と、後行電極のビード底部のビード幅が狭くなり、先行
電極のビードと後行電極のビードとの境界で融合不良及
びスラグ巻き込み等の欠陥が発生する。このため、ワイ
ヤ突出し長さhは100mm以上にする。なお、ワイヤ
突出し長さがhが150mm未満であると、ワイヤ溶融
速度が遅くなるため非能率的である。このため、後行電
極のワイヤ突出し長さhは150mm以上にすることが
好ましい。
逆に、ワイヤ突出し長さhが270mmを超えると、溶
込み及びビード幅の安定性が劣化し、耐高温割れ性及び
ビード外観が劣化する。このため、ワイヤ突出し長さh
は270mm以下にする。
ワイヤ傾斜角度 先行電極及び後行電極のワイヤ傾斜角度θ,θは夫
々−10乃至+5゜及び0乃至15゜に設定する。この
場合に、第3図に示す後行電極11の如く、溶接進行方
向12について電極ワイヤ基端が後方に傾斜している場
合の傾斜角度を+、先行電極10の如く、電極ワイヤ基
端が前方に傾斜している場合の傾斜角度を−とする。
先行電極10のワイヤ傾斜角度θは−10゜乃至+5
゜にする。この傾斜角度θを−側に強くする程溶込み
が深くなり、ビード幅が狭くなる。この場合に、θ
−10゜より小さいと、つまり−10゜より前方に強く
傾斜すると、溶込みが過剰になると共に、ビード底部の
ビード幅が狭くなり、特に昇り溶接において、高温割
れ、融合不良及びスラグ巻き込みが発生し易くなる。ま
た、ビード外観も劣化する。
ワイヤ傾斜角度θが+5゜より大きい場合は、溶融金
属が前方に流れて先行し易くなり、溶込みが不安定にな
る。また、下り傾斜溶接において、溶込み不足が発生す
る。このため、先行電極のワイヤ傾斜角度θは−10
゜乃至+5゜に設定する。
後行電極11のワイヤ傾斜角度θは0゜乃至+15゜
にする。θが0゜より小さいと、ビード幅が狭くな
り、融合不良が発生して極端な場合には開先表面の一部
が残存する。また、ビード外観も劣化する。
一方、後行電極11のワイヤ傾斜角度θが+15゜を
超えると、後行電極11の溶込みが浅くなり、先行電極
10の溶接金属に高温割れが発生し易い。また、アーク
が先行して溶融金属が前方に吹かれてしまうため、ビー
ド外観が急激に劣化する。
このため、後行電極11のワイヤ傾斜角度θは0乃至
+15゜に設定する。
その他 なお、先行電極には直流電圧を印加することが好まし
い。溶込みを安定化させるためである。
また、先行電極及び後行電極の双方に3相交流電源を接
続する場合には、先行電極と後行電極の結線方法を逆V
結線にすることが好ましい。ビード外観及びビード幅を
良好にすると共に、溶込みを安定化させるためである。
更に、アース位置はクレーター側アースとするのが好ま
しい。同様に、ビード外観及び溶込み等の安定化のため
である。
次に、フラックスの組成について説明する。本発明にお
いては以下に示す組成のフラックスを使用するのが好ま
しい。
SiO SiOは酸性成分であり、スラグの粘性を調整するの
に必須の成分である。SiOが10重量%未満である
と、スラグの粘性が不十分となり、ビード幅が不安定又
は不均一となって特に下り傾斜溶接においてアンダーカ
ットが発生し易く、ビード表面がその中心線に沿って鋭
角に突出するようなビードが形成され易い。
SiOが25重量%を超えると、スラグの粘性が過剰
になり、ビードの広がりが不十分になり易い。また、塩
基度が低くなり、大入熱溶接での靭性が劣化し易い。
このため、SiOは10乃至25重量%にすることが
好ましい。
Al Alは中性成分であり、溶接金属の靭性を損なう
ことなくスラグの粘性及び凝固温度を調整するのに有効
な成分である。Alが4重量%未満であると、ス
ラグの粘性及び凝固温度が低くなり、ビード幅が不均一
になると共に、特に下り傾斜アンダーカット等の欠陥が
発生し易い。
一方、Alの20重量%を超えると、スラグの凝
固温度が高温になり過ぎるため、ビードの広がりが不十
分になり易い。
このため、Alは4乃至20重量%とすることが
好ましい。
MgO MgOは塩基性成分であり、溶接金属の靭性を確保しつ
つスラグの粘性を調整するのに有効な成分である。
MgOが10重量%であると、スラグの粘性が不十分で
あり、ビード幅が不均一になり易い。また、塩基度が低
くなるため、大入熱溶接での靭性が劣化し易い。
MgOが25重量%を超えると、スラグの粘性が高くな
り過ぎ、ポックマーク等のガス欠陥が発生し易い。ま
た、スラグの剥離性が劣化し、ビード表面にスラグが焼
付き易くなる。
ことため、MgOの含有量は10乃至25重量%とする
のが好ましい。
CaCO CaCOは溶接中にCaOとCOとに分解し、CO
ガスによって溶接部を外気からシールドすると共に、
不純物ガス(H又はN等)の分圧を低下させ、溶接
金属中への侵入を防止するのに有効な成分である。
CaCOが4重量%未満である場合は、COガスに
よるシールド効果が不十分であり、溶接金属中の水素及
び窒素量が増大し、低温割れ及び靭性の低下が生じ易
い。
一方、CaCOは12重量%を超えると、COガス
の発生量が過剰になり、ガス均一に抜けずに溶接中の吹
上げ現象が極めて多くなり、ビード外観が劣化し易い。
このため、CaCOは4乃至12重量%にすることが
好ましい。
MgO/SiO MgO/SiOの重量%比は、塩基度を適切にすると
共に、溶接作業性を確保するために、0.9乃至1.5
にする。
MgO/SiOが0.9未満であると、塩基度が低過
ぎるため大入熱溶接における靭性が低下する。また、ビ
ード表面にアンダーカットが発生し易い。
逆に、MgO/SiOが1.5を超えると、ポックマ
ーク及びスラグの焼付きが増加するため好ましくない。
その他 約20乃至40重量%の鉄粉をフラックス中に添加する
ことが好ましい。これにより、溶着速度を増加させ、溶
接入熱を低下させることができる。
鉄粉添加量が20重量%未満であると、この効果が少な
く、40重量%を超えるとスラグの巻込みが発生し易く
なる。
溶接金属の[Ti]含有量が0.005乃至0.030
重量%になるように、フラックス中にFe−Ti合金及
び/又はTiO等のTi源を添加するか、或いは電極
ワイヤ中に適量のTiを添加することが好ましい。ま
た、フラックス及び電極ワイヤの双方にTi源を添加し
てもよい。
また、溶接金属中の[B]含有量が0.0015乃至
0.0050重量%になるように、フラックス中にFe
−B合金及び/又はBを添加することが好まし
い。又は、このB源を電極ワイヤから添加してもよい
し、フラックス及びワイヤの双方から添加してもよい。
このように、溶接金属中にTi及びBを添加するのは、
大入熱溶接における靭性を確保するためである。Ti及
びBの含有量が夫々0.005重量%未満及び0.00
15重量%未満の場合には、靭性向上の効果が少ない。
一方、Ti含有量が0.030重量%を超えると、逆に
靭性が低下してしまう。また、B含有量が0.0050
重量%を超えると、高温割れが発生し易い。
このため、溶接金属中の[Ti]含有量及び[B]含有
量が夫々0.005乃至0.030重量%及び0.00
15乃至0.0050重量%になるように、フラックス
及び/又は電極ワイヤの添加成分を調整することが好ま
しい。
[実施例] 次に、本発明方法により実際に溶接試験した実施例につ
いて、本願特許請求の範囲の請求項1から外れる比較例
と共に説明する。
下記第1表は実施例1乃至4及び比較例1乃至6の溶接
条件を示す。但し、この溶接試験は、ボックス柱が第9
図に示すように、タイコ状に変形した場合の歪量を25
0mmと想定して湾曲させた試験体を用意し、250mmの
歪量に相当する2.5゜の昇り傾斜溶接及び2.5゜の
下り傾斜溶接の双方を設定して溶接したものであり、そ
の溶接後の内部欠陥及びビード外観を調査した。この試
験体の長さは1.5mである。
但し、使用したフラックスは下記第2表に示すNo.ハの
組成を有するものである。また、使用した電極ワイヤは
各電極ワイヤ径について異なり、下記第3表に示すとお
りである。
また、第1表中(L)は先行電極、(T)は後行電極を
示す。
但し、第2表において、TiO含有量は、TiO
外にFe−Ti等のTi源をTiOに換算したものも
含む総量である。また、B含有量もFe−B等の
B源をBに換算したものも含む。更に、その他欄
はCaF、CaO、BaO、NaO及びKO等の
総量である。
更にまた、フラックスの粒度は、全て10×48メッシ
ュである。
この実施例1乃至4及び比較例1乃至6の各条件で溶接
した後、超音波検査により昇り傾斜溶接時及び下り傾斜
溶接時の双方について内部欠陥を調査すると共に、ビー
ド外観を目視観察した。その結果を下記第4表に示す。
この第4表から明らかな如く、本実施例の場合には、昇
り溶接及び下り溶接のいずれについても欠陥が発生せ
ず、ビード外観も良好であった。これに対し、比較例1
乃至6の場合は、昇り傾斜溶接時又は下り傾斜溶接時の
少なくともいずれかにおいて欠陥が発生し、ビード外観
が劣るものであった。
次に、前記第2表に組成を示す種々のフラックスを使用
し、前記第1表の実施例2の条件で溶接して溶接品質に
対するフラックスの影響を調べた結果について説明す
る。下記第5表は、フラックスがNo.イ,ロ,ハと本願
請求項2にて規定した範囲に入るものを使用した場合
と、フラックスがNo.ニ,ホ,ヘと前記範囲から外れる
ものを使用した場合とについてその溶接結果を示したも
のである。
この第5表から明らかなように、使用フラックスがNo.
イ,ロ,ハの場合は、内部欠陥が存在せず、ビード外観
も含めて良好であった。これに対し、使用フラックスが
No.ニ,ホ,ヘの場合は、内部欠陥は発生しないもの
の、アンダーカット等のビード外観が劣る。しかしなが
ら、このフラックスNo.ニ,ホ,ヘを使用した実施例
8,9,10の場合も、内部欠陥は存在せず、外観上の
欠陥のみであるから、表面の補修溶接等の手直しをすれ
ば十分に使用可能である。
[発明の効果] 本発明によれば、板厚が40mm以上と被溶接物が厚い大
電流大入熱溶接の場合にも、高温割れ等の内部欠陥が発
生せず、高品質の溶接部を安定して且つ低コストで製造
することができる。
また、請求項2に規定した組成を有するフラックスを使
用すればビード外観も含めて優れたものが得られる。
【図面の簡単な説明】
第1図及び第2図は開先形状を示す模式図、第3図は電
極ワイヤの傾斜角度を示す模式図、第4図(a),
(b)は夫々ボックス柱を示す側面図及び正面図、第5
図乃至第8図は夫々高温割れ、融合不良、スラグ巻込み
及び溶込み不足の各欠陥を示す模式図、第9図は変形が
発生したボックス柱を歪を示す正面図である。 1,2;スキンプレート、3;ダイヤフラム、4,4
a,4b;開先、5;高温割れ、6;融合不良、7;ス
ラグ巻込み、8;溶込み不足

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ルートフェイスが1乃至6mm、開先角度が
    30乃至45゜のレ型又はY型開先継手を、直径が5.
    3乃至8.0mmのワイヤ状の先行電極及び後行電極を使
    用して潜弧溶接する角継手部の潜弧溶接方法であって、
    前記先行電極と後行電極との間の間隔は40乃至80mm
    であり、先行電極の電流(A)と後行電極の電流(A
    )との比(A/A)が0.65乃至0.90であ
    り、先行電極の電圧(V)と後行電極の電圧(V
    との比(V/V)が1.20乃至1.50であり、
    先行電極及び後行電極の通電部から開先底部までの距離
    が夫々75乃至220mm及び100乃至270mmであ
    り、溶接進行方向についての第1電極及び第2電極の傾
    斜角度がその基端側が前方に傾いている場合を−として
    夫々−10゜乃至+5゜及び0゜乃至+15゜であるこ
    とを特徴とする角継手部の潜弧溶接方法。
  2. 【請求項2】SiO;10乃至25重量%、Al
    ;4乃至20重量%、MgO;10乃至25重量%、
    CaCO;4乃至12重量%、MgO/SiO重量
    %比;0.9乃至1.5の組成を有するフラックスを使
    用することを特徴とする請求項1に記載の角継手部の潜
    弧溶接方法。
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