JPH06306380A - 固体潤滑剤及び固体潤滑剤被膜の形成方法 - Google Patents
固体潤滑剤及び固体潤滑剤被膜の形成方法Info
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- JPH06306380A JPH06306380A JP5084204A JP8420493A JPH06306380A JP H06306380 A JPH06306380 A JP H06306380A JP 5084204 A JP5084204 A JP 5084204A JP 8420493 A JP8420493 A JP 8420493A JP H06306380 A JPH06306380 A JP H06306380A
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Abstract
れ、かつ、固体潤滑膜の形成が容易であり、しかも移着
性にすぐれた固体潤滑剤及び固体潤滑剤被膜の形成方法
を提供すること。 【構成】 固体潤滑剤は、CaF2 、BaF2 、Cr2
O3 の三種類の混合物からなることを特徴としている。
また、この発明の固体潤滑剤被膜の形成は、耐熱材料の
表面に減圧プラズマ溶射してなされる。
Description
有する高温用機械装置等において使用する高温固体潤滑
剤及び高温固体潤滑剤被膜の形成方法に関するものであ
る。
受その他の回転部や摺動部を有する高温用機械を使用す
る場合には潤滑剤及び潤滑法が大きな問題となる。潤滑
剤としては液体潤滑剤を使用することができず、固体潤
滑剤に依存せざるを得ない。
とBaF2 の共晶体にいろいろな添加剤を加えてプラズ
マ溶射を行い、常温〜850℃の範囲で摩擦係数0.3
程度(すべり速度2.2m/s)を示す固体潤滑剤を作
成している(出典名;米国特許No.4,728,48
8)。
3 系の固体潤滑膜を焼成法で形成し、400〜1000
℃の温度範囲で摩擦係数0.1〜0.2を得ている(出
典名;米国特許No.5,100,848“Oxide Type
Solid Lubricant Containing Cr2O3 and Na2Zr
O3”)。
の方法はCaF2 +BaF2 にCr3 C2 を加えたもの
であるが、得られる摩擦係数は相当に高く、満足すべき
固体潤滑剤が得られていない。次に梅田らの方法では厚
い固体潤滑剤被膜を得るには長時間を要するなど、実用
化への課題がある。
たものであって、潤滑性、摩擦特性にすぐれ、しかも移
着性(固体潤滑剤の潤滑面への付着状態)にすぐれた固
体潤滑剤及び固体潤滑剤被膜の形成が容易である固体潤
滑剤被膜の形成方法を提供することを目的としている。
の発明の高温固体潤滑剤は、CaF2 ,BaF2 ,Cr
2 O3 の三種類の混合物からなることを特徴としてい
る。また、この発明の高温固体潤滑剤被膜の形成方法は
上記高温固体潤滑剤に耐熱鋼合金のパウダをバインダと
して配合した混合物、好ましくは高温固体潤滑剤を20
〜80体積%配合した混合物をインコネル、ナイモニッ
ク、ハステロイあるいはアルミナセラミックス、窒化ケ
イ素セラミックス、ジルコニアセラミックスなどの耐熱
材料からなる母材の表面にプラズマを溶射することを特
徴としている。なお、バインダとしてセラミックスのパ
ウダまたはこれに耐熱鋼合金のパウダを混合したものを
用いた場合にも同様の効果が期待できる。また、本発明
の上記高温固体潤滑剤の配合に於いては、CaF2 ,B
aF2 ,Cr2 O3 の三種類をいかなる比率で混合して
も高温固体潤滑特性を発揮するものであるが、最も好ま
しくはCaF2 を5〜60wt%、BaF2 を5〜60
wt%、Cr2 O3 を5〜80wt%の範囲とすること
を特徴とする高温固体潤滑剤被膜を形成するものであ
り、高温において良好な潤滑特性を示す高温固体潤滑部
材を提供するものである。
により本発明の固体潤滑剤とバインダからなる固体潤滑
剤被膜が形成される。この固体潤滑剤被膜は高温かつ大
きな滑り速度の接触において潤滑性、摩耗特性ならびに
移着性に優れている。具体的には、この固体潤滑剤被膜
はCaF2 +BaF2 +Cr2 O3 とNiCoCrAl
Yとの混合物をプラズマ溶射して形成される。この固体
潤滑剤被膜は大気中、雰囲気温度800℃、すべり速度
2.2m/sで摩擦試験で摩擦係数0.1程度と優れた
潤滑性を示し、かつ摩耗特性並びに移着性においても優
れている。液体潤滑剤の使用が不可能な370℃以上の
高温大気中において、本発明の固体潤滑剤を用いること
によって、回転部ならびに摺動部を有する高温用機械装
置の稼働を実現する。
2 ,Cr2 O3 の三種類の混合物からなっている。これ
らの固体潤滑剤の配合に於いては、CaF2 ,BaF
2 ,Cr2 O3 の三種類をいかなる比率で混合しても高
温固体潤滑特性を発揮するが、CaF2 が5wt%より
小さいと潤滑性が不十分となり、60wt%よりも大き
いと被膜を形成したときに母材との付着性が低下すると
ともに被膜強度が低下する。BaF2も5wt%より小
さいと潤滑性が不十分となり、BaF2 が60wt%よ
りも大きいと被膜を形成したときに母材との付着性が低
下するとともに被膜強度が低下する。また、Cr2 O3
が5wt%より小さいと潤滑性が不十分とになり、Cr
2 O3 が80wt%より大きいと被膜を形成したときに
母材との付着性が低下する。
形成することができ、母材としてはインコネルなどのN
iCrFe合金、ナイモニックなどのNiCrTi合
金、ハステロイなどのNiMoWCr合金のような金
属、あるいはアルミナ、窒化ケイ素、ジルコニアなどの
セラミックス等の耐熱材料を使用することができる。母
材への被膜形成の手段としては、プラズマ溶射を使用す
ることができ、これ以外に焼成法を使用することも可能
である。
工程ならびに条件を以下に示す。試験片の準備として、
試験片母材はInconel 713Cを用い、その一表面をあらか
じめサンドブラスト処理し、ベンジン:アセトン=5
0:50(vol%)の混合溶液にて30分間超音波洗
浄を行う。粉末調整では各種混合比の固体潤滑剤とバイ
ンダの混合粉末を30分間ボールミル混合器にかけ、混
合の均一化を図った。尚、表1中に記載のバインダとし
てはすべてNiCoCrAlY合金粉末を用い、その組
成を表2に示した。固体潤滑剤被膜の創製方法として
は、母材上に上記混合粉末を表3の条件で減圧プラズマ
溶射法により形成した。尚、表中にある通り減圧プラズ
マ溶射の前処理として、いずれも逆スパッタ、予熱を行
い、固体潤滑剤被膜を母材との密着性を確保した。以上
の方法で、表1に示す成分の固体潤滑剤被膜を、厚さ
0.3〜0.4mmに創製し、評価に供した。
に示す試験機を使用した。試験機は転がり軸受の接触状
態をシミュレートしたものであり、固体潤滑剤被膜試験
片、上部試験片ならびに下部試験片はそれぞれ転がり軸
受の保持器、転動体ならびに軌道輪に対応する。固体潤
滑剤被膜試験片は固体潤滑剤被膜を創製した母材から6
mm角に切り出され、上部試験片及び下部試験片はSi
3 N4 のHIP材で、その外径は42mm、内径は30
mmとし、上部試験片の幅は6mm、下部試験片の幅は
16mmとした。なお、上部試験片の外径面は軸心を含
む平面で切った断面において10Rの曲面となってい
る。これは両試験片の接触面での片当たりを防止するた
めである。試験条件を固体潤滑剤被膜試験片荷重20
N、上部試験片荷重200N、回転数1000rpm、
温度800℃とした。
試験片の間の摩擦力ならびに運転中の上部試験片・下部
試験片間の振動(潤滑剤の移着状態に関する情報を与え
る)について評価された。なお、固体潤滑剤被膜試験片
の摩耗量については試験終了後、形状測定器にて測定し
た。上記評価法により、本発明品1と比較品3,5およ
び11について比較検討した。
との摩擦係数の経時記録である。比較品3,5および1
1の値は0.3程度であるのに対し、本発明品1の値は
0.1程度と小さく、本発明品は特に優れている。ま
た、いずれもその値は経時的に安定しており本発明品1
と比較品11については変動幅も小さい。
実効値の記録である。比較品5と11はほぼ同じような
値を示すが、比較品3は振動が大きく、その変動幅も大
きい。また本発明品1の振動幅はどの比較品よりも小さ
い値を示し、移着性においても優れていることが予想さ
れた。
めに移着膜の生成状態及びその成分について調査、分析
を行った。以下、それについて説明する。図4は下部試
験片摩擦痕の軸方向形状測定結果である。比較品11で
は摩擦痕の中央部のみに移着が見られ、比較品5では摩
擦痕に摩耗及びその中央部と左側に移着が見られる。し
かし、本発明品1においては摩擦痕の全体にほぼ均一に
移着が見られ、移着膜が良好に形成されることがわかっ
た。
EMによる観察とEPMAによる成分分析を行った。そ
の結果を図5に示す。これより、摩擦痕部の全体に移着
膜が良好に形成されていることが確認され、その膜中に
は固体潤滑剤の偏りなく分布していることがわかった。
剤被膜試験片の摩耗量を測定した結果である。摩耗量は
両者とも同じような値であるが、本発明品1の運転時間
が比較品11の3倍であることから、耐摩耗性において
も本発明品1は比較品の中でも摩耗の少なかった比較品
11よりも優れていることがわかった。
被膜について室温〜900℃における摩擦係数を測定し
比較検討した。ただし、この結果は図7に示す高温往復
動摩擦摩耗試験方法により別途測定したものである。実
験は室温〜900℃〜室温の順で行い、測定は100℃
毎に行った。摩擦係数の値はそれぞれの温度において摩
擦係数が安定したのち読取ったものである。
を示す。比較品3の場合、摩擦係数は温度の増加ととも
に小さくなる傾向が見られ、昇温降温時とも800℃に
おいて最小値を示す。比較品5の場合、比較品11と同
じく摩擦係数は温度の増加とともに小さくなる傾向が見
られ、その最小値は昇温時においては800℃、降温時
においては500℃である。比較品3の場合も摩擦係数
は昇温とともに低下するが全体に高い値を示している。
本発明品1は比較品のいずれとも異なり昇温時の600
℃において摩擦係数の急激な低下が見られ、その後降温
時の300℃まで小さく、安定している。これより、本
発明品1は300〜900℃までの広い温度領域におい
ても優れた潤滑性が期待できることがわかった。
“−”は未評価を示し、低速滑りの潤滑性評価の欄は、
上段が昇温時、下段が降温時の値を示す。また、本発明
品1の潤滑性表面の欄が2段になっているのは低速及び
高速滑りでそれぞれ2回試験したことを意味する。
摩耗性、移着性の点で比較品よりも優れていることが解
った。
高温かつ大きな滑り速度の接触において潤滑性、耐摩耗
性ならびに移着性に優れている。この固体潤滑剤を使用
することによって、液体潤滑剤の使用が不可能な370
℃以上の高温大気中においても、回転部及び摺動部を有
する高温用機械装置の稼働を実現することができる。ま
た、この発明の高温固体潤滑剤被膜の形成方法において
は、被膜を減圧プラズマ溶射によって形成することがで
きるので、被膜の形成が容易である。
構成説明図。
グラフ。
グラフ。
フ。
方法
有する高温用機械装置等において使用する固体潤滑剤及
び固体潤滑剤被膜の形成方法に関するものである。
受その他の回転部や摺動部を有する高温用機械を使用す
る場合には潤滑剤及び潤滑法が大きな問題となる。潤滑
剤としては液体潤滑剤を使用することができず、固体潤
滑剤に依存せざるを得ない。
とBaF2の共晶体にいろいろな添加剤を加えてプラズ
マ溶射を行い、常温〜850℃の範囲で摩擦係数0.3
程度(すべり速度2.2m/s)を示す固体潤滑剤を作
成している(出典名;米国特許No.4,728,48
8)。
3系の固体潤滑膜を焼成法で形成し、400〜1000
℃の温度範囲で摩擦係数0.1〜0.2を得ている(出
典名;米国特許No.5,100,848“Oxide
Type Solid Lubricant Con
taining Cr2O3andNa2Zr
O3”)。
の方法はCaF2+BaF2にCr3C2を加えたもの
であるが、得られる摩擦係数は相当に高く、満足すべき
固体潤滑剤が得られていない。次に梅田らの方法では厚
い固体潤滑剤被膜を得るには長時間を要するなど、実用
化への課題がある。
たものであって、潤滑性、摩擦特性にすぐれ、しかも移
着性(固体潤滑剤の潤滑面への付着状態)にすぐれた固
体潤滑剤及び固体潤滑剤被膜の形成が容易である固体潤
滑剤被膜の形成方法を提供することを目的としている。
の発明の固体潤滑剤は、CaF2,BaF2,Cr2O
3の三種類の混合物からなることを特徴としている。ま
た、この発明の固体潤滑剤被膜の形成方法は上記固体潤
滑剤に耐熱鋼合金のパウダをバインダとして配合した混
合物、好ましくは固体潤滑剤を20〜80体積%配合し
た混合物をインコネル、ナイモニック、ハステロイある
いはアルミナセラミックス、窒化ケイ素セラミックス、
ジルコニアセラミックスなどの耐熱材料からなる母材の
表面にプラズマを溶射することを特徴としている。な
お、バインダとしてセラミックスのパウダまたはこれに
耐熱鋼合金のパウダを混合したものを用いた場合にも同
様の効果が期待できる。また、本発明の上記固体潤滑剤
の配合に於いては、CaF2,BaF2,Cr2O3の
三種類をいかなる比率で混合しても固体潤滑特性を発揮
するものであるが、最も好ましくはCaF2を5〜60
wt%、BaF2を5〜60wt%、Cr2O3を5〜
80wt%の範囲とすることを特徴とする固体潤滑剤被
膜を形成するものであり、高温において良好な潤滑特性
を示す固体潤滑部材を提供するものである。
により本発明の固体潤滑剤とバインダからなる固体潤滑
剤被膜が形成される。この固体潤滑剤被膜は高温かつ大
きな滑り速度の接触において潤滑性、摩耗特性ならびに
移着性に優れている。具体的には、この固体潤滑剤被膜
はCaF2+BaF2+Cr2O3とNiCoCrAl
Yとの混合物をプラズマ溶射して形成される。この固体
潤滑剤被膜は大気中、雰囲気温度800℃、すべり速度
2.2m/sで摩擦試験で摩擦係数0.1程度と優れた
潤滑性を示し、かつ摩耗特性並びに移着性においても優
れている。液体潤滑剤の使用が不可能な370℃以上の
高温大気中において、本発明の固体潤滑剤を用いること
によって、回転部ならびに摺動部を有する高温用機械装
置の稼働を実現する。
Cr2O3の三種類の混合物からなっている。これらの
固体潤滑剤の配合に於いては、CaF2,BaF2,C
r2O3の三種類をいかなる比率で混合しても固体潤滑
特性を発揮するが、CaF2が5wt%より小さいと潤
滑性が不十分となり、60wt%よりも大きいと被膜を
形成したときに母材との付着性が低下するとともに被膜
強度が低下する。BaF2も5wt%より小さいと潤滑
性が不十分となり、BaF2が60wt%よりも大きい
と被膜を形成したときに母材との付着性が低下するとと
もに被膜強度が低下する。また、Cr2O3が5wt%
より小さいと潤滑性が不十分とになり、Cr2O3が8
0wt%より大きいと被膜を形成したときに母材との付
着性が低下する。
形成することができ、母材としてはインコネルなどのN
iCrFe合金、ナイモニックなどのNiCrTi合
金、ハステロイなどのNiMoWCr合金のような金
属、あるいはアルミナ、窒化ケイ素、ジルコニアなどの
セラミックス等の耐熱材料を使用することができる。母
材への被膜形成の手段としては、プラズマ溶射を使用す
ることができ、これ以外に焼成法を使用することも可能
である。
工程ならびに条件を以下に示す。試験片の準備として、
試験片母材はInconel 713Cを用い、その一
表面をあらかじめサンドブラスト処理し、ベンジン:ア
セトン=50:50(Vol%)の混合溶液にて30分
間超音波洗浄を行う。粉末調整では各種混合比の固体潤
滑剤とバインダの混合粉末を30分間ボールミル混合器
にかけ、混合の均一化を図った。尚、表1中に記載のバ
インダとしてはすべてNiCoCrAlY合金粉末を用
い、その組成を表2に示した。固体潤滑剤被膜の創製方
法としては、母材上に上記混合粉末を表3の条件で減圧
プラズマ溶射法により形成した。尚、表中にある通り減
圧プラズマ溶射の前処理として、いずれも逆スパッタ、
予熱を行い、固体潤滑剤被膜を母材との密着性を確保し
た。以上の方法で、表1に示す成分の固体潤滑剤被膜
を、厚さ0.3〜0.4mmに創製し、評価に供した。
に示す試験機を使用した。試験機は転がり軸受の接触状
態をシミュレートしたものであり、固体潤滑剤被膜試験
片、上部試験片ならびに下部試験片はそれぞれ転がり軸
受の保持器、転動体ならびに軌道輪に対応する。固体潤
滑剤被膜試験片は固体潤滑剤被膜を創製した母材から6
mm角に切り出され、上部試験片及び下部試験片はSi
3N4のHIP材で、その外径は42mm、内径は30
mmとし、上部試験片の幅は6mm、下部試験片の幅は
16mmとした。なお、上部試験片の外径面は軸心を含
む平面で切った断面において10Rの曲面となってい
る。これは両試験片の接触面での片当たりを防止するた
めである。試験条件を固体潤滑剤被膜試験片荷重20
N、上部試験片荷重200N、回転数1000rpm、
温度800℃とした。
試験片の間の摩擦力ならびに運転中の上部試験片・下部
試験片間の振動(潤滑剤の移着状態に関する情報を与え
る)について評価された。なお、固体潤滑剤被膜試験片
の摩耗量については試験終了後、形状測定器にて測定し
た。上記評価法により、本発明品1と比較品3,5およ
び11について比較検討した。
との摩擦係数の経時記録である。比較品3,5および1
1の値は0.3程度であるのに対し、本発明品1の値は
0.1程度と小さく、本発明品は特に優れている。ま
た、いずれもその値は経時的に安定しており本発明品1
と比較品11については変動幅も小さい。
実効値の記録である。比較品5と11はほぼ同じような
値を示すが、比較品3は振動が大きく、その変動幅も大
きい。また本発明品1の振動幅はどの比較品よりも小さ
い値を示し、移着性においても優れていることが予想さ
れた。
めに移着膜の生成状態及びその成分について調査、分析
を行った。以下、それについて説明する。図4は下部試
験片摩擦痕の軸方向形状測定結果である。比較品11で
は摩擦痕の中央部のみに移着が見られ、比較品5では摩
擦痕に摩耗及びその中央部と左側に移着が見られる。し
かし、本発明品1においては摩擦痕の全体にほぼ均一に
移着が見られ、移着膜が良好に形成されることがわかっ
た。
EMによる観察とEPMAによる成分分析を行った。そ
の結果を図5に示す。これより、摩擦痕部の全体に移着
膜が良好に形成されていることが確認され、その膜中に
は固体潤滑剤の偏りなく分布していることがわかった。
剤被膜試験片の摩耗量を測定した結果である。摩耗量は
両者とも同じような値であるが、本発明品1の運転時間
が比較品11の3倍であることから、耐摩耗性において
も本発明品1は比較品の中でも摩耗の少なかった比較品
11よりも優れていることがわかった。
被膜について室温〜900℃における摩擦係数を測定し
比較検討した。ただし、この結果は図7に示す高温往復
動摩擦摩耗試験方法により別途測定したものである。実
験は室温〜900℃〜室温の順で行い、測定は100℃
毎に行った。摩擦係数の値はそれぞれの温度において摩
擦係数が安定したのち読取ったものである。
を示す。比較品3の場合、摩擦係数は温度の増加ととも
に小さくなる傾向が見られ、昇温降温時とも800℃に
おいて最小値を示す。比較品5の場合、比較品11と同
じく摩擦係数は温度の増加とともに小さくなる傾向が見
られ、その最小値は昇温時においては800℃、降温時
においては500℃である。比較品3の場合も摩擦係数
は昇温とともに低下するが全体に高い値を示している。
本発明品1は比較品のいずれとも異なり昇温時の600
℃において摩擦係数の急激な低下が見られ、その後降温
時の300℃まで小さく、安定している。これより、本
発明品1は300〜900℃までの広い温度領域におい
ても優れた潤滑性が期待できることがわかった。
“−”は未評価を示し、低速滑りの潤滑性評価の欄は、
上段が昇温時、下段が降温時の値を示す。また、本発明
品1の潤滑性表面の欄が2段になっているのは低速及び
高速滑りでそれぞれ2回試験したことを意味する。
摩耗性、移着性の点で比較品よりも優れていることが解
った。
とバインダの混合割合の変化と摩擦係数の変化の関係及
びCaF2,BaF2,とCr2C3の混合割合の変化
と摩擦係数の変化の関係を実験により調べた。 (1)図9の縦列のグラフは、固体潤滑剤とバインダの
混合割合を10:90から40:60に変えたもので、
図10はその混合割合が20:80から40:60の範
囲で、降温の過程で800〜400または500℃まで
において摩擦係数が0.3以下となっていることを示し
ていて、固体潤滑剤として使用できることがわかる。 (2)図9の横列のグラフは、CaF2,BaF2,と
Cr2O3の混合割合を変えた実験結果で、CaF2と
BaF2の混合割合を40:60一定とし、これらとC
r2O3の混合割合を40:60から60:40と変え
たもので、図10は50:50の混合割合の摩擦係数が
降温時800〜500℃で0.3以下となっていること
を示していて、固体潤滑剤として使用できることがわか
る。
高温かつ大きな滑り速度の接触において潤滑性、耐摩耗
性ならびに移着性に優れている。この固体潤滑剤を使用
することによって、液体潤滑剤の使用が不可能な370
℃以上の高温大気中においても、回転部及び摺動部を有
する高温用機械装置の稼働を実現することができる。ま
た、この発明の固体潤滑剤被膜の形成方法においては、
被膜を減圧プラズマ溶射によって形成することができる
ので、被膜の形成が容易である。
構成説明図。
グラフ。
グラフ。
フ。
Claims (4)
- 【請求項1】 CaF2 ,BaF2 ,Cr2 O3 の三種
類の混合物からなる高温固体潤滑剤。 - 【請求項2】 配合割合をCaF2 5〜60wt%、B
aF2 5〜60wt%、Cr2 O3 5〜80wt%の範
囲とする請求項1の高温固体潤滑剤。 - 【請求項3】 上記高温固体潤滑剤に耐熱鋼合金のパウ
ダをバインダとして配合した混合物を耐熱材料の表面に
プラズマ溶射することを特徴とする高温固体潤滑剤被膜
の形成方法。 - 【請求項4】 上記高温固体潤滑剤に耐熱鋼合金のパウ
ダをバインダとして20〜80体積%配合した混合物を
耐熱材料の表面にプラズマ溶射することを特徴とする高
温固体潤滑剤被膜の形成方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5084204A JPH0819429B2 (ja) | 1993-03-18 | 1993-03-18 | 固体潤滑剤及び固体潤滑剤被膜の形成方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5084204A JPH0819429B2 (ja) | 1993-03-18 | 1993-03-18 | 固体潤滑剤及び固体潤滑剤被膜の形成方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06306380A true JPH06306380A (ja) | 1994-11-01 |
JPH0819429B2 JPH0819429B2 (ja) | 1996-02-28 |
Family
ID=13823959
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5084204A Expired - Lifetime JPH0819429B2 (ja) | 1993-03-18 | 1993-03-18 | 固体潤滑剤及び固体潤滑剤被膜の形成方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0819429B2 (ja) |
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2004107678A (ja) * | 2001-02-28 | 2004-04-08 | Nippon Piston Ring Co Ltd | 耐摩耗性摺動部材 |
JP2006328463A (ja) * | 2005-05-25 | 2006-12-07 | Toyota Motor Corp | 摺動部材 |
KR100655366B1 (ko) * | 2005-07-04 | 2006-12-08 | 한국과학기술연구원 | 내열, 내마모, 저마찰 특성을 가지는 코팅제 및 이의코팅방법 |
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KR100803968B1 (ko) * | 2006-10-13 | 2008-02-15 | 재단법인 포항산업과학연구원 | 윤활코팅분말 및 그 제조방법 |
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1993
- 1993-03-18 JP JP5084204A patent/JPH0819429B2/ja not_active Expired - Lifetime
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