JP2019137897A - 摺動部材およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】摩擦を低減するとともに、その状態を長時間維持することが可能な摺動部材およびその製造方法を提供する。【解決手段】鋼からなる基材1と、該基材1の表面に形成される合金層2と、を備え、基材1の表層部には、質量%で、5.0%以下のInおよび10.0%以下のSbから選択される1種または2種を含み、厚さが1.0〜1000μmである濃化層1aが存在し、合金層2は、質量%で、20.0%以上のInおよび20.0%以上のSbから選択される1種または2種と、Feとを含み、厚さが3.0〜100nmである、摺動部材10。【選択図】図1

Description

本発明は、摺動部材およびその製造方法に関する。
自動車のクランクシャフト等で使用される摺動部材には、耐摩耗性に加えて、低燃費化の観点から優れた摺動特性が要求されており、特に部材表面における摩擦の低減が求められている。
通常の鉄鋼材料において、無潤滑油環境(ドライ環境)または潤滑油環境下で摺動させる場合に焼き付きが問題になる場合が多い。そのため、様々な手法で焼き付きを防ぐための対策が採られる。例えば、ドライ環境ではDLC成膜またはPTFE系のフッ素樹脂によるコーティングによる対策が採られる。
また、特許文献1では、高速回転、高荷重下で使用されても、摺動部材自身および相手シャフト材の摩耗がともに少ない耐久性、信頼性に優れた摺動部材が開示されている。さらに、特許文献2では、耐焼付性と耐摩耗性に優れた摺動部品用めっき皮膜並びにそのめっき皮膜で被覆された摺動用部品が開示されている。
そして、特許文献3では、安価な固体潤滑膜を用いても固体潤滑膜と部材との密着力が低下せず、長時間にわたって低摩擦係数が得られ、しかも高い耐摩耗性が保持できる固体潤滑膜付き部材が開示されている。
特開平4−325697号公報 国際公開第2004/063426号 特開2000−178720号公報
一般に、鋼材部品または鋼材表面への焼き付き現象は、摺動時に発生する磨耗粉に由来する等の物理的要因の他、高温かつ高圧環境下で摺動界面にて発生する化学的要因(例えば、摺動相手材の移着または凝着など化学反応に起因すると思われる異種材の発生)に支配される。すなわち、物理的または化学的要因が複雑に入り組んだ結果、焼き付き現象が発生する。
上述のDLC成膜を鋼材部品表面へ施した場合、良好な表面性状は得られる。しかし、摺動時の高温高圧環境では、不測の熱衝撃および応力集中が懸念される。DLC成膜は、かかる環境に十分抗すると言えないのが現状である。また、上述のフッ素樹脂コーティングは利便性が高く、低コストの表面処理方法であるものの、フッ素樹脂の内部に形成されるピンホールが原因と思われる早期腐食劣化の他、高温環境下では毒性のある危険ガスが発生し易い等の環境的懸念がある。このように、上述の方法では、鋼材表面の焼き付き現象を十分に抑制し、良好な摺動性能を維持するのには限界がある。
また、特許文献1および2では、基材の表面にめっきによる皮膜を形成しているため、皮膜の厚さが数μm以上と厚い。そのため、皮膜が摺動時に剥離するおそれがある。そのため、皮膜の持続性に問題がある。
特許文献3に記載の固体潤滑膜付き部材によれば、固体潤滑膜と部材との密着性が低下しないため、長時間にわたって低摩擦係数が得られ、しかも高い耐摩耗性が保持できるとされている。しかし、表面の固体潤滑膜が摩耗した場合、凹みに堆積している固体潤滑膜が掘り起こされ、染み出すとされているが、その際に露出した基材が相手材と接触する可能性があるため、摺動特性が維持できない可能性が考えられる。
本発明は上記の問題を解決し、摩擦を低減するとともに、その状態を長時間維持することが可能な摺動部材およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、下記の摺動部材およびその製造方法を要旨とする。
(1)鋼からなる基材と、該基材の表面に形成される合金層と、を備え、
前記基材の表層部には、質量%で、5.0%以下のInおよび10.0%以下のSbから選択される1種または2種を含み、厚さが1.0〜1000μmである濃化層が存在し、
前記合金層は、質量%で、20.0%以上のInおよび20.0%以上のSbから選択される1種または2種と、Feとを含み、厚さが3.0〜100nmである、
摺動部材。
(2)前記合金層の表面に形成され、InおよびSbから選択される1種または2種からなり、厚さが3.0〜1000μmである金属層をさらに備える、
上記(1)に記載の摺動部材。
(3)前記基材の肉厚中央部におけるInおよびSbの含有量が、いずれも質量%で、0.01%以下である、
上記(1)または(2)に記載の摺動部材。
(4)鋼からなる基材の表面を400〜1000℃の温度範囲まで加熱する、加熱工程と、
加熱された前記表面に対して、Inおよび/またはSbを含む金属微粒子をピーニングする、ピーニング工程と、を備える、
摺動部材の製造方法。
(5)前記金属微粒子の平均粒径が30〜500μmである、
上記(4)に記載の摺動部材の製造方法。
(6)前記金属微粒子は、鋼からなる微粒子の表面がInおよび/またはSbによって被覆されている、
上記(4)または(5)に記載の摺動部材の製造方法。
(7)前記加熱工程において、高周波誘導加熱によって前記表面を加熱する、
上記(4)から(6)までのいずれかに記載の摺動部材の製造方法。
本発明によれば、摺動特性に優れ、かつその状態が長時間持続する摺動部材を得ることが可能である。
本発明の一実施形態に係る摺動部材の概略構成を示す図である。 本発明の一実施形態に係る摺動部材の製造方法を説明するための概念図である。
図1は、本発明の一実施形態に係る摺動部材の概略構成を示す図である。図1を参照して、本発明の一実施形態に係る摺動部材10は、基材1、合金層2および金属層3を備える。合金層2は基材1の表面に形成され、さらに金属層3は合金層2の表面に形成される。なお、金属層3は形成されていなくてもよい。
合金層2は、質量%で、20.0%以上のInおよび20.0%以上のSbから選択される1種または2種と、Feとを含む。具体的には、合金層2は、InおよびFeを含む合金、SbおよびFeを含む合金、またはIn、SbおよびFeを含む合金によって構成される。そして、合金層2の厚さは3.0〜100nmである。
InおよびSbは非常に軟質な金属であり、それらを含む合金も軟質である。そのため、基材1の表面に軟質な合金層2が形成されていることによって、合金層2が潤滑皮膜としての役割を果たす。その結果、摺動相手となる部材(「相手部材」ともいう。)との摩擦が低減し、基材1の摺動特性を向上させることが可能となる。
合金層2の厚さが3.0nm未満では摺動特性の向上効果が不十分となる。一方、厚さが100nmを超えると、摺動相手となる部材との接触抵抗が上昇し、摺動特性が劣化する。
金属層3はInおよびSbから選択される1種または2種からなるものである。すなわち、純In、純Sb、ならびにInおよびSbの合金が含まれる。金属層3が合金層2の表面に形成されることにより、さらなる摩擦の低減が可能となる。
上述のように、金属層3は形成されなくてもよいが、形成される場合には、その厚さが過剰であると却って摺動特性が劣化するおそれがある。そのため、金属層3の厚さは1000μm以下とすることが好ましい。一方、下限は特に制限はないが、金属層3による摩擦の低減効果を得たい場合には、例えば、3.0μm以上とすることができる。
また、基材1の表層部には、濃化層1aが存在する。濃化層1aは、質量%で、5.0%以下のInおよび10.0%以下のSbから選択される1種または2種を含み、厚さが1.0〜1000μmである。
潤滑皮膜として機能する合金層2および金属層3は、相手部材との摺動により消耗する。金属層3は摺動の初期に消費される。しかしながら、濃化層1aからInおよび/またはSbとFeとが基材1の表面へと拡散することにより、合金層2が再生され、長時間にわたって維持されるようになる。InおよびSbは常温環境下においても、速やかに基材1の表面に拡散する特性を有する。
濃化層1a中におけるInおよびSbの存在状態については特に限定されないが、基材1中に固溶していてもよいし、析出物として存在していてもよいし、その両方の形態で存在していてもよい。なお、鋼中におけるInの固溶限は0.57%程度であり、Sbの固溶限は2%程度である。析出物の種類についても特に制限はなく、例えば、酸化物として含まれていてもよい。
上述のように、濃化層1aからの拡散により合金層2を維持するためには、濃化層1a中には、質量%で、0.15%以上のInおよび0.15%以上のSbの少なくとも一方が含まれていることが望ましい。
また、濃化層1aの厚さが1.0μm未満では、供給できるInおよび/またはSbの量が少なく、合金層2を長時間維持することが難しくなる。一方、厚さが1000μmを超えると、基材1の表層部における機械特性が劣化するおそれがある。そのため、濃化層1aの厚さは1.0〜1000μmとする。
基材1は鋼からなる。鋼としては、例えば、フェライト鋼、オーステナイト鋼、マルテンサイト鋼、または二相以上の組織を有する鋼等を用いることができる。また、組織中の析出物等の分散・固溶状態についても制限はない。
なお、InおよびSbは、表面に偏析しやすいだけでなく、結晶粒界にも偏析しやすい傾向がある。そのため、これらの元素が基材1中に多量に含有されると、基材1の結晶粒界に偏析し、脆性破壊および粒界腐食などが生じる原因となる。そのため、これらの元素が多量に含まれる領域は、基材1の表層部のみに限定することが好ましい。すなわち、基材1の肉厚中央部においては、InおよびSbの含有量は、いずれも質量%で、0.01%以下であることが好ましい。
上記の構造を有する摺動部材10を製造する方法について、特に制限はないが、例えば、以下に示す方法により製造することができる。
本発明の一実施形態に係る摺動部材10の製造方法は、鋼からなる基材1の表面を400〜1000℃の温度範囲まで加熱する、加熱工程と、加熱された基材1の表面に対して、Inおよび/またはSbを含む金属微粒子11をピーニングする、ピーニング工程と、を備える。
図2は、本発明の一実施形態に係る摺動部材の製造方法を説明するための概念図である。図2を参照して、高温に加熱した基材1の表面に対して、金属微粒子11をピーニングすることにより、基材1の内部にInおよび/またはSbを物理的に拡散させることができる。そして、その結果、基材1の表層部に濃化層1aが形成させ、基材1の表面に合金層2が形成される。また、ピーニング時間に応じて、合金層2の表面にはさらに金属層3が形成される。
基材1の表面温度が400℃未満では、Inおよび/またはSbの内部への拡散が不十分となり、上述の規定を満足する濃化層1aを形成することが難しくなる。一方、表面温度が1000℃を超えると、金属微粒子11が表面に衝突するのと同時に溶融し、ピーニング効果が得られず、上記と同様に、Inおよび/またはSbの内部への拡散が不十分となり、上述の規定を満足する濃化層1aを形成することが難しくなる。
なお、Inは特に低融点であるため、Inを含む金属微粒子11を用いる場合には、基材1の表面温度は800℃以下とすることが好ましい。一方、Inと比べて高融点のSbを含む金属微粒子11を用いる場合には、基材1の表面温度は650℃以上とすることが好ましい。
基材1の表面の加熱方法については特に制限はなく、例えば、高周波誘導加熱を採用することができる。
また、金属微粒子11の大きさについて、特に制限は設けないが、Inおよび/またはSbの内部への拡散効果を十分に発揮するためには、平均粒径が30〜500μmであることが好ましい。
InおよびSbは軟質であることから、純Inまたは純Sb等をピーニングしても、基材1の内部まで拡散させることは困難である。そのため、例えば、鋼からなる微粒子の表面がInおよび/またはSbによって被覆されている粒子を、ピーニング用の金属微粒子11として用いることが好ましい。
例えば、鋼球と純Inおよび/または純Sbの粒子とをボールミル内で混合させることによって、鋼球の表面をInおよび/またはSbによって被覆することができる。
ピーニング時間についても特に制限はないが、10〜300秒とすることが好ましい。ピーニング時間が10秒未満では、濃化層1aの形成が不十分となるおそれがある。一方、ピーニング時間が300秒を超えると、金属層3の厚さが過剰になるだけでなく、金属層3の表面の酸化が進み、潤滑性が低下するおそれがある。
また、同様に、金属層3の酸化を防止する観点から、ピーニング工程は窒素雰囲気等の不活性ガス中で行うことが好ましく、金属微粒子11も不活性ガスによって吹き付けることが好ましい。これにより、金属微粒子11自体の酸化も防止することが可能となる。
基材1の表層部にInおよび/またはSbを含む濃化層1aを存在させるには、基材1の鋳込み段階でこれらの元素を添加することも考えられる。しかしながら、この方法では、基材1の全体にInおよび/またはSbが含有されることとなり、基材1の機械特性を劣化させる場合がある。
これに対して、上述の方法によって摺動部材10を製造することで、基材1の機械特性を劣化させることなく、表層部に濃化層1aを存在させることが可能となる。
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
試験材には三品種のJIS規格相当品を用いた。すなわち、JIS G 4051(2009)に規定されている、機械構造用炭素鋼のS45C鋼(0.42C−0.20Si−0.70Mn−0.01S−0.10Cr)、JIS G 4404(2006)に規定されている合金工具鋼鋼材のSKD11鋼(1.50C−0.20Si−0.40Mn−0.01P−0.01S−12.0Cr−1.00Mo−0.30V)、JIS G 5111(1991)に規定されている構造用高張力炭素鋼および低合金鋼鋳鋼のSCMn3鋼(0.38C−0.53Si−1.50Mn−0.01P−0.01S)である。
S45C鋼については、焼入れ材(870℃から水冷)および焼き鈍し材(810℃から炉冷)の2種類を、SKD11鋼については、焼入れ焼戻し材(焼入れ:1030℃から水冷、低温焼戻し:180℃から空冷)を用いた。SCMn3鋼については、焼入れ焼戻し材(焼入れ:1000℃から水冷、焼戻し:400℃から空冷)を用いた。試験材は、機械加工によりディスク形状(直径15mm×厚さ4mm)とした後、後述する被膜処理面については、さらに鏡面に仕上げた。
続いて、高周波電源、加熱用高周波誘導加熱(以下、「IH」という。)コイルおよび出力制御盤を微粒子ピーニング(以下、「FPP」という。)装置と組み合わせた装置を用いて、試験材に対して被膜処理を行った。すなわち、本実施例で用いる装置は、金属微粒子投射用ノズル(内径6mm)を有するFPP装置の内部に、円筒状のIHコイル(内径40mm、巻き数4、幅35mm)を備えている。
耐火レンガの上に設置した試験材をIHコイルの内側に設置することで、非接触により試験材を加熱した。そして、試験材の表面を表1に示す温度まで1秒以内で加熱し、その温度で保持しながら、当該表面に対してFPP処理を施した。そして、金属微粒子の噴射を止め、ノズル先端から供給される圧縮気体で急冷した。なお、この処理は窒素雰囲気制御下で実施した。
粒子投射の供給量は2.0g/秒、噴射圧力は0.54MPa、噴射間距離は100mmとし、表1に示す時間噴射した。噴射に供した金属微粒子には、鋼球にインジウムを被覆したものを用いた。具体的には、平均粒径が100μmの鋼球(1.00C−0.50Si−0.6Mn、Hv800)およびインジウム粒子(直径2〜3mm、純度99.99%)をボールミル内で100rpmにて1時間混合することによって、鋼球にインジウムを約10μmの厚みで被覆した。
なお、試験No.12の試験材については、FPP処理は行わなかった。また、試験No.13の試験材については、FPP処理の代わりにInめっきを施した。
試験No.1〜12の各試験材について、まず表面構造の解析を行った。具体的には、オージェ分光分析装置(アルバック・ファイ社製SAM670)を用いた深さ方向分析により、基材の表面に形成された合金層および金属層ならびに基材の表層部に存在する濃化層の組成および厚さを測定した。また、膜厚が厚い層を有する試験材については、一部グロー放電発光分析装置による測定も併用した。
続いて、ボールオンディスク方式の摩擦試験(CSM Instruments社製Tribometer)により、摩擦特性の評価を行った。ボールは市販の直径6mmのSUJ2球を用い、荷重10N、摩擦速度10mm/秒、摩擦時間60分、潤滑剤なしの条件で摩擦試験を実施した。摩擦係数は、試験機のソフトウェアから提供される値を用いた。そして、「初期摩擦係数」として摩擦開始から1分間の平均摩擦係数を計測するとともに、低摩擦の持続性として摩擦係数が0.3を超えるまでの摩擦時間を評価した。本発明においては、初期摩擦が0.2以下でかつ低摩擦の持続性が15分以上であった場合に、摺動特性に優れると判断した。
それらの結果を表1にまとめて示す。なお、試験No.1〜9の合金層は、全てFe−In合金からなっており、Fe含有量が約55質量%、In含有量が約45質量%でほぼ一定であった。また、金属層は純Inであった。したがって、これらの化学組成については表1には示していない。
Figure 2019137897
表1の結果を参照して、本発明の規定を満足する試験No.1〜9では、初期摩擦が0.2以下でかつ低摩擦の持続性が15分以上となり、摺動特性が優れる結果となった。これに対して、FPP処理時の表面温度が低すぎる試験No.10では、基材中にInの濃化層が形成されず、低摩擦の持続性が劣る結果となった。また、表面温度が高すぎる試験No.11では、合金層および金属層が酸化され酸化物となったため、摩擦特性が劣る結果となった。さらに、FPP処理を実施しなかった試験No.12では、初期摩耗係数が劣る結果となった。そして、表面にInめっきを施した試験No.13では、基材中にInの濃化層が存在しないため、低摩擦の持続性が劣る結果となった。
上述の三品種のJIS規格相当品を試験材として用い、実施例1と同様の調査をさらに実施した。ただし、本実施例においては、FPP処理において噴射に供した金属微粒子には、鋼球にアンチモンを被覆したものを用いた。具体的には、平均粒径が100μmの鋼球(1.00C−0.50Si−0.6Mn、Hv800)およびアンチモン粒子(直径100μm、純度99.99%)をボールミル内で100rpmにて1時間混合することによって、鋼球にアンチモンを約10μmの厚みで被覆した。
それ以外の条件は実施例1と同一である。なお、試験No.12の試験材については、FPP処理は行わなかった。また、試験No.13の試験材については、FPP処理の代わりにSbめっきを施した。
試験No.1〜13の各試験材について、実施例1と同じ方法により表面構造の解析および摩擦特性の評価を行った。それらの結果を表2にまとめて示す。なお、試験No.1〜9の合金層は、全てFe−Sb合金からなっており、Fe含有量が約60質量%、Sb含有量が約40質量%でほぼ一定であった。また、金属層は純Sbであった。したがって、これらの化学組成については表2には示していない。
Figure 2019137897
表2の結果を参照して、本発明の規定を満足する試験No.1〜9では、初期摩擦が0.2以下でかつ低摩擦の持続性が15分以上となり、摺動特性が優れる結果となった。これに対して、FPP処理時の表面温度が低すぎる試験No.10では、基材中にSbの濃化層が形成されず、低摩擦の持続性が劣る結果となった。また、表面温度が高すぎる試験No.11では、合金層および金属層が酸化され酸化物となったため、摩擦特性が劣る結果となった。さらに、FPP処理を実施しなかった試験No.12では、初期摩耗係数が劣る結果となった。そして、表面にSbめっきを施した試験No.13では、基材中にSbの濃化層が存在しないため、低摩擦の持続性が劣る結果となった。
上述のうち2品種のJIS規格相当品を試験材として用い、実施例1および2と同様の調査をさらに実施した。ただし、本実施例においては、FPP処理において噴射に供した金属微粒子には、鋼球にインジウムを被覆したものと鋼球にアンチモンを被覆したものを1:1の質量比で混合したものを用いた。それ以外の条件は実施例1および2と同一である。
試験No.1および2の試験材について、実施例1および2と同じ方法により表面構造の解析および摩擦特性の評価を行った。それらの結果を表3にまとめて示す。なお、試験No.1および2の合金層は、いずれもFe、In、Sbからなる合金であり、合金層全体の平均組成は、Fe含有量が約50質量%、In含有量が約30質量%、Sb含有量が約20質量%であった。また、金属層に相当する層はInとSbが混じり合っており、必ずしも相互溶解はしていなかった。
Figure 2019137897
表3の結果を参照して、本発明の規定を満足する試験No.1および2では、初期摩擦が0.2以下でかつ低摩擦の持続性が15分以上となり、摺動特性が優れる結果となった。
本発明によれば、摺動特性に優れ、かつその状態が長時間持続する摺動部材を得ることが可能である。したがって、本発明に係る摺動部材は、自動車、船舶等の輸送機械、一般産業機械等に使用される摺動部材として好適に用いることができる。
1.基材
1a.濃化層
2.合金層
3.金属層
10.摺動部材
11.金属微粒子

Claims (7)

  1. 鋼からなる基材と、該基材の表面に形成される合金層と、を備え、
    前記基材の表層部には、質量%で、5.0%以下のInおよび10.0%以下のSbから選択される1種または2種を含み、厚さが1.0〜1000μmである濃化層が存在し、
    前記合金層は、質量%で、20.0%以上のInおよび20.0%以上のSbから選択される1種または2種と、Feとを含み、厚さが3.0〜100nmである、
    摺動部材。
  2. 前記合金層の表面に形成され、InおよびSbから選択される1種または2種からなり、厚さが3.0〜1000μmである金属層をさらに備える、
    請求項1に記載の摺動部材。
  3. 前記基材の肉厚中央部におけるInおよびSbの含有量が、いずれも質量%で、0.01%以下である、
    請求項1または請求項2に記載の摺動部材。
  4. 鋼からなる基材の表面を400〜1000℃の温度範囲まで加熱する、加熱工程と、
    加熱された前記表面に対して、Inおよび/またはSbを含む金属微粒子をピーニングする、ピーニング工程と、を備える、
    摺動部材の製造方法。
  5. 前記金属微粒子の平均粒径が30〜500μmである、
    請求項4に記載の摺動部材の製造方法。
  6. 前記金属微粒子は、鋼からなる微粒子の表面がInおよび/またはSbによって被覆されている、
    請求項4または請求項5に記載の摺動部材の製造方法。
  7. 前記加熱工程において、高周波誘導加熱によって前記表面を加熱する、
    請求項4から請求項6までのいずれかに記載の摺動部材の製造方法。

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