JPH06305378A - 車両用バンパー - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】 軽量かつ簡易な構造で衝撃エネルギー吸収効
果が十分である合成樹脂製バンパービームを有する車両
用バンパーを得ること。 【構成】 車体に取り付けた際に車体から遠くなる部分
を底部とするコ字状断面を有する合成樹脂製バンパービ
ームであって、該コ字状断面内側の上壁および下壁を対
角線状に結ぶ斜め交差リブを設けた合成樹脂製バンパー
ビムを有する車両用バンパーに関する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、自動車等各種車両の車
両用バンパーに関し、特に耐衝撃性に優れた合成樹脂製
バンパービームを有する車両用バンパーに関する。

【０００２】

【従来の技術】自動車等各種車両の前後には車両同士ま
たはその他物体との衝突や接触時の衝撃を緩和するため
に、バンパーが装備される。従来のバンパーは、鋼板を
曲げ加工したものが主流を占めていた。しかし、鋼板は
それ自体反発係数が大きく、必要かつ十分な緩衝効果を
得るのが難しいことが指摘されている。例えば、当該車
両にとって考慮し得る最大の衝撃に耐え得る強度のもの
とすると、頑強になり過ぎて重量及びコストが過大とな
り、車両軽量化やコスト低減等の社会一般の要請に反す
る。

【０００３】反対に、小さな衝撃で変形するようなもの
では、衝突事故等の緩衝作用が必要な際に十分な効果を
発揮することができない。したがって、バンパーの取り
付け部分にばねまたは油圧等によって衝撃を十分に吸収
するための緩衝装置を介在させることが多い。

【０００４】近年の自動車は、性能向上に加えて、デザ
インの点でも要求水準が向上し、安全面の基本性能はも
とより、外観の優美さも追求される傾向にある。バンパ
ーも例外ではなく、形状、色彩等の点でボディデザイン
にマッチしたものが要求されている。さらに、省燃費と
運動性能向上の観点から、軽量化が継続的に検討されて
おり、その一環として大形部品であるバンパービームの
軽量化が重要な課題となる。

【０００５】このようなバンパーの位置付けからみる
と、鋼板製バンパーでは十分に対応はできない。そのた
め、合成樹脂、特にエンジニアリングプラスチック製の
バンパーシステムが各種検討されている。

【０００６】一般に、合成樹脂製のバンパーは、重量の
点では有利であるが、たとえ肉厚を十分に大きくしたと
しても強度の点で不足することがある。そのため、ビー
ム裏面に、図４のような格子状の補強構造３を設け、取
り付け部３０によって車体に取り付ける。また、図５の
ようなハニカム状の補強構造４を設けることもあるが、
構造が複雑となる割りには補強効果は十分とはいえな
い。特にバンパーの衝突部位がバンパーの上側または下
側に偏っている場合には、従来構造では捩れ変形に弱い
ため肉厚を大きくとることにより剛性不足を補う必要が
あった。

【０００７】また、合成樹脂を炭素繊維やガラス繊維等
で補強した合成樹脂製バンパーも使用されつつある。し
かし、安全確保の点で重要な役割を果たすバンパーの全
ての要求を満たす構造は得られておらず、例えばバンパ
ービームの前面に発泡体等のエネルギー吸収体を設ける
などの対策を要し、構造が複雑となり、重量が嵩み、コ
ストの面でも不利なものが多かった。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述のよう
な要求に対応する構造の合成樹脂製バンパービムを有す
る車両用バンパーを提供することを課題とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】この課題は、車体に取り
付けた際に車体から遠くなる部分を底部とするコ字状断
面を有する合成樹脂製バンパービームであって、該コ字
状断面内側の上壁および下壁を対角線状に結ぶ斜めの交
差リブを設けたバンパービームを有する車両用バンパー
によって解決される。

【００１０】

【作用】本発明にかかる合成樹脂製バンパービームを有
する車両用バンパーは、バンパービーム内面に形成され
た斜めリブの働きにより、捩り剛性が大幅に向上する。
従って、前方または斜め方向から外部衝撃が加わった場
合はもとより、バンパー上部または下部へ偏って不均一
な衝撃が加わった際の捩れが小さくなり、後面、すなわ
ち車体側への変位量が少なくなる。

【００１１】さらに、このバンパービーム自体の反力が
大きくなるため、より少ない変形量で多くの衝撃エネル
ギーを吸収し得る効果が得られる。

【００１２】

【実施例】以下、添付図を参照しつつ実施例に即して本
発明の内容を開示する。図１は、本発明にかかる車両用
バンパーのバンパービーム１の基本構成を示す斜視図で
ある。

【００１３】図１によれば、バンパービーム１の内面の
上壁１２と下壁１４とを結ぶ斜めリブ１６および１８が
形成される。これら斜めリブ１６および１８を含むバン
パービーム１は、合成樹脂の一体成形により製造され
る。なお、符号２０はバンパー取り付け部、符号２２は
縦リブである。

【００１４】本バンパービームを形成する素材は、一般
合成樹脂およびエンジニアリングプラスチックを採用す
ることができる。例えば、ポリカーボネート（ＰＣ）、
ポリカーボネートとポリブチレンテレフタレートとのア
ロイ（ＰＣ／ＰＢＴ）、ポリフェニレンエーテルとポリ
アミドのアロイ（ＰＰＯ／ＰＡ）、ポリフェニレンスル
フィドとポリスチレンとのアロイ（ＰＰＳ／ＰＳ）、ポ
リプロピレン（ＰＰ）等を使用することができる。

【００１５】図２は、本発明にかかる車両用バンパーの
バンパービームの構成例を示す背面図で、バンパービー
ム１の裏側の両取り付け部２０の間を２等分した部分に
それぞれ斜めリブ１６および１８を形成したものであ
る。この実施例では、中央に形成された縦リブ２２に加
えて、左右の斜めリブ交差部を通る補強縦リブ２４を形
成している。したがって、局部的な変形を防止しさらに
応力を平均化して壁面の挫屈を押さえることができ、よ
り優れた衝撃吸収効果を発揮することができる。

【００１６】図３は、他の実施例の構成を示す背面図
で、バンパービーム裏面の両取り付け部２０間を２本の
縦リブ２２により３等分し、それぞれ斜めリブ１６、１
８と補強縦リブ２４とを形成したものである。構造はや
や複雑となるものの、構造上さらに優れた補強効果を得
ることができる。

【００１７】

【発明の効果】本発明にかかる車両用バンパーのバンパ
ービームによれば、簡潔な構成でありながら捩り剛性が
高いため従来よりも板厚を薄くすることができ、軽量化
が図れる。さらに、より少ない変形量で、十分に衝撃エ
ネルギーを吸収できるため小形で取り付けスペースの点
で有利な合成樹脂製バンパービームが得られる。

【００１８】このようなバンパービームは、樹脂自体の
衝撃吸収効果が大きい。したがって、従来使用されてい
る付加的なエネルギー吸収体が不要となるかまたは大幅
に簡易化され、さらに車体への取り付け部は鋼材製バン
パーにおける取り付け手段よりも簡易な手段による取り
付けが可能となる。

【００１９】このように、本発明にかかる車両用バンパ
ーの合成樹脂製バンパービームは、軽量であり、省エネ
ルギーの観点から車両の軽量化の面で大きな利点とな
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明にかかる車両用バンパーのバンパービー
ムの基本構成を示す背面図である。

【図２】本発明にかかる車両用バンパーのバンパービー
ムの他の実施例の構成を示す背面図である。

【図３】本発明にかかる車両用バンパーのバンパービー
ムのさらに他の実施例の構成を示す背面図である。

【図４】従来技術にかかる車両用バンパーの合成樹脂製
バンパービームの構成を示す背面図である。

【図５】従来技術にかかる車両用バンパーのバンパービ
ームの他の構成を示す背面図である。

【符号の説明】

１ 合成樹脂製バンパービーム １２ バンパービーム上壁 １４ バンパービーム下壁 １６、１８ 斜めリフ゛ ２０ 取り付け部 ２２ 縦リブ ２４ 補強縦リブ

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 車体に取り付けた際に車体から遠くなる
   部分を底部とするコ字状断面を有する合成樹脂製バンパ
   ービームであって、該コ字状断面内側の上壁および下壁
   を対角線状に結ぶ斜めの交差リブを設けたバンパービー
   ムを有することを特徴とする車両用バンパー。
2. 【請求項２】 前記バンパービームの車体側の面が２区
   画以上に分割され、それぞれの区画にそれぞれ斜めリブ
   が形成される、請求項１に記載の車両用パンパー。
3. 【請求項３】 前記斜めリブの交差部を通り上下壁に接
   続された補強縦リブが形成されたバンパービームであ
   る、請求項１または２のいずれかに記載の車両用パンパ
   ー。